(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】情報流通システム並びにそれに用いられるサーバ、提供側装置及び利用側装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240424BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019119607
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-06-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月20日にWEBによりネット開催された「IEEE Data Governance and Metadata management(BDGMM)Meeting #34 Meeting Minutes」において発表
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514202929
【氏名又は名称】エブリセンス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/039012(WO,A1)
【文献】特開2018-116437(JP,A)
【文献】特開2017-84134(JP,A)
【文献】国際公開第2018/087851(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0161210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセットを提供する提供側装置と、前記データセットを利用する利用側装置と、前記データセットを生成するデバイスのベンダが管理するサーバとを備え、前記提供側装置と前記利用側装置との間の情報流通に利用される情報流通システムであって、
前記サーバは、ベンダIDによって一意に識別可能に設けられ、
前記デバイスは、前記ベンダIDと前記デバイスを特定するデバイスIDとによって一意に識別可能であり、
前記サーバは、前記ベンダID及び前記デバイスIDを含むデータセットIDと、このデータセットIDによって特定される前記データセットのフォーマット情報とを関連付けて記憶するフォーマットレジストリを有し、
前記提供側装置は、前記利用側装置に対して、前記データセットの提供と同時又は異時的に前記データセットIDを提供し、
前記利用側装置は、前記データセットの利用に際して前記データセットIDを前記サーバに送信し、
前記サーバは、受信された前記データセットIDに基づいて前記フォーマットレジストリを参照し、前記フォーマット情報を前記利用側装置に送信し、
前記利用側装置は、前記サーバから受信されたフォーマット情報に基づいて、前記受信されたデータセットを利用する
ことを特徴とする情報流通システム。
【請求項2】
複数の前記サーバを備え、
前記複数のサーバは、前記ベンダ毎に自律的に管理されネットワーク上に分散すると共に相互接続により協調動作可能に構成され、前記フォーマットレジストリに前記データセットIDが記憶されている場合に、前記フォーマットレジストリを検索して前記データセットIDに含まれるデバイスIDに関連する前記フォーマット情報を読み出して前記利用側装置に送信し、前記フォーマットレジストリに前記データセットIDが記憶されていない場合に、前記データセットIDを前記ネットワーク上の他のサーバに転送する
ことを特徴とする請求項1記載の情報流通システム。
【請求項3】
前記ベンダIDは、所定の認証機関によって一意に設定され、
前記デバイスIDは、各ベンダにおいて任意に設定される
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報流通システム。
【請求項4】
前記データセットIDは、更にデータ転送の経路又は形式に関するプロトコル情報を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の情報流通システム。
【請求項5】
データセットを生成するデバイスのベンダが管理し、ベンダIDによって一意に識別可能に設けられたサーバであって、
前記ベンダID及び前記デバイスを特定するデバイスIDを含むデータセットIDと、このデータセットIDによって特定される前記データセットのフォーマット情報とを関連付けてフォーマットレジストリに記憶し、
前記データセットを利用する利用側装置から送信された前記データセットIDに基づいて前記フォーマットレジストリを参照し、前記データセットIDに対応した前記フォーマット情報を前記利用側装置に送信する
ことを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報流通に利用される情報流通システム並びにそれに用いられるサーバ、提供側装置及び利用側装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能(AI)やビッグデータ処理技術の発展に伴って、様々な種類や形式のデータは、そのデータの生成者に止まらずに第三者へ提供されて利用されたりするようになってきた。このような状況において、データを第三者に提供するデータ提供者と、データを第三者から受け取り利用するデータ利用者とは、必ずしも直接に接続されずに仲介者としての情報仲介システム(例えば、特許文献1参照)を介してデータの送受信が行われることも知られている。
