(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】攪拌器具
(51)【国際特許分類】
A47G 21/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A47G21/00 D
(21)【出願番号】P 2023042688
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】523099910
【氏名又は名称】株式会社古川樹脂工業
(74)【代理人】
【識別番号】100124464
【氏名又は名称】川口 眞輝
(72)【発明者】
【氏名】古川 匡人
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3168727(JP,U)
【文献】実開昭49-007149(JP,U)
【文献】特開2001-046250(JP,A)
【文献】実開平7-12143(JP,U)
【文献】特開平4-72163(JP,A)
【文献】特開2020-39387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌棒部と、
前記撹拌棒部の一端に設けられた把持部と、
前記把持部における前記撹拌棒部が設けられた部位に前記撹拌棒部の一端を囲むように設けられ
、対称性を有した半球形状の空間を有するすり鉢状の凹部と、を備え、
前記凹部は、正面及び側面からは視認できない前記把持部の内部構造として設けられており、
前記凹部の内底部の中央部に前記撹拌棒部の前記一端が接続され、
前記撹拌棒部の重量より前記把持部の重量の方が大きい、攪拌器具。
【請求項2】
前記撹拌棒部には、目盛り用の複数の凸部が設けられた請求項1に記載の攪拌器具。
【請求項3】
前記撹拌棒部の先端部には、丸まった形状をなす丸み部が設けられた請求項1
又は2に記載の攪拌器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイボールやカクテル等を作成する際に用いる攪拌器具、例えばマドラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されている攪拌器具は、全体として棒状をなし、棒状部よりも大きな形状の撹拌部が先端部に設けられており、2種類以上の液体を撹拌して混合する際の撹拌作用を強くするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成の攪拌器具を使用して、ハイボール等を作成した場合、使用済の攪拌器具は、液体等で濡れているため、使用済の攪拌器具をテーブルの上に置くと、テーブルの上が汚れてしまう。そうかといって、使用済の攪拌器具を、皿の上に置いたり、別のコップの中に入れたりすると、食器の洗い物が増えてしまう。即ち、使用済の攪拌器具の置き場所に困るという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用済の攪拌器具をテーブルの上に置いても、攪拌器具に付着した液体によりテーブルが汚れることを防止できる攪拌器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の攪拌器具は、撹拌棒部と、前記撹拌棒部の一端に設けられた把持部と、前記把持部における前記撹拌棒部が設けられた部位に前記撹拌棒部の一端を囲むように設けられ、対称性を有した半球形状の空間を有するすり鉢状の凹部と、を備え、前記凹部は、正面及び側面からは視認できない前記把持部の内部構造として設けられており、前記凹部の内底部の中央部に前記撹拌棒部の前記一端が接続され、前記撹拌棒部の重量より前記把持部の重量の方が大きい。
【0007】
