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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/10 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
E06B7/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019212902
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021021313
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2019138411
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
(72)【発明者】
【氏名】田中 直路
(72)【発明者】
【氏名】金森 英晃
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-258392(JP,A)
【文献】特開平11-324525(JP,A)
【文献】実開昭59-111290(JP,U)
【文献】実開昭57-049199(JP,U)
【文献】特開平09-250281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の上枠の外周側に上枠とは別個に設けた通気枠を備え、通気枠は、横枠のみからなり、内周側に上枠の取付部を有し上枠を連結し、外周側に躯体への取付部を有し躯体に取付けてあり、通気枠のみで室内外に連通する通気経路を形成してあり、室外に面した室外側通気口が上枠の室外側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあり、室内に面した室内側通気口が上枠の室内側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外に連通する通気経路を設けた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内環境は、空調設備で制御していたが、窓からの熱の出入りが多く電気代がかかるため、電気代の削減に貢献できる窓が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、窓に室内外に連通する通気経路を設けた建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、窓の上枠の外周側に上枠とは別個に設けた通気枠を備え、通気枠は、横枠のみからなり、内周側に上枠の取付部を有し上枠を連結し、外周側に躯体への取付部を有し躯体に取付けてあり、通気枠のみで室内外に連通する通気経路を形成してあり、室外に面した室外側通気口が上枠の室外側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあり、室内に面した室内側通気口が上枠の室内側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建具は、窓の上枠の外周側に上枠とは別個に設けた通気枠を備え、通気枠は、横枠のみからなり、内周側に上枠の取付部を有し上枠を連結し、外周側に躯体への取付部を有し躯体に取付けてあり、通気枠のみで室内外に連通する通気経路を形成してあり、室外に面した室外側通気口が上枠の室外側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあり、室内に面した室内側通気口が上枠の室内側に隣接する位置で下向きに開口して設けてあるので、空調設備による電気代の削減に貢献でき、また、上枠の外周側に設けた通気枠に通気経路を有しているので、上枠や障子の框に通気部を設ける必要がなく、室外に面した室外側通気口が下向きに開口して設けてあることで、雨水の浸入を防止することができ、水密性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の建具の上枠側の部分を拡大して示す縦断面図である。
図2】本発明の建具の第1実施形態を示す縦断面図である。
図3】同建具の横断面図である。
図4】内窓の室内側から見た正面図である。
図5】第1実施形態の建具の変形例を示す縦断面図である。
図6】本発明の建具の第2実施形態を示す縦断面図であって、上枠側の部分を拡大して示している。
図7】第2実施形態の建具の変形例を示す縦断面図である。
図8】本発明の建具の第3実施形態を示す縦断面図であって、上枠側の部分を拡大して示している。
図9】内窓の換気装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
図10】同換気装置の分解斜視図である。
図11】同換気装置を備える内窓の室内側から見た正面図である。
図12】第2実施形態の換気装置の変形例を示す縦断面図である。
図13】内窓の換気装置の第3実施形態を示す縦断面図である。
図14】同換気装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~3は、本発明の建具の第1実施形態を示している。第1実施形態の建具は、図2,3に示すように、外窓7と内窓8とからなる二重窓の外窓7に適用したものである。
