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特許7477822自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックス
(51)【国際特許分類】
   F23B 60/02 20060101AFI20240424BHJP
   F23B 50/12 20060101ALI20240424BHJP
   F23K 3/16 20060101ALI20240424BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20240424BHJP
   F24B 1/08 20210101ALI20240424BHJP
   F24B 13/04 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
F23B60/02
F23B50/12
F23K3/16
F24B1/02 C
F24B1/08
F24B13/04 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020192886
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022081723
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-04-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、令和2年10月8日、リーフレット(Phoenixrise)2種に記載して公開
(73)【特許権者】
【識別番号】505391034
【氏名又は名称】株式会社サンライズエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 太樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 喜代松
(72)【発明者】
【氏名】上久保 卓也
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2018-0086117(KR,A)
【文献】特開2020-186860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3151003(JP,U)
【文献】特開2003-061769(JP,A)
【文献】特開2019-007696(JP,A)
【文献】”アウトドアペレットストーブ” 薪ストーブがペレットストーブに早替わり,日本,2019年12月07日,https://web.archive.org/web/20191206194925/https://www.maki-stove.jp/original91.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 10/00-99/00
F24B 1/00-15/10
F24C 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、
該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、
該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部とを備えており、
該本体燃焼室と該排気部との間には該気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室が設けられており、
該本体気流誘導室は上部に該本体燃焼室との間の前流側通気口が、
下部に該排気部との間の後流側通気口が設けられており、
該本体燃焼室には内部の炎を見通せる窓が設けられており、
該供給部はペレット燃料の貯留、供給、および燃焼を行うためのアタッチメントであるところのペレットボックスを着脱可能に形成されており、
該ペレットボックスは、ペレット燃料を貯留する貯留部、該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部とからなり、
該ペレットボックスの燃焼部は、給気口と、該給気口からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる主燃焼部と、該主燃焼部の側方に設けられた副燃焼部とからなり、
該副燃焼部は、該主燃焼部をなす格子構造である火格子を、燃焼により小サイズ化して側方に通り抜けたペレット燃料すなわち熾化燃料を貯留するための、該火格子よりも狭い間隔の格子構造すなわち熾格子を備えてなり、
本ペレットボックスは本自然燃焼ストーブに取り付けられた際には該主燃焼部が前記本体燃焼室と連通するよう形成されている
ことを特徴とする、自然燃焼ストーブ。
【請求項2】
前記本体燃焼室の背面と背中合わせに前記本体気流誘導室が設けられ、前記排気部は該本体気流誘導室と相接するとともに、該本体燃焼室および前記供給部とも相接して設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項3】
前記ペレットボックスが着脱自在のアタッチメントとして付属していることを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項4】
前記副燃焼部は前記主燃焼部に向かう傾斜を有して形成されていることを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項5】
前記副燃焼部とその下方の灰受け部との間は副燃焼部底部により遮断されていることを特徴とする、請求項に記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項6】
前記燃焼部には、前記給気口からの給気を絞り込んで前記本体燃焼室に直接導入する流路をなす給気誘導構造が設けられていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項7】
前記給気誘導構造は、本ペレットボックスが本自然燃焼ストーブに取り付けられた際に前記本体燃焼室の前記窓設置面に当たるように給気を誘導するよう配置されることを特徴とする、請求項に記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項8】
前記給気口の底部がすなわち前記熾格子であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【請求項9】
下記<C1>、<C2>の少なくともいずれかが設けられていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
<C1> 前記本体燃焼室の下方に設けられるオーヴン
<C2> 前記本体燃焼室の上面部に設けられる上蓋
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載の自然燃焼ストーブに使用可能な着脱自在のペレットボックスであって、該ペレットボックスはペレット燃料の貯留、供給、および燃焼を行うためのアタッチメントであり、
ペレット燃料を貯留する貯留部、
該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、
および、供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部
とからなり、
該ペレットボックスの燃焼部は、給気口と、該給気口からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる主燃焼部と、該主燃焼部の側方に設けられた副燃焼部とからなり、
該副燃焼部は、該主燃焼部をなす格子構造である火格子を、燃焼により小サイズ化して側方に通り抜けたペレット燃料すなわち熾化燃料を貯留するための、該火格子よりも狭い間隔の格子構造すなわち熾格子を備えてなり、
本ペレットボックスは本自然燃焼ストーブに取り付けられた際には該主燃焼部が前記本体燃焼室と連通するよう形成されている
