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特許7477942特装車及び特装車における作業装置の出力値調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】特装車及び特装車における作業装置の出力値調整方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20240424BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
F02D29/02 L
F02D29/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018122464
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020002846
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】秋山 優二
(72)【発明者】
【氏名】尾原 歩希
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-229855(JP,A)
【文献】特開平10-219728(JP,A)
【文献】特開2014-223993(JP,A)
【文献】特開平9-98635(JP,A)
【文献】特開2007-234556(JP,A)
【文献】特開2017-149506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
F02D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用駆動源と、該走行用駆動源により作動する作業装置とを有する特装車であって、
前記作業装置の作動時に該作業装置の出力値を可変すべく前記走行用駆動源の出力値を指示する値としての駆動値を、前記走行用駆動源の最大出力値に対応する最大駆動値と前記走行用駆動源の最小出力値に対応する最小駆動値との間で調整するための出力値調整手段と、
前記作業装置の出力値において予め決められている目標の最大出力値及び目標の最小出力値のうちの少なくとも一方の目標の出力値に対応する前記走行用駆動源の最大プリセット駆動値又は最小プリセット駆動値を記憶する記憶手段と、
前記最大駆動値を、前記記憶手段から読み出した最大プリセット駆動値から、前記最大駆動値に対応する前記作業装置の実測した出力値が前記目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は前記最小駆動値を、前記記憶手段から読み出した最小プリセット駆動値から、前記最小駆動値に対応する前記作業装置の実測した出力値が前記目標の最小出力値に近づくように微調整する微調整手段と、
前記微調整手段で微調整した最大駆動値を正規の最大駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる、又は前記微調整した最小駆動値を正規の最小駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる決定記憶手段とを備えていることを特徴とする特装車。
【請求項2】
前記記憶手段は複数の前記走行用駆動源と少なくとも1つの前記作業装置とから1つずつ選択された複数の組み合わせにおける各組み合わせの駆動値及び出力値の全てを記憶する手段であり、
前記記憶手段に記憶されている複数の駆動値の中から1つの駆動値を選択するとともに該駆動値に対応する前記作業装置の最大出力値及び最小出力値のうちの少なくとも一方の出力値を選択する選択手段を備え、
前記選択手段で選択される1つの駆動値と該駆動値に対応する作業装置の最大出力値及び最小出力値のうちの少なくとも一方の出力値が、前記記憶手段から読み出した前記少なくとも一方のプリセット駆動値及び該プリセット駆動値に対応する前記目標の出力値であることを特徴とする請求項1に記載の特装車。
【請求項3】
前記走行用駆動源と前記作業装置とが電気的に接続されていることを検出する検出手段と、該検出手段からの電気的に接続されること自体のみの検出信号に基づいて前記走行用駆動源の駆動値を前記記憶手段から読み出して前記作業装置を作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の特装車。
【請求項4】
走行用駆動源により作動する作業装置の出力値に対応する走行用駆動源の出力値を指示する値としての駆動値を、記憶手段から読み出した前記走行用駆動源の最大出力値に対応する最大駆動値前記走行用駆動源の最小出力値に対応する最小駆動値との間で調整するための特装車における作業装置の出力値調整方法であって、
前記作業装置の出力値において予め決められている目標の最大出力値及び目標の最小出力値のうちの少なくとも一方の目標の出力値及び該目標の出力値に対応する最大プリセット駆動値又は最小プリセット駆動値を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程で記憶されている目標の最大出力値及び目標の最小出力値のうちの少なくとも一方の目標の出力値及び該目標の出力値に対応する最大プリセット駆動値又は最小プリセット駆動値を読み出す読出工程と、
前記読出工程で読み出した最大プリセット駆動値又は最小プリセット駆動値により駆動されて作動する前記作業装置の出力の実測値を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定した実測値と前記読出工程で読み出した少なくとも一方の目標の出力値とを表示する表示工程と、
