(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240424BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2019203178
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】515225415
【氏名又は名称】株式会社Z-Works
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 浩気
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168098(JP,A)
【文献】特開2003-271747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得部と、
取得した前記検知信号を解析し、
前記解析の結果に基づいて、前記利用者の行動を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の行動を示すアクション情報を生成し、前記アクション情報に基づいて、前記利用者の健康状態を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成部と、
前記コンディション情報に基づ
いて、前記利用者に対して介入を行うための情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を
生成して出力する介入情報出力部と、を備
え、
前記介入情報出力部は、前記コンディション情報と、あらかじめ記憶された前記利用者の属性情報とに基づき、前記利用者に対して介入を行うための情報に含まれる要因に基づいて出力する/しないの判定を行い、出力すると判定された場合に前記介入情報を出力する、情報提供装置。
【請求項2】
前記コンディション情報生成部
は、
前記アクション情報の経時的傾向に基づき、前記利用者の行動の傾向を示すトレンド情報を生成し、
前記トレンド情報に基づき、前記コンディション情報を生成する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記コンディション情報生成部は、所定の時間において取得した前記検知信号の回数
を取得し、前記検知信号の回数の経時的な推移と、あらかじめ記憶されている判定基準とに基づき、前記トレンド情報を生成する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記コンディション情報生成部は、前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上変化した場合、前記トレンド情報を生成する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記コンディション情報生成部は、前記検知信号の信号レベルの変化が所定の時間以上継続した場合、前記トレンド情報を生成する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記信号取得部は、前記利用者が入居している住居または施設に設けられたセンサからの検知信号を取得する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記介入情報出力部は、前記介入情報を、前記利用者または前記利用者との関連者が使用する端末装置へ送信することで前記介入情報を出力する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記介入情報を送信する送信先によって、前記介入情報
の内容を変更する制御
をする送信制御部を備え、
前記介入情報出力部は、前記送信制御部の制御により、前記介入情報を、前記利用者が使用する端末装置、前記利用者の家族が使用する端末装置、または前記利用者の施設職員が使用する端末装置へ送信する、
請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
情報提供装置と、センサと、を備える情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得部と、
取得した前記検知信号を解析し、
前記解析の結果に基づいて、前記利用者の行動を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の行動を示すアクション情報を生成し、前記アクション情報に基づいて、前記利用者の健康状態を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成部と、
前記コンディション情報に基づ
いて、前記利用者に対して介入を行うための情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を
生成して出力する介入情報出力部と、を備え、
前記介入情報出力部は、前記コンディション情報と、あらかじめ記憶された前記利用者の属性情報とに基づき、前記利用者に対して介入を行うための情報に含まれる要因に基づいて出力する/しないの判定を行い、出力すると判定された場合に前記介入情報を出力し、
前記センサは、利用者の行動をモニタリングする、情報提供システム。
【請求項10】
信号取得部が行う、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得ステップと、
コンディション情報生成部が行う、取得した前記検知信号を解析し、
前記解析の結果に基づいて、前記利用者の行動を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の行動を示すアクション情報を生成し、前記アクション情報に基づいて、前記利用者の健康状態を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成ステップと、
介入情報出力部が行う、前記コンディション情報に基づ
いて、前記利用者に対して介入を行うための情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を
生成して出力する介入情報出力ステップと、を備
え、
前記介入情報出力ステップにおいて、前記コンディション情報と、あらかじめ記憶された前記利用者の属性情報とに基づき、前記利用者に対して介入を行うための情報に含まれる要因に基づいて出力する/しないの判定を行い、出力すると判定された場合に前記介入情報を出力する、情報提供方法。
【請求項11】
利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得ステップと、
取得した前記検知信号を解析し、
前記解析の結果に基づいて、前記利用者の行動を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の行動を示すアクション情報を生成し、前記アクション情報に基づいて、前記利用者の健康状態を示す情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成ステップと、
