(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】鑑定証明システム、及び鑑定証明方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/018 20230101AFI20240424BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240424BHJP
【FI】
G06Q30/018
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024506815
(86)(22)【出願日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2023017746
【審査請求日】2024-02-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522371581
【氏名又は名称】熊谷 絵美
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 絵美
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特許第7258321(JP,B1)
【文献】特開2022-142710(JP,A)
【文献】特許第7176655(JP,B1)
【文献】特開2023-025801(JP,A)
【文献】特開2022-120775(JP,A)
【文献】特開2020-177354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0101502(US,A1)
【文献】国際公開第2020/080537(WO,A1)
【文献】特開2020-068388(JP,A)
【文献】鑑定士の過失で鑑定額が誤っていて損害が発生した場合の賠償,2019年02月20日,https://hikakaku.com/q/2532/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め取得された、要鑑定製品に関する製品情報を評価するための参照用検証情報と前記参照用検証情報に対する評価結果を示す参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、機械学習により生成された評価モデルを記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された
前記評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、前記検証情報に対する検証結果を出力する評価手段
と、
前記要鑑定製品のデジタル財データに基づいて前記要鑑定製品に個別に割り当てられるハッシュ化された識別子を生成する分散型ファイルサーバと、
前記識別子に紐付けた前記要鑑定製品のNFT情報をブロックチェーン上に記録すると共に生成されるトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードを出力する専用プラットフォームと、
を備え、
前記記録手段は、前記要鑑定製品に関わる複数のユーザ毎に保有する第1検証情報を、前記NFT情報と紐付けて、複数の前記ユーザが関わる順番に沿って記録し、
鑑定証明時において、
鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応する前記NFT情報に紐付けられた前記第1検証情報を読み出し、
読み出した前記第1検証情報と、
前記鑑定証明者が保有する第1署名情報と
の整合性を判定することにより、前記要鑑定製品の鑑定証明を行うこと
を特徴とする鑑定証明システム。
【請求項2】
前記評価手段は、それぞれ異なる前記学習データを用いて機械学習により生成された2以上の前記評価モデルをそれぞれ用いて、前記検証情報に基づいて、前記検証結果をそれぞれ出力すること
を特徴とする請求項1に記載の鑑定証明システム。
【請求項3】
前記評価手段は、出力したそれぞれの前記検証結果に基づいて、さらに前記検証情報に対する第2検証結果を出力すること
を特徴とする請求項2に記載の鑑定証明システム。
【請求項4】
前記評価手段により評価された
前記検証結果に誤りがある場合、前記要鑑定製品の買収、又は回収の保険を適用することを示す情報を出力する出力手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の鑑定証明システム。
【請求項5】
予め取得された、要鑑定製品に関する製品情報を評価するための参照用検証情報と前記参照用検証情報に対する評価結果を示す参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を前記参照用検証情報とし、出力を前記参照用検証結果として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、前記検証情報に対する検証結果を出力する評価ステップ
と、
前記要鑑定製品のデジタル財データに基づいて前記要鑑定製品に個別に割り当てられるハッシュ化された識別子を生成する分散型ファイルサーバと、前記識別子に紐付けた前記要鑑定製品のNFT情報をブロックチェーン上に記録すると共に生成されるトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードを出力する専用プラットフォームと、を準備し、前記要鑑定製品に関わる複数のユーザ毎に保有する第1検証情報を、前記NFT情報と紐付けて、複数の前記ユーザが関わる順番に沿って記録するステップとをコンピュータに実行させ
、
鑑定証明時において、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応する前記NFT情報に紐付けられた前記第1検証情報を読み出し、読み出した前記第1検証情報と、前記鑑定証明者が保有する第1署名情報との整合性を判定することにより、前記要鑑定製品の鑑定証明を行うステップを更に前記コンピュータに実行させること
を特徴とする鑑定証明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鑑定証明システム、及び鑑定証明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品は、通常、製造メーカー・製造者・著作者等によって製造された後、物流業者、卸売り業者、小売業者等の流通業者を通じて消費者に販売されるといった複雑な流通経路を辿る。このような要鑑定製品は、製造や流通の過程で、鑑定証明、すなわち物品が模造品でなく真正品であることの証明が消費者に求められている。また近年では、インターネットを通じて要鑑定製品が消費者に販売されることが非常に多く、また、上記要鑑定製品の中古品(二次流通、三次流通、その他n次流通(nは4以上の整数)を含む)も同様にインターネットを通じて消費者へ販売されている。さらに、消費者間同士で売買されることも多くなってきたため、これら要鑑定製品のより多角的な鑑定証明の必要性が増大している。
【0003】
要鑑定製品には、通常、真正品であることを証明、保証するための証明書(以下、「ギャランティカード」ともいう。)が発行される。ギャランティカードには、物品の商品名、品番、製造メーカ・製造者(著作者)、製造場所、製造年月日等の物品に関する情報(以下、「製品情報」ともいう。)が記載される。しかしながら、近年は、インターネット等を通じてギャランティカードのみを入手することも可能となってきている。このため、ギャランティカードによる鑑定証明は十分信頼性のあるものとはいえなくなってきている。
【0004】
従来において、プラスチック製カード等の媒体に情報を格納したICチップを取り付けたものを証明書として用い、証明書の表面に印刷された情報とICチップのメモリから読み出した情報とを照合することによって証明書の正当性判定を行う手法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に開示されている方法を、要鑑定製品に適用した場合、偽造が難しくなることからギャランティカード自体の正当性は確認できるとしても、このギャランティカードと物品とを紐付けるものは、物品に刻印された品番のみとなる。このため、十分な鑑定証明を行うことが難しい。
【0005】
また要鑑定製品にICチップを取り付け、ICチップに記録した製品情報を、スマートフォン、携帯電話等により読み出し可能にする技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2の開示技術を要鑑定製品に適用すると、上述した製品情報の読み出しに際し、パスワードを設定しない場合には、流通業者、消費者以外の第三者も製品情報を傍受することが可能となる。その結果、要鑑定製品が真正品であるか否か、製造年月日が新しいか否か等の消費者が知られたくない製品情報を第三者が傍受可能となる。一方、パスワードを設定した場合には、要鑑定製品が複雑な流通経路を辿るうちにパスワード自体が不明となり、必要な場合に鑑定証明が行えなくなる虞もある。また、パスワード自体はハッキングされる虞もある。
【0006】
また製品にシリアルコードを付与し、これをシリアルコードリーダーで読み取り、製品データベースに照会することにより、製品の鑑定証明を行う技術も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この特許文献3の開示技術を要鑑定製品に適用した場合も、特許文献2の開示技術と同様の問題が生じる。
【0007】
このため、小型記録媒体が貼着または組み込まれた要鑑定製品と、同じく小型記録媒体が貼着または組み込まれたギャランティカード(形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等を適宜用いることができる)との2つ以上のマルチシグ認証を利用して物品の鑑定証明を行う方法が近年において新たに提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
この特許文献4の開示技術によれば、秘密鍵と、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体とを、要鑑定製品とギャランティカード(形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等)とのそれぞれに貼着、又は組み込んでおく。そして、その製品情報及び上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録しておく。消費者は、要鑑定製品とギャランティカードにそれぞれ付与された秘密鍵を使用し、製品情報及び取引情報を、ブロックチェーンから読み出す。これにより、上記消費者のみが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。また、製造メーカー・製造者・著作者等は、製品情報を、物流業者、卸売り業者、小売業者等は取引情報を、それぞれブロックチェーン上に順次書き込んでいくことにより、製品情報及び取引情報を相互補完しながら正確に記録することができ、さらに、製品情報及び取引情報が改竄されることを強固に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-357377号公報
【文献】国際公開第2014/207890号
【文献】特開2020-35197号公報
【文献】特許第6894033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、トラストアンカー(信頼性を評価する起点)が要鑑定製品を検証しVC(verifiable credentials=検証可能な資格情報)を付与する場合、当該トラストアンカーに企業等の営利主体が介入するとそこに悪意の持った者が存在した場合、不正・改ざんが行われる可能性があった。
【0011】
しかしながら、特許文献1-4は、記録される要鑑定製品に関する製品情報におけるトラストアンカーについての記載がないという問題点がある。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、トラストアンカーにAI(Artificial Intelligence)を用いることにより、自社の従業員、株主、債権者、その他利害関係者等の誰であっても製品情報の不正・改ざんの入力を防ぐことが可能な鑑定証明システム、及び鑑定証明方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る鑑定証明システムは、予め取得された、要鑑定製品に関する製品情報を評価するための参照用検証情報と前記参照用検証情報に対する評価結果を示す参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、機械学習により生成された評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、前記検証情報に対する検証結果を出力する評価手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る鑑定証明システムは、第1発明において、前記評価手段は、それぞれ異なる前記学習データを用いて機械学習により生成された2以上の前記評価モデルをそれぞれ用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、前記検証結果をそれぞれ出力することを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る鑑定証明システムは、第2発明において、出力したそれぞれの前記検証結果に基づいて、さらに前記検証情報に対する第2検証結果を出力することを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る鑑定証明システムは、第1発明において、前記要鑑定製品のデジタル財データに基づいて前記要鑑定製品に個別に割り当てられるハッシュ化された識別子を生成する分散型ファイルサーバと、前記識別子に紐付けた前記要鑑定製品のNFT情報をブロックチェーン上に記録すると共に生成されるトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードを出力する専用プラットフォームと、前記要鑑定製品に関わる複数のユーザ毎に保有する第1検証情報を、前記NFT情報と紐付けて、複数の前記ユーザが関わる順番に沿って記録する記録手段と、をさらに備え、鑑定証明時において、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFT情報に紐付けられた前記第1検証情報を読み出し、読み出した前記第1検証情報と、前記鑑定証明者が保有する第1署名情報との整合性を判定することにより、前記要鑑定製品の鑑定証明を行うことを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る鑑定証明システムは、第1発明において、前記評価手段により評価された検証結果に誤りがある場合、前記要鑑定製品の買収、又は回収の保険を適用することを示す情報をコンピュータに出力させる出力手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