【0003】
提供されたデータの利用に当っては、データ利用者は、そのデータの構成を示すフォーマット情報を知る必要がある。このため、データとフォーマット情報とをセットにしてデータ利用者に送信する方式が広く用いられている。一般的にデータとしては、複数の値の組み合わせであるデータセットが送信される。
【0004】
例えば、提供側装置のセンサにより計測される温度データをデータ利用者の利用側装置が受け取る場合、温度値だけが送信されるのではなく、温度と測定時刻のように複数のデータの値を含むデータセットが送信されて利用側装置に受け取られる。この場合、複数のデータの識別子と値とを組み合わせて伝達することで、データセットを受け取ったデータ利用者がその内容を容易に理解し、解析等に利用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような伝達方式では、常にデータの識別子と値とを組み合わせて送信するため、情報量(例えば、ネットワークトラフィック)が肥大化することになる。また、データ提供者とデータ利用者が直接通信を行わずに情報仲介システム等を介して、蓄積されたファイルなどの形式でデータの送受信が行われる場合は、ファイル容量が大きくなる。そして、いずれの場合にも、データの送受信に伴う通信コストや保管コスト等の各種コストの増大を招くことになる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、データの送受信に伴う各種コストの増大を抑えることができる情報流通システム並びにそれに用いられるサーバ、提供側装置及び利用側装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報流通システムは、データセットを提供する提供側装置と、前記データセットを利用する利用側装置と、前記データセットを生成するデバイスのベンダが管理するサーバとを備え、前記提供側装置と前記利用側装置との間の情報流通に利用される情報流通システムであって、前記サーバは、ベンダIDによって一意に識別可能に設けられ、前記デバイスは、前記ベンダIDと前記デバイスを特定するデバイスIDとによって一意に識別可能であり、前記サーバは、前記ベンダID及び前記デバイスIDとを含むデータセットIDと、このデータセットIDによって特定される前記データセットのフォーマット情報とを関連付けて記憶するフォーマットレジストリを有し、前記提供側装置は、前記利用側装置に対して、前記データセットの提供と同時又は異時的に前記データセットIDを提供し、前記利用側装置は、前記データセットの利用に際して前記データセットIDを前記サーバに送信し、前記サーバは、受信された前記データセットIDに基づいて前記フォーマットレジストリを参照し、前記フォーマット情報を前記利用側装置に送信し、前記利用側装置は、前記サーバから受信されたフォーマット情報に基づいて、前記受信されたデータセットを利用することを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態において、複数の前記サーバを備え、前記複数のサーバは、前記ベンダ毎に自律的に管理されネットワーク上に分散すると共に相互接続により協調動作可能に構成され、前記フォーマットレジストリに前記データセットIDが記憶されている場合に、前記フォーマットレジストリを検索して前記データセットIDに含まれるデバイスIDに関連する前記フォーマット情報を読み出して前記利用側装置に送信し、前記フォーマットレジストリに前記データセットIDが記憶されていない場合に、前記データセットIDを前記ネットワーク上の他のサーバに転送する。
【0010】
本発明の他の実施形態において、前記ベンダIDは、所定の認証機関によって一意に設定され、前記デバイスIDは、各ベンダにおいて任意に設定される。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記データセットIDは、更にデータ転送の経路又は形式に関するプロトコル情報を含む。
【0012】
本発明に係るサーバは、データセットを生成するデバイスのベンダが管理し、ベンダIDによって一意に識別可能に設けられたサーバであって、前記ベンダID及び前記デバイスを特定するデバイスIDを含むデータセットIDと、このデータセットIDによって特定される前記データセットのフォーマット情報とを関連付けてフォーマットレジストリに記憶し、前記データセットを利用する利用側装置から送信された前記データセットIDに基づいて前記フォーマットレジストリを参照し、前記データセットIDに対応した前記フォーマット情報を前記利用側装置に送信することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る提供側装置は、データセットを利用する利用側装置に対して前記データセットの提供と同時又は異時的に、前記データセットを生成するデバイスのベンダに対して一意に識別可能に発行されたベンダIDと、前記デバイスを特定するデバイスIDとを含むデータセットIDを提供することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