前記コンディション情報に基づ
いて、前記利用者に対して介入を行うための情報としてあらかじめ記憶されている情報を読み取ることで前記利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を
生成して出力する介入情報出力ステップと、を電子計算機に実行させるための、情報提供プログラ
ムであって、
前記介入情報出力ステップにおいて、前記コンディション情報と、あらかじめ記憶された前記利用者の属性情報とに基づき、前記利用者に対して介入を行うための情報に含まれる要因に基づいて出力する/しないの判定を行い、出力すると判定された場合に前記介入情報を出力する、情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高齢者向け住宅、介護施設等の利用者の行動をモニタリングして情報提供を行う情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者向け住宅や介護施設、医療機関等では、主に高齢者である入居者や、施設の利用者を介護、サポート等する職員数が不足していることに伴い、入居者や施設の利用者が不満を感じることなく、かつ効率よく介護、サポート等することが望まれている。そのため、様々な装置やシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、介護施設等において利用者の徘徊を検出するシステムが開示されている。特許文献1に記載の徘徊検出システムは、利用者が無線発信機を携帯し、この無線発信機からの識別情報を受信すると、その利用者の顔を含む領域をカメラで撮影し、さらに無線発信機を携帯していない場合でも、カメラで撮影することにより、利用者が徘徊していることを検出するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、主に高齢者である施設の利用者の起床、食事、外出といった短期的な行動や、長期的な行動パターンから、利用者にとっての様々なリスク要因を認識できることが経験則上知られている。例えば、利用者のトイレの利用を継続的に記録し、所定期間のトイレの利用回数を検出することにより、水分摂取量が適正であるか判定し、または頻尿による病気のリスクを認識することが可能である。
【0006】
このように、利用者の起床、食事、外出といった短期的な行動や、長期的な行動パターンを分析し、リスク要因を事前に認識することで利用者に介入することにより、そのリスク要因に対処することも可能である。特許文献1に記載された徘徊検出システムは、そのような分析を行うものではないため、様々なリスク要因を認識できるような装置やシステムが望まれていた。
【0007】
そこで、本開示では、利用者の行動をモニタリングし、利用者に介入を行うための介入情報を出力する情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様における情報提供装置は、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得部と、取得した検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成部と、コンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する介入情報出力部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様における情報提供システムは、情報提供装置と、センサと、を備える情報提供システムであって、情報提供装置は、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得部と、取得した検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成部と、コンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する介入情報出力部と、を備え、センサは、利用者の行動をモニタリングする。
【0010】
本開示の一態様における情報提供方法は、信号取得部が行う、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得ステップと、コンディション情報生成部が行う、取得した検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成ステップと、介入情報出力部が行う、コンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する介入情報出力ステップと、を備える。
【0011】
また、本開示の一態様における情報提供プログラムは、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得ステップと、取得した検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成ステップと、コンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する介入情報出力ステップと、を電子計算機に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、センサにより利用者の行動をモニタリングし、センサからの検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成する。このコンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する。これにより、利用者のコンディション情報から想定されるリスク要因を事前に認識し、そのリスク要因に対処するための介入を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報提供システム1を示す機能ブロック構成図である。
【
図2】
図1の端末装置200を示す機能ブロック構成図である。
【
図3】
図1のセンサ300が利用者の居室内に配置されている例を示す模式図である。
【
図4】
図1の情報提供システム1の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図1のアクションDB121の格納例を示す模式図である。
【
図6】
図1のトレンドDB122の格納例を示す模式図である。
【
図7】
図1のコンディションDB123の格納例を示す模式図である。
【
図8】