第6発明に係る鑑定証明方法は、予め取得された、要鑑定製品に関する製品情報を評価するための参照用検証情報と前記参照用検証情報に対する評価結果を示す参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を前記参照用検証情報とし、出力を前記参照用検証結果として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、前記検証情報に対する検証結果を出力する評価ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明~第6発明によれば、本発明の鑑定証明システムは、評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、検証情報に対する検証結果を出力する。これにより、トラストアンカーの役割をAIで自動的に行うことが可能となる。このため、製品情報の不正・改ざんの入力を防ぐことができる。
【0020】
特に、第2発明によれば、本発明の鑑定証明システムは、2以上の評価モデルをそれぞれ用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、検証結果をそれぞれ出力する。これにより、例えば合議体として複数個の異なる開発主体のAIを用いたマルチAIにより、評価を行うことが可能となる。このため、仮に学習データ等による結果の偏りがなくなり、より公平な評価を行うことが可能となる。
【0021】
特に、第3発明によれば、本発明の鑑定証明システムは、出力したそれぞれの検証結果に基づいて、さらに検証情報に対する第2検証結果を出力する。これにより、複数の評価モデルを用いて評価されたそれぞれの検証結果を考慮した第2検証結果を出力することが可能となる。
【0022】
特に、第4発明によれば、本発明の鑑定証明システムは、製造メーカー・製造者・著作者等の複数のユーザによる真正品の製品のみについて唯一無二の識別子に紐づけたNFT情報をブロックチェーンデータに記録する。これにより、NFT情報を正確に記録でき、また、NFT情報自体が改竄されることを防止することができる。このため、デジタル財を対象とした鑑定証明を行う場合においても、信頼性の高い鑑定証明を行うことが可能となる。
【0023】
特に、第5発明によれば、本発明の鑑定証明システムは、要鑑定製品の買収、又は回収の保険を適用する。これにより、評価結果に誤りがあった場合においても、保険を適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明を適用した鑑定証明システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、デジタル財鑑定証明の処理動作について説明するための図である。
【
図3】
図3は、デジタル財データからNFTのトランザクションハッシュや二次元コードを生成するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、アナログ財鑑定証明において必要となる構成について説明するための図である。
【
図5】
図5は、アナログ財鑑定証明の一実施形態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、アナログ財鑑定証明を行う上で、専用プラットフォームに記録される、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータの例を示す図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、ハイブリッド(アナログ・デジタル)鑑定証明の処理動作について説明するための図である。
【
図8】
図8は、ブロックチェーンウォレットを通じた所有者証明のフローチャートである。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、所有者証明データ(ブロックチェーンウォレットの所有者証明)と共に、トランザクションハッシュ又は二次元コードに基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、識別子等とアナログ財鑑定証明を織り交ぜたハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す図である。
【
図11】
図11は、識別子等とアナログ財鑑定証明を織り交ぜたハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す他の図である。
【
図12】
図12は、サプライチェーン及びトレーサビリティを利用した鑑定証明方法のフローを示す図である。
【
図13】
図13は、サプライチェーン及びトレーサビリティを利用した鑑定証明方法の変形例のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態を適用した鑑定証明システム、及び鑑定証明方法の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態を適用した鑑定証明システム1のシステム構成を示している。鑑定証明システム1は、ユーザ(製造メーカー・製造者・著作者等及び物流業者、卸売り業者、小売業者、レンタル業者、リユース又はリセール業者、廃棄業者、要鑑定製品5のシステム開発や運用を行う業者(SIer)、及び公益法人等(以下、これらを総称して各種業者等という。)、所有者、及び消費者等の要鑑定製品5に関わる人物を含む)が利用する。鑑定証明システム1は、ユーザ(例えば各種業者等)が操作するための端末2及び端末72と、管理者等が操作するための分散型ファイルサーバ3とがインターネット網を始めとする公衆通信網10を介して接続され、この公衆通信網10を介した専用プラットフォーム8を構成している。なお、端末2、端末72を操作するユーザは、用途に応じて任意に設定できるが、以下では必要に応じて端末2を各種業者等が操作し、端末72を消費者が操作する場合を一例として説明する。
【0027】
端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。各種業者等は、この端末2を操作し、要鑑定製品5から識別子を生成するための各種作業を行う。なお、鑑定証明対象の要鑑定製品5は、大きく分類してアナログ財とデジタル財に分類することができる。例えば、アナログ財は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等、鑑定証明が必要とされるあらゆる製品が含まれる。デジタル財は、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツが含まれる。なお、デジタル財は、例えばアナログ財に関する情報をデジタル化した情報(例えば製品画像、製造番号、鑑定証明等)も含む。要鑑定製品5は、新品のみならず、中古品(二次流通、三次流通、その他n次流通(nは4以上の整数))も含むものである。また、要鑑定製品5は、ソフトウェアが組み込まれた通信機器等の電子機器であってもよい。
【0028】
端末72も同様に、PC等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。消費者は、この端末72を操作し、要鑑定製品5に対して鑑定証明を試みる。
【0029】
分散型ファイルサーバ3は、端末2を同じファイルシステムにつなぐことを目的とした分散型ファイルシステムであり、いわゆるIPFS(Inter Planetary File System)等で構成されるが、これに限定されるものではない。分散型ファイルサーバ3は、公衆通信網10に対して端末2を介してアクセスする各種業者等がデータの提供を行い、消費者は当該データの要求をP2P(Peer to Peer)形式で行うことができる。分散型ファイルサーバ3は、要鑑定製品5のデジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツを保管する場所であり、当該保管と同時に後述の通り識別子と呼ばれる複数桁の文字列が生成される。要鑑定製品5の識別子を特定する際、新品の場合は、全く同一画像となるが、当該デジタルコンテンツと共に商品管理番号等の唯一無二の付帯情報が付加されるため、上記識別子は唯一無二の文字列が生成される。
【0030】
また、中古品の場合には、個々の傷や擦り傷、その他型崩れ等により、個々に特徴付けられたデジタル財となるため、上記識別子は唯一無二の文字列が生成される。なお、このような中古品ならではの、特徴付けられたデジタル財が、リセール業界における鑑定証明を行う上で非常に重要な意味をなす。例えば、中古品の時計を購入した者が、購入店に偽物とすり替えた時計を持ち込み、返品要求した場合、デジタル財に応じたNFT(Non fungible token)や後述する識別子に基づく情報がブロックチェーン上に保存されていれば、顧客へ販売した時計、顧客が持ち込んだ時計との差分をチェックする際の証拠とすることができる。
【0031】
専用プラットフォーム8は、ブロックチェーン8aを参照している。ブロックチェーン8aとしては、分散型台帳等のP2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用できる。このブロックチェーン8a上では、要鑑定製品5の製品情報、要鑑定製品5が消費者に渡るまでの各流通段階における取引情報に加え、要鑑定製品5のデジタル財データに基づいてハッシュ化されて生成される識別子等が記録される。
【0032】
なお、ここでいうブロックチェーン8aとしては、分散型台帳等のP2Pネットワークを有するブロックチェーン以外に、パブリック型ブロックチェーン、プライベート型ブロックチェーン、コンソーシアム型ブロックチェーン等、いかなる種類のブロックチェーンを適用するようにしてもよい。
【0033】
また、ブロックチェーン8a上への記録は、特定のデータを証明するためのハッシュ値が繋がった状態を記録する概念も含まれる。また、ブロックチェーン8a上の記録は、例えばハッシュ値等の各種情報を暗号化又は電子署名化した情報を記録する概念も含まれ、例えばブロックチェーン8aに記録される情報は、暗号化技術や電子署名技術等の用途に応じた形式により記録されてもよい。
【0034】
本発明を適用した鑑定証明システム1では、以下に説明するように、大きく分類してデジタル財鑑定証明と、ハイブリッド鑑定証明の2種類にわたる鑑定証明を実現することができる。
【0035】
デジタル財鑑定証明
先ずデジタル財鑑定証明の処理動作について説明をする。デジタル財の鑑定証明は、
図2(a)に示すように要鑑定製品5についてデジタル財データを取得する。このデジタル財データの取得は、鑑定証明対象に対して行う。このデジタル財データは、要鑑定製品5について端末2やデジタルカメラ等を利用して撮像したデジタル財データからなるデジタル画像データである。このデジタル財データは、製造メーカー・製造者・著作者等がこのような端末2を介して撮像することにより得られたデジタル財データとして構成される以外に、元々この要鑑定製品5に対して付与され、或いは紐付けられて記憶媒体に記録されているものを使用するようにしてもよい。このデジタル財データは、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツであり、各拡張子として、例えばjpg、png、gif、mp3、mov等が付与される。
【0036】
製造メーカー・製造者・著作者等は、このようにして得られた要鑑定製品5のデジタル財データを専用プラットフォーム8に登録する。その結果、この専用プラットフォーム8が参照するブロックチェーン8aを介して発行されたNFTに基づくNFT情報を取得すると共に、そのNFT情報に応じたトランザクションハッシュと二次元コードとを自動生成する。このようにして発行、生成されたNFT情報のトランザクションハッシュや二次元コードを介して、要鑑定製品5が模造品か、或いは真正品かを判別することが可能となる。なお、NFT情報とは、公知のNFTそのものを示すほか、NFTを暗号化又は電子署名化等のような公知技術に基づく処理を施した情報を示してもよい。また、NFT情報は、NFTと紐づく識別子を含んでもよい。
【0037】
また
図2(b)に示すように、分散型ファイルサーバにデジタル財データを記録し、識別子を発行するが、これから唯一無二の二次元コードAを現出することができる。また、ブロックチェーンを介して得られるトランザクションハッシュからも唯一無二の二次元コードBを現出できる。この二次元コードAと二次元コードBは互い異なるものとなるが、鑑定証明システム1の認証要素の一つにすることができる。二次元コードBは周知のものであるが、二次元コードAが新たに加わることで、マルチシグ認証のセキュリティ性を高めることができる。なお、上記二次元コードAのみを認証要素としてもよいし、上記二次元コードBのみを認証要素としてもよい。さらには、マルチシグ認証の強度を高めるため上記二次元コードAおよびB合わせて認証要素としてもよい。
【0038】
図3は、このようなデジタル財データからNFT情報のトランザクションハッシュや二次元コードを発行するまでのプロセスを示すフローチャートである。なお、
図3では、NFT情報としてNFTが用いられた例を示す。
【0039】
先ずステップS11において、製造メーカー・製造者・著作者等は、要鑑定製品5についてのデジタル財データを取得し、専用プラットフォーム8へこれを登録する。このデジタル財データの登録するための処理動作は、製造メーカー・製造者・著作者等が端末2を介して専用プラットフォーム8へアクセスすることで行う。かかる場合において、製造メーカー・製造者・著作者等は、端末2内において専用プラットフォーム8へアクセスし、各種手続きを行う上で必要なアプリケーションを事前にインストールすることで実行するようにしてもよい。
【0040】
