(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20240424BHJP
F24D 11/00 20220101ALI20240424BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240424BHJP
F24F 11/47 20180101ALI20240424BHJP
【FI】
F24F11/65
F24D11/00 Z
F24F5/00 102
F24F11/47
(21)【出願番号】P 2020076029
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】萩平 隆司
(72)【発明者】
【氏名】上田 真也
(72)【発明者】
【氏名】石原 憲司
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾伏 唯之
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-303759(JP,A)
【文献】特開2002-277017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/65
F24D 11/00
F24F 5/00
F24F 11/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し
、
前記温調用熱媒体流路に対して並列状態で接続されて前記熱媒体が通流可能な優先放熱用熱媒体流路に、前記放熱部としての優先放熱用放熱部が配置され、
前記運転制御部が、前記優先放熱運転において、前記優先放熱用熱媒体流路に前記熱媒体を通流させて前記蓄熱部の蓄熱を前記優先放熱用放熱部から前記熱媒体に放熱させる蓄熱システム。
【請求項2】
前記優先放熱用放熱部は、前記温調用放熱部よりも大きい放熱容量を有
している請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項3】
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記熱需要部での熱負荷が高負荷域にある場合には、前記優先放熱用熱媒体流路に前記熱媒体を通流させて前記蓄熱部の蓄熱を前記優先放熱用放熱部から前記熱媒体に放熱させながら前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する増強放熱運転を実行する
請求項1又は2に記載の蓄熱システム。
【請求項4】
蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記優先放熱運転を実行して前記蓄熱部の蓄熱残量が前記第1蓄熱残量よりも少ない所定の第2蓄熱残量以下となった場合には、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部で前記熱媒体を温調する熱源部温調運転を実行す
る蓄熱システム。
【請求項5】
蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記特定時刻よりも前に前記蓄熱部の蓄熱残量が
前記第1蓄熱残量よりも少ない所定の第2蓄熱残量以下となった場合には、前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させながら前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる蓄放熱運転を実行すると共に、前記特定時刻以降は当該蓄放熱運転の実行を禁止す
る蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の蓄熱時間帯において蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間において割安な夜間電力を利用して作動させた蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、夜間以外の昼間において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱需要部へ供給される熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1記載の蓄熱システムは、蓄熱用熱源部として冷凍機(2)を備え、蓄熱部として氷蓄熱槽(1)を備え、放熱部として水-ブライン熱交換器(11,12)を備える。そして、蓄熱運転は、冷凍機(2)を作動させて氷蓄熱槽(1)との間で循環されるブラインを冷却することで氷蓄熱槽(1)で製氷を行う形態で実行される。一方、放熱運転は、水-ブライン熱交換器(11,12)において氷蓄熱槽(1)との間で循環されるブラインとの熱交換により熱需要部へ供給される冷水(熱媒体)を冷却することで氷蓄熱槽(1)で解氷を行う形態で実行される。
【0004】
更に、この特許文献1記載の蓄熱システムは、特定時刻(例えば18時)から蓄熱運転開始時刻までの間は、現時刻から次の蓄熱運転開始時刻までの予測空調負荷(熱負荷)と推定放熱可能量(蓄熱残量)とが略同じ大きさになるように、冷凍機(2)の運転より氷蓄熱槽(1)からの放熱を優先させる氷優先放熱モードと、氷蓄熱槽(1)からの放熱より冷凍機(2)の運転を優先させる冷凍機優先モードとを切り替えるように構成されている。このことで、蓄熱運転開始時刻までに、氷蓄熱槽(1)の蓄熱残量が熱負荷に対して不足しない状態を維持しながら、蓄熱運転開始時刻において氷蓄熱槽(1)の蓄熱残量を有効に使い切ることができる。また、特許文献1記載の蓄熱システムには、熱需要部に供給される冷水の通流経路において上記放熱部に対して補助熱源機(7,8)が並列状態で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1記載の蓄熱システムのように、熱需要部に供給される熱媒体の通流経路において、蓄熱部の蓄熱を熱媒体へ放熱する放熱部と熱媒体を温調可能な補助熱源部とが並列状態で接続されている蓄熱システムでは、昼間などの放熱時間帯において、熱需要部への熱媒体の供給量が増加する場合には、補助熱源機で温調した冷水を補充することができるが、熱需要部への熱媒体の供給量の増加を伴うことなく熱負荷が増加する場合には、蓄熱部の蓄熱を放熱する放熱部のみで熱需要部へ供給される熱媒体の温調が行われることになる。よって、放熱時間帯において熱負荷が比較的高い熱需要部に対し十分な熱を安定して供給することができない場合があった。また、このような問題を解決するために、放熱時間帯において放熱部よりも優先して補助熱源部を作動させて熱媒体の温調を行うことも考えられるが、この場合には、蓄熱運転開始時までに蓄熱部の熱を有効に消費できず、蓄熱残量として蓄熱が無駄に残ってしまい、その結果エネルギー効率が低下することが懸念される。