(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
E04H 6/12 20060101AFI20240424BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
E04H6/12 Z
E04H6/42 Z
(21)【出願番号】P 2018187989
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-08-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】岡 泰大
(72)【発明者】
【氏名】小沼 敬士
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】太田 恒明
【審判官】▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-203200(JP,A)
【文献】特開2002-213094(JP,A)
【文献】特開2012-117210(JP,A)
【文献】特開2006-307495(JP,A)
【文献】特開2012-47044(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が積載されるパレットと、
前記車両の周囲を囲うように前記パレットに設けられ、開閉可能な扉部を有する柵部材と、
前記扉部をロックするロック機構と、
前記扉部のロックの状況を検出する扉ロック検出部と、
前記パレットの移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記扉部がロックされていることを前記扉ロック検出部が検出した場合に
、前記扉部がロックされている前記柵部材が設けられた前記パレットを移動させることを特徴とする機械式駐車場。
【請求項2】
前記扉ロック検出部は、
投光部と、
前記投光部から出る光を受ける受光部と、
前記扉部がロックされているとき前記投光部から前記受光部への光の進行を許容する第1姿勢をとり、前記扉部がロックされていないとき前記投光部から前記受光部への光の進行を妨げる第2姿勢をとる遮光部と、を有し、
前記受光部が光を受けた場合に前記扉部がロックされていることを検出する請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記扉部をロックするロック姿勢と、前記扉部をアンロックするアンロック姿勢と、を切り替え可能なレバーを有し、
前記扉ロック検出部は、前記遮光部を回動可能に支持する支持軸を有し、
前記遮光部は、前記支持軸周りに回動して前記第1姿勢と前記第2姿勢とを切り替え可能であり、前記第2姿勢にある状態で前記レバーが前記ロック姿勢をとると、前記レバーに当接して前記第1姿勢に切り替わる請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
前記遮光部は、長尺状であって、一方の端部側に前記支持軸が挿通される軸孔を有し、
前記軸孔は、前記レバーがアンロック姿勢にあるとき、前記遮光部が自重により前記第2姿勢となる位置に設けられる請求項3に記載の機械式駐車場。
【請求項5】
前記遮光部の剛性は、前記レバーの剛性より低い請求項3または4に記載の機械式駐車場。
【請求項6】
前記パレットに載置される車両の固定、または前記パレットの所定領域からの物体のはみ出しを検出する第2検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検出部により前記固定の完了、または前記はみ出しがないことが確認された後に、前記パレットを移動させる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機械式駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。その一つとして、乗降室においてパレットに車両を載置し、このパレットを移動させることにより、空いている駐車スペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の機械式駐車場には、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両が駐車される場合がある。鞍乗型車両、特に二輪車は不安定であるため、パレットを移動させる際に転倒するおそれがある。このため、従来の機械式駐車場では、ベルトで二輪車のシートやハンドルをパレットに固定したり、前輪ロック機構をパレットに設ける等の対策が採られていた。
【0005】
また、万が一車両が転倒した場合でも、車両がパレット外に飛び出さないようにパレットの外周を柵で囲うことが考えられる。ただし、パレットの外周を柵で囲う場合は、車両のパレット上への進入およびパレット上からの退出を可能にするために、柵の一部に扉(可動柵)を設ける必要がある。
【0006】