前記最大駆動値を、前記読出工程読み出した最大プリセット駆動値から、前記最大駆動値に対応する前記作業装置の実測値が目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は前記最小駆動値を、前記読出工程読み出した最小プリセット駆動値から、前記最小駆動値に対応する前記作業装置の実測値が目標の最小出力値に近づくように微調整する微調整工程と、
前記微調整工程で微調整した最大駆動値を正規の最大駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる、又は前記微調整工程で微調整した最小駆動値を正規の最小駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる決定記憶工程と、
を備えていることを特徴とする特装車における作業装置の出力値調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用駆動源と、該走行用駆動源の駆動力を受けて作動する作業装置とを有する特装車及び特装車における作業装置の出力値調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記特装車の一例である粉粒体運搬車を組み立てる場合には、エンジン(走行用駆動源)が搭載されたシャシをシャシメーカから調達し、そのシャシにエンジンの駆動力を受けて作動するコンプレッサ(作業装置)を取り付けることになる。エンジンの制御装置に電圧値に応じた信号を出力し、エンジン回転数を制御する。前記シャシメーカは、多数存在し、シャシメーカ毎にエンジンの仕様(電圧値に対するエンジン回転数)が異なっている場合が多い。また、作業装置側に備えられた記憶手段には、エンジンの回転数が予め設定されている目標の最小エンジン回転数となる最小電圧値(エンジン制御に用いる電圧値)がシャシメーカ毎に予め記憶されている。そして、特装車の組み立て時に、組み立てているシャシメーカの最小電圧値を、シャシメーカ毎に予め記憶されている複数の最小電圧値の中からディップスイッチを操作することにより読み込む。読み込んだ最小電圧値を設定値として記憶させる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5268735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行用駆動源及びこれに組み合わされる作業装置は、同一メーカのものであっても、個体差があるため、作業装置が記憶されている最小電圧値を読み込んで設定値にしてエンジンを駆動しても、目標とする最小エンジン回転数から外れている場合がある。例えば、前記最小エンジン回転数が目標の最小回転数から下回っていると、コンプレッサが予想している出力にならないという不都合がある。
【0005】
そこで本発明は、作業装置の出力値が目標の出力値からずれていても、修正して問題なく作動できる特装車及び特装車における作業装置の出力値調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特装車は、走行用駆動源と、該走行用駆動源により作動する作業装置とを有する特装車であって、前記作業装置の作動時に該作業装置の出力値を可変すべく前記走行用駆動源の回転数を指示する値としての駆動値を、上限値と下限値との間で調整するための出力値調整手段と、前記作業装置の出力値において予め決められている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値に対応する前記走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値を記憶する記憶手段と、前記記憶手段から読み出した上限値の駆動値を、該駆動値に対応する前記作業装置の実測した出力値が目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は前記記憶手段から読み出した下限値の駆動値を、該駆動値に対応する前記作業装置の実測した出力値が目標の最小出力値に近づくように微調整する微調整手段と、前記微調整手段で微調整した上限値の駆動値を正規の上限値の駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる、又は前記微調整した下限値の駆動値を正規の下限値の駆動値として決定して前記記憶手段に記憶させる決定記憶手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、記憶手段に記憶されている作業装置の出力値において予め決められている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値に対応する走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値を読み出す。この読み出した上限値の駆動値を、駆動値に対応する作業装置の実測した出力値が目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は下限値の駆動値を、駆動値に対応する前記作業装置の実測した出力値が目標の最小出力値に近づくように微調整手段で微調整する。そして、決定記憶手段で微調整した上限値の駆動値を正規の上限値の駆動値として決定して記憶手段に記憶させる、又は微調整した下限値の駆動値を正規の下限値の駆動値として決定して記憶手段に記憶させることができる。しかも、手動で作業装置の出力値を一から合わせる場合に比べて調整幅が小さくて済み、調整にかかる手間を少なくできる。作業装置の一方の出力値に対応する走行用駆動源の正規の上限値の駆動値又は正規の下限値の駆動値を記憶手段に記憶した後は、作業装置の出力値が目標の出力値からずれてしまうことを抑制することができるので、出力値調整手段で作業装置の出力値を可変して思い通りの作業を行うことができる。
【0008】