る利用側装置は、提供側装置から提供されたデータセットを受信すると共に、このデータセットの提供と同時又は異時的に、前記データセットを生成するデバイスのベンダに対して一意に識別可能に発行されたベンダIDと前記デバイスを特定するデバイスIDとを含むデータセットIDを受信し、前記データセットIDと、このデータセットIDによって特定されるデータセットのフォーマット情報とを関連付けて記憶するフォーマットレジストリを有する前記サーバに対し、前記データセットIDを送信し、送信した前記データセットIDに基づいて前記フォーマットレジストリを参照した前記サーバから送信された前記フォーマット情報を受信し、受信した前記フォーマット情報を用いて前記データセットを利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、データの送受信に伴う各種コストの増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報流通システムの概要を示す説明図である。
【
図2】同情報流通システムの管理サーバの管理レジストリの概要を示す説明図である。
【
図3】同情報流通システムのサーバのフォーマットレジストリの概要を示す説明図である。
【
図4】同情報流通システムの情報流通の様子を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る情報流通システム並びにそれに用いられるサーバ、提供側装置及び利用側装置を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
[情報流通システムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報流通システムの概要を示す説明図である。
本実施形態に係る情報流通システム100は、あるユーザ等のデータ提供者(Data Provider)のセンサ類を備える提供側装置(Provide-side device)10にて得られた各種の測定データ等のデータセット(Data set(files))12を、他のユーザ等のデータ利用者(Data Receiver)に提供して利用側装置(Use-side device)20で利用する際に、データセット12とそのフォーマット情報(Format Structure Information)とを分離して流通させるようにしたシステムである。
【0019】
[情報流通システムの構成]
情報流通システム100は、データセット12を提供する提供側装置10と、データセット12を利用する利用側装置20と、提供側装置10が有するデバイスのベンダ(Device Vendor)A,B,Cが管理するサーバ(Server)40,41,42と、所定の認証機関(Certifying Body)が管理する管理サーバ(Management Server)30とを備える。
【0020】
提供側装置10及び利用側装置20は、インターネット等のネットワーク70を介して又は直接にデータセット12等の送受信を行う。サーバ40~42及び管理サーバ30は、クラウド60を構成し、ネットワーク70を介して提供側装置10及び利用側装置20と接続される。なお、ベンダA~Cやサーバ40~42の数は、本実施形態では3つ例示してあるが、これに限定されるものではない。また、提供側装置10等の各構成要素の接続態様は、ネットワーク70やクラウド60に限定されるものではない。
【0021】
提供側装置10は、上記のように各種のセンサ類等のデバイスを有し、得られた測定データ等の複数のデータの値の組み合わせからなるデータセット12を生成する。なお、「デバイス」には、センサ機器等のハードウェアのみならず、データセット12を生成し得るソフトウェア、システム等も含まれる。このデータセット12には、そのデータ構造を示すフォーマット情報は含まれてはいない。また、提供側装置10には、予め所定の認証機関により発行されたベンダIDと、ベンダA~Cが任意に設定したデバイスIDとを含むデータセットID11が、例えば各ベンダA~Cにより付与されている。
【0022】
このデータセットID11は、その提供側装置10が提供可能なデータセット12のフォーマット情報を、誰でも共通に識別するための識別子情報である。データセットID11とデータセット12とが同時に提供される場合、データセットID11は、例えば上記のベンダIDとデバイスIDとをヘッダ部分に有し、データセット12の内容をペイロード部分に有するものが挙げられる。また、このデータセットID11のヘッダ部分には、データ転送の手順、経路及び形式等を特定するプロトコル情報が付加されていても良い。また、提供側装置10は、利用側装置20に対して、データセット12の送信による提供と異なるタイミングでデータセットID11を提供しても良い。
【0023】
利用側装置20は、提供側装置10から送信により提供されたデータセット12を受信して自身のデータベース22に格納して記憶する。利用側装置20は、データ解析部(Data Analysis)21を有し、データベース22に格納したデータセット12の各データを解析して利用する。
【0024】