次にステップS12に移行し、専用プラットフォーム8側においてデジタル財データの登録を受け付ける。専用プラットフォーム8は、いわゆるNFTマーケットプレイス等で構成されるものであってもよい。専用プラットフォーム8は、デジタル財データの登録を受け付けた場合、そのデジタル財データに対して、例えばNFTマーケットプレイスの登録番号を都度発行する。この登録番号は、デジタル財データの登録を受け付ける毎に都度発行されるものであることから、唯一無二のものとなる。
【0041】
次に、ステップS13へ移行し、ステップS12において登録を受け付けたデジタル財データ、発行された登録番号に加え、製造メーカー・製造者・著作者等の情報を一つのフォルダ等にまとめ、分散型ファイルサーバ3へ登録する処理を行う。製造メーカー・製造者・著作者等の情報の詳細は、氏名、法人情報、ペンネーム、雅号等であり、作品情報としては、作品名称、制作年、発表年等の情報、作品スペック(サイズ、フォーマット、使用技術)、作品の版権、作品に含まれる肖像権・意匠権等の権利情報等である。この登録時に、デジタル財データ、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報を一つのフォルダにまとめて登録する方法は一例であり、デジタル財データ、登録番号そして製造メーカー・製造者・著作者等の情報(以下、これらを総称して、付帯情報という。)、これら3つの情報が互いに紐付いた状態で登録されるのであればいかなる方法に代替されるものであってもよい。
【0042】
次にステップS14へ移行し、分散型ファイルサーバ3において、登録した付帯情報についてそれぞれ固有のIDを発行する。デジタル財データについて発行したIDは第1ID、登録番号について発行したIDは第2IDa、製造メーカー・製造者・著作者等の情報について発行したIDは、第2IDbという。
【0043】
デジタル財データについては、全く同一のデジタル財データが他に存在していた場合、又は、デジタル財データが他者によって複製されたものである場合には、同一の第1IDが発行される場合がある。一方、登録番号は、唯一無二のものであるから、第2IDaは唯一無二のものとなる。製造メーカー・製造者・著作者等の情報は、例えば会社名や生年月日、著作権者の氏名や著作物のタイトル等、内容によっては、唯一無二のものにならない場合があるものの、個別に唯一無二のIDを振る設定が可能であるから、第2IDbも唯一無二とすることができる。例えば、分散型ファイルサーバ3に登録された日時、秒等の時間情報も付帯することができることにより、唯一無二の確度を高めることもできる。なお、このステップS14において少なくともデジタル財データについては、この分散型ファイルサーバ3へ記録しておく。しかもこの分散型ファイルサーバ3は、分散型の形態を採用することで、デジタル財データが紛失することを何重にも亘り防ぐための構成が施されている。また、そのような構成設定が可能となっている。
【0044】
次にステップS15に移行し、互いに紐付けられた付帯情報に基づいて、唯一無二の識別子を生成する。この生成された識別子は付帯情報に紐づけられることで、当該付帯情報が保有する識別子となりえる。この識別子は、上述した第1ID、第2IDa、第2IDbに基づいて生成されるものである。この第2IDaは唯一無二であり、第2IDbも唯一無二となるため、仮に同じデジタル財データ(第1ID)が同一もしくは複製されたものであっても、新たに生成される識別子は、必ず唯一無二のものとなる。このハッシュ化されて生成されるものを識別子と呼ぶ。
【0045】
なお、この識別子の生成については、フォルダ内に入れた付帯情報に基づいて分散型ファイルサーバ3において規定されたルールに基づいて生成されるものであってもよい。
【0046】
また、生成された識別子に基づいて二次元コードを生成してもよい(ステップS23)。
【0047】
ステップS16に移行し、専用プラットフォーム8は、分散型ファイルサーバ3から識別子を受け取る。ステップS23において二次元コードを生成した場合は、専用プラットフォーム8は、分散型ファイルサーバ3から二次元コードを受け取る。
【0048】
次にステップS17に移行し、専用プラットフォーム8は、付帯情報に基づいた識別子をブロックチェーン8aへ送信する。
【0049】
ブロックチェーン8aは、ステップS18において、専用プラットフォーム8から送信されてきた識別子に基づいて発行したNFT情報をブロックチェーン8a上に記録する。このようなブロックチェーン8aに、識別子に紐付けられたNFT情報を記録(例えばブロックチェーンデータ8bに書き込む)ことにより、例えば当該NFT情報が改竄されることを完全に防止することができる。すなわち、ブロックチェーン8a内の各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンク(ハッシュ値)が含まれており、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0050】
次にステップS19に移行し、NFT情報に応じたトランザクションハッシュ及び/又は二次元コードを生成する。このトランザクションハッシュ及び/又は二次元コードの生成は、ブロックチェーン8aへの記録と同時に行うようにしてもよい。ここでいうトランザクションハッシュは、NFT情報を特定するための例えばイーサリアム等の場合には、64桁程度の文字列で示される。このトランザクションハッシュの代替として、コントラクトアドレスとトークンIDの組み合わせで代替してもよい。ここでいうコントラクトアドレスとは、ブロックチェーン(イーサリアムなど)上にコントラクトが展開されている唯一無二の固有アドレスをいう。またトークンIDとは、コントラクトアドレスが特定するNFT情報をいう。また二次元コードは、トランザクションハッシュを特定するためのコードである。発行したトランザクションハッシュ、二次元コードは、専用プラットフォーム8(例えばマーケットプレイスでも良い)に送られ、これらを受け取る(ステップS20)。
【0051】
またブロックチェーン8aは必要に応じてこのNFT情報を各種業者等に送信する(ステップS21)。この送信するNFT情報は、発行したトランザクションハッシュ又は二次元コードに代替されるものであってもよい。各種業者等はこのNFT情報を受け取る(ステップS22)。各種業者等は、端末2を介して、このようなトランザクションハッシュ又は二次元コードを受信することができる。
【0052】
なお、デジタル財データを取得し、専用プラットフォーム8上において登録する権限は、各種業者等に限定して与えられる。例えば、要鑑定製品5は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の場合には、各種業者等もしくは当該製品の販売代行の許諾を受けた者のみにこの専用プラットフォーム8上においてデジタル財データを登録する権限を与えるものであってもよい。
【0053】
各種業者等、又は真正品としての要鑑定製品5の新製品または中古品を購入した消費者は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8(例えばマーケットプレイス)から受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った各種業者等又は消費者は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFT情報を読み出すことができる。これにより、トランザクションハッシュ又は二次元コードを所有する真の各種業者等又は真の消費者だけが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。このため、これらのトランザクションハッシュ又は二次元コードを保有していない第三者は、このような鑑定証明自体を行うことができない。
【0054】
このように、デジタル財鑑定証明においては、各種業者等による真正品の要鑑定製品5のみについて唯一無二の識別子から派生する唯一無二のNFT情報を専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込んでいく。これにより、NFT情報自体を正確に記録でき、また、NFT情報自体が改竄されることを完全に防止することができる。このため、要鑑定製品5についての各種業者等か、又は複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品5を購入した消費者が、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0055】
なお、デジタル財鑑定証明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えばステップS13において、デジタル財データに加え、付帯情報をまとめて登録して識別子を生成する場合について説明をしたが、これに限定されるものではなく、デジタル財データに対して少なくとも何らかの情報を紐付けて登録するものであればいかなるものであってもよい。ここでいう情報は、上述した登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報のような、デジタル財データに関係があるか、或いはデジタル財データに付随して生成されるいかなる情報やデータで構成されるものである。付帯情報は、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報の何れか一方のみで構成されるものであってもよい。また付帯情報は、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報の何れも含まれない代わりに、デジタル財データに関係があるか、或いはデジタル財データに付随して生成されるいかなる情報やデータで構成されるものであってもよい。
【0056】
ハイブリッド鑑定証明
次にハイブリッド鑑定証明の処理動作について説明をする。ハイブリッド鑑定証明では、上述したデジタル財鑑定証明に加えて、更にアナログ財鑑定証明を組み合わせることで、より高精度な要鑑定製品5の鑑定を行う。
【0057】
図4は、アナログ財鑑定証明では、要鑑定製品5、及びこれと共に販売され、流通するギャランティカード24を示す模式図である。要鑑定製品5には、秘密鍵α
1、製品情報(商品名、品番、製造メーカー・製造者(著作者)、製造場所、製造年月日等)を含む情報を記録した小型記録媒体(a
1)51aが貼着または組み込まれており、また、ギャランティカード24には、秘密鍵β
1、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)52aが貼着または組み込まれている。小型記録媒体(a
1)51a、小型記録媒体(b)52aとしては、要鑑定製品5及びギャランティカード24の形状、構造、大きさ等に応じて、ICチップ、二次元コード、電子透かし等の小型記録媒体等を適宜用いることができる。
【0058】
製品情報は、要鑑定製品5に関する情報であり、例えば要鑑定製品5の商品名、品番、製造メーカー・製造者(著作者)、製造場所、製造年月日等を含む。また、製品情報は、要鑑定製品5のハードウェアに関するハードウェア情報を含む情報であってもよい。ハードウェア情報は、HBOM(Hardware-Bill Of Materials)であり、要鑑定製品5の部品表であってもよい。製品情報は、例えば要鑑定製品5のソフトウェアに関するソフトウェア情報を含む。ソフトウェア情報は、例えば要鑑定製品5のソフトウェアのSBOM(Software-Bill Of Materials)であり、ソフトウェアの一覧表であってもよい。また、ソフトウェア情報は、例えば要鑑定製品12の各ソフトウェアの種類を示すソフトウェアタイプ、ソフトウェアのバージョンを示すソフトウェアバージョン、ソフトウェアの情報をハッシュ化したソフトウェアハッシュであってもよい。また、ソフトウェア情報は、ソフトウェアの更新履歴の情報であってもよい。また、製品情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の原産地に関する原産地情報と要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の品質に関する品質情報と要鑑定製品5のセキュリティに対する脅威を判定するための判定情報を含んでもよい。
【0059】
原産地情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の原産地に関する情報である。原産地情報は、例えば要鑑定製品5の各部品の原産地を示す情報であってもよい。原産地情報は、例えば要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品が生産された原産地を示す情報であってもよい。
【0060】
品質情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の品質に関する情報である。品質情報は、例えば要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の傷の有無を示す情報であってもよい。また、品質情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の使用年数を示す情報であってもよい。品質情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品のスペック、及び動作仕様を示す情報であってもよい。品質情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の環境規格、環境基準への適合、又はCO2排出量等を示す情報であってもよい。品質情報は、要鑑定製品5のセキュリティに関する情報であってもよい。セキュリティに関する情報は、例えば要鑑定製品5のセキュリティ上の脆弱性に関する状態の情報である。セキュリティ上の脆弱性に関する状態は、例えば要鑑定製品5に内蔵されるICチップ等の型番や要鑑定製品5のソフトウェアのOSSや基本OS、及びバージョン等の情報と脆弱性を指摘されたICチップやソフトウェアを示す脆弱性情報との突合の状態である。また、セキュリティ上の脆弱性に関する状態は、上述した突合に基づく、セキュリティ上の脆弱性及び脅威の有無であってもよい。脆弱性情報は、例えばCommon Vulnerabilities and Exposures(CVE)、National Vulnerability Database(NVD)、Japan Vulnerability Notes(JVN)等に記録されている情報であってもよい。判定情報は、要鑑定製品5のセキュリティ上の脅威の有無を判定あるいは識別する情報であり、例えば脆弱性情報であってもよいし、要鑑定製品5のセキュリティ上の脆弱性に関する状態の情報であってもよい。
