(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】加工システム、および搬出方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20240424BHJP
B21D 28/36 20060101ALI20240424BHJP
B23K 28/02 20140101ALI20240424BHJP
B23K 37/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B23K26/70
B21D28/36 Z
B23K28/02
B23K37/00 C
(21)【出願番号】P 2020049034
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松浦 聡
(72)【発明者】
【氏名】政氏 孝二
(72)【発明者】
【氏名】北村 和之
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-061752(JP,A)
【文献】特開平10-034358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/70
B21D 28/36
B23K 28/02
B23K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを用いてワークに加工を行うレーザ加工部と、前記レーザ加工部を水平な第1方向に移動する第1移動部と、ベッドと、前記ベッド上に配置され、前記第1方向に沿って配置された門型の支持フレームと、を有し、前記レーザ加工部は前記支持フレームに移動可能に取り付けられている加工装置と、
前記レーザ加工部で前記ワークから切断されたワークピースを保持する保持部と、前記保持部を移動して前記ワークピースを搬出する搬出移動部と、を有する搬出装置と、
前記ワークの前記ワークピース以外の部分と連結部分で連結された状態の前記ワークピースを前記保持部で保持した状態で前記レーザ加工部を駆動しながら前記第1移動部で前記レーザ加工部を移動させて前記連結部分を切断し、前記搬出移動部を駆動して前記ワークピースを搬出する制御部と、を備え、
前記加工装置は、前記ワークを前記第1方向および水平であって前記第1方向に垂直な第2方向に移動するワーク搬送部を更に有し、
前記ワーク搬送部は、前記支持フレームの下方に前記支持フレームと交差するように配置さ
れ、
前記制御部は、前記ワーク搬送部を制御して前記ワークピースを停止してから前記保持部で前記ワークピースを保持し、
前記加工装置は、
前記ワークにパンチ加工を行うパンチ加工部を更に有し、
前記支持フレームは、前記第1方向に沿って配置された一対の板状のフレーム部材を有し、
前記レーザ加工部は、前記一対の板状のフレーム部材の一方に移動可能に取り付けられており、
前記パンチ加工部は、前記一対のフレーム部材の間に配置されている、
加工システム。
【請求項2】
前記加工装置は、前記レーザ加工部を前記第2方向に移動可能な第2移動部を更に有し、
前記制御部は、前記レーザ加工部を駆動しながら前記第1移動部および前記第2移動部で前記レーザ加工部を移動させて前記連結部分を切断する、
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記保持部は、複数の吸着パッドを有し、
前記ワークピースは、前記複数の吸着パッドによって吸着して保持される、
請求項1
または2に記載の加工システム。
【請求項4】
レーザを用いてワークに加工を行うレーザ加工部と、前記レーザ加工部を水平な第1方向に移動する第1移動部と、ベッドと、前記ベッド上に配置され、前記第1方向に沿って配置された門型の支持フレームと、を有し、前記レーザ加工部は前記支持フレームに移動可能に取り付けられている加工装置と、
前記レーザ加工部で前記ワークから切断されたワークピースを保持する保持部と、前記保持部を移動して前記ワークピースを搬出する搬出移動部と、を有する搬出装置と、を備え、
前記加工装置は、前記ワークを前記第1方向および水平であって前記第1方向に垂直な第2方向に移動するワーク搬送部を更に有し、
前記ワーク搬送部は、前記支持フレームの下方に前記支持フレームと交差するように配置さ
れ、
前記加工装置は、
前記ワークにパンチ加工を行うパンチ加工部を更に有し、
前記支持フレームは、前記第1方向に沿って配置された一対の板状のフレーム部材を有し、
前記レーザ加工部は、前記一対の板状のフレーム部材の一方に移動可能に取り付けられており、
前記パンチ加工部は、前記一対のフレーム部材の間に配置されている、
加工システムを用いた搬出方法であって、
前記ワークの前記ワークピース以外の部分と連結部分において連結された状態の前記ワークピースを
停止してから前記保持部によって保持する保持ステップと、