図1の介入DB124の格納例を示す模式図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る情報提供システム1Aを示す機能ブロック構成図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係るコンピュータ700を示す機能ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0015】
<構成>
図1は、本開示の実施形態に係る情報提供システム1を示す機能ブロック構成図である。この情報提供システム1は、限定ではなく例として、高齢者向け住宅(自立型及びサービス付きを含む)の入居者や、介護施設等の利用者の行動をモニタリングし、利用者に各種症状の改善を目的とする介入を行うための介入情報を出力し、レコメンドや指示等するシステムである。この介入情報は、利用者の健康状態を示すコンディション情報に基づいて出力されるものである。
【0016】
ここで、介入とは、社会福祉分野における問題解決のための処置のことであるが、医療による治療的介入や、利用者に対する食事や各種サービスの提供内容の変更、物品の提供や、使用している家具等の変更のように、環境の変化を伴うことも含む概念である。また、介入情報は、介護施設等の職員や利用者の家族へのレコメンドとして出力してもよく、職員への指示、命令として出力してもよい。
【0017】
また、情報提供システム1による利用者の行動のモニタリングは、ある瞬間における利用者のモニタリング、すなわち利用者の短期的な行動のモニタリングのみならず、利用者の経時的な行動のモニタリング、すなわち利用者の短期的な行動のモニタリングを蓄積して得られる結果も含まれる。これにより、短期的な行動のモニタリング結果だけでは判断不可能な、長期的な行動の傾向から利用者の健康状態を判断することができる。
【0018】
情報提供システム1は、情報提供装置100と、端末装置200と、センサ300と、ネットワークNWとを有している。情報提供装置100と、端末装置200と、センサ300とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。ネットワークNWは、通信を行うための通信網であり、限定ではなく例として、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network:VPN)等を含む通信網により構成されている。なお、情報提供装置100と、端末装置200と、センサ300とは、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続して通信を行ってもよい。
【0019】
情報提供装置100は、センサ300からの検知信号を受信等することにより取得し、取得した検知信号を解析して利用者のアクション情報、トレンド情報、及びコンディション情報を生成し、利用者に対する介入情報を、例えば端末装置200へ送信することで出力する装置である。この情報提供装置100は、限定ではなく例として、各種Webサービスを提供するコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)や、サーバ装置を含む装置等により構成されている。なお、サーバ装置は単体で動作するサーバ装置に限られず、ネットワークNWを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、クラウドサーバでもよい。
【0020】
端末装置200は、情報提供装置100から送信された介入情報を受信し、介入情報を表示することでユーザにレコメンドや指示等を行う装置であり、限定ではなく例として、スマートフォンや、携帯端末、コンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)等により構成されている。
【0021】
ここで、端末装置200を使用するユーザは、サービス付き高齢者住宅の入居者や介護施設等の利用者本人、その家族、もしくは介護施設等の施設職員を含む。この端末装置200では、例えば、情報提供システム1のサービスの提供を受けるためのアプリがインストールされ、または情報提供装置100にアクセスするためのURL等が設定され、それらをタップまたはダブルクリック等して起動することにより、サービスが開始される。
【0022】
センサ300は、高齢者向け住宅や、介護施設等に設置され、入居者や利用者等の各種行動、例えばベッドにおける利用者の臥床、居室内の歩行、トイレの使用、外出等を検知する装置である。センサ300の具体的な構成は、限定ではなく例として、利用者の荷重の移動による振動を検知する振動センサ、利用者の存在を検知する光(赤外線、可視光)センサや画像センサ、温度センサ、磁気センサ等により構成されている。利用者の居室内にセンサ300が配置されている具体的については後述する。
【0023】
なお、センサ300は、利用者等を検知した結果である検知信号を、情報提供装置100へ送信してもよく、情報提供装置100からのアクセスにより取得させてもよい。
【0024】
情報提供装置100は、その機能構成として、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0025】
通信部110は、ネットワークNWを介して端末装置200及びセンサ300と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行出来るのであればどのような通信プロトコルを用いてもよい。この通信部110は、限定ではなく例として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)やUSB規格等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0026】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラムや入力データ等を記憶するものであり、限定ではなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むメモリや、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含むストレージから構成される。また、記憶部120は、アクションDB121と、トレンドDB122と、コンディションDB123と、介入DB124とを記憶する。さらに、記憶部120は、端末装置200及びセンサ300との間で通信を行った際のデータや、後述する各処理にて生成されたデータを一時的に記憶する。
【0027】
アクションDB121には、センサ300の検知結果から得られる、利用者等の行動を示すアクション情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者の居室のベッド上に配置されたセンサ300によるベッド上の荷重(圧力)の検知結果から、利用者がベッドに臥床したことが認識できる。アクションDB121には、そのようなセンサ300の検知結果と、利用者の行動を示すアクション情報との関係が紐づけられて格納されている。また、アクション情報には、利用者の設定等による環境の状態を示す環境情報が含まれてもよい。アクションDB121には、利用者の設定等による環境情報をセンサ300が検知した結果と、例えば利用者の居室等の環境の状態を示すアクション情報との関係が紐づけられて格納される。環境情報とは、具体的には空調の設定による室内の温度や湿度の情報や、照明器具の設定(オン/オフを含む)による室内の明るさの情報である。
