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  • 特許-車両制御装置および車両制御方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】車両制御装置および車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/04 20060101AFI20240424BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20240424BHJP
   B60W 50/16 20200101ALI20240424BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20240424BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20240424BHJP
   B62D 7/15 20060101ALI20240424BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B60W10/00 134
B60W50/16
B60W50/12
B62D6/00
B62D7/15 A
B60L15/20 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020029760
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021133736
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 智也
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-282045(JP,A)
【文献】特開2020-001552(JP,A)
【文献】特開2004-189163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B62D 6/00
B62D 7/15
B60L 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4輪独立転舵が可能な車両において、ステアリング操作に基づく転舵制御と駆動系の駆動制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
通常走行時とは異なる転舵角によって車両を走行させることが可能な横移動モードへ車両が切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能とし、
前記横移動モード中に、アクセル操作とブレーキ操作の少なくとも一方の操作量に応じて転舵角を調整可能にする、
両制御装置。
【請求項2】
前記御部は、
前記横移動モード中に、ステアリングの舵角を速度指令として取り扱い、該速度指令に基づくフィードバック制御によって前記駆動系を制御する
求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記御部は、
前記横移動モード中に、ステアリングの舵角が大きくなるほど大きな反力をステアリングへ付与させる
求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記御部は、
前記横移動モード中に、ステアリングの舵角を動距離指令として取り扱い、該動距離指令に基づくフィードバック制御によって前記駆動系を制御する
求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記御部は、
前記横移動モード中に、前記移動距離指令に基づく置偏差が大きくなるほど大きな反力をステアリングへ付与させる
求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
4輪独立転舵が可能な車両において、ステアリング操作に基づく転舵制御と駆動系の駆動制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
通常走行時とは異なる転舵角によって車両を走行させることが可能なモードへ車両が切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能とし、
前記モード中に、アクセル操作生じた場合に、車両を停止させる
両制御装置。
【請求項7】
制御装置が実行する、4輪独立転舵が可能な車両において、ステアリング操作に基づく転舵制御と駆動系の駆動制御を行う車両制御方法であって、
通常走行時とは異なる転舵角によって車両を走行させることが可能な横移動モードへ車両が切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能とし、
前記横移動モード中に、アクセル操作とブレーキ操作の少なくとも一方の操作量に応じて転舵角を調整可能にする、
両制御方法。
【請求項8】
制御装置が実行する、4輪独立転舵が可能な車両において、ステアリング操作に基づく転舵制御と駆動系の駆動制御を行う車両制御方法であって、
通常走行時とは異なる転舵角によって車両を走行させることが可能なモードへ車両が切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能とし、
前記モード中に、アクセル操作が生じた場合に、車両を停止させる、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車両制御装置および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4輪独立転舵が可能に設けられ、その場での旋回が可能な旋回モードや、横移動可能な横移動モードといった、通常走行時とは異なる走行モードを有する車両が知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-023199号公報