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、夜間などの蓄熱時間帯において作動させた蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、昼間などの放熱時間帯において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱需要部へ供給される熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムにおいて、エネルギー効率を向上してランニングコストを軽減しながら、熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を適切且つ安定して供給できる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し、
前記温調用熱媒体流路に対して並列状態で接続されて前記熱媒体が通流可能な優先放熱用熱媒体流路に、前記放熱部としての優先放熱用放熱部が配置され、
前記運転制御部が、前記優先放熱運転において、前記優先放熱用熱媒体流路に前記熱媒体を通流させて前記蓄熱部の蓄熱を前記優先放熱用放熱部から前記熱媒体に放熱させる点にある。
【0009】
本構成によれば、電力が割安な夜間などの蓄熱時間帯において蓄熱運転が実行されることで蓄熱用熱源部から蓄熱部への蓄熱が行われ、熱負荷が比較的高めの昼間などの放熱時間帯において放熱運転が実行されることで、蓄熱部から空調装置などの熱需要部に供給される熱媒体への放熱が行われる。そして、熱需要部での熱負荷が比較的高い状態となる放熱時間帯において、通常放熱運転が実行されることで、温調用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が、作動中の温調用熱源部の発生熱と温調用放熱部の放熱との両方で温調される。このことで、放熱時間帯において熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を安定して供給することができる。
更に、放熱時間帯の特定時刻に蓄熱部の蓄熱残量が第1蓄熱残量以上であり、例えばそのまま通常放熱運転の実行が継続されると蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱を有効に消費できずに無駄な蓄熱が残ってしまうと判断できる場合には、優先放熱運転が実行されて温調用熱源部が停止されることで、熱需要部へ供給される熱媒体が、優先的に放熱部の放熱で温調される。このことで、蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱をできるだけ多く消費して無駄な蓄熱が残らないようにして、エネルギー効率を向上することができる。
従って、本発明により、夜間などの蓄熱時間帯において作動させた蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、昼間などの放熱時間帯において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱需要部へ供給される熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムにおいて、エネルギー効率を向上してランニングコストを軽減しながら、熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を適切且つ安定して供給できる技術を提供することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記優先放熱用放熱部は、前記温調用放熱部よりも大きい放熱容量を有している点にある。
【0011】
本構成によれば、優先放熱運転実行時において、蓄熱部の蓄熱が、温調用放熱部よりも放熱容量が大きい優先放熱用放熱部から熱媒体に放熱されるので、熱媒体に対する放熱部による単位時間当たりの放熱量を増加させて蓄熱部の蓄熱の消費を促進させることができる。よって、蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱をより一層多く消費して、蓄熱残量を減らすことで、更なるエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記熱需要部での熱負荷が高負荷域にある場合には、前記優先放熱用熱媒体流路に前記熱媒体を通流させて前記蓄熱部の蓄熱を前記優先放熱用放熱部から前記熱媒体に放熱させながら前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する増強放熱運転を実行する点にある。
【0013】
本構成によれば、放熱時間帯において熱需要部での熱負荷が高負荷域にあり、例えばそのままでは熱負荷に対して供給熱量が不足すると判断できる場合には、増強放熱運転が実行されることで、優先放熱用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が、優先放熱用放熱部の放熱で温調されると共に、温調用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が、作動中の温調用熱源部の発生熱と温調用放熱部の放熱との両方で温調される。このことで、熱需要部に対してより多くの熱を供給して、熱需要部での熱負荷に対する供給熱量の不足を解消することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記優先放熱運転を実行して前記蓄熱部の蓄熱残量が前記第1蓄熱残量よりも少ない所定の第2蓄熱残量以下となった場合には、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部で前記熱媒体を温調する熱源部温調運転を実行する点にある。
【0015】
本構成によれば、電力が割安な夜間などの蓄熱時間帯において蓄熱運転が実行されることで蓄熱用熱源部から蓄熱部への蓄熱が行われ、熱負荷が比較的高めの昼間などの放熱時間帯において放熱運転が実行されることで、蓄熱部から空調装置などの熱需要部に供給される熱媒体への放熱が行われる。そして、熱需要部での熱負荷が比較的高い状態となる放熱時間帯において、通常放熱運転が実行されることで、温調用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が、作動中の温調用熱源部の発生熱と温調用放熱部の放熱との両方で温調される。このことで、放熱時間帯において熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を安定して供給することができる。
