(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】モータシステム
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240424BHJP
H04R 29/00 20060101ALI20240424BHJP
G01H 3/00 20060101ALI20240424BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02P29/00
H04R29/00 320
G01H3/00 A
F04D27/00 K
(21)【出願番号】P 2020011685
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】河口 政弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 智寛
(72)【発明者】
【氏名】宇根 岳史
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-153558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
H04R 29/00
G01H 3/00
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
ロータとともに回転するインペラと、
制御部と、
マイクロホンと、
複数の角部を有する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記ロータ、前記インペラ、前記マイクロホンを収容し、
前記マイクロホンの集音部は、前記インペラ
から前記筐体の角部に向けられ、
前記制御部は、前記マイクロホンから出力された音情報を所定パターンと比較することで当該音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定するノイズ判定要素と、前記インペラの回転数を制御する回転数制御要素と、を有し、前記音情報にノイズ情報が含まれると前記ノイズ判定要素が判定した場合に、前記回転数制御要素が前記インペラの回転数を変更し、
前記所定パターンの周波数帯域は、前記インペラの共振周波数を含む、モータシステム。
【請求項2】
前記マイクロホンが前記角部にある、請求項1に記載のモータシステム。
【請求項3】
前記所定パターンを記憶する記憶要素を備える、請求項1または2に記載のモータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータ及びインペラが筐体等に組み込まれた装置において、ロータ及びインペラが回転することによって筐体が共振してノイズが発生することがあった。筐体の固有振動数は筐体の設計(構造や材質等)によって変化するだけでなく、同一設計の量産品であっても個体差が生じ得るため、筐体が共振する際のロータ及びインペラの回転数を予測することは困難であった。
【0003】
この解決案として、読込モードに切り換え可能であり、回転数を低速回転から高速回転まで掃引可能とした静音運転システムが提案されている。このような静音運転システムでは、回転数を掃引する際に、音センサが検知した音においてピークを検出し、ピーク検出時の回転数を記憶する。その後、静音運転システムは通常運転に切り替えられ、モータを回転させるための運転信号の回転数が、記憶された回転数と一致した場合に、運転信号の回転数をシフトさせることで共振による騒音の低減を図っている。
【0004】
しかしながら、モータの起動時に毎回読込モードに切り替えると、回転数の掃引に時間を要するため、短時間でノイズを除去して運転することが困難であった。一方、読込モードに切り替える頻度を低くすると、筐体の各部に生じる経時変化等により、ノイズが発生しやすい周波数が変化する可能性がある。従って、運転信号の回転数をシフトさせても共振が生じてしまう可能性がある。以上のように、従来のシステムでは速やかにノイズを除去して運転することと、長期間に亘ってノイズを除去することと、の両立が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、ノイズを低減しやすくすることができる、モータシステムを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータシステムは、ロータと、ロータとともに回転するインペラと、制御部と、マイクロホンと、を備え、前記制御部は、前記マイクロホンから出力された音情報を所定パターンと比較することで当該音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定するノイズ判定要素と、前記インペラの回転数を制御する回転数制御要素と、を有し、前記音情報にノイズ情報が含まれると前記ノイズ判定要素が判定した場合に、前記回転数制御要素が前記インペラの回転数を変更する。
【0008】
本発明において、複数の角部を有する筐体を備え、前記マイクロホンが前記角部にあることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記マイクロホンを収容する筐体を備え、前記マイクロホンの集音部が前記筐体に向けられていることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記所定パターンを記憶する記憶要素を備えることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記所定パターンの周波数帯域は、前記インペラの共振周波数を含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムの概略を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムが設けられる装置の斜視図である。