扉は、パレットの移動時に開いてしまうことがないように、ロックすることが望ましい。パレットの移動中に扉が開いてしまった場合には、開いた扉が他の構造物に干渉するなどして、機械式駐車場の安全性が低下するおそれがある。一方で、一般的に考え得る機械式駐車場の使用態様では、扉のロックは車両のドライバや機械式駐車場の係員が行うことになる。この場合、扉をロックし忘れる可能性はゼロではない。したがって、従来の機械式駐車場には、安全性を高める上で改善の余地があった。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械式駐車場の安全性をより高めるための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機械式駐車場は、車両が積載されるパレットと、車両の周囲を囲うようにパレットに設けられ、開閉可能な扉部を有する柵部材と、扉部をロックするロック機構と、扉部のロックの状況を検出する扉ロック検出部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機械式駐車場の安全性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る機械式駐車場を模式的に示す断面図である。
【
図2】二輪車が積載されたパレットの斜視図である。
【
図4】
図4(A)および
図4(B)は、扉ロック検出部による扉のロック検出を説明するための平面図である。
【
図5】
図5(A)および
図5(B)は、ロック機構および扉ロック検出部の斜視図である。
【
図6】ロック機構および扉ロック検出部の断面図である。
【
図8】機械式駐車場に二輪車を入庫する際に実行される安全確認処理を示すフローチャートである。
【
図9】機械式駐車場から二輪車を出庫する際に実行される安全確認処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場を模式的に示す断面図である。なお、
図1では、パレットに設けられる柵部材の図示を省略している。本実施の形態に係る機械式駐車場1は、地上に設けられた建物2の地下に駐車室が地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。なお、駐車室の階数は特に限定されない。また、機械式駐車場1は、車両の格納棚が乗降室の上階に設けられた地上式の機械式駐車場であってもよい。
【0014】
機械式駐車場1は、地下1階の駐車室である第1駐車室4と、地下2階の駐車室である第2駐車室6と、地下3階の駐車室である第3駐車室8と、を有する。また、機械式駐車場1は、複数のパレット10と、第1移載装置12と、複数の第2移載装置14と、旋回デッキ16と、リフトフレーム18と、昇降装置20と、を有する。また、機械式駐車場1は、乗降室22と、乗降室22の外側に設けられた操作盤24と、操作盤24に接続された制御部26と、を有する。
【0015】
機械式駐車場1は、パレット式の駐車場であり、パレット10に車両が積載される。車両には、自動車等の四輪車28、バイク等の二輪車30、トライク等の三輪車、自転車等が含まれる。機械式駐車場1は、昇降装置20を用いてパレット10を昇降させたり、第1移載装置12や第2移載装置14を用いてパレット10を面方向に移動させたりする。これにより、パレット10に積載された車両を、第1駐車室4~第3駐車室8に駐車することができる。好ましくは、二輪車30の転倒によって生じる破片等の物体が飛散することを軽減、抑制するために、二輪車30は最下層の第3駐車室8のみに格納される。昇降装置20、第1移載装置12および第2移載装置14は、車両の移送機構32を構成する。
【0016】
機械式駐車場1は、建物2内に乗降室22を有する。車両は、乗降室22から機械式駐車場1に入出庫される。乗降室22は、昇降路34の上端に設けられる。昇降路34の上端には、パレット10が通過できる大きさの連通孔36が設けられる。乗降室22と昇降路34とは、連通孔36を介して連通される。また、乗降室22内には、パレット10を旋回させるための旋回デッキ16が配置される。なお、機械式駐車場1は、旋回デッキ16を有せず、パレット10のみが旋回する構成であってもよい。
【0017】
昇降路34は、鉛直方向(z方向)に沿って設けられる。昇降路34は、第1駐車室4、第2駐車室6および第3駐車室8のそれぞれと連通する。昇降路34の下端には、昇降装置20が配置される。昇降装置20は、リフトフレーム18を昇降させる装置である。昇降路34の四隅には、マスト38が設けられる。リフトフレーム18は、4本のマスト38に昇降自在に支持される。昇降装置20は、リフトフレーム18を昇降路34に沿って昇降させる。リフトフレーム18の上部には、第1移載装置12が設けられる。
【0018】
第1駐車室4、第2駐車室6および第3駐車室8は、それぞれ10個の駐車スペース40を有する。各駐車室において、10個の駐車スペース40は、平面視した場合に第1移載方向(x方向)に5行、第1移載方向と実質的に直交する第2移載方向(y方向)に2列のマトリクス状に配列される。各駐車スペース40は、パレット10を収容可能である。第1移載装置12は、パレット10を第1移載方向に移動させる。パレット10は、第1移載装置12によって昇降路34と各駐車室との間を移動する。
【0019】
各駐車スペース40には、第2移載装置14が設けられる。第2移載装置14は、第1移載装置12によって駐車室に移動されたパレット10を、第1移載方向および/または第2移載方向に移動させる。パレット10は、第2移載装置14によって駐車スペース40の間を移動する。
【0020】
操作盤24は、車両のドライバや機械式駐車場1の係員といった、機械式駐車場1の使用者に対するユーザインタフェースとしての機能を有する。操作盤24はタッチパネルを有する。車両の入出庫の際、操作盤24はタッチパネルを介して、入出庫の別と、車両を特定する識別番号である車両IDの入力を求める。操作盤24は、制御部26と接続されており、タッチパネルに入力された操作に応じて制御部26に制御信号を送信する。また、操作盤24は、制御部26からの制御信号を受信してタッチパネルに必要な情報を表示させる。制御部26については後述する。