更に、放熱時間帯の特定時刻に蓄熱部の蓄熱残量が第1蓄熱残量以上であり、例えばそのまま通常放熱運転の実行が継続されると蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱を有効に消費できずに無駄な蓄熱が残ってしまうと判断できる場合には、優先放熱運転が実行されて温調用熱源部が停止されることで、熱需要部へ供給される熱媒体が、優先的に放熱部の放熱で温調される。このことで、蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱をできるだけ多く消費して無駄な蓄熱が残らないようにして、エネルギー効率を向上することができる。
従って、本発明により、夜間などの蓄熱時間帯において作動させた蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、昼間などの放熱時間帯において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱需要部へ供給される熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムにおいて、エネルギー効率を向上してランニングコストを軽減しながら、熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を適切且つ安定して供給できる技術を提供することができる。
また、本構成によれば、放熱時間帯において優先放熱運転の実行により蓄熱部の蓄熱残量が第2蓄熱残量以下となり、例えば熱需要部での熱負荷が比較的低くなる蓄熱時間帯になる前のタイミングで蓄熱部の蓄熱の略全てが消費されたと判断できる場合には、熱源部温調運転が実行されることで、温調用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が温調用熱源部で温調される。このことで、蓄熱部の蓄熱の略全てが優先放熱運転の実行により消費されてから蓄熱時間帯になるまでの時間帯に、熱負荷が比較的低くなった熱需要部に対して継続的に十分な熱を供給することができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、蓄熱部と、前記蓄熱部に蓄熱される熱を発生可能な蓄熱用熱源部と、前記蓄熱部の蓄熱を熱需要部に供給される熱媒体に放出可能な放熱部と、を備え、
所定の蓄熱時間帯において前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の放熱時間帯において前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する運転制御部を備えた蓄熱システムであって、
前記熱媒体が通流可能な温調用熱媒体流路に、前記熱媒体を温調可能な温調用熱源部と前記放熱部としての温調用放熱部とが直列配置され、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記放熱運転として、前記温調用熱源部を作動させた状態で前記温調用熱媒体流路に熱媒体を通流させて前記温調用熱源部と前記温調用放熱部とで前記熱媒体を温調する通常放熱運転を実行すると共に、所定の特定時刻に前記蓄熱部の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量以上である場合には前記温調用熱源部を停止した状態で前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる優先放熱運転を実行し、
前記運転制御部が、前記放熱時間帯において、前記特定時刻よりも前に前記蓄熱部の蓄熱残量が前記第1蓄熱残量よりも少ない所定の第2蓄熱残量以下となった場合には、前記蓄熱用熱源部を作動させて当該蓄熱用熱源部の発生熱を前記蓄熱部に蓄熱させながら前記蓄熱部の蓄熱を前記放熱部から前記熱媒体に放熱させる蓄放熱運転を実行すると共に、前記特定時刻以降は当該蓄放熱運転の実行を禁止する点にある。
【0017】
本構成によれば、電力が割安な夜間などの蓄熱時間帯において蓄熱運転が実行されることで蓄熱用熱源部から蓄熱部への蓄熱が行われ、熱負荷が比較的高めの昼間などの放熱時間帯において放熱運転が実行されることで、蓄熱部から空調装置などの熱需要部に供給される熱媒体への放熱が行われる。そして、熱需要部での熱負荷が比較的高い状態となる放熱時間帯において、通常放熱運転が実行されることで、温調用熱媒体流路を通流して熱需要部に供給される熱媒体が、作動中の温調用熱源部の発生熱と温調用放熱部の放熱との両方で温調される。このことで、放熱時間帯において熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を安定して供給することができる。
更に、放熱時間帯の特定時刻に蓄熱部の蓄熱残量が第1蓄熱残量以上であり、例えばそのまま通常放熱運転の実行が継続されると蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱を有効に消費できずに無駄な蓄熱が残ってしまうと判断できる場合には、優先放熱運転が実行されて温調用熱源部が停止されることで、熱需要部へ供給される熱媒体が、優先的に放熱部の放熱で温調される。このことで、蓄熱時間帯になるまでの間に蓄熱部の蓄熱をできるだけ多く消費して無駄な蓄熱が残らないようにして、エネルギー効率を向上することができる。
従って、本発明により、夜間などの蓄熱時間帯において作動させた蓄熱用熱源部の発生熱を蓄熱部に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、昼間などの放熱時間帯において蓄熱部の蓄熱を放熱部から熱需要部へ供給される熱媒体に放熱させる放熱運転を実行する蓄熱システムにおいて、エネルギー効率を向上してランニングコストを軽減しながら、熱負荷が比較的高い熱需要部に対して十分な熱を適切且つ安定して供給できる技術を提供することができる。
また、本構成によれば、放熱時間帯において優先放熱運転が適時実行される特定時刻よりも前に蓄熱部の蓄熱残量が第2蓄熱残量以下となり、例えば熱需要部での熱負荷が比較的高いタイミングで蓄熱部の蓄熱の略全てが消費されたと判断できる場合には、蓄熱用熱源部から蓄熱部への蓄熱と蓄熱部から熱媒体への放熱とを同時に行う蓄放熱運転が実行される。このことで、蓄熱部の蓄熱の略全てが消費された場合でも、熱負荷が比較的高い熱需要部に対して継続的に十分な熱を供給することができる。また、放熱時間帯の特定時刻以降においては、蓄熱部の蓄熱残量が第2蓄熱残量以下となった場合であっても蓄放熱運転の実行が禁止されるので、蓄熱時間帯になる前における蓄熱部への無駄な蓄熱を回避することでエネルギー効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本蓄熱システムの概略構成及び蓄熱運転時の状態を示す図
