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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240424BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023507888
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2022041558
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏輝
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170083(JP,A)
【文献】国際公開第2010/106652(WO,A1)
【文献】特開2014-011819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と負荷との間に接続される無停電電源装置であって、
対向して配置された第1および第2のベースと、前記第1および第2のベースの間に配置され、前記第1および第2のベースのいずれとも連結されたフィンとを含むヒートシンクと、
前記第1および第2のベースの各々において、前記フィンと連結された面の反対側の面に実装されている電力変換装置とを備え、
前記電力変換装置は、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、前記交流電源の停電時に停止するコンバータと、
前記交流電源の停電時に電力貯蔵装置から供給される直流電力の電圧を調整するチョッパと、
前記コンバータが出力する直流電力または前記電力貯蔵装置が出力する直流電力を交流電力に変換して前記負荷に電力を供給するインバータとを含み、
前記インバータは、前記第1および第2のベースのいずれかに実装され、
前記コンバータは、前記第1のベースに実装され、
前記チョッパは、前記第2のベースに実装され、
前記第1のベースを介して前記コンバータに熱的に接続される前記フィンの少なくとも一部は、前記第2のベースを介して前記チョッパに熱的に接続されている、無停電電源装置。
【請求項2】
前記フィンは、第1のフィンと第2のフィンとを含み、
前記第1のフィンは、前記第1のベースを介して前記コンバータに熱的に接続されるとともに前記第2のベースを介して前記チョッパに熱的に接続され、
前記第2のフィンは、前記インバータが実装されたベースを介して前記インバータに熱的に接続されている、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記インバータは、前記第1のベースに実装されている、請求項1または請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記インバータは、前記第2のベースに実装されている、請求項1または請求項2に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置に備えられる電力変換装置においては、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、交流電源の停電時に停止するコンバータと、交流電源の停電時に電力貯蔵装置から供給される直流電力の電圧を調整するチョッパと、コンバータが出力する直流電力または電力貯蔵装置が出力する直流電力を交流電力に変換して負荷に電力を供給するインバータとを含む構成が広く採用されている。
【0003】
上記電力変換装置において、交流電源から正常に交流電力が供給されている通常時には、コンバータおよびインバータが動作する。交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時には、チョッパおよびインバータが動作して給電を継続する。
【0004】
そして、1つのヒートシンクの一方の面にコンバータ、インバータおよびチョッパが実装され、当該ヒートシンクの他方の面にフィンが設けられ、このフィンに冷却ファンからの送風をあてて、コンバータ、インバータおよびチョッパの熱を放熱するように構成されるものがある。このような構成において、通常時および停電時のいずれの給電を行った場合でも、放熱に活用されないフィンが存在し、フィンの利用率が低い冷却構造となっていた。
【0005】