【0008】
外窓7は、図2,3に示すように、アルミ形材よりなる上枠1と下枠10と左右の縦枠11,11とを枠組みしてなる枠12と、上下枠9,10に沿って摺動可能に設けた外障子13及び内障子14と、上枠1の外周側に設けた通気枠2とを備える。枠12は、一般的なビル用の引き違いサッシの枠をそのまま用いている。通気枠2には、図1,2に示すように、室外から室内(外窓・内窓間の中間層15)に連通する通気経路4を有している。
【0009】
通気枠2は、横枠のみからなり、図1に示すように、通気枠本体16と、通気枠本体16の室外側に取付けた室外側カバー材17と、通気枠本体16の室内側に取付けた室内側カバー材18とを有する。通気枠本体16と室外側カバー材17と室内側カバー材18は、それぞれアルミ形材で形成した長尺材である。
【0010】
室外側カバー材17は、図1に示すように、見付壁19と上壁20と下壁21とを有し、上壁20の先端部に設けた鉤状に曲がった係止部22を通気枠本体16の室外側上部に設けた溝23に係止し、下壁21の室内側端部を上枠1の室外側面に取付けた金具24に下方からねじ25で固定して取付けてある。下壁21には、室外に面した室外側通気口5が下向きに開口して設けてある。室外側通気口5の室外側には、垂下片6が室外側通気口5よりも垂下して設けてある。室外側通気口5には、虫の侵入を防ぐ防虫網26が取付けてある。このように室外側通気口5を下向きに開口して設け、その室外側に垂下片6を設けることで、室外側通気口5から雨水が浸入するのを防いでいる。
【0011】
通気枠本体16は、図1に示すように、上壁27と下壁28と室外側壁29と中間壁30と室内側壁31とを有している。室外側壁29と中間壁30と室内側壁31には、それぞれ通気口32a,32b,32cが形成されており、各壁の通気口32a,32b,32cは上下方向の位置を違わせてあると共に、室外側壁29の通気口32aと中間壁30及び室内側壁31の通気口32b,32cとは左右方向にそれぞれ位置を違わせてあり、これにより室内外に連通する通気経路4中に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を形成している。
上壁27は、室内外方向の中間位置に突出片33を有し、その室内側にアンカー34の係止部35を有し、該係止部35に係止したアンカー34により通気枠2が躯体3に固定されている。通気枠本体16と躯体3との隙間は、室外側からシール材81を充填してシールしてある。
通気枠本体16の下面側には、室内外方向の中間部に突出片36を有し、室内側に上枠1との係合部37を有しており、突出片36を上枠1の突出片38の室内側に重ねて室外側からネジ39で固定して、通気枠本体16を上枠1と連結してある。上枠1と通気枠本体16との隙間は、室外側からシール材40を充填してシールしてあり、シール材40は室外側通気口5よりも室内側に位置している。
【0012】
室内側カバー材18は、図1に示すように、通気枠本体16の上壁27の室内側端部に係止して垂下して設けられ、通気枠本体16の室内側壁31の室内側を覆っている。通気枠本体16の室内側壁31の下部と室内側カバー材18との間には、室内(中間層)に面した室内側通気口41が下向きに開口して設けてある。室内側通気口41には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルタ42が取付けてある。室内側通気口41の室内側には、垂下片43が室内側通気口41よりも垂下して設けてある。また、室内側カバー材18には、額縁44にねじ止めされるアングル45が取付けてある。
【0013】
このように第1実施形態の建具(外窓)7は、上枠1の外周側に設けた通気枠2を備え、通気枠2は、横枠のみからなり、上枠1と連結して躯体3に取付けられ、室内外に連通する通気経路4を有しているので、空調設備による電気代の削減に貢献できる。また、上枠1の外周側に設けた通気枠2に通気経路4を有しているので、上枠1や障子13,14の框に通気部を設ける必要がなく、室外に面した室外側通気口5が下向きに開口して設けてあることで、雨水の浸入を防止することができ、水密性能を確保できる。さらに、室外側通気口5の室外側に垂下片6が室外側通気口5よりも垂下して設けてあることで、室外側通気口5に雨水が浸入するのをより確実に防止できる。室外側通気口5には防虫網26が設けてあるので、虫の侵入を防ぐことができる。
通気枠2は、内部に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を有しているので、室外側通気口5から雨水が浸入したとしても、雨水が室内に達するのを防ぐことができる。
通気枠2は、室内に面した室内側通気口41が下向きに開口して設けてあることで、後述するように、室内側通気口41から出る空気の流れを下向きにして、中間層15内に外窓7と内窓8に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
室内側通気口41の室内側に垂下片43を有することによっても、室内側通気口41から出る空気の流れを下向きにして、中間層15内に外窓7と内窓8に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
