(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】タイル状ディスプレイの取り外しのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G09F9/00 351
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018152181
(22)【出願日】2018-08-13
【審査請求日】2021-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508191949
【氏名又は名称】クリスティ デジタル システムズ ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】バウマン アレクサンダー カイル
(72)【発明者】
【氏名】アデマ ダニエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヘンフィル ブライアン ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ブルールセマ アリッサ
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】田辺 正樹
【審判官】中塚 直樹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203733418(CN,U)
【文献】特開昭63-1264(JP,A)
【文献】中国実用新案第205335901(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334, 1/1339-1/1341, 1/1347
G09F9/00-9/46, 13/00-13/46
H01L27/32, 33/00, 33/48-33/64, 51/50
H02B15/00-99/00
H05B33/00-33/28, 45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイを取り外すための装置であって、
第1側面と前記第1側面の反対側にある第2側面とを有する本体と、
前記本体の前記第1側面に結合されたハンドルと、
前記本体の前記第2側面に結合された界面材であって、前記ディスプレイを前記タイル状ディスプレイ配置から取り外すための接合部を前記ディスプレイの前面に形成するように構成された界面材と、
前記装置を前記ディスプレイの前記前面から接合解除するために、剥離動作を前記接合部の端縁における剥離線から開始する、前記本体の剥離機構と、
を備えた装置。
【請求項2】
前記界面材は接着剤を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着剤は乾式接着剤を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記界面材はマイクロまたはナノ吸着材を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記剥離機構が、前記ディスプレイに適用されるばね付きプランジャを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記剥離機構が、前記ディスプレイの前記前面からの選択的な接合解除のための前記剥離動作を開始するために、レバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記界面材は変化する厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記本体は変化する厚さを有する、請求
項7に記載の装置。
【請求項9】
前記界面材は凹凸面に付着するために多面状である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記本体の前記第2側面から延在する脚部を更に備え、前記界面材は前記脚部に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイを取り外す方法であって、
装置を前記ディスプレイの前面に前記装置の界面材を用いて接合するステップであって、前記界面材が、前記ディスプレイを前記タイル状ディスプレイ配置から取り外すための接合部を形成する、ステップと、
前記装置を用いて前記ディスプレイを前記タイル状ディスプレイ配置から取り外すステップと、
剥離動作を前記接合部の端縁における剥離線から開始することによって前記装置を前記ディスプレイの前記前面から接合解除するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記接合解除するステップは、前記界面材を前記ディスプレイの前記前面から剥離するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記剥離は、旋回剥離、転動剥離、経路剥離、またはマルチパッド剥離のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接合解除するステップは、前記ディスプレイの前記前面からの前記界面材の前記剥離を開始するために、プランジャを押圧するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接合解除するステップは、前記ディスプレイの前記前面からの前記界面材の前記剥離を開始するために、レバーを傾斜させるステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはタイル状ディスプレイ配置に関し、より具体的にはタイル状ディスプレイ配置からディスプレイを取り外すための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイル状ディスプレイ配置は、より大きな表示面積を作成するために個々のディスプレイまたはディスプレイユニットがアレイ状に設定された融合体である。時には、修理または交換のために個々のディスプレイを取り外す必要がある。タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイを取り扱うという問題を解決するための現在の製品または解決策は、吸着盤、磁石式工具、またはこじり工具を含む。
