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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】携行可能な組み立て式テーブル
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/06 20060101AFI20240424BHJP
   A47B 3/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A47B3/06 D
A47B3/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023133860
(22)【出願日】2023-08-21
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515145722
【氏名又は名称】株式会社タナクロ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】長妻 正人
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-097671(JP,A)
【文献】実開平04-034929(JP,U)
【文献】実開昭53-086102(JP,U)
【文献】実開昭61-156527(JP,U)
【文献】実開昭62-148066(JP,U)
【文献】実開平02-105737(JP,U)
【文献】中国実用新案第2838390(CN,Y)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0005062(KR,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0005364(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/06
A47B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を二分割したテーブルで、分割された天板の2つの長辺に、脚部が収納できる適宜高さの縁部を設け、分割された天板の片側の縁部は軸により連結されて二つ折り可能に形成し、天板裏面に脚部を収納することができる携行可能な組み立て式テーブルであって、
前記脚部は、収納時に天板に収まる長さの4本の脚体と、可撓性線材のX字状の補強部を備えており、

前記天板は、4つの頂点近傍に差込部と、天板の縁部に返し部を備えており
前記脚体は、各先端にツメ部と被係合部を備えており、
前記差込部に前記ツメ部が挿入され、前記返し部と前記被係合部が係合する

ことを特徴とする組み立て式テーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の組み立て式テーブルであって、
前記X字状の補強部は、4つのL字体を備えており
前記L字体は上辺部と下足部から構成され、
前記4つのL字体の上辺部はX字状に交差されるよう前記補強部の中心部で回転可能に連結されており、
前記4つの脚体の基端部は、前記4つのL字体の下足部の先端部と回転可能に各々連結されており、
使用時には4つの脚体の基端部が地面に接するように起立して脚として機能することを特徴とする組み立て式テーブル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組み立て式テーブルであって、
前記差込部は、前記ツメ部が挿入される際に隙間ができるよう設けられ、
前記被係合部は、前記ツメ部下端から前記被係合部上端までの距離と、前記天板の縁部の高さが同じになるよう位置する
ことを特徴とする組み立て式テーブル。
【請求項4】
請求項2に記載の組み立て式テーブルであって、
前記脚体は、使用時に前記下足部を収納できる適度な内部空間を備えることを特徴とする組み立て式テーブル。
【請求項5】
請求項1または2に記載の組み立て式テーブルであって、 前記天板にパンチング加工を施している
ことを特徴とする組み立て式テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量でコンパクトに収納でき、かつサイドテーブルとしての使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来キャンプ用テーブルとしては、携行可能な組み立て式テーブルが使用されており、天板の地上高を約100mmに抑えることで安定性と軽量性を両立させている製品が多い。このようなテーブルはバックパックに収納可能であるため、携行の利便性が向上している。しかしながら、これらのテーブルと共に使用される軽量チェアの座面高さは300~400mm程度に設定されており、その結果、座った状態で手を伸ばしてテーブルを使用する際、天板の高さが100mm程度のテーブルでは操作性が低下する問題が生じている。これは、サイドテーブルとしての使用を想定した場合に特に顕著である。サイドテーブルとして使用するには、天板の地上高は約300mmが望ましい。