【0061】
ここで、「秘密鍵」とは、要鑑定製品5の鑑定証明を実現するための情報を示し、例えば鑑定証明時において「秘密鍵」自体の整合性が判定されてもよい。「秘密鍵」は、特定のユーザ以外が知り得ない情報を示し、例えば上述した「小型記録媒体」に記録されるほか、例えば端末72や、専用プラットフォーム8等のような鑑定証明システム1に用いられる構成内に記録されてもよい。
【0062】
また、例えば「秘密鍵」の対として「公開鍵」が生成されてもよい。この場合、「秘密鍵」及び「公開鍵」を用いて、公知の暗号化技術や電子署名技術を実施することができる。また、鑑定証明時において、「秘密鍵」の対として生成された「公開鍵」か否か、という点を整合性と見做して判定してもよい。なお、「公開鍵」は、例えば上述した「小型記録媒体」に記録されるほか、例えば専用プラットフォーム8等のような鑑定証明システム1に用いられる構成内に、用途に応じて任意に記録することができる。また、「秘密鍵」及び「公開鍵」は、公知の技術を用いて生成することができ、例えば専用プラットフォーム8や分散型ファイルサーバ3等のような鑑定証明システム1に用いられる構成を用いて、用途に応じて任意に生成することができる。
【0063】
要鑑定製品5の小型記録媒体(a1)51a、及びギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aの製品情報は、要鑑定製品5の出荷時に、各種業者等により入力される。
【0064】
図5は、アナログ財鑑定証明の一実施形態を示す概略図である。アナログ財鑑定証明を行う上では、上述したデジタル財鑑定証明に必要な各構成要素に加え、要鑑定製品5の製品情報、要鑑定製品5が消費者に渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーン8aのブロックチェーンデータ8bとして記録する専用プラットフォーム8と、専用プラットフォーム8に公衆通信網10を介して、アプリケーション[A]9により接続される端末2a、及び専用プラットフォーム8に、公衆通信網10を介して、アプリケーション[B]11により接続される端末2bにより構成されている。
【0065】
各種業者等は、製品情報及び取引情報を、アプリケーション[A]9を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0066】
消費者は、アプリケーション[B]11を用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β1を使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出すことができ、これにより消費者は信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0067】
アプリケーション[A]9は、端末2aにダウンロードされ作動するものであって、これを用いて、各種業者等は、製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことができる。また、アプリケーション[B]11は端末2bにダウンロードされ作動するものであり、消費者は、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出すことができる。なお、例えばアプリケーション[A]9は、アプリケーション[B]11と同様の機能を備えてもよく、アプリケーション[B]11は、アプリケーション[A]9と同様の機能を備えてもよい。
【0068】
要鑑定製品5の小型記録媒体(a1)51aに記録された秘密鍵α1、製品情報を含む情報、及び、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β1、製品情報を含む情報の読み取りは、端末2aに接続されたリーダー25や、スマートフォンとして構成された端末2bを近接させることにより無線通信を介して実現できる。かかる場合において、NFC(NearField Communication)、RFID(Radio Frequency IDenticifier)等の近距離無線通信により非接触で行うこともできる。
【0069】
図6は、アナログ財鑑定証明を行う上で、要鑑定製品5について、各種業者等が専用プラットフォーム8に、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータ8bの例を示している。
【0070】
要鑑定製品5は製造メーカー・製造者・著作者等によって製造された後、ギャランティカード24をセットにして出荷されるが、出荷の際には、まず、製造メーカー・製造者・著作者等の担当者は、アプリケーション[A]9を用いて、次のような製品情報、5W1H情報(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)を含む情報として、例えば、商品名、品番、製造メーカー、製造場所、製造年月日等を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0071】
次に、製造メーカー・製造者・著作者等の責任者は、アプリケーション[A]9を用いて、製造メーカー・製造者・著作者等の担当者が記録した製品情報の検品結果、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0072】
次に、要鑑定製品5が製造メーカー・製造者・著作者等から出荷された後、物流業者は、アプリケーション[A]9を用いて製造メーカー・製造者・著作者等から製品を受け取った日時、卸売り業者に納品した日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0073】
要鑑定製品5が物流業者から入荷された後、卸売り業者は、アプリケーション[A]9を用いて、例えばその物流業者から製品を納品された日時、物流業者に小売業者へ搬送させた日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0074】
このようにして、各種業者等の製品情報及び取引情報が、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込まれていく。
【0075】
なお、ブロックチェーンデータ8bに製品情報及び取引情報を書き込む権限は、これらの情報に関わる各種業者等それぞれに限定して与えられる。例えば、各種業者等には製品情報を書き込む権限しか与えられないものであってもよい。
【0076】
このように、各種業者等が、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を順次書き込んでいくことから、要鑑定製品5が複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりしても、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報が正確に記録できる。
【0077】
さらに、製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことにより、製品情報及び取引情報が改竄されることを完全に防止することができる。すなわち、ブロックチェーンデータ8b内の各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンク(ハッシュ値)が含まれており、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0078】
要鑑定製品5の新製品または中古品を購入した消費者は、端末2bを用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β1を使用し、アプリケーション[B]11を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出すことができる。これにより、要鑑定製品5及びギャランティカード24を所有する真の消費者だけが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0079】
このようなアナログ財鑑定証明においても同様に、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品5を購入した消費者が、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。このアナログ財鑑定証明においては、各種業者等が、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込んでいく。これにより、製品情報及び取引情報を正確に記録でき、また、製品情報及び取引情報が改竄されることを完全に防止することができる。このため、鑑定証明の信頼性をより高めることができる。
【0080】
またアナログ財鑑定証明においては、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β1を使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出すことにより、要鑑定製品5及びギャランティカード24を所有する真の消費者だけが、鑑定証明を行うことができる。このため、これらの要鑑定製品5又はギャランティカード24を保有していない第三者は、このような鑑定証明自体を行うことができない。
【0081】
なお、アナログ財鑑定証明を行う上で、要鑑定製品5に、小型記録媒体(a1)と共に、秘密鍵α2を含む情報を記録した小型記録媒体(a2)~秘密鍵αnを含む情報を記録した小型記録媒体(an)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体を貼着または組み込むことができる。これにより、秘密鍵α1、秘密鍵β1だけでなく、例えば秘密鍵α2~αnの全ての秘密鍵のうち少なくとも2つ(例えば秘密鍵α1、及び秘密鍵β1、α2~αnのうち少なくとも1つ)が揃って鑑定証明が成立するマルチシグ認証が採用でき、鑑定精度をより確実なものとすることができる。さらに、n個の小型記録媒体(a1)~(an)を要鑑定製品5の各パーツに貼着または組み込むことにより、パーツの一部が模造品と交換されている場合でもこれを検知することができる。例えば、要鑑定製品5が自動車の場合、車体及び各タイヤそれぞれに小型記録媒体を貼着または組み込むことにより、全てのパーツに対して鑑定証明を実施することができる。
【0082】
また、鑑定証明システム1では、好適には、小型記録媒体(a1)~(an)及び上記小型記録媒体(b)の少なくとも1つに、GPS機能を備えることができる。これにより、要鑑定製品5の各パーツや、ギャランティカード24を紛失したり、これらが盗難にあったりした場合でも、容易にその所在を検知することができる。
【0083】
このようなアナログ財鑑定証明に、上述したデジタル財鑑定証明を組み合わせたハイブリッド鑑定証明を行う場合には、
図7(a)に示すように、アナログ財鑑定証明において求められる要鑑定製品5及びギャランティカード24に加え、デジタル財鑑定証明において求められるトランザクションハッシュ又は二次元コードの3つを準備する。
【0084】
そして、端末72を用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β1を使用し、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに記録された、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出す。これと共に、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、端末72にインストールされたアプリケーションにアクセスし、鑑定証明を行う。アプリケーション側においてトランザクションハッシュ又は二次元コードの整合性を判定することができることに加え、読み出された要鑑定製品5の製品情報及び取引情報が何れも正しいかを判定することができる。これらの判定結果が何れも正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。
【0085】
仮にアナログ財鑑定証明に用いられる要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β1が偽造されたり、違法に複製されたりするものであったとしても、このデジタル財鑑定証明に用いられるトランザクションハッシュ又は二次元コードを通じた鑑定証明がなされない限り、このハイブリッド鑑定証明を看過することはできないものとなる。即ち、このハイブリッド鑑定証明は、アナログ財鑑定証明に加え、デジタル財鑑定証明を織り交ぜることにより、より信頼性の高い鑑定証明システム1を提供することが可能となる。
【0086】
なお本発明は、
図7(a)に示すように、要鑑定製品5及びギャランティカード24に加え、トランザクションハッシュ又は二次元コードの3つを準備する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば
図7(b)に示すように、要鑑定製品5又はギャランティカード24に加え、トランザクションハッシュ又は二次元コードの2つのみの組み合わせを準備することで同様にハイブリッド鑑定証明を行うことができる。
【0087】
つまり、アナログ財鑑定証明においては、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α1、又はギャランティカード24に付与された秘密鍵β1を使用し、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに記録された、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出す。これに加えて、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、端末72にインストールされたアプリケーションを介して整合性を判定することができる。これらの判定結果が何れも正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。
【0088】