前記ワークピースが保持された状態で、前記レーザ加工部を前記第1方向に動かすことによって前記連結部分を切断する切断ステップと、
前記ワークから切断された前記ワークピースを前記搬出移動部によって搬出する搬出ステップと、を備えた、
搬出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置および搬出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ切断加工によって板状のワークからワークピースを切断分離し、切断分離したワークピースを搬出するシステムが用いられている。
【0003】
レーザ切断加工では、ワークピースとワークの間の切断部分の幅が狭いため、ワークに対するワークピースの位置ずれが発生し、取り出す際にワークピースがワークに干渉して搬送できない場合がある。
【0004】
そのため、例えば特許文献1に示す搬出装置では、レーザによってワークから切断分離した後にワークピースを吸着手段で持ち上げる際にワークとワークピースの接触を検出し、接触が検出された場合、接触を解除するために水平方向にワークピースを移動させる。ワークピースを移動させた後に再度接触の検出が行われ、接触が解除されていない場合には、吸着が解除される。そして、別個のワークピースに対しても同様の動作を行い、吸着手段を移動すべき別個のワークピースが存在しなくなった場合に装置が停止される。
【0005】
このように、ワークと干渉した場合には、干渉解消動作を行ってワークピースの搬出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示す搬出装置では、接触した場合にワークピースの接触を解除する動作が必要となるため、加工ラインの速度が遅くなる。また、夜間に自動運転を行った場合に装置が停止したときには、次に作業者が来るまで装置が停止した状態となり生産効率が低下する。
【0008】
本発明は、ワークピースの搬出を良好に行うことが可能な加工システムおよび搬出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明にかかる加工システムは、加工装置と、搬出装置と、制御部と、を備える。加工装置は、レーザ加工部と、第1移動部と、を有する。レーザ加工部は、レーザを用いてワークに加工を行う。第1移動部は、レーザ加工部を水平な第1方向に移動する。搬出装置は、保持部と、搬出移動部と、を有する。保持部は、レーザ加工部でワークから切断されたワークピースを保持する。搬出移動部は、保持部を移動してワークピースを搬出する。制御部は、ワークのワークピース以外の部分と連結部分で連結された状態のワークピースを保持部で保持した状態でレーザ加工部を駆動しながら第1移動部でレーザ加工部を移動させて連結部分を切断し、搬出移動部を駆動してワークピースを搬出する。
【0010】
発明の搬出方法は、ワークから切断されるワークピースを搬出する搬出方法であって、保持ステップと、切断ステップと、搬出ステップと、を備える。保持ステップは、ワークのワークピース以外の部分と連結部分において連結された状態のワークピースを保持する。切断ステップは、ワークピースが保持された状態で、レーザを水平な第1方向に動かすことによって連結部分を切断する。搬出ステップは、ワークから切断されたワークピースを搬出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークピースの搬出を良好に行うことが可能な加工システムおよび搬出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明にかかる実施の形態の加工システムを示す側面図。
【
図2】
図1のパンチ・レーザ複合加工装置を示す斜視図。
【
図3】
図2のパンチ・レーザ複合加工装置を示す正面図。
【
図4】
図2のパンチ・レーザ複合加工装置を示す正面図。
【
図5】
図3のパンチ・レーザ複合加工装置を示す側面図。
【
図6】
図2のパンチ・レーザ複合加工装置の移動機構を示す斜視図。
【
図12】
図1の加工システムの制御構成を示すブロック図。
【
図13】
図1の加工システムの動作を示すフロー図。
【
図14】(a)~(c)
図13の動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の形態の加工システムについて図面を参照しながら説明する。
【0014】
<構成>
(加工システム1の外観概要)
図1は、本実施の形態の加工システム1の全体概要を示す側面図である。
【0015】
本実施の形態の加工システム1は、パンチまたはレーザを用いて製品を加工し、加工した製品を搬出するシステムである。
【0016】
本実施の形態の加工システム1は、パンチ・レーザ複合加工装置2(加工装置の一例)と、搬出装置3と、コントローラ4と、を備えている。
【0017】