ことを特徴とする、ペレットボックス。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載の自然燃焼ストーブをペレットストーブとして使用する方法であって、
前記ペレットボックスが該自然燃焼ストーブに装着され、
下記<F1>、<F2>、<F3>のいずれかによるペレット燃料への着火がなされ、
その後は、無動力かつ無電源により所定温度帯域での燃焼が継続されることを特徴とする、自然燃焼ストーブ使用方法。
<F1> 先行する薪燃料での燃焼で生じた熾火による自然着火
<F2> 薪燃料での燃焼により該自然燃焼ストーブの予熱がなされている状態での、着火手段による着火
<F3> 着火手段により該自然燃焼ストーブの予熱がなされている状態での、該着火手段による着火
【請求項12】
前記温度帯域が300±15℃であり、該温度帯域には着火後15分以内に到達することを特徴とする、請求項11に記載の自然燃焼ストーブ使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックスに係り、特に、薪・ペレット両燃料を使用でき、無動力・無電源にて使用することのできる、自然燃焼ストーブ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペレットストーブは、木材等を原料として一定形状に圧縮成形した木質ペレット(以下、単に「ペレット」という)を燃料として用いるストーブである。ペレットの燃焼により発生する二酸化炭素は樹木成長過程において大気中から吸収されるものであるから、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない、いわゆるカーボンニュートラルを実現する。ペレットはまた、薪と比較すると水分量が少なくて燃焼しやすい、燃焼時間が長い、投入量を調節しやすいといった利点がある。一方、その運転には、燃料供給モータやスクリュー、送風ファン、排気ファンなどを用いるものが、従来一般的である。
【0003】
ペレットストーブについては従来、特許出願等もなされている。たとえば後掲特許文献1には、既存のストーブへの取り付けが簡単で、可搬性に優れたペレット燃焼器およびペレット用ストーブとして、ペレットを貯蔵して排出口から排出する筒状の燃料貯蔵部と、その排出口から排出されたペレットを受け入れて燃焼させる筒状の燃焼部とを備え、燃料貯蔵部は燃焼部の上方に着脱自在に取り付け可能、燃焼部はストーブの上端開口部に設置可能である構成のペレット燃焼器が開示されている。そして、不使用時には燃焼部を燃料貯蔵部中に収容可能としている。
【0004】
また特許文献2には、燃焼風に乗り燃焼室内空間に飛散した灰や煤がガラス窓の内側表面に付着するのを防止するとともに燃焼室内の温度低下を防止し、木質ペレット燃料の効率的な燃焼を促進し、併せて燃焼室内の燃焼風の循環対流を良好に行わせて整った炎で視覚的にも良好な燃焼を実現できる木質ペレット燃料燃焼装置として、ガラスの表面に向けて空気を供給する吹出し部に、熱交換部の放熱管の一部を連通させた構成が開示されている。この熱交換部では、ファンにより強制供給され燃焼風により昇温した温風が生成されており、これが吹出し部に送られ、吹き出し部からはガラス表面の上方から下方に向けての温風吹付けがなされることで、目的を達するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6756963号公報「ペレット燃焼器、及びペレット用ストーブ」特開2005-233540号公報「木質ペレット燃料燃焼装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、キャンプなど屋外の主にレクリエーション目的で使用するストーブとしては薪ストーブが多用されているが、暖炉的な燃焼による演出効果を得られれば、雰囲気もより高まり、レクリエーションをより盛り上げることができる。なお、暖炉的とは、燃焼室内部で長い距離をとる構造とすることによって、煤を減らし、薪を効率よく燃やし切れること、そして吸排気のバランス調整によって酸素量の変化を生じさせ、薪の燃え方や揺らぎ方が変化させられること、さらに、長い距離をとる構造とすることで蓄熱性も高くなること、の少なくとも一部を指す。
【0007】
また、燃料としてより供給しやすく、しかも発生する熱量や温度範囲を安定化しやすいペレットを、自然燃焼方式であるところの薪ストーブにおいて併用できれば、なお便利であり、レクリエーション用途としても好ましい。しかしながら、無動力・無電源の自然燃焼方式でペレットを用いる場合は、燃焼風の逆流や、煤の付着が問題となる。これらが生じることなくペレットを使用できる薪ストーブが求められる。
【0008】
すなわち、ペレットストーブとして用いる場合であっても、燃焼風が逆流することなく、煤も付着することなく、特にガラス窓への煤の付着が有効に防止できて、内部の炎の揺らぎを十分に楽しませることができる、そのようなストーブの方式を提供できればよい。加えて、一度着火した後は燃料供給を管理する程度で、無動力・無電源でありながら自動的に安定的な温度・熱量での燃焼が可能で、暖房にも調理にも演出にも便利、なおかつメンテナンス性にも優れ、保管・運搬にも便利な方式を提供できれば、なおよい。
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、まず、暖炉的な燃焼を実現できる自然燃焼ストーブを提供することである。本発明の課題はまた、ペレットをも燃料として用いることができ、その場合に燃焼風の逆流を防止し煤の付着を低減できる自然燃焼ストーブおよびその方式を提供することである。
【0010】
本発明の課題はまた、特に燃焼室のガラス窓への煤の付着を有効に防止できて内部の炎の揺らぎを十分に楽しませることができる自然燃焼ストーブおよびその方式を提供すること、さらに、一度着火した後は燃料供給を管理する程度で、無動力・無電源でありながら自動的に安定的な温度・熱量での燃焼が可能で、暖房にも調理にも演出にも便利な自然燃焼ストーブおよびその方式を提供すること、加えて、メンテナンス性にも優れ、保管・運搬にも便利な自然燃焼ストーブおよびその方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は上記課題について検討した。その結果、薪ストーブにおいて、給気口から排気口までの燃焼室内部の距離すなわち気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室を設けることによって、暖炉的な燃焼を実現できた。また、薪燃料だけではなくペレットも燃料として使用できる方式とするため、着脱可能なペレット貯留兼燃焼用アタッチメントを開発し、薪ストーブをこのアタッチメント(以下「ペレットボックス」という)を着脱可能な仕様とし、ペレットストーブとしても使用できることを確認できた。
【0012】
さらに、ペレットボックスの構造を特殊なものとすることによって、気流の逆流を完全に防止し、また燃焼室のガラス窓が煤で汚れるのを防止する効果を得ることができた上、一度着火した後は自動的に安定的な温度・熱量での燃焼が可能で、暖房にも調理にも演出にも便利な自然燃焼ストーブを実現することができた。そして、これらの成果に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0013】
〔1〕 自然燃焼用の燃料の供給供給ならびに給気を行う供給部と、該供給部
自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、
該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、
該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部とを備えており、
該本体燃焼室と該排気部との間には該気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室が設けられており、
該本体気流誘導室は上部に該本体燃焼室との間の前流側通気口が、
下部に該排気部との間の後流側通気口が設けられており、
該本体燃焼室には内部の炎を見通せる窓が設けられており、
該供給部はペレット燃料の貯留、供給、および燃焼を行うためのアタッチメントであるところのペレットボックスを着脱可能に形成されており、