また、本発明の特装車は、前記記憶手段が複数の前記走行用駆動源と少なくとも1つの前記作業装置とから1つずつ選択された複数の組み合わせにおける各組み合わせの駆動値及び出力値の全てを記憶する手段であり、前記記憶手段に記憶されている複数の駆動値の中から1つの駆動値を選択するとともに該駆動値に対応する前記作業装置の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値を選択する選択手段を備え、前記選択手段で選択される1つの駆動値と該駆動値に対応する作業装置の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値が、前記記憶手段から読み出した前記少なくとも一方の出力値及び該出力値に対応する前記駆動値であってもよい。
【0009】
上記のように、記憶手段に記憶されている全てのデータの中から、選択手段により1つの駆動値及び該駆動値に対応する作業装置の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の駆動値を選択することによって、あらゆる組み合わせの走行用駆動源及び作業装置にも対応した正規の出力値に対応する走行用駆動源の駆動値を記憶手段に記憶させることができる。
【0010】
また、本発明の特装車は、前記走行用駆動源と前記作業装置とが電気的に接続されていることを検出する検出手段と、該検出手段からの検出信号に基づいて前記走行用駆動源の駆動値を前記記憶手段から読み出して前記作業装置を作動させるように構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、検出手段からの検出信号に基づいて走行用駆動源の駆動値を読み出して作業装置を作動させるので、走行用駆動源と作業装置とが電気的に接続されていない状態で、実測値の微調整が行われることがない。
【0012】
また、本発明の特装車における作業装置の出力値調整方法は、走行用駆動源により作動する作業装置の出力値に対応する走行用駆動源の回転数を指示する値としての駆動値の、上限値と下限値の設定を調整するための特装車における作業装置の出力値調整方法であって、前記作業装置の出力値において予め決められている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値及び該出力値に対応する前記走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値を記憶する記憶工程と、前記記憶工程で記憶されている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値及び該出力値に対応する前記走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値を読み出す読出工程と、前記読出工程で読み出した走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値により駆動されて作動する前記作業装置の出力の実測値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定した実測値と前記読出工程で読み出した少なくとも一方の出力値とを表示する表示工程と、前記読出工程により読み出した上限値の駆動値を、該駆動値に対応する前記作業装置の実測値が目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は前記読出工程から読み出した下限値の駆動値を、該駆動値に対応する前記作業装置の実測値が目標の最小出力値に近づくように微調整する微調整工程と、前記微調整工程で微調整した上限値の駆動値を正規の上限値の駆動値として決定して前記記憶工程に記憶させる、又は前記微調整工程で微調整した下限値の駆動値を正規の下限値の駆動値として決定して前記記憶工程に記憶させる決定記憶工程と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、記憶工程で記憶されている走行用駆動源の上限値の駆動値又は下限値の駆動値を読み出し、読み出した上限値の駆動値を、駆動値に対応する作業装置の実測値が目標の最大出力値に近づくように微調整する、又は読み出した下限値の駆動値を、駆動値に対応する作業装置の実測値が目標の最小出力値に近づくように微調整工程で微調整する。微調整工程で微調整した上限値の駆動値を正規の上限値の駆動値として決定して記憶工程に記憶させる、又は微調整工程で微調整した下限値の駆動値を正規の下限値の駆動値として決定して記憶工程に記憶させることができる。しかも、手動で作業装置の出力値を一から合わせる場合に比べて調整幅が小さくて済み、調整にかかる手間を少なくできる。作業装置の一方の出力値に対応する走行用駆動源の正規の上限値の駆動値又は正規の下限値の駆動値を記憶工程に記憶した後は、作業装置の出力値が目標の出力値からずれてしまうことを抑制することができるので、出力値調整方法で作業装置の出力値を可変して思い通りの作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、微調整して修正された上限値の駆動値を正規の上限値の駆動値として決定して記憶する、又は微調整して修正された下限値の駆動値を正規の下限値の駆動値として決定して記憶させる構成であるので、作業装置の出力値が目標の出力値からずれていても、修正して問題なく作動できる特装車及び特装車における作業装置の出力値調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】特装車の配線構造を示す概略図である。
図2】(a)~(d)は4種類の第3コネクタと1種類の第4コネクタの内部の構成を示す図である。
図3】(a)~(d)は図2(a)~(d)で示したそれぞれの第3コネクタの幅方向に併設されている別のコネクタ部分を示す内部の構成を示し、これら第3コネクタの別のコネクタ部分に接続可能な図2(a)~(d)で示したそれぞれの第4コネクタの幅方向に併設されている別のコネクタ部分を示す内部の構成を示す図である。
