(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/60 20060101AFI20240424BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20240424BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A47J31/60
B67D1/08 Z
A47J31/40 101
(21)【出願番号】P 2020066891
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】原 俊明
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-131992(JP,A)
【文献】特開2010-148585(JP,A)
【文献】特開平05-205150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/60
B67D 1/08
A47J 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の原料粉体を貯える粉体容器と、
前記粉体容器から原料粉体を搬出する粉体搬出部と、
前記原料粉体を溶解させる原料水を供給する原料水供給部と、
前記粉体容器から前記粉体搬出部によって搬出される原料粉体と前記原料水供給部から供給される原料水を混合するための混合容器と、
前記混合容器内にて前記原料粉体と前記原料水とを撹拌によって混合する撹拌装置と、
前記粉体容器から前記粉体搬出部によって搬出される原料粉体と前記原料水供給部から供給される原料水とを前記混合容器内で前記撹拌装置により撹拌により混合して生成した飲料を供給する飲料供給プログラムを有した制御装置とを備えた飲料供給装置であって、
前記飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動して、前記粉体容器内の原料粉体を撹拌することによって原料粉体の固化を防止する固化防止手段を備え
、
前記制御装置は、前記原料水供給部と前記撹拌装置とを作動させて前記混合容器の内部を洗浄する洗浄プログラムを有し、前記洗浄プログラムの実行前または実行中に前記固化防止手段を作動させるように制御したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の飲料供給装置において、
前記制御装置は、前記飲料供給プログラムの実行に関する実行情報に基づいて前記固化防止手段の作動を制御したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の飲料供給装置において、
前記固化防止手段は、前記粉体搬出部とともに作動して原料粉体を撹拌する粉体撹拌器を備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項4】
請求項
1または2に記載の飲料供給装置において、
前記固化防止手段は、原料粉体を撹拌する粉体撹拌器と、前記粉体撹拌器を作動させる作動部とを備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粉体と原料水とを混合して生成した飲料を供給する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には飲料ディスペンサの発明が開示されている。この飲料ディスペンサは、ハウジングの前部に設けられた飲料生成注出室に、飲料の粉末原料(原料粉体)を収容するキャニスタ(粉体容器)と、キャニスタ内の粉末原料を搬出する搬出部と、搬出部によって搬出された粉末原料を受け入れて水または温水よりなる原料水と混合して飲料を生成するミキシングユニットとからなる3つの飲料生成部とを備え、水または温水以外に、3種類の飲料を供給可能としている。この飲料ディスペンサでは、各飲料生成部のキャニスタ内の粉末原料は搬出部によってミキシングユニットを構成するミキシングケース内に搬出され、粉末原料はミキシングケース内で水または湯よりなる原料水と撹拌混合されて飲料が生成され、生成された飲料は載置台に載置されたカップで受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の飲料ディスペンサは3つの飲料生成部を備えており、3つの飲料生成部の各々で飲料を生成して載置台のカップに3種類の飲料を供給可能としている。しかし、ユーザが3種類の全ての飲料を満遍なく飲むわけでなく、3つの飲料生成部はそのうちの1つがほとんど使用されない場合もある。何日も飲料生成部で飲料が生成されないときには、キャニスタ内の粉末原料が大気中の水分を吸収して固化し、飲料生成部で飲料を生成しようとしても、キャニスタから粉末原料を搬出できなくなるおそれがあった。