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特許7477929バイオガスプラント、バイオガス生成処理方法及びバイオガス生成処理残渣物
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  • 特許-バイオガスプラント、バイオガス生成処理方法及びバイオガス生成処理残渣物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】バイオガスプラント、バイオガス生成処理方法及びバイオガス生成処理残渣物
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/65 20220101AFI20240424BHJP
   B09B 3/45 20220101ALI20240424BHJP
   C10L 5/48 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B09B3/65 ZAB
B09B3/45
C10L5/48
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023189776
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517045093
【氏名又は名称】タオ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅波 耕三
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-294969(JP,A)
【文献】特開2005-052692(JP,A)
【文献】特開2023-030317(JP,A)
【文献】特開2020-073265(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114378105(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/65
B09B 3/45
C10L 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活ごみ、食料残渣、家畜糞尿、植物残渣などの有機性廃棄物原料を受け入れる廃棄物原料受け入れ装置、メタン発酵槽投入前の前処理で廃棄物原料についてフライヤー又は水熱反応処理装置による高エネルギー化処理を行なう前処理装置、前処理後廃棄物原料を投入してメタン発酵するメタン発酵槽を備えた竪型乾式メタン発酵装置、発酵したメタンガスを含むバイオガスを回収するバイオガス回収装置、及びバイオガスを回収した後の乾燥処理残渣を回収する乾燥処理残渣回収装置を含んで構成されたバイオガスプラントにおいて、
乾燥処理残渣回収装置、乾燥処理残渣回収装置から乾燥処理残渣を受け入れ、乾燥処理残渣を水熱反応処理して、半炭化で粉体化状の半炭化粉体生成物を生成する水熱反応処理装置、生成された半炭化粉体生成物を回収する半炭化粉体生成物回収装置及び半炭化粉体生成物から半炭化ペレットを生成する半炭化ペレット生成装置からなる半炭化ペレット形成系統を設けたこと
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項2】
請求項1に記載されたバイオガスプラントにおいて、
該フライヤーで前記廃棄物原料を前記フライヤーに投入し廃油でフライ状にした廃棄物原料を当該水熱反応処理装置に投入し水熱反応処理して、前記竪型乾式メタン発酵装置に投入し、又は当該水熱反応処理装置で前記廃棄物原料を水熱反応処理した廃棄物原料を前記フライヤーに投入し廃油でフライ状にして、前記竪型乾式メタン発酵装置に投入すること
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項3】
請求項1に記載されたバイオガスプラントにおいて、
前記バイオガス回収装置を中央部に配置して外側に描くことが可能な円形線上に、複数の竪型乾式メタン発酵装置を互いに連接して配置し、当該複数の竪型乾式メタン発酵装置で生成されたバイオガスを中央部配置の前記バイオガス回収装置に回収すること
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項4】
請求項に記載されたバイオガスプラントにおいて、