したがって、軽量でコンパクトなチェアと一緒に携行できる形状を持ちつつ、十分な安定性を確保し、かつサイドテーブルとしての使用に適した天板の地上高を持つテーブルの開発が求められている。これら全ての要素を兼ね備えたテーブルは、利便性と操作性の向上に寄与すると考えられる。
【0003】
特許文献1の組み立て式テーブルは、軽量でコンパクトな携帯用の組立式テーブルであるが、天板の地上高は低いので、サイドテーブルとしての操作性がよくない。
また、特許文献2のキャンプ用折り畳みテーブルは、天板裏面内に折り畳み収納する短脚と、短脚の継ぎ脚体を設けることで高足となり、サイドテーブルとして使用できるが、その分重たく大きくなる。よってバックパックへの収納は難しく、軽量でコンパクトなテーブルではない。従って、軽量でコンパクトに収納でき、かつサイドテーブルとしての使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルが求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-70769
【文献】特開平10-165229
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の軽量でコンパクトに収納でき、かつサイドテーブルとしての使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
天板を二分割したテーブルで、分割された天板の両側の長手方向の辺部に、脚部が収納できる適宜高さの縁部を設け、分割された天板の片側の縁部は軸により連結されて二つ折り可能に形成し、天板裏面に脚部を収納することができる携行可能な組み立て式テーブルであって、前記脚部は、収納時に天板に収まる長さの4本の脚体と、可撓性線材のX字状の補強部を備えており、前記天板は、4つの頂点近傍に差込部と、天板の縁部に返し部を備えており、前記脚体は、各先端にツメ部と被係合部を備えており、前記差込部に前記ツメ部が挿入され、前記返し部と前記被係合部が係合することを特徴とする組み立て式テーブルである。
【0007】
前記補強部は、4つのL字体を備えており、前記L字体は上辺部と下足部から構成され、前記4つのL字体の上辺部はX字状に交差されるよう前記補強部の中心部で回転可能に連結されており、前記4つの脚体の基端部は、前記4つの前記L字体の下足部と回転可能に各々連結されており、使用時には4つの脚体の基端部が地面に接するように起立して脚として機能することを特徴とする組み立て式テーブルである。前記差込部は、前記ツメ部が挿入される際に隙間ができるよう設けられ、前記被係合部は、前記ツメ部下端から前記被係合部上端までの距離と、前記天板の縁部の高さが同じになるよう位置することを特徴とする組み立て式テーブルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、組み立て式テーブルは、軽量でコンパクトに収納できるにもかかわらず、サイドテーブルとしての使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルが提供される。すなわち、この収納機構と構造により、バックパックで携行できるようなコンパクトな収納形態でありながら、サイドテーブルの用途に適した天板高さを有し、実に実用的な安定性を実現させる。
また、前記天板にパンチング加工を施していることで軽量になり、持ち運び時の利便性を向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の組み立て式テーブルの収納時を示す斜視図である。天板1は二つ折りが可能であり、天板1は、分割した天板11aと天板11bを備えている。
天板1の裏面に脚部2を収納する。前記天板1は、軽量にするために、パンチング加工を施しているのが好ましい。また天板の素材はアルミが好ましいが、それに限られるものではない。
【0010】
図2は、収納時の天板を開いた時の組み立て式テーブルを示す斜視図である。天板11aは、天板の2つの長辺に、脚部が収納できる適宜高さの縁部12aと12a’を設けている。同様に天板11bは、天板の2つの長辺に脚部が収納できる適宜高さの縁部12bと12b’を設けている。縁部12a’と縁部12b’は、軸14により連結されている。
すなわち、前記分割された天板11aと天板11bは、軸14により連結されて二つ折り可能に形成し、天板裏面に脚部2を収納することができる。
【0011】