なお、利用側装置20において、解析を含めてデータセット12を利用する際には、そのフォーマット情報が必要となる。このため、利用側装置20は、利用するデータセット12に則したフォーマット情報を、提供側装置10からではなく、後述するように別途各サーバ40~42から入手してその提供を受ける。そのために、利用側装置20は、データセット12の利用に際して、提供側装置10から受信したデータセットID11を、例えばネットワーク70を介してクラウド60経由で各サーバ40~42に向けて送信する。
【0025】
一方、クラウド60においては、管理サーバ30は、ベンダA~Cを一意に識別可能なベンダID(Vendor ID)を発行すると共に、発行したベンダIDとベンダA~Cとをそれぞれ関連付けて記憶する管理レジストリ(Management Registry)31を有する。
【0026】
図2は、情報流通システムの管理サーバの管理レジストリの概要を示す説明図である。
管理レジストリ31は、
図2に示すように、例えばベンダ欄32とベンダID欄33とを有する。管理サーバ30は、管理レジストリ31のベンダ欄32に、各ベンダA~Cのベンダ名等を格納して記憶する。また、ベンダID欄33には、各ベンダA~Cに対して、所定の認証機関がそれぞれ一意に識別可能に発行したベンダIDを格納して記憶する。各ベンダA~C及び発行されたベンダIDは、管理レジストリ31にレコードとして関連付けられて記憶される。
【0027】
具体的に、
図2に示す管理レジストリ31の例では、ベンダ欄32に格納されたベンダAに対しては、「00-01-A1」というベンダIDがベンダID欄33において関連付けられている。また、ベンダ欄32に格納されたベンダBに対しては、「B0-24-D3」というベンダIDがベンダID欄33において関連付けられている。更に、ベンダ欄32に格納されたベンダCに対しては、「98-61-AD」というベンダIDが関連付けられている。これらは、それぞれレコードとして管理レジストリ31に記憶されている。
【0028】
また、クラウド60において、各ベンダA~Cが自律的に管理するサーバ40~42は、各ベンダA~Cが任意に設定した提供側装置10のデバイスID(Device ID)と、このデバイスIDにより識別される提供側装置10が提供可能なデータセット12のフォーマット情報とを関連付けて記憶するフォーマットレジストリ(Format Registry)50,51,52をそれぞれ有する。
【0029】
各サーバ40~42は、図示の例ではクラウド60を構成するようにネットワーク70上に分散配置されると共に、相互接続によって協調動作可能に構成されている。すなわち、各サーバ40~42は、例えばDNSサーバ又はブロックチェーンのような、自律分散協調システムを構成する。
【0030】
図3は、情報流通システムのサーバのフォーマットレジストリの概要を示す説明図である。
各サーバ40~42のフォーマットレジストリ50~52は、
図3に示すように、例えばデバイスID欄54とフォーマット情報欄55の他に、ベンダID欄53を有する。各サーバ40~42は、フォーマットレジストリ50~52のベンダID欄53に、上述した管理サーバ30により発行されたベンダIDを格納して記憶する。また、デバイスID欄54には、各ベンダA~Cがそれぞれ任意に設定したデバイスIDを格納して記憶する。
【0031】
また、フォーマット情報欄55には、デバイスIDが示す提供側装置10のデータセット12のフォーマット情報を格納して記憶する。フォーマット情報は、例えばJSONやASN.1等の各種のフォーマット記述言語により規定されている。そして、各サーバ40~42は、管理サーバ30により発行されたベンダIDにデバイスIDを紐付けて、これらをデータセットID11としてフォーマットレジストリ50~52に更に記憶する。すなわち、ベンダID、デバイスID及びフォーマット情報は、フォーマットレジストリ50~52にそれぞれレコードとして関連付けられて記憶される。
【0032】
具体的に、
図3に示すフォーマットレジストリ50の例では、ベンダID欄53の「00-01-A1」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「100」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「DUTP:(D)ate(U)nit(T)ime(P)ayload(のデータセットの構造を示す頭文字、以下同じ。)」というフォーマット情報が関連付けられている。また、同じくベンダID欄53の「00-01-A1」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「200」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「UTDP:(U)nit(T)ime(D)ate(P)ayload」というフォーマット情報が関連付けられている。このように、「00-01-A1」のベンダID及び任意のデバイスIDからなるデータセットID11には、それぞれのデータセット12のフォーマット情報が関連付けられてフォーマットレジストリ50において記憶されている。
【0033】