【0003】
吸着盤は、気密封止をもたらすために、滑らかで連続した表面を通常必要とする。直視型LED(発光ダイオード)の場合、LEDパッケージの端縁間に距離を有するというLEDパッケージの性質の故に、これは有効な解決策ではない。
【0004】
現在、一部の製品には、磁石式工具または装置が存在する。これら工具は、ディスプレイを保持するために使用されている取り付け装置に打ち勝つために、かなりの磁力量を必要とし得る。多くの場合、取り外し工具としての磁石の実装は、磁石の数の故に費用がかかる上に、これら磁石の力を活性化/係合および/または不活性化/係合解除するための装置が必要とされ得る。これら磁石のサイズおよび形状構成は、装置の重量に影響を及ぼす。
【0005】
ディスプレイをそのマウントからこじる、引っ張る、または外すために使用される物理的工具は、ディスプレイユニットを損傷する危険性が高い。更に、ベゼルが小さい、またはベゼルが無い、ディスプレイユニットの場合は、ディスプレイの取り外しまたは装着のための装置をディスプレイの側部または端縁に物理的に係合させるために有効なスペースが端縁にない。
【発明の概要】
【0006】
ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置が提供される。この装置は、本体と、ハンドルと、界面材とを含む。一部の実施形態においては、タイル状ディスプレイ配置の取り付け機構からディスプレイを安全に取り外せるように、界面材は高い引張強さと高い剪断強さとを有する接合をもたらす。ディスプレイの前面からの装置の容易且つ選択的な接合解除を可能にするために、界面材は低い剥離強さの接合をもたらす。界面材は、残渣を残さない乾式接着剤またはマイクロまたはナノ吸着材などの材料であることが好ましい。
【0007】
一部の実施形態においては、特定の接着強度および剥離し難さを実現するために、界面材の厚さを変化させ得る。一部の実施形態においては、界面材の厚さを補完するために、本体の厚さを変化させ得る。
【0008】
他の複数の実施形態において、界面材の形状寸法は、特定の最適な剥離経路を実現するように構成され得る。一部の実施形態において、本体の形状寸法は、転動剥離、旋回剥離、またはマルチパッド剥離など、特定種別の剥離を促すように構成され得る。
【0009】
一部の実施形態においては、接着および剥離のための特性の更なる調整と所望される特定の性能の実現とを併せて可能にするために、界面材および本体の厚さおよび形状寸法を変化させ得る、および/または選択し得る。
【0010】
本願明細書において、要素は、1つ以上の機能を行う「ために構成される(configured to)」、またはこのような機能「のために構成される(configured for)」と記述され得る。一般に、一機能を行うように構成された、または一機能の実行のために構成された、一要素は、その機能を実行可能である、またはその機能を実行するために適している、またはその機能を実行するために適合化されている、またはその機能を実行するために動作可能である、またはその機能を別様に実行可能である。
【0011】
本願明細書の目的のために、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ(at least one of X,Y,and Z)」および「X、Y、およびZのうちの1つ以上(one or more of X,Y and Z)」という言い回しは、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または2つ以上の項目X、Y、およびZの任意の組み合わせ(例えば、XYZ、XY、YZ、ZZ、等々)と解釈され得ることを理解されたい。「少なくとも1つの...(at least one...)」および「1つ以上の...(one or more...)」という言い回しの何れの出現においても、同様の論理は2つ以上の項目にも当てはまり得る。
【0012】
用語「約(about)」、「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」、「ほぼ(approximately)」、等々は、例えば当業者に理解されるように「に近い(close to)」として定義される。一部の具現例において、これら用語は、「10%以内」、他の具現例においては「5%以内」、更に他の具現例においては「1%以内」、および更に他の具現例においては「0.5%以内」であると理解される。
【0013】
本発明の一態様によると、タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイを取り外すための装置が提供される。本装置は、第1側面およびこの第1側面の反対側の第2側面を有する本体と、本体の第1側面に結合されたハンドルと、本体の第2側面に結合された界面材とを含み、この界面材は、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すためにディスプレイの前面に一時的に接合されるように構成され、更にはディスプレイの前面から選択的に接合解除されるように構成される。
【0014】