また、上述したアナログ財鑑定証明の代替として、以下に説明するイーサリアム等のトークンを保管するためのブロックチェーンウォレットを通じて所有者証明を行うようにしてもよい。以下に説明するブロックチェーンウォレットの所有者証明は一例であり、例えばDID(分散型アイデンティティ:Decentralized Identity、又はDecentralized Identifier)、「SSI(自己主権型アイデンティティ:Self-Sovereign Identity)」、その他「DIW(Digital Identity Wallet)」であっても良い。また、各国政府や公的機関が「検証可能な資格情報 (VC:Verifiable Credentials)」として認証した例えば日本でいうところの「GビズID(gBizID)」又は「マイナンバー(個人番号)」等 を代替として用いることができ、これらに限定されることなく他のいかなる所有者証明手段に代替可能であることは勿論である。
【0089】
なお、上述したギャランティカード24の代替として、形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等を適宜用いることができる。
【0090】
図8は、ブロックチェーンウォレットを通じた所有者証明のフローチャートを示している。
【0091】
ステップS31において先ず所有者41はバックエンド42に対してワンタイムトークンを要求する。ここでいう所有者41は、例えばウェブブラウザの拡張機能やスマホアプリとして利用できるブロックチェーンウォレットの所有者であり、上述したユーザの一例として示す。所有者41は、フロントエンド(front-end)を通じて情報の送受信を行い、このフロントエンドとは、所有者41と直接データのやり取りを行う要素のことで、ウェブ制作ではウェブブラウザ側(クライアント側)を示す。バックエンド42とは、サーバーサイドの処理を指し、一般的に所有者41の目に見えることのないサーバやデータベース、機能、処理を担うプログラムやモジュールなど、仕組みや機能、部品を示す。
【0092】
次にステップS32に移行し、バックエンド42は所有者41に対して、ワンタイムトークンを返却する。このワンタイムトークンの有効期限は、例えば数秒~数分間のものであってもよい。
【0093】
次にステップS33に移行し、所有者41からブロックチェーンウォレット43に署名作成依頼を出す。このブロックチェーンウォレット43は、例えば暗号資産を扱うプログラムである。このブロックチェーンウォレット43では、アドレスやその秘密鍵は外部サーバに保存されるわけではなく、送金処理なども全てブラウザ上で動作してもよい。
【0094】
次にステップS34に移行し、ブロックチェーンウォレット43から署名を所有者41に対して返却する。
【0095】
次にステップS35へ移行し、所有者41は、メッセージ、ワンタイムトークン、署名データ、ブロックチェーンウォレットアドレスをバックエンド42へ送信する。即ち、署名前において、バックエンド42に所有者認証用のワンタイムトークンを要求し、それを署名に利用するものである。署名データをバックエンド42に送信する際に上述したワンタイムトークンも一緒に送信する。バックエンド42では署名データとワンタイムトークンを検証する。
【0096】
バックエンド42では、署名付きのメッセージを規格にしたがってハッシュデータに変換する。そして、スマートコントラクト44に対して、そのハッシュメッセージと署名データを送信する(ステップS36)。ここでいうスマートコントラクト44は、ブロックチェーン8a上で契約を自動的に実行する仕組みであり、ブロックチェーン8aのサーバ上で動作する。
【0097】
次にステップS37に移行し、スマートコントラクト44からバックエンド42に向けて検証アドレスを返却する。バックエンド42は、検証アドレスの照合を行う。かかる場合においてバックエンド42は、ブロックチェーンウォレットアドレスと検証用ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性を確認する。
【0098】
次にステップS38に移行し、バックエンド42は、ブロックチェーンウォレット所有者証明を所有者41へ送信する。要鑑定製品5について所有者41が所有者証明をしたい場合、このようにしてスマートコントラクト(ブロックチェーン8a)に記録されている所有者証明データ(ブロックチェーンウォレット所有者証明)を読み出すことで実現することができる。
【0099】
このため、上述したアナログ財鑑定証明の代替として、このようにブロックチェーン8aに記録されている所有者証明データ(ブロックチェーンウォレット所有者証明)を読み出すと共に、
図9(a)に示すように、専用プラットフォーム8から発行されるトランザクションハッシュ又は二次元コードに基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行うことができる。
【0100】
これに加えて、このようなブロックチェーンウォレット所有者証明を利用する場合には、
図9(b)に示すように、更にアナログ財鑑定証明を組み合わせるようにしてもよい。かかる場合には、アナログ財鑑定証明における要鑑定製品5に付与された秘密鍵α
1及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β
1を使用してもよいし、秘密鍵α
1又は秘密鍵β
1を使用してもよい。所有者証明データ(ブロックチェーンウォレット所有者証明)、トランザクションハッシュ又は二次元コードに加え、秘密鍵α
1及び/又は秘密鍵β
1に基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行うことが可能となる。
【0101】
また本発明によれば、NFTを介した鑑定証明は必須ではなく、
図10に示すように、識別子を介した鑑定証明を行うようにしてもよい。識別子自体が唯一無二のものであるから、これを介して鑑定証明を行うことが可能となる。
【0102】
消費者又は製造メーカー・製造者・著作者等は、専用プラットフォーム8から識別子を取得する。このとき、識別子に加え、ステップS23において識別子に応じた二次元コードを生成している場合には、消費者又は製造メーカー・製造者・著作者等は、その二次元コードを取得してもよい。
【0103】
鑑定証明時には、この取得した識別子、又はその識別子に応じた二次元コードに加え、
図10(a)に示すように要鑑定製品5に付与された秘密鍵α
1、或いは、
図10(b)に示すように秘密鍵α
1及びギャランティカード24に付与された秘密鍵β
1を準備する。
【0104】
そして、端末2を用いて、秘密鍵α1、或いは秘密鍵α1及び秘密鍵β1を使用し、専用プラットフォーム8を介してブロックチェーン8aに記録された、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み出す。これと共に、識別子、又はその識別子に応じた二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8又は分散型ファイルサーバ3にアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5の識別子を読み出す。この読み出された要鑑定製品5の製品情報及び取引情報、識別子の何れもが正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。なお、真正品であるものと判断する基準として、例えば要鑑定製品5の製品情報及び取引情報、及び識別子の少なくとも何れかが正しい場合でもよく、用途に応じて任意に設定することができる。
【0105】
この
図10の例において、更に所有者証明データ(ブロックチェーンウォレット所有者証明)を組み合わせたハイブリッドな鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0106】
また、例えばデジタル財においては、
図11に示すように、取得した識別子、又はその識別子に応じた二次元コードに加え、ギャランティカード24に付与された秘密鍵β
1を用いたハイブリッド鑑定証明を行うようにしてもよい。デジタル財は、要鑑定製品5が物品として具現化されるものではなく、小型記録媒体a自体を付すことができないため、秘密鍵α
1を省略し、秘密鍵β
1のみを使用して、ハイブリッド鑑定証明を行う。この
図11の例において、更に所有者証明データ(ブロックチェーンウォレット所有者証明)を組み合わせたハイブリッドな鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0107】
カウントアップによる鑑定証明
なお本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、更にカウントアップによる鑑定証明を織り交ぜて実施するものであってもよい。
【0108】
このカウントアップによる鑑定証明は、上述した鑑定証明が行われる都度、その鑑定証明の時点をブロックチェーン8a上に順次記録する。例えば、鑑定証明が8月19日の10時15分に行われた場合には、8月19日10時15分という時点がブロックチェーン8a上に記録され、次に9月23日21時54分に鑑定証明が行われた場合には、9月23日21時54分という時点がブロックチェーン8a上に記録され、次に11月4日13時34分に鑑定証明が行われた場合には、11月4日13時34分という時点がブロックチェーン8a上に記録される。その結果、ブロックチェーン8a上には、鑑定証明が記録された各時点が順次蓄積されることとなる。
【0109】
カウントアップによる鑑定証明は、このブロックチェーン8aに記録された時点に基づいて鑑定証明を行う。例えば、同時点において複数の鑑定証明がブロックチェーン8aにおいて記録されている場合、何れか一方の要鑑定製品5が真正品で、他方が偽物であることが明らかである。かかる場合には、その旨を通知するようにしてもよい。
【0110】
また、鑑定証明の時点の時間差が数十秒、数分~数十分、数時間の場合も、同一の物品を頻繁に鑑定すること自体が稀であることから疑わしい場合がある。かかる場合も同様にその旨を通知するようにしてもよい。
【0111】
このように、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点に基づいて、その信憑性を判定する。このとき、ブロックチェーン8aに記録された時点の間隔において閾値を設け、その閾値未満であるか否かに基づいて鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0112】
また、鑑定証明の時点に加え、更にその鑑定証明を行った位置に関する位置情報を紐付けてブロックチェーン8aに記録するようにしてもよい。例えば、8月19日10時15分という時点に加え、その鑑定証明を行った位置が「東京都丸の内」であれば、8月19日10時15分という時点と、その位置情報としての「東京都丸の内」がブロックチェーン8aに記録される。次に鑑定証明が行われた時点が、12月21日14時9分という時点に加え、その鑑定証明を行った位置が「パリの住所〇×」であれば、12月21日14時9分という時点と、その位置情報としての「パリの住所〇×」がブロックチェーン8aに記録される。その結果、ブロックチェーン8a上には、鑑定証明が記録された各時点と、その位置情報が順次蓄積されることとなる。
【0113】
このとき、ブロックチェーン8aにおいて、最初の鑑定証明の時点における位置情報が東京であり、その後の鑑定証明の時点における位置情報がパリが記録されている場合であって、その時点間の間隔が僅か2時間である場合、東京からパリまで飛行機でも2時間で行くことは不可能であることから、何れか一方の要鑑定製品5が真正品で、他方が偽物であることが明らかである。かかる場合には、その旨を通知するようにしてもよい。具体的には、登録メールアドレスに不正検知をした旨の通知を行うようにしてもよいし、端末2に実装されたアプリケーションを介してアラートポップアップを表示したり、或いは注意喚起を示す赤字表示を画面上に表示したりする方法等を行うようにしてもよい。
【0114】
このように、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点及び位置情報に基づいて、その信憑性を判定する。このとき、ブロックチェーン8aに記録された時点の間隔において閾値を設けて判断する場合、その位置情報との関係において当該閾値を設定するようにしてもよい。
【0115】
なお、この信憑性の判定は、所定時間内に移動が不可能な距離において鑑定証明が行われたか否かに基づく以外に、位置情報の如何を問わず、1日に所定回数以上の鑑定証明が実施されたか否か、或いは総鑑定証明回数が所定回を超えたか否かに基づいて行うようにしてもよい。即ち、所定期間における鑑定証明回数に基づいて、その信憑性を判定することとなる。所定期間における鑑定証明回数が閾値を超えたか否かに基づいてその信憑性を判別する。所定期間における鑑定証明回数が閾値を超えた場合、それほどの短期間において多くの鑑定証明が行われることは不自然であるため、信憑性が疑わしいものと判定し、アラートを通知するようにしてもよい。
【0116】
また、要鑑定製品5が化粧品等である場合、ICチップ入り開封検知シールが貼付されている場合、使用と同時に当該ICチップ入り開封検知シールが破損される。このため、複数回の鑑定証明自体が行われることがありえなくなり、仮に複数回の鑑定証明が行われた場合、明らかに偽物が出回っていることが裏付けられる。このようなケースにおいて、所定期間における鑑定証明回数に基づいて、その信憑性を判別するメリットがでてくるといえる。
【0117】
表1に、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点及び位置情報の例を示す。鑑定結果表示回数は、鑑定証明の回数を示している。時点は、年月日と時間を介して表示される。位置情報は、国名、都道府県、市区町村レベルで表示されるが、これに限定されるものではない。
【0118】
【表1】
ちなみに位置情報の取得は、例えば鑑定証明を行おうとする端末2及び/又は端末72に実装される。
【0119】
アプリケーションを介して現在位置情報を取得したり、アクセスしたIPアドレスを逆探知する形式により当該情報を取得したりするものであってもよい。
【0120】
サプライチェーン及びトレーサビリティを利用した鑑定証明
以下、サプライチェーン及びトレーサビリティを利用した鑑定証明方法について説明をする。
【0121】
図12は、サプライチェーン及びトレーサビリティを利用した鑑定証明方法のフローを示している。鑑定証明方法において、要鑑定製品5に関わる複数のユーザは、第1検証情報を保有する。第1検証情報は、上述したブロックチェーンウォレットアドレス、ブロックチェーンウォレットアドレスを生成する際に用いる公開鍵、ブロックチェーンウォレットアドレスを生成する際に用いる秘密鍵、DID、SSI、DIW、又はVC(例えばGビズID又はマイナンバー)の少なくとも何れかを含む。