図3は、収納時の脚部2を示す斜視図である。脚部2は、収納時に天板に収まる長さの4本の脚体2a、2b、2c、2dとX字状の補強部3を備えている。組み立てると、図12のようになる。
前記X字状の補強部3は、4つのL字体の可撓性線材31a、31b、31c、31dを備えている。前記L字体31aは上辺部311aと下足部312aから構成される。同様に、前記L字体31bは上辺部311bと下足部312bから構成され、L字体31cは上辺部311cと下足部312cから構成され、L字体31dも上辺部311dと下足部312dから構成されている。
前記4つのL字体の上辺部311a~311dは前記補強部の中心でX字状に交差されるよう回転可能に連結されている。
L字体の素材はバネ性のあるもの、例えばステンレス、SWやSWPが好ましいが、それに限られるものではない。
【0012】
図4~7は、脚部2を天板1から取り出して、組み立てる手順を示す説明図である。
【0013】
図4において、4本の脚体2a~2dを補強部3の外側方向に回転させる。
脚体2aと2bは、脚体の基端部を中心に(図の)左側方向へ約270度回転させることができる。
脚体2cと2dは、脚体の基端部を中心に(図の)右側方向へ約270度回転させることができる。
【0014】
前記脚体2aは、外側方向に約270度回転させたときに、前記下足部312aとぶつかることなく、前記下足部312aを内部に収めることができる。
すなわち、前記脚体2aは、使用時に前記下足部312aを収納できる適度な内部空間を備える。
【0015】
前記脚体2a~2dは、使用時に前記下足部を収納できる適度な内部空間を備えることを特徴とする組み立て式テーブルである。
【0016】
脚体2aは、脚体2aの基端部21aで、補強部の下足部312aと回転可能に連結しており、脚体2aの基端部21aを中心に補強部3の外側方向に回転させる。使用時には、脚体2aの基端部21aが、地面に接するよう起立し脚として機能する。
脚体2bは、脚体2bの基端部21bで補強部の下足部312bと回転可能に連結しており、脚体2bの基端部部21bを中心に補強部3の外側方向に回転させる。使用時には、脚体2 b の基端部21 bが、地面に接するように起立し脚として機能する。
脚体2cと 2dも同様に、使用時には、脚体2cの基端部21c、脚体2dの基端部21dが、地面に接するように起立し脚として機能する。
【0017】
すなわち、 前記4つの脚体の基端部は、前記4つの前記L字体の下足部と回転可能に各々連結されており、使用時には4つの脚体の基端部が地面に接するように起立し、脚として機能することを特徴とする組み立て式テーブルである。
【0018】
図5は、図4の脚体2aと2bを、脚体の基端部を中心に(図の)左側方向へ約270度回転し、脚体2c、2dを、脚体の基端部を中心に(図の)右側方向へ約270度回転して、起立させた状態である。
【0019】
図6は、図5で重なっていた脚体2aと脚体2b、脚体2cと脚体2dを開いた状態である。脚体2aの基端部21a、脚体2 bの基端部21 b、脚体2c の基端部21c、脚体2dの基端部21dの4つが地面に接するように起立し、脚体2a~2dがテーブルの4本の脚として機能していることを示す。
【0020】
また前記脚体2a~2dは、各々の先端にツメ部22a、22b、22c、22dを備えている。また前記脚体は被係合部23a、23b、23c、23dを備える。
【0021】
図7で、天板1は、略四角形の天板の頂点の近傍に穴状の差込部13a、13b、13c、13dを備える。前記差込部は、天板の中心から外側方向へ斜めの細長形状の穴である。
【0022】
前記脚体2a~2dは、各々の先端にツメ部22a、22b、22c、22dを備えており、それぞれ前記差込部13a、13b、13c、13dに挿入される。図8で、前記差込部13a~13dは、脚体が天板に固定されたときには垂直に起立するのでなく、天板の中心方向に傾斜するような位置に配置される。前記差込部には、ツメ部と差込部との間に意図的に隙間が設けられている。
【0023】
図9は、脚体を天板に固定したときにかかるテンションの方向を示した図である。
【0024】
図10に示すように、脚体のツメ部下端から前記被係合部上端までの距離は、天板の縁部12aの高さと同じである。すなわち、前記被係合部は、前記ツメ部下端から前記被係合部上端までの距離と、前記天板の縁部の高さが同じになるよう位置する。
【0025】
脚体を天板に固定する過程は次のように行う。
(1) 前記脚体2a の先端のツメ部22aを、差込部13aに天板の裏側から挿入し、
(2) 図6で脚体2aが垂直に起立している状態から図8のように天板の中心方向に傾斜する状態にし、
(3) 脚体の被係合部23aに天板の縁部の返し部15 aを係合し、
脚体2aは天板1に固定される。
【0026】
上記の過程(1) ~(3)を他の三つの脚体2 b ~2dについて順におこなう。順は特にこだわらない。