図4】粉粒体運搬車に取り付けられるメータパネルの正面図である。
図5】同メータパネルのメータ画面を示す正面図である。
図6】同メータパネルの設定画面を示す正面図である。
図7】作業装置の出力の下限値及び上限値を設定する過程を示すフローチャートである。
図8】作業装置の出力の下限値及び上限値を設定する時に使用するスイッチとエンジンとコンプレッサとの関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る特装車としての粉粒体運搬車について説明する。図示していないが、粉粒体運搬車は、走行用駆動源としてのエンジンが搭載された車体をシャシメーカから調達し、その車体にエンジンの駆動力を受けて作動する作業装置を取り付けて組み立てられる。なお、シャシメーカ毎にエンジンの仕様(例えば後述の電圧値に対するエンジン回転数)が異なっている。なお、シャシメーカは、前記のように作業装置を除くエンジンが搭載された車体を製造するメーカであり、エンジンが搭載された車体に作業装置を取り付けて組み立てた特装車を依頼者(顧客)に出荷するメーカを架装メーカという。最小エンジン回転数や最大エンジン回転数となる最小電圧値や最大電圧値は、エンジン制御に用いる電圧値(駆動値)となる。
【0017】
作業装置は、粉粒体を収容するタンクに導入用の配管を通して加圧エアを導入するコンプレッサから構成されている。このコンプレッサからの加圧エアによってタンク内の粉粒体が流動し、排出用の配管を通して外部へ排出できるように構成されている。コンプレッサには、コンプレッサの回転数(出力値)を検出して出力値の実測値を測定する測定手段としての回転数センサが設けられている。作業装置とは、駆動源から直接機械的な運動を受けるものである。例えば、本実施形態では、コンプレッサがエンジンの回転運動を受けている。
【0018】
特装車(粉粒体運搬車)の配線構造は、図1に示すように、エンジン1の回転数を一定に保つための電子ガバナ2から延びる駆動源側配線(駆動源側ケーブル)3と、駆動源側配線3の延出端に備える第1コネクタ4に接続される第2コネクタ5を一端に備え、かつ、他端にコントローラ8に備える第4コネクタ7に接続される第3コネクタ6を備えるコントローラ側配線(コントローラ側ケーブル)9とを備えている。第2コネクタ5と第3コネクタ6と2つのコネクタ5,6を接続するコントローラ側配線(コントローラ側ケーブル)9とで後述する設定用ハーネス(選択手段)を構成している。ここでは、設定用ハーネスを4種類備えている。第1コネクタ4の形状は、シャシメーカ毎に異なる形状になっており、第2コネクタ5の形状を、シャシメーカ毎に異なる第1コネクタ4の形状に応じた形状にしている。このように構成することによって、第2コネクタ5の形状を見るだけでシャシメーカ毎のコントローラ側配線9を見分けることができる。第4コネクタ7は、シャシメーカ毎に共通の形状になっている。これはコントローラ8を共通化できるためである。シャシメーカ毎の第1コネクタ4を共通の第4コネクタ7に接続するための配線(変換配線)が必要となる。そこで、本願発明では、この変換配線を構成する第3コネクタ6に後述する選択回路11を設けている。そのため、変換配線とは別に選択回路を備える専用の配線が不要になる。第1コネクタ4及び第2コネクタ5のうちの一方が雌型に構成され、この雌型に差し込み可能に他方が雄型に構成される。また、第3コネクタ6及び第4コネクタ7も同様に、一方が雌型に構成され、この雌型に差し込み可能に他方が雄型に構成される。
【0019】
コントローラ8の記憶手段33には、シャシメーカ毎に異なる複数の走行用駆動源(ここではエンジン)の仕様に関する情報が記憶されている。情報としては、シャシメーカ毎のエンジンのアイドリング回転数、及び、エンジン1の最低回転数及び最高回転数であるが、これらに限定されない。
【0020】
図2及び図3に示すように、前記第4コネクタ7には、複数の情報のうちの1つの情報にアクセスするための複数の被選択回路10を備え、前記第3コネクタ6は、第4コネクタ7との接続により複数の被選択回路10のうちの一つの被選択回路10に電気的に接続する選択回路11を備えている。したがって、第4コネクタ7と第3コネクタ6とを接続するだけで、複数の被選択回路10の中から一つの被選択回路10に電気的に接続されるので、例えば故障したコントローラを取り外して、新たなコントローラに交換する作業時において、特装車に搭載されている走行用駆動源(エンジン)の仕様に関する情報を間違えることなく選択して記憶することができる。
【0021】
各被選択回路10は、シャシメーカ毎に異なるエンジンのアイドリング回転数を設定するアイドリング回路12と、エンジンの駆動力により作業装置(コンプレッサ)を作動させて作業を行う時のコンプレッサの回転数を設定する作業回路13とを更に備えている。そして、第3コネクタ6を第4コネクタ7に接続することにより特装車に搭載されるエンジンのアイドリング回路12及びコンプレッサの作業回路13を同時に接続する。このように第3コネクタ6を第4コネクタ7に接続することにより、特装車に搭載されるエンジンのアイドリング回路12及びコンプレッサの作業回路13を接続して、特装車に搭載されるエンジンのアイドリング回転数及びコンプレッサの回転数を同時に設定することができる。
【0022】