一部の具現例において、界面材は接着剤を備える。一部の具現例において、この接着剤は乾式接着剤を備える。一部の具現例において、界面材はマイクロまたはナノ吸着材を備える。一部の具現例において、界面材は、ディスプレイの前面に一時的に接合されてディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための高い剪断強さおよび高い引張強さの接合と、ディスプレイの前面から選択的に接合解除されるための低い剥離強さとをもたらす。
【0015】
一部の具現例において、本装置は、ディスプレイの前面からの選択的な接合解除のための剥離を開始するために、ばね付きプランジャを更に備える。一部の具現例において、本装置は、ディスプレイの前面からの選択的な接合解除のための剥離を開始するために、レバーを更に備える。
【0016】
一部の具現例において、界面材は変化する厚さを有する。一部の具現例において、本体は変化する厚さを有する。一部の具現例において、界面材は、凹凸面に付着するために多面状である。一部の具現例において、本装置は、本体の第2側面から延在する複数の脚部を更に備え、界面材はこれら脚部に結合される。
【0017】
本発明の別の態様によると、タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイを取り外す方法が提供される。本方法は、装置の界面材を用いて装置をディスプレイの前面に接合するステップと、装置を用いてディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すステップと、装置をディスプレイの前面から接合解除するステップとを含む。
【0018】
一部の具現例において、接合解除するステップは、界面材をディスプレイの前面から剥離するステップを含む。一部の具現例において、この剥離は、旋回剥離、転動剥離、経路剥離、またはマルチパッド剥離のうちの1つである。一部の具現例において、接合解除するステップは、ディスプレイの前面からの界面材の剥離を開始するために、プランジャを押圧するステップを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の一実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の側面図を示す。
【
図2】本発明の別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の側面図を示す。
【
図3A】本発明の別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の正面図を示す。
【
図3B】本発明の別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の側面図を示す。
【
図3C】レバーが剥離姿勢にある
図3Bの装置の側面図を示す。
【
図4】本発明の更に別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の側面図を示す。
【
図5】本発明の別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の斜視図を示す。
【
図6】本発明の別の実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の斜視図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外す方法を示す。
【
図8】タイル状ディスプレイ配置内のディスプレイに接合された
図1Aの装置を示す。
【
図9】ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外している
図8の装置を示す。
【
図10】ディスプレイから接合解除されている
図1Aの装置を示す。
【
図11】ディスプレイから更に接合解除されている
図10の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aは、本発明の一実施形態による、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置100を示す。装置100は、本体110と、ハンドル120と、界面材130とを含む。
図1Bは、装置100の斜視図を示す。
【0021】
本体110は、第1側面112と第2側面114と有し、第2側面114は第1側面112の反対側にある。本体110は、構造上の支持を装置100にもたらすための何れか適した材料を備え得る。本体110は、金属とプラスチックとこれらに類するものの、ただしこれだけには限定されない、組み合わせを含み得る。装置100の容易な取り扱いを可能にするために、本体110は軽量化されることが好ましい。図示のように、本体110は、第2側面114に隣接する旋回エッジ115を1つ以上有し得る。装置100は、
図10および
図11を参照して以下で説明するように、旋回エッジ115を中心として旋回し得る。
【0022】
ハンドル120は、本体110の第1側面112に結合される。ハンドル120は、使用者がハンドル120を介して装置100を操作できるように、何れか適した材料を備え得る。ハンドル120は、金属とプラスチックとこれらに類するものの、ただしこれだけには限定されない、組み合わせを含み得る。ハンドル120は、本体110に一体化され得る、あるいは溶接、ネジ、ボルト、または他の適した締結具によって本体110に結合され得る。ハンドル120は、使用者の手、またはその一部、を受け入れるための開口122を規定するために、本体110に2か所で結合され得る。あるいは、ハンドル120はノブ状でもよく、あるいは使用者の手にフィットする、または装置100の操作のために別様に適した、輪郭を有してもよい。
【0023】