前記円形線とは別の円形線上に、複数のバイオガス回収装置を互いに連接して配置し、前記竪型乾式メタン発酵装置の個数が前記バイオガス回収装置の個数の2倍になり、2個の竪型乾式メタン発酵装置から最も近接した1個のバイオガス回収装置にバイオガスが回収されること
を特徴とするバイオガスプラント。
【請求項5】
生活ごみ、食料残渣、家畜糞尿、植物残渣などの有機性廃棄物原料を受け入れる廃棄物原料受け入れ装置、メタン発酵槽投入前の前処理で廃棄物原料についてフライヤー又は水熱反応処理装置による高エネルギー化処理を行なう前処理装置、前処理後廃棄物原料を投入してメタン発酵するメタン発酵槽を備えた竪型乾式メタン発酵装置、発酵したメタンガスを含むバイオガスを回収するバイオガス回収装置、バイオガスを回収した後の乾燥処理残渣を回収する乾燥処理残渣回収装置、及び乾燥処理残渣回収装置の後処理で乾燥処理残渣を水熱反応処理する水熱反応処理装置を含んで構成されたバイオガスプラントを用いたバイオガス生成方法において、
当該水熱反応処理装置で水熱反応処理されて、半炭化で粉体化状の半炭化粉体生成物が生成され、生成された半炭化粉体生成物が回収され、及び回収された全量の半炭化粉体生成物から半炭化ペレットが生成されること
を特徴とするバイオガスプラントを用いたバイオガス生成方法。
【請求項6】
フライヤー又は水熱反応処理装置による高エネルギー化処理を行なった廃棄物原料を投入してメタン発酵するメタン発酵槽を備えた竪型乾式メタン発酵装置、発酵したバイオガスを回収するバイオガス回収装置、バイオガスを回収した後の乾燥処理残渣を回収する乾燥処理残渣回収装置、及び乾燥処理残渣回収装置の後処理で乾燥処理残渣を水熱反応処理する水熱反応処理装置を含んで構成され、
当該水熱反応処理装置で水熱反応処理されて、含水率が3~6%に半炭化されたものであって、基準原料3,300kcal/kgの木質チップの持つ発熱量に比べて1.5倍以上の発熱量倍数を持つ半炭化ペレットを生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガスプラント、バイオガス生成処理方法及びバイオガス生成処理残渣物に係る。

【背景技術】
【0002】
廃棄物系バイオガス、すなわち廃棄物原料の利用は、循環型社会の形成だけでなく、温室効果ガスの排出削減により地球温暖化に有効とされ、廃棄物原料のメタンガス化(すなわちバイオガス化)による処理方法が必要とされている。
【0003】
廃棄物原料のメタンガス化に多くの縦型乾式メタン発酵施設が提案されてきた。縦型乾式メタン発酵施設によって、さまざまな種類の廃棄物を原料にバイオガスを生成してエネルギーとして再活用されてきた。
【0004】
また、水熱反応処理装置が廃棄物原料のメタンガス化による処理方法に有効な方法として各種の水熱反応処理装置が提案されてきた。
【0005】
特許文献1には、メタン発酵工程とメタン発酵残渣の焼却工程とメタンガス回収工程とからなる有機性廃棄物の処理法が記載される。
【0006】
特許文献2には、縦型乾式嫌気性メタン発酵槽が記載される。
【0007】
特許文献3には、複数の発酵槽を用いての有機性廃棄物の処理方法が記載される。
【0008】
特許文献4には、亜臨界水処理を用いて、生ごみからのメタンの回収量を増加し、メタン発酵消化残渣を再度、亜臨界水処理して、メタンを回収し、メタン発酵消化残渣量を低減する高効率メタン発酵方法が記載される。
【0009】
特許文献5には、フライヤーで処理された粉砕樹皮フライ体を用いてメタン発酵させることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-216168号公報
【文献】特開平9-234498号公報
【文献】特許第4515825号公報
【文献】特開2013-34988号公報
【文献】特許第7153965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献に示されるようにメタン発酵槽、特に縦型乾式嫌気性メタン発酵槽を用いて高効率メタン発酵方法を採用するために、廃棄物原料を高エネルギー化する前処理を施すことが必要とされる。特許文献4あるいは5には、前処理として、亜臨界水処理、すなわち水熱反応処理あるいはフライヤーによるフライ化処理が示される。
【0012】
特許文献4には、メタン発酵消化残渣を再度、亜臨界水処理して、メタンを回収し、メタン発酵消化残渣量を低減する方法が記載されるが、処理後残渣を廃棄処理せずに有効活用することが記載されない。