該ペレットボックスは、ペレット燃料を貯留する貯留部、該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部とからなり、
該ペレットボックスの燃焼部は、給気口と、該給気口からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる主燃焼部と、該主燃焼部の側方に設けられた副燃焼部とからなり、
該副燃焼部は、該主燃焼部をなす格子構造である火格子を、燃焼により小サイズ化して側方に通り抜けたペレット燃料すなわち熾化燃料を貯留するための、該火格子よりも狭い間隔の格子構造すなわち熾格子を備えてなり、
本ペレットボックスは本自然燃焼ストーブに取り付けられた際には該主燃焼部が前記本体燃焼室と連通するよう形成されている
ことを特徴とする、自然燃焼ストーブ。
〔2〕 前記本体燃焼室の背面と背中合わせに前記本体気流誘導室が設けられ、前記排気部は該本体気流誘導室と相接するとともに、該本体燃焼室および前記供給部とも相接して設けられていることを特徴とする、〔1〕に記載の自然燃焼ストーブ。
〔3〕 前記ペレットボックスが着脱自在のアタッチメントとして付属していることを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【0014】
〕 前記副燃焼部は前記主燃焼部に向かう傾斜を有して形成されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
〕 前記副燃焼部とその下方の灰受け部との間は副燃焼部底部により遮断されていることを特徴とする、〔〕に記載の自然燃焼ストーブ。
〕 前記燃焼部には、前記給気口からの給気を絞り込んで前記本体燃焼室に直接導入する流路をなす給気誘導構造が設けられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
【0015】
〕 前記給気誘導構造は、本ペレットボックスが本自然燃焼ストーブに取り付けられた際に前記本体燃焼室の前記窓設置面に当たるように給気を誘導するよう配置されることを特徴とする、〔〕に記載の自然燃焼ストーブ。
〕 前記給気口の底部がすなわち前記熾格子であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
〕 下記<C1>、<C2>の少なくともいずれかが設けられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブ。
<C1> 前記本体燃焼室の下方に設けられるオーヴン
<C2> 前記本体燃焼室の上面部に設けられる上蓋
【0016】
10〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブに使用可能な着脱自在のペレットボックスであって、該ペレットボックスはペレット燃料の貯留、供給、および燃焼を行うためのアタッチメントであり、
ペレット燃料を貯留する貯留部、
該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、
および、供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部
とからなり、
該ペレットボックスの燃焼部は、給気口と、該給気口からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる主燃焼部と、該主燃焼部の側方に設けられた副燃焼部とからなり、
該副燃焼部は、該主燃焼部をなす格子構造である火格子を、燃焼により小サイズ化して側方に通り抜けたペレット燃料すなわち熾化燃料を貯留するための、該火格子よりも狭い間隔の格子構造すなわち熾格子を備えてなり、
本ペレットボックスは本自然燃焼ストーブに取り付けられた際には該主燃焼部が前記本体燃焼室と連通するよう形成されている
ことを特徴とする、ペレットボックス。
11〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕のいずれかに記載の自然燃焼ストーブをペレットストーブとして使用する方法であって、
前記ペレットボックスが該自然燃焼ストーブに装着され、
下記<F1>、<F2>、<F3>のいずれかによるペレット燃料への着火がなされ、
その後は、無動力かつ無電源により所定温度帯域での燃焼が継続されることを特徴とする、自然燃焼ストーブ使用方法。
<F1> 先行する薪燃料での燃焼で生じた熾火による自然着火
<F2> 薪燃料での燃焼により該自然燃焼ストーブの予熱がなされている状態での、着火手段による着火
<F3> 着火手段により該自然燃焼ストーブの予熱がなされている状態での、該着火手段による着火
12〕 前記温度帯域が300±15℃であり、該温度帯域には着火後15分以内に到達することを特徴とする、〔11〕に記載の自然燃焼ストーブ使用方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックスは上述のように構成されるため、上述の各課題を解決して種々の効果を得ることができる。まず本発明自然燃焼ストーブによれば、給気口から排気口までの燃焼室内部の距離すなわち気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室を設けることによって、暖炉的な燃焼を実現することができる。すなわち、煤を減らし、燃料を効率よく燃やし切れること、吸排気のバランス調整によって酸素量の変化を生じさせて薪の燃え方や揺らぎ方が変化させられること、さらに蓄熱性が高くなること、の一部または全部を実現することができる。
【0018】
また、自然燃焼ストーブに着脱可能なペレット貯留兼燃焼用アタッチメントであるペレットボックス発明により、薪だけではなくペレットも燃料として使用することができ、併用型の自然燃焼ストーブを提供することができる。また、本発明ペレットボックスの特徴的な構造により、本発明自然燃焼ストーブは気流の逆流を完全に防止できる上、燃焼室のガラス窓が煤で汚れるのを防止する状態で使用することができ、燃焼室内の炎の揺らぎなどの様子を十分に楽しむことができ、演出効果を高めることができる。
【0019】
また、本発明の自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックスによれば、特にペレットストーブとして使用する場合に、一度着火した後は自動的に安定的な温度・熱量での燃焼が可能であり、暖房としても、また演出道具としても便利である。したがって、燃料の補給以外には何ら操作することなく、最後まで燃焼させることができ、取り扱いが簡単で非常に便利である。しかも、安定的な温度・熱量が得られるため、たとえばオーヴンを備えた構成の場合など本ストーブを調理に用いる際にも便利である。
【0020】
さらに本発明自然燃焼ストーブ等はメンテナンス性にも優れ、保管・運搬にも便利である。たとえば特徴的な脚部を備えた本発明自然燃焼ストーブでは、設置場所に凹凸があって不安定な場合であっても安定的に設置することができる。また、ペレットボックスの着脱は簡単であり、使用後の手入れも便利である。加えて、薪ストーブとして使用できることにより、その余熱を、事後のペレット燃料によるペレットストーブとしての使用の際における予熱に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明自然燃焼ストーブの基本構成を示す概念図であり、窓設置面を正面として、正面視・左右側面視・背面視・平面視の各図により構成した図である。
図1-2】図1における気流の流れを示す図である。
図2】本発明自然燃焼ストーブの実施例を示す斜視図である。
図3】実施例自然燃焼ストーブの薪燃料供給方法(その1)を示す斜視図である。
図3-2】実施例自然燃焼ストーブの薪燃料供給方法(その2)を示す斜視図である。
図4】実施例自然燃焼ストーブにおける正面方向からの内部構造を示す断面図である。
図5】実施例自然燃焼ストーブにおける左側面方向からの内部構造を示す断面図である。
図6】実施例自然燃焼ストーブにおける背面方向からの内部構造を示す断面図である。
図7】実施例自然燃焼ストーブの平面図である。