界面材130は、本体110の第2側面114に結合される。界面材130は、接着フィルムまたは湿式接着剤などの接着剤によって第2側面114に結合され得る。界面材130は、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すために、ディスプレイの前面に一時的に接合されるように構成される。界面材130は、ディスプレイの前面から選択的に接合解除されるように更に構成される。例えば、界面材130は、接着剤またはマイクロまたはナノ吸着材であり得る。一部の具現例においては、装置100がディスプレイから接合解除されるときにディスプレイ表面に残渣を残さないように、界面材130は乾式接着剤を備える。
【0024】
界面材130は、ディスプレイの前面への一時的接合の所望される引張強さ、剪断強さ、および剥離強さを実現するために選択された接着特性を有する。界面材130は、別の表面と接合部を形成し得る。通常、この接合部は、接合面として公知の平面に形成される。接合部の引張強さとは、引張応力下で界面材130がもう一方の表面に接合され続けているための指標と理解され得る。引張応力は、界面材130ともう一方の表面との間の接合部に、接合面に対して垂直方向に加わる応力である。接合部の剪断強さとは、剪断応力下で界面材130がもう一方の表面に接合され続けているための指標と理解され得る。剪断応力は、界面材130ともう一方の表面との間の接合部に、接合面に平行な方向に加わる応力である。引張強さと剪断強さとは一緒に、界面材130ともう一方の表面との間の接合を持続させるための保持強度をもたらし得る。接合部の剥離強さとは、剥離応力下で界面材130がもう一方の表面に接合され続けているための指標と理解され得る。剥離応力は、接合部の端縁に剥離線に沿って加わる応力である。
【0025】
図8は、タイル状ディスプレイ配置15内のディスプレイ10の前面に接合された装置100を示す。ディスプレイ10の可能なサイズは、240mm×270mm、480mm×270mm、500mm×500mm、および1280mm×800mmを含むが、これだけに限定されない。ディスプレイ10は、タイル状ディスプレイ配置15用の取り付け装置(不図示)に力F
mountで固定されている。ディスプレイ10を取り外すために、使用者は力F
removeを装置100に、例えば力F
mountと反対方向に、加える。力F
removeは、界面材130とディスプレイ10の前面との間の接合部に引張応力を加える。装置100はディスプレイ10の前面に接合されているので、引張応力はディスプレイ10に平行移動する。ここで、力F
removeは力F
mountより大きい。したがって、接合部は、力F
removeが装置100に加えられたときにディスプレイ10に接合され続けているために、更には少なくとも力F
mountに打ち勝つために、十分な引張強さを通常有する。換言すると、接合部の引張強さは少なくとも力F
mountより大きい。
【0026】
図9は、ディスプレイ10をタイル状ディスプレイ配置15から取り外している装置100を示す。ディスプレイ10がタイル状ディスプレイ配置15から取り外されると、装置100を用いてディスプレイ10を操作しているときに、重力F
gravityがディスプレイ10に加わり得る。力F
gravityは、界面材130とディスプレイ10の前面との間の接合部に剪断応力を加える。したがって、接合部は、ディスプレイ10に接合され続けているために、更には少なくともF
gravityに打ち勝つために、十分な剪断接合強さを通常有する。したがって、例えば、ディスプレイの前面への接合部の剪断接合強さは、ディスプレイ10の重力F
gravityより大きい。
【0027】
例えば、約1000Pa~6000Paの引張強さと約1200Pa~約6000Paの剪断強さとを有する接合をもたらす界面材130が装置100での使用のために選択され得る。このような引張強さおよび剪断強さは、一部の具現例において、ディスプレイ10をタイル状ディスプレイ配置15から取り外すときに、およびディスプレイ10をタイル状ディスプレイ配置15から離れる方向に更に操作するときに、十分な保持力を装置100のためにもたらすことになる。タイル状ディスプレイ配置15の取り付け装置および個々のディスプレイの重量によっては、上記の値より大きい引張強さおよび剪断強さでディスプレイの前面への接合をもたらす界面材が選択され得る。装置100の保持力は、界面材130の表面積および接着特性を調整することによって、所与のサイズおよび種類のディスプレイのために更に最適化され得る。
【0028】
装置100をディスプレイ10から接合解除するために、ディスプレイ10からの装置100の剥離を開始するための剥離力が装置100に加えられる。この剥離力は、剥離機構によって加えられ得る。この剥離機構は、以下で更に説明するように、例えば、本体110の幾何学的または機械的側面であり得る。剥離力は、ディスプレイの前面への接合部に剥離応力を加える。ディスプレイ10をタイル状ディスプレイ配置15から取り外すために必要とされる力より小さい力で装置100をディスプレイ10から接合解除できるように、ディスプレイの前面への接合部は、ディスプレイの前面への接合部の剪断強さの約5~10%の剥離強さを通常有する。
【0029】
ディスプレイ10の前面からの界面材130の接合解除および/または剥離は、本体110の形状構成、および/または界面材130の厚さ、において幾何学的に調整され得る。界面材130の厚さまたは他の形状寸法、および/または本体110の形状寸法、を変化させることによって、特定性能の接着および/または剥離特性が実現され得る。例えば、さまざまな厚さを有する界面材130を本体110と組み合わせて使用すると、所望される効果のために性能を更に調整できる。下記のように、本体110は、特定の剥離経路をもたらすように、および/または接着の表面積を増やすように、ならびに本体110上の界面材130の高さによって付着力を変化させるように、構成され得る。