パンチ・レーザ複合加工装置2は、ワークに対して加工を行う。本実施のパンチ・レーザ複合加工装置2は、レーザ加工とパンチ加工の双方を行うことが可能である。搬出装置3は、パンチ・レーザ複合加工装置2によって加工された製品Wpをパンチ・レーザ複合加工装置2から搬送して製品搬出棚5に載置する。コントローラ4は、パンチ・レーザ複合加工装置2および搬出装置3の制御を行う。
【0018】
(パンチ・レーザ複合加工装置2)
図2は、パンチ・レーザ複合加工装置2の斜視図である。
図3は、パンチ・レーザ複合加工装置2の正面図である。
図4は、パンチ・レーザ複合加工装置2の平面図である。
図5は、パンチ・レーザ複合加工装置2の側面図である。
【0019】
パンチ・レーザ複合加工装置2は、メインフレーム11(支持フレームの一例)と、ベッド12と、ワーク搬送部13と、パンチ加工部14と、レーザ加工装置15(
図12参照)と、移動機構16と、を有する。
【0020】
メインフレーム11は、ベッド12上に配置されている。ワーク搬送部13は、XY平面上においてワークを移動させる。レーザ加工装置15は、レーザを用いてワークの加工を行う。パンチ加工部14は、パンチ金型を用いてワークのパンチ加工を行う。
【0021】
なお、水平方向のうちメインフレーム11に沿った方向をY方向とし、鉛直方向をZ方向とし、水平方向のうちY方向に垂直な方向をX方向とする。なお、本明細書における「水平」、「垂直」、「鉛直」、および「平行」の記載はいずれも厳密な意味ではなく、誤差等も含む。
【0022】
(メインフレーム11、ベッド12)
メインフレーム11は、門型構造であり、ベッド12上に立設している。メインフレーム11は、
図2に示すように、2枚の板状のフレーム部材21、22を有している。フレーム部材21、22は、門型であり、主面が鉛直方向に沿うように配置されている。また、フレーム部材21とフレーム部材22は、互いに対向して配置されている。
【0023】
フレーム部材21、22のうち一方のフレーム部材21の外側向きの主面21aには、レーザ加工ヘッド151および移動機構16が設けられている。
【0024】
(ワーク搬送部13)
ワーク搬送部13は、メインフレーム11の下方にメインフレーム11と交差するように配置されている。ワーク搬送部13は、
図2および
図3に示すように、ワーク移動部31と、キャリッジ32と、複数のクランパ部33と、を有する。
【0025】
ワーク移動部31は、細長い角柱状であって、メインフレーム11の下方においてメインフレーム11と交差するようにX軸方向に沿って配置されている。
【0026】
図5に示すように、フレーム部材21およびフレーム部材22の外側のベッド12上にY方向に沿ってリニアガイド38、39が設けられている。リニアガイド38、39には、ワーク移動部31の下側に固定されている複数のブロック30がY方向にスライド可能に嵌合している。図示していないが、例えばワーク移動部31に設けられた電動モータの出力軸にピニオンギアが固定され、ベッド12にラックが設けられており、ラックピニオン機構によって、ワーク移動部31をY方向に沿って移動することができる。
【0027】
また、
図3および
図5に示すように、ワーク移動部31は、そのパンチ加工部14側の側面の上下に2本のリニアガイド34、35を有している。リニアガイド34、35は、X方向に沿って配置されている。リニアガイド34とリニアガイド35は、互いに平行に配置されている。
【0028】
キャリッジ32は、X方向に移動可能にワーク移動部31に設けられている。キャリッジ32は、
図3に示すように、ワーク移動部31側の側面に複数のブロック36を有している。複数のブロック36はリニアガイド34、35とスライド可能に嵌合する。これによって、キャリッジ32は、ワーク移動部31に沿ってX方向に移動できる。
【0029】
複数のクランパ部33は、ワークを挟んで保持する。複数のクランパ部33は、キャリッジ32に固定されている。複数のクランパ部33は、
図4に示すようにX方向に並んで配置されている。
【0030】
これにより、複数のクランパ部33が固定されたキャリッジ32が、X方向に移動し、キャリッジ32が支持されたワーク移動部31がY方向に移動でき、XY平面においてワークを搬送することができる。
【0031】
(パンチ加工部14)
パンチ加工部14は、図示しないパンチ用の金型を用いてワークのパンチ加工を行う。パンチ加工部14は、
図3に示すように、正面視において門型のフレーム部材21とフレーム部材22に左右および上側を囲まれるように配置されている。パンチ加工部14は、
図4に示すように平面視において、フレーム部材21とフレーム部材22の間に配置されている。
【0032】
パンチ加工部14で用いられる金型は、パンチとストリッパとダイとを有する。図示していないが、パンチとストリッパがパンチ加工部14の上部に装着され、ダイがパンチ加工部14の下部に装着される。
【0033】
そして、ワーク搬送部13によってワークが移動されながらパンチ加工部14によってワークにパンチ加工が行われる。