フィンの利用率を高めるものとしては、たとえば、特開2012-182159号公報(特許文献1)に記載のヒートシンクがある。特許文献1に記載のヒートシンクには、ヒートパイプが設けられている。これによりフィン全体に熱拡散させ、放熱性の高いヒートシンクを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-182159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなヒートパイプが設けられたヒートシンク、あるいは、熱拡散材料を用いたヒートシンクを使用すれば、フィン全体に熱拡散させることができる。しかしながら、ヒートパイプあるいは熱拡散材料を使用した場合、装置が高コスト化してしまう。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、装置の低コスト化および小型化を実現しつつも冷却効率を向上させることができる無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の無停電電源装置は、交流電源と負荷との間に接続される装置である。無停電電源装置は、ヒートシンクと、電力変換装置とを備える。ヒートシンクは、第1および第2のベースと、フィンとを含む。第1および第2のベースは、対向して配置されている。フィンは、第1および第2のベースの間に配置され、第1および第2のベースのいずれとも連結されている。電力変換装置は、第1および第2のベースの各々において、フィンと連結された面の反対側の面に実装されている。電力変換装置は、コンバータと、チョッパと、インバータとを含む。コンバータは、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、交流電源の停電時に停止する。チョッパは、交流電源の停電時に電力貯蔵装置から供給される直流電力の電圧を調整する。インバータは、コンバータが出力する直流電力または電力貯蔵装置が出力する直流電力を交流電力に変換して負荷に電力を供給する。インバータは、第1および第2のベースのいずれかに実装されている。コンバータは、第1のベースに実装されている。チョッパは、第2のベースに実装されている。第1のベースを介してコンバータに熱的に接続されるフィンの少なくとも一部は、第2のベースを介してチョッパに熱的に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、装置の低コスト化および小型化を実現しつつも冷却効率を向上させることができる無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無停電電源装置の回路構成を説明するための図である。
図2】無停電電源装置の回路構成を説明するための図である。
図3】従来型のヒートシンクおよび電力変換装置の平面図である。
図4図3に示したヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
図5図3に示したヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
図6】本実施の形態に係るヒートシンクおよび電力変換装置の平面図である。
図7図6に示したヒートシンクおよび電力変換装置の下面図である。
図8図6に示したヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
図9図6に示したヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
図10】変形例1に係るヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
図11】変形例2に係るヒートシンクおよび電力変換装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1図2は、無停電電源装置1の回路構成を説明するための図である。無停電電源装置1は、商用交流電源31と負荷32との間に接続される装置である。無停電電源装置1は、商用交流電源31からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷32に供給する。
【0014】
無停電電源装置1は、電力変換装置20と、バイパス回路(半導体スイッチ)35と、制御装置30とを備える。電力変換装置20は、コンバータ24と、チョッパ25と、インバータ23とを含む。
【0015】
コンバータ24は、商用交流電源31から供給される交流電力を直流電力に変換する。コンバータ24は、商用交流電源31の停電時に停止する。チョッパ25は、商用交流電源31の停電時に電力貯蔵装置(以下、「バッテリ」とも称する)33から供給される直流電力の電圧を調整する。インバータ23は、コンバータ24が出力する直流電力またはバッテリ33が出力する直流電力を交流電力に変換して負荷32に電力を供給する。
【0016】
コンバータ24、チョッパ25およびインバータ23は、それぞれIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオードを含む。IGBTは「スイッチング素子」を構成する。