この実施形態では、コントローラ8、つまり後述する制御部30の記憶手段33(図8参照)に、4社のシャシメーカA,B,C,Dそれぞれのエンジンのアイドリング回転数及びコンプレッサの回転数(最小エンジン回転数又は最大エンジン回転数で回転される回転数)が記憶されている。この記憶しているとは、プログラムとしてのソフト的に記憶するものや、回路としてのハード的に記憶するものの両方を含む。第3コネクタ6は、4種類の第3コネクタ6a,6b,6c,6dから構成され、第1番目の第3コネクタ6aは、A社のシャシメーカのアイドリング回路12を選択するための第1選択回路14と、A社に組み合わされるコンプレッサメーカのコンプレッサの回転数の上限値及び下限値を読み出すための作業回路13を選択するための第2選択回路18とを備えている。また、第2番目の第3コネクタ6bは、B社のシャシメーカのアイドリング回路12を選択するための第1選択回路15と、B社に組み合わされるコンプレッサメーカのコンプレッサの回転数の上限値及び下限値を読み出すための作業回路13を選択するための第2選択回路19とを備えている。また、第3番目の第3コネクタ6cは、C社のシャシメーカのアイドリング回路12を選択するための第1選択回路16と、C社に組み合わされるコンプレッサメーカのコンプレッサの回転数の上限値及び下限値を読み出すための作業回路13を選択するための第2選択回路20とを備えている。また、第4番目の第3コネクタ6dは、D社のシャシメーカのアイドリング回路12を選択するための第1選択回路17と、D社に組み合わされるコンプレッサメーカのコンプレッサの回転数の上限値及び下限値を読み出すための作業回路13を選択するための第2選択回路21とを備えている。
【0023】
具体的には、図2(a)~(d)に、第4コネクタ7のアイドリング回路12と第3コネクタ6の4種類の第1選択回路14,15,16,17とを示している。第4コネクタ7は、シャシメーカ4社のA~Dの抵抗値の異なる抵抗を備え、後述するメインスイッチ26が走行モードに切替えられている時に各シャシメーカの抵抗に導通して、各シャシメーカのエンジンのアイドリング回転数を読み出すとともに電圧値を電子ガバナ2に出力するようになっている。つまり、異なる抵抗値により電圧値が異なり、その異なる電圧値に応じて各シャシメーカのアイドリング回転数を読み出すようにしている。図2(a)では、抵抗Aに接続されることによりシャシメーカA社のエンジンのアイドリング回転数を読み出す。図2(b)では、抵抗Bに接続されることによりシャシメーカB社の場合のエンジンのアイドリング回転数を読み出す。図2(c)では、抵抗Cに接続されることによりシャシメーカC社のエンジンのアイドリング回転数を読み出す。図2(d)では、抵抗Dに接続されることによりシャシメーカD社のエンジンのアイドリング回転数を読み出す。
【0024】
図3(a)~(d)に、第4コネクタ7の作業回路13と第3コネクタ6の4種類の第2選択回路18,19,20,21とを示している。なお、第2選択回路21は、回路が無い状態になっている。第4コネクタ7には、GND22,23と、GND22,23につなぐと出力値0となり、GND22,23につながないと出力値1となるSET1及びSET2とを備えている。各第3コネクタ6を第4コネクタ7に接続することにより、各シャシメーカのエンジンの上限値(最大エンジン回転数)と下限値(最小エンジン回転数)とを(後述するプリセット指令値という)読み出すようになっている。図3(a)では、SET1と下側のGND23とを接続することにより出力値が「0」「1」となり、シャシメーカA社のエンジンの上限値と下限値とを読み出す。図3(b)では、SET2と下側のGND23とを接続することにより出力値が「1」「0」となり、シャシメーカB社のエンジンの上限値と下限値とを読み出す。図3(c)では、SET1と下側のGND23及びSET2と上側のGND22とを接続することにより出力値が「0」「0」となり、シャシメーカC社のエンジンの上限値と下限値とを読み出す。図3(d)では、第3コネクタ6に回路が無い状態であり、第4コネクタ7に接続しない非接続状態にすることにより出力値が「1」「1」となり、シャシメーカD社のエンジンの上限値と下限値とを読み出す。なお、各シャシメーカA~Dのエンジンの上限値と下限値は、エンジンの出力で回転されるコンプレッサの上限値と下限値に相当する。
【0025】
特装車には、図4に示すメータパネル24が取り付けられている。このメータパネル24は、タンク内の粉粒体を排出する際やコンプレッサ25(図5参照)の回転数の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方を設定する際に使用する。具体的には、メータパネル24の右端部に上から順に、メインスイッチ26、コンプレッサ25の回転数調整スイッチ27、画面切替スイッチ28を備えるとともに、左右中央部に表示部としての液晶のメータ画面29を備えている。
【0026】
メインスイッチ26は、トグルスイッチからなり、操作レバーを一回だけ上側又は下側に倒すことにより、ON又はOFF状態に切り替わり、その切替状態を維持するオルタネイト動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、コンプレッサ25を用いる作業時(ON状態)に切替えられ、次の操作(下側への操作)が行われるまでその状態を維持する。また、操作レバーを下側に倒すと、車両を走行させる走行時(OFF状態)に切替えられ、次の操作(上側への操作)が行われるまでその状態を維持する。
【0027】
回転数調整スイッチ27は、コンプレッサ25の作動時にコンプレッサ25の出力値である回転数を可変すべくエンジンの駆動値であるエンジン回転数を調整するための出力値調整手段を構成している。回転数調整スイッチ27は、具体的には、トグルスイッチからなり、非操作時に、図4に示す水平姿勢となるニュートラル位置に戻るように付勢されており、操作時に、操作レバーを上側又は下側に倒している時だけ、ON状態となるモーメンタリ動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、エンジンのエンジン回転数を上げることにより、コンプレッサ25の回転数を上げる。また、操作レバーを下側に倒すと、エンジンのエンジン回転数を下げることにより、コンプレッサ25の回転数を下げる。なお、コンプレッサ25の回転数を連続して変更したい場合には、操作レバーを上側又は下側に倒した状態を保持しなければならない。この回転数調整スイッチ27は、コンプレッサ25の最低回転数(下限値)及び最高回転数(上限値)となるエンジンのエンジン回転数を微調整するときの微調整手段としての微調整スイッチとしても機能する。