通気枠2は、通気枠本体16と、通気枠本体16の室外側と室内側の少なくとも一方に取付けたカバー材17,18を有することで、通気枠本体16に通気口32a,32b,32cを形成するのが容易である。本実施形態のように、通気枠本体16の室外側と室内側の両方にカバー材17,18を取付けた場合には、通気枠本体16に通気口32a,32b,32cを形成するのが容易で、且つ室内外方向に離間する壁の通気口32a,32b,32cの上下方向の位置及び左右方向の位置を違わせて、迷路構造9を形成することも容易である。
本建具7は、通気枠本体16と上枠1との間をシール材40でシールしてあることで、通気枠本体16と上枠1との間から雨水が浸入するのを防止できる。
本建具7は、室外側通気口5よりも室内側で通気枠2と上枠1とをシール材40でシールしてあるため、室外側通気口5から雨水が浸入したとしても、その雨水が通気枠2と上枠1との間から室内に浸入することがない。
【0014】
内窓8は、図2~4に示すように、四周の額縁44の内周側面に取付けた上枠46と下枠及47び左右の縦枠48,48と、上下枠46,47間に引違い状に開閉自在に収めた外障子49及び内障子50を備えている。枠46,47,48と障子49,50の框は、樹脂製である。障子49,50のガラス51は、複層ガラスである。外窓7の枠12と内窓8の枠46,47,48の間には木製の額縁44があるため、外窓7と内窓8とは熱的に分離されている。
上枠1の上部には、図2,4に示すように、換気装置(第1実施形態)52を備えている。換気装置52は、矩形断面の中空形材を用いて形成されており、室外側と室内側の見付面に縦長のスリット状の通気孔53を左右方向に間隔をおいて多数設け(図4参照)、中間層15から室内空間に連通する通気部54が設けてある。通気部54の室内側には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルタ55が設けてある。
【0015】
中間層15には、内窓8の換気装置52の室外側に整流板56が垂下して設けてある。整流板56は、例えば透明な樹脂板で形成してある。
【0016】
本二重窓は、樹脂製の枠46,47,48及び框と複層ガラス51を用いた内窓8を設けたことに加え、外窓7の通気枠2に設けた通気経路4と中間層15と内窓8の通気部54を通じて室内外を空気が流れ、その際に中間層15を空気が外窓7の内側面と内窓8の外側面に沿うように迂回して流れることで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、非常に優れた断熱性能を発揮し、空調設備の電気代のより一層の削減に寄与する。
【0017】
冬期の場合について説明すると、換気扇等により室内を負圧に調整し、図2に示すように、本二重窓を空気が室外から室内に向けて流れるようにする。外窓7の通気枠2から流入した冷たい空気(外気)は、室内側通気口41が下向きに開口しており、尚且つその室内側に垂下片43が設けてあることにより、外窓7のガラス57の室内側面に沿うように下向きに流出する。その後、冷たい空気はコールドドラフトにより中間層15の下まで流れてから折り返し、内窓8のガラス51から室内の熱が伝わることで暖められ、ガラス51の室外側面に沿って上昇し、この間にガラス51から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。その後、暖められた空気は内窓8上部の通気部54を通って室内に流入する。空気が通気部54を通過する際にも、室内の熱で暖められた換気装置52や上枠46の熱を空気の流れによって回収する。そうして暖められた空気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。
このように、中間層15内を外窓7と内窓8に沿うように迂回して空気が流れることで、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなるので、非常に高い断熱性が得られる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがなく、暖房効率も良い。
【0018】
夏期には、換気扇等により室内を正圧に調整し、冬期とは逆に室内から室外に空気が流れるようにする。内窓8の通気部54から出た空気は整流板56に当たって下向きに流れを変え、室内の空気の温度は室外よりも低いので、空気は内窓8のガラス51の室外側面に沿って下向きに流れ、その後、中間層の下部で折り返し、外窓7のガラス57等の熱が伝わることで外窓7のガラス57の室内側面に沿って上昇し、この間にガラス57を通じて室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。その後、外窓7の通気枠2を通って空気が室外に放出される。空気が通気枠2を通過する際、通気枠2を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。そして、空気が室外に放出されることで、ガラス57や通気枠2から回収した熱を室外に捨てる。このように室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室外に捨てることで、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。