本発明は、飲料供給装置において、原料粉体が粉体容器内で固化しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、飲料の原料粉体を貯える粉体容器と、粉体容器から原料粉体を搬出する粉体搬出部と、原料粉体を溶解させる原料水を供給する原料水供給部と、粉体容器から粉体搬出部によって搬出される原料粉体と原料水供給部から供給される原料水を混合するための混合容器と、混合容器内にて原料粉体と原料水とを撹拌によって混合する撹拌装置と、粉体容器から粉体搬出部によって搬出される原料粉体と原料水供給部から供給される原料水とを混合容器内で撹拌装置により撹拌により混合して生成した飲料を供給する飲料供給プログラムを有した制御装置とを備えた飲料供給装置であって、飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動して、粉体容器内の原料粉体を撹拌することによって原料粉体の固化を防止する固化防止手段を備え、制御装置は、原料水供給部と撹拌装置とを作動させて混合容器の内部を洗浄する洗浄プログラムを有し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段を作動させるように制御したことを特徴とする飲料供給装置を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した飲料供給装置においては、飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動して、粉体容器内の原料粉体を撹拌することによって原料粉体の固化を防止する固化防止手段を備え、制御装置は、原料水供給部と撹拌装置とを作動させて混合容器の内部を洗浄する洗浄プログラムを有し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段を作動させるように制御している。飲料供給プログラムが実行されないことが連続したとしても、粉体容器内の原料粉体は飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動する固化防止手段により撹拌されて固化が防止されるので、飲料供給プログラムを実行したときに、原料粉体が搬出されにくくなるのを防ぐことができる。さらに、固化防止手段を作動させたときには、粉体容器内の原料粉体が混合容器内に落下するおそれがあるが、原料水供給部と撹拌装置とを作動させて混合容器の内部を洗浄する洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段を作動させるように制御しているので、混合容器内に落下した原料粉体は洗浄プログラムの実行による原料水供給部から供給された原料水により撹拌されながら洗い流されるようになり、混合容器内に原料粉体が残りにくくすることができる。
【0008】
上記のように構成した飲料供給装置においては、制御装置は、飲料供給プログラムの実行に関する実行情報に基づいて固化防止手段の作動を制御するのが好ましい。飲料供給プログラムの実行に関する情報として、例えば、飲料供給プログラムの実行回数が所定の回数より少ないときには、固化防止手段を作動させるように制御することによって、粉体容器内の原料粉体の固化を防止することができ、飲料供給プログラムの実行回数が所定の回数より多いときには、固化防止手段を作動させないように制御することで、固化防止手段の不要な作動を防ぐように制御することができる。
【0009】
上記のように構成した飲料供給装置においては、固化防止手段は、粉体搬出部とともに作動して原料粉体を撹拌する粉体撹拌器を備えるようにしてもよい。同様に、固化防止手段は、原料粉体を撹拌する粉体撹拌器と、粉体撹拌器を作動させる作動部とを備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1のフロントパネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】A-A線での前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図4】ベースに形成した原料水供給口に原料水供給部が接続された状態を示す概略図である。
【
図7】第1飲料供給プログラムを実行したときのタイムチャートである。
【
図8】洗浄プログラムを実行したときのタイムチャートである。
【
図9】固化防止手段を作動させた後で洗浄プログラムを実行したときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の飲料供給装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲料供給装置10は、カップ等の容器C内に温かい水(湯)若しくは温かい茶等の温飲料、または、冷たい水若しくは茶等の冷飲料を供給するものである。