【文献】特開2016-179739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術は、通常走行時とは異なる走行モードにおいてユーザの直感的な操作を可能にするうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、通常走行時とは異なる走行モードにおいてユーザの直感的な操作を可能にすることができる車両制御装置および車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る車両制御装置は、輪独立転舵が可能な車両において、ステアリング操作に基づく転舵制御と駆動系の駆動制御を行う制御部を備える。前記御部は、通常走行時とは異なる転舵角によって車両を走行させることが可能な横移動モードへ車両が切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能とするまた、前記制御部は、前記横移動モード中に、アクセル操作とブレーキ操作の少なくとも一方の操作量に応じて転舵角を調整可能にする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、通常走行時とは異なる走行モードにおいてユーザの直感的な操作を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その1)である。
図1B図1Bは、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その2)である。
図1C図1Cは、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その3)である。
図1D図1Dは、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その4)である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図3A図3Aは、通常モードとは異なるモードにおける駆動制御部の制御方式を示す図(その1)である。
図3B図3Bは、通常モードとは異なるモードにおける駆動制御部の制御方式を示す図(その2)である。
図4図4は、実施形態に係る車両制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、変形例に係る転舵制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車両制御装置および車両制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
なお、以下では、実施形態に係る車両が、ステアバイワイヤ方式による4輪独立転舵が可能な車両Vであり、実施形態に係る車両制御装置が、かかる車両Vに搭載される車両制御装置10である場合を例に挙げて説明を行う。
【0011】
まず、実施形態に係る車両制御方法の概要について、図1A図1Dを用いて説明する。図1A図1Dは、実施形態に係る車両制御方法の概要説明図(その1)~(その4)である。なお、図1Aおよび図1Bは、比較例に係る車両制御方法の概要を示すものとなっている。
【0012】
比較例に係る車両制御方法では、比較例に係る車両V’が通常モードとは異なるモードである場合に、駆動制御はたとえばアクセル操作によって行われていた。ここで、通常モードは、ステアリング操作によって通常走行時の車輪角による転舵制御が行われ、アクセル操作によって駆動制御が行われつつ、車両V’を制御するモードである。
【0013】
したがって、前述の比較例に係る車両制御方法では、通常モードとは異なるモードでも、駆動制御については通常モードを踏襲している。なお、通常モードとは異なるモードとは、通常走行とは異なる車輪角によって通常とは異なる方向に車両V’を移動させることが可能なモードといえる。
【0014】
具体的には、図1Aに示すように、比較例に係る車両制御方法では、旋回モードである場合に、アクセル操作によって駆動力を制御する駆動制御が行われる。ただし、ステアリング操作に基づく転舵制御は行われない。このため、左旋回モード/右旋回モードへのさらなる切り替えを要するが、旋回方向が直感的に分かりにくいという問題点がある。また、旋回モードにあって左旋回モード/右旋回モードへの切り替えを要するため、操作手順が煩雑である。
【0015】
この点は、横移動モードについても同様である。すなわち、図1Bに示すように、比較例に係る車両制御方法では、横移動モードである場合に、アクセル操作によって駆動力を制御する駆動制御が行われる。ただし、ステアリング操作に基づく転舵制御は行われない。このため、左移動モード/右移動モードへのさらなる切り替えを要するが、移動方向が直感的に分かりにくいという問題点がある。また、横移動モードにあって左移動モード/右移動モードへの切り替えを要するため、操作手順が煩雑である。
【0016】
なお、図示は略するが、他の比較例に係る車両制御方法には、通常モードとは異なるモードの際には、ジョイスティックなど、ステアリングとは異なる操作部品による操作に基づいて転舵制御および駆動制御を行わせるものがある。
【0017】
しかしながら、かかる方法では、異なる操作部品に対する慣れが必要となるうえ、ステアリングと併用されれば操作手順が煩雑となる。
【0018】
そこで、実施形態に係る車両制御方法では、4輪独立転舵が可能な車両Vにおいて、通常モードとは異なるモードである場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能にすることとした。
【0019】
具体的には、図1Cに示すように、実施形態に係る車両制御方法では、車両Vが旋回モードである場合に、ステアリング操作方向によって旋回方向を決定しつつ、併せてステアリング操作の大きさまたは量によって駆動力を制御する駆動制御を行うこととした。
