(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】搬送ベルトの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65G 15/42 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B65G15/42
(21)【出願番号】P 2020031253
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山浦 考太郎
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特許第4912509(JP,B1)
【文献】特開2011-255984(JP,A)
【文献】特開平10-248336(JP,A)
【文献】特開2005-272047(JP,A)
【文献】特開2022-190821(JP,A)
【文献】特開2013-154969(JP,A)
【文献】特許第3859506(JP,B2)
【文献】特開2006-008378(JP,A)
【文献】国際公開第2006/030167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/30-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が載置される表面が樹脂製の搬送ベルトであって、前記表面には平面視における面積が0.07~1.8mm
2且つ高さが0.04~2.0mmの突起が0.1~2.0mmの間隔で複数備えられている搬送ベルトの製造方法であって、
前記搬送ベルトは、該搬送ベルトの長さ方向に沿って延びる経糸と該搬送ベルトの幅方向に沿って延びる緯糸とを備えた帆布と、該帆布に積層された樹脂層とを有し、前記表面が該樹脂層によって構成されており、
前記緯糸がモノフィラメントであり、
前記帆布
の片面に前記樹脂層を積層することと、前記突起と逆形状の凹部が外周面に形成されたローラを前記樹脂層に圧接して前記突起を形成することとを備え、
前記ローラと前記樹脂層とをベルト長さ方向に相対移動させて前記樹脂層に前記突起を連続して形成し、
前記緯糸の中心間距離が前記搬送ベルトの長さ方向における前記突起の中心間距離よりも短くなるように前記突起を形成する、搬送ベルトの製造方法。
【請求項2】
前記表面が、ポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂により形成されている、請求項1に記載の搬送ベルトの製造方法。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂が、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂である、請求項2に記載の搬送ベルトの製造方法。
【請求項4】
前記搬送物が、米飯又はチョコレートである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトに関し、特に、食品搬送用の搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物が載置される表面が樹脂製の搬送ベルトが使用されている。
【0003】
かかる搬送ベルトは、その用途によって、前記搬送物が前記表面に付着し易いものである場合がある。例えば、食品の製造ラインで使用される搬送ベルトでは、米飯やパン生地などの比較的粘着性が高い食品又はその材料の前記表面への付着が問題になる場合がある。
【0004】
上記のような搬送物が前記表面に付着しにくくなるように、前記樹脂の表面に凹凸形状が形成された搬送ベルトが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の搬送ベルトは、前記表面への搬送物の付着の抑制が不十分であるという問題点がある。具体的には、前記表面が凹凸形状であるため、前記搬送物が表面の凹んだ部分に入り込んでしまい、前記搬送物が前記表面から剥がれにくくなり、また、前記搬送物の一部が前記表面に残ってしまうといった問題点がある。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、搬送物の付着が抑制された搬送ベルトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送ベルトは、
搬送物が載置される表面が樹脂製の搬送ベルトであって、
前記表面には、平面視における面積が0.07~1.8mm2且つ高さが0.04~2.0mmの突起が0.1~2.0mmの間隔で複数備えられている。
【0009】
斯かる構成によれば、搬送物が載置される表面に上記のような突起が複数備えられていることによって、搬送物の表面への付着が抑制される。