【0017】
本実施の形態において、無停電電源装置1は、インバータ給電、バッテリ給電あるいはバイパス給電を行うものとする。インバータ給電時は、商用交流電源31から供給される交流電力をコンバータ24によって直流電力に変換し、その直流電力をインバータ23によって交流電力に変換して負荷32に供給する。
【0018】
バイパス給電時は、商用交流電源31から供給される交流電力を、半導体スイッチ35を介して、つまり、コンバータ24およびインバータ23を通さずに、負荷32に供給する。バッテリ給電時は、バッテリ33から供給される直流電力の電圧をチョッパ25によって調整し、その直流電力をインバータ23によって交流電力に変換して負荷32に供給する。
【0019】
無停電電源装置1は、交流入力端子T1、交流出力端子T2、バッテリ端子T3および電磁接触器36~38をさらに備える。交流入力端子T1は、商用交流電源31から商用周波数の交流電力を受ける。交流出力端子T2は、負荷32に接続される。負荷32は、交流電力によって駆動される。バッテリ端子T3は、バッテリ33に接続される。バッテリ33は、直流電力を蓄える。
【0020】
電磁接触器36は、交流入力端子T1とコンバータ24の入力ノードとの間に接続される。電磁接触器36は、無停電電源装置1の使用時にオンされ、たとえば、無停電電源装置1のメンテナンス時にオフされる。
【0021】
コンバータ24は、制御装置30によって制御され、商用交流電源31から交流電力が供給されている通常時(インバータ給電時)は、三相交流電力を直流電力に変換(順変換)して直流ラインL1に出力する。商用交流電源31からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ24の運転は停止される。コンバータ24の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0022】
直流ラインL1はチョッパ(双方向チョッパ)25の高電圧側ノードに接続され、チョッパ25の低電圧側ノードは電磁接触器38を介してバッテリ端子T3に接続される。電磁接触器38は、無停電電源装置1の使用時はオンされ、たとえば、無停電電源装置1およびバッテリ33のメンテナンス時にオフされる。
【0023】
チョッパ25は、制御装置30によって制御され、商用交流電源31から交流電力が供給されている通常時(インバータ給電時)は、コンバータ24によって生成された直流電力をバッテリ33に蓄え、瞬時電圧低下または停電が発生したときには、バッテリ33の直流電力を直流ラインL1を介してインバータ23に供給する(バッテリ給電時)。
【0024】
チョッパ25は、直流電力をバッテリ33に蓄える場合は、直流ラインL1の直流電圧を降圧してバッテリ33に与える。また、チョッパ25は、バッテリ33の直流電力をインバータ23に供給する場合は、バッテリ33の端子間電圧を昇圧して直流ラインL1に出力する。直流ラインL1は、インバータ23の入力ノードに接続されている。
【0025】
インバータ23は、制御装置30によって制御され、コンバータ24またはチョッパ25から直流ラインL1を介して供給される直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換(逆変換)して出力する。すなわち、インバータ23は、通常時(インバータ給電時)は、コンバータ24から直流ラインL1を介して供給される直流電力を三相交流電力に変換し、瞬時電圧低下または停電時のバッテリ給電時は、バッテリ33からチョッパ25を介して供給される直流電力を三相交流電力に変換する。インバータ23の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0026】
インバータ23は、電磁接触器37を介して交流出力端子T2に接続される。電磁接触器37は、制御装置30によって制御され、インバータ給電時またはバッテリ給電時にはオンされ、バイパス給電時にはオフされる。
【0027】
半導体スイッチ35は、逆並列に接続された一対のサイリスタを有するサイリスタスイッチを有し、交流入力端子T1と交流出力端子T2との間に接続される。半導体スイッチ35は、制御装置30によって制御され、インバータ給電時またはバッテリ給電時にはオフされ、バイパス給電時にはオンされる。たとえば、半導体スイッチ35は、インバータ給時にインバータ23が故障した場合は瞬時にオンし、商用交流電源31からの三相交流電力を負荷32に供給する。
【0028】
