(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】液面表示装置及び変圧器の端子箱
(51)【国際特許分類】
G01F 23/42 20060101AFI20240424BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240424BHJP
H01F 27/10 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G01F23/42
H01F30/10 S
H01F27/10
(21)【出願番号】P 2020042988
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔大
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205275(JP,A)
【文献】特開平05-295642(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0018071(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留された液槽内の前記液体の液面を検出する検出部と、
一端側が前記検出部に接続され該検出部の検出液面に応じて移動変位するコントロールケーブルと、
前記コントロールケーブルの他端側が接続され該コントロールケーブルの移動変位量に応じて前記液面の高さ位置を表示する表示部とを備え、
前記コントロールケーブルは、一端側を構成する検出部側ケーブルと、他端側を構成する表示部側ケーブルとに分割されていると共に、それらが結合部において切り離し可能に連結されて
おり、
前記結合部は、前記液槽の外部で露出し且つ前記表示部の外部で露出するように、前記検出部側ケーブル及び前記表示部側ケーブルの夫々のケーブル長が設定されるとともに、該検出部側ケーブル及び該表示部側ケーブルの夫々を覆う保護用のアウターケーブルからも露出する形態で設けられている液面表示装置。
【請求項2】
前記結合部は、前記検出部側ケーブルの接続端部に膨らみ形状に設けられた第1のノブ部と、前記表示部側ケーブルの接続端部に膨らみ形状に設けられた第2のノブ部とを、抱込部材により一体的に保持する構成とされている請求項1記載の液面表示装置。
【請求項3】
液槽内に冷却用の液体と共に変圧器本体を収納して構成される変圧器に設けられる端子箱であって、
請求項1又は2記載の液面表示装置の表示部を備えている変圧器の端子箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液面表示装置及び変圧器の端子箱に関する。
【背景技術】
【0002】
液冷式電気機器、例えば油入変圧器においては、変圧器本体を、タンク内に絶縁油や液体シリコーン等の冷却液と共に収納し、上部にコンサベータを設けて構成されるものが知られている。このような油入変圧器は、設置時即ち最初の注液時や保守の際に、タンクやコンサベータといった冷却液を貯留する液槽の外部から冷却液の残存量を確認できることが必要である。この場合、大型の油入変圧器にあっては、冷却液の液面も高い位置にくるため、作業者が液槽内部の液面を直接視認することが困難な事情がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、油入変圧器において、冷却液の液面位置をその液面に浮く浮き子の上下位置の変動として検出する検出部を設け、その検出部の浮き子の位置を金属ワイヤからなるコントロールケーブルを介していわば遠隔に伝達し、表示器に表示針の変動として表示させるようにした液面表示装置が考えられている。これによれば、表示器を、検出部から離間した位置である変圧器の外壁部、つまり作業者が視認容易な低い位置に設けることができ、油面の確認を容易に行うことができる。また、コントロールケーブルを介して物理的に動作するので、電源のトラブル時等でも使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような比較的大形の油入変圧器では、変圧器の外壁部に端子箱を設けることが行われており、この端子箱内に、上記した油面計の表示部を、温度計、圧力計といった他の計器類と共に収納することが考えられている。これにより、計器類を集約して設置でき、防滴、防風、防雨性等を高めることができる。ところが、上記のような、検出部と表示器とをコントロールケーブルで繋げた構成のものでは、表示器を端子箱内に収納するにあたって、コントロールケーブルを一旦切離し、また接続するといった作業を要するものとなる。そのため、液面表示装置としての設置作業の困難性が予測される。