【
図2】本蓄熱システムの概略構成及び通常放熱運転時の状態を示す図
【
図3】本蓄熱システムの概略構成及び優先放熱運転時の状態を示す図
【
図4】本蓄熱システムの概略構成及び熱源部温調運転時の状態を示す図
【
図5】本蓄熱システムの概略構成及び蓄放熱運転時の状態を示す図
【
図6】本蓄熱システムの概略構成及び増強放熱運転時の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る蓄熱システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
本実施形態の蓄熱システム(本蓄熱システム)は、詳細については後述するが、
図1に示すように、氷蓄熱槽20(蓄熱部の一例)と、その氷蓄熱槽20に蓄熱される冷熱を発生可能な蓄熱用冷凍機50(蓄熱用熱源部の一例)と、氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を空調装置2(熱需要部の一例)に供給される冷水W(熱媒体の一例)に放出可能な熱交換器45,47(放熱部の一例)と、を備えた氷蓄熱システムとして構成されている。そして、本蓄熱システムの運転を制御する運転制御装置60(運転制御部の一例)は、詳細については後述するが、夜間などの所定の蓄熱時間帯(例えば22:00~8:00)において蓄熱用冷凍機50を作動させて当該蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱を氷蓄熱槽20に蓄熱させる蓄熱運転を実行すると共に、当該蓄熱時間帯以外の昼間などの放熱時間帯(例えば8:00~22:00)において氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を熱交換器45,47から冷水Wに放熱させる放熱運転を実行する。
尚、蓄熱用冷凍機50としては、あらゆる形式の冷凍機を利用可能であるが、例えば、遠心式ターボコンプレッサで冷媒ガスを圧縮する圧縮式冷凍回路を採用したターボ冷凍機を好適に採用することができる。
また、運転制御装置60は、例えば冷水Wの戻り温度や循環流量等の計測結果に基づいて空調装置2の空調負荷(熱負荷)を判定可能に構成されており、例えば氷蓄熱槽20の槽内温度や水位等の計測結果に基づいて氷蓄熱槽20の残氷量を蓄熱残量として判定可能に構成されている。
【0020】
本蓄熱システムには、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路と、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路とが設けられている。以下、それら夫々の経路の詳細構成について説明する。
【0021】
(冷水循環経路)
空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路では、冷却後の冷水Wを複数の空調装置2に対して分流させる冷水往ヘッダ10と、複数の空調装置2から還流されてきた冷水Wを合流させる冷水還ヘッダ11とが設けられている。
これら冷水往ヘッダ10と冷水還ヘッダ11との間には、複数の温調用冷水流路12(温調用熱媒体流路の一例)の夫々と、優先放熱用冷水流路15(優先放熱用熱媒体流路の一例)とが、互いに並列状態で接続されている。
【0022】
夫々の温調用冷水流路12には、冷水還ヘッダ11側から冷水往ヘッダ10側に向けて冷水Wを送水可能な送水ポンプ13と、当該冷水流路12での冷水Wの通流を断続可能な開閉制御弁14とが配置されており、これら送水ポンプ13及び開閉制御弁14は運転制御装置60により作動制御される。
【0023】
また、夫々の温調用冷水流路12には、冷水Wを冷却可能な温調用冷凍機51(温調用熱源部の一例)と、後述する温調用ブライン流路29を通流するブラインBとの間で熱交換により当該冷水流路12を通流する冷水Wに当該ブラインBが有する冷熱を放熱させる形態で当該冷水Wを冷却可能な温調用熱交換器45(温調用放熱部の一例)とが配置されている。
【0024】
夫々の温調用冷水流路12において、温調用冷凍機51が作動されると、それに伴って開閉制御弁14が開放されると共に送水ポンプ13が作動されることで冷水Wが通流し、当該冷水Wが温調用冷凍機51により冷却される。
そして、運転制御装置60は、空調装置2の空調負荷(熱負荷)に基づいて複数の温調用冷凍機51のうちの作動台数を決定し、当該決定した作動台数分の温調用冷凍機51を作動させる台数制御を実行するように構成されている。
尚、温調用冷凍機51としては、あらゆる形式の冷凍機を利用可能であるが、例えば、空気や井戸水を熱源として冷熱を発生する圧縮式或いは吸収式の冷凍機を好適に採用することができる。
【0025】
優先放熱用冷水流路15には、冷水還ヘッダ11側から冷水往ヘッダ10側に向けて冷水Wを送水可能な送水ポンプ16と、当該冷水流路15での冷水Wの通流を断続可能な開閉制御弁17とが配置されており、これら送水ポンプ16及び開閉制御弁17は運転制御装置60により作動制御される。
【0026】
また、優先放熱用冷水流路15には、後述する優先放熱用ブライン流路32を通流するブラインBとの熱交換により当該冷水流路15を通流する冷水Wに当該ブラインBが有する冷熱を放熱させる形態で当該冷水Wを冷却可能な優先放熱用熱交換器47(優先放熱用放熱部の一例)が配置されている。
尚、優先放熱用熱交換器47の放熱容量(放熱可能な熱量)は、夫々の温調用熱交換器45の放熱容量よりも十分に大きいものとされており、例えば全ての温調用熱交換器45の合計放熱容量に略相当するものとされている。
【0027】
(ブライン循環経路)
氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路では、ブライン流出部20Aを通じて氷蓄熱槽20から流出するブラインBが通流する第1ブライン流路21と、ブライン流入部20Bを通じて氷蓄熱槽20に流入するブラインBが通流する第2ブライン流路22とが設けられている。また、第2ブライン流路22における氷蓄熱槽20のブライン流入部20B近傍の流路部分22Aには、当該ブライン流入部20Bに向けてブラインBを送水可能なブラインポンプ23と、当該流路部分22AでのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁24とが配置されており、これらブラインポンプ23及び開閉制御弁24は運転制御装置60により作動制御される。
