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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】遊技機の検査装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A63F7/02 330
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024006486
(22)【出願日】2024-01-19
【審査請求日】2024-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517363012
【氏名又は名称】株式会社アイフューチャー
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 崇裕
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-353341(JP,A)
【文献】特開2003-230730(JP,A)
【文献】特開2019-051029(JP,A)
【文献】特開2005-110864(JP,A)
【文献】特開2001-058079(JP,A)
【文献】特開2006-334272(JP,A)
【文献】特開2020-103460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の検査を実行する検査装置であって、
前記遊技機を設置するための設置台と、
前記設置台に設置された前記遊技機を撮像する複数のカメラと、
前記複数のカメラ各々で撮像された画像に基づいて前記遊技機の正誤を判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果を表示する表示部と、
前記検査の開始を指示する操作スイッチと、
前記操作スイッチの操作を契機として、前記複数のカメラ各々による撮像、前記複数のカメラ各々で撮像された画像に基づく前記判定部による判定及び前記判定部による判定の結果の表示に係る一連の処理を所定の順番で実行させるとともに、前記判定の結果が「誤」であるときその時点で次の一連の処理に移行せずに停止させ、前記操作スイッチの操作を待機するシーケンス制御部とを具備する検査装置。
【請求項2】
前記複数のカメラは、前記設置台に設置された前記遊技機を表面側から撮像する第1のカメラと、前記設置台に設置された前記遊技機を裏面側から撮像する第2のカメラと、前記設置台に設置された前記遊技機を近接撮像する第3のカメラとからなる、請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1のカメラと前記第2のカメラと前記第3のカメラ各々で撮像された画像に基づいて前記遊技機に装備された部品の有無、前記部品の取り付けの状態及び前記部品の位置に関して正誤の判定を実行し、
前記シーケンス制御部は、前記操作スイッチの操作を契機として、前記第1のカメラによる撮像、前記第1のカメラにより撮像された画像に基づいた前記判定部による判定及び前記判定の結果の表示に係る第1の一連の処理と、前記第2のカメラによる撮像、前記第2のカメラによる撮像、前記第2のカメラにより撮像された画像に基づいた前記判定部による判定及び前記判定部による判定の結果の表示に係る第2の一連の処理と、前記第3のカメラによる撮像、前記第3のカメラにより撮像された画像に基づいた前記判定部による判定及び前記判定部による判定の結果の表示に係る第3の一連の処理とを順番に実行させるとともに、前記第1乃至第3の一連の処理における前記判定の結果のいずれかが「誤」であるときその時点で次の一連の処理に移行せずに停止させ、前記操作スイッチの操作を待機する、請求項2記載の検査装置。
【請求項4】
前記設置台は、前記遊技機の表裏面を干渉なく撮像できるように前記遊技機をその下部で支持し直立させる、請求項1記載の検査装置。
【請求項5】
前記設置台は、前記遊技機の表裏面を干渉なく撮像できるように前記遊技機をその裏面を上方に向け、表面を下方に向けて水平に支持するとともに前記遊技機の表面側に開口を有する、請求項1記載の検査装置。
【請求項6】
前記第3のカメラをアーム先端に取り付けた多関節ロボット装置をさらに備える、請求項2記載の検査装置。
【請求項7】
遊技機を設置するための設置台と、前記設置台に設置された遊技機を撮像する複数のカメラと、前記複数のカメラ各々で撮像された画像に基づいて前記遊技機の正誤を判定する判定部と、前記判定部による判定の結果を表示する表示部と、検査開始を指示する操作スイッチとを備える検査装置の動作を制御するコンピュータを、