図1~
図3に示したように、飲料供給装置10は、略直方体形状のハウジング11の前部に茶等の飲料を生成するための粉末よりなる原料粉体と温水(湯)及び/または冷水(水)とを混合する飲料生成室12と、ハウジング11の後部に機械室13とを備え、ハウジング11内は仕切板14によって飲料生成室12と機械室13とに仕切られている。機械室13には混合容器35または容器Cに供給する温水(湯)を生成する温水生成器41と、混合容器35または容器Cに供給する水を冷却するための冷却水槽42と、冷却水槽42を冷却する冷凍装置(図示省略)等を備えた原料水供給部40が配設されている。
【0012】
図2及び
図3に示したように、飲料生成室12にはカップ等の容器Cを載置する載置台20と、容器C内に飲料を供給する飲料供給部30とが設けられている。この実施形態では、飲料生成室12には3種類の飲料を供給するために3つの飲料供給部30が設けられており、3つの飲料供給部30は実質的に同一の構成となっているので、以後の説明では主として1つの飲料供給部30のみを説明する。
【0013】
図1及び
図2に示したように、載置台20は飲料生成室12の下部にて左右方向の中央部に配置されている。載置台20は、カップ等の容器Cを載置する受台部21と、受台部21の上側を覆うカバー部22とを備えている。受台部21は簀の子状に形成され、カップ等の容器Cから溢出した飲料を下側に流すことができるようになっている。
【0014】
図2及び
図3に示したように、飲料供給部30は載置台20に載置した容器Cに飲料を供給するものであり、温水(湯)及び/または冷水(水)よりなる原料水と飲料原料粉体とから飲料を生成する飲料生成部31と、飲料生成部31で生成した飲料を載置台20の容器Cに案内する飲料ガイド37とを備えている。飲料生成部31は、飲料の原料粉体(粉末原料)を貯える粉体容器32と、飲料の原料粉体と原料水を混合する混合容器35と、混合容器35内で原料粉体と原料水とを撹拌して混合させる撹拌装置36とを備えている。
【0015】
粉体容器32は茶、紅茶等の粉末よりなる飲料の原料粉体を貯えるものであり、飲料生成室12に設けたベース15に着脱可能に取り付けられている。粉体容器32の底部には原料粉体の搬出口32aが設けられており、原料粉体は搬出口32aから混合容器35に搬出される。粉体容器32には原料粉体を搬出する粉体搬出部33が設けられている。この実施形態の粉体搬出部33は、粉体容器32の下部に設けられたスクリュー33aと、スクリュー33aを回転させる粉体搬出用モータ33bと、粉体搬出用モータ33bの駆動をスクリュー33aに伝達するカップリング部材33cとを備えている。スクリュー33aが粉体搬出用モータ33bの駆動によって回転すると、粉体容器32内の原料粉体は搬出口32aから混合容器35内に搬出される。
【0016】
粉体容器32には原料粉体が固化するのを防ぐ固化防止手段34が設けられている。この実施形態の固化防止手段34は、粉体容器32内に設けられた粉体撹拌器34aを備えている。粉体撹拌器34aは弾性変形可能な細長い薄板を用いたものであり、粉体撹拌器34aの上端部は粉体容器32の後壁上部に支持され、粉体撹拌器34aの下部は粉体容器32内にてスクリュー33aの螺旋部33a1に当たる位置に配置されている。粉体撹拌器34aの下部はスクリュー33aを回転させたときに螺旋部33a1によって前後に揺動し、粉体容器32内の原料粉体は前後に揺動する粉体撹拌器34aによって撹拌される。
【0017】
図3に示したように、混合容器35は原料粉体と温水(湯)及び/または冷水(水)よりなる原料水とを撹拌して混合させるものであり、飲料生成室12に設けたベース15に着脱可能に支持されている。混合容器35は粉体容器32の下側で開口しており、粉体容器32の搬出口32aから搬出される原料粉体は混合容器35内に流入する。混合容器35の底部には放出口35aが形成されており、混合容器35内で撹拌されて混合された飲料は放出口35aから下側に設けた飲料ガイド37に放出される。
【0018】
図4に示したように、ベース15には混合容器35内に温水(湯)及び/または冷水(水)よりなる原料水を供給するための原料水供給口15aが設けられている。原料水供給口15aには後述する原料水供給部40が接続されており、混合容器35には原料水供給部40から送られる原料水が原料水供給口15aを通って供給される。
【0019】