【0010】
また、本発明に係る搬送ベルトは、好ましくは、
前記表面が、ポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂により形成されている。
【0011】
斯かる構成によれば、搬送ベルトの表面が、樹脂のなかでも比較的疎水性の高いポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂により形成されていることによって、水分を含んで粘着性を有するような搬送物の表面への付着が抑制される。
【0012】
また、本発明に係る搬送ベルトは、好ましくは、
前記ポリウレタン樹脂が、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂である。
【0013】
斯かる構成によれば、前記ポリウレタン樹脂が、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂であることによって、水分を含んで粘着性を有する搬送物の表面への付着がより一層抑制される。
【0014】
また、本発明に係る搬送ベルトは、好ましくは、
前記搬送物が、米飯又はチョコレートである。
【0015】
斯かる構成によれば、搬送物が米飯又はチョコレートのように比較的粘着性が高いものである場合であっても、これらの搬送物の表面への付着が抑制されたものとなる。
【発明の効果】
【0016】
以上の通り、本発明によれば、搬送物の付着が抑制された搬送ベルトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る搬送ベルトがローラに巻回された状態を示す図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態に係る搬送ベルトの平面図である。
【
図11】
図11は、さらに別の実施形態に係る搬送ベルトの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、一実施形態に係る搬送ベルトについて説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の搬送ベルト1は、無端状に形成されており、ローラRに巻回され、ローラRの回転に伴って走行するように構成されている。搬送ベルト1は、芯体をなす帆布10と、帆布10に積層された樹脂層20とを備えており、帆布10が内側に且つ樹脂層20が外側に配されるようにローラRに巻回されて装着される。すなわち、帆布10が搬送ベルト1の裏面11を構成しており、樹脂層20が搬送ベルト1の表面21を構成している。搬送ベルト1は、樹脂層20の表面21に載置した搬送物Cを長さ方向に沿って搬送可能となっている。また、
図2に示されるように、搬送ベルト1は、樹脂層20の表面21に、後述するような突起22を複数備えており、それによって、樹脂層20の表面21への搬送物Cの付着を抑制するように構成されている。以下では、搬送ベルト1に関し、搬送物Cの搬送方向を長さ方向又は縦方向、搬送物Cの搬送方向に直交する方向を幅方向又は横方向と称することがある。
【0020】
搬送ベルト1は、搬送物Cとして、米飯やパン生地のように水分を含んで粘着性を有する食品又はその材料、チョコレートや飴などの粘着性を有する食品又はその材料などに対して好適に用いられ得る。
【0021】
図3に示されるように、帆布10は、合成繊維で形成された糸によって構成された織物である。より具体的には、帆布10は、長さ方向に沿って延びる経糸と、幅方向に沿って延びる緯糸とが平織りされることによって構成された織物である。前記経糸は、スパン糸又はマルチフィラメントであることが好ましい。また、前記緯糸は、モノフィラメントであることが好ましい。これによって、搬送ベルト1は、長さ方向において適度な柔軟性が付与され、ローラRに巻回させ易いものとなり、また、走行性能が向上する。なお、後述する別の実施形態に係る搬送ベルト1も、
図9及び
図12に示されるように、本実施形態と同様の帆布10を有している。
【0022】
搬送ベルト1の強度及び柔軟性がバランス良く付与されるように、前記経糸の繊度は500~2000dtexであり、前記緯糸の繊度は500~2500dtexであることが好ましく、前記緯糸の繊度の方が前記経糸の繊度よりも大きい方が好ましい。また、帆布10の厚みは、0.4~0.9mmであることが好ましく、0.5~0.8mmであることがより好ましい。なお、糸の繊度及び帆布10の厚みは、JIS L 1096:2010に規定された試験方法により測定された測定値が採用されるものとする。
【0023】
前記糸を形成する合成繊維としては、搬送ベルト1に抗張力を付与するために、ポリエステル繊維、ナイロン繊維及びアラミド繊維などが好ましい。