これら第1ブライン流路21と第2ブライン流路22との間には、バイパスブライン流路26と、複数の温調用ブライン流路29の夫々と、優先放熱用ブライン流路32とが、互いに並列状態で接続されている。
【0028】
バイパスブライン流路26には、当該ブライン流路26でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁27が配置されており、この開閉制御弁27は運転制御装置60により作動制御される。
【0029】
夫々の温調用ブライン流路29には、当該ブライン流路29でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁30が配置されており、この開閉制御弁30は運転制御装置60により作動制御される。
また、夫々の温調用冷水流路12には、上述した温調用熱交換器45が配置されている。
【0030】
優先放熱用ブライン流路32には、当該ブライン流路32でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁33が配置されており、この開閉制御弁33は運転制御装置60により作動制御される。
また、優先放熱用ブライン流路32には、上述した優先放熱用熱交換器47が配置されている。
【0031】
第2ブライン流路22の流路部分22Aのブラインポンプ23の一次側(上流側)には、蓄熱用冷凍機50が配置された第1蓄熱用ブライン流路35の一端部が接続されている。
第1蓄熱用ブライン流路35には、第2ブライン流路22側から蓄熱用冷凍機50に向けてブラインBを送水可能なブラインポンプ36と、当該ブライン流路35でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁37とが配置されており、これらブラインポンプ36及び開閉制御弁37は運転制御装置60により作動制御される。
【0032】
また、第1蓄熱用ブライン流路35の他端部(下流側端部)は、第1ブライン流路21のブライン流出部20A側に通じる第2蓄熱用ブライン流路39と、第2ブライン流路22のブライン流入部20B側に通じる第3蓄熱用ブライン流路42とに分岐されている。
第2蓄熱用ブライン流路39には、当該ブライン流路39でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁40が配置されており、一方、第3蓄熱用ブライン流路42には、当該ブライン流路42でのブラインBの通流を断続可能な開閉制御弁43が配置されており、これら開閉制御弁40,43の夫々は運転制御装置60により作動制御される。
【0033】
次に、運転制御装置60により実行される各種運転(
図1~6参照)の詳細と、夜間などの所定の蓄熱時間帯(例えば22:00~8:00)とそれ以外である昼間などの放熱時間帯(例えば8:00~22:00)の夫々において各種運転の実行を判断するための制御フロー(
図7,8参照)の詳細について、順次説明する。
【0034】
尚、各種運転状態を示す
図1~6の各図において、太実線で表した流路は冷水WやブラインBが通流している流路であり、細実線で表した流路は冷水WやブラインBが通流していない流路である。また、各種運転状態を示す
図1~6の各図において、黒塗りされた開閉制御弁14,17,24,27,30,33,37,40,43は閉弁状態にある弁であり、白抜きされた開閉制御弁14,17,24,27,30,33,37,40,43は開弁状態にある弁である。
【0035】
〔蓄熱運転〕
運転制御装置60により実行される蓄熱運転の運転状態を
図1に示す。
蓄熱運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、蓄熱用冷凍機50を作動させて当該蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱を前記氷蓄熱槽20に蓄熱させる運転である。
【0036】
この蓄熱運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が作動された状態で、開閉制御弁27,37,43が開放されて他の開閉制御弁24,30,33,40が閉鎖され、ブラインポンプ36が作動されて他のブラインポンプ23が停止される。
すると、ブライン循環経路では、蓄熱用冷凍機50で氷点下の所定の蓄熱用温度(例えば-5℃)に冷却されたブラインBが、第1蓄熱用ブライン流路35、及び第3蓄熱用ブライン流路42を順に通流して、ブライン流入部20Bから氷蓄熱槽20に流入する。そして、氷蓄熱槽20では、ブラインBとの熱交換により内部の貯留水が冷却されて凍る形態で冷熱が蓄熱される。氷蓄熱槽20のブライン流出部20Aから流出したブラインBは、第1ブライン流路21、バイパスブライン流路26、第2ブライン流路22、第1蓄熱用ブライン流路35を順に通流して蓄熱用冷凍機50に戻される。
つまり、蓄熱運転では、蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱が氷蓄熱槽20に蓄熱されることになる。
【0037】
更に、この蓄熱運転では、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が作動された状態で、開閉制御弁14が開放されて他の開閉制御弁17が閉鎖され、送水ポンプ13が作動されて他の送水ポンプ16が停止される。
すると、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、作動中の温調用冷凍機51が配置された温調用冷水流路12を通流することで、当該温調用冷凍機51により所定の第1温調用温度に冷却される。
つまり、蓄熱運転では、温調用冷凍機51により所定の第1温調用温度(例えば7℃)に冷却された冷水Wが空調装置2に供給されることになる。
このとき、温調用ブライン流路29では開閉制御弁30が閉鎖されてブラインBの通流が停止されていることから、温調用冷水流路12を通流して温調用冷凍機51で第1温調温度に冷却された冷水Wは、温調用熱交換器45を通流する際に冷却されることなく、そのまま空調装置2に供給される。
【0038】
〔通常放熱運転〕
運転制御装置60により実行される通常放熱運転の運転状態を
図2に示す。
通常放熱運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、温調用冷凍機51を作動させた状態で温調用冷水流路12に冷水Wを通流させて温調用冷凍機51と温調用熱交換器45とで冷水Wを冷却する形態で、氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を温調用熱交換器45から冷水Wに放熱させる放熱運転である。