図3に示したように、混合容器35には撹拌装置36が設けられており、撹拌装置36は、混合容器35の後側のベース15に設けた撹拌用モータ36aと、撹拌用モータ36aによって回転する回転軸36dと、回転軸36dの先端に設けられた円板部36eとを備えている。撹拌用モータ36aの出力軸にはカップリング用のマグネット36bが設けられ、回転軸36dの撹拌用モータ36a側となる基端にはカップリング用のマグネット36cが設けられている。回転軸36dはカップリング用のマグネット36b,36cによって撹拌用モータ36aに着脱可能に連結され、撹拌用モータ36aはカップリング用のマグネット36b,36cを介して回転軸36dを回転させる。回転軸36dは混合容器35の底部の放出口35aの上側に延出し、回転軸36dの先端には放出口35aの上側で円板部36eが設けられている。回転軸36dの先端の円板部36eの下面には撹拌羽根36fが設けられており、混合容器35内の原料粉体と原料水とは円板部36eの回転によって撹拌混合されて飲料となる。
【0020】
図2に示したように、飲料ガイド37は飲料生成部31で生成した飲料を載置台20に載置した容器Cに案内するものである。飲料ガイド37は浅い箱形をし、載置台20のカバー部22の上側に支持されている。飲料ガイド37には載置台20の前部で左右方向の中央部の上側で下方に延びる円筒形をした飲料注出部37aが設けられており、混合容器35から飲料ガイド37に放出された飲料は飲料注出部37aから載置台20の容器Cに注出される。
【0021】
図5に示したように、原料水供給部40は、温水(湯)を供給する温水生成器41と、冷水(水)を供給する冷却水槽42とを備えている。温水生成器41は、水を加熱して温水を生成するための温水タンク41aと、温水タンク41a内の水(温水)を加熱するヒータ41bとを備えている。また、温水タンク41a内には水位センサ41cと温度センサ41dが設けられており、水位センサ41cは温水タンク41a内の上部にて所定範囲の水位を検出し、温度センサ41dは温水タンク41a内の温水の温度を検出している。ヒータ41bは温度センサ41dの検出温度に基づいて通電が制御され、温水タンク41a内の温水はヒータ41bの通電制御によって例えば94℃±1となるように制御されている。
【0022】
図5に示したように、温水タンク41aの上部には水道等の給水源から導出される第1給水管43が接続され、温水タンク41aの下部には温水を送り出す送湯管44が接続され、温水タンク41aの底部の排水口には水を排出する排水管45が接続されている。第1給水管43には第1及び第2給水弁43a,43bが介装されており、給水源の水は第1及び第2給水弁43a,43bを開放することによって温水タンク41aに供給される。第1及び第2給水弁43a,43bは水位センサ41cの検出水位に基づいて開閉制御され、温水タンク41a内の温水(水)は第1及び第2給水弁43a,43bの開閉制御によって所定範囲の水位となるように制御されている。
【0023】
送湯管44には送湯ポンプ44aが介装されており、温水タンク41a内の温水は送湯ポンプ44aによって送湯管44に送られる。また、送湯管44には三方弁よりなる温水用の第1~第4原料水供給弁44b(44b1~44b4)が介装されており、温水用の第1~第4原料水供給弁44b(44b1~44b4)には温水用の第1~第4原料水供給管44c(44c1~44c4)が接続されている。第1原料水供給管44c1の導出端部は左側の飲料供給部30の原料水供給口15aに接続されており、第2原料水供給管44c2の導出端部は左右方向の中央の飲料供給部30の原料水供給口15aに接続されており、第3原料水供給管44c3の導出端部は右側の飲料供給部30の原料水供給口15aに接続されており、第4原料水供給管44c4の導出端部は載置台20のカバー部22に配設されている。
【0024】
排水管45には排水弁45aが介装されており、温水タンク41a内の温水は排水弁45aを開放することによって排水管45を通って外部に排出される。また、排水管45には排水弁45aよりも上流側に送湯管44の導出端部が接続されており、温水タンク41a内の湯は送湯管44を通って循環可能となっている。送湯ポンプ44aが定期的に一定時間作動することによって、送湯管44内には温水タンク41aから温度の高い温水が常に供給された状態となっており、第1~第4原料水供給管44c(44c1~44c4)から供給される温水も常に温度の高い温水となる。
【0025】
第1給水管43には第1給水弁43aの直ぐ下流側(第1給水弁43aと第2給水弁43bの間)に原料水供給路を構成する第2給水管46が接続されており、水道等の給水源の水は第1給水管43の一部と第2給水管46を通って冷却水槽42に供給される。冷却水槽42内には内部の冷却水を冷却する冷凍装置の蒸発管42aと、原料水を冷却する原料水冷却管42bが設けられている。冷却水槽42内の冷却水は冷凍装置の蒸発管42aを循環する冷媒により冷却され、給水源の水は原料水冷却管42bを通過するときに冷却水によって冷却されて冷水よりなる原料水となる。
【0026】
