(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】医療用糸挿入器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2020545023
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 KR2018012215
(87)【国際公開番号】W WO2019139230
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-05-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0003809
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520167162
【氏名又は名称】オーブイ メディ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OV MEDI CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2F,117,Gongdan-ro Gunpo-si,Gyeonggi-do 15847,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】カン、グン ギュ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0049972(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1237399(KR,B1)
【文献】特表2015-504722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/04
A61B17/06
A61B17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面にトゲ(110)が形成された医療用糸(100)と;
前記医療用糸(100)が挿入できるように内部が中空となっており、所定の長さ(L1)を有する針(210)を含む針部(200)と;
前記針(210)が挿入できるように内部が中空となっており、皮膚の内側に挿入され、前記針の長さ(L1)よりも短い長さ(L2)を有するチューブ(310)を含むチューブ部(300)と;を含み、
前記医療用糸(100)は前記針(210)の内部から先端部で折り返して、前記針(210)の外側かつ前記チューブ部(
300)の内側の領域に通し、
前記医療用糸(100)の内蔵された針部(200)が挿入されたチューブ部(300)が皮膚組織(S)に挿入されたとき、前記針(210)が前記皮膚組織(S)に挿入されるほど前記チューブ(310)と前記針(210)の長さ差によって前記針(210)の末端部分が前記チューブ(310)の外側に突出することで、前記針(210)の外側にある前記医療用糸(100)の前記トゲ(110)が皮膚組織(S)に露出する構成であって、
チューブ(310)を軟性のプラスチック材質または人体用シリコンで形成し、
前記針(210)の末端部が抜け出る前記チューブ(310)の末端部の内径(d2)は、前記針(210)の外径(D)よりも小さくし、
前記針(210)が前記皮膚組織(S)内に挿入される時にチューブ(310)の末端部が変形して拡がる
ことを特徴とする医療用糸挿入器具。
【請求項2】
前記針(210)と前記チューブ(310)との長さ方向の相対的な位置関係を維持させるための連結部(400)をさらに含み、前記医療用糸(100)の内蔵された針部(200)が挿入されたチューブ部(300)が皮膚組織(S)に挿入された後に
前記連結部(400)が除去可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用糸挿入器具。
【請求項3】
前記針部(200)は、前記針(210)の一側端部に連結され、外周面側に長さ方向に溝または突起(230)が形成された針ガイダー(220);をさらに含み、
前記チューブ部(300)は、前記チューブ(310)の一側端部に連結され、内周面側に長さ方向に前記針ガイダーの溝または突起(230)と対応するように突起または溝(330)が形成されるため、前記針ガイダー(220)の溝または突起(230)が内側に挿入されるチューブガイダー(320);をさらに含む、請求項1に記載の医療用糸挿入器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に医療用糸を簡単に挿入することができる医療用糸挿入器具に関し、より詳細には、人体の皮膚組織に医療用糸をスムーズに挿入することができるように医療用糸の挿入を案内し、挿入器具を除去する場合にも、医療用糸が皮膚組織から引き出されて副作用の危険性を最小限に抑えることができ、挿入器具の挿入による損傷した皮膚組織の円滑な回復力を提供するために、皮膚組織と医療用糸との間に生体注入物質を投入することができる医療用糸挿入器具及びこれを用いた医療用糸挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療用糸は、手術後に切開された手術部位を縫合するために使用されている。縫合後に傷が癒えると、使用した糸を皮膚から除去する手術を行わなければならなかった。これは患者に不便さをもたらした。