【0021】
図2は、二輪車が積載されたパレットの斜視図である。
図3は、パレットの一部分の拡大図である。二輪車30を積載するためのパレット10には、柵部材42と、ロック機構44と、前輪止め機構46と、ハンドル固定機構48と、が設けられる。パレット10は、略長方形状の平板部材である。本実施の形態のパレット10は、第1載置スペース10aと第2載置スペース10bとを有する。第1載置スペース10aと第2載置スペース10bとは、パレット10の長手方向に並ぶように配置される。第1載置スペース10aと第2載置スペース10bとには、それぞれ1台ずつ二輪車30を載置することができる。
【0022】
柵部材42は、パレット10に積載される車両、具体的には二輪車30の周囲を囲うように、パレット10の周縁部に設けられる。柵部材42を設けることで、パレット10の移動中に二輪車30が転倒したとしても、二輪車30がパレット10の外に飛び出すことを抑制することができる。柵部材42は、その一部に開閉可能な扉部50を有する。扉部50を開くことで、パレット10上への二輪車30の進入と、パレット10からの二輪車30の退出とが可能になる。つまり、扉部50によってパレット10への出入り口が塞がれている。
【0023】
本実施の形態の扉部50は、第1扉50aおよび第2扉50bが観音開きする構造を有する。これにより、1枚の扉でパレット10の出入り口を塞ぐ場合に比べて、各扉の大きさを小さくすることができる。このため、開いた扉がパレット10から突出する長さを短くすることができる。よって、機械式駐車場1の大型化を回避することができる。また、扉部50を開閉しやすくすることができる。
【0024】
柵部材42は、パレット10の2つの短辺に対応する位置に、2つの扉部50を有する。一方の扉部50は、第1載置スペース10aへの出入り口を塞ぎ、他方の扉部50は、第2載置スペース10bへの出入り口を塞ぐ。二輪車30は、第1載置スペース10aおよび第2載置スペース10bのいずれに対しても、前進して進入させられる。
【0025】
ロック機構44は、扉部50を閉状態でロックするための機構である。ロック機構44を設けることで、パレット10の移動中に扉部50が開いてしまうことを防ぐことができる。ロック機構44の構造については、後に詳細に説明する。
【0026】
前輪止め機構46は、パレット10の載置面上に、二輪車30の駐車位置に合わせて設けられる。前輪止め機構46は、第1載置スペース10aと第2載置スペース10bとのそれぞれに設けられる。各前輪止め機構46は、パレット10の長手方向の中間位置に配置されるとともに、互いにパレット10の短手方向にずれている。したがって、パレット10上には、2台の二輪車30がパレット10の長手方向において向かい合わせで、パレット10の短手方向において互いにずれて載置される。なお、パレット10の形状、二輪車30の載置数および配置は特に限定されない。
【0027】
前輪止め機構46は、二輪車30の前輪で踏み込まれて傾倒する車輪止め部46aと、車輪止め部46aの傾倒に基づいて二輪車30の前輪が車輪止め部46aに載置されたことを検出する前輪止め検出部92(
図7参照)と、を有する。前輪止め検出部92は、二輪車30の前輪が車輪止め部46aに載置されたことを示す信号を制御部26に出力する。
【0028】
ハンドル固定機構48は、二輪車30のハンドル30aを固定するための機構である。ハンドル固定機構48は、ゲート部52と、ハンドル固定部54と、を有する。ゲート部52は、パレット10の長手方向の中間位置に配置される。ゲート部52は、パレット10の短手方向に並ぶとともに、下端が柵部材42に固定される一対の脚部56と、パレット10の短手方向に延びて一対の脚部56の上端どうしを連結する梁部58と、を有する。梁部58は、パレット10に積載可能な二輪車30の高さを規定する。
【0029】
ハンドル固定部54は、一対の固定ベルト60と、一対のハンドルホルダ62と、を有する。一対の固定ベルト60は、ゲート部52に支持される。具体的には、一方の固定ベルト60は、一端が一方の脚部56に固定され、この脚部56に沿って延びるとともに、この脚部56と梁部58との連結部に設けられるガイドリング64に通された後、梁部58に沿って延びる。他方の固定ベルト60は、一端が他方の脚部56に固定され、この脚部56に沿って延びるとともに、この脚部56と梁部58との連結部に設けられるガイドリング64に通された後、梁部58に沿って延びる。
【0030】
各固定ベルト60の他端には、ハンドルホルダ62が連結される。ハンドルホルダ62は、筒状の部材である。各ハンドルホルダ62は、梁部58に設けられた係止フック66に、引っ掛け固定される。また、各固定ベルト60は、脚部56に固定される一端側に、図示しない巻き取り機構を有する。これにより、各固定ベルト60は、脚部56に対して伸縮自在に固定される。また、巻き取り機構は、ハンドルホルダ62が二輪車30のハンドル30aに取り付けられた状態で、ハンドル30aの変位を規制できる程度に、固定ベルト60に張力を発生させることができる。
【0031】
ハンドル固定部54は、ハンドルホルダ62と、固定ベルト60のうちガイドリング64よりもハンドルホルダ62側の部分とを、二輪車30側に変位させることができる。機械式駐車場1の使用者は、各ハンドルホルダ62を係止フック66から取り外して二輪車30側に引き出し、二輪車30のハンドル30aに近づける。そして、ハンドル30aのグリップ部分にハンドルホルダ62を被せる。これにより、二輪車30のハンドル30aが固定される。