【0019】
本二重窓は、外窓7の上枠1の外周側に通気枠2を設け、通気枠2に室内外に連通する通気経路4を設けたので、外窓7の枠12や障子13,14に通気部を設ける必要がない。通気枠2は、室外に面した室外側通気口4が下向きに開口して設けてあり、室外側通気口4の室外側に垂下片6が室外側通気口4よりも垂下して設けてあることで、外窓7に通気経路4を有しながら雨水の浸入を防止することができ、水密性能を確保できる。
【0020】
図5は、本発明の建具の第1実施形態の変形例を示している。外窓7は、枠12内にガラス57をはめ込んだ嵌め殺し窓となっており、上枠1の外周側に通気枠2が設けてある。通気枠2は、これまでに説明した図1記載のものと同じ構造となっている。内窓8は、四周枠組みした枠58内に一つの障子59を室内側に開閉自在に支持した開き窓となっている。
本実施形態によっても、先に説明した実施形態と同様に、雨水の浸入を防ぐ効果、断熱性能を高めて空調設備にかかる電気代を削減する効果を奏する。
【0021】
図6は、本発明の建具の第2実施形態を示しており、図1,2に示す第1実施形態とは、通気枠2の構造が異なっている。
通気枠2は、横枠のみからなり、図6に示すように、躯体側枠60と上枠側枠61と両枠60,61の間に設けた間隔保持部材62とを有している。
躯体側枠60は、アルミ形材で形成した長尺材であり、室外側壁63と室内側壁64と見込壁65とを有し、見込壁65の外周側にアンカー34の係止部35を有し、該係止部35に係止したアンカー34により通気枠2が躯体3に固定されている。また、見込壁65の内周側には間隔保持部材62の係止部66を有している。室外側壁63の下端部には、室内側に向けて突出する突壁67を有している。
【0022】
上枠側枠61は、アルミ形材で形成した長尺材であり、見込壁68と立ち上がり壁69とを有している。見込壁68は、室外側端部に垂下壁70と上枠1の係止部71を有し、室内側端部に垂下壁72を有し、係止部71に上枠1の室外側端部を係止し、室内側の垂下壁72を上枠1の室内側壁にネジ73で固定してある。見込壁68の上面側には、間隔保持部材62の係止部77を有している。また、室外側の垂下壁70と上枠1の室外側壁との隙間をシール材74でシールしてある。
立ち上がり壁69と躯体側枠60の室外側壁63との間には、室外に面する室外側通気口5が下向きに開口して形成されており、室外側通気口5の室外側には、垂下片6が室外側通気口5より垂下している。室外側通気口5の上方には、虫の侵入を防ぐ防虫網26が取付けてある。立ち上がり壁69の上端部には、室外側に向けて突出する突壁75aと上方に向けて突出する突壁75bが設けてあり、これらの突壁75a,75bにより通気経路4中に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を形成している。
【0023】
間隔保持部材62は、アルミ形材を所定の長さで切断して形成したピース状の部材であり、通気枠2の長手方向に間隔をおいて複数配置されている。間隔保持部材62は、上端部を躯体側枠60の係止部66に係止してネジ76で固定され、下端部を上枠側枠61の係止部77に係止してネジ78で固定して取付けてある。このように躯体側枠60と上枠側枠61との間に間隔保持部材62を取付けることで、躯体側枠60と上枠側枠61との間に室内外に連通する通気経路4を形成している。
【0024】
さらに通気枠2は、躯体側枠60の室内側端部と上枠側枠61の室内側端部とに係合してカバー材79が取付けてある。カバー材79は、躯体側枠60と上枠側壁61との隙間を室内側から覆っており、下壁80に室内に面する室内側通気口41が下向きに開口して設けてある。室内側通気口41には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルタ42が取付けてある。室内側通気口41の室内側には、垂下片43が室内側通気口41よりも垂下して設けてある。
【0025】
図7は、第2実施形態の建具の変形例を示している。図6のものと比較すると、間隔保持部材62の上下寸法が大きくなっており、躯体側枠60と上枠側枠61との隙間が広くなっている。通気枠2の構造自体は、図6のものと同様である。
【0026】
以上に述べたように第2実施形態の建具は、上枠1の外周側に設けた通気枠2を備え、通気枠2は、横枠のみからなり、上枠1と連結して躯体3に取付けられ、室内外に連通する通気経路4を有しているので、空調設備による電気代の削減に貢献できる。また、上枠1の外周側に設けた通気枠2に通気経路4を有しているので、上枠1や障子13,14の框に通気部を設ける必要がなく、室外に面した室外側通気口5が下向きに開口して設けてあることで、雨水の浸入を防止することができ、水密性能を確保できる。さらに、室外側通気口5の室外側に垂下片6が室外側通気口5よりも垂下して設けてあることで、室外側通気口5に雨水が浸入するのをより確実に防止できる。室外側通気口5には防虫網26が設けてあるので、虫の侵入を防ぐことができる。
通気枠2は、内部に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を有しているので、室外側通気口5から雨水が浸入したとしても、雨水が室内に達するのを防ぐことができる。