また、フォーマットレジストリ51の例では、ベンダID欄53の「B0-24-D1」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「110」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「TDUP:(T)ime(D)ate(U)nit(P)ayload」というフォーマット情報が関連付けられている。また、同じくベンダID欄53の「B0-24-D1」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「120」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「DTUP:(D)ate(T)ime(U)nit(P)ayload」というフォーマット情報が関連付けられている。このように、「B0-24-D1」のベンダID及び任意のデバイスIDからなるデータセットID11には、それぞれのデータセット12のフォーマット情報が関連付けられてフォーマットレジストリ51において記憶されている。
【0034】
また、フォーマットレジストリ52の例では、ベンダID欄53の「98-61-AD」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「101」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「DTTU:(D)ate(T)ime(T)emp(U)nit」というフォーマット情報が関連付けられている。また、同じくベンダID欄53の「98-61-AD」というベンダID及びこれに紐付けられたデバイスID欄54の「102」というデバイスIDからなるデータセットID11が示すデータセットには、「TDUT:(T)ime(D)ate(U)nit(T)emp」というフォーマット情報が関連付けられている。このように、「98-61-AD」のベンダID及び任意のデバイスIDからなるデータセットID11には、それぞれのデータセット12のフォーマット情報が関連付けられてフォーマットレジストリ52において記憶されている。
【0035】
このようなフォーマットレジストリ50~52を有する各サーバ40~42は、利用側装置20からクラウド60経由で送信されたデータセットID11に基づいて、そのデータセットID11が自身のフォーマットレジストリ50~52に記憶されているか否かを確認する。
【0036】
そして、フォーマットレジストリ50~52に送信されたデータセットID11が記憶されている場合に、フォーマットレジストリ50~52を検索してそのデータセットID11により紐付けられているベンダIDに紐付いたデバイスIDに関連するフォーマット情報を読み出して、利用側装置20に送信する。
【0037】
具体的には、例えば利用側装置20から送信されたデータセットID11が「00-01-A1」のベンダID及び「200」のデバイスIDを含み、最初にサーバ40がそのデータセットID11を受け取った場合、自身のフォーマットレジストリ50に格納されているデータセットID11のベンダID「00-01-A1」とベンダID同士が同じである。このため、サーバ40は、このベンダIDに紐付けられたデバイスID「200」に関連付けられたフォーマット情報「UTDP」をフォーマットレジストリ50から読み出して、利用側装置20に送信する。
【0038】
一方、フォーマットレジストリ50~52に送信されたデータセットID11が記憶されていない場合には、そのデータセットID11をクラウド60を経由してネットワーク70上の他のサーバに転送する。データセットID11が転送された他のサーバは、同様に自身のフォーマットレジストリにそのデータセットID11が記憶されているか否かを確認し、上記のようなフォーマット情報の送信或いはデータセットID11の転送等の同様の処理を実行する。
【0039】
具体的には、例えば、利用側装置20から送信されたデータセットID11が「B0-24-D1」のベンダID及び「110」のデバイスIDを含み、最初にサーバ40がそのデータセットID11を受け取った場合、自身のフォーマットレジストリ50に格納されているデータセットID11のベンダID「00-01-A1」とベンダIDが異なっている。このため、サーバ40は、「B0-24-D1」のベンダID及び「110」のデバイスIDを含むデータセットID11を他のサーバ41,42に転送する。
【0040】
例えば、転送先がサーバ41である場合は、サーバ41は、自身のフォーマットレジストリ51に転送されたデータセットID11が記憶されているか否かを確認する。この場合、サーバ41のフォーマットレジストリ51に格納されたデータセットID11のベンダIDが「B0-24-D1」と転送されたデータセットID11のベンダIDと同じである。このため、サーバ41は、このベンダIDに紐付けられたデバイスID「110」に関連付けられたフォーマット情報「TDUP」をフォーマットレジストリ51から読み出して、利用側装置20に送信する。
【0041】
一方、転送先がサーバ42である場合は、サーバ42は、自身のフォーマットレジストリ52に転送されたデータセットID11が記憶されているか否かを確認する。この場合、サーバ42のフォーマットレジストリ52に格納されたデータセットID11のベンダIDが「98-61-AD」と転送されたデータセットID11のベンダIDと異なっている。このため、サーバ42は、「B0-24-D1」のベンダID及び「110」のデバイスIDを含むデータセットID11を更に他のサーバ41に転送する。このように、各サーバ40~42は、上記のようなフォーマット情報の送信或いはデータセットID11の転送の処理を、適切なフォーマット情報を利用側装置20に送信するまで自律分散協調により繰り返して実行する。