【0032】
ハンドル固定機構48は、固定ベルト60にかかる張力等に基づいて、ハンドル30aが固定されたことを検出するハンドル固定検出部94(
図7参照)を有する。ハンドル固定検出部94は、二輪車30のハンドル30aが固定されたことを示す信号を制御部26に出力する。
【0033】
図4(A)および
図4(B)は、扉ロック検出部による扉のロック検出を説明するための平面図である。
図5(A)および
図5(B)は、ロック機構および扉ロック検出部の斜視図である。
図6は、ロック機構および扉ロック検出部の断面図である。
図4(A)および
図5(A)は、扉部50がロックされた状態を図示している。
図4(B)および
図5(B)は、扉部50がロックされていない状態、つまりアンロックの状態を図示している。また、
図5(A)および
図5(B)では、透光部および受光部の図示を省略している。
【0034】
機械式駐車場1は、ロック機構44による扉部50のロックの状況を検出する扉ロック検出部68を備える。扉ロック検出部68は、投光部70と、受光部72と、遮光部74と、を有する。投光部70は、所定波長の光を発する光源を有する。受光部72は、投光部70から出る光を受ける。受光部72は、投光部70から出射される光の波長と同波長の光を検知する受光素子を有する。投光部70および受光部72は、公知のレーザーセンサ等で構成することができる。投光部70および受光部72は、乗降室22の壁に取り付けられる。また、投光部70および受光部72は、投光部70から受光部72に向かう光路Lが、扉部50の上枠とほぼ同じ高さ且つ扉部50よりもパレット10の外側で扉部50に沿って延びるように、位置が定められる。
【0035】
遮光部74は、扉部50がロックされているとき投光部70から受光部72への光の進行を許容する第1姿勢をとり、扉部50がロックされていないとき投光部70から受光部への光の進行を妨げる第2姿勢をとる。
図4(A)および
図5(A)には、第1姿勢をとる遮光部74が図示されている。
図4(B)および
図5(B)には、第2姿勢をとる遮光部74が図示されている。
図6では、第1姿勢をとる遮光部74が実線で図示され、第2姿勢をとる遮光部74が2点鎖線で図示している。
【0036】
より具体的には、ロック機構44は、レバー76と、支持軸78と、を有する。レバー76は棒状部材であり、平面視で扉部50の延びる方向に対して平行に延びる。支持軸78は、第1扉50aの上枠に固定され、レバー76の一端を回動可能に支持する。支持軸78の軸方向は、扉部50の拡がる方向と直交する。つまり、支持軸78は、扉部50の法線方向に延びる。レバー76は、支持軸78周りに回動して、扉部50をロックするロック姿勢と、扉部50をアンロックするアンロック姿勢と、を切り替え可能である。
図4(A)および
図5(A)には、ロック姿勢をとるレバー76が図示されている。
図4(B)および
図5(B)には、アンロック姿勢をとるレバー76が図示されている。
【0037】
第1扉50aの上枠における、支持軸78よりも第2扉50b側の端部には、レバー76が嵌合する第1把持部80が設けられる。第2扉50bの上枠における、第1扉50a側の端部には、レバー76が嵌合する第2把持部82が設けられる。また、第2扉50bの上枠における、第1扉50a側の端部から所定距離だけ離間した領域には、レバー76が嵌合する第3把持部84が設けられる。各把持部は、上方に向かって二又に分かれた形状を有し、この二又に分かれた部分にレバー76が差し込まれる。
【0038】
ロック姿勢にあるレバー76は、支持軸78に支持される側とは反対側の端部が第2扉50bの上枠上に配置され、第1扉50aと第2扉50bとの間に橋渡しされる。そしてレバー76は、第1把持部80、第2把持部82および第3把持部84に嵌合する。これにより、第1扉50aおよび第2扉50bがロックされる。この結果、扉部50を開くことができなくなる。なお、扉部50が1枚の扉で構成される場合には、この扉と、柵部材42の扉部50以外の領域(以下では固定部と呼ぶ)との間に橋渡されることで、扉がロックされる。この場合、支持軸78は扉側に設けられてもよいし、固定部側に設けられてもよい。
【0039】
アンロック姿勢にあるレバー76は、支持軸78に支持される側とは反対側の端部が第1扉50aの上枠上に配置される。したがって、レバー76は、全体が第1扉50a側に位置する。これにより、第1扉50aおよび第2扉50bがアンロックされる。この結果、扉部50を開くことができる。
【0040】
扉ロック検出部68は、遮光部74を回動可能に支持する支持軸86を有する。支持軸86は、第2扉50bの上枠における、第2把持部82と第3把持部84との間の領域に固定される。つまり、遮光部74は、レバー76が設置される第1扉50aとは反対側の第2扉50b、すなわち第1扉50aが係合する構造物に設置される。これにより、扉部50のロック状況をより正確に検出することができる。支持軸86の軸方向は、扉部50の延びる方向と平行である。遮光部74は、長尺状であって、一方の端部74a側に支持軸86が挿通される軸孔88を有する。したがって、遮光部74は、端部74a側において支持軸86により回動可能に支持される。
【0041】
遮光部74は、支持軸86周りに回動して第1姿勢と第2姿勢とを切り替え可能である。第1姿勢にある遮光部74は略鉛直方向に延び、第2姿勢にある遮光部74は略水平方向に延びる。第1姿勢にある遮光部74では、他方の端部74bが一方の端部74aの上方に位置する。第2姿勢にある遮光部74では、他方の端部74bが扉部50の外側に位置する。