【0003】
医療技術の開発によって、手術部位の縫合時間を短縮させ、一定時間が経過して手術部位が回復すると、使用された医療用糸が自然に生分解され、これを除去するための別途の手術が不要になることもあった。
【0004】
また、医療用糸は、外科的縫合に加えて、顔、首、腕などのしわの多い皮膚に挿入され、これを牽引した後、固定して皮膚のしわを除去するための手術方法が脚光を浴びている。さらに、脊椎の痛み、膝などの関節炎などの治療用、すなわち関節周辺の筋肉強化用に使用されることもある。
【0005】
このような手術方法に使用される医療用糸は、中心ストランドの外側面に突設されるトゲが形成されている。皮膚組織に挿入されて医療用糸を牽引させるときに、このトゲによって皮膚組織の牽引を容易にする。皮膚組織の牽引を容易にし且つ長い間維持させるために、トゲの突出方向を互いに異ならせるか、トゲの形成位置及び間隔を変更させるなど、医療用糸の技術力が次第に向上している傾向にある。
【0006】
手術に必要な医療用糸は、外部に長時間露出するか、或いは皮膚内への挿入後に牽引する過程を経ることにより、異物などから汚染するおそれがある。汚染した医療用糸などにより皮膚組織が損傷してしまい、手術された部位が腫れて回復期間が長くなるなどの問題点が生じた。
【0007】
また、手術者が望まない部位に間違って手術する場合、挿入された医療用糸を除去しなければならないことが発生するが、医療用糸のトゲの形状により皮膚組織が剥ぎ取られるなどの損傷が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、医療用糸が皮膚に挿入されるときに皮膚組織の損傷を最小限に抑えることができ、手術位置を変更しようとするときに挿入器具を皮膚組織から引き出しても特別な副作用が発生しない医療用糸挿入器具を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、医療用糸が皮膚組織に挿入されるときに皮膚組織との接触を最小限に抑え、医療用糸の表面に形成された突起の破損を防止することができ、皮膚組織と医療用糸の相互間の固定支持力を向上させて手術による副作用の発生を最小限に抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外面にトゲ110が形成された医療用糸100;前記医療用糸100が挿入できるように内部が中空となっており、所定の長さL1を有する針210を含む針部200;及び前記針210が挿入できるように内部が中空となっており、皮膚の内側に挿入され、前記針の長さL1よりも短い長さL2を有するチューブ310を含むチューブ部300;を含み、前記医療用糸100の内蔵された針部200が挿入されたチューブ部300が皮膚組織Sに挿入されたとき、前記針210が前記皮膚組織Sに挿入されるほど前記チューブ310と針210の長さ差によって前記針210の末端部分が前記チューブ310の外側に突出することができる。
本発明において、前記突出した針210の末端部分の外側に、前記トゲ110の形成された医療用糸100の一部が皮膚組織Sに露出することができる。
【0011】
本発明は、前記針210と前記チューブ310との間隔を維持させるための連結部400をさらに含み、前記医療用糸100の内蔵された針部200が挿入されたチューブ部300が皮膚組織Sに挿入された後に除去できる。
本発明において、前記針210の末端部が抜け出る前記チューブ310の末端部の内径d2は、前記針310の外径Dよりも小さくてもよい。
【0012】
本発明の前記針部200は、前記針210の一側端部に連結され、外周面側に長さ方向に溝または突起230が形成された針ガイダー220;をさらに含み、前記チューブ部300は、前記チューブ310の一側端部に連結され、内周面側に長さ方向に前記針ガイダーの溝または突起230と対応するように突起または溝330が設けられるため、前記針ガイダー220の溝または突起230が内側に挿入されるチューブガイダー320;をさらに含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、医療用糸の内蔵された針とチューブを同時に皮膚組織に挿入することにより、迅速な手術が行われるようにした。皮膚組織に挿入されるときには、医療用糸が皮膚組織と直接接触しないようにすることにより、間違って挿入されて校正が必要なときにトゲが損傷する現象を防止するようにした。また、医療用糸が外部に露出して汚染してしまうことを防止するようにした。
また、本発明は、チューブに生体物質を注入して皮膚組織内に浸透させることにより、医療用糸と皮膚組織の相互間の生着率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る医療用糸に対する概念図である。