【0122】
例えば、第1検証情報としてDIDを用いた場合、ユーザ毎に利用する情報を設定することができる。このため、不要な情報の利用を抑制することが可能となる。上記のほか、例えばGビズID又はマイナンバーは、DIDに比べて信頼性の高い情報として位置付けることができる。このため、第1検証情報としてGビズID、マイナンバー、又はDIWを用いることで、鑑定証明方法の信頼性向上を図ることが可能となる。
【0123】
また、鑑定証明時において、鑑定証明者としてのユーザが保有する第1検証情報は、第1署名情報として見做し、ブロックチェーン8a等に記録された第1検証情報との整合性を判定するために用いられる。なお、鑑定証明方法では、例えば電子署名技術における「署名」、及び「署名の検証」の処理を実施することで、整合性の判定を実現することができる。
【0124】
以下、第1検証情報及び第1署名情報として、ブロックチェーンウォレットアドレスが用いられる場合について説明をする。なお、第1検証情報及び第1署名情報として、DID、SSI、DIW、又はVC(例えばGビズID又はマイナンバー)の少なくともいずれかが用いられた場合も同様のため、説明を省略する。
【0125】
本フローを開始する前提として、製造メーカー・製造者・著作者、物流企業、消費者等の各ユーザに対して、それぞれ上述したブロックチェーンウォレットアドレスが予め付与されていることが前提となる。このブロックチェーンウォレットアドレスが、本システムの運営業者側で割り振るようにしてもよい。このブロックチェーンウォレットアドレスに紐付けられた秘密鍵、及び公開鍵は、例えばブロックチェーンウォレットアドレスを保有する製造メーカー・製造者・著作者、物流企業、消費者等のユーザに配布されるほか、上述した専用プラットフォーム8等のような鑑定証明システム1に用いられる構成内に記録されてもよく、例えば小型記録媒体(例えば二次元コード)や、NFT情報の一部に含まれてもよく、用途に応じて任意に設定することができる。また、製造メーカー、製造者、著作者、物流企業、消費者の各主体が独自にブロックチェーンウォレットアドレスを取得してもよい。
【0126】
先ずステップS41において、要鑑定製品5についてデジタル財データを取得する。このデジタル財データ取得は、鑑定証明対象に対して行う。このデジタル財データは、製造メーカー・製造者・著作者等がこのような端末2を介して撮像することにより得られたデジタル財データとして構成される以外に、元々この要鑑定製品5に対して付与され、或いは紐付けられて記憶媒体に記録されているものを使用するようにしてもよいことは上述と同様である。このデジタル財データは、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツであり、各拡張子として、例えばjpg、png、gif、mp3、mov等が付与される。このとき、このデジタル財データとともに、上述した付帯情報や、要鑑定製品5に関するあらゆる商品情報も一緒に取得するようにしてもよい。かかる場合には、このようなデジタル財データや登録番号、付帯情報、商品情報等をcsv形式のファイルに書き込んだものを取得するようにしてもよい。
【0127】
次にステップS42へ移行し、このようなデジタル財データや付帯情報、商品情報等を専用プラットフォーム8に登録することにより、上述と同様に、NFT情報を取得すると共に、そのNFT情報に応じたトランザクションハッシュを自動生成する。このトランザクションハッシュは、IDのようなデータで具現化されるものであってもよく(TxIDともいう。)、ブロックチェーンアドレスとして具現化されるものであってもよい。
【0128】
そして、このトランザクションハッシュに基づいて更にハッシュ化した第1ハッシュを新たに生成する。なお、第1ハッシュをトランザクションハッシュに基づいて生成する以外に、トランザクションハッシュそのものをそのまま第1ハッシュとしてもよい。
【0129】
なお、発行したNFT情報は、トランザクションハッシュに紐づいていることは勿論であるが、このトランザクションハッシュから生成される第1ハッシュに対してもこのNFT情報が紐づいている。このNFT情報はブロックチェーン8a上で記録される。
【0130】
次にステップS43に移行し、上述したアナログ財鑑定証明と同様に、要鑑定製品5の小型記録媒体(a1)51aに記録された秘密鍵α1、製品情報、取引情報を含む情報、及び/又は、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β1、製品情報、取引情報を含む情報を読み取る。そして読み取った情報をブロックチェーン8aに記録する上で生成される第2ハッシュを得る。
【0131】
なお、ギャランティカード24は、実際にカード状の物品として具現化される物理的ギャランティカード以外に、物品として具現化されることなくデジタル情報としての論理的ギャランティカードも含まれる。
【0132】
次に、ステップS44へ移行し、得られた第1ハッシュと第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成する。この第3ハッシュの生成方法としては、第1ハッシュと第2ハッシュとの積又は和を求め、これを第3ハッシュとしてもよいし、その他いかなる周知の方法で求めるようにしてもよい。求めた第3ハッシュは、ブロックチェーン8a上に記録する。このとき、上述したNFT情報やそのNFT情報に応じたトランザクションハッシュと二次元コード紐付けてこの第3ハッシュを記録するようにしてもよい。
【0133】
以上のステップS41~ステップS44の前処理を事前に運営会社側で行っておいてもよいし、その他関係主体(製造メーカー・製造者・著作者・物流企業・消費者等)が自ら行っておいてもよい。その後の製造メーカー・製造者・著作者から、物流企業、消費者へと要鑑定製品5が流通する過程のプロセスは、以下に説明するステップS45以後となる。
【0134】
なお、本発明においては、ブロックチェーンウォレットアドレスについて、いわゆる中央集権型といえるWeb2.0で割り当てるようにしてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、個人情報(性別、国籍、人種、年齢等)を入力することなく、個人のデジタル資産を全てブロックチェーンウォレット内に保存し、何人もこれを消去することが不可能なWeb3.0により具現化してもよい。即ち、Web3.0は、中央集権に依存しない、いわゆる非中央集権型を適用するようにしてもよい。
【0135】
ステップS45では、先ず製造メーカー・製造者・著作者によって生成された要鑑定製品5が、物流企業へと移転する。即ち、このステップS45では、要鑑定製品5の所有者が製造メーカー・製造者・著作者から物流企業へと移転することとなる。このとき要鑑定製品5に付随する小型記録媒体(a1)、小型記録媒体(b)も同様に移転する。また、要鑑定製品5のNFT情報の所有者も同様に移転する。
【0136】
移転する都度、その移転先の所有者のブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFT情報と紐付けて記録する。移転する前は、NFT情報に紐付けられて製造メーカー・製造者・著作者のブロックチェーンウォレットアドレスが記録されていたが、移転する際に、新たに物流企業のブロックチェーンウォレットアドレスがNFT情報に紐付けられて記録される。かかる場合、各種業者等は、この移転する際のブロックチェーンウォレットアドレスをアプリケーション[A]等を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに記録するようにしてもよい。
【0137】
即ち、ステップS45では、例えば記録手段としてアプリケーション[A]9を用いて、要鑑定製品5に関わる複数のユーザ毎に保有する第1検証情報(ここではブロックチェーンウォレットアドレス)を、NFT情報と紐づけて、複数のユーザが関わる順番に沿って記録することができる。なお、ステップS45では、例えばアプリケーション[A]9の代わりに、ユーザの保有する端末2、72や、専用プラットフォーム8等が記録手段として用いられてもよい。また、記録手段が第1検証情報等の各種情報を記録する先は、ブロックチェーン8aのほか、例えば分散型ファイルサーバ3や、その他のデータベース等でもよい。
【0138】
また、このステップS45において、物流企業は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8(例えばマーケットプレイス)から受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った物流企業は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFT情報を読み出すことができる。
【0139】
ステップS46に移行し、物流企業から消費者へと要鑑定製品5が移転する。このとき要鑑定製品5に付随する小型記録媒体(a1)、小型記録媒体(b)も同様に移転する。また、要鑑定製品5のNFT情報の所有者も同様に移転する。
【0140】
移転する都度、その移転先の所有者のブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFT情報と紐付けて記録されるため、新たに所有者のブロックチェーンウォレットアドレスがNFT情報に紐付けられて記録される。
【0141】
また、このステップS46において、消費者は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8(例えばマーケットプレイス)から受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った消費者は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFT情報を読み出すことができる。
【0142】
このような消費者は、専用プラットフォーム8を介して要鑑定製品5の鑑定証明を試みることができる。以下、鑑定証明時の動作の一例としてステップS47を説明し、この鑑定証明を試みる消費者等のユーザを鑑定証明者という。
【0143】
ステップS47において、鑑定証明者は、先ず専用プラットフォーム8、ひいてはブロックチェーン8aへアクセスすることにより、ログへの書き込み作業を行う。このログへの書き込み作業は、アプリケーションのユーザインターフェース上から実現することができ、例えば鑑定証明者の氏名や生年月日等を始めとする個人情報やその他いかなる情報を、ユーザインターフェース上の誘導に沿って記入する。ユーザインターフェースの誘導が無くても、鑑定証明者から入力されるいかなる情報、或いは情報として意味を持たないいかなる文字列であっても、このログへの書き込み作業とみなしてよい。
【0144】
かかる場合において、鑑定証明者は、ブロックチェーンウォレットアドレスの割り当て時において、自らに対して秘密鍵が割り当てられている場合、この秘密鍵を介してログにアクセスするようにしてもよい。鑑定証明者が自らブロックチェーンアドレスを生成し、それを利用してもよいことは勿論である。秘密鍵を通じて署名した段階で、自動的にブロックチェーン8a上にてブロックチェーンウォレットアドレスを取得することができる。或いはこの秘密鍵をユーザインターフェース上において入力し、専用プラットフォーム8側において、その秘密鍵に対して割り当てられているブロックチェーンウォレットアドレスの有無を検証するようにしてもよい。その結果、秘密鍵に対してブロックチェーンウォレットアドレスが割り当てられていた場合、これに対して専用プラットフォーム8側において署名を行う。この署名がなされた場合を、ログの書き込み成功とし、それ以外はログの書き込み失敗とする。この署名はプログラムにより自動的に実行されるものであってもよい。
【0145】
ログの書き込みをするためには、例えば秘密鍵を通じて署名が必要になるように設定してもよい。署名をすると自動的にブロックチェーン8a上にてブロックチェーンウォレットアドレスを取得することができる。このため、ユーザインターフェース上で鑑定証明者に対してログの書き込みを促すことで、ブロックチェーンウォレットアドレスを得ることができる。例えば、秘密鍵を通じて公開鍵を特定することができ、この公開鍵を通じてブロックチェーンウォレットアドレスを取得できるようにしてもよい。
【0146】
専用プラットフォーム8は、ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者である旨を判断することができる。一方でログの書き込みに失敗した場合には、ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者でない旨を判断することができる。ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者である旨を判別した場合、その判別したブロックチェーンウォレットアドレス(以下、第2ブロックチェーンウォレットアドレス、又は第1署名情報という。)を読み出す。
【0147】
なお、第2ブロックチェーンウォレットアドレスの取得方法は、上述した方法に限定されるものではなく、他のいかなる方法で取得するものであってもよい。この第2ブロックチェーンウォレットアドレスを取得する際には、この鑑定証明者から直接入力してもらうことで取得するようにしてもよい。
【0148】
また、このステップS47において、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFT情報に紐付けられたブロックチェーンウォレットアドレスをブロックチェーン8aから読み出す。このブロックチェーン8aから読み出したブロックチェーンウォレットアドレスを、以下第1ブロックチェーンウォレットアドレス(又は第1検証情報)という。
【0149】
次にこの第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性を判別する。第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとが同一であれば照合が終了する。照合の終了を通じて、要鑑定製品5が模造品でなく真正品であることを判別することができる。一方、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとが非同一であれば、鑑定証明者が要鑑定製品5の所有者ではないことを判別することができる。