通気枠2は、室内に面した室内側通気口41が下向きに開口して設けてあることで、室内側通気口41から出る空気の流れを下向きにできる。
室内側通気口41の室内側に垂下片43を有することによっても、室内側通気口41から出る空気の流れを下向きにできる。
通気枠2は、通気枠本体(躯体側枠60、上枠側枠61及び間隔保持部材62)と、通気枠本体16の室外側と室内側の少なくとも一方に取付けたカバー材79を有することで、通気枠2に室内外に連通する通気経路4を形成しながら、雨水の浸入を防いだり意匠性を向上したりすることが容易である。
通気枠2は、躯体側枠60と上枠側枠61と両枠60,61の間に設けた間隔保持部材62とを有し、間隔保持部材62はピース材であるため、躯体側枠60と上枠側枠61との間に通気経路4を形成することができ、第1実施形態のような通気口(32a,32b,32c)の加工が不要である。
本建具は、通気枠2と上枠1との間をシール材74でシールしてあることで、通気枠2と上枠1との間から雨水が浸入するのを防止できる。
【0027】
第2実施形態の建具も、図2に示す第1実施形態と同様に、二重窓の外窓7として用いることができ、中間層15に外窓7の内側面と内窓8の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで、冬期には内窓8から逃げる熱をその空気の流れにより回収して室内に戻し、夏期には外窓7から入ってくる熱を空気の流れにより回収して室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを少なくし、空調設備にかかる電気代のより一層の削減に貢献できる。
【0028】
図8は、本発明の建具の第3実施形態を示しており、図1,2に示す第1実施形態とは、通気枠2の構造が異なっている。
通気枠2は、横枠のみからなり、図8に示すように、通気枠本体16と、通気枠本体16の室外側に取付けた室外側カバー材17と、通気枠本体16の室内側に取付けた室内側カバー材18とを有する。通気枠2は、室外側に室外側カバー材17により室外側空間82が形成され、室内外方向の中間部に通気枠本体16により中間空間83が形成され、室内側に室内側カバー材18により室内側空間84が形成されている。通気枠本体16と室外側カバー材17と室内側カバー材18は、それぞれアルミ形材で形成した長尺材である。
【0029】
室外側カバー材17は、図8に示すように、見付壁19と上壁20と下壁と21を有し、上壁20の先端部に設けた鉤状に曲がった係止部22を通気枠本体16の室外側上部に設けた溝23に係止し、下壁21を上枠1の室内側面に取付けたL形断面の補助材85の横壁の室外側端部に重ね、下方からねじ25で固定して取付けてある。補助材85の横壁には、室外に面した室外側通気口5が下向きに開口して設けてある。室外側通気口5の室外側には、垂下片6が室外側通気口5よりも垂下して設けてある。室外側通気口5には、虫の侵入を防ぐ防虫網26が取付けてある。このように室外側通気口5を下向きに開口して設け、その室外側に垂下片6を設けることで、室外側通気口5から雨水が浸入するのを防いでいる。
【0030】
通気枠本体16は、図8に示すように、上壁27と下壁28と室外側壁29と室内側壁31とで中間空間83が形成され、室内外方向の中間位置に上壁27より垂下する垂下壁86を設け、垂下壁86の室内側に離間して下壁28より立ち上がる立ち上がり壁87を設けてあり、これら垂下壁86と立ち上がり壁87とにより通気経路4中に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を形成すると共に、中間空間83を室外寄り中間空間83aと中央空間83bと室内寄り中間空間83cとに仕切っている。垂下壁86と立ち上がり壁87は、通気枠本体16とは別体の部品で形成され、通気枠本体16の長手方向の全長に設けてある。
【0031】
室外側壁29には、通気口88が大きく形成してあり、通気口88の室外側に防虫網26を取付けている。通気口88の下方に隣接する位置には、室外側に向けて突出する水返し片89が設けてあり、該水返し片89により雨水が通気口88に浸入するのを防いでいる。垂下壁86の先端と下壁28との間には5~6mmの隙間90が形成されている。中央空間83bと室内寄り中間空間83cは、室外寄り中間空間83aより高さが低くなっており、立ち上がり壁87の先端と上壁27との間の隙間91は2mm程度と狭くしてある。立ち上がり壁87の先端部には、室外側に屈曲した折り返し片92が形成してある。室内側壁31には、通気口93が室外側の通気口88に比べて小さく形成してある。
【0032】
通気枠2は、上記のように通気枠本体16の室外側壁29に通気口88を大きく、室内側壁31に通気口93を小さく形成し、垂下壁86と下壁28との隙間90を室外側壁29の通気口88の開口より狭くし、立ち上がり壁87と上壁27との隙間91をさらに狭くしてあることで、室外側空間82と室外寄り中間空間83aとが外気と等圧になっている。これにより、雨水が通気経路4に吸い込まれないようにしている。台風などの荒天時に、通気口88を超えて雨水のしぶきが浸入しても、垂下壁86によりブロックすることができるし、万が一、垂下壁86を越えて雨水が浸入しても立ち上がり壁87で堰き止め、室外に排水することができる。なお、中央空間83bと室内寄り中間空間83cと室内側空間84は、室内側に向かうにつれて次第に内気圧に近づいている。