【0039】
この通常放熱運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が停止された状態で、開閉制御弁24,30が開放されて他の開閉制御弁27,33,37,40,43が閉鎖され、ブラインポンプ23が作動されて他のブラインポンプ36が停止される。同時に、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が作動された状態で、開閉制御弁14が開放されて他の開閉制御弁17が閉鎖され、送水ポンプ13が作動されて他の送水ポンプ16が停止される。
すると、ブライン循環経路では、氷蓄熱槽20で蓄熱により所定の蓄熱温度(例えば2℃)に冷却されてブライン流出部20Aから流出したブラインBが、第1ブライン流路21から温調用ブライン流路29に流入し、当該温調用ブライン流路29に配置された温調用熱交換器45を通流した後に、第2ブライン流路22からブライン流入部20Bを通じて氷蓄熱槽20に戻される。同時に、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、温調用冷水流路12を通流することで、当該温調用冷水流路12に設けられた温調用冷凍機51で第1温調用温度に冷却され、更に温調用熱交換器45でブラインBとの熱交換により上記第1温調用温度よりも低い所定の第2温温調温度に冷却される。
つまり、この通常放熱運転では、温調用冷凍機51で発生される冷熱と温調用熱交換器45で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱との両方で、空調装置2との間で循環される冷水Wが比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)に冷却されることになる。
【0040】
〔優先放熱運転〕
運転制御装置60により実行される優先放熱運転の運転状態を
図3に示す。
優先放熱運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、温調用冷凍機51を停止した状態で氷蓄熱槽20の蓄熱を熱交換器47から冷水Wに放熱させる放熱運転である。
【0041】
この優先放熱運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が停止された状態で、開閉制御弁24,33が開放されて他の開閉制御弁27,30,37,40,43が閉鎖され、ブラインポンプ23が作動されて他のブラインポンプ36が停止される。同時に、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が停止された状態で、開閉制御弁17が開放されて他の開閉制御弁14が閉鎖され、送水ポンプ16が作動されて他の送水ポンプ13が停止される。
すると、ブライン循環経路では、氷蓄熱槽20で蓄熱により所定の蓄熱温度(例えば2℃)に冷却されてブライン流出部20Aから流出したブラインBが、第1ブライン流路21から優先放熱用ブライン流路32に流入し、当該優先放熱用ブライン流路32に配置された優先放熱用熱交換器47を通流した後に、第2ブライン流路22からブライン流入部20Bを通じて氷蓄熱槽20に戻される。同時に、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、優先放熱用冷水流路15を通流することで、当該優先放熱用冷水流路15に設けられた優先放熱用熱交換器47でブラインBとの熱交換により所定の第2温温調温度に冷却される。
つまり、この優先放熱運転では、優先放熱用熱交換器47で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱のみで、空調装置2との間で循環される冷水Wが比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)に冷却されることになる。
【0042】
〔熱源部温調運転〕
運転制御装置60により実行される熱源部温調運転の運転状態を
図4に示す。
熱源部温調運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、温調用冷凍機51を作動させた状態で温調用冷水流路12に冷水Wを通流させて温調用冷凍機51で冷水Wを冷却する運転である。
【0043】
この熱源部温調運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が停止された状態で、全ての開閉制御弁24,27,30,33,37,40,43が閉鎖され、全てのブラインポンプ23,36が停止される。同時に、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が作動された状態で、開閉制御弁14が開放されて他の開閉制御弁17が閉鎖され、送水ポンプ13が作動されて他の送水ポンプ16が停止される。
すると、ブライン循環経路では、氷蓄熱槽20に対するブラインBの循環が停止される。同時に、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、温調用冷水流路12を通流することで、当該温調用冷水流路12に設けられた温調用冷凍機51で第1温調用温度に冷却される。
つまり、この通常放熱運転では、温調用冷凍機51により所定の第1温調用温度(例えば7℃)に冷却された冷水Wが空調装置2に供給されることになる。
このとき、温調用ブライン流路29では開閉制御弁30が閉鎖されてブラインBの通流が停止されていることから、温調用冷水流路12を通流して温調用冷凍機51で第1温調温度に冷却された冷水Wは、温調用熱交換器45を通流する際に冷却されることなく、そのまま空調装置2に供給される。
【0044】
〔蓄放熱運転〕
運転制御装置60により実行される蓄放熱運転の運転状態を
図5に示す。
蓄放熱運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、蓄熱用冷凍機50を作動させて当該蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱を氷蓄熱槽20に蓄熱させながら氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を温調用熱交換器45から冷水Wに放熱させる運転である。
【0045】