【0042】
なお、利用側装置20においては、提供側装置10から受けたデータセット12の初回利用時にフォーマット情報要求を各サーバ40~42に対して送信し、適切なフォーマット情報を応答として受信したら、そのフォーマット情報をデータベース22に格納するようにしても良い。このようにすれば、次回のデータセット12の利用時にそのデータセット12に関するフォーマット情報の送受信を行う必要がなくなるので、ネットワークトラフィックを減少させることができる。
【0043】
このように、本実施形態に係る情報流通システムは、提供側装置10から利用側装置20に対して、データセット12及びデータセットID11のみが送信され、フォーマット情報については、各サーバ40~42から利用側装置20に送信されるので、特に提供側装置10と利用側装置20との間のネットワークトラフィックを抑えることができる。また、利用側装置20で利用するデータセット12のフォーマット情報は、少なくとも初回利用時に入手すれば良いので、データ利用に伴う全体的なネットワークトラフィックを抑えることもできる。従って、本実施形態の情報流通システムによれば、データの送受信に伴う各種コストの増大を抑えることが可能となる。
【0044】
[情報流通システムの情報流通の流れ]
図4は、同情報流通システムの情報流通の様子を示すシーケンス図である。
図4に示すように、まず、ベンダIDの発行に際して、管理サーバ30は、管理レジストリ31を参照して(S10)、重複しないベンダIDを選択し、各ベンダA~Cに対して一意に識別可能なベンダIDを発行する(S11)。
【0045】
ベンダIDが発行された各ベンダA~Cは、それぞれが個別に提供するデバイスのデバイスIDを自己管理によって設定する。そして、各ベンダA~Cは、各サーバ40~42のフォーマットレジストリ50~52に、ベンダIDとデバイスIDとを含むデータセットID11と、データセットID11に対応するデータセット12のフォーマット情報とを関連付けて登録する(S12)。また、管理サーバ30では、発行したベンダIDをベンダA~Cに関連付けて管理レジストリ31に記憶する(S13)。
【0046】
一方、ベンダA~Cからデバイスの提供を受けたデータ提供者10Aは、提供側装置10でデータセット12を生成し(S14)、生成したデータセット12をデータ利用者20Aに提供する(S15)。このとき、データセット12と共にデータセットID11を提供しても良いし、データセット12と別にデータセットID11を提供しても良い。
【0047】
データセット12の提供を受けたデータ利用者20Aは、利用側装置20にてデータセット12をデータベース22に格納し(S16)、データセット12の利用に際して、提供側装置10からデータセット12と同時又は別途受信したデータセットID11をネットワーク70を介してクラウド60経由で各サーバ40~42に送信する(S17)。
【0048】
データセットID11を受信した各サーバ40~42のうち、一のサーバにおいては、フォーマットレジストリを参照して(S18)、データセットID11が記憶されているか否かが判断される(S19)。
【0049】
データセットID11が記憶されていないと判断された場合(S19のNo)は、他のサーバにデータセットID11を転送し(S20)、データセットID11が転送された他のサーバにおいて、同じくフォーマットレジストリが参照され(S18)、データセットID11の記憶の有無の判断がなされる(S19)。
【0050】
一方、データセットID11を受信した一のサーバにおいて、データセットID11が記憶されていると判断された場合(S19のYes)は、フォーマットレジストリを検索して、データセットID11のベンダIDに紐付いたデバイスIDに関連するフォーマット情報を読み出して(S21)、読み出したフォーマット情報を利用側装置20に送信する(S22)。そして、データ利用者20Aは、送信されたフォーマット情報を用いて、利用側装置20のデータベース22に格納されたデータセット12を読み出して、データ解析部21によって解析し利用する(S23)。
【0051】
このように、本実施形態に係る情報流通システムによれば、提供側装置10から利用側装置20にデータセット12及びデータセットID11のみが送信される。データセット12のフォーマット情報については、別経路で各サーバ40~42から利用側装置20に送信される。従って、特に提供側装置10と利用側装置20との間の情報流通量を抑えることが可能となり、データの送受信に伴う各種コストの増大を抑えることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10 提供側装置
10A データ提供者
11 データセットID
12 データセット
20 利用側装置
20A データ利用者
21 データ解析部
22 データベース
30 管理サーバ
31 管理レジストリ
32 ベンダ欄
33 ベンダID欄
40~42 サーバ
50~52 フォーマットレジストリ
53 ベンダID欄
54 デバイスID欄
55 フォーマット情報欄
100 情報流通システム