【0042】
第2姿勢をとる遮光部74は、一方の端部74aが第2扉50bの上枠上に位置する。支持軸86の延びる方向から見て、端部74aは、第1把持部80~第3把持部84における二又に分かれた部分の間に延在する。遮光部74が第2姿勢にある状態でレバー76がロック姿勢をとると、遮光部74の端部74aがレバー76に当接して下方に押し込まれる。これにより、遮光部74は、支持軸86周りに回動して、他方の端部74b側が持ち上がり、第1姿勢に切り替わる。
【0043】
遮光部74の軸孔88は、レバー76がアンロック姿勢にあるとき、言い換えれば、遮光部74に当接していない状態で、遮光部74が自重により第2姿勢となる位置に設けられている。具体的には、軸孔88は、遮光部74の端部74a寄りで且つパレット10の中心寄りに偏在している。これにより、遮光部74の重心を、他方の端部74bが扉部50の外側に倒れ込むように偏らせることができる。したがって、レバー76がアンロック姿勢をとると、遮光部74は自重により第2姿勢に変位する。
【0044】
また、遮光部74は、他方の端部74b側に重り部90を有する。他方の端部74b側に重り部90が設けられることで、レバー76が当接していない状態の遮光部74を、より確実に第2姿勢とすることができる。
【0045】
第1姿勢にある遮光部74では、他方の端部74bが一方の端部74aの上方に位置する。このため、第1姿勢にある遮光部74は光路Lと交わらず、よって、投光部70から受光部72への光の進行が許容される。そして、上述のとおり遮光部74は、レバー76がロック姿勢にあるとき第1姿勢をとる。したがって、扉ロック検出部68は、受光部72が光を受けた場合に扉部50がロックされていることを検出する。
【0046】
一方、第2姿勢にある遮光部74では、他方の端部74bが扉部50の外側に位置する。このため、第2姿勢にある遮光部74は光路Lと交わり、よって、投光部70から受光部72への光の進行が妨げられる。そして、上述のとおり遮光部74は、レバー76がアンロック姿勢にあるとき第2姿勢をとる。したがって、扉ロック検出部68は、受光部72が光を受けていないときは、扉部50がロックされていることを検出しない。扉ロック検出部68は、受光部72が投光部70からの光を受光すると、扉部50がロックされていることを示す信号を制御部26に出力する。
【0047】
つまり、本実施の形態では、レバー76が第1扉50aと第2扉50bとの間に橋渡され、且つ第1把持部80~第3把持部84に差し込まれることで初めて、遮光部74が第1姿勢をとる。したがって、遮光部74が第2姿勢をとることになるレバー76の状態、すなわちレバー76のアンロック姿勢には、レバー76全体が第1扉50aの上枠上に位置する状態(
図5(B)に示す状態)だけでなく、レバー76が第2扉50b側に変位してはいるが、第2把持部82および第3把持部84に差し込まれていない状態も含まれる。
【0048】
このため、扉部50が完全に閉まっていない状態でレバー76が回動される等して、レバー76が第2把持部82および第3把持部84に差し込まれていない場合は、扉ロック検出部68は、扉部50がロックされていることを検出しない。これにより、レバー76を回動させた作業者は扉部50をロックしたと思い込んでいるが、実際には扉部50がロックされていない、といった事態を回避することができる。よって、本実施の形態によれば、扉部50がロックされているか否かをより正確に判断することができ、扉部50がロックされた状態をより確実に得ることができる。
【0049】
本実施の形態の遮光部74の剛性は、レバー76の剛性より低い。例えば、レバー76は、金属等の剛性の高い材料で構成され、遮光部74は、ゴム等の剛性の低い材料で構成される。遮光部74は、第2姿勢にあるとき扉部50の外側に突出する。このため、機械式駐車場1の使用者が、二輪車30の入出庫作業中に遮光部74にぶつかってしまう可能性がある。これに対し、遮光部74の剛性をレバー76の剛性よりも低くすることで、使用者が遮光部74にぶつかって怪我をしてしまうおそれを軽減することができる。
【0050】
図7は、機械式駐車場の機能ブロック図である。なお、
図7に示す各ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、
図7ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0051】
機械式駐車場1は、操作盤24と、制御部26と、移送機構32と、扉ロック検出部68と、前輪止め検出部92と、ハンドル固定検出部94と、はみ出し検出部96と、を有する。上述のとおり操作盤24は、乗降室22の外側に設けられ、ユーザインタフェースとして機能する。制御部26は、操作盤24に入力された操作に応じた制御信号を操作盤24から受信する。また、制御部26は、各検出部からそれぞれの検出結果を示す信号を受信する。制御部26は、受信した検出結果に応じて、各種情報の表示を指示する制御信号を操作盤24に送信する。
【0052】
また、制御部26は、受信した検出結果に応じて、移送機構32にパレット10の移動を指示する制御信号を送信する。つまり、制御部26は、パレット10の移動を制御する。移送機構32は、制御部26から制御信号を受信すると、昇降装置20、第1移載装置12および第2移載装置14を駆動する。これにより、乗降室22において二輪車30が積載されたパレット10が、第1駐車室4~第3駐車室8のいずれかの駐車スペース40に移動される。あるいは、操作盤24において指定されたパレット10が、第1駐車室4~第3駐車室8のいずれかの駐車スペース40から乗降室22に移動される。