図8】本発明自然燃焼ストーブに着脱して用いるペレットボックスの実施例を示す斜視図である。
図9図8に示すペレットボックスのIX―IX矢視断面を俯瞰するN方向からの斜視図である。
図10】実施例自然燃焼ストーブに図8に示すペレットボックスを装着した状態を示す斜視図である。
図11図10に示す自然燃焼ストーブのXI―XI矢視断面の略正面図である。
図12A図8等に係るペレットボックスの平面図である。
図12B図8等に係るペレットボックスの内部構造説明図であり、図12A中のB-B矢視断面図である。
図12C図8等に係るペレットボックスの内部構造説明図であり、図12A中のC-C矢視断面図である。
図13D図8等に係るペレットボックスの内部構造説明図であり、図12B中のD-D矢視断面図である。
図13E図8等に係るペレットボックスの内部構造説明図であり、装着状態のペレットボックスを本体燃焼室側から視た図である。
図14】実施例に係るペレットボックスの副燃焼部における作用を示す写真図である(ペレット通り抜け後の状態)。
図15】実施例に係るペレットボックスの副燃焼部における作用を示す写真図である(ペレット(熾化燃料)の位置の表示)。
図16】実施例に係るペレットボックスの副燃焼部における作用を示す写真図である(主燃焼部側のペレットに対する燃焼促進作用)。
図17】本実施例に係るペレットボックスの上蓋を開けて内部構造を示した写真図である。
図18】実施例自然燃焼ストーブの使用状態を示す写真図である(概観)。
図19】実施例自然燃焼ストーブの使用状態を示す写真図である(本体燃焼室での燃焼の様子)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明自然燃焼ストーブの基本構成を示す概念図であり、窓設置面を正面として、正面視(a)・左側面視(b)・右側面視(c)・背面視(d)・平面視(e)の各図により構成した図である。また、図1-2は、図1における気流の流れを示す図である。これらに図示するように本自然燃焼ストーブ10は、自然燃焼用の燃料の供給供給ならびに給気を行う供給部1と、供給部1に連通していて燃焼が行われる本体燃焼室2と、本体燃焼室2からの気流が最終的に排出される排気部3とを備えており、本体燃焼室2と排気部3との間には気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室4が設けられており、本体気流誘導室4はその上部には本体燃焼室2との間の前流側通気口5が、下部には排気部3との間の後流側通気口6が設けられており、本体燃焼室2には内部の炎を見通せる窓7が設けられていることを主たる構成とする。窓7は耐熱ガラスを用いる等して構成できる。なお、図中の符号9で示される要素は、灰受け部を主とする下部構造である。また、本自然燃焼ストーブ10に用いる代表的な自然燃焼用の燃料としては薪燃料が挙げられる。以下は、薪燃料を主としての説明とする。
【0023】
なお、図では窓7は本体燃焼室2の正面に縦長に設けられているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、左側面・右側面・正面のうち、少なくともいずれか一つの面に窓が設けられている構成も、本発明の範囲内である。しかしながら、供給部1の上方を後述するペレットボックス装着用のスペースとする場合は、敢えて右側面に窓を設ける必要は無い。また、本体燃焼室2には開閉扉を設けるが、これを設ける面として好ましいのは、供給する薪の取り扱い等の点から、供給部1と相接する位置である。そうすると、開閉扉は正面に設けることが好ましく、窓7は正面にある形となる。正面に加え、左側面に窓があってもよいが、正面に設けられるのみでも演出効果としては十分なものが得られる。
【0024】
かかる構成の本自然燃焼ストーブ10では、供給部1において薪燃料等の自然燃焼用の燃料の供給、ならびに給気が行われ、本体燃焼室2において供給部1で供給された燃料に基づく燃焼が行われ、燃焼による気流(燃焼風を含む)Fは、本体燃焼室2内を上昇し、本体燃焼室2との間に設けられている前流側通気口5を通して本体気流誘導室4へと流入し、本体気流誘導室4内をその下部にある後流側通気口6に向かって流通し、後流側通気口6を通して排気部3へと流入し、排気部3内を上昇して排気される。また、窓7を通して本体燃焼室2内部における燃焼の炎が見通される。
【0025】
本自然燃焼ストーブ10では、本体燃焼室2内における気流Fはそのまま排気部から排気されるのではなく、本体気流誘導室4によって気流Fの流通経路が延長された状態で、その内部を流通した後に排気部3に入り、排気される。したがって、長い流路による十分な燃焼および蓄熱効果という暖炉的な効果を得ることができる。なお、本自然燃焼ストーブ10は建物内外に設置されるような構造物たる暖炉ではない。図2以降の各図で示す実施例にて後述するように大人一人の手で十分に持ち運び可能な構成とすることのできる可搬式のストーブであり、想定する主用途は、キャンプなど屋外へ持ち出しての使用である。
【0026】
上述の通り、供給部1では薪燃料の供給と給気が行われるが、ここでは供給された薪燃料が着火されて一次燃焼がなされ、一次燃焼で生じる不完全燃焼ガスは、給気による酸素により本体燃焼室2において燃焼する、すなわち二次燃焼がなされる。本発明自然燃焼ストーブ10は本体気流誘導室4が備えられていることによって気流の流路が長いため、供給される燃料の完全燃焼に有利であり、十分かつ良好な燃焼がなされる。
【0027】
また、薪燃料の供給は供給部1のみならず本体燃焼室2においても行うことができる。本体燃焼室2に設ける開閉扉を開き、本体燃焼室2内に薪燃料を供給する方法である。開閉扉を縦長のものとすれば、本体燃焼室2内に薪を縦にして入れるのに便利であり、横積み、縦積みを適宜自由に行って燃焼させることができる。すなわち、本体燃焼室2は二次燃焼用に限定されない。薪燃料が直接本体燃焼室2に入れられた場合は、一次燃焼およびそれに続く二次燃焼が同室内でなされる。なお、従来のキャンプ用薪ストーブは薪を横に積み上げる方式だが、本発明自然燃焼ストーブ10は薪を縦にも積めることで、縦横のバリエーションを楽しむことができる。
【0028】
燃焼による気流Fは本体燃焼室2内を上昇する。したがって、燃焼の炎は縦に伸びながら揺らぎ、その様子を窓7を通して見通すことができる。図示するように本体燃焼室2と排気部3とは一部で面接触しており、本体燃焼室2における熱は容易に排気部3にも伝わる。また、排気部3は薪燃料の着火・一次燃焼が行われる供給部1とも面接触しており、その熱も容易に排気部1に伝わる。つまり、本体燃焼室2の背面と背中合わせに本体気流誘導室4が設けられ、排気部3は本体気流誘導室4と相接するとともに、本体燃焼室2および供給部1とも相接して設けられている構成である。
【0029】
したがって排気部3内には十分な上昇気流が生じ、排気が促進される状態が形成されている。上述の通り、本体燃焼室2内で上昇した気流Fは天井付近に設けられた前流側通気口5を通して本体気流誘導室4へと流入し、その下部にある後流側通気口6に向かって下方へと流通し、後流側通気口6を通して排気部3へと流入し、その中を上昇して排気されるが、この気流Fの流れは排気部3における上昇気流発生・排気促進の状態形成によって促進される。
【0030】
本体気流誘導室4は気流Fの流路を延長するための要素だが、流路を延長できる構造である限り、その具体的構造は限定されない。しかしながら、図2等で後述する実施例に示すように、略直方体の内部が壁構造ないしは仕切り板で仕切られて形成された、本体燃焼室2に隣接する/仕切りにより相接する、本体気流誘導室4とすることで、十分かつ良好な効果が得られる。図中(e)に示すように、本体気流誘導室4の断面積は排気部3の断面積よりも小さく形成することが好ましい。気流の流通が円滑になるからである。
【0031】
上述の通り、本体気流誘導室4の前流側通気口5は上部に、また後流側通気口6は下部に設けることとするが、これも気流Fの流れをより円滑にするためである。かかる構成により本体燃焼室2での燃焼により生じた気流Fは同室2内では上昇し、ついで流入する本体気流誘導室4内では下降し、そして最後の排気部3では上昇するという、大きくはUターン状の流れを形成する。そして、上述した仕切り構造による本体気流誘導室4および排気部3によって、排気部3末端部までを見れば、おおむね本体燃焼室2の室内縦寸法の2倍もの流路が本体燃焼室2に付加されることになり、相当の流通経路延長がなされる。