【0028】
アクションDB121に格納されているアクション情報は、単一のセンサ300の検知結果とアクション情報との関係だけではなく、複数のセンサ300の検知結果とアクション情報との関係が格納されてもよい。例えば、利用者の居室のドアに配置されたセンサ300によるドアの開閉の検知結果と、利用者の居室内に配置されたセンサ300による利用者の検知結果とから、利用者が外出したことが認識できる。アクションDB121には、そのような複数のセンサ300の検知結果とアクション情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0029】
トレンドDB122には、アクションDB121に格納されているアクション情報から得られる、利用者等の行動の傾向を示すトレンド情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者がベッドに臥床したことを示すアクション情報を継続的に取得することで、利用者の睡眠時間を取得することができる。さらに、その睡眠時間の情報を長期的に取得することで、利用者の睡眠時間の推移を取得することができる。例えば、睡眠時間の推移から、睡眠時間が増加傾向にあることや、減少傾向にあることが認識できる。トレンドDB122には、そのようなアクション情報の経時的な傾向と、利用者の行動の傾向を示すトレンド情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0030】
また、トレンドDB122には、センサ300の検知結果を継続的に取得することで得られるトレンド情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者の居室のトイレに配置されたセンサ300によるトイレの床の荷重(圧力)の検知結果から、利用者がトイレを利用したことが認識できる。この検知結果を継続的に取得することで、利用者の所定期間(例えば、1日)におけるトイレの回数の推移を取得することができる。トレンドDB122には、そのようなセンサ300の継続的な検知結果とトレンド情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0031】
コンディションDB123には、トレンドDB122に格納されているトレンド情報から得られる、利用者等の健康状態を示すコンディション情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者の睡眠時間が増加傾向であることを示すトレンド情報から、利用者に廃用症候群(運動能力が衰え、自分で動くことが困難になること)のリスクがあることが認識できる。また、利用者のトイレの利用回数が減少傾向であることを示すトレンド情報から、夏季の場合、利用者に水分摂取量の減少による熱中症のリスクがあることが認識できる。さらに、利用者の夜間行動が増加傾向であることを示すトレンド情報から、利用者に認知症のリスクがあることが認識できる。コンディションDB123には、そのようなトレンド情報と、利用者等の健康状態を示すコンディション情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0032】
また、コンディションDB123には、アクションDB121に格納されているアクション情報から得られるコンディション情報が格納されている。具体的には、例えば、夜間の間に利用者がベッドに臥床していることを示すアクション情報から、利用者が寝付けないことが認識できる。コンディションDB123には、そのようなアクション情報と利用者のコンディション情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0033】
さらに、コンディションDB123には、センサ300の検知結果から得られるコンディション情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者の居室のベッド上に配置されたセンサ300によるベッド上の荷重(圧力)の検知結果から、利用者の心拍情報を取得することで、不整脈等の心拍の異常が認識できる。そのようなセンサ300の検知結果と利用者のコンディション情報との関係が格納されている。
【0034】
介入DB124には、コンディションDB123に格納されているコンディション情報に基づく、利用者等に対して処置を改善する目的で行う、介入を行うための介入情報が格納されている。具体的には、例えば、利用者の睡眠の質が低下していることを示すコンディション情報から、利用者にとって睡眠導入剤の処方またはその調整が必要であることが認識できる。介入DB124には、そのようなコンディション情報と、利用者等に対して介入を行うための介入情報との関係が紐づけられて格納されている。
【0035】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、情報提供装置100の全体の動作を制御するものであり、限定ではなく例として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、プロセッサコア(Processor core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む装置等から構成される。制御部130の機能として、信号取得部131と、アクション情報生成部(コンディション情報生成部)132と、トレンド情報生成部(コンディション情報生成部)133と、コンディション情報生成部134と、介入情報出力部135とを備えている。この信号取得部131、アクション情報生成部132、トレンド情報生成部133、コンディション情報生成部134、及び介入情報出力部135は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されて情報提供装置100にて実行される。
【0036】
信号取得部131は、センサ300によって利用者等を検知した結果である、検知信号を取得する。検知信号の取得は、センサ300から検知信号が送信される場合、送信された検知信号を、通信部110を介して受信して取得してもよく、センサ300から検知信号が送信されない場合、信号取得部131によって通信部110を介してセンサ300へアクセスし、センサ300から検知信号を取得してもよい。信号取得部131が取得する検知信号は、電圧や電流の変化を示す時系列の波形信号や、画像情報を含む。
【0037】