制御装置30は、無停電電源装置1全体を制御する。制御装置30は、例えばマイクロコンピュータなどで構成することが可能である。一例として、制御装置30は、図示しないメモリおよびCPU(Central Processing Unit)を内蔵し、メモリに予め格納されたプログラムをCPUが実行することによるソフトウェア処理によって、制御動作を実行することができる。あるいは、当該制御動作の一部または全部について、ソフトウェア処理に代えて、内蔵された専用の電子回路などを用いたハードウェア処理によって実現することも可能である。
【0029】
交流入力端子T1は、商用交流電源31からの三相交流電圧(U相交流電圧、V相交流電圧、およびW相交流電圧)を受ける。交流出力端子T2には、商用交流電源31からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が出力される。負荷32は、交流出力端子T2からの三相交流電圧によって駆動される。
【0030】
図1に示されるように、インバータ給電時、コンバータ24およびインバータ23の動作により、コンバータ24およびインバータ23からの放熱量が多くなる。また、バッテリ33への充電のため、チョッパ25も動作するが、チョッパ25からの放熱量は、コンバータ24からの放熱量に比べてかなり少ない。
【0031】
図2に示されるように、バッテリ給電時、チョッパ25およびインバータ23の動作により、チョッパ25およびインバータ23からの放熱量が多くなる。この場合、商用交流電源31から電力が供給されないため、コンバータ24は動作しない。
【0032】
本実施の形態において、電力変換装置20は、ヒートシンクに実装される。まず、図3図5を用いて、従来型のヒートシンク19および電力変換装置10について説明する。図3は、従来型のヒートシンク19および電力変換装置10の平面図である。
【0033】
図3に示すように、ヒートシンク19は、ベース11を備える。電力変換装置10は、インバータ13と、コンバータ14と、チョッパ15とを備える。
【0034】
電力変換装置10のインバータ13と、コンバータ14と、チョッパ15とは、それぞれ、複数の半導体素子(IGBT)を含んで構成される。本例では、インバータ13が4つの半導体素子、コンバータ14が4つの半導体素子、チョッパ15が2つの半導体素子を備えたものが示されているが、これはあくまで一例であり、それぞれ任意の数の半導体素子によって構成されるものであってもよい。
【0035】
電力変換装置10のインバータ13と、コンバータ14と、チョッパ15とは、ベース11上に実装される。なお、電力変換装置10においても、図1の回路構成と同様であり、電力変換装置10に商用交流電源31と負荷32とバッテリ33とが接続される。
【0036】
図4図5は、図3に示したヒートシンク19および電力変換装置10の正面図である。図4に示すように、ヒートシンク19は、さらにフィン12とを備える。フィン12は、ヒートシンク19の電力変換装置10(インバータ13、コンバータ14、チョッパ15)が実装されたベース11の面とは反対側の面に連結されている。
【0037】
フィン12は、フィン12a~12cを含む。フィン12aは、ベース11を介してインバータ13に熱的に接続される。フィン12bは、ベース11を介して、コンバータ14に熱的に接続される。フィン12cは、ベース11を介してチョッパ15に熱的に接続される。つまり、インバータ13の熱はフィン12aから放出され、コンバータ14の熱はフィン12bから放出され、チョッパ15の熱はフィン12cから放出される。
【0038】
ヒートシンク19には、冷却ファン(図示なし)からの冷却風(図3参照)を正面側から受けて反対側に排出することが可能なように、フィン12によってくし状の空隙が設けられている。ヒートシンク19は、ベース11で半導体素子の熱量を受熱し、個体の熱伝導によりフィン12に熱を伝える。フィン12の表面から熱伝達にて気中に熱輸送する機構を備えている。フィン12に、冷却ファンからの送風をあて、半導体素子の熱を放熱する。
【0039】
図4に示すように、商用交流電源31から電力が供給される場合(インバータ給電時)、インバータ13およびコンバータ14の動作により、フィン12aおよびフィン12bからの放熱量が多くなる。
【0040】
一方、図5に示すように、バッテリ33から電力が供給される場合(バッテリ給電時)、インバータ13およびチョッパ15の動作により、フィン12aおよびフィン12cからの放熱量が多くなる。
【0041】
このように、インバータ給電時(図4)は、フィン12aおよびフィン12bが放熱に有効に活用されるものの、フィン12cは有効に活用されていない状態である。一方、バッテリ給電時(図5)は、フィン12aおよびフィン12cが放熱に有効に活用されるものの、フィン12bは有効に活用されていない状態である。
【0042】