【0032】
前流側通気口5の具体的形状は限定されないが、図中の(d)に示すように、好適には適宜寸法の細さで水平方向に亘る矩形の隙間とすることができる。また、後流側通気口6の具体的形状も限定されないが、これも図中の(c)に示すように、好適には適宜寸法の矩形の隙間とすることができる。要するに、排気部3末端部への気流の流れをより円滑化できる形状であればよい。
【0033】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明がサイズその他実施例における具体的な構成・仕様等に限定されるものではない。
図2は、本発明自然燃焼ストーブの実施例を示す斜視図である。また、図3は、実施例自然燃焼ストーブの薪燃料供給方法(その1)、図3-2は、実施例自然燃焼ストーブの薪燃料供給方法(その2)を示す斜視図である。これらに図示するように本自然燃焼ストーブ210は、薪燃料Wの供給供給ならびに給気を行う供給部21と、供給部1に連通していて燃焼が行われる本体燃焼室22と、本体燃焼室22からの気流が最終的に排出される排気部23とを備えており、本体燃焼室22と排気部23との間には気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室(これらの図では図示せず)が設けられており、本体気流誘導室はその上部には本体燃焼室22との間の前流側通気口(これらの図では図示せず)が、下部には排気部23との間の後流側通気口(これらの図では図示せず)が設けられており、本体燃焼室22には内部の炎を見通せる窓27a等が設けられている構成である。本実施例では、供給部21にも窓27bが設けられている。
【0034】
本実施例自然燃焼ストーブ210の下部構造29は、本体燃焼室22等から落下する燃料燃焼後の灰を受ける灰受け部(これらの図では図示せず)と、オーヴン29V、および脚部29Fを備えて構成されている。特にオーヴン29Vを備えることによって、本ストーブ210は暖房のみならず調理用としても使用することができる。この効果は、後述するペレットボックスを装着してのペレットストーブとして用いる場合において、さらに高い。ペレットストーブとして使用する場合、熱量や温度範囲の安定化作用がより高いからである。
【0035】
また、本体燃焼室22の上面には、開閉自在の上蓋221が設けられている。上蓋221を閉じた状態では、その上に鍋などを載せての煮炊き等の調理が可能であり、また上蓋221を開いた状態では、本体燃焼室22内の炎も用いての焼きや炙りの調理が可能である。なお、本体燃焼室22上部側方に張り出している要素は棚222であり、調理器具や調理前後の食材等をその上に載置することができる。棚222は不使用時には、畳んだり本体燃焼室22内に収納したりする構造とすることができる。
【0036】
本体燃焼室22には開閉扉223が備えられており、開閉扉223に窓29aが設けられる。図3に示すように、薪燃料Wは供給部21の開閉扉213を開いてそこから供給され、着火されて一次燃焼する。ここでの薪供給は横積みにてなされる。一方、図3-2に示すように薪燃料Wは、本体燃焼室22の開閉扉223を開いてそこから供給することもできる。図示するようにここでの薪供給は、縦積みにて行うことが可能である。窓29a、供給部21に設けられた窓29bとも、内部での燃焼の様子を見通せるよう、耐熱ガラスなど透光性の材料により形成されるものとすることができる。特に、大きい縦型の窓である窓29aを通しては、本体燃焼室22内部の炎の揺らぎがしっかりと見え、暖炉のような外観、演出効果を提供することができる。
【0037】
なお、燃焼の強弱を調節するための給気口214、215等の個数・設置位置なども、図示する例に限定されず適宜設計することができる。暖炉の効果については既に述べたが、さらに加えると、暖炉によっては効率よく燃やして煤を減らすために3次燃焼や4次燃焼をするように長い距離をとって燃やしきる工夫のあるストーブが多く、燃やす時間や温度を調整するために吸排気のバランスを調整できるようにしている。それらを調整することで酸素の量が変わり、薪の燃え方や揺らぎ方が変化する。本実施例自然燃焼ストーブ210は、一次燃焼用として二箇所、二次燃焼用として二箇所、計四箇所の給気口を備えている。したがって、給気調整のパターンは四種類ある。なお、ペレットストーブとして用いない場合は、一次燃焼側の給気口を閉じて供給する酸素量を抑制し、長時間燃焼させることができる。
【0038】
本実施例自然燃焼ストーブ210には持ち手219等が付いており、人手での運搬に便利であり、アウトドア用途に適している。ちなみに本実施例ストーブ210のサイズは幅36×奥行き32×高さ73(cm)、総重量約22kgの仕様である。かかる仕様はもちろん、適宜設計変更可能である。また、排気部23の上部位置には煙突接続部位239が設けられており、ここに煙突を継ぎ足すことができる。本例では煙突部材を5個備えており、これらは不使用時には排気部23および本体燃焼室22内に収納可能である。なおまた本実施例では、メンテナンスを考慮した交換パーツの脱着しやすい構造設計等もなされている。
【0039】
さらに本例自然燃焼ストーブ210は、その脚部29Fとして、特許第3594299号に記載の4脚安定設置構造または4脚水平設置構造を用いていることを特徴とする。もちろん本発明の脚部がかかる構成に限定されるものではないが、本例の脚部29Fは凹凸のある地面や斜面など、水平を取りにくい場所に設置する際に便利である。本脚部29Fは、4本の脚で工作物を支持する構造であって、工作物に固着する2本の脚と、円弧を有する湾曲部で連接する2本の脚とからなり、湾曲部と工作物を円弧方向に摺動できるように接続してなる4脚安定設置構造、または4脚水平設置構造である。
【0040】
図4、5、6は、実施例自然燃焼ストーブにおける各方向(正面方向、左側面方向、背面方向)からの内部構造を示す断面図である。いずれも左斜め方向からの斜視図である。また図7は、実施例自然燃焼ストーブの平面図である。これらの図は、追って図8等により説明するペレットボックスを装着した状態の図である。図示する構成の本例自然燃焼ストーブ210では、本体燃焼室22内における気流はそのまま排気部23から排気されるのではなく、本体気流誘導室24によって気流の流通経路が延長された状態で、本体気流誘導室24の内部を流通した後に排気部23に入り、排気される。
【0041】
すなわち、気流は本体燃焼室22内を回転しつつ上昇し、天井部から前流側通気口25を通って裏にある本体気流誘導室24に入り、本体気流誘導室24の床部から後流側通気口26を通って排気部23に入り、排気部23内を上昇し、排気される。このように延長された気流の流通経路によって、十分な燃焼および蓄熱効果という暖炉的な効果を得ることができる。
【0042】
供給部21では薪燃料の供給と給気が行われるが、ここでは供給された薪燃料が着火されて一次燃焼がなされ、一次燃焼で生じる不完全燃焼ガスは、給気による酸素により本体燃焼室22において燃焼する、すなわち二次燃焼がなされる。本発明自然燃焼ストーブ210は本体気流誘導室24が備えられていることによって気流の流路が延長されているため、蓄熱性が高まり、供給される燃料の完全燃焼に有利であり、十分かつ良好な燃焼がなされる。また、本体気流誘導室24の流路方向断面積は、排気部23の流路方向断面積よりも若干大きい構成とすることができる。これにより、供給部21から排気部23末端までの気流の流通を促進し、円滑化することができる。
【0043】
供給部21での一次燃焼は、そのすぐ後ろに接する排気部23を加熱するため、排気部23内の上昇気流が促進され、それによっても給気~排気の気流形成は促進される。本例自然燃焼ストーブ210全体の平面/立体構造自体が、逆流防止効果を奏する。なお、本体燃焼室22、本体気流誘導室24および排気部23の内面には遮熱板が設けられる。なお、図7では、内部の本体燃焼室22と本体気流誘導室24との境界が破線で示されている。
【0044】