【0027】
脚体2aが垂直に起立している状態から図8のように天板の中心方向に傾斜する状態になるときに、可撓性線材である補強部3の弾性変形(たわみ)により、脚体2aに天板の中心から差し込み部に向かう放射方向にテンションがかかる。
可撓性線材の弾性変形(たわみ)を活用するものであるので、線材の素材はバネ性のあるものが好ましい。
【0028】
前記差込部には、ツメ部と差込部との間に意図的に隙間が設けられている。差込部にツメ部は挿入されているだけでテンションがかからず、上記過程の(3)に示す被係合部23aと天板の縁部の返し部15 aの係合にテンションがかかるようにするためである。
【0029】
図10に示すように、前記被係合部23a、23b は軸14と同じ高さになるようにする。
仮に軸と被係合部を結んだ線の水平方向にテンションをかけないとすると、図11のように、天板が水平にならない。
【0030】
すなわち脚体を天板に固定するために、前記天板は、4つの頂点近傍に差込部と、天板の縁部に返し部を備えており、前記脚体は、各先端にツメ部と被係合部を備えており、前記各差込部に前記各ツメ部が挿入され、前記返し部と前記被係合部が係合する。
【0031】
また、前記差込部は、前記ツメ部が挿入される際に隙間ができるよう設けられ、前記被係合部は、前記ツメ部下端から前記被係合部上端までの距離と、前記天板の縁部の高さが同じになるよう位置することを特徴とする組み立て式テーブルである。
【0032】
脚の補強部3はX字になっており、この部分に物を載せる事ができる。
【0033】
図12は、本発明の使用時の組み立て式テーブルを示す斜視図である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の組み立て式テーブルは、キャンプ、アウトドア活動、イベント、作業現場など、様々なシーンで活用できる。
軽量でコンパクトに収納できるにもかかわらず、サイドテーブルとして使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルが提供される。バックパックで携行できるような小型コンパクトな収納形態でありながらサイドテーブルの用途に適した天板高さを有し、実に実用的な安定性を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の組み立て式テーブルの収納時の斜視図である。
図2】天板を開いた時の組み立て式テーブルの斜視図である。
図3】収納時の脚部を示す斜視図である。
図4】本発明のテーブルを組み立てる手順を示す説明図である。
図5】本発明のテーブルを組み立てる手順を示す説明図である。
図6】本発明のテーブルを組み立てる手順を示す説明図である。
図7】本発明のテーブルを組み立てる手順を示す説明図である。
図8】本発明のテーブルの組み立て時の平面図と、脚部の図である。
図9】本発明の組み立て時の脚体のテンションの方向を示す図である。
図10】本発明の組み立て時の脚体のテンションの方向を示す図である。
図11】本発明の組み立て時の脚体のテンションの方向を示す比較例の図である。
図12】本発明の使用時の組み立て式テーブルを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 天板
11a 11b 分割された天板
12a 12a’ 12b 12b’天板の縁部
13a 13b 13c 13d 天板の差込部
14 軸部
15a 15b 天板の縁部の返し部
2 脚部
2a 2b 2c 2d 脚体
21a 21b 21c 21d 脚体の基端部
22a 22b 22c 22d 脚体のツメ部
23a 23b 23c 23d 脚体の被係合部
3 補強部
31a 31b 31c 31d L字体
311a 311b 311c 311d L字体の上辺部
312a 312b 312c 312d L字体の下足部
【要約】      (修正有)
【課題】軽量でコンパクトに収納でき、かつサイドテーブルとして使用に適した天板の地上高を持つ、携行可能な組み立て式テーブルを提供する。
【解決手段】天板を二分割したテーブルで、分割された天板の2つの長辺に、脚部が収納できる適宜高さの縁部を設け、分割された天板の片側の縁部は軸により連結されて二つ折り可能に形成し、天板裏面に脚部を収納することができる携行可能な組み立て式テーブルであって、前記脚部は、収納時に天板に収まる長さの4本の脚体と、可撓性線材のX字状の補強部を備えており、前記天板は、4つの頂点近傍に差込部と、天板の縁部に返し部を備えており、前記脚体は、各先端にツメ部と被係合部を備えており、前記各差込部と前記各ツメ部が係合し、前記返し部と前記被係合部が係合することを特徴とする組み立て式テーブルである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12