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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】広告配信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20240424BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20240424BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0251
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020016228
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2020129375
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2019020018
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 平成30年7月18日 ウェブサイトのアドレス http://srv1.aaacompany.net/ 公開者 株式会社ラボ・テック
(73)【特許権者】
【識別番号】519043121
【氏名又は名称】株式会社ラボ・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】横山和也
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-526494(JP,A)
【文献】特開2016-146210(JP,A)
【文献】国際公開第2011/046051(WO,A1)
【文献】特開2017-054176(JP,A)
【文献】国際公開第2007/040230(WO,A1)
【文献】特開2017-107610(JP,A)
【文献】特開2009-065416(JP,A)
【文献】今月のWeb人 見たい人だけに動画広告を,月刊ネット販売,日本,宏文出版株式会社,2012年02月25日,第13巻,第3号,第15頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を配信する複数の動画配信サイトと、前記動画配信サイトの動画を、ネットワークを介して接続するユーザの端末の表示部に紹介する動画紹介サイトと、前記動画紹介サイトを介して前記ユーザの端末の表示部に前記動画とインストリーム広告の再生を制御するインストリーム広告管理サーバとを備えた広告配信システムにおいて、
前記インストリーム広告管理サーバは、前記表示部に再生される前記動画の上に略隙間なく重なるように透明の枠を生成する手段と、
前記インストリーム広告が再生されてから所定の時間経過後に、前記インストリーム広告のスキップボタンを表示する手段と、
前記スキップボタンのクリックにより、前記透明の枠内を消滅させ前記ユーザが閲覧しようとする動画の再生を可能にする手段と、
前記インストリーム広告内であって、スキップボタン以外の箇所がクリックされたことで、前記ユーザの端末に広告商品・サービスを紹介するランディングページを表示する手段とを備えたことを特徴とする広告配信システム。
【請求項2】
前記透明の枠には、前記ユーザが前記透明の枠内をクリックした際に、前記インストリーム広告管理サーバが保有する前記ユーザの閲覧履歴と内部に保有するデータとから、再生するインストリーム広告を選定し、前記表示部に再生するスクリプトと、
前記インストリーム広告が再生されてから所定の時間経過後に、前記表示部に前記インストリーム広告のスキップボタンを表示するスクリプトと、
前記スキップボタンのクリックにより、前記透明の枠内を消滅させ前記ユーザが閲覧しようとする動画の再生を可能にするスクリプトと、
前記インストリーム広告内であって、スキップボタン以外の箇所がクリックされたことで、前記動画紹介サイトを介して前記ユーザの端末に広告商品・サービスを紹介するランディングページを表示するスクリプトとが記載されていることを特徴とする請求項1に記載の広告配信システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告配信方法、及びその方法を利用した広告配信システムに関し、特に、映像プレイヤーのなかで再生されるインストリーム広告(プレロール広告、ミッドロール広告、ポストロール広告)の配信方法、その方法を利用した広告配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上には、多種多様な映像コンテンツがアップロードされ、様々なウェブサイトから共有映像コンテンツとして配信されている。特に近年、映像を取り込むツール及び装置が使いやすくなり、一般の人が簡単に映像コンテンツをアップロードするにつれて、その数は増大している。かかる共有映像コンテンツの提供に併せて、動画などのコンテンツ情報を広告媒体として利用する方法がある。これは閲覧者(ユーザ)が要求する共有映像コンテンツの提供にあたり、広告対象であるマテリアルを表示、再生させ、商品やサービスなどの広告(宣伝や販売促進)を行うものである。