【0034】
(レーザ加工装置15)
レーザ加工装置15は、レーザを照射してワークの加工を行う。レーザ加工装置15は、レーザ加工ヘッド151(レーザ加工部の一例)と、発振器152(後述する
図12参照)と、を有する。
【0035】
レーザ加工ヘッド151は、フレーム部材21の主面21aに移動可能に取り付けられている。発振器152が駆動され、レーザ加工ヘッド151からレーザが照射される。レーザ加工ヘッド151は下方に向かってレーザを照射する。また、レーザ加工ヘッド151は、ワークから製品の切断を行う。
【0036】
レーザ加工装置15としては、ファイバレーザや、CO2レーザ等を用いることができる。
【0037】
なお、レーザ加工ヘッド151の下方には、上面に複数のブラシ17a(
図5参照)が設置されたテーブル17が配置されている。
【0038】
(移動機構16)
移動機構16は、レーザ加工ヘッド151を移動させることができる。移動機構16は、レーザ加工ヘッド151をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。
【0039】
図6は、左側面側から視た移動機構16およびレーザ加工ヘッド151を示す斜視図である。
図7は、右側面側から視た移動機構16およびレーザ加工ヘッド151を示す斜視図である。
図8は、移動機構16の一部およびレーザ加工ヘッド151の正面図である。
図9は、移動機構16の一部およびレーザ加工ヘッド151の側面図である。
図10は、移動機構16の一部およびレーザ加工ヘッド151の平面図である。
【0040】
移動機構16は、
図6および
図7に示すように移動部41(第1移動部の一例)と、移動部42と、移動部43(第2移動部の一例)と、を有する。
【0041】
移動部41は、レーザ加工ヘッド151をY方向に移動可能である。移動部42は、レーザ加工ヘッド151をZ方向に移動可能である。移動部43は、レーザ加工ヘッド151をX方向に移動可能である。
【0042】
(移動部41)
移動部41は、一対のリニアガイド51a、51bと、ラック52と、第1支持体53と、電動モータ54と、取付板55と、を有する。
【0043】
取付板55は、主面21aに固定されている。
【0044】
一対のリニアガイド51a、51bは、取付板55に設けられている。一対のリニアガイド51a、51bは、上下に配置されており、各々のリニアガイド51a、51bはY方向に沿って設けられている。
【0045】
ラック52は、
図6および
図7に示すように、上側のリニアガイド51aの下側にY方向に沿って取付板55に設けられている。
【0046】
第1支持体53は、後述する第2支持体62および第3支持体72を介してレーザ加工ヘッド151を支持する。第1支持体53は、取付板55にY方向に沿って配置されたリニアガイド51a、51bにスライド可能に取り付けられている。第1支持体53は、略板状の部材であって、その主面21a側には、リニアガイド51a、51bにスライド可能に嵌合した複数のブロック(図示せず)が設けられている。
【0047】
電動モータ54は、第1支持体53の取付板55と反対側の面53aに配置されている。電動モータ54は出力軸がX方向に沿うように配置されている。電動モータ54の出力軸は、第1支持体53を挿通して主面21a側に突出しており、
図9および
図10に示すように、突出部分にピニオンギア56が配置されている。このピニオンギア56が、
図6および
図7に示すラック52と噛み合っている。
【0048】
電動モータ54の出力軸の回転によってピニオンギア56が回転し、電動モータ54が固定されている第1支持体53が、リニアガイド51a、51bに沿ってY方向に移動する。これによって、レーザ加工ヘッド151をY方向に移動することができる。
【0049】
(移動部42)
移動部42は、
図7に示すように一対のリニアガイド61a、61bと、第2支持体62と、ラック63(
図8参照)と、電動モータ64と、を有する。
【0050】
一対のリニアガイド61a、61bは、
図8に示すように、第1支持体53の面53aの下部に配置されている。各々のリニアガイド61a、61bは、鉛直方向に沿って配置されている。
【0051】
第2支持体62は第3支持体72を介してレーザ加工ヘッド151を支持する、第2支持体62は、リニアガイド61a、61bにZ方向に移動可能に取り付けられている。
【0052】
第2支持体62は、
図7に示すように、鉛直部621と、水平部622と、一対の側壁部623a、623bと、を有する。
【0053】
鉛直部621は、
図10に示すように板状であって、その主面が取付板55と略平行であって、Z方向に沿って配置されている。鉛直部621は、リニアガイド61a、61bにZ方向にスライド可能に取り付けられている。鉛直部621の面53aに対向する面には複数のブロック66が設けられており、複数のブロック66は、一対のリニアガイド61a、61bにスライド可能に嵌合している。