前記操作スイッチの操作を契機として、前記複数のカメラ各々による撮像、前記複数のカメラ各々で撮像された画像に基づく前記判定部による判定及び前記判定部による判定の結果の表示に係る一連の処理を所定の順番で実行させる手段と、
前記判定の結果が「誤」であるときその時点で次の一連の処理に移行せずに停止させ、前記操作スイッチの操作を待機する手段として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機の検査装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機には、演出用のギミック、液晶画面、各種回路基板など多くの部品が遊技盤の表裏に装着される。これら部品が正しく取り付けられているかに関して納品段階で検査される。検査としては部品の欠損、部品の欠品、部品の取り違え、部品の取付位置の誤り、部品の取付高の誤り、部品を遊技盤に取り付けるビスの欠品、さらにコネクタの浮きや半差しなどの不適正な装着、さらに製造番号を記したシールの欠品、製造番号や基板番号の不備、演出用の仕掛け(ギミック)の変色や色むら、ギミックの位置の誤りなど多くの検査項目がある。
【0003】
検査はカメラによる外観検査が主流である。検査対象や検査項目は多種多様であるので、1台のカメラで賄うのは難しい。解像度、画素数、視野サイズ、カラー(色相)/モノクロ(輝度)、サイズ等の仕様が異なる複数台のカメラが必要とされる。
【0004】
複数台のカメラは、例えばコンベアに沿って配列される。コンベアにより搬送された遊技機は複数のカメラ各々を通過する都度撮像される。
【0005】
また、複数台のカメラに対して個別に遊技機の設置台が設けられていて、検査作業員が遊技機を設置台にセットして撮像を実行させ、次の設置台に遊技機を移送し、再セットしし、撮像を実行させ、これを繰り返して全ての撮像を完了させる。
【0006】
いずれの方法も、カメラによる撮像と判定処理は別々の時間軸で動いており、撮像とは別途、判定処理完了の都度、判定結果がディスプレイに順次表示される。
【0007】
「誤(不具合、不適正、不適合)」の判定結果が出された遊技機に関しては、検査作業者は当該遊技機を設置台から取り外し、修理場に移送した上で対象箇所を確認し、適宜、部品交換や再取付等の修理作業を行い、再検査場に移送し再検査を行う作業が必要になり、非常に作業負担が大きく、非効率である。
【0008】
また、後者の方法では、複数の設置台が分かれているため遊技機を移送してそれぞれの設置台にセット作業を繰り返すことは作業負担が軽くはないばかりか、非効率でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
目的は、遊技機の検査作業の効率化を図ることことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る遊技機の検査装置は、遊技機を設置するための設置台と、設置台に設置された遊技機を撮像する複数のカメラと、複数のカメラ各々で撮像された画像に基づいて遊技機の正誤を判定する判定部と、判定部による判定の結果を表示する表示部と、検査の開始を指示する操作スイッチと、操作スイッチの操作を契機として、検査シーケンスを制御するシーケンス制御部とを具備する。シーケンス制御部は、複数のカメラ各々による撮像、複数のカメラ各々で撮像された画像に基づく判定部による判定及び判定部による判定の結果の表示に係る一連の処理を所定の順番で実行させるとともに、判定の結果が「誤」であるときその時点で次の一連の処理に移行せずに停止させ、操作スイッチの操作を待機する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る遊技機の検査装置の物理的構成を示す図。
図2図1のプロセッサの機能的構成を示す図。
図3図1の第1乃至第3のカメラ、多関節ロボット装置、設置台を示す斜視図。
図4図3の設置台に遊技機をセットした状態を示す斜視図。
図5図1の検査装置の検査動作の手順の前半を示す流れ図。
図6図1の検査装置の検査動作の手順の後半を示す流れ図。
図7図1の第3のカメラによる近接撮像の様子を示す斜視図。
図8図5の設置台の変形例(横置型)を示す斜視図。
図9図8の設置台に遊技機をセットした状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る検査装置は、遊技機の検査を実行する。検査にはカメラを用いた外観検査が採用される。検査内容に応じて仕様の異なる少なくとも2台のカメラが用いられる。ここでは3台のカメラが用いられる。3台のカメラは遊技機の表面側の撮像、裏面側の撮像、近接撮像をそれぞれ担当する。3台のカメラで撮像した画像に基づいて、演出用の仕掛け(ギミック)の色味が適正か否か、ギミックの位置が適正か否か、基板に取り付けられる部品の欠品の有無、基板に部品を固定するためのビスの欠品の有無など様々な検査項目が判定される。3台のカメラに対してそれぞれ複数の検査項目が割り当てられる。