アクション情報生成部132は、信号取得部131が取得した検知信号を解析し、その解析結果からアクションDB121を読み取り、当該利用者等の行動や環境情報を示すアクション情報を生成する。アクションDB121には、検知信号の解析結果とアクション情報との関係が紐づけられて格納されているので、アクション情報生成部132は、検知信号の解析結果から、その結果に紐づくアクション情報を読み取って生成する。
【0038】
なお、アクション情報生成部132は、単一の検知信号を解析するだけではなく、複数の検知信号を解析し、その解析結果からアクションDB121を読み取り、当該利用者等の行動を示すアクション情報を生成してもよい。
【0039】
トレンド情報生成部133は、アクション情報生成部132が生成したアクション情報を継続的に取得して解析し、その解析結果であるアクション情報の経時的な傾向からトレンドDB122を読み取り、当該利用者等の行動の傾向を示すトレンド情報を生成する。トレンドDB122には、アクション情報の経時的な傾向とトレンド情報との関係が紐づけられて格納されているので、トレンド情報生成部133は、アクション情報から、その経時的な傾向の解析結果に紐づくトレンド情報を読み取って生成する。
【0040】
また、トレンド情報生成部133は、信号取得部131が取得した検知信号を継続的に取得して解析し、その解析結果からトレンドDB122を読み取り、当該利用者等のトレンド情報を生成する。トレンドDB122には、検知信号の経時的な解析結果とトレンド情報との関係が紐づけられて格納されているので、トレンド情報生成部133は、検知信号の経時的な解析結果から、その結果に紐づくトレンド情報を読み取って生成する。
【0041】
なお、トレンド情報生成部133は、単一のアクション情報または検知信号を継続的に取得して解析するだけではなく、複数のアクション情報または検知信号を継続的に取得して解析し、またはアクション情報と検知信号との両方を継続的に取得して解析し、その解析結果からトレンドDB122を読み取り、当該利用者等の行動の傾向を示すトレンド情報を生成してもよい。また、トレンド情報生成部133は、検知信号の回数や、検知信号の信号レベルが所定の閾値以上変化した場合、または信号レベルの変化が所定の時間以上継続した場合に、トレンド情報を生成してもよい。この場合における所定の閾値や所定の時間は、手動または自動で設定してもよく、さらに機械学習の結果に基づいて設定、変動させてもよい。
【0042】
コンディション情報生成部134は、トレンド情報生成部133が生成したトレンド情報を取得して解析し、その解析結果からコンディションDB123を読み取り、当該利用者等の健康状態を示すコンディション情報を生成する。コンディションDB123には、トレンド情報とコンディション情報との関係が紐づけられて格納されているので、コンディション情報生成部134は、トレンド情報から、その解析結果に紐づくコンディション情報を読み取って生成する。
【0043】
また、コンディション情報生成部134は、アクション情報生成部132が生成したアクション情報を取得して解析し、その解析結果からコンディションDB123を読み取り、当該利用者等のコンディション情報を生成する。ここで、アクション情報の解析は瞬間的なアクション情報の解析でもよく、アクション情報の経時的な解析であってもよい。コンディションDB123には、アクション情報とコンディション情報との関係が紐づけられて格納されているので、コンディション情報生成部134は、アクション情報から、その解析結果に紐づくコンディション情報を読み取って生成する。
【0044】
さらに、コンディション情報生成部134は、信号取得部131が取得した検知信号を取得して解析し、その解析結果からコンディションDB123を読み取り、当該利用者等のコンディション情報を生成する。ここで、検知信号の解析は瞬間的な検知信号の解析でもよく、検知信号の経時的な解析であってもよい。コンディションDB123には、検知信号の解析結果とコンディション情報との関係が紐づけられて格納されているので、コンディション情報生成部134は、検知信号の解析結果から、その結果に紐づくコンディション情報を読み取って生成する。
【0045】
なお、コンディション情報生成部134は、単一のトレンド情報、アクション情報または検知信号だけではなく、複数のトレンド情報、アクション情報または検知信号、またはトレンド情報、アクション情報、または検知信号のうちの複数の情報からコンディションDB123を読み取り、当該利用者等の健康状態を示すコンディション情報を生成してもよい。
【0046】
介入情報出力部135は、コンディション情報生成部134が生成したコンディション情報から介入DB124を読み取り、当該利用者等に対して処置を改善する目的で行う、介入を行うための介入情報を生成する。介入DB124には、コンディション情報と介入情報との関係が紐づけられて格納されているので、介入情報出力部135は、コンディション情報から介入情報を読み取って生成する。
【0047】
また、介入情報出力部135は、生成した介入情報をユーザに出力する。本実施形態の場合、介入情報出力部135は、生成した介入情報を、通信部110を介して端末装置200へ送信し、端末装置200に表示させることで介入情報をレコメンドし、または指示等を行う。情報提供装置100に文字情報や画像情報を表示する表示装置や、音声情報を出力する音声出力装置が設けられ、または接続されている場合には、表示装置や音声出力装置により介入情報を出力させてもよい。
【0048】
図2は、
図1の端末装置200を示す機能ブロック構成図である。端末装置200は、その機能構成として、通信部210と、表示部220と、操作部230と、記憶部240と、制御部250とを備える。
【0049】
通信部210は、ネットワークNWを介して情報提供装置100と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行できるのであればどのような通信プロトコルを用いてもよい。この通信部210は、限定ではなく例として、TCP/IPやUSB規格等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0050】
表示部220は、ユーザから入力された操作内容や、情報提供装置100からの送信内容を表示するために用いられるユーザインタフェースであり、液晶ディスプレイ等から構成される。表示部220では、情報提供装置100の介入情報出力部135から送信される介入情報を表示する。
【0051】
操作部230は、ユーザが操作指示を入力するために用いられるユーザインタフェースであり、キーボードやマウス、タッチパネル等から構成される。操作部230では、端末装置200の操作情報が入力される。
【0052】
記憶部240は、各種制御処理や制御部250内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、限定ではなく例として、RAM、ROM等を含むメモリや、HDD、SSD、フラッシュメモリ等を含むストレージから構成される。また、記憶部240は、情報提供装置100と通信を行ったデータを一時的に記憶する。