冷却水槽42の原料水冷却管42bには送水管47が接続されており、原料水冷却管42bにより冷却された冷水よりなる原料水は送水管47に送出される。送水管47には冷水を送り出す第1~第3分岐部47a~47cが設けられており、第1~第3分岐部47a~47cと送水管47の先端部47dには冷水用の第5~第8原料水供給弁47e(47e1~47e4)が設けられている。冷水用の第5~第8原料水供給弁47e(47e1~47e4)には冷水用の第5~第8原料水供給管47f(47f1~47f4)の導入端部が接続されており、冷水用の第5~第8原料水供給管47f(47f1~47f4)の導出端部は温水用の第1~第4原料水供給管44c(44c1~44c4)の中間部に接続されている。
【0027】
給水源の水は、第1給水弁43aと、冷水用の第5原料水供給弁47e1、第6原料水供給弁47e2または第7原料水供給弁47e3を開放させることで、第1給水管43の一部と第2給水管46を通って冷却水槽42の原料水冷却管42bに送られて冷却されて冷水よりなる原料水となり、冷水よりなる原料水は送水管47と、第5原料水供給管47f1、第6原料水供給管47f2または第7原料水供給管47f3と、第5原料水供給管47f1に接続された第1原料水供給管44c1、第6原料水供給管47f2に接続された第2原料水供給管44c2または第7原料水供給管47f3に接続された第3原料水供給管44c3とを通って混合容器35内に供給される。また、給水源の水は、第1給水弁43aと、冷水用の第8原料水供給弁47e4を開放させることで、第1給水管43の一部と第2給水管46を通って冷却水槽42の原料水冷却管42bに送られて冷却されて冷水よりなる原料水となり、冷水よりなる原料水は送水管47と、第8原料水供給管47f4と、第8原料水供給管47f4に接続された第4原料水供給管44c4とを通って載置台20に載置したカップ等の容器Cに供給される。
【0028】
図6に示したように、飲料供給装置10は、載置台20に載置した容器Cに飲料の供給を制御する制御装置50を備えており、制御装置50は、フロントパネル16に設けた操作スイッチ17、粉体搬出用モータ33b、撹拌用モータ36a、ヒータ41b、水位センサ41c、温度センサ41d、第1及び第2給水弁43a,43b、送湯ポンプ44a、第1~第4原料水供給弁44b(44b1~44b4)、第5~第8原料水供給弁47e(47e1~47e4)に接続されている。制御装置50は、飲料を自動で供給する飲料供給プログラムを有しており、飲料供給プログラムは温かい飲料を自動で供給する第1飲料供給プログラムと、冷たい飲料を自動で供給する第2飲料供給プログラムとから構成されている。
【0029】
湯や茶等の飲料の原料粉体を含む温かい飲料を供給する第1飲料供給プログラムは、操作スイッチ17の操作に基づいて、送湯ポンプ44aの作動制御と温水用の第1原料水供給弁44b1(第2~第4原料水供給弁44b2~44b4)の開閉制御と、第1給水弁43aと温度調節に用いる冷水用の第5原料水供給弁47e1(第6~第8原料水供給弁47e2~47e4)との開閉制御とをするとともに、粉体搬出用モータ33bと撹拌用モータ36aとの作動を制御することにより、載置台20に載置したカップ等の容器Cに湯または茶等の飲料の原料粉体を含む温かい飲料を供給するように制御している。
【0030】
冷水や茶等の飲料の原料粉体を含む冷たい飲料を供給する第2飲料供給プログラムは、操作スイッチ17の操作に基づいて、第1給水弁43aと冷水用の第5原料水供給弁47e1(第6~第8原料水供給弁47e2~47e4)との開閉制御をするとともに、粉体搬出用モータ33bと撹拌用モータ36aとの作動を制御することにより、載置台20に載置したカップ等の容器Cに冷水または茶等の飲料の原料粉体を含む冷たい飲料を供給するように制御している。
【0031】
例えば、左側の飲料供給部30に対応した温かい茶等の飲料を供給する第1飲料供給プログラムに相当する操作スイッチ17の操作信号が制御装置50に入力されると(
図7のaのタイミング)、制御装置50は、先ず、
図7のb~cのタイミングで示したように、粉体搬出用モータ33bを作動させて、粉体容器32の原料粉体を混合容器35内に搬出させる。制御装置50は、次に、
図7のc~dのタイミングで示したように、送湯ポンプ44aを作動させるとともに、
図7のc~eのタイミングで示したように、温水用の第1原料水供給弁44b1を開放させることで、第1原料水供給管44c1から混合容器35内に温水が供給され、
図7のc~fのタイミングで示したように、撹拌用モータ36aを作動させることによって、混合容器35内で原料粉体と温水よりなる原料水が撹拌によって混合されて飲料が生成される。
【0032】
供給する飲料の温度に応じて、制御装置50は、
図7のd~hのタイミングに示したように、冷水用の第5原料水供給弁47e1を開放するとともに、
図7のe~gのタイミングに示したように、第1給水弁43aを開放するように制御すると、第5原料水供給管47f1を通って第1原料水供給管44c1から混合容器35内に冷水が供給される。撹拌用モータ36aを作動させているときには、混合容器内35内の飲料(原料粉体と原料水)は回転する円板部36eの撹拌羽根36fによって遠心力が付与されて放出口35aから放出されず、