図8は、本発明自然燃焼ストーブに着脱して用いるペレットボックスの実施例を示す斜視図である。また図9図8に示すペレットボックスのIX―IX矢視断面を俯瞰するN方向からの斜視図、図10は実施例自然燃焼ストーブに図8に示すペレットボックスを装着した状態を示す斜視図、そして図11図10に示す自然燃焼ストーブのXI―XI矢視断面の略正面図である。これらに図示するようにペレット燃料の貯留、供給、および燃焼を行うためのアタッチメントである本ペレットボックス28は、自然燃焼ストーブ210の供給部21に対して着脱可能に形成されていることを基本的な構成とする。
【0045】
ペレットボックス28は、本自然燃焼ストーブ210とは独立したアタッチメントとして個別に取引される扱いとしてもよいが、着脱自在のアタッチメントとして自然燃焼ストーブ210に付属する扱い、ないしは自然燃焼ストーブ210の一部をなす構成としてもよい。いずれにせよ、図10と前出図2を対照して看取される通り、ペレットボックス28の供給部21に対する装着は、供給部21の給気口214に上方からペレットボックス28を嵌め入れ、ねじ止め等による所定の固定を行うことのみで可能である。
【0046】
したがってペレットボックス28の嵌装部分である下方部は、供給部21の給気口214にちょうど適合する形態とするのがよい。ペレットボックス28の取り外しは、所定の固定を解いて上方に引き上げることで行える。なお、図11は前出図4と同じ図であるが、前者はペレットボックス28を、後者は図5、6との組み合わせによって主に自然燃焼ストーブ210内部における気流誘導作用を説明している。また、前出図5~7でも自然燃焼ストーブ210にペレットボックス28が装着されている状態が示されている。
【0047】
このうち図5には、ペレットボックス28の一部を本体燃焼室22内から見た図である。本自然燃焼ストーブ210をペレットストーブとして用いない場合は、当然ながらペレットボックス28は装着されず、本体燃焼室22と供給部21との間は、供給部―本体燃焼室間開口228として大きく開口され、供給部21から横積みで薪燃料を供給することができる。しかしペレットボックス28が装着された場合は、図示するようにその下部構造(後述する燃焼部、より詳しくは、主燃焼部―火格子)が供給部―本体燃焼室間開口228箇所にちょうどあり、本体燃焼室21との境界をなす形となっている。
【0048】
また前出図6には、排気部23に相接する供給部21にペレットボックス28が装着されていて、ペレットボックス28も排気部23と相接している状態であること、およびペレットボックス28はこれを装着した際にちょうど本自然燃焼ストーブ210の高さと同じ程度の高さになるよう形成できることが示されている。また前出図7には、ペレットボックス28が供給部21の形状に適合して装着される形状を有していることが示されている。
【0049】
自然燃焼方式のペレットストーブの場合は一般的に、ストーブ全体に予熱を施し、吸気口から排気部末端までのストーブ内部における気流の流れを円滑化してから着火を行う必要があり、そうしないと排煙や炎が逆流する危険性がある。本発明自然燃焼ストーブ210は、上述の気流流津経路が延長されている構造や、燃焼の行われる本体燃焼室22・供給部21を排気部23に相接しせしめて排気部23における上昇気流発生が促進される構造によって、内部における適切な気流形成が促進される。ペレットボックス28を装着してペレットストーブとして本自然燃焼ストーブ210を用いる場合も、ペレットボックス28における燃焼がすぐ後背部に接する排気部23を加熱するため、自然対流、上昇気流による給気~排気の円滑な気流形成が促進される。
【0050】
図8、9に示すようにペレットボックス28は、ペレット燃料を貯留する貯留部281、貯留部281からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段282、および、供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部283とから構成される。ペレットは、貯留部281の上蓋を開けて内部に収容することができる。また、貯留量確認用の貯留量確認窓281Sを設けてもよい。ペレット、すなわち木質ペレット燃料のサイズは通常、6mmφ×30mm程度である。本例ペレットボックス28の貯留部281には、最大約1.7kgのペレット収容可能であり、最大量の貯留によって1時間以上の燃焼状態を継続することが可能であるが、かかる仕様および性能は限定されず、適宜設計可能である。
【0051】
ペレット量調節手段282としては、図示するように、ペレットボックス28の貯留部281と燃焼部283との間を仕切るペレット量調節板を好適に用いることができる。ペレット量調節板は後端部が鈎状となった略長方形の板であり、図示するように鈎部を上向きにして貯留部281―燃焼部283間のスリットに差し込む装着方法、または鈎部を下向きにして差し込む装着方法を適宜用いることにより、貯留部281から燃焼部283へのペレットの落下を遮断したり、貯留部281―燃焼部283間の隙間幅を自在に調節したり、あるいは全開したりすることができる。隙間幅としては、上方からのペレット群の最下層部を側方から押圧して落下を抑制することのできる程度が最適である。
【0052】
このように本ペレットボックス28は、その貯留部281に収容・貯留したペレットの燃焼部283への供給およびその停止を、ペレット量調節手段282を用いて調節し、燃焼部283では上方からの自然落下供給を受けたペレットを燃焼する。燃焼方式の詳細については、図12、13を用いて後述する。
【0053】
図12A~13Eは、本ペレットボックス燃焼部の内部構造を説明する図であるが、このうち、図12A図8等に係るペレットボックスの平面図、図12B図12A中のB-B矢視断面図、図12C図12A中のC-C矢視断面図である。また、図13D図12B中のD-D矢視断面図、そして図13Eは装着状態のペレットボックスを本体燃焼室側から視た図である。これらの図、特に図12Bに示すようにペレットボックス28の燃焼部283は、給気口284と、給気口284からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる主燃焼部285と、主燃焼部285の側方に設けられた副燃焼部286とから、基本的に構成される。
【0054】
そして、特に図12C、13D、13Eに示すように、副燃焼部286は、燃焼により小サイズ化して該主燃焼部285をなす格子構造(火格子)285Gを側方に通り抜けたペレット燃料(熾化燃料)を貯留するための、火格子285Gよりも狭い間隔の格子構造(熾格子)286Gを備えており、本ペレットボックス28は、これが本自然燃焼ストーブ210に取り付けられた際には、主燃焼部285が本体燃焼室22と連通するよう形成されていることを、特徴的な構成とする。
【0055】
かかる構成により本ペレットボックス28の燃焼部283においては、ペレット量調節手段282による供給量調節を受けつつなされる貯留部281からのペレット自然落下供給と、給気口284からの給気、および適宜の着火または予熱によって、主燃焼部285でのペレットの燃焼、つまり火格子285G上でのペレット燃焼がなされる。主燃焼部285での燃焼によってペレットは徐々に小サイズ化していく。そうすると、火格子285Gの隙間を通り抜けられる状態となる。
【0056】
主燃焼部285の側方には火格子285Gよりも狭い間隔の格子構造である熾格子286Gによりなる副燃焼部286が設けられているため、小サイズ化した熾化燃料は火格子285Gの隙間を通り抜けて副燃焼部286側に移り、そのまま副燃焼部286の熾格子286G上に措かれた状態で燃焼が継続される。熾格子286Gは給気口284の底部をなしているため、給気口284からの給気を直接受ける。したがって、熾格子286G上の熾化燃料の燃焼は良好、活発に継続され、その燃焼は、火格子285Gを通して主燃焼部285にあるペレットの燃焼を促進するという効果をもたらす。
【0057】