【0013】
検査に際しては、検査対象の遊技機は検査作業員により設置台に設置される。各カメラによる検査の都度、遊技機を移動する必要がなく、設置台に遊技機を設置した状態のままで3台のカメラによる全ての外観検査を完了させることができるように、設置台の周囲には3台のカメラが配され、さらに遊技機を支持する支持板には遊技機の表面又は裏面を露出するための開口が開けられている。
【0014】
実際の検査に際しては、操作スイッチ(検査スイッチ)の検査作業員による操作を契機として、カメラ各々による撮像、その画像に基づく判定処理及び判定結果の表示に係る一連の処理を、カメラを切り替えながら順番に実行するとともに、判定結果が「誤(不適合、不適正、不具合有り)」であるときその時点で次のカメラに係る一連の処理に移行せずに停止し、操作スイッチの操作が待機される。
【0015】
検査が停止したとき、検査作業員は誤りの原因を突き止め、その場で解決可能な原因であると判断したとき、遊技機を移動することなく、その場で修理等をする。修理を完了したとき、検査作業員は、再度、操作スイッチを操作する。当該操作に伴って、検査が再開される。その場で修理等が可能になるので、遊技機を別な場所に移送して修理等をする場合に比べて効率的である。
【0016】
この検査再開にあたっては、最初のカメラに係る一連の処理に戻って再開される。どの段階で停止しても、最初のカメラに係る一連の処理に戻って再開されるので、修理作業によって部品の位置がずれてしまうなどの新たな不適合、不適正、不具合が発生したとしても、それを改めて検査しなおすことができる。
【0017】
修理等及び検査の再開は検査作業員の判断により何度でも繰り返すことができる。修理等によってもなお不具合等が改善しないとき、またはその場で解決可能な原因ではないと判断したとき、その段階で検査作業員は当該遊技機を不合格品であると判断し、又は専門的な修理等が必要であると判断したとき、それぞれ所定の場所に移動する。
【0018】
以下具体的に説明する。
図1に示すように、検査装置1は、情報処理装置10、遊技機の表面側を撮像するための第1のカメラ21、遊技機の裏面側を撮像するための第2のカメラ22、遊技機の裏面側を近接撮像するための第3のカメラ23、第3のカメラ23をアーム先端に取り付けた多関節ロボット装置31、検査作業員が検査処理の開始を指示操作するための検査スイッチ33、検査結果の正誤を区別して表示するための検査ランプ35から構成される。カメラ21-23にはそれぞれ照明が装備されている。
【0019】
情報処理装置10は、プロセッサ11を有する。プロセッサ11に対してデータ/制御バス19を介して、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイス14、キーボードやマウス等の入力デバイス15、ディスプレイ16、インタフェース17から構成される。プロセッサ11にはインタフェース17を介してカメラ21―23、多関節ロボット装置31、検査スイッチ33、検査ランプ35が接続される。
【0020】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)により構成される。プロセッサ11は、ストレージデバイス14からRAM12にロードされた検査プログラムを実行して、遊技機の検査処理を実行する。RAM12は、プロセッサ11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM13にはプロセッサ11により実行されるBIOS(Basic Input Output System)、オペレーティングシステムプログラム(OS)等が記憶される。ストレージデバイス14には、本実施形態に係る検査プログラム、カメラ21―23により撮像された画像のデータ、参照画像データ、基準値及び閾値などの判定処理に必要とされるデータ、判定結果等の各種データが記憶される。
【0021】
図2にはプロセッサ11の機能的構成を示している。プロセッサ11は、上記検査プログラムを実行することにより、情報処理装置全体を統括制御する制御部101、第1のカメラ21を駆動する第1のカメラコントローラ121、第2のカメラ22を駆動する第2のカメラコントローラ122、第3のカメラ23を駆動する第3のカメラコントローラ123、多関節ロボット装置31の動作を制御するロボットコントローラ131、検査スイッチ33の状態を検知するスイッチ検知部133、検査ランプ35を駆動するランプドライバ135として機能する。
【0022】