【0013】
縦型乾式嫌気性メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法を採用し、循環型社会の形成するに当たっては、前処理で廃棄物原料を高効率メタン発酵させてバイオガスの回収量を増大することだけでは足りず、後処理においてバイオガスを採取した処理後残渣を廃棄処理することなく効率的に有効活用できるようにすることが求められる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みて、循環型社会を形成するに当たって、縦型乾式嫌気性メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法を採用し、前処理で高カロリー化をした廃棄物原料を使用することで高効率メタン発酵させたバイオガスを採取し、後処理でバイオガスを採取した後の処理後残渣を効率的に有効活用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、生活ごみ、食料残渣、家畜糞尿、植物残渣などの廃棄物原料を受け入れる廃棄物原料受け入れ装置、メタン発酵槽投入前の前処理で廃棄物原料の高エネルギー化処理を行なう前処理装置、前処理後廃棄物原料を投入してメタン発酵するメタン発酵槽を備えた竪型乾式メタン発酵装置、発酵したメタンガスを含むバイオガスを回収するバイオガス回収装置、及びバイオガスを回収した後の乾燥処理残渣を回収する乾燥処理残渣回収装置を含んで構成されたバイオガスプラントにおいて、
乾燥処理残渣回収装置、乾燥処理残渣回収装置から乾燥処理残渣を受け入れ、乾燥処理残渣を水熱反応処理して、半炭化で粉体化状の半炭化粉体生成物を生成する水熱反応処理装置、生成された半炭化粉体生成物を回収する半炭化粉体生成物回収装置及び半炭化粉体生成物から半炭化ペレットを生成する半炭化ペレット生成装置からなる半炭化ペレット形成系統を設けたこと
を特徴とするバイオガスプラントを提案する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理残渣回収装置の後流側に水熱反応処理装置を設けて、処理残渣を水熱反応処理して、粉体化し、半炭化ペレットを生成する半炭化ペレット形成系統を設けることができる。
【0017】
これによって、循環型社会の形成するに当たって、縦型乾式嫌気性メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法を採用し、前処理で高カロリー化をした廃棄物原料を使用することで高効率メタン発酵を行ってバイオガスを採取し、後処理でバイオガスを採取した後の処理後残渣を効率的に有効活用できるようにすることができる
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るバイオガスプラントの構成を示す図
図2】本実施例で採用される竪型乾式メタン発酵装置とバイオガス回収装置との配置関係を示す図
図3】本発明の実施例で用いられる水熱反応処理装置の構成の例を示す図
図4】木質チップについて、半炭化発熱量ピークゾーンにおける半炭化処理温度と発熱量との関係をX-Y軸座標に示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係るバイオガスプラントの構成を示す図である。
【0020】
図1において、バイオガスプラント100による廃棄物原料の処理は、A廃棄物原料収集・投入処理、B前処理、C発酵処理及びD後処理から構成される。
【0021】
A廃棄物原料収集・投入処理は、廃棄物原料収集・投入処理する工程である。
【0022】
この工程は、廃棄物原料収集手段(図示せず)による固体状、液体状の廃棄物原料1を収集し、形体大きさを調整する調整機3への投入2、受け入れた固体の廃棄物原料1を調整する調整機3による調整及び調整された廃棄物原料1からメタン発酵に不適な金属屑あるいは陶器屑を選別する選別機4によって選別して、粉砕された廃棄物原料1からこれらの屑物質を除外する作業によって構成される。
【0023】
廃棄物原料には、生活ごみ、食料残渣、家畜糞尿、植物残渣及び液状の廃棄物原料が含まれる。
【0024】
B前処理は、フライヤー5あるいは/及び水熱反応処理装置6による処理によって高カロリーを持つ廃棄物原料1を生成する工程である。
【0025】
フライヤー5は、粉体化された廃棄物原料1を油成分、典型的には、収集された廃油によってフライ化し、フライ化された廃棄物原料1とする。