【0006】
そこで、表示部を検出部から離間した位置に設けることにより液槽内の液面の確認を容易に行うことができるものであって、表示部の設置作業の簡単化を図ることができる液面表示装置、及び、変圧器の端子箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る液面表示装置は、液体が貯留された液槽内の前記液体の液面を検出する検出部と、一端側が前記検出部に接続され該検出部の検出液面に応じて移動変位するコントロールケーブルと、前記コントロールケーブルの他端側が接続され該コントロールケーブルの移動変位量に応じて前記液面の高さ位置を表示する表示部とを備え、前記コントロールケーブルは、一端側を構成する検出部側ケーブルと、他端側を構成する表示部側ケーブルとに分割されていると共に、それらが結合部において切り離し可能に連結されており、前記結合部は、前記液槽の外部で露出し且つ前記表示部の外部で露出するように、前記検出部側ケーブル及び前記表示部側ケーブルの夫々のケーブル長が設定されるとともに、該検出部側ケーブル及び該表示部側ケーブルの夫々を覆う保護用のアウターケーブルからも露出する形態で設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示すもので、油入絶縁変圧器の全体の外観を概略的に示す斜視図
【
図6】連結状態における結合部の構成を概略的に示す図
【
図7】切り離し状態における結合部の構成を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、高電圧受配電設備用の油入絶縁変圧器に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、変圧器は、液槽としてのコンサベータを有したものとされている。
図1は、本実施形態に係る変圧器としての油入絶縁変圧器1(以下単に「変圧器1」という)の全体構成を示しており、まず、この変圧器1の概略構成について簡単に述べる。尚、本実施形態の説明で方向をいう場合には、本体タンクの長手方向を前後方向、放熱器に端子箱が取付けられている側を前面側とする。
【0010】
変圧器1は、変圧器本体(図示せず)を収容する本体タンク2と、この本体タンク2の図で左右の側部(右側のみ図示)に接続される複数個のユニット状の放熱器3と、本体タンク2の上部に設けられた液槽としてのコンサベータ4とを備えている。図示はしないが、前記変圧器本体は、鉄心に、例えば3個のモールドコイルを装着してなる周知構成を備えている。前記本体タンク2は、図で前後方向に長い矩形箱状をなし、内部には、前記変圧器本体全体が浸されるように、液体としての例えば鉱油からなる絶縁油M(
図4参照)が充填されている。変圧器本体が絶縁油Mにより浸されることにより、絶縁及び冷却が図られる。このとき、本体タンク2の上部とコンサベータ4の底部との間は、パイプ5により接続され、絶縁油Mの流通が図られる。
【0011】
前記放熱器3は、前記本体タンク2内の絶縁油を冷却するためのもので、熱伝導性の良い金属から、全体として、縦長の矩形ブロック状に構成されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この放熱器3は、いわゆるパネル式の放熱器が採用され、本体タンク2と連通する上部、下部のヘッダ間に、複数枚の薄板中空状の放熱パネルを並べて配置して構成されている。これにて、放熱器3においては、本体タンク2内で暖められた絶縁油Mが、上部ヘッダから各放熱パネル内に流入し、放熱パネル内を下降しながら外部との間で熱交換されて冷却され、下部ヘッダを通って本体タンク2内に戻されるといった循環が行われる。
【0012】