【0028】
画面切替スイッチ28は、トグルスイッチからなり、非操作時に、図4に示す水平姿勢となるニュートラル位置に戻るように付勢されており、操作時に、操作レバーを上側又は下側に倒している時だけ、ON状態となるモーメンタリ動作型に構成されている。ここでは、操作レバーを上側に倒すと、画面の切替えを行い、例えば図に示すメータ画面29に切り替わる。また、操作レバーを下側に倒し、その倒した状態を所定時間(数秒)維持する(長押しする)と、トリップメータ(走行距離計)の値をリセットすることができる。この画面切替スイッチ28は、前記回転数調整スイッチ27で合わせたコンプレッサ25の最低回転数及び最高回転数のときのエンジンのエンジン回転数を決定して記憶するための決定記憶手段としての決定記憶スイッチとしても機能する。
【0029】
図5に示すメータ画面29は、エンジン1(図8参照)からの動力により作動されるコンプレッサ25の回転数(図2では850rpm)が測定手段により測定され、その実測値が表示されるとともに、タンク内の圧力計の計測値(図5では0.150MPa)及び配管内の圧力計の測定値(図5では0.175MPa)が表示されている。なお、図示していないが、作動情報画面にも切替えられるようになっており、作動情報画面には、コンプレッサの通算稼働時間、本日のコンプレッサの稼働時間、コンプレッサの温度、エラー表示及びエラー履歴などが表示される。
【0030】
また、図8に示すように、回転数調整スイッチ27及び画面切替スイッチ28からの操作信号が制御部30に入力されるとともに、エンジン1とコンプレッサ25とを接続状態にする又は遮断状態にすることができる動力取出装置(PTO)31、動力取出装置31を接続状態と遮断状態とに切替える切替スイッチ32が前記制御部30に接続されている。
【0031】
制御部30は、コントローラ8と記憶手段33とを備えている。記憶手段33には、エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値がプリセット指令値としてシャシメーカ毎に複数記憶される。詳述すれば、複数のエンジン1と少なくとも1つのコンプレッサ25とから1つずつ選択された複数の組み合わせにおける各組み合わせの駆動値(エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値)及び出力値(コンプレッサ25の回転数の下限値及び上限値)の全てを記憶する手段である。そして、前述したように、記憶手段33に記憶されている複数の駆動値の中から1つの駆動値を選択するとともに駆動値に対応するコンプレッサ25の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値が第4コネクタ7に接続される第3コネクタ6を4種類の第3コネクタ6a~6dの中から選択することによって、1つの駆動値と駆動値に対応するコンプレッサ2の上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値が、記憶手段33の中から読み出される。このように構成することで、あらゆる組み合わせのエンジン1及びコンプレッサ25にも対応した正規の出力値に対応する走行用駆動源の駆動値を設定値として決定して記憶手段33に記憶させることができる。本実施形態では、前記コンプレッサの回転数は、コンプレッサメーカ毎の上限と下限の差が少ないため、1つの回転数が記憶されている。また、記憶手段33には、コンプレッサ25を作動させる作業時において、前記回転数調整スイッチ27を上側又は下側に操作した時の上がり幅又は下がり幅であるゲインも記憶手段33に記憶されている。ゲインもコンプレッサメーカ毎に差がないので、1つの値のみ記憶されている。そして、前記コントローラ8に4種類の設定用ハーネスのうちの1つの設定用ハーネスの第3コネクタ6a又は6b又は6c又は6dを差し込むことによって、設定モードに切替えるとともに、どのシャシメーカのエンジンであるかを特定し、特定したエンジンの最低回転数を発生させる電圧値及びそれに対応する(エンジンの回転力により回転される)コンプレッサ25の回転数を選択して読み出す。読み出した電圧値及びコンプレッサ25の回転数を後述する設定画面(図6参照)に表示する。
【0032】
粉粒体運搬車を組み立てる場合に必要となる設定、つまりコンプレッサ25の最低回転数(下限値)及び最高回転数(上限値)を設定する過程を図6及び図7に基づいて説明する。
【0033】
まず、コントローラ11を粉粒体運搬車に架装する(ステップS1)。次に、設定用ハーネスの第3コネクタ6をコントローラ8の第4コネクタ7に差し込むことで設定モードに切替える(ステップS2)。次に、エンジン1を始動させるとともに切替スイッチ32をON操作して動力取出装置(PTO)31をON(接続状態)にし、メインスイッチ26を上側に倒して「作業時」に切替える(ステップS3)。このとき、切替スイッチ32のON信号により動力取出装置(PTO)31が電気的に接続された状態であると判断し、前記エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値及びそれぞれの電圧値で作動するコンプレッサ25の回転数を読み出す(前記設定用ハーネスで選択手段を構成している)。これによりメータ画面29が図6に示す設定画面に切り替わる。図6の上段に、最低回転設定時のコンプレッサ25の回転数700rpm及び最高回転設定時のコンプレッサ25の回転数900rpmが表示されている。