【0026】
水熱反応処理装置6は、粉体化された廃棄物原料1を水熱反応処理で、破砕された半炭化の廃棄物原料1とする。
【0027】
フライヤー5には、コンベア手段7が接続され、フライ化された廃棄物原料1を破砕機8に導入する。フライ化、破砕された廃棄物原料1は、搬送機9に導入され、搬送機9によって竪型乾式メタン発酵装置12に搬送される。
【0028】
水熱反応処理装置6には、過熱機を備えたボイラー11が接続され、水熱反応処理に供される水蒸気が水熱反応処理装置6に導入される。
【0029】
水熱反応処理装置6は、反応容器6A、反応容器内に設置された攪拌器6B及び駆動装置6Cを含んで構成され、反応容器内で水熱反応処理によって廃棄物原料1を破砕し、半炭化する。
【0030】
水熱反応処理装置6で水熱反応処理によって破砕され、半炭化処理された廃棄物原料1は、搬送機9に導入され、搬送機9によって竪型乾式メタン発酵装置12に搬送される。
【0031】
竪型乾式メタン発酵装置12の前流側に、廃棄物原料を油性分でフライ状にするフライヤー5又は及び粉砕された廃棄物原料1を水熱反応処理する水熱反応処理装置を設け、廃棄物原料1を、フライヤーによるフライ処理あるいは水熱反応処理装置による水熱反応処理をすることができる。
【0032】
搬送経路を図1に示される搬送経路から変更して、廃棄物原料を油性分でフライ状にするフライヤー及び廃棄物原料を水熱反応処理する水熱反応処理装置を設け、フライヤーでフライ状にした廃棄物を水熱反応処理装置に投入して水熱反応処理して、メタンガスガス回収装置に投入し、又は水熱反応処理装置で水熱反応処理した廃棄物をフライヤーに投入して廃油でフライ状にして、メタンガスガス回収装置に投入するようにしてもよい。
【0033】
上述したように、廃棄物原料1は、収集された状態、粉体された状態、フライ化された状態、フライ化、破砕された状態、及び水熱反応処理で破砕された状態のいずれかの形態となる。
【0034】
C発酵処理は、前処理されて高カロリー化された廃棄物原料1を用いて、竪型乾式メタン発酵装置12によるメタンガス(CH)と二酸化炭素(CO)を主成分とするバイオガスの生成によって構成される高カロリーのバイオガスを発酵させる工程である。
【0035】
竪型乾式メタン発酵装置12は、竪型の円筒容器になるメタン発酵槽21、メタン発酵槽内に配設された撹拌器22,駆動装置23を備えて構成され、枠体24によって基礎土台25に固定される。
【0036】
メタン発酵槽21の上部に噴霧装置31を備えた供給スクリューコンベア32を備える。
【0037】
嫌気性の種菌を持つ種菌消化液槽33が設けられ、噴霧装置31に接続される。
【0038】
搬送機9によって搬送機9から搬送された、フライ化、破砕された廃棄物原料1、あるいは破砕され、半炭化された廃棄物原料1は、噴霧装置31に導入される。ここで種菌消化液槽33からの種菌が噴霧され、廃棄物原料1に混合される。
【0039】
種菌が混合された廃棄物原料1は、供給スクリューコンベア32によって、竪型乾式メタン発酵装置12の上部に供給される。
【0040】
供給スクリューコンベア32は、密着した状態の種菌が混合された廃棄物原料1を竪型乾式メタン発酵装置12の上部に供給することで、大気が竪型乾式メタン発酵装置内に侵入することを防止し、竪型乾式メタン発酵装置内の嫌気状態を維持する。
【0041】
温度調整可能な熱風発生装置34が枠体24に固着されて設けられる。熱風発生装置34で発生し、温度が調整された熱風は、メタン発酵槽21の内壁に配設された保温用ジャケット35の内部に設けた熱風循環装置(図示せず)に導かれ、熱風が保温用ジャケット35の内部を循環する。
【0042】
熱風発生装置34に代わりに温水発生装置又は蒸気発生装置を用いてもよい。温水発生装置又は蒸気発生装置で温水又は蒸気を発生し、温水又は蒸気を保温用ジャケット35の内部を循環させる。液温としては、30~60℃の温度条件が採用される。
【0043】
保温用ジャケット35へ上述した加熱媒体の投入によって、円筒容器内の温度が種菌による嫌気性消化の適温に保持される。
【0044】
乾燥処理残渣回収装置(処理残渣排出手段)41がメタン発酵槽21の下部に接続されて設けられる。乾燥処理残渣回収装置41は、円筒容器41A、スクリューコンベア41B、駆動装置41C及びロータリ―バブル(図示せず)、制御盤(図示せず)を備えて構成され、竪型乾式メタン発酵装置12で生成された、メタンガス排出後の乾燥処理残渣を外部に設けた水熱反応処理装置50に排出する。水熱反応処理装置50は、上述した水熱反応処理装置6とは別体をなす。