【0003】
広告マテリアルには、例えば、閲覧動画(共有映像コンテンツ)の右側の上部に、動画広告を表示する「ディスプレイ広告」、あるいは閲覧動画内下部に表示される半透明の広告で、動画サイズの20%以内の面積で表示する「オーバーレイ広告」がある。ディスプレイ広告は、利用者の閲覧動画の視聴を妨げず表示されるというメリットがある。一方、オーバーレイ広告は、動画の特定部分に埋め込まれ、閲覧者のクリックで動画が再生されるので、表示したままでも動画視聴が続けられメリットがあるが、動画の下部に見たい情報がある場合は、見ているユーザにストレスを与える、というデメリットがある。
【0004】
広告動画を再生するインストリーム広告には、ユーザが動画を視聴する直前に広告を再生させるプレロール広告、閲覧したい動画を視聴している途中で再生するミッドロール広告、閲覧動画の視聴後に再生するポストロール広告がある。ミッドロール広告とポストロール広告は、動画本編が比較的長いものにしか表示されないため、現在は再生前に流すプレロール広告が主流となっている。
【0005】
下記非特許文献1は、大手動画配信プラットフォームであるユーチューブのウェブサイト(URL)である。かかるウェブサイトで見られる通り、ユーチューブの動画閲覧者にインストロール広告を再生させる権限は、動画配信サイトの管理者に限られる。また、インターネット上には無数の共有映像コンテンツがアップロードされているが、動画閲覧者に提供されるのは、ユーチューブにデータベース化されている動画に限定される。
【0006】
インストリーム広告は、その広告情報の内容やタイミングによっては、ウェブサイト情報を閲覧しているユーザにとっては不要であり、ときには不快であり、閲覧動画の再生前に広告動画を表示しても、広告主(スポンサー)が期待するほどユーザが視聴せず、広告効果が得られない、という問題がある。このため、インストリーム広告においては、広告の成果に応じて広告主(スポンサー)がメディア運営者(インストリーム広告サイトの運営者)に対して広告料を支払うという課金システムが存在する。この課金システムは、当該ウェブサイトに表示された広告動画の閲覧者が、当該広告動画をクリックして表示されるランディングページに遷移したか、また遷移したランディングページにおいて商品の購入やサービスへの登録、いわゆるコンバージョンを行ったか等により、当該ウェブサイトの運営者に一定の料率により報酬を支払う、というものである。
【0007】
かかる課題に対して、下記特許文献1に記載の技術は、共有映像コンテンツの視聴者(以下「ユーザ」とする場合がある)が端末装置を利用してコンテンツを無料で視聴できるかわりに、コンテンツ表示前に表示される広告に関連するアンケートをコンテンツの中途でユーザに求める。そして、表示制御装置は、ユーザによるアンケートへの回答に基づいて、コンテンツの続きの表示をユーザ端末に実行させる。つまり、ユーザからすれば、アンケートに答えなければ、コンテンツの続きが視聴できないように表示制御される、という技術を開示している。しかし、特許文献1に記載の技術により提供されるアンケートを煩わしく思うユーザは少なくなく、かかる技術による広告効果は限定的であると思われる。
【0008】
下記特許文献2には、インターネット上の広告においては、閲覧者に興味を持ってもらえるよう広告クリエイティブが閲覧者にとって魅力的である必要があるだけではなく、表示されるランディングページにおいて商品の購入などをしてもらえるようランディングページも魅力的であることが重要である(広告の成果は、広告クリエイティブとランディングページとの組み合わせによって変動する)ことから、広告クリエイティブとランディングページとの好適な組み合わせを評価する技術として、広告クリエイティブが表示されるメディア毎にコンバージョン量を集計し、メディア毎のコンバージョン量に基づいて、メディア毎に広告クリエイティブとランディングページの各組み合わせに対する表示頻度を設定する技術を開示している。しかし、広告クリエイティブが魅力的であっても、広告クリエイティブそのものを閲覧目的とするユーザは少なく、その広告商品やサービスに興味のないユーザはその広告のランディングページには遷移することはない。広告の成果は、先ずは閲覧動画にアクセスしてきたユーザの興趣に応える広告動画を提供できるか否かであり、特許文献2に記載の技術による公告効果は限定的であると思われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】https://www.youtube.com/intl/ja/yt/advertise/how-it-works/ 2019.01.04
【文献】特開2015-184753号公報
【文献】特開2016-76176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、上述のような課題について鋭意研究を重ねた結果、効果的なインストリーム広告を行うには、先ず、特定の動画配信サイトに限定されず、ユーザの閲覧したい動画と相性の良いインストリーム広告を提供することが必要であるとの考えに至った。
【0011】