【
図3】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムに記憶された所定パターンの一例を示すグラフである。
【
図4】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムの制御部が実行する回転数制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムにおけるマイクロホンが出力した音情報の一例を示すグラフである。
【
図6】本発明の一例である実施形態にかかるモータシステムにおける回転数変更後のマイクロホンが出力した音情報の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一例である実施形態にかかるモータシステム1の概略を示すブロック図であり、
図2は、モータシステム1が設けられる装置10の斜視図であり、
図3は、モータシステム1に記憶された所定パターンの一例を示すグラフであり、
図4は、モータシステム1の制御部4が実行する回転数制御処理の一例を示すフローチャートであり、
図5は、モータシステム1におけるマイクロホン5が出力した音情報の一例を示すグラフであり、
図6は、モータシステム1における回転数変更後のマイクロホン5が出力した音情報の一例を示すグラフである。
【0014】
本実施形態に係るモータシステム1は、
図1に示すように、モータ2と、インペラ3と、制御部4と、マイクロホン5と、筐体6と、を備え、例えば空気清浄機等の装置10に設けられる。モータシステム1は、装置10の運転開始、停止及び運転強度(例えば空気清浄機における風力の強弱や、清浄能力の強弱)の変更を可能とするものであり、モータシステム1の筐体6は、装置10の筐体として用いられるものである。
【0015】
モータ2は、出力軸を有するロータ21と、ステータ22と、を有して回転数を制御可能に構成されたものであり、例えばブラシレスモータであればよい。
【0016】
インペラ3は、ロータ21の出力軸に接続されることでロータ21とともに回転可能なものであって、ロータ21の回転数とインペラ3の回転数とが一致し、以下では、ロータ21の回転数とインペラ3の回転数を同じものとして扱う。インペラ3は、モータシステム1が設けられる装置10に応じた機能を有しており、装置10が空気清浄機である場合には例えばファンであればよい。
【0017】
制御部4は、モータシステム1全体の制御を司るものであって、例えばマイクロコンピュータであればよい。制御部4は、ノイズ判定要素41と、回転数制御要素42と、記憶要素43と、を有する。ノイズ判定要素41は、後述するように、マイクロホン5から出力された音情報を所定のパターンと比較することで、この音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定する。回転数制御要素42は、インペラ3の回転数を制御する。記憶要素43は、ノイズを判定するための所定のパターンを記憶する。
【0018】
ここで、「ノイズ判定要素」とは、音情報と所定パターンとを比較する機能、及び、比較した結果、音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定する機能の両方を備えているものであればよく、例えばCPU(中央演算処理装置)によって構成され、これら2つの機能について演算処理が可能なものであればよい。「回転数制御要素」とは、インペラの回転数を制御する機能を備えるものであればよく、例えばCPUによって構成され、例えばモータに供給する電流、電圧又は電力を制御可能なものであればよい。「記憶要素」とは、所定パターンについての情報を記憶可能なものであればよく、例えば不揮発性メモリによって構成され、適宜に情報を読み出し可能なものであればよい。
【0019】
マイクロホン5は、コンデンサ型のマイクロホンであって、
図2に示すように、外部から伝搬される音波で振動される振動板を備えた集音部51を有する。集音部51は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。集音部51が曲面状である場合、その中央部が向いた方向を集音部51の向きとする。マイクロホン5は、周囲の音波を集音し、集音した音波を電気信号である音情報に変換して外部に出力する。マイクロホン5から出力された音情報が、制御部4に送信され、ノイズ判定要素41に入力されるようになっている。
【0020】
筐体6は、例えば直方体の箱状に形成されて8つの角部61を有し、モータ2とインペラ3と制御部4とマイクロホン5とを収容する。マイクロホン5は、筐体6の角部61にある。また、マイクロホン5の集音部51は、筐体6のうち1つの角部61を向いており、モータ2及びインペラ3を収容する収容部62とは反対側を向いている。即ち、集音部51と角部61との間には、収容部62が配置されていない。尚、マイクロホン5の集音部51は、筐体6の他の部分(壁部や辺部)に向けられていてもよい。また、マイクロホン5が筐体6の角部61にあるとは、マイクロホン5が角部61の近傍にあることを意味し、例えば、マイクロホン5が収容部62よりも角部61に近くに位置していればよい。
【0021】
以下、制御部4の記憶要素43が記憶する情報、ノイズ判定要素41による判定方法、及び回転数制御要素42による制御方法について説明する。
【0022】
記憶要素43は、所定パターンとして、例えば
図3に模式的に示すような周波数と音圧レベルとの関係を記憶する。人間がノイズと認識しやすい音圧レベルは周波数によって異なるため、