【0024】
樹脂層20は、接着剤によって帆布10に接着されている。該接着剤としては、ウレタン系接着剤が挙げられ、なかでもウレタンとイソシアネートとが組み合わされたものが好ましい。
【0025】
図4~
図7に示されるように、樹脂層20の表面21は、搬送物Cが載置される載置面であり、表面21への搬送物Cの付着を抑制するために、表面21には同一形状の複数の突起22が独立するように備えられている。本実施形態では、平面視において、複数の突起22は、互いに接することなく一定の間隔を空けて均一に配されている。
【0026】
より具体的には、
図2に示されるように、複数の突起22は、縦横に一定間隔となるように配列されている。複数の突起22には、長さ方向に並ぶ1つの列を構成する一群の突起22と、該一つの列と並行する他の列を構成する一群の突起22とが含まれている。本実施形態では、複数の突起22が、10以上もの列(例えば、100以上の列)を構成するように長さ方向に沿って並んで配列されており、隣り合う列の間の間隔が一定となるように配されている。また、本実施形態では、奇数列の突起22は、幅方向にも一列に並ぶように配されており、各突起22を縦横に結ぶ直線が碁盤目状となるように配されている。また、偶数列の突起22も、幅方向に一列に並ぶように配されており、各突起22を縦横に結ぶ直線が碁盤目状となるように配されている。一方で、奇数列の突起22と偶数列の突起22とは、長さ方向における形成位置がずれており、幅方向に向けて千鳥状となるように配されている。
【0027】
本実施形態では、列を構成する突起22が、長さ方向に並行するように配列されているが、該列が長さ方向に対して角度を設けて形成されていてもよく、例えば、0°を超え45°以下の角度を設けて形成されていてもよい。
【0028】
さらに言い換えれば、樹脂層20の表面21には、搬送物Cの搬送方向に並行するように平らに形成された同一平面上の平面領域211が形成されており、平面領域211の表面を基端として垂直方向に向かって突き出すように突起22が複数備えられている。以下では、平面領域211と突起22との境界を突起22の基端縁と呼ぶことがある。また、平面領域211の表面を基準とした突起22の先端までの高さを、単に突起22の高さと呼ぶことがある。
【0029】
本実施形態の突起22は、例えば、突起22と逆形状の凹部が外周面に形成されたローラを使って形成することができる。
本実施形態の突起22は、例えば、樹脂層20を構成する樹脂が塑性変形する温度・圧力条件下において一旦平坦状に形成した樹脂層(平坦樹脂層)の表面に前記ローラを圧接させるようにして形成させることができる。
突起22は、例えば、前記ローラを軸方向がベルト長さ方向と直交するように配置して平坦樹脂層の表面に圧接させ、該ローラと前記平坦樹脂層とをベルト長さ方向に相対移動させることでベルト表面に連続的に形成させることができる。
このとき、平坦樹脂層の表面に加わる圧力が局所的に不足すると突起22に欠けが生じる原因ともなり得る。
長さ方向における前記緯糸どうしの間の隙間に突起22が位置してしまうと当該突起22を形成する際に圧力不足となり易いため、前記隙間は長さ方向における突起22の長さよりも小さいことが好ましい。
前記隙間は、前記突起の長さの0.9倍以下であることがより好ましく、0.8倍以下であることがさらに好ましい。
前記緯糸の中心間距離は、ベルト長さ方向における前記突起の中心間距離よりも短いことが好ましく、前記突起の中心間距離の0.9倍以下であることがより好ましく、0.8倍以下であることがさらに好ましい。
【0030】
本実施形態の突起22は、球欠状に形成されており、平面視においては円形状となっている。搬送物Cの付着抑制の観点から、突起22は、基端から先端に向かって丸みを帯びていることが好ましい。この他、突起22は、平面視において楕円形状や矩形状であってもよいが、搬送物Cの付着抑制の観点から、平面視において基端縁が丸みを帯びていることが好ましく、例えば、矩形状の場合には四隅が丸みを帯びていることが好ましい。
【0031】
突起22は、平面視において基端縁が区画する面積が、0.07~1.8mm2であることが好ましく、0.19~0.28mm2であることがより好ましい。突起22が球欠状である場合、平面視において基端縁が区画する円の直径は、0.3~1.5mmであることが好ましく、0.5~0.6mmであることがより好ましい。
【0032】
突起22の高さは、0.04~0.2mmであることが好ましく、0.07~0.2mmであることがより好ましい。
【0033】
突起22が基端から先端に向かって丸みを帯びている場合、側面視における曲率半径は、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~1.0mmであることがより好ましい。
【0034】