【0053】
制御部250は、記憶部240に記憶されているプログラムを実行することにより、端末装置200の全体の動作を制御するものであり、限定ではなく例として、CPU、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGAを含む装置等から構成される。
【0054】
図3は、
図1のセンサ300が利用者の居室内に配置されている例を示す模式図である。
図3には、高齢者向け住宅や介護施設等における、利用者等の居室Rが平面図として示されている。居室Rには例として、利用者が臥床するためのベッドBと、利用者が使用するトイレTと、利用者が外に出るためのドアDが設けられている。
【0055】
図3に示すベッドBのマットレス上には、センサ300の具体的な構成例である振動センサ301が配置されている。振動センサ301は、例えば、ベッドB上で臥床している利用者が寝返りを行った場合の体位変化や、利用者の呼吸や心拍、または利用者が咳やくしゃみをしたり、意識的または無意識により身体の一部を振動させたりする行為等の振動を検知するセンサである。この振動センサ301は、外部から加えられた振動を圧電効果により電気信号に変換する圧電素子等により構成されている。
【0056】
図3に示すベッドBの側面近傍の床上には、センサ300の具体的な構成例である振動センサ302が配置されている。振動センサ302は、例えば、ベッドBから起床して立ち上がる際、床上に足をのせて体重をかける行為や、その際に転倒した等の振動を検知するセンサである。この振動センサ302は、振動センサ301と同様に、外部から加えられた振動を圧電効果により電気信号に変換する圧電素子等により構成されている。
【0057】
図3に示すトイレTの前方近傍の床上には、センサ300の具体的な構成例である振動センサ303が配置されている。振動センサ303は、例えば、利用者がトイレを利用する際、トイレTの前方側の床上に足をのせて体重をかける行為の振動を検知するセンサである。この振動センサ303は、振動センサ301と同様に、外部から加えられた振動を圧電効果により電気信号に変換する圧電素子等により構成されている。
【0058】
図3に示す居室Rの天井近傍には、センサ300の具体的な構成例である人感センサ304が配置されている。人感センサ304は、例えば、利用者が居室Rにいる際の利用者の行動を検知するセンサである。この人感センサ304は、居室R内の利用者の存在を検知して電気信号に変換する赤外線センサや可視光による光センサ、温度センサ、または居室R内を撮影するLIDAR(Light Detection and Ranging)等の監視カメラにより構成されている。
【0059】
また、
図3に示すドアDには、センサ300の具体的な構成例である開閉検知センサ305が配置されている。開閉検知センサ305は、例えば、利用者がドアDを開閉したことを検知するセンサである。この開閉検知センサ305は、ドアDの開閉によりスイッチングが行われ、ドアDが開いている状態と閉じている状態とで異なる信号を出力することによりドアDの開閉を検知する、磁気センサ等により構成されている。
【0060】
<処理の流れ>
図4を参照しながら、情報提供システム1が実行する、情報提供処理の流れの一例について説明する。
図4は、
図1の情報提供システム1の動作を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS101の処理として、情報提供装置100の信号取得部131では、センサ300によって利用者等を検知した検知信号が取得される。
図3に示す例では、振動センサ301,302,303から、利用者のベッドB上における体位変化や起床、トイレTの利用に伴う振動による検知信号が取得され、人感センサ304から、居室R内の利用者の存在による検知信号(画像情報の場合も含む)が取得され、開閉検知センサ305から、ドアDの開閉による検知信号が取得される。
【0062】
ステップS102の処理として、アクション情報生成部132では、ステップS101で取得された検知信号が解析され、その解析結果からアクションDB121が読み取られ、当該利用者等の行動を示すアクション情報が生成される。
【0063】
図5は、
図1のアクションDB121の格納例を示す模式図である。このアクションDB121には、
図5に示すアクションDB121の列名に対応して、アクションID、センサ種類、判定基準、及びアクションの情報が格納されている。
【0064】
アクションIDは、アクション情報を一意に特定するための識別情報である。センサ種類は、センサ300の具体的な構成を示す種類の名称である。判定基準は、センサ300の検知信号が当該アクション情報を示すものであると判定するための基準である。アクションは、具体的なアクション情報の名称、状態を示す情報である。
【0065】
図5に示すように、アクションIDが「101」として特定されるアクション情報は、センサ種類が
図3の振動センサ301を示す「ベッドセンサ」であり、判定基準が「反応あり」であり、アクションが「ベッド上で臥床」である。ステップS102では、ステップS101で取得された検知信号が、振動センサ301の反応を示す信号である場合、当該利用者がベッド上で臥床していると判定する。これにより、利用者の行動を把握することができる。
【0066】
また、
図5に示すように、アクションIDが「105」として特定されるアクション情報は、センサ種類が「温度センサ」であり、判定基準は「所定時間ごと」であり、アクション(環境情報)が「室温状態」である。ステップS102では、ステップS101で取得された検知信号が、利用者等の居室内に設置された温度センサによる温度の検知信号を示し、この場合は所定時間(例えば、1分)ごとに、温度センサの検知信号を取得し、利用者等の居室内の室温を情報として取得する。これにより、利用者の積極的な行動だけではなく、利用者により設定した、または設定していないことによる環境の状態を把握することができる。
【0067】
また、
図5に示すように、アクションIDが「104」として特定されるアクション情報は、センサ種類が
図3の開閉検知センサ305を示す「ドアセンサ」と、人感センサ304を示す「人感センサ」であり、判定基準がそれぞれ「開反応あり」、「30分以上反応無し」であり、アクションが「外出状態」である。ステップS102では、ステップS101で取得された検知信号が、開閉検知センサ305によるドアDが開いた反応を示し、人感センサ304が30分以上利用者の存在を検知しない場合、当該利用者が居室Rから外出していると判定する。これにより、より多様な利用者の行動を把握することができる。
【0068】
ステップS103の処理として、トレンド情報生成部133では、ステップS102で生成されたアクション情報が継続的に取得、解析され、その解析結果であるアクション情報の経時的な傾向からトレンドDB122が読み取られ、当該利用者等の行動の傾向を示すトレンド情報が生成される。
【0069】