続いて、設定用ハーネスをコントローラ8に差し込むことで読み出された最低回転数に対応するエンジン1の駆動電圧値(プリセット指令値の2.20V)でエンジン1を駆動する(ステップS4)。この駆動により、現在のエンジン1の駆動電圧値と測定手段で実測したコンプレッサ25の回転数を表示する(ステップS5)。このとき、エンジン1やコンプレッサ25の個体差により、予め記憶されている最低回転数(プリセット指令値)とは異なる表示となる。図6の上段では、電圧値が2.20Vで回転数が760rpmとなっており、最低回転数を760rpmから700rpmにするように、回転数調整スイッチ27を下側に倒して調整する(図6の中段参照)。調整した後、画面切替スイッチ28を下側へ長押しして最低回転数(正規の下限値)を設定する(ステップS6)。この設定した最低回転数(正規の下限値)を下限値として記憶手段33に保存する(ステップS7)。保存後は、回転数調整スイッチ27を上側に倒すことにより、回転数が最高回転数の900rpm(この時の電圧値は2.50V)に上昇させる(図6の下段参照)。最高回転数が900rpmになると、画面切替スイッチ28を下側へ長押しして最高回転数を設定する(ステップS8)。この設定した最高回転数(正規の上限値)を上限値として記憶手段33に保存する(ステップS9)。保存後は、差し込んだ設定用ハーネスをコントローラ8から抜くことで作業モードに切替える(ステップS10)。切替え後は、コンプレッサ25の作動確認を行って(ステップS11)、作動が正常であると確認されると、設定作業を終了する。ここでは、最低回転数を760rpmから700rpmに一致させるようにしたが、700rpmに近付けるように最低回転数を調整してもよい。正規の出力値に対応するエンジン1の駆動値を設定値に決定して記憶した後は、コンプレッサ25の出力値が目標の出力値からずれてしまうことを抑制することができるので、出力値調整手段27でコンプレッサ25の出力値を可変して思い通りの作業を行うことができる。また、手動でコンプレッサ25の出力値を一から合わせる場合に比べて調整幅が小さくて済み、調整にかかる手間を少なくできる。
【0034】
なお、シャシメーカ毎に最低回転数及び最高回転数を設定することができない禁止領域(最低領域及び最高領域の2つの領域)をそれぞれ設定することによって、エンジン1がエラーとなることを回避できるようにしている。
【0035】
また、本発明は、特装車における作業装置の出力値調整方法を備えている。
つまり、走行用駆動源(ここでは、エンジン1)の駆動力を受けて作動する作業装置(ここではコンプレッサ25)の出力値の設定を調整するための特装車における作業装置の出力値調整方法であって、前記作業装置の出力値において予め決められている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値及び該出力値に対応する前記走行用駆動源の駆動値を記憶する記憶工程と、前記記憶されている上限値及び下限値のうちの少なくとも一方の出力値及び該出力値に対応する前記駆動値を読み出す読出工程と、前記走行用駆動源の駆動値により駆動されて作動する前記作業装置の出力の実測値を測定する測定工程と、前記測定工程で測定した実測値と前記読出工程で読み出した少なくとも一方の出力値とを表示する表示工程と、前記表示工程で表示された実測値を微調整する微調整工程と、前記微調整工程で微調整された値を正規の上限値及び正規の下限値のうちの一方の出力値とし該出力値に対応する前記走行用駆動源の駆動値を設定値として決定して記憶させる決定記憶工程と、を備えている。
【0036】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、本発明の特装車としては、粉粒体運搬車に限らない。作業装置を作動させる時に可変できる構成であってもよいし、可変でなく一定でもよい。ここで、エンジンで駆動される作業装置としては、作業装置で運動させた流体で積荷にエネルギーを加え、積荷を車内に積み込む又は車外に排出するものがある。なお、作業装置で運動させる流体が積荷そのものであるものも含む。本実施形態の粉粒体運搬車は、作業装置であるコンプレッサにより圧縮した空気(流体)で、粉粒体(積荷)に圧力を加え、積荷を排出している。作業装置で運動させる積荷そのものである例としては、タンクローリーがある。この場合、作業装置であるポンプで流体である石油(積荷)に圧力を加え、石油を積み込む又は排出している。また、エンジンで駆動する作業装置としては、作業装置で運動させた流体を機械的な運動に変換するアクチュエータを有するものがある。このアクチュエータで搭載している機械を動かすか、アクチュエータで動かされる機械により積荷を積み下ろす2種類のものがある。例えば、作動時にコンクリートの吐出量を調整するコンクリートポンプを備えるコンクリートポンプ車がある。このコンクリートポンプは、油圧ポンプと油圧シリンダとを有し、油圧ポンプ(作業装置)で圧力を加えた作動油(流体)で油圧シリンダ(アクチュエータ)を動かす。その油圧シリンダによりブーム(機械)を動かすか、別の油圧シリンダ(アクチュエータ)を動かしてコンクリートを排出する。なお、作動油に圧力を加えるものを油圧ポンプと言い、積荷に圧力を加えるものを積み降ろしポンプと言うことがある。油圧ポンプを備える特装車は、油圧ポンプの油圧により油圧アクチュエータを作動させる。油圧ポンプの吐出油量が作業装置の出力値に相当する。積み降ろしポンプを備える特装車として、本実施形態の粉粒体運搬車も含まれる。また、他の例として、作業装置で電力を作る塵芥車がある。塵芥車の作業装置が発電機である。塵芥車は、発電機からの電力をモータに供給し、モータにより油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプで圧力を加えた作動油で油圧アクチュエータを駆動し、油圧アクチュエータにより積込装置を駆動してゴミを積み込む。
【0037】