従来型のヒートシンク19および電力変換装置10においては、1つのベース11にインバータ13とコンバータ14とチョッパ15とが一列に実装されている。この装置では、インバータ給電時およびバッテリ給電時のいずれにおいても、放熱に活用されていないフィンが存在し、フィンの利用率が低いと言える。
【0043】
一方、本実施の形態においては、インバータ23、コンバータ24およびチョッパ25を実装するためのベースが2つ設けられる。そして、コンバータ24を一方のベースに実装し、チョッパ25を他方のベースのコンバータ24の向かい合う位置に実装するように構成している。
【0044】
以下、図6図9を用いて、本実施の形態に係るヒートシンク29および電力変換装置20について説明する。図6は、本実施の形態に係るヒートシンク29および電力変換装置20の平面図である。図7は、図6に示したヒートシンク29および電力変換装置20の下面図である。図8図9は、図6に示したヒートシンク29および電力変換装置20の正面図である。
【0045】
ヒートシンク29は、ベース21(ベース21aおよびベース21b)と、フィン22とを含む。ベース21(ベース21aおよびベース21b)には、インバータ23、コンバータ24およびチョッパ25が実装される。
【0046】
図6(平面図)に示すように、ベース21aには、コンバータ24が実装されている。図7(下面図)に示すように、ベース21bには、チョッパ25が実装されている。インバータ23は、ベース21aおよびベース21bのいずれかに実装されていればよい。本実施の形態においては、インバータ23は、ベース21aに実装されている。
【0047】
図3と同様、インバータ23、コンバータ24およびチョッパ25は、それぞれ複数の半導体素子(IGBT)を含んで構成される。また、冷却ファンによって、図6図7に示した方向からの冷却風によって、図3と同様に冷却がされる。
【0048】
図8(正面図)に示すように、ベース21aおよびベース21bは、対向して配置されている。フィン22は、ベース21aおよびベース21bの間に配置されており、ベース21aおよびベース21bのいずれとも連結されている。電力変換装置20(インバータ23、コンバータ24およびチョッパ25)は、ベース21aおよびベース21bの各々において、フィン22と連結された面の反対側の面に実装されている。
【0049】
ここで、本実施の形態においては、ベース21aを介してコンバータ24に熱的に接続されるフィン22の少なくとも一部は、ベース21bを介してチョッパ25に熱的に接続されるよう構成されている。
【0050】
つまり、フィン22のうち、コンバータ24からの熱を放出するフィンと、チョッパ25からの熱を放出するフィンとの少なくとも一部が重複する(熱が放出される共通のフィンが存在する)ように構成される。
【0051】
本実施の形態においては、フィン22は、フィン22aとフィン22bとを含む。フィン22bは、ベース21aを介してコンバータ24に熱的に接続されるとともにベース21bを介してチョッパ25に熱的に接続されている。フィン22aは、インバータ23が実装されたベース21(ベース21aまたはベース21b)を介してインバータ23に熱的に接続されている。
【0052】
この例では、コンバータ24のサイズ(ベースにおける実装面積)がチョッパ25のサイズと同じであるため、コンバータ24からの熱を放出するフィンと、チョッパ25からの熱を放出するフィンとが一致している。
【0053】
インバータ給電時、図8に示すように、インバータ23の動作によりフィン22aからの放熱量が多くなるとともに、コンバータ24の動作によりフィン22bからの放熱量が多くなる。この場合、チョッパ25からの放熱はかなり少ないため、フィン22bは、主にコンバータ24からの放熱に利用されることとなる。
【0054】
一方、バッテリ給電時は、図9に示す通りである。インバータ23の動作によりフィン22aからの放熱量が多くなるとともに、チョッパ25の動作によりフィン22bからの放熱量が多くなる。この場合、コンバータ24が利用されないため、フィン22bは、チョッパ25からの放熱に利用されることとなる。
【0055】
このように本発明の実施の形態に従う無停電電源装置1によれば、ベース21aおよびベース21bは、対向して配置されている。フィン22は、ベース21aおよびベース21bの間に配置され、ベース21aおよびベース21bのいずれとも連結されている。電力変換装置20は、ベース21aおよびベース21bの各々において、フィン22と連結された面の反対側の面に実装されている。インバータ23は、ベース21aおよびベース21bのいずれかに実装されている。コンバータ24は、ベース21aに実装されている。チョッパ25は、ベース21bに実装されている。ベース21aを介してコンバータ24に熱的に接続されるフィン22の少なくとも一部は、ベース21bを介してチョッパ25に熱的に接続されている。
【0056】