燃焼部283の主燃焼部285は、ペレット量調節手段282直下の着火がなされる位置を上部とし、本体供給部21のロストルに対向する下部、そしてその間の中部に分けて捉えることができる。上部は、落下してきたペレットが予熱や着火手段により着火されて燃焼が開始する領域、中部は、燃焼の進行と同時に下降してきて熾化しつつあるペレットが給気口284からの給気によりさらに強く燃焼する領域、そして下部は、燃焼の進行によりさらに下降してきた熾化しつつあるペレットが給気口284からの給気により依然強く燃焼しつつも熾化、さらに灰化して燃焼の終結に向かう領域である。
【0058】
図12C、13Eに示すように、主燃焼部285の火格子285Gは上・中・下の三段構成とすることができ、各段は上述の上部・中部・下部におおむね該当する。したがって、火格子285Gの上段部では落下してきたペレットが予熱や着火手段により着火されて燃焼が開始し、中段部では燃焼の進行と同時に下降してきたペレットが盛んに燃焼し、そして下段部ではさらに下降してきたペレットが依然強く燃焼しつつも熾化、さらに灰化して燃焼の終結に向かう。燃焼の終了した後の灰は、ロストルを通して灰受け部へと落ちる。
【0059】
このようにペレットは、貯留部281から燃焼部283に落下してきたら、すぐに着火して燃焼が開始されることが望ましい。しかしながら、先に上部で着火して燃焼開始し、落下した先の中部や下部では良好に燃焼がなされながらも、上部における着火と燃焼開始は決して円滑になされる訳ではない。そこで本発明では、主燃焼部285の上部の側方、図12C等では火格子285Gの上段部の側方に、副燃焼部286を設けることとした。すなわち、本体燃焼室22側に向いた火格子285Gではなく、吸気口284側に向いた火格子285Gを隔てて吸気口284側に設けられた、熾格子286Gからなる副燃焼部286である。
【0060】
かかる構成により、火格子285Gを通り抜けてきた小サイズ化ペレット(熾化燃料)は、給気口284からの給気により、熾格子286Gからなる副燃焼部286において良好に燃焼するが、その発熱や炎が火格子285Gを通して主燃焼部285の上部(上段部)にあるペレットの着火や燃焼を円滑化、促進する。そうすると、上部(上段部)位置のペレットは順調な燃焼によって徐々に小サイズ化し、中部(中段部)、下部(下段部)へと自然降下していき、燃焼も促進されるため、ペレットの動きも円滑になり、ペレットの詰まりの発生も防止される。
【0061】
なお、主燃料部285を構成する火格子285Gや、副燃焼部286を構成する熾格子286Gの隙間(スリット)のサイズは、用いるペレットのサイズ、主燃焼部285の未着火・未燃焼・低燃焼状態ペレットの燃焼促進効果を継続させるために熾化燃料として保持されるべきサイズなどを考慮して、適宜に設計可能である。スリットが狭過ぎるとペレットや熾化燃料が詰まってしまうし、逆に広過ぎるとすぐにこぼれ落ちてしまい、給気された空気はただ通過するのみとなって燃焼が良好になされず、また副燃焼部による未着火・未燃焼・低燃焼状態ペレットの燃焼促進効果も得られない。これらの点を考慮してスリットサイズを設計する。
【0062】
なお、図12Bや前出の図9、11に示されるように、本実施例に係るペレットボックス28の主燃焼部285は下方に向かって狭くなり、断面積が絞られる形状としている。かかる形状によれば、燃焼が進行することにより徐々に進行するペレットの小サイズ化によるペレットのこぼれ落ちを防止することができる。つまり、貯留部282から自然落下してくるペレットは、複数のペレットよりなるペレット層として主燃焼部285内に充填された状態となり、下方へは容易には落下せず、この充填状態が保持される。これは、主燃焼部285の外郭たる火格子285G内面がペレット層に対して押圧を与えているからである。
【0063】
主燃焼部285の上部・中部・下部全般に亘って、各ペレットの小サイズ化進行によってもかかる押圧が保持されるよう、主燃焼部285の側面形状を下方に縮小する形状としたものである。そして、ペレットのこぼれ落ち防止効果のみならず、小サイズ化すなわち熾化しつつも主燃焼部285内に位置保持されるペレットに対して給気口284から空気が供給され、いわばペレットを逃がさない(こぼれ落ちない)状態に固定しつつ、燃焼を継続させることができるため、かかる形状は有効である。
【0064】
図14~16は、実施例に係るペレットボックスの副燃焼部における作用を示す写真図である。順に、図14はペレット通り抜け後、図15はペレット(熾化燃料)の位置、図16は主燃焼部側のペレットに対する燃焼促進作用を示す。これらの図、特に図15に示すようにペレットボックス28の副燃焼部286、すなわち熾格子286Gは、主燃焼部285に向かう傾斜を有して形成されているものとすることができる。傾斜は、主燃焼部285方向への俯角を持った傾斜である。副燃焼部286が主燃焼部285の上部位置、すなわちペレットが着火されるべき位置に対応して設けられることは上述の通りである。なお、前出図9図11図12Bにおいても、主燃焼部285へと傾く角度をもって副燃焼部286が形成されている構成が示されている。
【0065】
かかる構成により、燃焼による小サイズ化によって、火格子285Gの隙間を通り抜けて副燃焼部286にこぼれ落ちてくるペレットすなわち熾化燃料Pは(図14)、主燃焼部285、火格子285Gから遠ざかるように移動してしまうことがなく、火格子285Gのすぐそばに寄った位置に留まることになる(図15)。そうすると、すぐ上方の給気口284からの空気の供給を直接に受けて活発な燃焼が生じ(図16)、その炎や発熱が火格子285Gのすぐ向こう側におけるペレットの着火や燃焼を促進する。
【0066】
なお、ペレットが燃焼により小サイズ化してなる熾化燃料Pは、火格子285Gの隙間を通り抜けて副燃焼部286で燃焼を続けても、当初は熾格子286Gの隙間を通り抜けないため、主燃焼部285側のペレットに対する着火・燃焼促進効果はしばらく得られる。燃焼が進行して熾格子286Gの隙間を通り抜ける程度にまで小サイズ化した熾化燃料は、熾格子286Gの隙間を通り抜けて副燃焼部底部へと自然落下する。熾格子286Gの隙間(スリット)間隔は、空気供給の円滑さ、着火・燃焼促進作用を保ち得る熾化燃料のサイズを考慮して設計すればよい。
【0067】
以上、未着火・未燃焼・低燃焼状態ペレットに寄与する副燃焼部286の着火・燃焼促進作用について述べたが、この作用は補助的なものである。つまり、未着火・未燃焼・低燃焼状態ペレットに対する着火・燃焼促進作用は、主としては主燃焼部285の下部や中部からの燃焼熱によって得られる。しかしながら、補助的とは言え副燃焼部286の作用効果は大きく、これがあると無いとでは着火・燃焼促進効果が相当に異なる。また、吸気口284の底部がすなわち熾格子286Gであり、したがって、熾格子286G上で熾化燃料が随時燃焼し、それが主燃焼部285に影響する様子を容易に見ることができ、楽しめるという視覚効果もある。
【0068】
前出図9、11に示す通り、本実施例に係るペレットボックス28は、副燃焼部286とその下方の灰受け部29Tとの間は、副燃焼部底部287により遮断されている構成とすることができる。つまり熾格子286Gの下方を灰受け部29Tに向けて開放した構造とする必要はなく、灰は気流によって、副燃焼部底部287に溜まることなく、本体燃焼室22側へと送出される。副燃焼部286の底部が遮断された構造であることによって、空気の流路が制限されることになり、本体燃焼室22側への気流制御を円滑化しているものと考えられる。
【0069】
前出図4、5、7等に示す通り本ペレットボックス28は、本自然燃焼ストーブ210に取り付けられた際には、主燃焼部285が本体燃焼室22と連通するように形成されている。これによってペレット燃焼による気流は、本体燃焼室22―本体気流誘導室24―排気部23の流路で流れていき、また燃焼による炎も本体燃焼室22の窓27aを通して見ることができる。かかる気流の制御をより円滑化でき、さらに別の効果も得られる方式について、次に説明する。
【0070】
図9、12C、13D、13Eに示すように本実施例にかかるペレットボックス28の燃焼部283には、給気口284からの給気を絞り込んで本体燃焼室22に直接導入する流路をなす給気誘導構造288が設けられている構成とすることができる。給気誘導構造288は、貯留部281および主燃焼部285とは連通せず、副燃焼部286およびその前流側の吸気口282とは連通していてスリットにより本体燃焼室22へと開放されている構造であり、したがって給気口282から吸入された空気は、副燃焼部286の熾格子286Gから本給気誘導構造288に入り、本体燃焼室22側に設けられた格子(気流格子)288Gを通って本体燃焼室22へと流入する。