図7のfのタイミングで撹拌用モータ36aの作動を停止させると、混合容器内35内の飲料は遠心力が付与されずに放出口35aから飲料ガイド37に放出される。放出された飲料は飲料ガイド37を通って載置台20に載置された容器Cに注ぎ出される。
【0033】
また、
図7のfのタイミングで撹拌用モータ36aの作動を停止させた後で、
図7のgのタイミングに示したように、第1給水弁43aを閉止するとともに、
図7のhのタイミングに示したように、第5原料水供給弁47e1を閉止するように制御している。混合容器35の周壁内面に残っている飲料の原料粉体は第5原料水供給管47f1を通って第1原料水供給管44c1から供給される冷水よりなる原料水により洗い流されて、原料粉体を洗い流した原料水は放出口35aから飲料ガイド37に放出される。放出された飲料は飲料ガイド37を通って載置台20に載置された容器Cに注ぎ出される。この洗い流すための原料水を含めることで、容器Cに供給される飲料は適切な原料粉体の濃度となる。
【0034】
また、この飲料供給装置10においては、制御装置50は、上述した飲料供給プログラムにより飲料を供給可能な状態としている運転モードと、飲料供給プログラムによる飲料の供給を不可な状態とする運転停止モードとを交互に実行するように制御している。運転モードはユーザが飲料供給装置10により飲料の供給を望む時間帯(例えば、7時~21時)で設定されるものであり、運転停止モードはユーザが飲料供給装置10により飲料の供給を望まない時間帯(例えば21時~翌朝の7時)で設定されるものであり、運転モード及び運転停止モードの各時間帯はユーザの使用状況によって任意に設定可能である。
【0035】
制御装置50は、運転モードとしているときには、温水生成器41の温水タンク41a内の温水を所定範囲の水位となるように第1及び第2給水弁43a,43bを開閉制御するとともに、温水タンク41a内の温水を給湯に適した水温となるようにヒータ41bの作動を制御し、操作スイッチ17により飲料供給プログラムの実行信号を受付け可能としている。また、制御装置50は、運転停止モードとしているときには、温水生成器41の作動を停止、すなわち、温水生成器41の温水タンク41a内に新たに水が供給されないようにするとともに、温水タンク41a内の温水の加熱をしないようにしており、さらに、操作スイッチ17により飲料供給プログラムの実行信号を受付けされない状態としている。
【0036】
制御装置50は、運転停止モードを開始したときに、混合容器35内を洗浄する洗浄プログラムを実行するように制御している。洗浄プログラムは、運転モードで飲料供給プログラムを実行したときに、混合容器35の周壁内面に僅かに残る原料粉体を洗い流すことを目的としたものである。洗浄プログラムは、
図8のb~cの間で示したように、送湯ポンプ44aを一定時間作動させるとともに、
図8のb~dの間で示したように、温水用の第1原料水供給弁44b1を一定時間開放させることで、混合容器35内に温水よりなる原料水を供給し、
図8のb~eの間で示したように、これらと同時に撹拌用モータ36aを一定時間作動させることで、混合容器35内の原料水を一定時間撹拌することで、混合容器35の周壁内面に付着している原料粉体を洗浄用に供給した原料水により洗い流すようにしている。なお、上記は左側の飲料供給部30を洗浄する洗浄プログラムに関するものであるが、中央及び右側の飲料供給部30を洗浄する洗浄プログラムに関しても同様である。
【0037】
また、この飲料供給装置10においては、制御装置50は、この実施形態では運転停止モードで固化防止手段34を作動可能に制御している。固化防止手段34は飲料供給プログラムとは異なる(別の)制御によって作動して、粉体容器32内の原料粉体を撹拌することによって原料粉体の固化を防止するように制御されている。この実施形態では、制御装置50は、粉体容器32内の原料粉体の固化を防止することを目的として、運転モードでの飲料供給プログラムの実行回数が少ないとき(例えば、実行回数が所定回数として例えば2回より少ないとき)に洗浄プログラムを実行する前に固化防止手段34を作動させるように制御している。
【0038】
詳述すると、この飲料供給装置10は、冷水及び温水以外に、3種類の飲料を供給可能としているが、ユーザが3種類の全ての飲料を満遍なく供給させるわけでなく、3つの飲料供給部30の一部でほとんど飲料が供給されないこともある。制御装置50は、運転モードでの飲料供給プログラムの実行に関する実行情報として、運転モードで各飲料供給部30での飲料供給プログラムの実行回数をカウントしている。制御装置50は、直前まで実行していた運転モードでの飲料供給プログラムの実行回数が所定回数として2回より少ないときに、運転停止モードで固化防止手段34を作動させるように制御している。