隣り合う突起22の間隔は、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~1.0mmであることがより好ましい。なお、該間隔は、平面視における隣り合う突起22の基端縁の間隔であって、それぞれの突起22の基端縁のうちの最も近接している部分の間隔を意味するものとする。
【0035】
平面視における突起22の形状が円形状である場合、隣り合う突起22の中心間距離は、0.4~2.0mmであることが好ましく、0.4~1.5mmであることがより好ましく、0.8~1.5mmであることがさらに好ましい。
【0036】
なお、突起22の高さ及び曲率半径、並びに、隣り合う突起22の中心間距離及び間隔は、顕微鏡などで拡大観察された表面21において任意に選択される20個の突起の測定値の算術平均値が採用されるものとする。
【0037】
平面視において、上記のような形状及び大きさの突起22が上記のような配列で形成された領域の面積が、樹脂層20の表面21における全領域の面積に対して、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
【0038】
樹脂層20の表面21に上記のような突起22が形成されていることによって、搬送物Cの表面21への付着が抑制されたものとなる。より具体的には、樹脂層20の表面21に、上記のような面積の突起22が上記のような間隔(密度)で複数形成されていることによって、表面21への搬送物Cの接触面積が抑えられた状態で搬送物Cの荷重が各突起22に分散されることによって、搬送物Cの表面21への付着が抑制されるとともに、複数の突起22が上記のような高さで形成されることによって、搬送物Cが突起22に引っかかりにくくなるため、搬送物Cの表面21への付着が抑制される。
【0039】
本実施形態では、突起22は、球欠状(平面視において円形)に形成されており、平面視における円の直径が0.6mm(すなわち、基端縁が区画する面積は0.28mm2)である。また、突起22は、高さが0.07mmであり、曲率半径が0.68mmである。また、突起22の間隔は、0.18mmである。
【0040】
樹脂層20は、水分を含んだ食品などの表面21への付着が抑制されるという観点から、疎水性の高い樹脂により形成されていることが好ましい。前記樹脂としては、ポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂が好ましい。また、前記樹脂全体に占めるポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95%質量以上であることがより好ましい。
【0041】
ポリウレタン樹脂としては、熱可塑性のポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、カプロラクトン系ポリウレタン樹脂などが挙げられるが、表面21への搬送物Cの付着を抑制するのに優れるという観点から、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0042】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-オクテン共重合体などが挙げられるが、表面21への搬送物Cの付着を抑制するのに優れるという観点から、ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0043】
樹脂層20は、搬送物Cの付着がさらに抑制されるように、グリセリン脂肪酸エステルなどの滑剤を含有していてもよい。
【0044】
また、樹脂層20は、上記の他、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、抗菌剤、防カビ剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0045】
樹脂層20の厚みは、0.2~1.5mmであることが好ましく、0.3~1.0mmであることがより好ましい。なお、樹脂層20の厚みは、搬送ベルト1から切り出された20個の試験片についての厚みの測定値の算術平均値が採用されるものとする。試験片の厚みの測定方法としては、顕微鏡などにより試験片の側面の観察を行い、任意の位置20箇所の厚みを測定し、その算術平均値を当該試験片の厚みとする。なお、樹脂層の厚みの測定においては、帆布10との接着面を基準とし、且つ、突起22の高さを含めるものとする。よって、前記任意の位置は、必然的に突起22が形成された位置となる。
【0046】