さらに、プロセッサ11は、上記検査プログラムを実行することにより、ストレージデバイス14への画像データ等の書き込み/読み出しを制御するストレージ管理部103、第1のカメラ21で撮像した画像に基づいて、担当する検査項目に関する遊技機の正誤を判定する第1判定部104と、第2のカメラ22で撮像した画像に基づいて、担当する検査項目に関する遊技機の正誤を判定する第2判定部105と、第3のカメラ23で撮像した画像に基づいて、担当する検査項目に関する遊技機の正誤を判定する第3判定部106と、検査ランプ35と、判定結果の詳細をディスプレイ16に表示するための表示制御部107と、第1乃至第3のカメラコントローラ121,122,123、ロボットコントローラ131及びランプドライバ135を所定の検査シーケンスに従って制御する検査シーケンス制御部102として機能する。
【0023】
図3は遊技機を検査位置に設置するための設置台を第1乃至第3のカメラ21-23、多関節ロボット装置31とともに示している。図4は設置台に遊技機をセットした状態を示している。設置台42は台座45を有し、台座45には支持板43が垂直に立設されている。支持板43は矩形をなし、その中央には矩形の開口部44が開けられている。遊技機51は支持板43に支えられ、台座45に垂直に設置される。台座45は架台41に水平に保持されるので、遊技機51は支持板43により鉛直に設置される。
【0024】
第1のカメラ21は、鉛直に設置された遊技機51の表面を開口部44を通して撮像可能な位置に架台41から図示しないアームを介して支持される。第2のカメラ22は、鉛直に設置された遊技機51の裏面を直接的に撮像可能な位置に架台41から図示しないアームを介して支持される。支持板43の側方位置に多関節ロボット装置31が架台41に設置され、多関節ロボット装置31のアーム先端には第3のカメラ23が取り付けられる。多関節ロボット装置31の動きにより第3のカメラ23は遊技機51の表面及び裏面を近接位置から任意の姿勢で撮像することができる。また架台41には検査スイッチ33と検査ランプ35とが設置される。
【0025】
図5図6には、検査装置1による検査動作の手順が示されている。なお、図5図6において破線は検査作業員による作業工程を示している。検査作業員により検査対象の遊技機(被検査品)51は設置台42に搬送され、設置台42に設置される(S11)。遊技機51は台座45に載置され、支持板43により鉛直に支持される。設置された遊技機51の表面はその周縁部分を除き支持板43の開口部44を通して露出する。設置された遊技機51の裏面はその全面において露出する。
【0026】
検査シーケンス制御部102は、検査作業員による検査スイッチ33の操作(押下)に係るスイッチ検知部133による検知を待機する(S12)。
【0027】
検査作業員による検査スイッチ33の操作がスイッチ検知部133により検知されたとき(S12;Yes)、検査シーケンス制御部102は、検査処理を開始する。
【0028】
検査シーケンス制御部102は、第1のカメラコントローラ121を制御して、第1のカメラ21により遊技機51の表面側を撮像させる(S13)。より具体的には検査シーケンス制御部102の制御のもとで、第1のカメラ21により遊技機の表面が例えば光源の波長を変化させながら繰り返し撮像される。なお、色判別性を向上するために8種の照明波長を順次切り替え、それに同期してカメラ21による撮像が繰り返される。
【0029】
照明波長の異なる8画像から第1判定部104はこれら検査項目各々の正誤を判定する(S14)。遊技機の表面側の検査項目としては、例えば演出用の仕掛け(ギミック)の色(変色や色むらなど)、ギミックの位置、液晶画面の位置等である。
【0030】
これら検査項目の少なくとも一つが第1判定部104が誤(不適正)であると判定したとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「赤色」に点灯させ、またこれら検査項目の全てが正(適正)であるとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「青色」に点灯させる(S15)。なお図示しないがディスプレイ16にはこれら検査項目の判定結果が表示される。検査作業員は検査ランプ35が「赤色」に点灯したとき、どの検査項目が誤であるかを視認することができる。
【0031】
遊技機51の表面に係る検査項目のうち1つでも誤(不適正)であるとき(S16;NG)、検査シーケンス制御部102は第2の一連の処理に移行することなく、検査を停止させ、検査スイッチ33の操作を待機する。
【0032】
ここで、検査が停止したとき、検査作業員は自己判断に従って次の(1)又は(2)を実行する(S17)。
【0033】