そこで本発明の課題は、特定の動画配信サイトに限定されず、インターネット上にアップロードされている無数の共有映像コンテンツを紹介するとともに、極めて簡単かつ簡便にユーザ端末の映像プレイヤーの枠いっぱいに(ほぼ隙間なく)インストリーム広告動画を再生する仕組みを提供することにある。また、ユーザが興味を持つと思われる、そして閲覧動画と相性の良いインストリーム広告を閲覧動画に併せて提供することにより、広告効果の高いインストリーム広告を提供する仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、ネットワークを介して接続するユーザの端末の表示部に広告情報を表示させる広告配信方法において、
前記端末に表示されている前記ユーザが閲覧しようとする閲覧動画を再生するウェブベースの映像プレイヤーの動画再生枠に重なるように透明の枠を生成し、
前記ユーザが前記透明の枠内をクリックした際に、複数のインストリーム広告の中から、前記ユーザの閲覧履歴と前記広告情報を管理する広告動画管理サイトが保有するデータとから再生するインストリーム広告を選定し、前記インストリーム広告を再生し、
所定時間経過後に前記インストリーム広告とともに、前記インストリーム広告のスキップボタンを表示し、
前記ユーザが前記スキップボタンをクリックすることで、前記動画の再生を可能とし、
前記スキップボタン以外の前記インストリーム広告内をクリックすることで、前記端末に広告商品・サービスを紹介するランディングページを表示することを特徴とする広告配信方法、である。
【0013】
この広告配信方法によれば、特定の動画配信サイトに限定されないため、インターネットにアップロードされている無数の共有映像コンテンツを紹介することができる。そしてユーザの端末に表示されている閲覧動画を再生するウェブベースの映像プレイヤーの動画再生枠に重なるように透明の枠を生成することで、あたかも動画配信サイトのインストリーム広告と同じように、かつユーザが興味を持つ確率の高いインストリーム広告を提供することができる。また、所定時間経過後に表示させるスキップボタンにより、インストリーム広告をスキップすることができるので、ユーザのストレスを軽減できる。さらに、インストリーム広告に興味をもったユーザは、簡単に広告主の商品・サービスを紹介するランディングページに遷移できるので、広告効果を高めることができる。
【0014】
本発明によれば人工知能の推論機構により、前記ユーザの閲覧履歴と前記インストリーム広告の管理サーバが保有する様々なデータ、例えばインターネット上から得られるユーザに関する情報、各インストリーム広告の再生比率と前記閲覧動画のカテゴリー(ジャンル、区分、種類)との関係等から、そのユーザが興味を持つであろうと思われるインストリーム広告を選定している。これにより、広告効果をより一層高めることができる。また、前記端末において、所定の時間内に前記インストリーム広告を再生した履歴の有無により、前記インストリーム広告の再生を制御することは好適である。
【0015】
こうした制御により、例えば、ユーザが短時間の間に、複数回、動画紹介サイトを訪れインストリーム広告を再生している場合には、インストリーム広告の再生を行わず、閲覧動画を再生可能とすることで、ユーザのストレスを軽減することができる。また、閲覧動画に複数のインストリーム広告を紐づけし、かかる複数のインストリーム広告の再生比率を可変することで広告効果を高めることができる。
【0016】
本発明は、動画を配信する複数の動画配信サイトと、前記動画配信サイトの動画を、ネットワークを介して接続するユーザの端末の表示部に紹介する動画紹介サイトと、前記動画紹介サイトを介して前記ユーザの端末の表示部に前記動画とインストリーム広告の再生を制御するインストリーム広告管理サーバとを備えた広告配信システムにおいて、
前記インストリーム広告管理サーバは、前記表示部に再生される前記動画の上に略隙間なく重なるように透明の枠を生成する手段と、
前記インストリーム広告が再生されてから所定の時間経過後に、前記インストリーム広告のスキップボタンを表示する手段と、
前記スキップボタンのクリックにより、前記透明の枠内を消滅させ前記ユーザが閲覧しようとする動画の再生を可能にする手段と、
前記インストリーム広告内であって、スキップボタン以外の箇所がクリックされたことで、前記ユーザの端末に広告商品・サービスを紹介するランディングページを表示する手段とを備えたことを特徴とする広告配信システム、である。
【0017】
所定の時間内に前記インストリーム広告を再生した履歴の有無及び/又は人工知能の推論機構により、前記インストリーム広告の再生を制御することは好適である。また、前記端末において再生する複数のインストリーム広告のうち、各インストリーム広告の再生比率を前記閲覧動画のカテゴリーやユーザの性別、年齢等に応じて変化させる手段を備えることは好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、特定の動画配信サイトに限定されず、インターネット上にアップロードされている無数の共有映像コンテンツを紹介するとともに、極めて簡単かつ簡便にユーザ端末の映像プレイヤーの枠に併せて、インストリーム広告動画を再生する仕組みを提供することが可能となった。