前記コンサベータ4は、詳しく図示はしないが、内部に液体としての絶縁油Mの貯留部を有する上下にやや平べったいタンク状をなし、本体タンク2内の絶縁油Mが前記パイプ5を通して介して流入、流出することにより、温度変化に伴う絶縁油Mの膨張、収縮を吸収するように構成されている。この場合、変圧器1の稼働中に、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面は、温度による膨張、収縮等に伴って上下に変動する。絶縁油Mは、コンサベータ4内において、その液面が、必要な最低液位(LOW)以上であって、コンサベータ4の天井部との間に僅かな隙間を確保する最高液位(HIGH)以下になるように貯留される。
【0013】
このとき、前記コンサベータ4の前側の壁部には、コンサベータ4の絶縁油Mの液面の高さを検出するための例えばフロート式の検出部12が設けられている。この検出部12については後述する。また、図示はしないが、前記コンサベータ4には、内部の液面の高さを作業者が直接的に視認するための確認窓も設けられている。前記放熱器3のうち、本体タンク2の右側最前部に位置するものの前面下部には、端子箱6が設けられている。この端子箱6の構成についても後述する。尚、本体タンク2の前面部には、変圧器本体のコイルと外部との接続用の複数個のブッシング7が設けられている。
【0014】
さて、本実施形態の変圧器1にあっては、液槽としての前記コンサベータ4内の絶縁油Mの液面の高さ位置を、外部の作業者に知らせるための液面表示装置11が設けられる。以下、本実施形態に係る液面表示装置11について、
図2~
図7も参照して詳述する。この液面表示装置11は、
図3等に示すように、コンサベータ4の絶縁油Mの液面の高さを検出するための検出部12、一端側が検出部12に接続され該検出部12の検出液面に応じて移動変位するコントロールケーブル13、このコントロールケーブル13の他端側が接続され該コントロールケーブル13の移動変位量に応じて液面の高さ位置を表示する表示部14を備える。
【0015】
このとき、前記コントロールケーブル13は、例えば直径が1.2mmの金属製ワイヤから構成される。詳しくは後述するように、このコントロールケーブル13は、一端側を構成する検出部側ケーブル15と、他端側を構成する表示部側ケーブル16とに分割されていると共に、それらが結合部17において切り離し可能に連結されるようになっている。
図3に示すように、前記検出部側ケーブル15及び表示部側ケーブル16は、保護用のアウターケーブル18、18内を通される。また、本実施形態では、前記表示部14は、前記端子箱6内に組込まれるようになっている。
【0016】
前記検出部12は、上記したように、前記コンサベータ4の前壁部に取付けられる。ここで、
図4に示すように、コンサベータ4の前壁部には、絶縁油Mの通常時の液面となる高さ位置に開口部4aが形成され、その開口部4aの周囲に取付座19が設けられている。検出部12は、
図4に示す構成を備えている。即ち、検出部12は、非磁性材からなるほぼ四角形板状のベース板20と、やはり非磁性材からなり前記ベース板20の前面側に被せられる背面が開放した円筒状のケース部21とから外殻が構成される。検出部12は、ベース板20の周囲部において、前記取付座19に対し、パッキン22を介して液密状態に取付けられる。
【0017】
前記ベース板20の背面側中央部には、前後方向に延び、先端側が開口部4aを通してコンサベータ4内に突出して配置される外部シャフト23が回転可能に設けられている。この外部シャフト23の先端部即ち後端部はL字状に折曲がり、その先端にフロート24が設けられている。このフロート24は、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面に浮かび、液面の上昇、下降に応じて上下動される。外部シャフト23の基端側には、該外部シャフト23の回転を非接触で伝達するための永久磁石25が取付けられている。尚、ベース板20の背面側には、前記フロート24の上下方向の移動範囲を規制するためのロッド26、26が設けられている。
【0018】
一方、前記ケース部21内には、前記外部シャフト23と同軸となるように前後方向に延びる内部シャフト27が回転可能に設けられている。この内部シャフト27の基端部には、磁化片28が取付けられている。この磁化片28と前記永久磁石25とは、ベース板20を挟んで磁気的吸引力により結合し、以て、外部シャフト23の回転が内部シャフト27に伝達されるようになっている。
【0019】