【0033】
上壁27は、室内外方向の中間位置に外周側に向けて突出する突出片33を有し、その室内側にアンカー34の係止部35を有し、該係止部35に係止したアンカー34により通気枠2が躯体3に固定されている。通気枠本体16と躯体3との隙間は、室外側からシール材81を充填してシールしてある。
通気枠本体16の下面の室内側寄りには、中空の突部94が形成してあり、突部94の下面側に上枠1のアンカー係合部95に係合する係合片96と、上枠1をねじ止めするためのねじ止め片97を有している。通気枠本体16は、係合片96を上枠1のアンカー係合部95に係合し、上枠1の突出片38を突部94の室外側壁に室外側からのねじ98aでねじ止めし、ねじ止め片97を上枠1に室内側からのねじ98bでねじ止めして、上枠1と連結してある。上枠1と通気枠本体16との隙間は、室外側からシール材40を充填してシールしてあり、シール材40は室外側通気口5よりも室内側に位置している。
【0034】
室内側カバー材18は、図8に示すように、略L形断面の二部材18a,18bを組み合わせて矩形断面の中空状に形成され、室外側壁に通気口99aが通気枠本体16の通気口93に連通して形成してある。室内側カバー材18の底壁には、室内(中間層)に面した室内側通気口99bが下向きに開口して設けてある。室内側通気口99には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルタ42が取付けてある。
【0035】
室内側カバー材18の室内側面には、整流板56が室内側からのノブボルト100で着脱自在に取付けてある。整流板56は、下部が室外側に向けて少し曲がっており、これにより室内側通気口99bから流出する空気を室外側に曲げて外窓7の障子13,14のガラス面に沿わせられる。
【0036】
このように外窓7は、上枠1の外周側に設けた通気枠2を備え、通気枠2は、横枠のみからなり、上枠1と連結して躯体3に取付けられ、室内外に連通する通気経路4を有しているので、空調設備による電気代の削減に貢献できる。また、上枠1の外周側に設けた通気枠2に通気経路4を有しているので、上枠1や障子13,14の框に通気部を設ける必要がなく、室外に面した室外側通気口5が下向きに開口して設けてあることで、雨水の浸入を防止することができ、水密性能を確保できる。さらに、室外側通気口5の室外側に垂下片6が室外側通気口5よりも垂下して設けてあることで、室外側通気口5に雨水が浸入するのをより確実に防止できる。室外側通気口5には防虫網26が設けてあるので、虫の侵入を防ぐことができる。
通気枠2は、内部に雨水の浸入を防ぐ迷路構造9を有しているので、室外側通気口5から雨水が浸入したとしても、雨水が室内に達するのを防ぐことができる。通気枠2とは別体の部品で形成した垂下壁86と立ち上がり壁87とで迷路構造9を形成したので、中間の壁に通気口を形成する必要がないので加工が容易になる上、雨水の浸入を防ぐ効果も向上する。
また通気枠2は、室外側に位置する室外側空間82と、室内外方向の中間部に位置する中間空間83と、室内側に位置する室内側空間84とを有し、中間空間83は、室外寄り中間空間83aと中央空間83bと室内寄り中間空間83cとからなり、室外側空間82と室外寄り中間空間83aが外気と等圧であるため、通気経路4に雨水が吸い込まれないので、水密性が一層高められる。
通気枠2は、内周側に上枠1のアンカー係合部95に係合する部分(係合片96)と上枠1のねじ止め部(突部94の室外側壁及びねじ止め片97)を有し、ねじ止め部よりも室外側で通気枠2と上枠1間の隙間をシール材40でシールしてあるので、通気枠2と上枠1とを容易に連結できると共に、通気枠2と上枠1との間から雨水が浸入するのを防止できる。
さらに、通気枠2は、室外側通気口5の上方位置に室外側に向けて突出する水返し片89を有するので、室外側通気口5から雨水が浸入したとしても、水返し片89に当たって下に落ちるので、通気経路4への雨水の浸入を防止できる。
【0037】
図9,10は、内窓8の外周側に設けられる換気装置52の第2実施形態を示し、図11は当該換気装置52を設置した内窓8の室内側正面図である。
換気装置52は、図9に示すように、外周側フレーム102と内周側フレーム103と連結材104とを有している。
外周側フレーム102は、アルミ形材で形成したものであり、室外側端部に下向きに突出する室外側折り返し部105aを有し、室内側端部に室外側の下方に湾曲しながら下向きに突出する1/4円弧状の室内側折り返し部106aを有している。室外側折り返し部105aから室内側に離間した位置には下向きの突条107が形成してあり、突条107と室内側折り返し部106aの先端部とで連結材104を見込方向に位置決めしている。外周側フレーム102は、下方からのねじ108で躯体(額縁)44に取付けられている。
内周側フレーム103も、アルミ形材で形成したものであり、室外側端部に上向きに突出する室外側折り返し部105bを有し、室内側端部に上向きに突出する室内側折り返し部106bを有している。さらに、室内外方向の中央部に上向きに突出する中空台形断面の突部109が形成してある。内周側フレーム103には、内窓8の上枠46が下方からのねじ110で取付けてあり、当該ねじ110の先端部は突部109の中空部内に収まっている。内周側フレーム103には、外周側フレーム102を躯体44に固定しているねじ108の頭が挿通できる孔111が形成してある。