【0045】
竪型乾式メタン発酵装置12では、嫌気性の状態で、適温の温度で嫌気性の種菌の働きでメタン発酵がなされる。上述したように、メタンガスと二酸化炭素を主成分とするバイオガスが生成される。
【0046】
メタン発酵槽21に導入される廃棄物原料1は、前処理段階で高カロリー化されており、高カロリー化されていない場合に比べて、廃棄物原料単位重量当たりの取得されるバイオガス量は多いものとなる。
【0047】
メタン発酵槽21の上部から発酵したバイオガスがバイオガス回収装置60に排出され、
下部からバイオガス排出後の処理残渣が水熱反応処理装置50に排出される。水熱反応処理装置50の構成は、先の水熱反応処理装置6の構成と同様である。
【0048】
D後処理は、バイオガスの取得処理及び乾燥処理残渣からバイオマス発電に適した水熱反応処理した乾燥処理残渣を取得する処理の2つの処理からなる工程である。
【0049】
この工程で、以下に述べるバイオガス回収系統によってバイオガス回収処理をすることができる。
【0050】
バイオガス回収装置60が竪型乾式メタン発酵装置12に近接して設けられる。バイオガス回収装置60は、ガスホルダーとしての機能を備え、竪型乾式メタン発酵装置12のメタン発酵槽21の上部に接続される。
【0051】
メタン発酵槽21の上部からバイオガスが引き抜かれて、バイオガス回収装置60に回収される。
【0052】
バイオガス回収装置60に回収されたバイオガスは、精製される。バイオガスは、脱硫塔61に導出され、脱硫塔61において有害成分である硫化水素が除去される。
【0053】
バイオガスは、発電設備等の再生装置62に導出されて、高カロリーの資源として活用される。
【0054】
縦型乾式嫌気性メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法が採用され、前処理で高カロリー化された廃棄物原料を用いて高効率メタン発酵を行なってバイオガス取得量を増大させたバイオガス取得方法が構成される。
【0055】
E半炭化ペレット形成処理は、半炭化ペレット形成処理系統を備えて、乾燥処理残渣を水熱反応処理して、粉体化し、半炭化ペレットを生成する工程である。
【0056】
乾燥処理残渣回収装置41、乾燥処理残渣回収装置41から乾燥処理残渣を受け入れ、乾燥処理残渣を水熱反応処理して、半炭化で粉体化状の半炭化粉体生成物を生成する水熱反応処理装置50、生成された半炭化粉体生成物を回収する半炭化粉体生成物回収装置51及び半炭化粉体生成物から半炭化ペレットを生成する半炭化ペレット生成装置52からなる半炭化ペレット形成系統54を設けた。
【0057】
メタン発酵槽21の下部から乾燥処理残渣が引き抜かれて、乾燥処理残渣回収装置41に回収される。回収された乾燥処理残渣は、乾燥処理残渣回収装置41から水熱反応処理装置50に導出される。水熱反応処理装置50から乾燥処理残渣回収装置51に回収される。
【0058】
水熱反応処理装置50は、円筒容器50A、円筒容器内に配設された撹拌手段50B及び過熱手段を持つボイラー50Cを有して構成される。ボイラー50Cから送出された水蒸気によって廃棄物原料は水熱反応処理されて、より破砕されて粉体化され、半炭化される。
【0059】
粉体化され、半炭化された、高カロリーの粉体取得装置51に導出されて、半炭化された、高カロリーの粉体生成が取得される。この高カロリーの粉体生成物は、粉体化され、半炭化された高カロリー有機物を主体に形成される。
【0060】
この粉体生成物は、ペレット生成装置52に導出されて、ペレット化される。このように水熱反応処理装置50を用いて、半炭化された破砕状の高カロリー有機物を生成し、半炭化された破砕状の高カロリー有機物からペレットを生成することができる。
【0061】
生成されたペレットは、バイオガス発電装置53でバイオガス発電燃料として使用される。バイオガスを採取した処理後残渣を廃棄処理せずにバイオガス発電燃料として有効活用される。本例では、メタン発酵槽21の下部から引き抜かれた乾燥処理残渣が半炭化粉体生成物回収装置51で半炭化粉体として回収される。回収された乾燥処理残渣である半炭化粉体は、その全量が半炭化ペレット形成系統54で、半炭化ペレット形成処理がなされる。
【0062】