そして、内部シャフト27にプーリ29が取付けられている。このプーリ29の外周部の所定位置に前記検出部側ケーブル15の先端部が固定されている。検出部側ケーブル15は、ケース部21の下部から、アウターケーブル18内を通るように下方に導出されている。尚、図示はしないが、前記プーリ29は、図示しないコイルばねにより、検出部側ケーブル15を巻取る方向、例えば正面から見て時計回り方向に付勢されている。前記コイルばねのばね力は、前記フロート24の動作を妨げることがない程度の比較的弱いものとされる。
【0020】
以上の構成により、検出部12においては、フロート24の高さ位置が上昇すると、例えば、シャフト23、27及びプーリ29が、正面から見て時計回り方向に回動し、検出部側ケーブル15がプーリ29に巻取られるようにして、ケース部21の内部即ち上方である矢印A方向に引込まれる。これに対し、フロート24の高さ位置が下降するとシャフト23、27及びプーリ29が、正面から見て反時計回り方向に回動し、検出部側ケーブル15がプーリ29に巻取られている部分を解くようにして、ケース部21の外側即ち下方である矢印B方向に繰出される。この場合、検出部側ケーブル15の検出部12から延出する長さは、フロート24の高さ位置つまり液面の高さ位置に応じた長さとされる。
【0021】
前記表示部14は、
図3、
図5に示すような構成を備える。即ち、表示部14は、コントロールケーブル13の他端側つまり表示部側ケーブル16の先端部が導入される矩形状のケース30を備えている。このケース30の前面部には、目盛板31(
図3参照)及び表示針32が設けられ、その前面には、ガラス等の透明板が配置されている。ケース30内には、表示部側ケーブル16の先端が接続され、該表示部側ケーブル16の移動つまり矢印C方向の繰出し、及び、矢印D方向の引込みに応じて、前記表示針32を動作させるための針駆動機構が設けられる。
【0022】
前記目盛板31は、
図3に示すように、全体として円形状をなし、その上半部に液面の高さレベルを示す目盛が半円形状に並んで設けられている。この場合、目盛板31は、図で左部に位置して、最低液位を示す「LOW」の目盛が記されると共に、図で右部に位置して、最高液位を示す「HIGH」の目盛が記される。そして、「LOW」を0%、「HIGH」を100%として、それらの間が、時計回り方向に順に大きくなるように、液面の高さの割合を20%毎に示す数字である、「20」~「80」の目盛が均等に記されている。
【0023】
前記表示針32は、先端が目盛板31のいずれかの目盛を指し示す針状をなし、その基端部が、目盛板31の中心を貫通する軸部33の先端に取付けられ、半径方向に延びている。前記軸部33は、ケース30内に前後に延びて回転可能に設けられている。この場合、前記表示針32は、「LOW」の目盛から、「HIGH」の目盛までの、例えば角度約180度の範囲で回転可能に構成されている。
【0024】
前記表示針32を駆動する針駆動機構は、
図5に示すように、ケース30内の前記目盛板31の裏面側において、前記軸部33に取付られたプーリ34を備えている。表示部側ケーブル16の先端部は、ケース30の底壁側から導入され、前記プーリ34の上半部に掛けられるように設けられ、該プーリ34の外周の図で左側部位に連結固定されている。また、プーリ34は、コイルばね35により、図で反時計回り方向つまり表示部側ケーブル16を内方に引込む方向(
図5で矢印D方向)に比較的弱い力で付勢されている。
【0025】
これにて、表示部14においては、上記検出部12におけるコントロールケーブル13の移動が伝達されて、検出部12の検出したコンサベータ4内の絶縁油Mの液面高さが表示される。即ち、プーリ34に接続されている表示部側ケーブル16が、ケース30から繰出される或いはケース30内に引込まれることにより、プーリ34が回転され、軸部33の回転ひいては表示針32の回転移動に変換される。
【0026】
具体的には、
図5に示すように、表示部側ケーブル16が、矢印C方向に繰出されると、プーリ34及び軸部33が図で時計回り方向に回転され、表示針32もより大きな目盛を指し示す方向である時計回り方向に旋回移動する。表示部側ケーブル16が、矢印D方向に引込まれると、プーリ34及び軸部33が図で反時計回り方向に回転され、表示針32もより小さな目盛を指し示す方向である反時計回り方向に旋回移動する。
【0027】