【0038】
連結材104は、図9,11に示すように、外周側フレーム102及び内周側フレーム103の長手方向に間隔をおいて複数配置され、外周側フレーム102と内周側フレーム103を連結している。連結材104は、スチール製であって、図9に示すように、上壁112と前壁113と後壁114と下壁115とを有する側面視略C字形断面に形成され、左右両側に壁を有しないものとなっている。すなわち連結材104は、左右方向に沿う壁112,113,114,115のみで形成され、左右方向を遮る壁が無く、左右方向に抜けた形状となっている。下壁115は、室内外方向の中央部が途切れており、その途切れた部分に内周側フレーム103の突部109が配置されている。連結材104は、図9,10に示すように、外周側フレーム102の突条107と室内側折り返し部106aとで見込方向に位置決めして配置し、上壁112を上方からのねじ116で外周側フレーム102に固定し、下壁115を下方からのねじ117で内周側フレーム103に固定してある。
【0039】
換気装置52は、図9に示すように、外周側フレーム102の室外側折り返し部105aと内周側フレーム103の室外側折り返し部105bとの間に、中間層15に向けて開口したスリット状の開口部118が長手方向の全長にわたって形成され、外周側フレーム102の室内側折り返し部106aと内周側フレーム103の室内側折り返し部106bとの間に、室内に向けて開口したスリット状の開口部119が長手方向の全長にわたって形成されている。そして、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間に室内外方向に連通した通気経路120が形成されている。これにより本換気装置52は、空気を長手方向の略全体から室内外に流通させられる。
外周側フレーム102の室内側折り返し部106aと内周側フレーム103の室内側折り返し部106bとは、見込方向にずれた位置にあり、先端部同士がほぼ重合している。これにより本換気装置52は、光や視線が通過しないようにしている。
【0040】
本換気装置52は、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間に室内外に連通する通気経路120を形成したので、図2,4に記載の換気装置(第1実施形態)52のような通気孔53の加工が不要な上、室外側と室内側にスリット状の開口部118,119が全長にわたって形成され、内部に通気経路120を開閉する弁等もなく、通気経路120が常に室内外に連通しているため、通気抵抗が小さく、室内外を空気がスムーズに流通する。連結材104は、空気の流通の妨げになるものの、連結材104が配置されているのは換気装置52の全長のうちの僅かな部分であり(図11参照)、しかも連結材104は左右両側に壁を有しない形状のため、連結材104の側壁が抵抗になることもなく、連結材104による空気の抵抗をなるべく小さくできる。しかも本換気装置52は、図11に示すように、室内側から見ると、まっすぐな外周側フレーム102及び内周側フレーム103が見えるだけで、通気口があいているようには見えないため、意匠性も良い。
【0041】
次に、本換気装置52及び内窓8の施工手順を説明する。まず、外周側フレーム102と内周側フレーム103を連結材104で連結して換気装置52を組み立てる。次に、組立てた換気装置52を上側の額縁44の下面に下方からのねじ108で固定する。次に、換気装置52の内周側フレーム103に内窓8の上枠46を下方からのねじ110で取付ける。次に、左右両側の額縁44に縦枠48を、下側の額縁44に下枠47をそれぞれ取付ける。その後、上枠46と下枠47間に外障子49と内障子50をけんどんで建て込む。
【0042】
以上に述べたように本換気装置(第2実施形態)52は、外周側フレーム102と内周側フレーム103と連結材104とを備え、外周側フレーム102は、躯体44に取付けられるものであり、室外側折り返し部105aと室内側折り返し部106aを有し、内周側フレーム103は、内窓8の外周側に取付けられるものであり、室外側折り返し部105bと室内側折り返し部106bを有し、連結材104は、長手方向に間隔をおいて設けてあり、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間に通気経路120を形成してあるので、室外側及び室内側の壁に通気孔の加工が不要であり、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間の連結材104で連結した以外の部分全体から通気できるため通気抵抗を小さくでき、換気性能に優れる。連結材104は、左右両側に壁を有さず、左右方向に抜けた形状となっているため、連結材104の側壁が抵抗になることもなく、通気抵抗を一層小さくできる。また本換気装置52は、室内側から見ると、まっすぐな外周側フレーム102及び内周側フレーム103が見えるだけで、通気口があいているようには見えないため、意匠性も良い。
また本換気装置52は、外周側フレーム102の室内側折り返し部106aと内周側フレーム103の室内側折り返し部106bは、室内外方向にずれた位置にあり、先端部同士がほぼ重合していることで、光が通過するのを防止できる。