【0039】
また、固化防止手段34の粉体撹拌器34aは粉体搬出用モータ33bの作動によって回転するスクリュー33aと連動して作動するものであるので、
図9のa~bの間で粉体搬出用モータ33bにより固化防止手段34の粉体撹拌器34aを作動させると、粉体容器32の原料粉体は固化防止手段34の作動とともに回転するスクリュー33aによって混合容器35に放出される。このため、運転停止モードで、固化防止手段34を作動させるときには、
図9のbのタイミング以後に示したように、固化防止手段34を作動させた後で上述した洗浄プログラムを実行させるように制御している。固化防止手段34を作動させたときに落下した原料粉体を洗浄プログラムによる原料水により洗い流すようにしている。このように、運転モードが終了して運転停止モードを実行開始するときに、固化防止手段34を作動させるように制御しているので、粉体容器32内の原料粉体が固化するのを防ぐことができる。
【0040】
上記のように構成した飲料供給装置10は、飲料の原料粉体を貯える粉体容器32と、粉体容器32から原料粉体を搬出する粉体搬出部33と、原料粉体を溶解させる原料水を供給する原料水供給部40と、粉体搬出部33によって搬出された粉体容器32内の原料粉体と原料水供給部40から供給される原料水を混合するための混合容器35と、混合容器35内にて原料粉体と原料水とを撹拌によって混合する撹拌装置36と、粉体容器32から粉体搬出部33によって搬出される原料粉体と原料水供給部40から供給される原料水とを混合容器35内で撹拌装置36により撹拌により混合して生成した飲料を供給する飲料供給プログラムを有した制御装置50とを備えている。
【0041】
この実施形態の飲料供給装置10は、冷水と温水以外に、3種類(複数)の飲料を供給可能としていて、3つ(複数)の飲料供給部30の全てで満遍なく飲料が供給されるとは限らず、一部の飲料供給部30で飲料がほとんど供給されないこともある。この飲料供給装置10においては、飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動して、粉体容器32内の原料粉体を撹拌することによって原料粉体の固化を防止する固化防止手段34を備えている。この実施形態の固化防止手段34は、粉体容器32内に配設されて、粉体搬出部33とともに作動して原料粉体を撹拌する粉体撹拌器34aを備えている。これによって、一部の飲料供給部30で飲料供給プログラムが実行されないことが連続したとしても、粉体容器32内の原料粉体は飲料供給プログラムとは異なる制御によって作動する固化防止手段34の粉体撹拌器34aを揺動(作動)させることによって撹拌されて固化が防止され、飲料供給プログラムを実行したときに、原料粉体が搬出されにくくなるのを防ぐことができる。
【0042】
また、この実施形態の固化防止手段34の粉体撹拌器34aは、粉体搬出部33のスクリュー33aと連動して作動するように構成されているので、固化防止手段34を作動させるには粉体搬出部33のスクリュー33aを回動させなければならず、粉体容器32内の原料粉体は固化防止手段34を作動させるためのスクリュー33aの回動によって混合容器35内に搬出されることになる。これに対し、この実施形態の飲料供給装置10においては、制御装置50は、原料水供給部40と撹拌装置36とを作動させて混合容器35の内部を洗浄する洗浄プログラムの実行前に固化防止手段34を作動させるように制御している。
【0043】
粉体搬出部33のスクリュー33aを回動させることによって固化防止手段34を作動させたときには、粉体容器32内の原料粉体が混合容器35内に落下するようになるが、洗浄プログラムの実行前に固化防止手段34を作動させるように制御しているので、混合容器35内に落下した原料粉体は洗浄プログラムの実行による原料水供給部40から供給された原料水により撹拌されながら洗い流されるようになり、混合容器35内に原料粉体が残りにくくすることができる。なお、この実施形態では、洗浄プログラムの実行前に固化防止手段34のを作動させるように制御しているが、これに限られるものではなく、洗浄プログラムの実行中に固化防止手段34を作動させるように制御したものであっても同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