図3の所定パターンでは、各周波数において異なる音圧レベルを設定し、この音圧レベルが閾値となる。即ち、所定パターンとは、周波数と音圧レベルとの関係を示すものが一例として挙げられる。ある周波数において音情報の音圧レベルが閾値(所定パターンの音圧レベル)以上となった際に、実際の発生音においてこの周波数のノイズが含まれていると判断することができる。従って、ノイズ判定要素41は、マイクロホン5から出力された音情報と所定パターンとを比較し、各周波数において音情報の音圧レベルが閾値以上となっていないかを判定することにより、音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定することができる。
図3の所定パターンは、少なくとも可聴域(例えば20~20000Hz)において設定されていればよく、例えば300~400Hzの周波数帯域において設定され、この周波数帯域は、インペラ3の共振周波数(例えば350Hz)を含む。尚、音情報は、集音した音波をそのまま電気信号に変換したものであってもよいし、この電気信号に対して適宜な演算処理を施したものであってもよい。
【0023】
マイクロホン5と制御部4との間には、アンプやAC/DCコンバータ、FFT解析部が設けられていてもよい。即ち、集音した音波を電気信号に変換した後に増幅し、増幅した電気信号をDC変換してFFT解析することにより、音情報に含まれるピークを明瞭なものとしてもよい。尚、集音した音波を変換した電気信号に演算処理を施す場合には、比較用の所定パターンも、当該演算処理に対応したものとすればよい。
【0024】
制御部4がロータ21の回転数を制御する回転数制御処理の一例について、
図4のフローチャートを参照しつつ説明する。制御部4は、装置10の運転開始信号を受信したら回転数制御処理を開始する。例えば使用者が運転開始ボタンを操作することで運転開始信号が送信されるようになっていてもよいし、装置10が外部環境の変化等を検出する検出部を有し、外部環境の変化等が検出された際に、検出部から制御部4に自動的に運転開始信号が送信されるようになっていてもよい。
【0025】
制御部4は、まず、運転強度信号を受信する(ステップS1)。運転強度信号とは、装置10の運転強度を決定するためのものであり、使用者が運転強度を選択することで運転強度信号が送信されるようになっていてもよいし、外部環境に応じて運転強度が自動的に決まり、運転強度信号が送信されるようになっていてもよい。次に、制御部4は、運転強度信号に基づいて、記憶されたノイズ発生回転数とならないようにロータ21の回転数を決定し(ステップS2)、回転数制御要素42によってロータ21の回転を開始する(ステップS3)。制御部4は、マイクロホン5から音情報を取得し(ステップS4)、ノイズ判定要素41によって、音情報と、記憶要素43に記憶された所定パターンと、を比較し、音情報において音圧レベルが閾値以上となる周波数があるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5は、音情報にノイズ情報が含まれているか否かを判定する工程である。
【0026】
音情報の音圧レベルが閾値以上となる周波数がない場合(ステップS5でNO)、制御部4は回転数制御処理を終了する。即ち、音情報にノイズ情報が含まれていない場合に制御部4が回転数制御処理を終了し、ステップS2で決定した回転数でロータ21が回転を続ける。一方、音情報の音圧レベルが閾値以上となる周波数がある場合(ステップS5でYES)、制御部4は、現在の回転数をノイズ発生回転数として記憶する(ステップS6)。尚、ノイズ発生回転数は、記憶要素43に記憶されてもよいし、他の記憶部に記憶されてもよい。また、ノイズ発生回転数と併せて、発生したノイズの周波数(音情報の音圧レベルが閾値以上となる周波数)の情報も記憶してもよい。
【0027】
制御部4は、ステップS6に次いで、現在のロータ21の回転数に所定数(例えば20rpm)を加算し(ステップS7)、回転数制御要素42によってロータ21の回転数を変更する(ステップS8)。即ち、音情報にノイズ情報が含まれている場合に制御部4がロータ21の回転数を変更する。尚、ステップS6において、現在の回転数に所定数を減算してもよいし、所定数を乗じたり除したりしてもよい。制御部4は、ステップS7から再びステップS4に戻り、音情報にノイズ情報が含まれていないと判断されるまで上記の判定を繰り返す。
【0028】
尚、制御部4は、装置10の運転開始時に常に回転数制御処理を実施してもよいし、所定の運転開始回数毎に回転数制御処理を実施してもよいし、前回の回転数制御処理から所定時間経過後に装置10が運転開始した場合に回転数制御処理を実施してもよい。また、装置10が運転を長時間継続する場合に、ノイズが発生していないかを再度判定(特に上記のステップS4~S8)してもよい。
【0029】
ここで、ロータ21及びインペラ3を回転させた際の発生音(マイクロホン5が集音した音波)の特性が、回転数の変更によってどのように変化するかの具体例について、
図5、6を参照しつつ説明する。まず、
図5に、ロータ21及びインペラ3の回転数を558rpmに設定した場合における、マイクロホン5が出力した音情報のグラフを破線で示し、音情報のFFT解析結果のグラフを実線で示す。
図5では、横軸が周波数となっており、縦軸が音圧レベルの強度となっている。このとき、FFT解析結果のグラフは、約344Hzにピークを有しており、この周波数及びその前後において、音圧レベルが所定パターンの閾値を超えている。
【0030】
従って、回転数制御要素42は、ロータ21の回転数に例えば20rpmを加算して578rpmとし、回転数を変更する。
図6に、回転数変更後のマイクロホン5による音情報のグラフを破線で示し、音情報のFFT解析結果のグラフを実線で示す。このとき、FFT解析結果のグラフは、回転数558rpmの際に現れた約344Hzにピークが消え、音圧レベルが所定パターンの閾値以下となる。このような場合、回転数578rpmでロータ21及びインペラ3の回転を継続すればよい。