【
図2】本発明に係る医療用糸に対する別の概念図である。
【
図3】本発明の医療用糸挿入器具に対する概念図である。
【
図4】本発明の医療用糸挿入器具に対する別の概念図である。
【
図5】(a)乃至(c)は本発明の医療用糸挿入器具を活用して医療用糸を挿入する手順を示す概念図である。
【
図6】(a)及び(b)は本発明の医療用糸挿入器具を活用して医療用糸を挿入する手順を示す別の概念図である。
【
図7】本発明に係る医療用糸を皮膚組織に挿入した後に牽引された皮膚を示す概念図である。
【
図8】(a)及び(b)は本発明に係る医療用糸挿入器具の一実施形態に対する概念図である。
【
図9】(a)乃至(c)は本発明に係る医療用糸挿入器具の他の実施形態に対する概念図である。
【
図10】(a)及び(b)は本発明に係る医療用糸挿入器具の別の実施形態に対する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の医療用糸挿入器具の一実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2を参照すると、医療用糸100は、茎120を中心に外周面に少なくとも一つのトゲ110が突設されている。トゲ110は、茎の長さ方向に所定の角度をなして傾設される。中心Oを基準に左右対称にトゲ110が形成されたことが好ましい。
図2を参照すると、中心Oを基準に半折りにしたときにトゲ110の方向が一致することが好ましい。
図1及び
図2に示すように、トゲ110は互いに異なる方向をなして形成できる。
図1及び
図2に示すように、トゲ110の方向が互いに対向するように構成したことは、手術過程で端部121、122を把持して牽引するときにはいずれかの方向に突出したトゲ111によって牽引力が作用する方向に皮膚をリフトさせるためである。牽引を停止すると、別の方向に突出したトゲ112によって牽引力が作用する方向の反対方向に皮膚がリフトすることができる。
【0017】
図3を参照すると、前述したような医療用糸100を皮膚に挿入してリフトするために、針部200及びチューブ部300を含む医療用糸挿入器具が使用できる。
【0018】
図3を参照すると、針部200は、所定の長さL1を有し、医療用糸100が内部に挿入できるように中空となっている針210を含む。また、針210の一側端部に結合された針ガイダー220を含むことができる。
【0019】
針210は、中空の円筒状を維持することにより、医療用糸100が内部に挿入できる。針210は、医療用ステンレス、チタン、マグネシウムなどの材質で製造できる。針210の末端部分の形状ないし構造に対する様々な実施形態は、
図3及び
図10を参照して実施例4で説明する。
【0020】
図3を参照すると、チューブ部300は、所定の長さL2を有し、針210が内部に挿入できるように中空となっているチューブ310、及びチューブ310の一側端部に結合されたチューブガイダー320を含むことができる。チューブ310は、所定の長さに延設され、両側が開放された円筒形状からなる。チューブ310は、軟性のプラスチック材質で製作できる。または、人体用シリコンなどで製造できる。
図8を参照すると、チューブ310の内径d1は、後述する針部200の針210の外径Dと同じかそれより大きい直径を維持することが好ましい。これについては実施例2で詳述する。
【0021】
図5を参照すると、チューブガイダー320は、チューブ310の他側に形成され、針部200と向き合うチューブガイダー320の一側には支持突起321が突設され得る。支持突起321に連結部400が挿入または支持されることにより、連結部400を強固に固定することができる。これについては実施例1で詳述する。
【0022】
図3に示すように、医療用糸100の1/2程度は針210の内側に挿入されており、残りは針210の外側に配置される。医療用糸100の一部が挿入された針部200をチューブ部300のチューブ310の内側に挿入させる。医療用糸100の内蔵された針210をチューブ310に挿入させると、針210の外部に露出した医療用糸100は、チューブ310の内周面と針210の外周面との間に配置される。
【0023】
皮膚に挿入した後、針部200を抜き取るまで、針210に挿入された医療用糸100の折り曲げられた部分113または医療用糸100のトゲ110がチューブ310の外側に露出しないようにすることが好ましい。これは、医療用糸100が外部に露出することにより発生しうる汚染を防止するとともに、不適切な位置に針が挿入されたときにその校正を容易にするためである。
【0024】
以下の実施例は、互いに独立した実施例であり得る。ユーザーの必要に応じて実施例を混用したり加えたりして実施できることを明らかにしておく。これにより、重複する記載はなるべく控えて記述した。
このための実施例は、次のとおりである。
[実施例1]
図4を参照すると、実施例1による医療用糸挿入器具は、医療用糸100、針部200、チューブ部300及び連結部400を含む。