【0030】
図10および
図11は、旋回剥離を用いて装置100がディスプレイ10から如何に接合解除され得るかを模式的に示す。旋回剥離とは、旋回動作を用いて界面材130をディスプレイ10から剥離する一方法である。したがって、
図10および
図11に示されているように、傾斜力F
tiltが装置100のハンドル120に加えられる。傾斜力F
tiltは、旋回動作Pを用いてディスプレイの前面からの界面材130の剥離を開始させる。具体的には、旋回エッジ115を中心としたこのような旋回動作Pは、ディスプレイ10からの界面材130の剥離を開始するための剥離力F
peelを第2側面114の反対側エッジにおいてもたらす。
【0031】
次に、ディスプレイ10などのディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の別の実施形態200を示す
図2に着目する。装置200は、第1側面212および第2側面214を有する本体210と、本体210の第1側面212に結合されたハンドル220と、本体210の第2側面214に結合された界面材230(界面材130と同様)とを有する。ただし、本体110と異なり、本体210は、第2側面214に隣接する丸みを帯びたエッジ215を1つ以上含み、そこを中心として装置200が転動し得る。したがって、傾斜力を装置200のハンドル220に加えると、転動動作を用いてディスプレイの前面からの界面材230の剥離を開始させ得る。具体的には、エッジ215を中心としたこのような転動動作は、ディスプレイ10などのディスプレイからの界面材230の剥離を開始するための剥離力を第2側面214の反対側エッジにおいてもたらす。したがって、装置200は、転動剥離を用いてディスプレイから接合解除され得る。界面材230は、転動動作を用いてディスプレイ10から剥離される。
【0032】
図3Aは、ディスプレイ10などのディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の別の実施形態300を示す。装置300は、第1側面(図示せず)および第2側面314を有する本体310と、本体310の第1側面に結合されたハンドル(図示せず)と、本体310の第2側面314に結合されたU字状の界面材330(界面材130と同様)とを有する。装置300は、第2側面314の正面を見せて図示されている。装置300の第1側面およびハンドルは上記のものと同様である。
【0033】
装置300は、経路剥離を用いてディスプレイ10から接合解除され得る。経路剥離とは、例えば界面材330の形状によって規定されたような、界面材330の経路に沿って界面材330をディスプレイ10から剥離する一方法である。例えば、剥離経路は、より短い剥離線を界面材330の形状の一部分に有し、より長い剥離線を別の部分に有することによって、促され得る。より短い剥離線は、界面材330をディスプレイ10の前面から剥離するために必要な剥離力が、より長い剥離線において必要とされる剥離力より小さい。したがって、より短い剥離線において開始される剥離経路は、より長い剥離線において開始される剥離経路より実現し易い。この実施形態においては、特定の剥離経路に沿った剥離動作を促すために、界面材330はU字状に構成される。具体的には、所望される剥離経路は、U字状の界面材330の両先端332から始まり、U字形状に沿って続く。U字状の形状の故に、U字状の界面材330の底部333での剥離の開始は、より長い剥離線を生じさせるので、より短い剥離線を有する両先端332での剥離の開始より困難であり得る。したがって、(例えば、U字状の界面材330の底部333で剥離を開始するように剥離力を加えるのとは逆に)両先端332で剥離を開始するように剥離力が加えられ得る。界面材330の形状寸法は、装置300によって取り外されるディスプレイ10、タイル状ディスプレイ配置、およびタイル状ディスプレイ配置のディスプレイ取り付け装置に基づき、装置300の使用中の不測の剥離を極力抑えるように構成され得る。例えば、界面材330は、より短い剥離線とより長い剥離線とを有するように、ひいては特定の方向への剥離経路を促し、他の方向への剥離経路を阻止するように、構成されたS字状、螺旋状、または他の適した形状であり得る。
【0034】
一部の実施形態においては、機械装置が剥離の開始を助け得る。例えば、
図3Aは、装置300をディスプレイ10の前面から選択的に接合解除するための剥離動作を開始するために押圧された位置にあるばね付きプランジャ316を更に示す。ばね付きプランジャ316が押圧されると、プランジャ316はディスプレイ10の前面を押し下げるので、界面材330がディスプレイ10の前面から局所的に引き離され、剥離が開始される。ばね付きプランジャ316は、界面材330の先端332での剥離経路の開始を促すために、先端332の近くに配置され得る。他の複数の具現例において、ばね付きプランジャ316は、エッジまたはコーナーの近くなど、界面材330のための所望の剥離線開始位置の近くに配置され得る。装置300は、ディスプレイ10の前面からの選択的な接合解除のための剥離を開始するために、本体310の一部をディスプレイ10から離れる方向に持ち上げるように構成された、レバーおよびこれに類するものなど、他の適した機械装置を含み得る。この機械装置は、剥離を開始するために単独で使用され得る、または剥離を開始するための、本願明細書に記載されているものなど、幾何学的または他の手段と組み合わせて使用され得る。
【0035】
図3Bは、ディスプレイ10などのディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置350を示す。装置350は、第1側面362および第2側面364を有する本体360と、本体360の第1側面362に結合されたハンドル370と、第2側面364の延長部分365を形成するように構成された本体360に隣接するレバー366と、本体360の第2側面364に結合された、更には第2側面364の延長部分365においてレバー366に結合された、界面材380(界面材130と同様)とを有する。