上記構成によれば、攪拌器具を使用した後、使用後の攪拌器具をテーブルの上に載置する際、その撹拌棒部を上に向け、その把持部を下にしてテーブルの上に自立するように載置すると、攪拌器具の撹拌棒部に付着している液体は、把持部の凹部内に貯留される。このため、攪拌器具に付着した液体によってテーブルの上面が汚れることを防止できる。さらに、撹拌棒部の重量より把持部の重量の方が大きいため、攪拌器具の自立安定性が向上し、テーブル上で倒れ難くなる。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、使用済の攪拌器具をテーブルの上に置いても、攪拌器具に付着した液体によってテーブルが汚れることを防止できる攪拌器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかる攪拌器具の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態にかかる攪拌器具の背面図は
図2に示される正面図と同じであり、右側面図及び左側面図は
図3に示される側面図と同じである。
【0011】
(実施形態)
本発明の実施形態にかかる攪拌器具について、
図1から
図5を参照して説明する。
図1から
図5に示されるように、攪拌器具1は、撹拌棒部2、及び、把持部3を備えている。把持部3は、撹拌棒部2の一端に設けられている。撹拌棒部2は、全体として細長い四角柱状の部材であり、両側面部4、5には、目盛り用の複数例えば6個の凸部6~11が突設されている。尚、凸部の個数は、7個以上としても良いし、5個以下としても良い。
【0012】
凸部6~11は、断面形状が二等辺三角形状の凸部であり、両側面方向に突出する対をなす凸部が、異なる3つの位置に3対の凸部として形成される構成となっている。3対の凸部6、7、凸部8、9、凸部10、11は、3つの計量目盛りに対応している。尚、凸部の形状は、断面二等辺三角形状に限られるものではなく、断面矩形形状などの他の形状としても良い。また、3対の凸部6、7、凸部8、9、凸部10、11の位置は、図示される位置に限られるものではなく、他の位置に形成しても良い。また、一対の2個の凸部で1つの目盛りを構成したが、撹拌棒部2の片側の側面部にだけ凸部を設けるようにし、1個の凸部で1つの目盛りを構成するようにしても良い。
【0013】
撹拌棒部2の先端部、即ち、
図1中の上端部には、丸まった形状をなす丸み部12が設けられている。丸み部12は、
図2にも示されるように、ほぼ半円柱状に形成されている。丸み部12の
図2中の左右方向の寸法、即ち、外径寸法は、撹拌棒部2のうちの丸み部12よりも下の部分の
図2中の左右方向の幅寸法よりも若干大きくなるように形成されている。尚、丸み部12の形状は、この形状に限られるものではなく、例えば、球形状などにしても良く、あるいは、スプーン形状にしても良い。
【0014】
把持部3は、円柱形状に形成されており、手や指等で把持し易い形状となっている。把持部3の
図2中の左右方向の寸法、即ち、外径寸法と、把持部3の
図2中の上下方向の長さ寸法は、ほぼ同じ寸法に設定されている。尚、上記2つの寸法を、異なる寸法に設定しても良い。把持部3の重量は、撹拌棒部2の重量に比較して、十分に大きくなるように設定されており、これにより、攪拌器具1の重心は、撹拌棒部2における把持部3に近い位置、又は、把持部3の内部に配置されるように構成されている。
【0015】
図2に示されるように、把持部3の上部には、すり鉢状の凹部13が形成されている。凹部13の内底部の中央部に、前記撹拌棒部2が立ち上がるように接続されており、撹拌棒部2と把持部3は一体化されている。この構成の場合、把持部3は、撹拌棒部2の一端(即ち、
図2中の下端)に接続される構成となっている。また、凹部13は、把持部3における撹拌棒部2が接続された部位に、撹拌棒部2の一端を囲むように設けられている。凹部13は、把持部3の上側に寄せて設けられている。凹部13は、例えば把持部3の上側2分の1以上、又は、上側4分の1以上の範囲に形成されている。把持部3の下面は、
図2、3に示されるように、平面状に形成されている。
【0016】
上記構成の攪拌器具1をテーブル上に載置する際に、撹拌棒部2を上に向け、把持部3を下にして載置すると、攪拌器具1が自立する構成となっている。攪拌器具1の重心は、撹拌棒部2における把持部3に近い位置、又は、把持部3の内部に配置されるように構成されているため、攪拌器具1の自立安定性を向上させることができる。
【0017】