【0053】
扉ロック検出部68は、扉部50がロックされていることを示す信号を制御部26に出力する。前輪止め検出部92は、二輪車30の前輪が車輪止め部46aに載置されたことを示す信号を制御部26に出力する。ハンドル固定検出部94は、二輪車30のハンドル30aが固定されたことを示す信号を制御部26に出力する。
【0054】
はみ出し検出部96は、パレット10の所定領域から車両や荷物等の物体がはみ出していることを検出する。「所定領域」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。はみ出し検出部96は、乗降室22の壁に設けられる公知のレーザーセンサ等で構成される。例えば、レーザーセンサは、パレット10の前後左右それぞれに対して設けられ。そして、各レーザーセンサは、パレット10の前後左右の各辺を含むとともに鉛直方向に拡がる検出面からの物体のはみ出しを検出する。はみ出し検出部96は、物体がはみ出していることを示す信号を制御部26に出力する。
【0055】
本実施の形態の制御部26は、扉部50がロックされていることを扉ロック検出部68が検出した場合にパレット10を移動させる。つまり、制御部26は、扉部50がロックされていることが扉ロック検出部68によって検出されない限り、パレット10を移動しないように制御する。これにより、パレット10の移動時などに扉部50が開いてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0056】
また、制御部26は、パレット10に載置される車両の固定、またはパレット10の所定領域からの物体のはみ出しを検出する第2検出部により、車両の固定の完了または物体のはみ出しがないことが確認された後に、パレット10を移動させる。ここで、車両の固定を検出する第2検出部としては、前輪止め検出部92および/またはハンドル固定検出部94が挙げられる。物体のはみ出しを検出する第2検出部としては、はみ出し検出部96が挙げられる。
【0057】
より具体的には、制御部26は、送信部98と、指示部100と、を有する。送信部98は、扉ロック検出部68の検出結果を示す第1信号を、指示部100に送信する。また、送信部98は、第1信号の送信に際し、第2検出部によって車両の固定、または物体のはみ出しがないことが確認されるまで、第1信号の送信を待機する。本実施の形態では、前輪止め検出部92およびハンドル固定検出部94によって車両の固定が完了したことが確認され、且つはみ出し検出部96によって物体のはみ出しがないことが確認されるまでは、扉ロック検出部68の検出結果を示す第1信号を指示部100に送信しない。
【0058】
指示部100は、第1信号を受信すると、パレット10の移動を指示する制御信号を移送機構32に送信する。これにより、扉部50のロックが検出されるまでパレット10の移動を規制できるとともに、二輪車30が正しい位置で適切に固定され且つパレット10から物体がはみ出していない状態で、パレット10を移動させることができる。
【0059】
図8は、機械式駐車場に二輪車を入庫する際に実行される安全確認処理を示すフローチャートである。このフローは、機械式駐車場1の使用者から操作盤24を介して二輪車30の入庫指示がなされ、空き駐車スペースの特定、二輪車30用のパレット10の移動、入出庫口のゲート開放が行われた後に実行される。
【0060】
制御部26は、前輪止め検出部92からの信号の有無に基づいて、二輪車30の前輪が車輪止め部46aに置かれているか否かを判断する(S101)。二輪車30の前輪が車輪止め部46aに置かれていない場合(S101のN)、制御部26は、前輪止めエラーを操作盤24に表示して(S102)、二輪車30の移動を促す。
【0061】
二輪車30の前輪が車輪止め部46aに置かれている場合(S101のY)、制御部26は、ハンドル固定検出部94からの信号の有無に基づいて、ハンドル30aが固定されているか否かを判断する(S103)。ハンドル30aが固定されていない場合(S103のN)、制御部26は、ハンドル固定エラーを操作盤24に表示して(S104)、ハンドル30aの固定を促す。
【0062】
ハンドル30aが固定されている場合(S103のY)、制御部26は、はみ出し検出部96からの信号の有無に基づいて、パレット10から二輪車30やその他の物体がはみ出しているか否かを判断する(S105)。物体がはみ出している場合(S105のY)、制御部26は、はみ出しエラーを操作盤24に表示して(S106)、二輪車30の位置の修正や、はみ出した物体の移動を促す。
【0063】
物体のはみ出しがない場合(S105のN)、制御部26は、扉ロック検出部68からの信号の有無に基づいて、扉部50がロックされているか否かを判断する(S107)。扉部50がロックされていない場合(S107のN)、制御部26は、柵ロックエラーを操作盤24に表示して(S108)、扉部50のロックを促す。扉部50がロックされている場合(S107のY)、制御部26は、本フローを終了する。
【0064】
前輪止め、ハンドル固定および物体のはみ出しを確認した後に、扉部50のロックを確認する手順とすることで、柵の外に退出した使用者に柵内への再進入を要求する事態を回避することができる。なお、前輪止めの検出やハンドル固定の検出は、同時並行で行われてもよい。
【0065】