【0031】
本実施形態によれば、回転数制御要素42がインペラ3を所定の回転数で回転させた際に、マイクロホン5が出力した音情報にノイズ情報が含まれるか否かをノイズ判定要素41が判定することにより、回転数を掃引してノイズが発生する回転数を確認した後に、回転数を決定する制御と比較して、短時間でノイズを低減することができる。また、短時間でノイズ低減可能であることで、ノイズ判定要素41による判定頻度を高くすることができ、経時変化によってノイズが発生する回転数が変化した場合に対応しやすい。このように、本実施形態によれば、短時間でノイズを低減することができるとともに、経時変化に対応して長期間に亘ってノイズを低減することができる。
【0032】
また、音情報と比較するための所定パターンを記憶要素43に記憶し、マイクロホン5が集音した音波に基づく音情報とこの所定パターンとを比較することで、音情報のピークのみに基づいてノイズを判定する方法と比較して、使用者によって認識されやすいか否かも考慮してノイズを検出することができ、より効果的にノイズを低減することができる。
【0033】
また、マイクロホン5が筐体6の角部61にあることで、筐体6内で発生する定在波の節の近傍にマイクロホン5が配置されることとなり、定在波の影響を受けにくくすることができる。従って、筐体6の振動に起因するノイズをマイクロホン5によって取得しやすくすることができる。
【0034】
また、マイクロホン5の集音部51が筐体6に向けられていることで、筐体6の共振音を集音しやすく、筐体6の振動に起因するノイズを取得しやすくすることができる。このとき、マイクロホン5は指向性を有するものであることが好ましく、指向性を有するマイクロホン5を用いれば、筐体6の振動に起因するノイズをさらに取得しやすくすることができる。
【0035】
また、音情報と比較するための所定パターンの周波数帯域がインペラ3の共振周波数を含むことで、インペラ3の回転によってノイズが大きくなりやすい周波数近傍にも対応することができ、ノイズを低減しやすくすることができる。
【0036】
以上、本発明のモータシステムについて、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のモータシステムは上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、マイクロホン5が筐体6の角部61にあるものとしたが、マイクロホン5の配置はこれに限定されない。筐体内で定在波が生じにくい場合や、定在波の影響が小さい場合、筐体が角部を有していない場合には、マイクロホン5は筐体内の適宜な位置にあればよい。
【0037】
また、上記実施形態では、マイクロホン5の集音部51が筐体6に向けられているものとしたが、筐体6の振動音を集音しやすい場合には、集音部51は他の方向に向けられていてもよい。例えば、ロータ21やインペラ3等の音源が収容される部分と、マイクロホン5が収容される部分と、が壁部によって区画されて音源の音がマイクロホン5に届きにくい場合には、集音部51が音源側を向いていてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、音情報と比較するための所定パターンの周波数帯域がインペラ3の共振周波数を含むものとしたが、インペラ3の共振周波数が人間にとって認識されにくい周波数である場合や、筐体6の構造上、インペラ3の共振周波数においてノイズが生じにくいと予測される場合には、所定パターンの周波数帯域がインペラ3の共振周波数を含んでいなくてもよい。
【0039】
また、インペラの回転により共振が発生する際の共振周波数が、インペラの回転数(モータの回転数)と翼の枚数の積であると推定される場合には、所定パターンの周波数帯域が、インペラの回転数(モータの回転数)と翼の枚数の積で特定される周波数を含むようにしてもよい。また、回転数を変更する際、加算する回転数(上記実施形態においては20rpmであり、これは0.33Hzに対応する)を、共振ピークの半値幅(上記実施形態においては0.16Hz)に対応する回転数や、この半値幅に対応する回転数以上としてもよい。このように半値幅に対応する回転数以上加算することにより、インペラの回転に伴う振動の固有振動数がシフトし、アプリケーション(装置)の筺体の固有振動数およびインペラの固有振動数(即ち共振周波数)から共振ピークの半値幅以上から外れることとなり、共振の発生を低減することができる。
【0040】
また、人間の耳の可聴帯域は、低周波帯域(例えば1kHz以下)から中周波帯域(例えば1~10kHz)にかけて聞き取れる音圧レベル(dB)は下がっていく傾向にある。従って、インペラの回転数(即ちモータの回転数)を加算することで、共振の発生を低減できるだけでなく、減算する場合と比較して人間が耳で聞きとるノイズをより低減することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、音情報と比較するための所定パターンが記憶要素43に記憶されているものとしたが、所定パターンは記憶されたものでなくてもよい。例えば、モータシステムが外部機器と通信して所定パターンを取得してもよいし、所定パターンを算出するための計算式を記憶しておくことで所定パターンを生成してもよいし、所定パターンの情報として波形(ピークの高さや立ち上がり角度等)を記憶しておき、波形に基づいてノイズが含まれているか否かを判定してもよい。
【0042】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1…モータシステム、21…ロータ、3…インペラ、4…制御部、41…ノイズ判定要素、42…回転数制御要素、43…記憶要素、5…マイクロホン、51…集音部、6…筐体