(1)その場で修理可能と判断して、遊技機51を設置台42に設置したままその場で修理するとともに、再検査を試みる。勿論、修理しないで再検査を試みてもよい。
(2)その場で修理不能と判断して、正規の修理場に移送し、又は遊技機51を設置台42から不合格品棚へ移送するとともに、次の検査対象の遊技機51を設置台42に設置する。
【0034】
工程S12にリターンし、検査作業員による検査スイッチ33の操作にともなって(S12;Yes)、修理された遊技機51又は次の遊技機51に対して、検査シーケンス制御部102の制御のもとで上述した第1の一連の処理(S13-S15)が実行される。遊技機51の修理及び再検査(第1の一連の処理(S13-S15))は検査作業員の判断により何度でも繰り返すことができる。
【0035】
遊技機51の表面に係る検査項目の全てが正(適正)であるとき、検査シーケンス制御部102の制御のもとで第2のカメラ22を用いた遊技機51の裏面に係る検査(第2の一連の処理、S18-S20)に自動的に移行する(S16;OK)。
【0036】
検査シーケンス制御部102の制御のもとで、第2のカメラ22により遊技機の裏面全体が広視野で一括撮像される(S18)。
【0037】
第2のカメラ22により取得された画像から第2判定部105は検査項目各々の正誤を判定する(S19)。遊技機の裏面側の検査項目としては例えば製造番号を記したシールが欠品していないか、板金が欠品していないか、部品を遊技盤裏面に取り付けるビスは欠品していないか、基板に印刷された基板番号の読取、その他部品は欠品していないか等である。
【0038】
これら検査項目の少なくとも一つが誤(欠品、読取エラー)であるとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「赤色」に点灯させ、またこれら検査項目の全てが正(欠品なし、適正読取)であるとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「青色」に点灯させる(S20)。もちろん、図示しないがディスプレイ16にはこれら検査項目の判定結果が表示される。検査作業員は検査ランプ35が「赤色」に点灯したとき、どの検査項目が誤であるかを視認することができる。
【0039】
遊技機51の裏面に係る検査項目のうち1つでも誤であるとき(S21;NG)、検査シーケンス制御部102は第3の一連の処理に移行することなく、検査を停止させ、検査スイッチ33の操作を待機する。
【0040】
検査が停止したとき、検査作業員は上述の(1)又は(2)を実行する(S22)。そして工程S12にリターンし、検査作業員による検査スイッチ33の操作にともなって(S12;Yes)、修理された遊技機51又は次の遊技機51に対して、検査シーケンス制御部102の制御のもとで上述した第1の一連の処理(S13-S15)から検査再開される。遊技機51の裏面の修理作業に伴って、遊技機51の表面に不具合が生じないとはいえず、第1のカメラ21による第1の一連の処理(S13-S15)から再開させることで、高い検査精度を獲得することができる。
【0041】
第1の一連の処理(S13-S15)及び第2の一連の処理(S18-S20)は検査作業員の判断により何度でも繰り返すことができる。
【0042】
遊技機51の表面に係る検査項目の全てが正(適正)であるとき、検査シーケンス制御部102は遊技機51の近接検査(第3の一連の処理)に自動的に移行する(S21;OK)。
【0043】
第3の一連の処理においては、ロボットコントローラ131が多関節ロボット装置31を制御することにより、第3のカメラ23が遊技機の表面又は裏面に近接した所定の軌道で移動し、また姿勢を変更しながら(S23)、撮像が繰り返される(S24)。
【0044】
第3のカメラ23により取得された画像から第3判定部106は検査項目各々の正誤を判定する(S25)。遊技機の近接検査項目としては例えばコネクタの浮きや半差し、部品の高さ、遊技盤51に貼着されたQRコード(登録商標)の読取、その他部品の欠品等である。
【0045】
これら検査項目の少なくとも一つが誤(欠品、読取エラー)であるとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「赤色」に点灯させ、またこれら検査項目の全てが正(欠品なし、適正読取)であるとき、検査シーケンス制御部102はランプドライバ135を制御して、検査ランプ35を「青色」に点灯させ(S26)、検査を停止する。
【0046】