【0054】
水平部622は、
図8に示すように板状であって、鉛直部621の下端に鉛直部621に対して垂直に配置されている。水平部622は、鉛直部621から第1支持体53側とは反対側の方向に突出するように設けられている。水平部622には、
図6に示すようにレーザ加工ヘッド151が挿通する貫通孔622bがZ方向に沿って形成されている。
【0055】
一対の側壁部623a、623bは、鉛直部621のY方向に両端と、水平部622のY方向の両端を繋ぐように配置されている。
【0056】
ラック63は、
図8に示すように、第2支持体62に固定されている。ラック63は、側壁部623aの外側にZ方向に沿って配置されている。
【0057】
電動モータ64は、第1支持体53の面53aにブラケット67を介して取り付けられている。電動モータ64は、出力軸がY方向に沿うように配置されている。電動モータ64は、第2支持体62の一方の側壁部623aの外側近傍に配置されている。電動モータ64の出力軸には、ピニオンギア68が固定されており、ピニオンギア68はラック63と噛み合っている。
【0058】
電動モータ64の駆動でピニオンギア68が回転することによってラック63がZ方向に沿って移動し、ラック63が固定されている第2支持体62もZ方向に移動する。これによって、第2支持体62に配置されているレーザ加工ヘッド151もZ方向に移動可能である。
【0059】
(移動部43)
移動部43は、
図8に示すように一対のリニアガイド71a、71bと、第3支持体72と、ラック73と、電動モータ74と、を有する。
【0060】
一対のリニアガイド71a、71bは、互いに平行に第2支持体62の水平部622の上面622aに配置されている。一対のリニアガイド71a、71bの各々は、
図10に示すようにX方向に沿って配置されている。一対のリニアガイド71a、71bは、水平部622に形成されている貫通孔622bをY方向において挟むように配置されている。
【0061】
第3支持体72は、板状であって、水平部622の上面622aに水平部622と平行に配置されている。第3支持体72は、一対のリニアガイド71a、71bに移動可能に取り付けられている。第3支持体72の略中央には、Z方向にレーザ加工ヘッド151が挿通して取り付けられている。第3支持体72の下面には、複数のブロック75が設けられており、一対のリニアガイド71a、71bとスライド可能に嵌合している。
【0062】
ラック73は、第3支持体72に固定されている。ラック73は、
図10に示すように第3支持体72の側壁部623b側の端にX方向に沿って配置されている。
【0063】
電動モータ74は、
図8に示すように第2支持体62の水平部622の上側に配置されている。電動モータ74は、出力軸がZ方向の下側を向くように配置されている。出力軸に固定されたピニオンギアがZ方向を軸として回転可能に配置されている。ピニオンギアは、ラック73と噛み合っている。
【0064】
電動モータ74の駆動によってピニオンギアが回転し、ラック73がX方向に移動する。ラック73のX方向への移動によってラック73が固定されている第3支持体72もX方向に移動する。これによって、第3支持体72に固定されているレーザ加工ヘッド151がX方向に移動することができる。
【0065】
レーザ加工ヘッド151のX方向への移動量は、Y方向への移動量に比較して小さくなっているが、ワークを停止した状態であってもレーザ加工ヘッド151を2軸で動かすことによって曲線であっても切断することができる。
【0066】
以上のように、本実施の形態のパンチ・レーザ複合加工装置2では、ワーク搬送部13をX方向とY方向の2軸方向に移動することができ、更にレーザ加工ヘッド151をX方向とY方向の2軸に移動することができる。
【0067】
(搬出装置3)
搬出装置3は、パンチ・レーザ複合加工装置2で加工され、ワークから切断された製品を搬出する。
【0068】
【0069】
搬出装置3は、保持部81と、移動機構82(搬出移動部の一例)と、を有する。
【0070】
保持部81は、複数の吸着パッド91と、吸着パッド91を支持する支持体92と、を有する。
【0071】
吸着パッド91は、ゴム等によって形成されて上方から製品Wpを吸着する。複数の吸着パッド91は、支持体92に支持されている。吸着パッド91と支持体92の間には、
図11Bに示すように、バネ部材93が設けられており、バネ部材93の弾性力によって吸着パッド91をスムーズに製品Wpに押し付けることができる。吸着パッド91を製品Wpに押し付けた状態で図示しない真空ポンプを動作させることによって、吸着パッド91内の空気が真空ポンプに吸引され、吸着パッド91に製品Wpを吸着させることができる。
【0072】
移動機構82は、移動部94と、移動部95と移動部96とを有する。
【0073】
移動部94は、保持部81を