また、ステップS103の処理として、トレンド情報生成部133では、ステップS101で取得された検知信号が継続的に解析され、その解析結果からトレンドDB122が読み取られ、当該利用者等の行動の傾向を示すトレンド情報が生成される。
【0070】
図6は、
図1のトレンドDB122の格納例を示す模式図である。このトレンドDB122には、
図6に示すトレンドDB122の列名に対応して、トレンドID、センサ/アクション、判定基準、及びトレンドの情報が格納されている。
【0071】
トレンドIDは、トレンド情報を一意に特定するための識別情報である。センサ/アクションは、センサ300の具体的な構成を示す種類の名称、またはアクション情報の名称である。判定基準は、センサ300の検知信号またはアクション情報が当該トレンド情報を示すものであると判定するための基準である。トレンドは、具体的なトレンド情報の名称、状態を示す情報である。
【0072】
図6に示すように、トレンドIDが「201」として特定されるトレンド情報は、アクション情報が「ベッド上で臥床」であり、判定基準が「一定時間以上継続」であり、トレンドが「寝付けない」である。ステップS103では、ステップS102で生成されたアクション情報がベッド上で臥床している状態であり、この状態のアクションが一定時間以上継続している場合、当該利用者が寝付けないと判定する。これにより、利用者のアクションに基づく傾向(トレンド)を把握することができる。
【0073】
また、
図6に示すように、トレンドIDが「203」として特定されるトレンド情報は、センサ種類が
図3の振動センサ303を示す「トイレセンサ」であり、判定基準が「反応あり回数」であり、トレンドが「トイレ利用回数」である。ステップS103では、ステップS101で取得された検知信号が、振動センサ303が反応を示した場合、所定時間におけるトイレの回数の推移を取得する。これにより、センサ300の検知信号の継続的な取得により得られる利用者の行動の傾向を把握することができる。
【0074】
ステップS104の処理として、コンディション情報生成部134では、ステップS103で生成されたトレンド情報からコンディションDB123が読み取られ、当該利用者等の健康状態を示すコンディション情報が生成される。
【0075】
また、ステップS104の処理として、コンディション情報生成部134では、ステップS102で生成されたアクション情報からコンディションDB123が読み取られ、当該利用者等の健康状態を示すコンディション情報が生成される。
【0076】
さらに、ステップS104の処理として、コンディション情報生成部134では、ステップS101で取得された検知信号からコンディションDB123が読み取られ、当該利用者等の健康状態を示すコンディション情報が生成される。
【0077】
図7は、
図1のコンディションDB123の格納例を示す模式図である。このコンディションDB123には、
図7に示すコンディションDB123の列名に対応して、コンディションID、センサ/アクション/トレンド、判定基準、及びコンディションの情報が格納されている。
【0078】
コンディションIDは、コンディション情報を一意に特定するための識別情報である。センサ/アクション/トレンドは、センサ300の具体的な構成を示す種類の名称、アクション情報の名称、またはトレンド情報の名称である。判定基準は、センサ300の検知信号、アクション情報、またはトレンド情報が当該コンディション情報を示すものであると判定するための基準である。コンディションは、具体的なコンディション情報の名称、状態を示す情報である。
【0079】
図7に示すように、コンディションIDが「305」として特定されるコンディション情報は、トレンド情報が「夜間行動」であり、判定基準が「時間増加傾向」であり、コンディションが「認知症リスクあり」である。ステップS104では、ステップS103で生成されたトレンド情報が夜間行動であり、この夜間行動のトレンドが、夜間行動の時間が増加傾向である場合、当該利用者に認知症のリスクがあると判定する。これにより、利用者のトレンドが示す利用者の健康状態を把握することができる。
【0080】
また、
図7に示すように、コンディションIDが「301」として特定されるコンディション情報は、センサ種類が
図3の振動センサ301を示す「ベッドセンサ」と、アクション情報が「睡眠状態」であり、判定基準がそれぞれ「臥床後」、「睡眠覚醒繰り返し」であり、コンディションが「睡眠の質が低下」である。ステップS104では、ステップS101で取得された検知信号が、振動センサ301の反応を示し、ステップS102で生成されたアクション情報の経時的な傾向が睡眠状態と覚醒状態とを繰り返している場合、当該利用者の睡眠の質が低下していると判定する。これにより、センサによる検知結果と利用者の行動の傾向とによる複合的な要因から、利用者の健康状態を把握することができる。
【0081】
さらに、
図7に示すように、トレンドIDが「303」として特定されるコンディション情報は、センサ種類が
図3の振動センサ301を示す「ベッドセンサ」であり、判定基準が「心拍信号、所定の異常あり」であり、コンディションが「不整脈等の心拍異常の疑いあり」である。ステップS104では、ステップS101で取得された検知信号が、振動センサ301の検知信号のうち、心拍を示す信号に所定の異常が見られた場合、当該利用者に不整脈等の心拍異常の疑いがあると判定する。これにより、センサによる検知結果から直接得られる利用者の健康状態を把握することができる。
【0082】
ステップS105の処理として、介入情報出力部135では、ステップS104で生成されたコンディション情報から介入DB124が読み取られ、当該利用者等に対して処置を改善する目的で行う、介入を行うための介入情報が生成される。
【0083】
図8は、
図1の介入DB124の格納例を示す模式図である。この介入DB124には、
図8に示す介入DB124の列名に対応して、介入ID、コンディション、判定基準、及び介入内容の情報が格納されている。
【0084】
介入IDは、介入情報を一意に特定するための識別情報である。コンディションは、コンディション情報の名称である。判定基準は、コンディション情報に基づいて当該利用者にその介入情報に係る内容の介入をすべきと判定するための基準である。介入内容は、具体的な介入内容の名称、状態を示す情報である。
【0085】
図8に示すように、介入IDが「401」として特定される介入情報は、コンディション情報が「睡眠の質が低下」であり、判定基準が「属性情報も含めて判定」であり、介入内容が「睡眠導入剤の処方/調整」である。ここで、判定基準が「属性情報も含めて判定」の場合、例えば、当該介入内容を忌避すべき要因が属性情報として登録されているときにその介入内容を出力しないことを示している。ステップS105では、ステップS104で生成されたコンディション情報が睡眠の質が低下であり、当該利用者の属性情報が睡眠導入剤を忌避すべき要因がない場合、当該利用者に睡眠導入剤を処方、または既に処方されている場合にはその量を調整すると判定する。これにより、利用者の健康状態に基づいて適切なレコメンドや指示等を行うことができる。