遊技機51の近接検査項目のうち1つでも誤であるとき(S28;NG)、検査作業員は上述の(1)又は(2)を実行する(S28)。そして工程S12にリターンし、検査作業員による検査スイッチ33の操作にともなって(S12;Yes)、修理された遊技機51又は次の遊技機51に対して、検査シーケンス制御部102の制御のもとで上述した第1の一連の処理(S13-S15)から検査再開される。第2、第3のカメラ22、23による第2、第3の一連の処理から再開させるのではなく、第1のカメラ21による第1の一連の処理(S13-S15)から再開させることで、修理等に伴う新たな不具合の発生を判定することができ、高い検査精度を獲得することができる。
【0047】
遊技機51の近接検査項目の全てが正であるとき(S28;OK)、検査作業員は当該遊技機51を合格品棚に移送する(S29)。そして全ての検査対象品の検査が完了しているとき(S30;Yes)、検査作業は終了する。全ての検査対象品の検査が完了していないとき(S30;No)、次の被検査品としての遊技機51を設置台に設置し、検査工程S12にリターンする。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、検査対象の遊技機51を設置台42に設置したままで複数、ここでは3台のカメラ21-23を用いた外観検査を完了させることができ、3台のカメラ21-23を用いた外観検査ごとに異なる設置場所に移送する必要がないので、検査作業の効率化を図ることができる。
【0049】
また、検査結果に一つでも誤りがあったとき、検査処理は停止するので、その場で修理等を行って、直ちに再検査を行うことができるので、遊技機51を別な場所に移送して修理等をする場合に比べて効率的である。
【0050】
さらに設置台42の支持板43は開口部44が開けられており、検査作業員は開口部44を通して遊技機51にアクセスできるので、遊技機51を設置台42に立てた状態のままで修理を行うことができる場合があり、修理の作業性が良い。
【0051】
検査再開にあたっては、ワンアクションで最初のカメラに係る一連の処理に戻って再開される。どの段階で停止しても、最初のカメラに係る一連の処理に戻って再開されるので、修理作業によって部品の位置がずれてしまうなどの新たな不適合、不適正、不具合が発生したとしても、それを改めて検査しなおすことができ、高い検査精度を確保できる。
【0052】
なお、上述の説明では、遊技機を垂直(鉛直)に設置するための設置台を説明した。しかし、設置台としては遊技機を水平に設置する構造であってもよい。この設置台46は遊技機51と同じ又は少し大きい矩形の台座48を有し、台座48の四隅には4本の脚部47が垂直にそれぞれ立設されている。遊技機51はその表面を下向きにして脚部47に水平に支持される。台座48の中央には矩形の開口部49が開けられている。脚部47に水平に支えられる遊技機51の表面は開口部49を通して下方に露出する。
【0053】
なお、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない区域で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0054】
1…検査装置、10…情報処理装置、11…プロセッサ、12…RAM、13…ROM、14…ストレージデバイス、15…入力デバイス、16…ディスプレイ、17…インタフェース(I/F)、19…データ/制御バス、21…第1のカメラ、22…第2のカメラ、23…第3のカメラ、31…多関節ロボット装置、33…検査スイッチ、35…検査ランプ、101…制御部、102…検査シーケンス制御部、103…ストレージ管理部、104…第1判定部、105…第2判定部、106…第3判定部、107…表示制御部、121…第1のカメラコントローラ、122…第2のカメラコントローラ、123…第3のカメラコントローラ、131…ロボットコントローラ131…スイッチ検知部、135…ランプドライバ。

【要約】
【課題】目的は、遊技機の検査作業の効率化を図ることことにある。
【解決手段】検査装置1は、遊技機51を設置するための設置台42と、設置台に設置された遊技機を撮像する複数のカメラ21-23と、複数のカメラ各々で撮像された画像に基づいて遊技機の正誤を判定する判定部104-106と、判定部による判定の結果を表示する検査ランプ35と、検査の開始を指示する操作スイッチ33と、操作スイッチの操作を契機として、検査シーケンスを制御する検査シーケンス制御部102とを具備する。シーケンス制御部は、複数のカメラ各々による撮像、複数のカメラ各々で撮像された画像に基づく判定部による判定及び判定部による判定の結果の表示に係る一連の処理を所定の順番で実行させるとともに、判定の結果が「誤」であるときその時点で次の一連の処理に移行せずに停止させ、操作スイッチの操作を待機する。
【選択図】 図1

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