医療用糸100、針部200及びチューブ部300は、前述したところによる。
【0025】
図4及び
図5(a)を参照すると、連結部400は、医療用糸100が内蔵された針210の末端部がチューブ310の端から突出することにより、医療用糸100のトゲ110が露出しないように針部200とチューブ部300とを一定間隔離隔させる。
【0026】
図4及び
図5(a)を参照すると、連結部400は、針部200とチューブ部300との間に位置する。連結部400は、針部200またはチューブ部300に固定されてもよい。
図5(b)に示すように、手術過程において、連結部400は除去できる。連結部400は、ユーザーが所望する場合、簡単に連結部400を着脱させることができる構造となってもよい。
【0027】
図4を参照すると、連結部400は、第1弾性部410、第2弾性部420及び把持部430を含む。第1弾性部410は、所定の長さを有し、チューブ部300の一側に備えられた支持突起321と結合されて固定できる。第1弾性部410は、一定の曲率半径を描いて形成され、弾性を持つことができる。
【0028】
図4及び
図5(a)に示すように、第2弾性部420は、第1弾性部410と対称を成すが、一側が第1弾性部410の一側と一体をなすように連結され、他側端は第1弾性部410の他側端と一定間隔離隔するように形成され、支持突起321に結合及び固定される。第2弾性部420も、所定の長さを有するように形成され、第1弾性部410と一緒に針部200とチューブ部300とを一定間隔離隔させることができる。第1弾性部410と第2弾性部420との離隔空間に、針部200の外部に露出した医療用糸100が通過する。
【0029】
図4及び
図5(a)を参照して、把持部430は、チューブ部300から連結部400を脱着させるとき、第1弾性部410及び第2弾性部420の一側に牽引するための目的を持つ。把持部430は、第1弾性部410及び第2弾性部420の外側にユーザが把持し得るように突設できる。
【0030】
図5(a)乃至
図5(c)を参照すると、医療用糸100、針部200及びチューブ部300が一体に皮膚組織Sに挿入された後、連結部400を脱着させる。その後、針部200を一定圧力で加圧すると、医療用糸100が内蔵された針210の末端部分の一部がチューブ310の端部からさらに引き出される。
【0031】
図5(c)を参照すると、さらに引き出される分だけチューブ310の外に露出する医療用糸100の一部が皮膚組織Sと接触する。接触した医療用糸100の外周面にはトゲ110が形成されていることが好ましい。針部200がチューブ部300から引き出されるとき、引き出されたトゲ110が皮膚組織Sにかかる。
図6(a)に示すように、針部200を除去しても、医療用糸100は、針部200と一緒に抜け出ないので、チューブ310の内側に位置する。
【0032】
手術者の不注意でチューブ部300を皮膚組織の所望の部位ではないところに挿入した場合を仮定する。
図5(c)のように連結部400を除去し、針部200を皮膚の中に入れた場合ではなければ、皮膚組織Sにトゲ110がかかった状態ではないので、医療用糸100が皮膚組織Sと接触していないため、直ちにチューブ部300を皮膚組織Sから容易に引き出すことができ、これによる副作用ないし医学的リスクを減少させることができる。トゲ110が皮膚組織Sにかかって容易に抜け出せなくなるか、或いは無理に医療用糸100を抜きながら皮膚組織S及びトゲ110が損傷することを防止することができる。
次に、これを参照して医療用糸挿入方法について説明する。
【0033】
図5(a)に示すように、医療用糸100の内蔵された針部200が挿入されたチューブ部300を皮膚組織Sに挿入する。挿入の際に、手術者は針部200とチューブ部300または連結部400を把持して皮膚に挿入させることができる。
【0034】
連結部400が針部200とチューブ部300との間隔を維持させる。よって、
図5(a)に示すように、針210の末端部分がチューブ310の先端に少しだけ突出している。または全く突出しないようにすることもできる。
図5(b)に示すように、挿入後、連結部400をチューブ部300から除去させる。
【0035】
図5(c)に示すように、針部200を皮膚組織Sの内部に一定の長さだけさらに押し込む。針部200の針210とこれに一部が内蔵された医療用糸100がチューブ310の内側から皮膚組織S側へより押し出される。皮膚組織Sに押し出された医療用糸100に形成されたトゲ110が皮膚組織Sに接触する。接触したトゲ110の角度により、この皮膚組織Sに固定された状態を維持することができる。
【0036】
図6(a)に示すように、針部200を引き出す。皮膚組織Sに接触したトゲ110によって、医療用糸100は針部200と一緒に付いてこない。チューブ部300の内側に医療用糸100が置かれる。
【0037】