尚、上記した構成の攪拌器具1を製造する場合、撹拌棒部2と、把持部3を別部材として形成し、これら2つの部材を例えば接着して接続することにより一体化することができる。撹拌棒部2及び把持部3は、切削加工、又は、型を用いた押出成形を用いて形成することができる。また、型を用いて押出成形することにより、撹拌棒部2と把持部3とを備える攪拌器具1の全体を一体成形しても良い。実施形態にかかる攪拌器具1は、例えばPOM(ポリオキシメチレン)樹脂、アクリル樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)樹脂などの熱可塑性樹脂により構成されている。
【0018】
さて、例えば水割り、カクテル、又は、ホッピー等を作る場合、コップ内に入れた2種類以上の液体を、上記した構成の攪拌器具1によって撹拌する。この場合、攪拌器具1の把持部3を持って、撹拌棒部2を下に向けてコップ内に入れて液体を撹拌する。そして、液体を撹拌した後の攪拌器具1、即ち、使用後の攪拌器具1を、撹拌棒部2を上に向け、把持部3を下にしてテーブルの上に自立させて載置する。この場合、攪拌器具1の撹拌棒部2に付着している液体は、撹拌棒部2の表面に沿って下方へ流れ、把持部3の凹部13内に貯留される。この結果、使用済の攪拌器具1をテーブルの上に載置しても、攪拌器具1に付着している液体によってテーブルの上面が汚れてしまうことを確実に防止できる。
【0019】
また、撹拌棒部2に比較して把持部3の重量を十分に大きくすることにより、攪拌器具1の重心を、撹拌棒部2における把持部3に近い位置、又は、把持部3の内部に配置するように構成できる。このため、攪拌器具1の自立安定性が向上し、テーブル上で倒れ難くなる。この場合、撹拌棒部2が上に向けられ、テーブルの上で攪拌器具1が自立した状態で載置されているので、撹拌棒部2がテーブルに接触することがなく、攪拌器具1を衛生的に優れた清浄な状態に保持できる。
【0020】
また、上記実施形態では、攪拌器具1の把持部3の凹部13の形状を、すり鉢形状、即ち、半球状の空間を有する形状とした。本実施形態では、凹部13の形状を、すり鉢形状とすることにより、把持部3の重量の低下を極力低減できるから、攪拌器具1の自立安定性を十分に保持することができる。このため、攪拌器具1が倒れ難くなるから、把持部3の凹部13内に貯留された液体がこぼれ難くなる。尚、凹部13の形状は、すり鉢状に限られるものではなく、他の形状、例えば円錐形状、又は、三角錐形状、四角錐形状などの多角錘形状に構成しても良い。また、凹部13の形状を、円筒形状つまりコップ形状の空間とすることもできる。凹部13を把持部3の上側に寄せて配置するようにすれば、把持部3の重量の低下を極力抑制することができ、攪拌器具1の自立安定性を保持することができる。
【0021】
また、上記実施形態では、攪拌器具1の撹拌棒部2に、複数の凸部6~11を設け、これら凸部6~11を目盛りとして使用するように構成した。この構成によれば、2種類以上の液体を混合する際に、液体の量を容易に量ることができ、使い勝手を向上させることができる。この構成の場合、目盛りが凸部であるので、線の目盛りよりも、液体中における目盛りの認識性を向上させることができる。尚、撹拌棒部2に設ける凸部6~11の個数、位置、間隔は適宜変更することができる。
【0022】
また、上記実施形態では、攪拌器具1の把持部3の形状を、円柱形状としたが、これに限られるものではなく、例えば三角柱形状、四角柱形状、五角柱形状、六角柱形状等の多角柱形状としても良い。
【0023】
また、本実施形態では、攪拌器具1の撹拌棒部2の先端に丸み部12を形成したので、撹拌棒部2を液体中から引き抜くときに、丸み部12の表面から液体が流れ易くなり、丸み部12の表面に残る液体の量を低減できる。
【0024】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 攪拌器具
2 撹拌棒部
3 把持部
6~11 凸部
12 丸み部
13 凹部
【要約】
【課題】使用済の攪拌器具をテーブルの上に置いても、攪拌器具に付着した液体によりテーブルが汚れることを防止できる攪拌器具を提供する。
【解決手段】本発明の攪拌器具は、ハイボールやカクテル等を作成する際に用いる攪拌器具、例えばマドラーに関するものであり、撹拌棒部と、前記撹拌棒部の一端に設けられた把持部と、前記把持部における前記撹拌棒部が設けられた部位に前記撹拌棒部の一端を囲むように設けられた凹部と、を備えている。
【選択図】
図1