図1に示すX方向に移動する。移動部95は、保持部81をZ方向に移動する。移動部96は、保持部81をY方向に移動する。
【0074】
(移動部94)
移動部94は、一対のレール101a、101bと、第1支持体102と、ラック103と、電動モータ104と、を有する。一対のレール101a、101bは、フレーム105に取り付けられている。一対のレール101a、101bは、各々X方向に沿って配置されている。第1支持体102は、第2支持体111を介して保持部81を支持する。第1支持体102には、図示しないブロックが取り付けられており、一対のレール101a、101bとスライド可能に嵌合する。ラック103は、上側のレール101aの上方にレール101aに沿って配置されている。電動モータ104は第1支持体102に取り付けられている。電動モータ104は、出力軸がZ方向の下側を向くように配置されている。電動モータ104の出力軸にはピニオンギア106が固定されており、ラック103と噛み合っている。
【0075】
このような構成により、電動モータ104が駆動すると、ピニオンギア106が回転し、ラック103がフレーム105に固定されているため、第1支持体102がレール101a、101bに沿ってX方向に移動する。
【0076】
(移動部95)
移動部95は、第2支持体111と、電動モータ112とを有する。第2支持体111は、Z方向に長い棒状の部材であり、第1支持体102にZ方向に移動可能に支持されている。第2支持体111は、その下端部111aにおいて保持部81を支持している。第2支持体111は、Z方向に沿ってラック(図示せず)が設けられている。電動モータ112は、第1支持体102に固定されている。電動モータ112は、出力軸がX方向に沿うように配置されている。出力軸に固定されているピニオンギア113が、図示しないラックと噛み合っている。
【0077】
このような構成により、電動モータ112が駆動すると、ピニオンギア106が回転し、ピニオンギア106と噛み合っているラックが固定されている第2支持体111が第1支持体102に対してZ方向に移動する。第2支持体111がZ方向に移動した状態は、
図11Cおよび
図1に示されており、
図1では製品搬出棚5に製品を配置している状態を示す。
【0078】
(移動部96)
移動部96は、
図11Bに示すように、リニアガイド121a、121bと、電動モータ122と、を有する。
【0079】
リニアガイド121aは、第2支持体111の下端部111aの下面にY方向に沿って配置されている。リニアガイド121bは、第2支持体111の下端部111aの側面にY方向に沿って配置されている。保持部81の支持体92の上部には、複数のブロック123が固定されており、複数のブロック123は、リニアガイド121a、121bとスライド可能に嵌合している。電動モータ122は、第2支持体111の下端部111aに固定されている。電動モータ122は、その出力軸がY方向に沿うように配置されている。図示していないが、出力軸に固定されたギアと噛み合っているピニオンギアと、Y方向に沿って支持体92に設けられたラックが噛み合っている。
【0080】
このような構成により、電動モータ122が駆動すると、ピニオンギアが回転し、ピニオンギアと噛み合っているラックが固定された支持体92が第2支持体111に対してY方向に移動する。
【0081】
このような搬出装置3によって、パンチ・レーザ複合加工装置2で切断された製品を製品搬出棚5に搬出することができる。
【0082】
(コントローラ)
図12は、本実施の形態の加工システム1の制御構成を示すブロック図である。
【0083】
コントローラ4は、CPUあるいはGPU等のプロセッサと、記憶装置と、を含む。プロセッサは、加工システム1の自動制御のための処理を行う。記憶装置は、RAM或いはROMなどのメモリ、およびHDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含む。記憶装置は、自動制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。データおよびプログラムは、作業者によって設定することもできる。このプログラムとして、後述する
図13に示すフローを実行するプログラムが含まれている。
【0084】
コントローラ4は、所定の加工プログラムを実行するようにワーク搬送部13を制御する。
【0085】
コントローラ4は、センサ等で検出されたパンチ、ストリッパおよびダイの位置に基づいて所定の加工プログラムを実行するようにパンチ加工部14を制御する。
【0086】
コントローラ4は、所定の加工プログラムを実行するように、発振器152を制御してレーザ加工ヘッド151からレーザをワークWに向けて照射し、移動機構16の電動モータ54、64、74を制御してレーザ加工ヘッド151を移動してワークWの加工を行う。
【0087】