また、閲覧動画と相性の良いインストリーム広告を提供することにより、広告効果の高いインストリーム広告を提供する仕組みを提供することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、実施例の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に付いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインストリーム広告配信システム1の概略構成を示すブロック図である。インストリーム広告配信システム1は、動画紹介サイト(インストリーム広告サイト)20、インターネット上にアップロードされている共有映像コンテンツである動画を配信する動画配信サイト30、インストリーム広告を管理するインストリーム広告管理システム40、広告の成果を管理する広告成果管理システム50、広告動画管理サイト(AI処理システム)60、そして、動画紹介サイト(インストリーム広告サイト)20にアクセスする閲覧者(ユーザ)10とを備えて構成されている。
【0020】
動画紹介サイト20はインターネット上にアップロードされている共有映像コンテンツを紹介するサイトであるが、同時にインストリーム広告をユーザの端末表示部に再生させるサイトでもある。ユーザ10が、動画紹介サイト20が紹介する共有映像コンテンツ(閲覧動画)の再生ボタンをクリックすることで、後述する一定要件下で広告動画管理サイト60により選定されたインストリーム広告が、映像プレイヤーの閲覧動画再生枠内で再生される。
【0021】
動画配信サイト30は動画紹介サイト20が紹介する閲覧動画を配信するサイトであり、例えばユーチューブ、ニコニコ動画。東京モーション等である。動画配信サイト30はこれらメジャーな動画配信サイトに限らず、インターネット上にアップロードされ、共有映像コンテンツとしてデータベース化している全てのサイトであって良い。
【0022】
動画紹介サイト20のインストリーム広告を管理しているのがインストリーム広告管理システム40である。インストリーム広告管理システム40は、インストリーム広告管理サーバ100とインストリーム広告動画サーバ200、サイト連携部300とを備える。
インストリーム広告管理サーバ100は、動画紹介サイト20に送るデータ、例えば動画再生枠のサイズ等、広告を適正に表示するために必要なデータを管理する。インストリーム広告動画サーバ200は、インストリーム広告管理サーバ100からのデータに基づいてインストリーム広告動画サーバ200に格納されている広告動画や静止画をインストリーム広告管理サーバ100の制御に併せて動画紹介サイト20に送信する。
サイト連携部300は、動画紹介サイト20とインストリーム広告管理サーバ100、広告動画管理サイト(AI処理システム)60とを連携し、動画紹介サイト20で得られるデータの他、ネット上から収集できる情報(履歴、性別等)を広告動画管理サイト60に送る。また、広告動画管理サイト60から動画サイト20で再生するインストリーム広告を動画紹介サイト20に送る。
【0023】
インストリーム広告管理サーバ100は、広告データ設定部110、ユーザインターフェイス設定部120、インストリーム広告表示間隔設定部130、広告配信設定振分け部140、動画紹介サイトデータ管理部150、動画静止画連動部160、広告ステータス検知部170、集計データ統合部180を備える。
【0024】
インストリーム広告データ設定部110は動画紹介サイト20の管理番号の設定部である。より具体的には、動画紹介サイトに記述されるスクリプト「https:,,srv1.aaacompany.net/x/load.js」の「x」を設定するものである。ユーザインターフェイス設定部120は、ユーザの端末に表示されるスキップボタンの大きさとクリック範囲を設定するものである。
【0025】
インストリーム広告表示間隔設定部130は、インストリーム広告を動画掲載サイトごとに再生可能とする時間、例えば、動画紹介サイトAでは24時間以内にインストリーム広告が再生された履歴があれば、インストリーム広告を再生せずに閲覧動画の再生を可能とする。一方、動画紹介サイトBでは12時間以内にインストリーム広告が再生された履歴がある場合にはインストリーム広告は再生しないが、12時間以上経過していればインストリーム広告を再生した後でなければ閲覧動画の再生に遷移できな等の時間設定を行う設定部である。
【0026】
広告配信設定振分け部140は、動画紹介サイト20毎に、配信不可のインストリーム広告と配信可のインストリーム広告とを設定するとともに、配信可の複数のインストリーム広告について、どのような比率でそれらを再生するかの比率を設定する設定部である。例えば、サイトに訪れるユーザの、年齢層、性別、趣味趣向に合わせて配信比率を変化させる。あるいはマッチング率の高いインストリーム広告の配信比率を変化させる等である。広告配信設定振分け部140は必ずしもインストリーム広告管理サーバ100内に備える必要はなく、例えば、広告動画管理サイト60に人工知能の推論機構として備えることであっても良い。
【0027】