また本換気装置52は、連結材104がスチール製であること、折り返し部105a,105b,106a,106bにより室外側と室内側の間で視線が抜けないようにしてあることで、後述するように防火仕様の内窓8に対応できる。
本換気装置52は、内周側フレーム103に中空の突部109を設け、上枠46を内周側フレーム103に固定するねじ110を突部109の中空部内に収めたので、掃除の際にねじ110に引っ掛かることがなく、掃除がしやすい。
さらに本換気装置52は、外周側フレーム102又は内周側フレーム103に連結材104の位置決め部(突条107,室内側折り返し部106a)を設けてあるため、組立がしやすい。
【0043】
図12は、第2実施形態の換気装置52の変形例であって、防火仕様の内窓8に対応した実施形態を示している。本換気装置52は、外周側フレーム102の室外側折り返し部105aの室内側に隣接する位置と、内周側フレーム103の室内側折り返し部106bの室外側に隣接する位置とに保持溝121を形成し、保持溝121に保持して火災の熱により発泡・膨張する熱膨張性耐火材122a,122bが取付けてある。かかる耐火材122a,122bとしては、例えば積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」を用いることができる。
【0044】
本換気装置52は、室内側で火災が発生したときには室内側の耐火材122bが外周側フレーム102に向けて発泡・膨張して室内側の開口部119を塞ぎ、通気経路120からの火炎や煙の連通を阻止する。室外側で火災が発生したときには室外側の耐火材122aが内周側フレーム103に向けて発泡・膨張して室外側の開口部118を塞ぎ、通気経路120からの火炎や煙の連通を阻止する。連結材104がスチール製であるため、火災時にも連結材104が溶けたり変形したりすることがなく、外周側フレーム102と内周側フレーム103の連結状態を維持できる。
【0045】
図13,14は、換気装置52の第3実施形態を示している。第2実施形態とは、連結材104の形態(配置する向き)が異なっている。
連結材104は、図14に示すように、上壁112と右側壁123と左側壁124と下壁115とを有する室内外方向から見て略C字形断面に形成され、前後両側に壁を有しないものとなっている。すなわち連結材104は、室内外方向に沿う壁112,123,124,115のみで形成され、室内外方向を遮る壁が無く、室内外方向に抜けた形状となっている。連結材104は、右側壁123及び左側壁124と下壁115とに、内周側フレーム103の突部109を逃がすために切欠き125が設けてある。それ以外の点は、第2実施形態と同様である。
【0046】
第3実施形態の換気装置52は、外周側フレーム102と内周側フレーム103と連結材104とを備え、外周側フレーム102は、躯体44に取付けられるものであり、室外側折り返し部105aと室内側折り返し部106aを有し、内周側フレーム103は、内窓8の外周側に取付けられるものであり、室外側折り返し部105bと室内側折り返し部106bを有し、連結材104は、長手方向に間隔をおいて設けてあり、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間に通気経路120を形成してあるので、室外側及び室内側の壁に通気孔の加工が不要であり、外周側フレーム102と内周側フレーム103との間全体から通気できるため通気抵抗を小さくでき、換気性能に優れる。連結材104は、前後両側に壁を有さず、室内外方向に抜けた形状となっているため、連結材104で連結した部分からも通気できるため、通気抵抗をより一層小さくできる。また本換気装置52は、室内側から見ると、まっすぐな外周側フレーム102及び内周側フレーム103が見えるだけで、通気口があいているようには見えないため、意匠性も良い。
【0047】
以上に述べたように本二重窓は、外窓7の外周側に通気枠2を有し、内窓8の外周側に換気装置52を有し、外窓7の通気枠2と中間層15と内窓8の換気装置52を通じて室内外を空気が流れ、その際に中間層15を空気が外窓7の内側面と内窓8の外側面に沿うように迂回して流れることで、冬期には室内から室外に逃げる熱を回収し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てるので、換気をしながら窓からの熱の出入りを少なくし、冷暖房負荷を抑えることができる。第2実施形態及び第3実施形態の換気装置52を採用すれば、換気装置52を空気がスムーズに流れるので、上記した窓からの熱の出入りを少なくして冷暖房負荷を抑える効果が効率よく発揮される。
【0048】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明の建具は、二重窓ではなく、単体でも用いることができる。窓種は、引き違い窓に限らず、嵌め殺し窓、すべり出し窓など、すべての窓種に対応することができる。通気枠の形状、材質は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 上枠
2 通気枠
3 躯体
4 通気経路
5 室外側通気口
6 垂下片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14