従って、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面高さが上昇すると、コントロールケーブル13が検出部12において矢印A方向に引込まれ、表示部14において矢印C方向に繰出される。コンサベータ4内の絶縁油Mの液面高さが下降すると、コントロールケーブル13が検出部12において矢印B方向に繰出され、表示部14において矢印D方向に引込まれる。このとき、コントロールケーブル13は、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面が最低液位のときに、表示針32が「LOW」の目盛を指し示し、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面が最高液位のときに、表示針32が「HIGH」の目盛を指し示すようにセットされている。
【0028】
また、本実施形態では、上記した液面表示装置11の表示部14は、端子箱6内に収容されている。
図2に示すように、この端子箱6は、前後方向に薄型の矩形箱状をなし、その前面に扉8が開閉可能に設けられている。扉8には透明な窓部8aが設けられている。端子箱6の内部には、上部即ち窓部8aの内側に位置して、左から順に、温度計の温度表示部9、圧力計の圧力表示部10、上記表示部14が並んで設けられている。この場合、コントロールケーブル13の表示部側ケーブル16は、アウターケーブル18に覆われた状態で、端子箱6の底壁部を上下に貫通するようにして端子箱6内に導入されている。
【0029】
そして、前記結合部17は次のように構成されている。即ち、
図6及び
図7に示すように、前記結合部17は、前記検出部側ケーブル15の接続端部である基端部に膨らみ形状に設けられた第1のノブ部36と、前記表示部側ケーブル16の接続端部である基端部に膨らみ形状に設けられた第2のノブ部37とを、抱込部材38により一体的に保持する構成とされる。前記第1のノブ部36及び第2のノブ部37は、例えば亜鉛合金のダイキャスト製品からなり、球体を半分に切断した如きほぼ半球形状をなし、その球面側の外周面の中心部から導出されるようにケーブル15及び16が夫々接続されている。
【0030】
前記抱込部材38は、弾性及び柔軟性を有するプラスチック材料例えば超高密度ポリエチレンからなり、例えば内部が空洞の球形つまりボール状に構成されると共に、その一部に、いわば切れ長なアーモンド形の切込み部38aを有して構成されている。この切込み部38aは、抱込部材38のボールの直径方向両端部に跨る大きさに形成されている。ちなみに、前記第1のノブ部36及び第2のノブ部37は、半球の外形の直径寸法が例えば8mmとされ、抱込部材38の外形の直径寸法は例えば10mmとされている。
【0031】
これにて、
図6に示すように、前記第1のノブ部36と第2のノブ部37とが、その平面同士を突き合せて接触された状態で、抱込部材38が、それら両者を内部に嵌め込んだ状態に収容することで、それらを抱き込んだ状態に保持する。またこの状態では、切込み部38aの両端を夫々ケーブル15及び16が通って導出される形態となる。このとき、第1のノブ部36及び第2のノブ部37を抱込部材38内に嵌め込むにあたっては、前記切込み部38aを弾性変形させながら第1のノブ部36及び第2のノブ部37を通すことができる。また、同様に切込み部38aを弾性変形させながら、第1のノブ部36及び第2のノブ部37を抱込部材38から抜き出すことができる。
【0032】
これにより、結合部17において、検出部側ケーブル15と表示部側ケーブル16との間の接続、切離しが可能とされている。尚、本実施形態では、
図1に示すように、コントロールケーブル13は、前記検出部12から下方に延びて、端子箱6の下方まで垂れ下がった後、該端子箱6の下部に接続されるのであるが、結合部17は、端子箱6の近傍つまりコントロールケーブル13が垂れ下がった下端部部分に配置されるようになっている。また、詳しく図示はしないが、検出部側ケーブル15及び表示部側ケーブル16は、結合部17付近では露出しているが、その他の大部分が、アウターケーブル18により覆われた形態とされている。
【0033】
次に、上記構成の作用、効果について述べる。上記構成を備える液面表示装置11においては、検出部12によりコンサベータ4内の絶縁油Mの液面を検出し、その検出液面を、コントロールケーブル13を介して遠隔に伝達することにより、表示部14に表示させることができる。この場合、表示部14を、検出部12から離間した、作業者が視認容易な低い位置に設けることができ、液面の確認を容易に行うことができる。また、液面表示装置11は、コントロールケーブル13を介して物理的に動作するので、電源のトラブル時等でも使用が可能となる。