この実施形態では、制御装置50は、運転停止モードを開始したときに、混合容器35内を洗浄する洗浄プログラムを実行するように制御するとともに、洗浄プログラムの実行前に固化防止手段34を作動させるように制御している。本発明はこれに限られるものではなく、制御装置50は、運転停止モードの開始前、すなわち、運転モードの終了前、または、運転停止モードの実行中に洗浄プログラムを実行するように制御し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。同様に、制御装置50は、運転モードの開始前、すなわち、運転停止モードの終了前、または、運転モードの開始後、すなわち、運転停止モードの終了後に洗浄プログラムを実行するように制御し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。同様に、制御装置50は、飲料供給プログラムの実行回数が所定回数となったとき、飲料供給プログラムの最後の実行から所定時間経過後、または、所定時刻となったときに洗浄プログラムを実行するように制御し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。同様に、制御装置50は、フロントパネル16に設けた洗浄用の操作スイッチの操作によって洗浄プログラムを実行するように制御し、洗浄プログラムの実行前または実行中に固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。さらに、固化防止手段34の作動中または作動後に洗浄プログラムを実行させているが、この後の直ぐまたは所定の時間が経過してから、追加で洗浄プログラムだけを実行させるように制御してもよい。
【0045】
この飲料供給装置10においては、制御装置50は、各々の飲料供給部30での飲料供給プログラムの実行に関する実行情報として、各々の飲料供給部30での飲料供給プログラムの実行回数をカウントしている。制御装置50は、飲料供給プログラムの実行回数の少ない飲料供給部30で、運転停止モードを開始するときに、固化防止手段34を作動させるように制御している。これによって、制御装置50は、飲料供給プログラムの実行回数が少ないときに、固化防止手段34を作動させるように制御することで、粉体容器32内の原料粉体の固化が防止され、飲料供給プログラムの実行回数が多いときに、固化防止手段34を作動させないように制御することで、固化防止手段34の無駄な作動を防ぐことができる。
【0046】
なお、この実施形態の飲料供給装置10においては、運転モードでの飲料供給プログラムの実行に関する実行情報として、運転モードでの飲料供給プログラムの実行回数が所定回数として2回より少ないときに、運転停止モードで固化防止手段34を作動させるように制御している。本発明は、これに限られるものではなく、運転モードでの飲料供給プログラムの実行回数が2回以上であっても少ない回数であるときや、運転モードでの粉体搬出用モータ33bの作動時間が所定の時間より短いときに、運転停止モードで固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。さらに、不必要なタイミングで固化防止手段34の作動となるおそれがあるが、運転モードでの飲料供給プログラムの実行回数に関わらず、運転停止モードで固化防止手段34を作動させるように制御してもよい。
【0047】
この実施形態の飲料供給装置10においては、制御装置50は、運転モードと運転停止モードとを交互に実行するように制御しているが、これに限られるものではなく、運転モードを連続して実行するように制御したものであってもよい。この場合には、制御装置50は、所定の時間内の飲料供給プログラムの実行回数が所定の下限回数より少ないときや、所定の時間内の粉体搬出用モータ33bの作動時間が所定の下限時間より短いときに、固化防止手段34を作動させるように制御する。また、固化防止手段34を作動させるように制御するときには、固化防止手段34の作動中に洗浄プログラムを実行させるか、固化防止手段34の作動後に洗浄プログラムを実行させるように制御するのが好ましい。
【0048】
この実施形態の固化防止手段34は、粉体容器32内に配設されて、粉体搬出部33とともに作動して原料粉体を撹拌する粉体撹拌器34aを備えている。固化防止手段34の粉体撹拌器34aはこれに限られるものではなく、粉体搬出部33のスクリュー33aの外周部に一体的または別体で板状または棒状等の種々の形状の撹拌部(粉体撹拌器)を設け、撹拌部を粉体搬出部33のスクリュー33aとともに粉体容器32内で回動させることで、粉体容器32内の原料粉体を撹拌して固化を防止するようにしてもよい。さらに、固化防止手段34は、粉体容器32内に配設されて原料粉体を撹拌する板状または棒状等の種々の形状の粉体撹拌器と、粉体撹拌器をスクリュー33aと連動させずに単独で作動させる電動モータ等の作動部を備えるようにしたものであってもよい。作動部によって粉体撹拌器を作動させたときにも、原料粉体が粉体容器32から混合容器35内に落下するおそれがあるので、洗浄プログラムの実行前または実行中に作動部によって粉体撹拌器を作動させるのが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
10…飲料供給装置、32…粉体容器、33…粉体搬出部、34…固化防止手段、34a…粉体撹拌器、35…混合容器、36…撹拌装置、40…原料水供給部、50…制御装置。