コントローラ4は、ワークの製品以外の部分と連結部分で繋がった状態の製品Wpを保持するように、移動機構82の電動モータ104、112、122を制御して保持部81を移動し、真空ポンプを駆動して製品Wpを保持部81で吸着する。そして、コントローラ4は、レーザ加工装置15および移動機構16を制御してレーザによって連結部分を切断した後に、保持部81および移動機構82を制御して、製品Wpを製品搬出棚5に搬出する。
【0088】
<動作>
次に、本実施の形態の加工システム1の動作について説明するとともに、搬出方法の一例についても同時に述べる。
【0089】
図13は、本実施の形態の加工システム1の動作を示すフロー図である。
【0090】
ステップS10において、コントローラ4は、所定の加工プログラムに従って、ワーク搬送部13、パンチ加工部14、レーザ加工ヘッド151および移動機構16を制御してワークWに加工を行って製品Wpを形成する。
【0091】
次に、ステップS20において、コントローラ4は、
図14(a)に示すようにワークWの残りの部分Wrとの連結部分Wcを残して製品Wp(ワークピースの一例)の周囲を切断する。
図14(a)は、ワークWから楕円形状の製品Wpを形成した状態を示す図である。なお、説明を分かり易くするために、製品Wpの周囲の切断部分Wdの幅を大きくし、連結部分Wcも大きく示している。
【0092】
次に、ステップS30において、コントローラ4は、ワーク搬送部13を制御して、ワークWを所定位置で停止する。所定位置とは、次ステップにおける製品Wpの保持および連結部分Wcの切断を行うことが可能な位置である。
【0093】
次に、ステップS40において、コントローラ4は、保持部81および移動機構82を制御して、所定位置で停止したワークWの製品Wpを保持部81で保持する。
図14(b)は、製品Wpが保持部81で保持された状態を示す模式平面図である。
図14(b)に示すように、複数の吸着パッド91でワークWは吸着されている。
【0094】
次に、ステップS50において、コントローラ4は、ワークWを停止した状態でレーザ加工装置15および移動機構16を制御して、
図14(c)に示すように、連結部分Wcを切断する。ここで、レーザ加工ヘッド151をX方向およびY方向に移動させることができるため、
図14(c)に示すように連結部分Wcが湾曲していたとしてもワークWを停止させた状態で切断することができる。
【0095】
次に、ステップS60において、コントローラ4は、移動機構82を制御して、ワークWを製品搬出棚5に向かって搬出し、製品搬出棚5に製品Wpを配置する。
【0096】
<特徴>
(1)
本実施の形態の加工システム1は、パンチ・レーザ複合加工装置2(加工装置の一例)と、搬出装置3と、コントローラ4(制御部の一例)と、を備える。パンチ・レーザ複合加工装置2は、レーザ加工ヘッド151(レーザ加工部の一例)と、移動部41(第1移動部の一例)と、を有する。レーザ加工ヘッド151は、レーザを用いてワークに加工を行う。移動部41は、レーザ加工ヘッド151を水平なY方向(第1方向の一例)に移動する。搬出装置3は、保持部81と、移動機構82(搬出移動部の一例)と、を有する。保持部81は、レーザ加工ヘッド151でワークWから切断された製品Wp(ワークピースの一例)を保持する。移動機構82は、保持部81を移動して製品Wpを搬出する。コントローラ4は、ワークWの製品Wp以外の部分Wrと連結部分Wcで連結された状態の製品Wpを保持部81で保持した状態でレーザ加工ヘッド151を駆動しながら移動部41でレーザ加工ヘッド151を移動させて連結部分Wcを切断し、移動機構82を駆動して製品Wpを搬出する。
【0097】
このように、本実施の形態の加工システム1では、ワークWから完全には切断されていない製品Wpを保持部81で保持してからレーザ加工ヘッド151からレーザを照射して連結部分Wcを切断することによって、ワークWから製品Wpが完全に切断される。このように、ワークWから製品Wpを完全に切断する前に保持部81によって保持されているため、ワークWの残り部分Wrに対する製品Wpの位置ずれを防止することができる。このため、製品WpがワークWの残り部分Wrに干渉することなく、製品Wpの搬出を良好に行うことができる。
【0098】
(2)
本実施の形態の加工システム1では、パンチ・レーザ複合加工装置2は、ワークWを水平方向に移動するワーク搬送部13を更に有する。コントローラ4は、ワーク搬送部13を制御して製品Wpを停止してから保持部81で製品Wpを保持する。
【0099】
ワークWを移動させながらレーザで切断する場合、切断時にワークWの残り部分Wrと製品Wpの重なりが起こりやすいが、本実施の形態の加工システムでは、ワーク搬送部13を制御してワークWを停止させた状態で切断を行うため、製品Wpの搬出を良好に行うことができる。
【0100】
(3)