図3Bには、静止姿勢にあるレバー366が示されている。
図3Cは、レバー366が剥離姿勢にある装置350を示す。使用者が傾斜力F
tiltをレバー366に加えると、レバー366は剥離力F
peelを界面材380に加えるので、装置350をディスプレイ10から接合解除するための剥離が開始される。
【0036】
図4は、ディスプレイ10などのディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の別の実施形態400を示す。装置400は、第1側面412および第2側面414を有する本体410と、本体410の第1側面412に結合されたハンドル420と、本体410の第2側面414に結合された界面材430(界面材130と同様)とを有する。装置400において、界面材430は、本体410の第2側面414全体にわたって変化する厚さを有する。界面材430の変化する厚さを補完するために、本体410も変化する厚さを有し得る。
【0037】
図5は、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の別の実施形態500を示す。装置500は、第1側面512および第2側面514を有する本体510と、本体510の第1側面512に結合されたハンドル520と、本体510の第2側面514に結合された界面材530とを有する。装置500は、凹凸面に付着するための多面状の界面材530を例示している。界面材530は、界面材530の表面がディスプレイの凹凸面を補完するように多面状であることによって、凹凸面を有するディスプレイに付着するように構成され得る。したがって、界面材は、装置500およびディスプレイを操作するために、凹凸面の各変形に付着する。あるいは、界面材530は、所望される接触面積に応じて装置500およびディスプレイの接触面積を制限するために、多面状に構成され得る。例えば、界面材530に接触させるべきではない傷つき易い領域がある場合、界面材530はこれら領域を回避し、傷つき易い領域を取り囲んでディスプレイに付着するような輪郭および/またはカット面を有し得る。
【0038】
図6は、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置の別の実施形態600を示す。装置600は、本体610と本体610に結合されたハンドル620と、本体610から延在して足部619に終端する複数の脚部618と、脚部618に結合された界面材630とを有する。一部の実施形態において、本体610は第1側面612と第2側面614とを有し得る。ハンドル620は第1側面612に結合され、脚部618は第2側面614から延在する。脚部618は、界面材630のための構造上の支持をもたらすために適した何れかの材料を備え得る。脚部618は、本体610に一体化され得る、あるいは溶接、ネジ、ボルト、または他の適した締結具によって本体610に結合され得る。界面材630は、界面材630の複数のパッドに分離され得る。各パッドは、脚部618の足部619に結合される。
【0039】
装置600は、ディスプレイの前面に接着され得る界面材630のパッドを複数有する。脚部618の数、長さ、および本体610からの距離は、凹凸面、所望される接触面積、および接着強度に合わせて変化し得る。装置600は、マルチパッド剥離を用いてディスプレイから接合解除され得る。この場合、界面材630の複数のパッドは、傾斜力をハンドルに加えることによって、一度に1つずつ剥離される。
【0040】
図7は、本発明による、ディスプレイ10などのディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外す方法700を示す。方法700は、上記の何れかの装置を用いて、または他の適した装置によって、実施され得る。
【0041】
ブロック710において、例えば
図8に示されているように、装置の界面材を用いて、装置がディスプレイ10の前面に接合される。
【0042】
ブロック720において、ディスプレイ10は、例えば
図9に示されているように、装置を用いてタイル状ディスプレイ配置から取り外される。
【0043】
ブロック730において、装置は、ディスプレイ10の前面から接合解除される。
【0044】
一部の実施形態において、接合解除するステップは、例えば
図10および
図11に示されているように、界面材をディスプレイ10の前面から剥離するステップを含む。
【0045】
一部の実施形態において、この剥離は、旋回剥離、転動剥離、経路剥離、またはマルチパッド剥離のうちの1つである。他の複数の実施形態において、接合解除するステップは、ディスプレイ10の前面からの界面材の剥離を開始するために、
図3Aに見えるようなプランジャ316などのプランジャを押圧するステップを更に含む。
【0046】
このように、ディスプレイをタイル状ディスプレイ配置から取り外すための装置および方法が提供される。装置は、軽量且つ強力である。ディスプレイへの界面材の接合部の高い引張強さおよび高い剪断強さは、タイル状ディスプレイ配置の取り付け機構からのディスプレイの安全な取り外しを可能にする。更に、界面材の低い剥離強さは、ディスプレイの前面からの装置の容易且つ選択的な接合解除を可能にする。界面材および本体の厚さおよび形状寸法は、接着および剥離のために所望される特定の性能を実現するために、変化および選択され得る。したがって、本装置は、凹凸面を有するディスプレイに対して使用され得る。更に、本装置はディスプレイの前面に付着するので、ベゼルが小さい、またはベゼルが無い、ディスプレイユニットのために効果的に使用され得る。