【0086】
ステップS106の処理として、介入情報出力部135では、当該利用者に出力すべき介入情報の内容があるか否かを判定する。介入情報がある場合(「Y」の場合)、ステップS107へ進み、介入情報がない場合(「N」の場合)、処理を終了する。
【0087】
ステップS107の処理として、介入情報出力部135では、生成された介入情報が通信部110を介して端末装置200へ送信され、端末装置200の表示部220に表示させることで介入情報が出力される。
【0088】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報提供装置、情報提供システム及び情報提供方法では、センサにより利用者のベッド上における臥床、起床、トイレの利用といった行動がモニタリングされ、センサからの検知信号から、利用者の健康状態を示すコンディション情報が生成される。このコンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報が出力される。これにより、利用者の健康状態を示すコンディション情報から想定されるリスク要因を事前に認識し、そのリスク要因に対処するための介入を行うことが可能になる。
【0089】
また、センサからの検知信号から、利用者の行動を示すアクション情報が生成され、アクション情報または検知信号から、利用者の行動の傾向を示すトレンド情報が生成され、トレンド情報、アクション情報または検知信号から、コンディション情報が生成される。このコンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報が出力される。これにより、より多様な利用者の行動や健康状態が把握され、その状態に対処するための介入を行うことが可能になる。
【0090】
(実施形態2)
図9は、本開示の実施形態2に係る情報提供システム1Aを示す機能ブロック構成図である。この情報提供システム1Aは、高齢者向け住宅(自立型及びサービス付きを含む)の入居者や、介護施設等の利用者の行動をモニタリングし、利用者に各種症状の改善を目的とする介入を行うための介入情報を出力するシステムである点において、実施形態1に係る情報提供システム1と同様であるが、制御部130の機能として送信制御部136を備えている点において、実施形態1に係る情報提供システム1と異なる。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1と同様である。
【0091】
送信制御部136は、介入情報の送信先である端末装置200ごとに、送信する介入情報を制御する。送信制御部136では、介入情報を出力(レコメンド)する相手(ユーザ)ごとに介入情報を変更する等の制御をするために、送信先の端末装置200を識別する情報を記憶し、その識別情報に基づいて介入情報を制御する。
【0092】
例えば、
図8に示す介入IDが「401」として特定される介入情報は、介入内容が「睡眠導入剤の処方/調整」であるが、このような介入内容は、介護施設等の施設職員にレコメンドすることが望ましい。また、介入IDが「403」として特定される介入情報は、介入内容が「水分摂取量調整」であるが、このような介入内容は、利用者本人やその家族にレコメンドすることが望ましい。このように、介入情報をレコメンドする相手にふさわしい介入情報を適切にレコメンドするため、このような構成にしている。
【0093】
本実施形態によれば、上記実施形態1の効果に加え、送信制御部により、介入情報の送信先である端末装置によって、送信する介入情報を制御する。これにより、介入情報をレコメンドする相手にふさわしい介入情報を適切にレコメンドすることが可能になる。
【0094】
(実施形態3(プログラム))
図10は、コンピュータ(電子計算機)700の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ700は、CPU701、主記憶装置702、補助記憶装置703、インタフェース704を備える。
【0095】
ここで、実施形態1及び2に係る信号取得部131と、アクション情報生成部132と、トレンド情報生成部133と、コンディション情報生成部134と、介入情報出力部135と、送信制御部136とを構成する各機能を実現するための制御プログラム(情報提供プログラム)の詳細について説明する。これらの機能ブロックは、コンピュータ700に実装される。そして、これらの各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置703に記憶されている。CPU701は、プログラムを補助記憶装置703から読み出して主記憶装置702に展開し、当該プログラムに従って前述の処理を実行する。また、CPU701は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置702に確保する。
【0096】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ700において、利用者の行動をモニタリングするセンサからの検知信号を取得する信号取得ステップと、取得した検知信号を解析し、利用者の健康状態を示すコンディション情報を生成するコンディション情報生成ステップと、コンディション情報に基づき、利用者に対して処置を改善する介入を行うための介入情報を出力する介入情報出力ステップと、をコンピュータによって実現する制御プログラムである。
【0097】
なお、補助記憶装置703は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース704を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ700に配信される場合、配信を受けたコンピュータ700が当該プログラムを主記憶装置702に展開し、前述の処理を実行してもよい。
【0098】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置703に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0099】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1,1A 情報提供システム、100,100A 情報提供装置、110 通信部、120 記憶部、121 アクションDB、122 トレンドDB、123 コンディションDB、124 介入DB、130 制御部、131 信号取得部、132 アクション情報生成部(コンディション情報生成部)、133 トレンド情報生成部(コンディション情報生成部)、134 コンディション情報生成部、135 介入情報出力部、136 送信制御部、200 ユーザ端末、210 通信部、220 表示部、230 操作部、240 記憶部、250 制御部、NW ネットワーク