本実施の形態の加工システム1では、パンチ・レーザ複合加工装置2は、レーザ加工ヘッド151を水平であってY方向(第1方向の一例)に垂直なX方向(第2方向の一例)に移動可能な移動部43(第2移動部の一例)を更に有する。コントローラ4は、レーザ加工ヘッド151を駆動しながら移動部41および移動部43でレーザ加工ヘッド151を移動させて連結部分Wcを切断する。
【0101】
このように、レーザ加工ヘッド151をX方向およびY方向に移動可能とすることによって、連結部分Wcが直線だけでなく曲線の場合にも対応できる。そのため、どのような形状の製品WpであってもワークWを停止して保持部81で保持した状態でレーザ切断できるので、製品Wpの搬出を良好に行うことができる。
【0102】
(4)
本実施の形態の加工システム1では、パンチ・レーザ複合加工装置2は、ワークWにパンチ加工を行うパンチ加工部14を更に有する。
【0103】
これにより、ワークWにパンチ加工とレーザ加工を行うことが可能なレーザ・パンチ加工複合機によってワークWから切断された製品Wpを良好に搬送することができる。
【0104】
(5)
実施の形態の加工システム1では、保持部81は、複数の吸着パッド91を有する。製品Wpは、複数の吸着パッド91によって吸着して保持される。
【0105】
これによって、製品Wpを吸着パッド91によって吸着して搬送することができる。
【0106】
(6)
本実施の形態の加工システム1では、パンチ・レーザ複合加工装置2は、レーザ加工ヘッド151を移動可能に支持するメインフレーム11(支持フレームの一例)を有する。Y方向(第1方向の一例)はメインフレーム11に沿った方向である。
これによって、レーザ加工ヘッド151をメインフレーム11に沿って移動させることができる。
(7)
本実施の形態の搬出方法は、ワークWから切断される製品Wp(ワークピースの一例)を搬出する搬出方法であって、ステップS40(保持ステップの一例)と、ステップS50(切断ステップの一例)と、ステップS60(搬出ステップの一例)と、を備える。ステップS40は、ワークWの製品Wp以外の部分Wrと連結部分Wcで連結された状態の製品Wp(ワークピースの一例)を保持する。ステップS50は、製品Wpが保持された状態で、レーザを水平なY方向(第1方向の一例)に動かすことによって連結部分Wcを切断する。ステップS60は、ワークWから切断された製品Wpを搬出する。
【0107】
このように、本実施の形態では、ワークWから完全には切断されていないWpを保持してからレーザを照射して連結部分Wcを切断することによって、ワークWから製品Wpが完全に切断される。このように、ワークWから製品Wpを完全に切断する前に製品Wpを保持しているため、ワークWの残り部分Wrに対する製品Wpの位置ずれを防止することができる。このため、製品WpがワークWの残り部分Wrに干渉することなく、製品Wpの搬出を良好に行うことができる。
【0108】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0109】
(A)
上記実施の形態では、1つのコントローラ4が、パンチ・レーザ複合加工装置2および搬出装置3の双方の制御を行っているように図示しているが、このような構成に限らなくてもよい。例えば、パンチ・レーザ複合加工装置2および搬出装置3の各々にもコントローラが設けられ、それらのコントローラを制御する上位コントローラが設けられていてもよい。
【0110】
(B)
上記実施の形態では、レーザ加工ヘッド151は、ワーク搬送部13の移動方向であるX方向とY方向と同じ方向に移動可能に構成されているが、ワーク搬送部13の搬送方向と一致していなくてもよい。
【0111】
(C)
上記実施の形態では、移動部94および移動部96の双方を駆動してレーザ加工ヘッド151を移動させて連結部分Wcを切断しているが、連結部分Wcが直線の場合には、どちらか一方のみが設けられていてもよい。また、移動部94および移動部96の双方が設けられている場合には、連結部分Wcが直線の場合には、どちらか一方の移動部のみを駆動してもよい。
【0112】
(D)
上記実施の形態では、レーザ加工装置15およびパンチ加工部14の双方が設けられているが、パンチ加工部14が設けられていなくてもよい。
【0113】
(E)
上記実施の形態では、吸着パッド91によって製品Wpを保持しているが、吸着パッド91に限らなくてもよく、ワークWが非磁性体ではない場合にはマグネット等によって保持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の加工システムおよび搬出方法によれば、ワークピースの搬出を良好に行うことが可能な効果を有し、パンチ・レーザ複合加工装置を含むシステムなどとして有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 :加工システム
2 :パンチ・レーザ複合加工装置
3 :搬出装置
4 :コントローラ
41 :移動部
81 :保持部
82 :移動機構
151 :レーザ加工ヘッド
W :ワーク
Wc :連結部分
Wp :製品
Wr :部分