図6(a)に示すように、針部200を除去した後、生体物質を注入することができる。生体物質は、別途の道具500を介して皮膚の内側に注入できる。生体物質は、生体適合性物質であって、キトサン(Chitosan)、ポリエチレン(polyethylene)、PTFT(Poly tetrafluoroethyelene)、ポリ乳酸グリコール酸(Poly D,L-lactic-co-glycolic acid)、ポリ乳酸(Poly lactic acid)、ポリグリコール酸(Poly glycolic acid)、ポリカプロラクトン(Poly caprolactone)、ポリバレロラクトン(Poly valerolactone)、ポリヒドロキシブチレート(Poly hydroxy butylate)、ポリヒドロキシバリレート(Poly hydroxyvalerate)及びこれらの共重合体からなる物質に該当することができる。そして、生体物質は、円滑な注入と組織再建効果の増大のためにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、コラーゲン(Collagen)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、人体の細胞、細胞培養液およびこれらの組み合わせで構成できる。
図6(b)に示すように、チューブ部300を除去する。医療用糸100のみ皮膚組織S内に位置するように、チューブ部300を皮膚組織Sから引き出す。
その後、皮膚の表面に露出した医療用糸100を一側に牽引させる。医療用糸100は、手術目的に応じて様々な方向に牽引できる。
【0038】
このような構成による本発明の医療用糸は、針部200、医療用糸100及びチューブ部300を同時に皮膚組織Sに挿入することにより、手術を迅速に行うことができ、多数のトゲ110と皮膚組織Sの相互間の接触現象を最小限に抑え、医療用糸100が皮膚組織Sに挿入されるときにトゲ110が損傷する現象を防止することができるという利点がある。
【0039】
また、本発明は、医療用糸100の一部を皮膚組織Sに一定の深さ挿入することにより、皮膚組織Sに挿入された針210を除去するときに針210と一緒に医療用糸100が引き出されることを防止することができ、生体物質を注入して医療用糸100と皮膚組織Sの相互間の生着率を向上させることができる。
[実施例2]
皮膚組織Sに挿入される前に針210に一部挿入された医療用糸100がチューブ310の末端部に露出することを最大限に防止する。
【0040】
図8に示すように、チューブ310の末端部分に行くほど厚さが次第に減少することができる(T>t)。皮膚への挿入を容易にするためである。一方、チューブ310の内径も減少することができる(d1>d2)。チューブ310の端部側の内径d2は針210の外径Dよりも小さいことが好ましい。
【0041】
針の外径Dがチューブ310の端部側の内径d2よりも大きいことにより、医療用糸の内蔵された針210がチューブ310に自然に露出することは難しくなる。
【0042】
前述したように、チューブ310は、軟性のプラスチック材質または人体用シリコンなどで製作できる。このため、
図8に示すように、皮膚に挿入された後、針部200の端部側に圧力を与える場合には、チューブ310の末端部が広がりながら、針部210がチューブ310の外側に露出するから、
図5(c)と同様に医療用糸100に形成されたトゲ110が皮膚組織Sに露出することができる。その後、針部200及びチューブ部300を順次除去する。皮膚組織Sに残された医療用糸100を用いて、リフティングなどの様々な医療的目的で使用できる。
[実施例3]
【0043】
図9(a)乃至(c)に示すように、針部200の針ガイダー200の外周面側に溝または突起230をその長さ方向に形成させることができる。これに対応するように、チューブ部300のチューブガイダー320の内側に突起または溝330を形成させることができる。
【0044】
図9(a)及び(b)を参照すると、針ガイダー200の突起230がチューブガイダー320の溝330に挿入される前には、針に内蔵された医療用糸100がチューブ210の外側に突出しない。
【0045】
図9(c)を参照すると、皮膚組織Sに挿入した後、針ガイダー200の突起230をチューブガイダー320の溝330に合わせて挿入すると、挿入される長さだけ針の末端部分及び医療用糸の一部が突出する。
その後、針部200及びチューブ部300を順次除去する。皮膚組織Sに残された医療用糸100を用いて、リフティングなどの様々な医療目的で使用できる。
[実施例4]
医療用糸100の末端部がチューブ310の末端部に露出することを最大限に防止するために、
図10を参照して説明する。
図10(a)および(b)を参照すると、針の末端部は閉鎖し、側面の一側にホールを穿孔(240)して医療用糸を引き出すことができる。
【0046】
図10(b)を参照すると、事故防止などのために、針の末端部を鋭く形成させた
図10(a)とは異なり、所定の曲率を有する丸い形状に端部を形成させることができる。
【0047】
図10に示すように針の末端部分の一側から医療用糸が折り曲げられて出てくるので、
図5(a)に示すように医療用糸の末端部分が露出することを防止することができる。