動画紹介サイトデータ管理部150は、インストリーム広告に表示されるスキップボタンのサイズ、再生枠のサイズ、スキップボタンの表示位置等の設定を行う設定部である。動画静止画連動部160は、動画紹介サイト20毎に、インストリーム広告が終了した際に表示する静止画データを設定する設定部である。これはインストリーム広告が終了した際に、ユーザが広告のランディングページに遷移するのを促すための静止画である。動画が再生し終わった後、終端の静止画がなければ、最後の画面は動画の最初の画面、又は最後の動画画面となる。しかし、動画終了後にその枠内に視聴者が興味を持つような静止画を表示することでランディングページへの遷移率を増加させることができる。また、インストリーム広告動画の場合は、広告動画が終了したことを明確に伝えるために静止画を表示する。
【0028】
広告ステータス検知部170は、インストリーム広告の再生回数、ランディングぺージへの遷移回数、ランディングページでの商品・サービス閲覧回数から予算上限を超えたかを検知する検知部である。集計データ統合部180は、インストリーム広告の再生回数と、インストリーム広告からランディングページに遷移した回数を、インストリーム広告動画サーバ200のデータを集計・統合し出力する。集計データ統合部180は、広告成果を管理する広告成果管理システム50に集計データを送信する。広告掲載主は広告成果管理システム50により広告成果を把握することができる。
【0029】
動画データ部210は、広告主から提供された広告動画のデータを格納しているデータ部である。動画紹介サイト20に表示させるインストリーム広告のデータがここに格納されている。
【0030】
静止画データ部220は、終端静止画を格納しているデータ部である。上述したように動画が再生し終わった後に、その枠内に視聴者が興味をもつような静止画を表示することでランディングページへの遷移率を増加させるための静止画を格納している。
【0031】
集計部230は、動画広告の生成回数、ランディングページに遷移した回数を集計・格納するデータ部である。集計部230からのデータは集計データ統合部180に送られ広告成果の管理データとなる。
【0032】
広告成果管理システム50は、広告主や広告代理店等から提供されるシステムであって、ランディングページに遷移したユーザが、その広告主のサイトでユーザ登録をしたか、あるいは商品・サービスを購入したか、等のデータ管理を司るシステムである。
【0033】
広告動画管理サイト60は、インストリーム広告動画サーバ200に格納される広告動画を管理し、動画紹介サイト20にアクセスしてきたユーザに興味を持ってもらえるインストリーム広告を選定する。インストリーム広告の選定は、インターネット上から得られるユーザの情報(履歴、性別、アクセスサイト等)と、広告動画管理サイトが保有するデータ、例えば過去の広告成果の情報(ランディングページへの移行数、購入履歴、インストリーム広告毎のコンバージョン率、インストリーム広告配信比率等)等のデータに基づいて人工知能の推論機構により行う。
【0034】
図2はインストリーム広告が再生される動作を視覚的に示した図である。動画紹介サイト20のウェブページは、図2(a)に示すような、動画再生枠のサイズ、その位置等を規定するスクリプトが記載され、紹介動画が視聴者の端末に表示される。
【0035】
ここで、動画紹介サイト20の閲覧動画再生枠には、図2(b)、(c)に示すように透明枠23がほぼ隙間なく重なるように生成されている。このためユーザ10が閲覧動画22のプレイボタンをクリックしても閲覧動画の再生は開始されない。プレイボタンを含め透明枠23内をユーザがクリックするとインストリーム広告(本実施の形態ではプレロール広告)が再生される。
【0036】
図3は、ユーザが透明枠23内をクリックしたときに再生されるインストリーム広告24、インストリーム広告の再生に伴い表示されるランディングページ等を示した図である。インストリーム広告24には、再生開始から所定の時間、例えば6秒経過後にスキップボタンが表示される。スキップボタンがクリックされると、インストリーム広告は終了し、当初表示されていた閲覧動画22の画面となる。このとき先に生成された透明枠23は消滅し、動画を再生するプレイボタンは有効となり、ユーザのプレイボタンのクリックで閲覧動画が再生される。
【0037】
インストリーム広告に興味を持ったユーザが、インストリーム広告内のどこかをクリックすると、端末の表示はランディングぺージへと遷移する。ランディングページでは、広告主の商品やサービスが広告クリエイティブとして表示される。このように本発明によれば、閲覧動画22の動画再生枠内にインストリーム広告が表示されるので、動画配信サイトのインストリーム広告のようにインストリーム広告が再生される。
【0038】
図4は本発明の実施形態の係るインストリーム広告、閲覧動画の再生の流れを示すフローチャートである。先ず、動画紹介サイト20のホームページのスクリプトが読み込まれる(S1)。次に、動画紹介サイト20にアクセスしてきたユーザの閲覧履歴をチェックし、インストリーム広告24を所定の時間内、例えば24時間以内に再生した履歴が有無をチェックする(S2)。
【0039】
インストリーム広告24を所定の時間内に再生した履歴があれば、閲覧の再生が可能である動画を表示する。所定の時間内にインストリーム広告を再生した履歴がなければ閲覧動画再生枠が在るか否かをチェックし(S4)、無ければスクリプトは終了(動画を再生)する(S5)。動画再生枠があれば、動画紹介サイトが本システムの管理下にあるか否かをチェックし(S6)、管理下になければスクリプトは終了(動画を再生)する(S7).