図9は、機械式駐車場から二輪車を出庫する際に実行される安全確認処理を示すフローチャートである。このフローは、機械式駐車場1の使用者から操作盤24を介して出庫の指示がなされ、指定された二輪車30を積載したパレット10の移動、入出庫口のゲート開放、その後のゲート閉鎖指示がなされた後に実行される。
【0066】
制御部26は、扉ロック検出部68からの信号の有無に基づいて、扉部50がロックされているか否かを判断する(S201)。扉部50がロックされていない場合(S201のN)、制御部26は、柵ロックエラーを操作盤24に表示して(S202)、扉部50のロックを促す。
【0067】
扉部50がロックされている場合(S201のY)、制御部26は、パレット10上の在車を判断する(S203)。パレット10上の在車、すなわちパレット10に二輪車30が存在するか否かは、前輪止め検出部92、ハンドル固定検出部94、およびパレット10上に検知エリアを有する図示しないレーザーセンサ等で検出することができる。在車が検出された場合(S203のY)、制御部26は、在車エラーを操作盤24に表示して(S204)、二輪車30の退出、あるいはパレット10上にある物体の除去を促す。在車が検出されない場合(S203のN)、制御部26は、本フローを終了する。
【0068】
入庫時は、前輪止め検出やハンドル固定検出などによってパレット10に二輪車30が存在することを確認することができる。このため、入庫時は在車検出を要しない。一方、出庫時は、二輪車30がパレット10から退出していない状態、あるいはパレット10に荷物等を置き忘れた状態で、使用者が入出庫口のゲート閉鎖を指示する可能性が0ではない。このため、ステップS203の在車検出を行うことが望ましい。また、出庫時に、はみ出し検出を行ってもよい。これにより、パレット10上への荷物の置き忘れ等を検出することができる。
【0069】
二輪車30を入庫する際の使用者の動作は、例えば以下の通りである。すなわち、まず、使用者は、二輪車30をパレット10上に進入させる。次いで、二輪車30の前輪を前輪止め機構46に当て、ハンドル30aをハンドル固定機構48で固定する。これらの作業後、使用者はパレット10上から退出する。そして使用者は、扉部50を閉め、ロック機構44を操作して扉部50をロックする。扉部50がロックされたことが扉ロック検出部68によって検出されると、使用者は操作盤24を介して入出庫口のゲートを閉じることが可能になる。これにより、使用者による入庫動作は完了する。
【0070】
二輪車30を出庫する際の使用者の動作は、例えば以下の通りである。すなわち、まず、使用者は、ロック機構44を操作して扉部50をアンロックし、扉部50を開ける。次いで、使用者は、パレット10上に進入し、ハンドル固定機構48によるハンドル30aの固定を解除し、二輪車30をパレット10上から退出させる。そして使用者は、扉部50を閉め、ロック機構44を操作して扉部50をロックする。扉部50がロックされたことが扉ロック検出部68によって検出されると、使用者は操作盤24を介して入出庫口のゲートを閉じることが可能になる。これにより、使用者による出庫動作は完了する。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る機械式駐車場1は、車両が積載されるパレット10と、パレット10に積載される車両の周囲を囲うようにパレット10に設けられ、開閉可能な扉部50を有する柵部材42と、扉部50をロックするロック機構44と、ロック機構44による扉部50のロックの状況を検出する扉ロック検出部68と、を備える。
【0072】
パレット10に柵部材42を設けることで、パレット10の移動時に車両がパレット10外に飛び出してしまうことを防ぐことができる。特に、パレット10に積載される車両が二輪車30である場合、二輪車30は四輪車28に比べて転倒しやすいため、柵部材42を設けることは有効である。また、扉部50のロック機構44を設けることで、パレット10の移動時などに扉部50が開いてしまうことを抑制することができる。さらに、扉ロック検出部68を設けることで、扉部50のロック忘れをより確実に防ぐことができる。したがって、本実施の形態によれば、機械式駐車場1の安全性をより高めることができる。
【0073】
扉ロック検出部68は、投光部70と、投光部70から出る光を受ける受光部72と、遮光部74と、を有する。遮光部74は、扉部50がロックされているとき投光部70から受光部72への光の進行を許容する第1姿勢をとり、扉部50がロックされていないとき投光部70から受光部72への光の進行を妨げる第2姿勢をとる。そして、扉ロック検出部68は、受光部72が光を受けた場合に、扉部50がロックされていることを検出する。このような構成によれば、乗降室22の壁面等、パレット10外に投光部70および受光部72を設置して、扉部50のロック状況を検出することができる。このため、パレット10への電源供給を要することなく、扉部50のロックを確認することができる。
【0074】
また、ロック機構44は、扉部50をロックするロック姿勢と、扉部50をアンロックするアンロック姿勢とを切り替え可能なレバー76を有する。また、扉ロック検出部68は、遮光部74を回動可能に支持する支持軸78を有する。遮光部74は、支持軸78周りに回動して第1姿勢と第2姿勢とを切り替え可能であり、第2姿勢にある状態でレバー76がロック姿勢をとると、レバー76に当接して第1姿勢に切り替わる。これにより、扉部50がロックされていることをより確実に検出することができる。
【0075】