この蓄放熱運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が作動された状態で、開閉制御弁24,30,37,40が開放されて他の開閉制御弁33,43が閉鎖され、全てのブラインポンプ23、36が作動される。同時に、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が作動された状態で、開閉制御弁14が開放されて他の開閉制御弁17が閉鎖され、送水ポンプ13が作動されて他の送水ポンプ16が停止される。
すると、ブライン循環経路では、氷蓄熱槽20で蓄熱により所定の蓄熱温度(例えば2℃)に冷却されてブライン流出部20Aから流出したブラインBが、第1ブライン流路21で、蓄熱用冷凍機50で氷点下の所定の蓄熱用温度(例えば-5℃)に冷却されたブラインBと合流する。そして、その合流後の非常に低温のブラインBが、第1ブライン流路21から温調用ブライン流路29に流入し、当該温調用ブライン流路29に配置された温調用熱交換器45を通流した後に、第2ブライン流路22からブライン流入部20Bを通じて氷蓄熱槽20に戻される。同時に、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、温調用冷水流路12を通流することで、当該温調用冷水流路12に設けられた温調用冷凍機51で第1温調用温度に冷却され、更に温調用熱交換器45でブラインBとの熱交換により上記第1温調用温度よりも低い所定の第2温温調温度に冷却される。また、温調用熱交換器45を通過した後のブラインBには冷熱が余った状態となっているため、その冷熱が氷蓄熱槽20に蓄熱されることになる。
つまり、この蓄放熱運転では、蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱が氷蓄熱槽20に蓄熱されながら、温調用冷凍機51で発生される冷熱と温調用熱交換器45で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱とで、空調装置2との間で循環される冷水Wが比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)に冷却されることになる。
【0046】
〔増強放熱運転〕
運転制御装置60により実行される増強放熱運転の運転状態を
図6に示す。
増強放熱運転は、その実行を判断するための制御フローの詳細については後述するが、優先放熱用冷水流路15に冷水Wを通流させて氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を優先放熱用熱交換器47から冷水Wに放熱させながら温調用冷凍機51を作動させた状態で温調用冷水流路12に冷水Wを通流させて温調用冷凍機51と温調用熱交換器45とで前記冷水Wを冷却する運転である。
【0047】
この増強放熱運転では、氷蓄熱槽20との間でブラインBを循環させるブライン循環経路において、蓄熱用冷凍機50が作動された状態で、開閉制御弁24,30,33,37,40が開放されて他の開閉制御弁43が閉鎖され、全てのブラインポンプ23、36が作動される。同時に、空調装置2との間で冷水Wを循環させる冷水循環経路において、温調用冷凍機51が作動された状態で、全ての開閉制御弁14,17が開放され、全ての送水ポンプ13,16が作動される。
すると、ブライン循環経路では、氷蓄熱槽20で蓄熱により所定の蓄熱温度(例えば2℃)に冷却されてブライン流出部20Aから流出したブラインBが、第1ブライン流路21で、蓄熱用冷凍機50で氷点下の所定の蓄熱用温度(例えば-5℃)に冷却されたブラインBと合流する。そして、その合流後のブラインBが、第1ブライン流路21から温調用ブライン流路29及び優先放熱用ブライン流路32に流入し、当該温調用ブライン流路29に配置された温調用熱交換器45及び当該優先放熱用ブライン流路32に配置された優先放熱用熱交換器47を通流した後に、第2ブライン流路22からブライン流入部20Bを通じて氷蓄熱槽20に戻される。同時に、冷水循環経路では、空調装置2との間で循環する冷水Wが、温調用冷水流路12及び優先放熱用冷水流路15を通流する。そして、温調用冷水流路12を通流する冷水Wは、当該温調用冷水流路12に設けられた温調用冷凍機51で冷却され、更に温調用熱交換器45でブラインBとの熱交換により冷却される。一方、優先放熱用冷水流路15を通流する冷水Wは、当該優先放熱用冷水流路15に設けられた優先放熱用熱交換器47でブラインBとの熱交換により冷却される。
つまり、この増強放熱運転では、温調用冷凍機51で発生される冷熱と温調用熱交換器45及び優先放熱用熱交換器47で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱とで、空調装置2との間で循環される冷水Wが比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)に冷却されることになる。
【0048】
〔蓄熱時間帯における制御フロー〕
図7を参照して、蓄熱時間帯における制御フローの詳細について説明する。
本実施形態において、蓄熱時間帯は、電力料金が割安となる夜間の時間帯であって、例えば22:00~8:00の時間帯とされている。そして、この制御フローは、蓄熱時間帯が終了(ステップ#14のyes)するまでの間繰り返し実行される。
蓄熱時間帯の制御フローでは、上述した熱源部温調運転が実行(ステップ#11)されて、空調負荷(熱負荷)が比較的低い空調装置2に対して、温調用冷凍機51のみで冷却された比較的高めの第1温調用温度(例えば7℃)の冷水Wが供給される。
同時に、氷蓄熱槽20の蓄熱残量が最大蓄熱残量Amaxに到達する(ステップ#12のyes)までの間は、上述した蓄熱運転が実行されて(ステップ#13)、蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱が氷蓄熱槽20に蓄熱される。
即ち、蓄熱時間帯では、氷蓄熱槽20への冷熱の蓄熱を割安な電力を用いて積極的に行いながら、空調装置2の比較的小さい空調負荷を割安な電力で作動する温調用冷凍機51が発生した冷熱のみで賄うことができる。
【0049】
〔放熱時間帯における制御フロー〕
図8を参照して、放熱時間帯における制御フローの詳細について説明する。
本実施形態において、放熱時間帯は、空調装置2の空調負荷が比較的高めとなる昼間などの上記蓄熱時間帯以外の時間帯であって、例えば8:00~22:00とされている。そして、この制御フローは、放熱時間帯が終了(ステップ#41のyes)するまでの間繰り返し実行される。
放熱時間帯のフローでは、先ず、特定時刻(例えば18:00)以降か否かが判定され(ステップ#21)、当該ステップ#21にて特定時刻以降であると判定(ステップ#21のyes)された場合には、当該特定時刻における氷蓄熱槽20の蓄熱残量が所定の第1蓄熱残量A1以上であるか否かが判定される(ステップ#31)。
【0050】