インバータ給電時とバッテリ給電時とで、コンバータ24およびチョッパ25のいずれかが選択的に使用されるため、コンバータ24とチョッパ25とが利用するフィンを共通化することで、フィンの利用率を高め、装置の冷却効率を向上させることができる。これにより、ヒートパイプあるいは熱拡散材料を用いてフィン全体に熱拡散させる(フィンの利用率を高める)場合と比較した場合、風冷のみによる冷却を行うことで装置を低コスト化することができる。また、フィンの両側に2つのベースを設けて、インバータ23、コンバータ24およびチョッパ25を実装(フィンの両面に素子を実装)することで、1つのベースにこれらを実装するものと比較して、装置を小型化することができる。このように、装置の低コスト化および小型化を実現しつつも冷却効率を向上させることができる。
【0057】
また、フィン22は、フィン22aとフィン22bとを含む。フィン22bは、ベース21aを介してコンバータ24に熱的に接続されるとともにベース21bを介してチョッパ25に熱的に接続されている。フィン22aは、インバータ23が実装されたベース21(ベース21aまたはベース21b)を介してインバータ23に熱的に接続されている。このように、コンバータ24およびチョッパ25が利用するフィン(フィン22a)と、インバータ23が利用するフィン(フィン22b)とが異なるため、コンバータ24またはチョッパ25の熱により、インバータ23の冷却効率が低下することがない。
【0058】
図10は、変形例1に係るヒートシンク29および電力変換装置20の正面図である。変形例1においては、コンバータ24よりもサイズ(ベースにおける実装面積)が小さいチョッパ25aがベース21bに実装されている。それ以外の条件は、図6図9を用いて説明した例と同じである。
【0059】
この場合も、ベース21aを介してコンバータ24に熱的に接続されるフィン22の少なくとも一部は、ベース21bを介してチョッパ25aに熱的に接続されるようにチョッパ25aを実装すればよい。変形例1では、フィン22bのうち、チョッパ25aが利用しているフィンは、コンバータ24も利用している。
【0060】
また、コンバータ24よりもチョッパ25aの方がサイズが大きい場合、ベース21a,21bのサイズ(実装可能な面積)を大きくして、チョッパ25aが利用するフィンとインバータ23が利用するフィンとが重複しないようにしてもよい。あるいは、省スペース化を重視するならば、チョッパ25aが利用するフィンとインバータ23が利用するフィンとが一部重複するようにしてもよい。後者の場合、インバータ23をベース21aに実装することで、インバータ23をベース21bに実装するよりも省スペース化を実現することができる。
【0061】
図11は、変形例2に係るヒートシンク29および電力変換装置20の正面図である。変形例2において、インバータ23は、ベース21bに実装されている。それ以外の条件は、図6図9を用いて説明した例と同じである。
【0062】
この場合、コンバータ24の方がチョッパ25よりもサイズが大きい場合、ベース21a,21bのサイズ(実装可能な面積)を大きくして、コンバータ24が利用するフィンとインバータ23が利用するフィンとが重複しないようにしてもよい。あるいは、省スペース化を重視するならば、コンバータ24が利用するフィンとインバータ23が利用するフィンとが一部重複するようにしてもよい。後者の場合、インバータ23をベース21bに実装することで、インバータ23をベース21aに実装するよりも省スペース化を実現することができる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 無停電電源装置、10,20 電力変換装置、11,21 ベース、12,12a~12c,22,22a,22b フィン、13,23 インバータ、14,24 コンバータ、15,25 チョッパ、19,29 ヒートシンク、13a~13d,14a~14d,15a,15b パワーモジュール、30 制御装置、31 商用交流電源、32 負荷、33 バッテリ(電力貯蔵装置)、35 バイパス回路(半導体スイッチ)、36~38 電磁接触器、T1 交流入力端子、T2 交流出力端子、T3 バッテリ端子。
【要約】
第1および第2のベース(21)は、対向して配置されている。インバータ(23)は、第1および第2のベース(21)のいずれかに実装されている。コンバータ(24)は、第1のベース(21a)に実装されている。チョッパ(25)は、第2のベース(21b)に実装されている。第1のベース(21a)を介してコンバータ(24)に熱的に接続されるフィン(22)の少なくとも一部は、第2のベース(21b)を介してチョッパ(25)に熱的に接続されている。
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