【0150】
その理由として、NFT情報の所有者が移転する都度、これに紐付けられて記録される第1ブロックチェーンウォレットアドレスが、真正品である旨の証拠となる。この第1ブロックチェーンウォレットアドレスと同一の第2ブロックチェーンウォレットアドレスの保有者が、現時点においてその真正品としての要鑑定製品5を保有している旨の証拠となる。このため、この第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性を判別することで、要鑑定製品5の鑑定証明を行うことができる。
【0151】
例えば、ステップS47において読み出された第1ブロックチェーンアドレス等の第1検証情報は、複数のユーザのうち、要鑑定製品5に関わる最新のユーザが保有する第1署名情報に対して整合性を有する。この場合、ステップS47では、最新のユーザのみが鑑定証明者として鑑定証明を行うことができる。このため、現時点で要鑑定製品5を所有又は管理しているユーザの特定を容易に実現することが可能となる。
【0152】
なお、ステップS47において読み出された第1ブロックチェーンアドレス等の第1検証情報は、例えば複数のユーザのうち、要鑑定製品5に関わる最新のユーザよりも前に関わったユーザ(即ち過去のユーザ)が保有する第1署名情報に対して整合性を有する。この場合、ステップS47では、過去のユーザが鑑定証明者として鑑定証明を行うことができる。このため、要鑑定製品5に関わったことのあるユーザの特定を実現することが可能となる。
【0153】
なお、例えばステップS47は、要鑑定製品5の認証を満たしたユーザに対し、要鑑定製品5に関連する情報(例えばブロックチェーン8aに記録する際に用いられた製品情報や取引情報等)の少なくとも一部を閲覧する権限を与える処理を行ってもよい。
【0154】
これに加えて、ステップS47では、例えば後述する鑑定証明を組み合わせて判断するようにしてもよい。
【0155】
ステップS47では、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFT情報に紐付けられたトランザクションハッシュに基づいて第4ハッシュを生成する。この第4ハッシュの生成方法は、上述した第1ハッシュの生成方法と同様である。
【0156】
また、ステップS47では、要鑑定製品5の小型記録媒体(a1)51aに記録された秘密鍵α1、製品情報、取引情報を含む情報、及び/又は、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β1、製品情報、取引情報を含む情報を読み取る。そして読み取った情報をブロックチェーン8aに記録する上で生成される第5ハッシュを得る。
【0157】
次に、得られた第4ハッシュと第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成する。この第6ハッシュの生成方法は、上述した第3ハッシュの生成方法と同様である。
【0158】
このようにして得られた第6ハッシュと第3ハッシュの整合性を判定する。
【0159】
要鑑定製品5が真正品であれば、小型記録媒体(a1)51a、小型記録媒体(b)52aから読み取った情報をブロックチェーン8aに記録する上で生成される第5ハッシュは、第2ハッシュと同一になる。また鑑定証明者が真正品を保有しているのでれば、専用プラットフォーム8(例えばマーケットプレイス)から受け取るトランザクションハッシュ又は二次元コードに紐付けられるトランザクションハッシュに基づいて生成する第4ハッシュは、第1ハッシュと同一である。
【0160】
このため、このような第4ハッシュと第5ハッシュとに基づいて生成される第6ハッシュが第3ハッシュと同一であるか否かを介して、同様に要鑑定製品5が真正品であるか否かを判別することができる。具体的には、第6ハッシュを生成した後、これと同一の第3ハッシュがブロックチェーン8a上に格納されているか否かを検索する。このように、単なる第1ハッシュ、第2ハッシュのみならず、これらに基づいて生成した第3ハッシュを介して判別を行うことにより、より秘匿性を向上させることができる。これに加えて、ブロックチェーン8aに記録する時において、第1ハッシュ、第2ハッシュの2つを記録するのではなく、これらが反映された第3ハッシュを一つだけ記録すればよいことから、記録速度を向上させることができ、処理動作を高速化させることができる。
【0161】
そして、本発明では、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性、及び第3ハッシュと第6ハッシュの整合性の双方を判定することにより、要鑑定製品5の鑑定証明を行うようにしてもよい。即ち、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとが同一であり、かつ第3ハッシュと第6ハッシュが同一であれば照合が終了する。照合の終了を通じて、要鑑定製品5が真正品である旨を判別する。これに対して、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレス、第3ハッシュと第6ハッシュの何れか一方又は両方が非同一の場合は、鑑定証明者が要鑑定製品5の所有者ではないことを判別することができる。
【0162】
このように本発明では、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性、及び第3ハッシュと第6ハッシュの整合性という全く異なる方式に基づいて鑑定証明を行うことができる。このため、何れか一方の方式の鑑定証明をうまく潜り抜けて真正品と判定されたとしても、他方の方式の鑑定証明で偽造品と判定された場合、その要鑑定製品5については真正品とは判別されないものとなる。このように、要鑑定製品5のうち、より強固に鑑定証明を行う物品についてより高度な鑑定証明精度の下で実現できる。
【0163】
なお、上述したステップS43~S47は、アプリケーション[A]9及びアプリケーション[B]11を用いて実施されるほか、例えば少なくとも一部については、専用プラットフォーム8を用いて実施されてもよい。
【0164】
上記のほか、例えば鑑定証明方法は、第3ハッシュと第6ハッシュとを生成せずに、鑑定証明を行ってもよい。この場合、鑑定証明には、第2~第4検証情報、及び第2~第4署名情報が用いられる。各検証情報及び各署名情報は、例えばハッシュ形式の情報を含むほか、ハッシュ形式の情報を暗号化又は電子署名化(以下、暗号化等として説明)の処理を実施した情報を含んでもよい。なお、各検証情報及び各署名情報は、例えば暗号化等に用いられる秘密鍵、及び公開鍵の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0165】
この場合、例えば
図13に示すように、ステップS43の変形例であるステップS43aでは、要鑑定製品5の小型記録媒体(a
1)51aに記録された秘密鍵α
1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報に基づく第2検証情報を、ブロックチェーン8aに記録する。第2検証情報は、秘密鍵α
1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報を示すほか、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報に対して秘密鍵α
1を用いて暗号化等の処理を実施した情報を示してもよい。上記のほか、第2検証情報は、例えば秘密鍵α
1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを、ブロックチェーン8aに記録する上で得られるハッシュ形式の情報、又はハッシュに対して暗号化等の処理を実施した情報を示してもよい。
【0166】
また、ステップS43aでは、例えばギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報に基づく第3検証情報を、ブロックチェーン8aに記録する。第3検証情報は、秘密鍵β1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報を示すほか、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報に対して秘密鍵β1を用いて暗号化等を実施した情報を示してもよい。上記のほか、第3検証情報は、例えば秘密鍵β1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを、ブロックチェーン8aに記録する上で得られるハッシュ形式の情報、又はハッシュに対して暗号化等の処理を実施した情報を示してもよい。
【0167】
また、ステップS43aでは、例えばトランザクションハッシュに基づき生成された第4検証情報を、上記ブロックチェーンに記録する。第4検証情報は、トランザクションハッシュを示すほか、例えばトランザクションハッシュに対して暗号化等を実施した情報を示してもよい。なお、第4検証情報は、例えばトランザクションハッシュに応じた二次元コードに基づき生成されてもよい。
【0168】
なお、ステップS43aは、アプリケーション[A]9を用いて実施することができるほか、例えば少なくとも一部の処理に対して専用プラットフォーム8を用いて実施することができる。
【0169】
その後、上述したステップS44を実施せずに、ステップS47の変形例であるステップS47aにおいて、例えば鑑定証明者から取得した要鑑定製品5の小型記録媒体(a1)51aに記録された秘密鍵α1、製品情報、取引情報の少なくとも何れかを含む情報に基づく第2署名情報を取得する。第2署名情報は、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報を示すほか、例えば製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかの情報を読取り、読み取った情報をブロックチェーン8aに記録する上で生成されるハッシュ形式の情報等を示してもよい。なお、第2署名情報は、例えば上述した第5ハッシュと同様の生成方法を実施することで取得してもよい。
【0170】
また、ステップS47aでは、例えば鑑定証明者から取得したギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β1、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報に基づく第3署名情報を取得する。第3署名情報は、製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかを含む情報を示すほか、例えば製品情報、及び取引情報の少なくとも何れかの情報を読取り、読み取った情報をブロックチェーン8aに記録する上で生成されるハッシュ形式の情報等を示してもよい。なお、第3署名情報は、例えば上述した第5ハッシュと同様の生成方法を実施することで取得してもよい。
【0171】
また、ステップS47aでは、例えば鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに基づく第4署名情報を取得する。なお、第4署名情報は、例えば上述した第4ハッシュと同様の生成方法を実施することで取得してもよい。
【0172】
その後、ステップS47aでは、第2検証情報と第2署名情報との整合性、第3検証情報と第3署名情報との整合性、及び第4検証情報と第4署名情報との整合性の少なくとも何れかを判定する。なお、各検証情報と署名情報との整合性は、例えば同一形式の情報(例えばハッシュ形式の情報)を対象として判定するほか、一方がハッシュ形式の情報、他方が暗号化等の処理を実施した情報を対象として判定してもよい。何れの場合においても、公知の技術を用いて判定することができる。また、各署名情報と各検証情報との整合性の判定方法として、例えば各署名情報を取得した後、これと同一の検証情報がブロックチェーン8a上に記憶されているか否かを検索した結果に基づき、同一か否かを判定してもよい。
【0173】
この際、例えば第1検証情報と第1署名情報との比較結果、第3検証情報と第3署名情報との比較結果、及び第4検証情報と第4署名情報との比較結果のうち、少なくとも何れかが整合性を有し、且つ、第2検証情報と第2署名情報との比較結果が整合性を有することで、要鑑定製品5の認証を満たす(即ち真正品)としてもよい。これにより、鑑定証明に用いられる情報のうち一部の情報に不具合が発生した場合においても、他の情報を用いた要鑑定製品5の認証を実現することができ、用途の可能性を広げることが可能となる。
【0174】
なお、ステップS47aは、アプリケーション[B]11を用いて実施することができるほか、例えば少なくとも一部の処理に対して専用プラットフォーム8を用いて実施することができる。
【0175】
上述した第1実施形態における鑑定証明システム1によれば、デジタル財を対象とした鑑定証明を行う場合においても、信頼性の高い鑑定証明を行うことが可能となる。また、上述した実施形態における鑑定証明方法は、例えば鑑定証明システム1の各構成を用いて実施することができ、デジタル財を対象とした鑑定証明を行う場合においても、信頼性の高い鑑定証明を行うことが可能となる。
【0176】
なお、上述した端末2、72、分散型ファイルサーバ3、専用プラットフォーム8、アプリケーション[A]9、アプリケーション[B]11等の電子機器は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を備え、上述した各種処理を実行する。また、上記電子機器は、HDD(Hard Disk Drive)等のデータ保存装置を備え、各種情報を保存する。
【0177】
次に、本発明の第2実施形態を適用した鑑定証明システム、及び鑑定証明方法の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。第2実施形態を適用した鑑定証明システム1は、製品情報の評価を行う点で、第1実施形態と異なる。また、第1実施形態と同様な説明は省略する。
【0178】