一部の乾燥処理残渣である半炭化粉体をB前処理の搬送機9に導出して、C発酵処理で再度メタン発酵処理をして、発酵メタンガス量を増加するようにしてもよい。しかし、乾燥処理残渣である半炭化粉体の全量を半炭化ペレット形成系統54で、半炭化ペレット形成処理することが勧められる。
【0063】
再生されたバイオガス及びバイオペレットは、ガスタービン、ガスエンジン、燃料電池などにより電気として外部施設利用や電力会社へ売電することができるほか、ボイラーを通して吸収式冷凍機やヒータに利用することができる。再生されたバイオガス及びバイオペレットは、グリーン水素製造装置の原料としても利用できる。
【0064】
これによって、循環型社会の形成するに当たって、縦型乾式嫌気性メタン発酵槽で高効率メタン発酵方法を採用し、前処理で高カロリー化をした廃棄物原料を使用することで高効率メタン発酵させたバイオガスを採取し、後処理においてバイオガスを採取した後の処理後残渣を効率的に有効活用できるようにすることができる。
【0065】
図2は、本実施例で採用される竪型乾式メタン発酵装置とバイオガス回収装置との配置関係を示す図である。
【0066】
バイオガス回収装置60を、中央部を区画する円形線70の内側に中央Oを中央として描いた内側の円形線71の上に配置する。
【0067】
内側の円形線71の外側に描くことが可能な円形線72の上に、互いに連接して、複数の竪型乾式メタン発酵装置12が配置され、複数の竪型乾式メタン発酵装置12で生成されたバイオガスが、中央部配置のバイオガス回収装置60に回収される。
【0068】
図2に、中央部に配置の4つのバイオガス回収装置60と円径線上の8つの竪型乾式メタン発酵装置12が記載される。
【0069】
円径線上に、互いに連接して、複数個、典型的に4つのバイオガス回収装置60が配置され、竪型乾式メタン発酵装置12の8つの個数がバイオガス回収装置60の4つの個数の2倍になり、2個の竪型乾式メタン発酵装置から最も近接した1個のバイオガス回収装置にバイオガスを取出し連結路64に連結されて、バイオガスが回収される。
【0070】
バイオガス回収装置60は、1個であってもよい。この場合は、中央配置の1個のバイオマスガス回収装置60に8つの竪型乾式メタン発酵装置12が取出し連結路64を介して連結されて、バイオガスが回収される。
【0071】
図3において、水熱反応処理システムは、水熱反応処理装置(すなわち、亜臨界水反応装置)を有して、熱量を供給する熱源系統、処理原料投入系統、生成物排出系統、固形物成形処理系統及び制御装置から構成される。一般的な水熱反応処理システム自体は、従来よく知られた構成である。
【0072】
本発明の実施例において、水熱反応処理装置6又は50(図3では水熱反応処理装置6が示される)は、圧力容器(リアクターとも呼ばれる)101を備え、圧力容器101は、蒸気を供給する熱源系統として用いられるボイラー102に接続され、処理原料投入系統に用いられる処理原料の粉体化手段103に接続され、生成物排出系統に用いられる生成物取出手段104に接続される。
【0073】
圧力容器内の温度、圧力及び処理時間をコントロールする制御装置105が設けられる。
【0074】
圧力容器101は、外側円筒容器(外側ジャケットともいう)111及び外側円筒容器111の内壁に空間をおいて配設される内側円筒容器(内側ジャケットともいう)112から構成され、内側円筒容器内の空間(内側空間)106に撹拌機113が設けられる。
【0075】
圧力容器101は、両端側に閉止のための蓋114、115が設けられ、一方の蓋115には、その側方に駆動モーター116が設けられる。駆動モーター116は、回転羽根を持った撹拌機113に接続される。
【0076】
外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間(外側空間)107内の温度、圧力を計測する外側温度センサー及び外側圧力センサー121、内側円筒容器112の空間(内側空間)106内の温度、圧力を計測する内側温度センサー及び内側圧力センサー122及び内側円筒容器112の空間内の水分を計測する水分センサー123が設けられ、内側空間106内の温度、圧力が計測され、内側円筒容器112の内側空間106内の水分が計測され、それぞれの計測値はデータ信号として電子回路を経由して制御装置105に伝達される。これらの信号データは、制御装置105の記録手段に記録される。計測された水分量は、半炭化処理時間の制御データ設定に用いられる。
【0077】