【0040】
動画紹介サイトが管理下にあれば、動画紹介サイト20にアクセスしてきたユーザに関する情報(履歴、性別等)を広告動画管理サイト60に送信する(S8)。広告動画管理サイト60は、送られてきたユーザに関連する情報と、内部に格納している情報、例えば、過去に広告主のサイトに遷移(ランディング)した情報、商品等の購入履歴、インストリーム広告毎の閲覧時間等のデータを人工知能の推論機構により分析し、当該ユーザが興味を持つと思われるインストリーム広告を選定し、インストリーム広告管理サーバ40にその指示出し(S9)、透明枠を生成し、その動画再生枠に透明枠をほぼ隙間なく重ねて(動画再生枠に合わせて)生成する(S10)。
【0041】
動画再生枠の上に生成された透明枠から閲覧動画の再生がクリックされるとインストリーム広告が再生され(S11)、再生から一定時間、例えば6秒後にインストリーム広告のスキップボタンが表示、有効化される(S12)。
【0042】
スキップボタン以外のインストリーム広告内がクリックされると(S13)、広告主のサイトであるランディングページに遷移し、ユーザの端末には広告サイトが表示される(S14)。スキップボタンがクリックされると(S15)、閲覧動画の上に生成された透明枠が消去され(S16)、閲覧動画の再生が可能となる(S17)。また、スキップボタンがクリックされなければ、インストリーム広告が終了するまで再生され、その後、透明枠が消去され(S14)、閲覧動画の再生が可能となる(S18)。
【0043】
図5は、ユーザの端末において再生されるインストリーム広告と、その再生比率(配信比率)、広告主の広告サイトのURL(ランディングページ)、及びインストリーム広告が終了した際に表示する静止画の一覧を示した図である。図5(a)は、動画紹介サイトAで再生されるインストリーム広告(#1~#5)の配信比率(#1は10%、#2は30%等)と、それぞれの広告URL、インストリーム広告が終了した際に表示する静止画(#1はend.com、#2はtest.com等)を示している。
【0044】
図5(b)は、動画紹介サイトBで再生されるインストリーム広告(#1~#5)の配信比率(#1は20%、#2は30%等)と、それぞれの広告URL、インストリーム広告が終了した際に表示する静止画(#1はend.com、#2はover.com等)を示している。
このように動画紹介サイト毎に再生するインストリーム広告を変える、またその配信比率を変えることにより、広告効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態に係るインストリーム広告配信システム1の概略構成を示すブロック図である。
図2】インストリーム広告が再生される動作を視覚的に示した図である。
図3】インストリーム広告と、遷移した広告ウェブサイトを示す図である。
図4】本発明の実施形態の係るインストリーム広告、閲覧動画の再生の流れを示すフローチャートである。
図5】インストリーム広告とその配信比率等を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
1 インストリーム広告配信システム
20 動画紹介サイト(インストリーム広告サイト)
30 動画配信サイト
40 インストリーム広告管理システム
50 広告成果管理システム
60 広告動画管理サイト
100 インストリーム広告管理サーバ
110 広告データ設定部
120 ユーザインターフェイス設定部
130 インストリーム広告表示間隔設定部
140 広告配信設定振分け部
150 動画紹介サイトデータ管理部
160 動画静止画連動部
170 広告ステータス検知部
180 集計データ統合部
200 インストリーム広告動画サーバ
210 動画データ部
220 静止画データ部
230 集計部
300 サイト連携部

図1
図2
図3
図4
図5