また、上記帆布10及び樹脂層20で構成された搬送ベルト1の厚みは、0.5~2.0mmであることが好ましく、0.5~1.5mmであることがより好ましい。なお、搬送ベルト1の厚みは、搬送ベルト1から切り出された20個の試験片についての厚みの測定値の算術平均値が採用されるものとする。試験片の厚みの測定方法としては、顕微鏡などにより試験片の側面の観察を行い、任意20箇所の厚みを測定し、その算術平均値を当該試験片の厚みとする。なお、厚みの測定には、突起22を含めるものとする。
【0047】
また、搬送ベルト1の幅方向における寸法は、通常10~2000mmであり、50~1200mmであることが好ましい。
【0048】
以上のように、例示として上記のような実施形態を示したが、本発明に係る搬送ベルトは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る搬送ベルトは、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係る搬送ベルトは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、樹脂層20の表面21に同一形状の突起22が複数備えられた形態を示したが、表面21には2種以上の形状の突起が複数備えられていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、複数の突起22が一定の間隔を空けて均一に配された形態を示したが、表面21の一部において突起22の間隔が異なっていてもよい。例えば、幅方向中央部における突起22の間隔が比較的小さく、且つ、幅方向両側端部における突起22の間隔が比較的大きくなるように突起22が形成されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、複数の突起22が、表面21全体にわたって形成された態様を示したが、搬送ベルト1の用途に応じて形成位置が変更されてもよく、例えば、複数の突起22は、搬送物Cの幅寸法に対応するように、幅方向中央部にのみ形成されていてもよい。
【0052】
また、上記では、
図2に示されるような大きさの突起22について例示したが、この他、
図8及び
図10に示されるように、突起22は、平面視における円の直径が0.3mm(すなわち、基端縁が区画する面積は0.07mm
2)であり、高さが0.15mmであり、曲率半径が0.15mmであってもよい。また、この場合、突起22の間隔は、1.7mmであってもよい。
この他にも、
図11及び
図13に示されるように、突起22は、平面視における円の直径が0.5mm(すなわち、基端縁が区画する面積は0.20mm
2)であり、高さが0.20mmであり、曲率半径が0.26mmであってもよい。また、この場合、突起22の間隔は、1.0mmであってもよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0054】
[実施例1]
芯体としての帆布(泉株式会社製、ESS-50M、経糸:ポリエステルスパン糸、緯糸:ポリエステルモノフィラメント、厚み0.68mm、幅寸法1800mm)に、接着剤としての熱硬化性ウレタン樹脂を含む溶液を含浸させることによってプライマー処理を行った。ポリエーテル系ポリウレタン樹脂(BASFジャパン株式会社製、エラストランET890VM19PA5ホワイトSU01)をTダイにより押し出しつつ(加熱温度200℃)、プライマー処理された帆布の一表面全体にわたって積層し、帆布に樹脂層を形成した。この時、下記表1の形状及び大きさの突起を形成するためのローラを用意し、帆布に積層された樹脂を圧接することで、樹脂層の表面全体にわたって複数の突起を形成した。なお、樹脂層の厚みは0.3mmであり、搬送ベルトの厚みは0.9mmであった。
【0055】
[比較例1]
樹脂層の表面に複数の突起を形成せず、樹脂層の表面全体を平滑なものとした以外は、実施例1と同様にして搬送ベルトを製造した。
【0056】
[評価方法]
粘着テープ(カンボウプラス株式会社製ぺタックス)を搬送ベルトに貼り付け、上からローラを10回以上押し当てて接着させた。万能試験機を用いて、180°剥離試験を行い、粘着テープが搬送ベルトから剥離する時の力を測定した。これを粘着テープの幅で除して粘着テープ剥離力を算出した。
【0057】
表1の結果から、実施例の搬送ベルトは、表面に、わずか0.07mmの高さの突起を複数備えていることによって、搬送物の付着性が大きく改善することが認められた。先行技術として上記した、表面に凹凸形状が形成された搬送ベルトの凹凸部分の高さが0.4mmであることからすると、この結果は予想外のものと考えられる。また、実施例の搬送ベルトは、突起の高さがわずか0.07mmであるため、樹脂層の厚みを小さく設定可能であり、原材料費を低減することが可能である。
【0058】
【符号の説明】
【0059】
1:搬送ベルト、
10:芯体、11:裏面、
20:樹脂層、21:表面、22:突起、211:平面領域、
R:ローラ、C:搬送物