【0020】
また、図1Dに示すように、実施形態に係る車両制御方法では、車両Vが横移動モードである場合に、ステアリング操作方向によって移動方向を決定しつつ、併せてステアリング操作の大きさまたは量によって駆動力を制御する駆動制御を行うこととした。
【0021】
これにより、実施形態に係る車両制御方法では、アクセル操作で旋回モード/横移動モードの駆動制御を行う場合に比べて、車両Vの進行方向を直感的で分かりやすくすることができる。
【0022】
また、実施形態に係る車両制御方法では、左旋回モードおよび右旋回モード間のモード切り替え、ならびに、左移動モードおよび右移動モード間のモード切り替え操作が不要となるので、操作手順を容易にすることができる。
【0023】
また、実施形態に係る車両制御方法では、ジョイスティックのような、ステアリングと異なる操作部品が不要である。したがって、実施形態に係る車両制御方法によれば、通常走行時とは異なる走行モードにおいてユーザの直感的な操作を可能にすることができる。
【0024】
なお、実施形態に係る車両制御方法では、ステアバイワイヤシステムの反力アクチュエータを用いて、ステアリング操作の操作量に応じた反力を付与することができる。これにより、過剰なステアリング操作による車両Vの過剰な挙動を防止することができる。したがって、実施形態に係る車両制御方法では、通常走行時とは異なる走行モードにおける安全性を高めるのにも資することができる。かかる反力の付与については、図2以降を用いた説明で後述する。
【0025】
以下、実施形態に係る車両制御方法を適用した車両制御システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0026】
図2は、実施形態に係る車両制御システム1の構成例を示すブロック図である。なお、図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0027】
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0028】
また、図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0029】
図2に示すように、実施形態に係る車両制御システム1は、操作部2と、アクセルセンサ3と、ブレーキセンサ4と、ステアリングセンサ5と、転舵アクチュエータ6と、IWM7と、反力アクチュエータ8と、車両制御装置10とを含む。
【0030】
操作部2は、通常モード、旋回モードおよび横移動モードを切り替えるユーザの操作を受け付ける操作部品である。アクセルセンサ3は、ユーザによるアクセルペダルの操作量に応じた操作信号を検出するセンサである。ブレーキセンサ4は、ユーザによるブレーキペダルの操作量に応じた操作信号を検出するセンサである。
【0031】
ステアリングセンサ5は、ユーザによるステアリングの操作量に応じた操作信号を検出するセンサである。転舵アクチュエータ6は、ステアバイワイヤシステムにおいて各車輪を転舵させるアクチュエータである。
【0032】
IWM7は、各車輪に搭載されたインホイールモータであり、車両Vの駆動系における駆動部の一例に相当する。
【0033】
反力アクチュエータ8は、ステアバイワイヤシステムにおいてステアリングへ反力を付与するアクチュエータである。
【0034】
車両制御装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。記憶部11は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現され、図2の例では、モード情報11aと、制御情報11bとを記憶する。
【0035】
モード情報11aは、車両Vの各モードに関する情報であり、たとえば各モードへの切り替え時における各種の設定パラメータ等を含む。制御情報11bは、車両Vの各モードにおける車両制御に関する情報であり、たとえば後述する駆動制御における制御方式ごとの制御パラメータ等を含む。
【0036】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、車両制御装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0037】
制御部12は、モード切替部12aと、転舵制御部12bと、駆動制御部12cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0038】
モード切替部12aは、操作部2からの操作信号に基づき、通常モード/旋回モード/横移動モードの間で、車両Vをユーザの指定する走行モードへ切り替える。
【0039】
モード切替部12aは、たとえば通常モードへの切り替えが指定された場合、アクセルセンサ3およびブレーキセンサ4からの操作信号を駆動制御部12cへ入力させる。また、ステアリングセンサ5からの操作信号を転舵制御部12bへ入力させる。
【0040】
また、モード切替部12aは、たとえば旋回モードまたは横移動モードへの切り替えが指定された場合、ステアリングセンサ5からの操作信号を転舵制御部12bおよび駆動制御部12cへ入力させる。
【0041】
転舵制御部12bは、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づいて転舵アクチュエータ6を制御することによって、車両Vの転舵制御を行う。転舵制御部12bは、通常モード時には、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づき、通常走行時の車輪角による転舵制御を行う。
【0042】
また、転舵制御部12bは、旋回モード時には、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づき、その場で車両Vを左旋回または右旋回させる、通常走行時とは異なる車輪角となるように転舵制御を行う。