また、遮光部74は、長尺状であって、一方の端部74a側に支持軸86が挿通される軸孔88を有し、軸孔88は、レバー76がアンロック姿勢にあるとき、遮光部74が自重により第2姿勢となる位置に設けられる。これにより、レバー76がロック姿勢でないにもかかわらず遮光部74が第1姿勢をとったり、もしくは第1姿勢と第2姿勢との間の状態をとったりすることを抑制することができる。この結果、扉部50がロックされていることをより正確に検出することができる。
【0076】
つまり、本実施の形態の機械式駐車場1は、ロック機構44の大レバー(レバー76)と、扉ロック検出部68の小レバー(遮光部74)との連係によって、扉部50のロックを検出している。具体的には、機械式駐車場1は、大レバーで扉部50をロックすると小レバーが立ち上がってセンサの検知エリアから退避し、大レバーでの扉部50のロックを解除すると小レバーが自重で倒れてセンサの検知エリアに入る仕組みを有する。
【0077】
また、遮光部74の剛性は、レバー76の剛性よりも低い。これにより、使用者が遮光部74にぶつかって怪我をしてしまうおそれを軽減することができる。
【0078】
また、機械式駐車場1は、パレット10の移動を制御する制御部26をさらに備える。そして、制御部26は、扉部50がロックされていることを扉ロック検出部68が検出した場合にパレット10を移動させる。これにより、パレット10の移動時などに扉部50が開いてしまうことをより確実に抑制することができる。よって、機械式駐車場1の安全性をより高めることができる。
【0079】
また、機械式駐車場1は、パレット10に載置される車両の固定、またはパレット10の所定範囲からの物体のはみ出しを検出する第2検出部を備える。そして、制御部26は、扉部50のロックが検出されたことに加え、第2検出部によって車両の固定の完了、またははみ出しがないことが確認された後に、パレット10の移動を指示する。これにより、車両の固定が済んでいる状態、またはパレット10からの物体のはみ出しがない状態と、扉部50がロックされている状態とが得られている状況下で、パレット10を移動させることができる。よって、機械式駐車場1の安全性をより高めることができる。
【0080】
また、好ましくは、制御部26は、扉部50のロックと、車両の固定と、物体のはみ出しがないこととの全てが確認されるまで、パレット10の移動を指示しない。これにより、機械式駐車場1の安全性をより一層高めることができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した各実施の形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。各実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の各実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。設計変更や構成要素の組み合わせによって得られる新たな実施の形態は、組み合わされる構成要素および変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0082】
実施の形態では、扉部50のロック検出に対し、専用の投光部70および受光部72を設けているが、投光部70および受光部72は、パレット10からの物体のはみ出しを検知するレーザーセンサを流用してもよい。また、遮光部74は、第2姿勢をとる際、扉部50よりもパレット10の内側に倒れてもよい。
【0083】
また、扉ロック検出部68は、扉部50がロックされているとき投光部70から受光部72への光の進行を妨げる第2姿勢をとり、扉部50がロックされていないとき投光部70から受光部72への光の進行を許容する第1姿勢をとってもよい。この場合、扉ロック検出部68は、受光部72が光を受けていない場合に扉部50がロックされていることを検出し、制御部26に信号を送信する。
【0084】
また、扉部50のロック状況の検出について、実施の形態の扉ロック検出部68は、扉部50がロックされていることを検出した場合に扉部50のロックを示す信号を制御部26に送信しているが、特にこの構成に限定されない。扉ロック検出部68は、扉部50がロックされていないことを検出して、扉部50のアンロックを示す信号を制御部26に送信してもよい。
【0085】
また、実施の形態では、制御部26が送信部98および指示部100を備えているが、特にこの構成に限定されない。例えば、送信部98を省略し、指示部100から移送機構32に制御信号が送信される条件を、車両の固定完了および/またははみ出しがないこと、且つ扉部50がロックされていること、としてもよい。
【0086】
また、扉ロック検出部68は、アンロック姿勢にあるレバー76によって光路Lが遮られるように、位置が定められてもよい。この場合、遮光部74を省略して、扉ロック検出部68の構造の簡略化を図ることができる。
【0087】
また、実施の形態の機械式駐車場1は、四輪車28および二輪車30の両方を駐車対象としているが、二輪車30のみを駐車対象としてもよい。また、実施の形態では、二輪車30を積載するためのパレット10に柵部材42が設けられているが、四輪車28を積載するためのパレット10にも柵部材42が設けられてもよい。また、トライク等の二輪車30や四輪車28以外の車両に対しても、柵部材42の設置は有効である。
【符号の説明】
【0088】
1 機械式駐車場、 10 パレット、 26 制御部、 42 柵部材、 44 ロック機構、 50 扉部、 68 扉ロック検出部、 70 投光部、 72 受光部、 74 遮光部、 76 レバー、 86 支持軸、 88 軸孔。