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された蒸気排出管118を備え、蒸気排出管118に排出制御弁119が設けられる。この構成によって、内側空間内の水蒸気を外部に排出することができる。
圧力容器101は、内側円筒容器112に接続された投入ホッパー125を備え、内側円筒容器112に接続された取出し管126を持つ取出し口を備える。取出し管126に取出排出制御弁120が設けられる。この構成によって、水熱反応処理を利用して生成された半炭化粉体物(固形体)を外部に排出することができる。
【0078】
粉体化手段103は、収集された処理原料131(図1における廃棄物原料1を表す)及び収集された医療廃棄物132を受け入れて、集合された両廃棄物を粉体化して、投入ホッパー125に粉体化された廃棄物を投入する。投入ホッパー125に制御弁138が設けられ、処理原料131の投入が制御装置105によって制御される。
【0079】
粉体化手段103は、電子回路で接続された制御装置105によって粉体化操作が制御される。
【0080】
処理原料131は、収集された段階で、処理原料の種類が判別される。多くの場合、処理原料の種類の判別は、処理原料処理者によってなされる。投入ホッパー125の近辺に撮影手段(図示せず)を取り付け、映像写真を基準映像写真と比較し、処理原料の種類の判別手段(図示せず)を設けることによって、自動的に処理原料の種類の判別を行うようにすることができる。判別データは、制御装置105に入力される。
【0081】
ボイラー102は、発生した蒸気を圧力容器101に供給する蒸気供給路133を備える。蒸気供給路133に過熱蒸気発生装置140が設けられて、発生した蒸気を過熱して圧力容器101に供給する。
【0082】
蒸気供給路133は、外側円筒容器111と内側円筒容器112との間の空間内に過熱蒸気を供給する分岐路134と内側円筒容器112の空間内に蒸気を供給する分岐路135に分岐され、各分岐路には、制御弁136、137が設置される。制御弁136、137は、制御装置105に接続されて、制御装置105によって開放、閉止が制御、調整される。過熱蒸気発生装置140を設けることで、内側円筒容器内の圧力に比例することなく内部温度、すなわち水熱反応処理温度を高めることができる。
【0083】
水熱反応処理装置50は、処理原料の投入口、水熱反応を均一化するための機構及び生成された水熱反応半炭化固形物を取り出す取出口を備え圧力容器、水熱反応処理及び熱処理のための熱源及び水熱反応処理及び熱処理を制御するための制御装置から構成され、処理原料の水熱反応処理及び熱処理によって、半炭化粉体物を製造する。
【0084】
水熱反応処理装置50は、処理原料を粉末形状の粉末処理原料とする粉体化手段103を選択的に備える。
【0085】
圧力容器が、外側円筒容器及び内側円筒容器から構成して、内側円筒容器内の内側空間及
び内側円筒容器と外側円筒容器間の外側空間を当該内側円筒容器によって区画する。
【0086】
制御手段によって、当該加水分解処理領域に、所定の圧力の下、水の亜臨界反応域の水熱反応温度を設定して、当該加水分解処理領域で、処理原料を加水分解処理して加水分解処理物質を形成する。
【0087】
例えば、内側空間内に、水蒸気を導入し、水の亜臨界反応域の水熱反応温度230℃以内及び水熱反応圧力1.0MPa以内、典型的には、水熱反応圧力0.3~3.5MPa以内の水熱反応領域にあって、及び適宜設定された水熱反応処理時間に制御した加水分解処理領域を形成して、粉末処理原料を加水分解処理して粉末状の加水分解処理物質を形成する。
【0088】
内側空間内への水蒸気の導入を停止して、内側空間内の水蒸気を外部に排出する。
【0089】
乾燥・半炭化処理領域に、所定の圧力の下、処理原料の種類及び発熱量倍数から取得された半炭化処理温度を設定して、前記加水分解処理物質から、所定の発熱量を持ち、木質チップの有する発熱量に対する所定の発熱量を持ち、かつ水分含有率が2~20%、望ましくは3~6%の乾燥・半炭化された水熱反応処理を利用した半炭化固形物を生成する。
【0090】
例えば、外側空間内に、炭化温度が水熱反応温度以上230℃以内で、処理時間を制御した乾燥・半炭化処理領域を形成して、加水分解処理物質から水熱反応半炭化ペレット、典型的に、高発熱量の水熱反応処理を利用した半炭化ペレットを製造することのできる乾燥・半炭化され、粉体化された水熱反応固形物を生成する。
【0091】