放熱時間帯において、特定時刻以降でないと判定(ステップ#21のno)された場合又は特定時刻における氷蓄熱槽20の蓄熱残量が第1蓄熱残量A1(例えば最大時の50%)未満であると判定(ステップ#31のno)された場合には、空調装置2の空調負荷が高負荷域であるか否かが判定され(ステップ#22)、当該ステップ#22にて空調装置2の空調負荷が高負荷域ではなく低負荷域であると判定(ステップ#22のno)された場合には、氷蓄熱槽20の蓄熱残量が上記第1蓄熱残量A1よりも小さい所定の第2蓄熱残量A2(例えば最大時の20%)以下であるか否かが判定される(ステップ#23)。
【0051】
そして、上記ステップ#22にて空調装置2の空調負荷が低負荷域であると判定(ステップ#22のno)され、且つ、上記ステップ#23にて氷蓄熱槽20の蓄熱残量が第2蓄熱残量A2よりも大きいと判定(ステップ#23のno)された場合には、上述した通常放熱運転が実行(ステップ#24)される。すると、空調装置2との間で循環される冷水Wが、温調用冷凍機51で発生される冷熱と温調用熱交換器45で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱との両方で冷却されることになる。このように通常放熱運転が実行されることで、氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱が適度に消費されつつ、温調用冷凍機51と温調用熱交換器45の両方で冷却された比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)の冷水Wにより、比較的高い状態にある放熱時間帯の空調装置2の空調負荷(熱負荷)が不足なく十分に処理されることになる。
【0052】
上記ステップ#22にて空調装置2の空調負荷が低負荷域であると判定(ステップ#22のno)、且つ、上記ステップ#23にて氷蓄熱槽20の蓄熱残量が第2蓄熱残量A2以下と判定(ステップ#23のyes)された場合には、特定時刻以降でないと判定(ステップ#25のno)される場合に限り上述した蓄放熱運転が実行(ステップ#26)され、特定時刻以降であると判定(ステップ#25のyes)される場合には、当該蓄放熱運転の実行が禁止されて、上記通常放熱運転が実行(ステップ#24)される。このように蓄放熱運転が実行されることで、蓄熱用冷凍機50が発生した冷熱が氷蓄熱槽20に適度に蓄熱されながら、温調用冷凍機51と温調用熱交換器45の両方で冷却された比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)の冷水Wにより、比較的高い状態にある放熱時間帯の空調装置2の空調負荷(熱負荷)が不足なく十分に処理されることになる。
【0053】
上記ステップ#22にて空調装置2の空調負荷が高負荷域であると判定(ステップ#22のyes)された場合には、上述した増強放熱運転が実行(ステップ#27)される。このように増強放熱運転が実行されることで、温調用冷凍機51で発生される冷熱と温調用熱交換器45及び優先放熱用熱交換器47で放熱される氷蓄熱槽20の冷熱とで、高負荷域の空調装置2に対してより多くの熱が供給されて、空調装置2での熱負荷に対する供給熱量の不足が解消されることになる。
【0054】
放熱時間帯において、特定時刻以降であると判定(ステップ#21のyes)され、且つ、特定時刻における氷蓄熱槽20の蓄熱残量が第1蓄熱残量A1(例えば最大時の50%)以上であると判定(ステップ#31のyes)された場合には、更に氷蓄熱槽20の現時点の蓄熱残量がなくなって放熱が完了したか否かが判定される(ステップ#32)。
【0055】
そして、上記ステップ#32で放熱が完了していないと判定(ステップ#32のno)された場合には、そのまま通常放熱運転の実行が継続されると蓄熱時間帯になるまでの間に氷蓄熱槽20の蓄熱が有効に消費されずに無駄な蓄熱が残ってしまう可能性があるため、上述した優先放熱運転が実行(ステップ#33)される。このように優先放熱運転が実行されることで、優先放熱用熱交換器47で冷却された比較的低めの第2温調用温度(例えば5℃)の冷水Wにより、ピーク時と比べて低下しているもののまだ高い状態にある放熱時間帯の特定時刻以降の空調装置2の空調負荷(熱負荷)が不足なく十分に処理されながら、温調用冷凍機51が停止された状態で氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱が優先放熱用熱交換器47での冷水Wの放熱により積極的に消費される。よって、蓄熱時間帯開始時において無駄な蓄熱が殆ど残らないようになって、エネルギー効率が向上されることになる。
【0056】
一方、上記ステップ#32で放熱が完了したと判定(ステップ#32のyes)された場合には、氷蓄熱槽20の蓄熱が十分に消費されたとして、上述した熱源部温調運転が実行(ステップ#34)される。このように熱源部温調運転が実行されることで、温調用冷凍機51のみで冷却された比較的高めの第1温調用温度(例えば7℃)の冷水Wにより、特定時刻以降となって比較的低下した空調装置2の空調負荷(熱負荷)が適切に処理されることになる。
【0057】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0058】
(1)上記実施形態では、本発明に係る蓄熱システムを、氷蓄熱槽20に冷熱を蓄熱する氷蓄熱システムに適用した例を説明したが、温水タンク等の蓄熱槽に温熱を蓄熱する温蓄熱システムに適用しても構わない。
【0059】
(2)上記実施形態では、氷蓄熱槽20の蓄熱を空調装置2に供給される冷水Wに放出可能な放熱部として、通常放熱運転時に冷水Wが通流される温調用冷水流路12に配置された温調用熱交換器45と、当該温調用冷水流路12に対して並列状態で接続されて優先放熱運転時に冷水Wが通流される優先放熱用冷水流路15に配置された優先放熱用熱交換器47を設けたが、優先放熱用熱交換器47を省略して、優先放熱運転時においても温調用熱交換器45にて氷蓄熱槽20に蓄熱された冷熱を冷水Wに放熱するように構成しても構わない。
【0060】
(3)上記実施形態では、増強放熱運転や熱源部温調運転や蓄放熱運転を適時実施するように構成したが、これらの運転の一部又は全部を省略又は改変しても構わない。
【符号の説明】
【0061】
2 空調装置(熱需要部)
12 温調用冷水流路(温調用熱媒体流路)
15 優先放熱用冷水流路(優先放熱用熱媒体流路)
20 氷蓄熱槽(蓄熱部)
45 温調用熱交換器(放熱部、温調用放熱部)
47 優先放熱用熱交換器(放熱部、優先放熱用放熱部)
50 蓄熱用冷凍機(蓄熱用熱源部)
51 温調用冷凍機(温調用熱源部)
60 運転制御装置(運転制御部)
A1 第1蓄熱残量
A2 第2蓄熱残量
B ブライン
W 冷水(熱媒体)