【0043】
また、転舵制御部12bは、横移動モード時には、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づき、車両Vを左移動または右移動させる、通常走行時とは異なる車輪角となるように転舵制御を行う。
【0044】
駆動制御部12cは、通常モード時には、アクセルセンサ3およびブレーキセンサ4からの操作信号に基づいてIWM7の駆動力を制御する駆動制御を行う。
【0045】
また、駆動制御部12cは、旋回モード時または横移動モード時には、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づいてIWM7の駆動力を制御する駆動制御を行う。また、駆動制御部12cは、旋回モード時または横移動モード時には、ステアリングセンサ5からの操作信号に基づいて、舵角に応じた反力をステアリングに付与するように反力アクチュエータ8を制御する。
【0046】
なお、駆動制御部12cは、旋回モード時または横移動モード時には、たとえば2つの制御方式でIWM7の駆動力を制御する駆動制御を行うことができる。
【0047】
かかる2つの制御方式について、図3Aおよび図3Bを用いて説明する。図3Aおよび図3Bは、通常モードとは異なるモードにおける駆動制御部12cの制御方式を示す図(その1)および(その2)である。
【0048】
図3Aに示すように、駆動制御部12cは、通常モードとは異なる旋回モード時または横移動モード時において、「速度フィードバック制御方式」よりIWM7を駆動制御することができる。
【0049】
同図に示すように、駆動制御部12cは、「速度フィードバック制御方式」では、ステアリングの舵角を速度指令として取り扱い、舵角に応じた速度で車両Vが旋回または横移動するように速度フィードバック制御を行う。
【0050】
このとき、駆動制御部12cは、舵角が大きくなる、すなわち速度が早くなるほどステアリング付与される反力が大きくなるように、反力アクチュエータ8を制御する。
【0051】
また、図3Bに示すように、駆動制御部12cは、通常モードとは異なる旋回モード時または横移動モード時において、「角度/位置フィードバック制御方式」よりIWM7を駆動制御することができる。
【0052】
同図に示すように、駆動制御部12cは、「角度/位置フィードバック制御方式」では、ステアリングの舵角を回転角指令または移動距離指令として取り扱い、角度/位置フィードバック制御を行う。
【0053】
このとき、駆動制御部12cは、角度偏差または位置偏差が大きいほどステアリングに付与される反力が大きくなるように、反力アクチュエータ8を制御する。
【0054】
こうした制御方式を用いることにより、過剰なステアリング操作による車両Vの過剰な挙動を防止することができる。
【0055】
図2の説明に戻る。なお、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中にアクセル操作またはブレーキ操作が行われた場合、車両Vを停止させることができる。
【0056】
次に、実施形態に係る車両制御装置10が実行する処理手順について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る車両制御装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図4には、ループする処理手順を示しているが、モードが切り替えられた場合、かかるループ処理にモードが切り替えられたことを示す割り込み信号が入力されるものとする。また、図4には、駆動制御に関する処理手順を示しており、転舵制御についてはあえて省略している。
【0057】
図4に示すように、まずモードが判定される(ステップS101)。ここで、旋回モードまたは横移動モードである場合(ステップS101,旋回/横移動)、駆動制御部12cは、ステアリング操作に基づく駆動制御を行う(ステップS102)。
【0058】
一方、通常モードである場合(ステップS101,通常)、駆動制御部12cは、アクセル/ブレーキ操作に基づく駆動制御を行う(ステップS103)。
【0059】
ステアリング操作に基づく駆動制御が行われる場合、制御方式が判定される(ステップS104)。ここで、速度F/B(フィードバック)制御である場合(ステップS104,Yes)、駆動制御部12cは、ステアリングの舵角を速度指令として取り扱い(ステップS105)、速度フィードバック制御による駆動制御を行う。また、駆動制御部12cは、舵角に応じて反力を付与させる(ステップS106)。
【0060】
一方、速度F/B(フィードバック)制御でない場合(ステップS104,No)、駆動制御部12cは、ステアリングの舵角を回転角指令または移動距離指令として取り扱い(ステップS107)、角度/位置フィードバック制御による駆動制御を行う。また、駆動制御部12cは、角度偏差または位置偏差に応じて反力を付与させる(ステップS108)。
【0061】
そして、旋回モード中または横移動モード中にも、アクセル操作またはブレーキ操作が行われたか否かが判定される(ステップS109)。ここで、アクセル操作またはブレーキ操作が行われた場合(ステップS109,Yes)、駆動制御部12cは、車両Vを停止させ(ステップS110)、ステップS101からの処理を繰り返す。アクセル操作またはブレーキ操作が行われない場合(ステップS109,No)、そのままステップS101からの処理を繰り返す。
【0062】
なお、これまでは、通常モードとは異なる走行モード時に、ユーザの直感的な操作を可能とするために、ステアリング操作によって駆動制御を可能とする場合について説明してきたが、直感的な操作に資するのであれば、アクセル操作またはブレーキ操作によってたとえば転舵制御を可能にしてもよい。
【0063】
かかる変形例について図5を用いて説明する。図5は、変形例に係る転舵制御の説明図である。