木質チップについて、含水率が35~40%で、炭化物の発熱量が3300kcal/kgのものが広く知られている。本発明では、発熱量倍数を算出するときに、発熱量が3300kcal/kgの木質チップを基準木質チップとする。発明者等の分析によっても、含水量が40%で、炭化物の発熱量が3300kcal/kgのものが確認された。
【0092】
発明者等の実験によれば、半炭化ペレット形成系統54を設けることで、水分含有率が3~6%に乾燥・半炭化され、含水率35~40%の木質チップの持つ3300kcal/kgに比べて1.25倍以上の発熱量を持つ水熱反応処理を利用した半炭化固形物を製造できることが確認された。
【0093】
半炭化温度が230℃以内で、処理時間を制御した乾燥・半炭化処理領域を形成することができる。
【0094】
粉末粒子状の水熱反応半炭化固形物が取得されたとき、上述した水熱反応処理を利用した半炭化固形物であって、粉末粒子状の水熱反応半炭化固形物が集合された形態の水熱反応に基づいた半炭化ペレットを形成することができる。
【0095】
水熱反応半炭化固形物を回収141に伴って、有害物の無害化、減容化142がなされる。
【0096】
もって、
・高発熱量資源化:木質チップの有する発熱量1に対する1.25、望ましくは1.5以上の発熱量倍数を持つ水熱反応半炭化固形物の製造
・二酸化炭素、ダイオキシン、臭気の抑制
が達成される。
【0097】
本実施例では、図1で、水熱反応処理装置6が用いられる。図3に示される水熱反応処理装置6の構成は、上述した水熱反応処理装置6の構成と実質的に同じである。この場合、処理原料131は、乾燥処理残渣131に読み替えられる。また、粉体化手段103及び医療廃棄物132は設けることを要しない。
【0098】
図4は、木質チップについて、半炭化発熱量ピークゾーンにおける半炭化処理温度と発熱量との関係をX-Y軸座標に示す図である。
【0099】
半炭化処理温度が常温の25℃のときに、発熱量3300kcal、発熱倍数が1.0の発熱倍数データ得られた。常温を越えると、半炭化処理温度で発熱倍数が1.0(1.0を含まず)の発熱倍率が得られる。半炭化処理温度が200℃のときに、ピークの発熱量5330kcal、発熱倍数が1.62の発熱倍数データ得られた。図に示すように、半炭化発熱量ピークゾーンを設定できる。木質チップになる処理原料の場合、半炭化処理温度(℃)180~230の半炭化発熱量ピークゾーンを設定できる。このゾーンにおける処理で、最大の発熱量5330kcal、発熱倍数1.5あるいはこれ以上の発熱倍数データが得られる。
【0100】
他の処理原料についても同様に半炭化発熱量ピークゾーンが設定された半炭化発熱量ピークゾーンが設定され得る。
【0101】
竪型乾式メタン発酵装置の後流側に接続された水熱反応処理装置から導出された水熱反応処理残渣から、含水率が3~6%に半炭化されたものであって、基準原料3,300kcalの木質チップの持つ発熱量に比べて1.5倍以上の発熱量倍数を持つ半炭化ペレットを生成する方法が提案される。
【符号の説明】
【0102】
100…バイオガスプラント、1…廃棄物原料、2…廃棄物原料投入、3…調整機、4…選別機、5…フライヤー、6…水熱反応処理装置(亜臨界水反応装置)、11…ボイラー、12…竪型乾式メタン発酵装置、21…メタン発酵槽、22…メタン発酵槽内に配設された撹拌器、23…駆動装置23、34…熱風発生装置、35…保温用ジャケット、41…乾燥処理残渣回収装置(処理残渣排出手段)、50…水熱反応処理装置、51…高カロリーの粉体取得装置、52…ペレット生成装置、53…バイオマス発電装置、54…半炭化ペレット形成系統、60…バイオガス回収装置(メタンガス回収装置)、61…脱硫塔、62…再生装置、64…取出し連結路、70…中央部を区画する円形線、71内側の円形線、72…外側の円形線。


【要約】
【課題】 前処理で高カロリー化をした廃棄物原料を使用することで高効率メタン発酵させたバイオガスを採取し、後処理でバイオガスを採取した後の処理後残渣を効率的に有効活用できるようにする。
【解決手段】 乾燥処理残渣回収装置、乾燥処理残渣回収装置から乾燥処理残渣を受け入れ、乾燥処理残渣を水熱反応処理して、半炭化で粉体化状の半炭化粉体生成物を生成する水熱反応処理装置、生成された半炭化粉体生成物を回収する半炭化粉体生成物回収装置及び半炭化粉体生成物から半炭化ペレットを生成する半炭化ペレット生成装置からなる半炭化ペレット形成系統を設ける。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4