【0034】
本実施形態では、コンサベータ4の高さ位置が、変圧器1が設置された床から3m以上となる場合でも、床からの高さが1m程度の端子箱6内に表示部14を設けることができた。このとき、表示部14を、他の計測器である温度計や圧力計の表示部9、10と共に端子箱6内に集約的に配置する構成としたので、液面の確認を容易に行うことができることに加えて、敷設性、メンテナンス性等の向上も図ることができる。また、屋外での使用においても、防塵、防風、防雨性等に優れるものとなる。
【0035】
そして、コントロールケーブル13は、検出部側ケーブル15と表示部側ケーブル16とに分割され、結合部17において、それらの連結、切り離しを自在に行うことができる。これにより、例えば、検出部側ケーブル15と表示部側ケーブル16とを切り離した状態で、コンサベータ4の外壁部に検出部12を組付けると共に、端子箱6内に表示部14を容易に組付けることができ、その後、切り離されていたコントロールケーブル13を、結合部17にて連結することが可能となる。
【0036】
そのため、液面表示装置11としての全体的な設置の作業を容易に行うことができるようになる。このように本実施形態の液面表示装置11によれば、コントロールケーブル13を検出部側ケーブル15と表示部側ケーブル16とに分割すると共に、それらを結合部17において切り離し可能に連結する構成とした。従って、コンサベータ4内の絶縁油Mの液面の確認を容易に行うことができるものであって、表示部14の設置作業の簡単化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【0037】
また、特に本実施形態では、結合部17を、検出部側ケーブル15の接続端部に膨らみ形状に設けられた第1のノブ部36と、表示部側ケーブル16の接続端部に膨らみ形状に設けられた第2のノブ部37とを、抱込部材38により一体的に保持する構成とした。これにより、第1のノブ部36と第2のノブ部37との連結状態における保持力を大きくでき、抱込部材38から抜けにくい状態で保持できながらも、連結、切離しの作業を容易に行うことができる。この場合、膨出するノブ部36、37間で、コントロールケーブル13の引く力及び押す力が伝達されるので、力の伝達を良好に行うことができる。
【0038】
尚、上記した実施形態では、コンサベータ4を備えた油入絶縁変圧器1のコンサベータ4内の絶縁油Mの液面を検出する構成としたが、コンサベータを備えない変圧器に適用しても良く、この場合、液槽としての本体タンク内の液体の液面を検出する構成とすることができる。また、液体としては、絶縁油以外でも、液体シリコーン、水等の冷却液であっても良い。油入絶縁変圧器1に限らず、リアクトルなど冷却液により機器本体の冷却及び絶縁を図るようにした液冷式の電気機器全般に適用することもできる。
【0039】
結合部17の構成としても、様々な変更が可能である。例えば、ケーブルに端部に設けられる各ノブ部を、共に、中央部から径方向にケーブルが延びる円柱状に構成し、それらをバンド状の部材で結束することにより、切り離し可能に連結する構成とすることができる。検出部12の構成としても、例えば、フロートを、上下方向に直線的に移動させ、その上下変位量を、コントロールケーブルの移動に変換する構成とすることができる。更に、表示部14の構成としても、表示針を直線的に往復移動させる構成としても良い。針駆動機構の構成としても、コントロールケーブルの移動量を比例的に拡大或いは縮小させて表示針の変位に変換する構成としても良い。
【0040】
その他、表示部を端子箱内に設けるのではなく、単独で変圧器本体の外壁部に設ける構成としても良い。以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は油入絶縁変圧器(変圧器)、2は本体タンク、4はコンサベータ(液槽)、6は端子箱、11は液面表示装置、12は検出部、13はコントロールケーブル、14は表示部、15は検出部側ケーブル、16は表示部側ケーブル、17は結合部、18はアウターケーブル、24はフロート、36は第1のノブ部、37は第2のノブ部、38は抱込部材、38aは切込み部、Mは絶縁油(液体)を示す。