【0071】
図17は、本実施例に係るペレットボックスの上蓋を開けて内部構造を示した写真図である。図示する通り給気誘導構造288は、ペレットボックス28の主燃焼部285の一方端部に、貯留部281とは隔離された形で、また主燃焼部285とも隔離された形で設けられている。給気誘導構造288は吸気口284から本体燃焼室22までの気流の誘導に用いられるのであって、その内部におけるペレット供給やペレット燃焼はなされない。
【0072】
給気誘導構造288により、ペレット燃焼とは直接関係のない、給気口284から本体燃焼室22への気流が生じるが、これによって、燃料燃焼により生じる煤が円滑に本体燃焼室22以降の二次燃焼等に供される。各図に例示するように給気誘導構造288の設置位置を、ペレットボックス28が本自然燃焼ストーブ210に取り付けられた場合において本体燃焼室22の窓27a設置面に誘導気流が当たるような位置とすることで、本体内部での煤の付着を有効に防止することができる。殊に、窓27a等への煤付着を防止でき、窓27a等の透明度を維持して、炎の揺らぎなど内部での燃焼の様子を良好に見せることができる。
【0073】
「ペレットボックス28が本自然燃焼ストーブ210に取り付けられた場合において本体燃焼室22の窓27a設置面に誘導気流が当たるような位置」とは、本実施例では、図17に示すように主燃焼部285の左側端部である。給気誘導構造288通る気流は、気流格子288Gを通り、窓27a設置面へと当たるようにして本体燃焼室22へと流入していく。つまり、窓27aに直接気流が吹き付け、壁面に沿うように規制されて流れることにより、窓27aへ煤が付着しそうになってもすぐに吹き払われるため、窓27aへの煤付着が有効に防止される。つまり給気誘導構造288は、本体燃焼室22の内壁側に沿った気流を送出できるよう、燃焼部283の端部に設けることが望ましい。
【0074】
図18、19は、実施例自然燃焼ストーブの使用状態を示す写真図であり、前者は概観、後者は本体燃焼室での燃焼の様子を示す。ともにペレットボックス28を装着してペレットストーブとして用いている例である。これらに示すように、窓27aを通してペレット燃焼の様子がよく見え、特に図19では、ペレットボックス28燃焼部283側から本体燃焼室22へと勢いよく炎が吹き出している状況が看取される。また炎は窓27aに沿うように吹き付けており、給気誘導構造288の効果が表れている。
【0075】
なお、本発明自然燃焼ストーブは、薪とペレットを同時に使用することも可能だが、その必要はない。両燃料の併用では熱量が相当高くなるため、むしろ一方の燃料のみの使用がより好ましい。なお、本自然燃焼ストーブ210を薪ストーブとして用いる場合は、ペレットを用いる場合よりも約100℃高い温度で燃焼する。そのため、煤がついてもすぐ燃え尽きてしまい、窓27a等には付着しにくい。
【0076】
ペレットストーブとしても使用できる本発明自然燃焼ストーブにおいて、通常の自然燃焼方式ペレットストーブにおいて問題となりがちな煙突効果による排煙の逆流を防止できるようになったポイントとしては、下記の3項目が挙げられる。
1)給気誘導構造など、ペレットボックスにおける気流誘導の構造。
2)ペレットボックス主燃焼部の中部・下部のみならず、上部での円滑な着火、燃焼による、継続的なペレット層内での空隙分布状態の維持、それによる気流の円滑な流通、それにより断続的にペレットが自然落下できること。
3)本体気流誘導室や、排気部内の上昇気流発生を促進する構造など、ストーブ全体の構造。また、それによる気流流通経路の延長。
【0077】
また、前出図2等に示したように、供給部21には給気口を二箇所設けることができる。そのうちの一つはペレットボックス28の装着される箇所の吸気口214であり、薪を燃料として用いる場合には、空気は薪の上ないしは横を流通する。これは従来のキャンプ用薪ストーブにある給気方法と同じである。一方、給気口215では、給気はロストルの上と下を流通する構造である。特に、ロストルの下から当たる空気は、薪や熾火が長く燃焼する。薪等燃料が底面に蓄積した場合の燃焼に有効である。なお、ペレットボックス28を装着してペレットストーブとして用いる場合の給気は、給気口215は閉じ、給気口284のみにすることでより高い効果が得られる。
【0078】
図8~13E等を用いて以上説明したいずれかの構成のペレットボックス自体も、本発明の範囲内である。薪のような自然燃焼用燃料の使用を基本としつつ、本発明自然燃焼ストーブはペレット燃料をも使用することができるのだが、本体に脱着可能なペレットボックスの仕様としたことで、本体側およびペレットボックス側双方のメンテナンスがしやすく、便利である。
【0079】
また、以上説明したいずれかの構成の自然燃焼ストーブ210をペレットストーブとして使用する方法であって、ペレットボックス28が自然燃焼ストーブ210に装着され、下記<F1>、<F2>、<F3>のいずれかによるペレット燃料への着火がなされ、その後は、無動力かつ無電源により所定温度帯域での燃焼が継続されるという特徴を有する自然燃焼ストーブ使用方法も、本発明の範囲内である。
【0080】
<F1> 先行する薪燃料での燃焼で生じた熾火による自然着火
薪を初めに燃焼させることで、その熾によってペレットに着火できる。
<F2> 薪燃料での燃焼により自然燃焼ストーブ210の予熱がなされている状態での、ガスバーナーなど適宜の発明外着火手段による着火
予熱は、本体(ガラス窓面)、煙突部(排気塔)等をガスバーナーで加熱することにより行える。
<F3> 発明外着火手段により自然燃焼ストーブ210の予熱がなされている状態での、発明外着火手段による着火
本ストーブ210をまず薪で燃焼させ、その後、その余熱を予熱としてペレットを燃焼させる。
【0081】
かかる使用方法によって本自然燃焼ストーブ210は、ペレットを燃料とした場合に、安定的に300±15℃を保持でき、さらに言えば、安定的に300±10℃を保持することもできる。そして、かかる温度帯域には、着火後15分以内に到達でき、さらに言えば10分程度で到達でき、以後、燃焼中に亘ってかかる高温での恒温状態を維持することができる。実施例では上述の通り最大1.7kgのペレット燃料を収容可能だが、最大量を貯留することで、1時間10~20分間程度は燃焼を継続できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックスによれば、暖炉的な燃焼を実現できること、薪のみならずペレットストーブとしても良好に使用できることなど、多くの利点を得ることができる。したがって、キャンプ等屋外でのレクリエーション用途を初めとする自然燃焼ストーブの利用全分野、製造分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0083】
1、21…供給部
2、22…本体燃焼室
3、23…排気部
4、24…本体気流誘導室
5、25…前流側通気口
6、26…後流側通気口
7、27a、27b…窓
9、29…下部構造
10、210…自然燃焼ストーブ
28…ペレットボックス
29F…脚部
29T…灰受け部
29V…オーヴン
213…開閉扉(供給部の)
214、215…給気口(供給部の)
219…持ち手
221…上蓋
222…棚
223…開閉扉(本体燃焼室の)
228…供給部―本体燃焼室間開口
239…煙突接続部位
<以下、281~288Gはペレットボックスの要素>
281…貯留部
281S…貯留量確認窓
282…ペレット量調節手段
283…燃焼部
284…給気口
285…主燃焼部
285G…主燃焼部をなす格子構造(火格子)
286…副燃焼部
286G…副燃焼部をなす格子構造(熾格子)
287…副燃焼部底部
288…給気誘導構造
288G…給気誘導構造の格子(気流格子)
F…気流
P…ペレット燃料、熾化燃料
W…自然燃焼用の燃料(薪燃料など)
図1
図1-2】
図2
図3
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13D
図13E
図14
図15
図16
図17
図18
図19