鑑定証明システム1は、例えば製品情報を評価するための検証情報に基づいて、製品情報に対する評価結果を示す検証結果を専用プラットフォーム8により、出力する。検証情報は、製品情報を評価するための情報である。検証情報は、例えば要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の画像、名称の情報であってもよい。また、検証情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の生産工程、又は運搬工程の映像及び記録の情報であってもよい。また、検証情報は、サプライチェーン情報を含んでもよい。また、検証情報は、各種業者間で行われる契約の内容を評価するための契約検証情報を含んでもよい。また、検証情報は、例えば要鑑定製品5の位置情報であってもよい。また、検証情報は、過去に出力された検証結果が含まれてもよい。また、検証情報は、製品情報の一部が含まれてもよい。また、検証情報は、デジタル財データを含んでもよい。また、位置情報は、要鑑定製品5に付与された小型記録媒体に組み込まれたGPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)等により取得してもよい。
【0179】
サプライチェーン情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の取引に関する情報である。サプライチェーン情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の来歴に関する情報であってもよい。サプライチェーン情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の過去の占有者の情報であってもよい。サプライチェーン情報は、要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の製造者、SIerの情報であってもよい。サプライチェーン情報は、例えば要鑑定製品5の売買契約の情報であってもよい。サプライチェーン情報は、例えば要鑑定製品5の保守契約の情報であってもよい。サプライチェーン情報は、例えば要鑑定製品5の保守の履歴の情報であってもよい。サプライチェーン情報は、例えば要鑑定製品5の製造企業、導入企業、運用企業それぞれの占有履歴の情報であってもよい。また、サプライチェーン情報は、要鑑定製品5の生産状況、在庫状況、物流状態の情報を含んでもよい。
【0180】
契約検証情報は、各種業者間で行われる契約の内容を評価するための情報である。契約検証情報は、例えば各種業者間で行われる契約の内容を示すテキストデータであってもよい。また、契約検証情報は、取引対象となる要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の数を示す情報であってもよい。また、契約検証情報は、各種業者の過去の取引の記録であってもよい。また、契約検証情報は、契約に用いられた各種業者のサイン又は印鑑を示す画像の情報であってもよい。また、契約検証情報は、取引を行う業者の名称であってもよい。
【0181】
検証結果は、検証情報に対する評価結果を示す情報である。検証結果は、例えば製品情報の間違いの有無を示す情報であってもよい。検証結果は、例えば要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品が本物であるかどうかを示す情報であってもよい。検証結果は、例えば製品情報の信用性の高さを示す信頼度の情報であってもよい。信頼度は、例えば5段階評価であってもよいし、百分率等で示してもよい。また、検証結果は、要鑑定製品5が特定のOSの規格に対応しているかを示す情報であってもよい。また、検証結果は、要鑑定製品5のセキュリティの高さを示す情報であってもよい。
【0182】
また、鑑定証明システム1は、予め取得された参照用検証情報と参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用検証情報とし、出力を参照用検証結果として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、検証情報に基づいて、製品情報に対する検証結果を出力してもよい。また、評価モデルは、専用プラットフォーム8に記録されてもよい。
【0183】
参照用検証情報は、評価モデルの学習データに用いるための検証情報である。参照用検証情報は、検証情報と同様な種類の情報であってもよい。参照用検証情報は、例えば予め取得された検証情報であってもよい。参照用検証結果は、評価モデルの学習データに用いるための検証結果である。参照用検証結果は、検証結果と同様な種類の情報であってもよい。参照用検証結果は、例えば予め取得された検証結果であってもよい。
【0184】
評価モデルは、入力された検証情報から、検証結果を出力するモデルである。評価モデルは、例えば機械学習により、生成されてもよい。評価モデルは、例えば一組の予め取得された参照用検証情報と、参照用検証結果とを学習データとして用いて、生成される。評価モデルは、複数の学習データを用いた機械学習により構築された学習済みモデルが用いられてもよい。評価モデルは、例えばニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて生成されてもよい。評価モデルは、例えばCNN(Convolution Neural Network) 等のニューラルネットワーク、ディープランニング等の機械学習を用いて生成されるほか、任意のモデルが用いられてもよい。また、評価モデルは、専用プラットフォーム8により利用されてもよい。
【0185】
また、評価モデルは、複数種類の検証情報に基づいて、検証結果を出力してもよい。かかる場合、評価モデルは、例えば入力を複数種類の参照用検証情報とし、出力を参照用検証結果として、機械学習により生成されてもよい。評価モデルは、例えば要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の画像の情報と要鑑定製品5又は要鑑定製品5の部品の名称の情報とを参照用検証結果としてもよい。かかる場合、鑑定証明システム1は、評価モデルを参照し、参照用検証情報と同種の検証情報に基づいて、検証結果を出力する。
【0186】
評価モデルには、例えば参照用検証情報(入力データ)と参照用検証結果(出力データ)との間における連関度を有する連関性が記憶される。連関度は、入力データと出力データとの繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど各データの繋がりが強いと判断することができる。連関度は、例えば百分率等の3値以上(3段階以上)で示されるほか、2値(2段階)で示されてもよい。
【0187】
例えば連関性は、多対多の情報(複数の入力データ、対、複数の出力データ)の間における繋がりの度合いにより構築される。連関性は、機械学習の過程で適宜更新され、例えば複数の入力データ、及び複数の出力データに基づいて最適化された関数(分類器)を示す。なお、連関性は、例えば各データの間における繋がりの度合いを示す複数の連関度を有してもよい。連関度は、例えばデータベースがニューラルネットワークで構築される場合、重み変数に対応させることができる。
【0188】
このため、鑑定証明システム1では、例えば分類器の判定した結果を全て踏まえた連関性を用いて、検証情報に適した検証結果を選択する。これにより、検証情報が、参照用検証情報と同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、検証情報に適した検証結果を定量的に選択することができる。
【0189】
連関性は、例えば
図14に示すように、複数の出力データと、複数の入力データとの間における繋がりの度合いを示してもよい。この場合、連関性を用いることで、複数の出力データ(
図14では「参照用検証情報A」~「参照用検証情報C」)のそれぞれに対し、複数の入力データ(
図14では「参照用検証結果A」~「参照用検証結果C」)の関係の度合いを紐づけて記憶させることができる。このため、例えば連関性を介して、1つの出力データに対して、複数の入力データを紐づけることができる。これにより、検証情報に対して多角的な検証結果の選択を実現することができる。
【0190】
連関性は、例えば各出力データと、各入力データとをそれぞれ紐づける複数の連関度を有する。連関度は、例えば百分率、10段階、又は5段階等の3段階以上で示され、例えば線の特徴(例えば太さ等)で示される。例えば、入力データに含まれる「参照用検証情報A」は、出力データに含まれる「参照用検証結果A」との間の連関度AA「73%」を示し、出力データに含まれる「参照用検証結果B」との間の連関度AB「12%」を示す。すなわち、「連関度」は、各データ間における繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。
【0191】
また、評価モデルは、入力データと出力データとの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力データ又は隠れ層データの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各データの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
【0192】
鑑定証明システム1は、それぞれ異なる学習データを用いて機械学習により生成された2以上の評価モデルをそれぞれ用いて、検証情報に基づいて、検証結果をそれぞれ出力してもよい。これにより、例えば合議体として複数個の異なる開発主体のAIを用いたマルチAIにより、評価を行うことが可能となる。このため、仮に学習データ等による結果の偏りがなくなり、より公平な評価を行うことが可能となる。また、マルチAIには分散型AIが含まれてもよい。
【0193】
鑑定証明システム1は、出力したそれぞれの検証結果に基づいて、さらに製品情報に対する第2検証結果を出力してもよい。第2検証結果は、複数の検証結果に基づいて決定される総合的な製品情報に対する結果を示す情報である。鑑定証明システム1は、例えば出力されたそれぞれの検証結果の平均を第2検証結果として出力してもよい。また、鑑定証明システム1は、例えば予め取得された複数の参照用検証結果と参照用第2検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を複数の参照用検証結果とし、出力を参照用第2検証結果として、機械学習により生成された結果モデルを用いて、出力したそれぞれの検証結果に基づいて、さらに製品情報に対する第2検証結果を出力してもよい。
【0194】
鑑定証明システム1は、任意のタイミングで製品情報を評価してもよい。鑑定証明システム1は、例えば小型記録媒体51a、52aに製品情報が記録される前に製品情報を評価してもよい。また、鑑定証明システム1は、製品情報をブロックチェーン8aに記録する前に製品情報を評価してもよい。また、鑑定証明システム1は、製品情報をブロックチェーンデータ8bから読み出したときに製品情報を評価してもよい。また、鑑定証明システム1は、NFT情報の所有者が移転する都度、製品情報を評価してもよい。
【0195】
また、鑑定証明システム1は、鑑定証明システム1を利用する業者の業種に応じて、使用方法の案内を提示してもよい。例えば、鑑定証明システム1は、予め設定された業種の情報と使用方法の案内の情報とが紐づいた対応表を参照し、鑑定証明システム1を利用する業者の業種に応じて、使用方法の案内を提示してもよい。使用方法の案内は、例えば音声での案内であってもよいし、テキストデータでの案内であってもよい。使用方法の案内は例えば「HBOMの情報の入力を○○にしてください」等のテキストデータの提示である。鑑定証明システム1は、例えば端末2又は端末72を介して、業者に使用方法の案内を提示してもよい。
【0196】
また、鑑定証明システム1は、出力された検証結果に応じて、製品情報に認証マークを付与してもよい。かかる場合、鑑定証明システム1は、例えば出力された検証結果が規定値以上の信頼度を示している場合、製品情報に認証マークを付与してもよい。
【0197】
また、鑑定証明システム1は、評価された検証結果に誤りがある場合、要鑑定製品5の買収、又は回収の保険を適用することを示す情報を出力する。これにより、評価結果に誤りがあった場合においても、保険を適用することが可能となる。これは、製品情報が真正と鑑定判断された後に誤判断であったと判明し、正しくは非真正と、真正判断が訂正された場合、前誤判断を信じて要鑑定製品5を購入した者に対して、販売時業者は買取・回収を行う必要があり、その買取費用を事業損失として、金銭補償を提供する保険補償を付帯していることを意味する。また、損害保険補償を組み入れるにあたり、見積書の取り付けを前提としてもよい。また、鑑定証明システム1は、評価された検証結果に応じて、業者が負担する保険料を設定してもよい。これにより、例えば製品情報の信頼度に応じて、適切な保険料を設定することが可能となる。また、鑑定証明システム1は、検証結果に誤りがあるかどうかを判定し、判定結果を出力してもよい。かかる場合、鑑定証明システム1は、例えば過去の検証結果と異なる検証結果が出力された場合、検証結果に誤りがあると判断し、判断結果を出力してもよい。
【0198】
また、鑑定証明システム1は、予め取得された参照用契約検証情報と参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用契約検証情報とし、出力を参照用検証結果として、機械学習により生成されたモデルを用いて、新たに取得した契約検証情報に基づいて、業者間で結ばれた契約に対する検証結果を出力してもよい。これにより、業者間で結ばれた契約が正当なものであるかどうかを自動的に評価することが可能となる。
【0199】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。このような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0200】
1 鑑定証明システム
2、72 端末
3 分散型ファイルサーバ
5 要鑑定製品
8 専用プラットフォーム
8a ブロックチェーン
8b ブロックチェーンデータ
10 公衆通信網
24 ギャランティカード
25 リーダー
43 ブロックチェーンウォレット
【要約】
【課題】トラストアンカーにAI(Artificial Intelligence)を用いることにより、製品情報の不正・改ざんの入力を防ぐことが可能な鑑定証明システム、及び鑑定証明方法を提供する。
【解決手段】鑑定証明システムは、予め取得された、要鑑定製品に関する製品情報を評価するための参照用検証情報と製品情報に対する評価結果を示す参照用検証結果とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を前記参照用検証情報とし、出力を前記参照用検証結果として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、新たに取得した検証情報に基づいて、製品情報に対する検証結果を出力する評価手段を備えることを特徴とする。
【選択図】
図12