【0064】
図5に示すように、たとえば横移動モード時において、アクセル操作により、進行方向を前(または後ろ)へ寄せるように転舵制御が行われてもよい。かかる場合、前述のモード切替部12aは、横移動モードへの切り替え時には、アクセルセンサ3からの操作信号を転舵制御部12bへ入力させる。
【0065】
そして、転舵制御部12bは、たとえば図5に示すように横移動モードにおいてステアリング操作により車両Vの右移動が指定されるとともに、アクセル操作がなされたならば、かかるアクセル操作の操作量に応じて転舵角を調整する。
【0066】
これにより、たとえば縦列駐車時の微調整を、ユーザの直感的な操作により行わせることが可能となる。なお、電動式ブレーキであれば、ブレーキ操作もかかる転舵角の調整に利用可能である。ただし、安全性の面から非常停止機能を備えることが必要と考えれば、ブレーキ操作をかかる非常停止機能に割り当てることが実用的ではある。
【0067】
上述してきたように、実施形態に係る車両制御装置10は、転舵制御部12bと、駆動制御部12cとを備える。転舵制御部12bは、4輪独立転舵が可能な車両Vにおいて、ステアリング操作に基づく転舵制御を行う。駆動制御部12cは、通常走行時とは異なる転舵角によって車両Vを走行させることが可能なモードへ車両Vが切り替えられた場合に、ステアリング操作に基づいて駆動系を制御可能に設けられる。
【0068】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、通常走行時とは異なる走行モード、すなわち旋回モードや横移動モードにおいてユーザの直感的な操作を可能にすることができる。
【0069】
また、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中に、ステアリングの舵角を速度指令として取り扱い、かかる速度指令に基づくフィードバック制御によって駆動系を制御する。
【0070】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、旋回モード中または横移動モード中に、ステアリングの舵角に応じた速度で車両Vを旋回または横移動させることができる。すなわち、ユーザの直感的な操作に応じた速度で車両Vを旋回または横移動させることができる。
【0071】
また、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中に、ステアリングの舵角が大きくなるほど大きな反力をステアリングへ付与させる。
【0072】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、過剰なステアリング操作による車両Vの過剰な挙動を防止することができる。また、これにより、通常走行時とは異なる走行モードにおける安全性を高めるのにも資することができる。
【0073】
また、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中に、ステアリングの舵角を回転角指令または移動距離指令として取り扱い、かかる回転角指令または移動距離指令に基づくフィードバック制御によって駆動系を制御する。
【0074】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、旋回モード中または横移動モード中に、ステアリングの舵角に応じた回転角または移動距離で車両Vを旋回または横移動させることができる。すなわち、ユーザの直感的な操作に応じた回転角または移動距離で車両Vを旋回または横移動させることができる。
【0075】
また、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中に、かかる回転角指令または移動距離指令に基づく角度偏差または位置偏差が大きくなるほど大きな反力をステアリングへ付与させる。
【0076】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、過剰なステアリング操作による車両Vの過剰な挙動を防止することができる。また、これにより、通常走行時とは異なる走行モードにおける安全性を高めるのにも資することができる。
【0077】
また、駆動制御部12cは、旋回モード中または横移動モード中に、アクセル操作またはブレーキ操作が生じた場合に、車両Vを停止させる。
【0078】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、旋回モード中または横移動モード中において、アクセル操作またはブレーキ操作による非常停止機能を提供することができる。
【0079】
また、転舵制御部12bは、横移動モード中に、アクセル操作またはブレーキ操作が生じた場合に、かかるアクセル操作またはブレーキ操作の操作量に応じて転舵角を調整する。
【0080】
したがって、実施形態に係る車両制御装置10によれば、たとえば横移動モードを用いた縦列駐車時の微調整を、ユーザの直感的な操作により行わせることが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、IWM7を駆動部の一例としたが、これに限られるものではなく、1つのモータであってもよい。また、モータではなく、エンジンであってもよい。
【0082】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 車両制御システム
2 操作部
3 アクセルセンサ
4 ブレーキセンサ
5 ステアリングセンサ
6 転舵アクチュエータ
7 IWM
8 反力アクチュエータ
10 車両制御装置
11 記憶部
11a モード情報
11b 制御情報
12 制御部
12a モード切替部
12b 転舵制御部
12c 駆動制御部
V 車両
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5