上記実施形態では、設定用ハーネスをコントローラ8に差し込むことによって、メータ画面を設定モードに切替えるようにしたが、設定モード切替スイッチのスイッチ操作により切り替えるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、選択手段としてコントローラ8に設定用ハーネスを差し込むことにより、記憶されている全てのデータの中から1つのエンジン1の駆動値とこれに対応するコンプレッサ25の出力値とを読み出すようにしたが、シャシメーカ毎に記憶されている複数の値を選択する複数のディップスイッチを基板上に設け、特定のディップスイッチを操作することにより記憶されている全てのデータの中から1つのエンジン1の駆動値とこれに対応するコンプレッサ25の出力値とを読み出すようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、記憶手段に、エンジン回転数をシャシメーカ毎に複数記憶し、コンプレッサの回転数を1つ記憶し、回転数調整スイッチ27の上がり幅(又は下がり幅)となるゲインを1つ記憶したが、次のように記憶してもよい。エンジン回転数を複数、コンプレッサを複数、ゲインを複数記憶してもよいし、エンジン回転数を複数、コンプレッサを複数、ゲインを1つ記憶してもよいし、エンジン回転数を複数、コンプレッサを1つ、ゲインを複数記憶してもよいし、エンジン回転数を1つ、コンプレッサを複数、ゲインを複数記憶してもよいし、エンジン回転数を1つ、コンプレッサを複数、ゲインを1つ記憶してもよいし、エンジン回転数を1つ、コンプレッサを1つ、ゲインを複数記憶してもよいし、エンジン回転数を1つ、コンプレッサを1つ、ゲインを1つ記憶してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、メインスイッチ26、回転数調整スイッチ27、画面切替スイッチ28を全てトグルスイッチで構成したが、一部又は全部のスイッチを押しボタン式やスライド式に構成してもよい。また、回転数調整スイッチ4は回転操作式のボリュームから構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、微調整スイッチを回転数調整スイッチ27に兼用したが、別に設けた専用のスイッチであってもよい。また、これら微調整スイッチ及び回転数調整スイッチ27を一つの押しボタンから構成し、押しボタンを押すことにより回転数を上げる上げ信号又は回転数を下げる下げ信号のみを出力する構成であってもよい。この場合、押しボタンを押して上限値に達すると、下限値に戻る構成にしてもよい。また、これとは反対に、押しボタンを押して下限値に達すると、上限値に戻る構成でもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、切替スイッチ32のON信号により動力取出装置(PTO)31が電気的に接続された状態であると判断し、エンジン回転数の上限値の電圧値と下限値の電圧値及びそれぞれの電圧値で作動するコンプレッサ25の回転数を読み出してエンジン1を駆動したが、エンジン1とコンプレッサ25とが電気的に接続されていることを検出する検出手段と、検出手段からの検出信号に基づいてエンジン1の駆動電圧値を読み出してコンプレッサ25を作動させてもよい。前記検出手段としては、コンプレッサ25が回転しているかどうかを検出する回転センサやコンプレッサ25が回転した時の音を検出する音センサから構成してもよい。このように、検出手段からの検出信号に基づいてエンジン(走行用駆動源)の駆動電圧値(駆動値)を読み出してコンプレッサ(作業装置)が作動されるので、エンジン(走行用駆動源)とコンプレッサ(作業装置)とが電気的に接続されていない状態で、実測値の微調整が行われることがない。
【0043】
また、上記実施形態では、エンジン回転数の下限値の電圧値を読み出して調整し、調整した電圧値を正規の下限値として記憶した後、回転数を上限値まで上げていき、その時の回転数に対するエンジンの電圧値を正規の上限値として記憶する構成にしたが、これとは逆に、エンジン回転数の上限値の電圧値を読み出して調整し、調整した電圧値を正規の上限値として記憶してもよい。また、エンジン回転数の下限値又は上限値の電圧値を読み出して調整し、調整した電圧値を正規の下限値又は上限値として記憶した後、エンジン回転数の上限値又は下限値の電圧値を読み出して調整し、調整した電圧値を正規の上限値又は下限値として記憶してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、走行用駆動源としてエンジン1を例に挙げたが、バッテリにより動く電動モータであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、測定手段と表示手段とを備えたものを示したが、それらを備えなくてもよい。この場合、別途回転数計測器を用いてコンプレッサ(作業装置)の回転数(実測値)を測定すればよい。また、作業装置の出力値は記憶せず、走行用駆動源の駆動値のみを記憶する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…エンジン、2…電子ガバナ、3…駆動源側配線、4…第1コネクタ、5…第2コネクタ、6…第3コネクタ、7…第4コネクタ、8…コントローラ、9…コントローラ側配線、10…被選択回路、11…選択回路、12…アイドリング回路、13…作業回路、14,15,16,17…第1選択回路、18,19,20,21…第2選択回路、22,23…GND、24…メータパネル、25…コンプレッサ、26…メインスイッチ、27…回転数調整スイッチ(出力値調整手段、微調整手段)、28…画面切替スイッチ(決定記憶手段、決定記憶スイッチ)、29…メータ画面、30…制御部、31…動力取出装置、32…切替スイッチ、33…記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8