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特許7478020搬送車用車載器、運転評価システム及び運転評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】搬送車用車載器、運転評価システム及び運転評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240424BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240424BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240424BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
B66F9/24 Z
G07C5/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020079182
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021174360
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一成
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
B66F 9/24
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車に乗る運転者の頭部の回転情報を取得する回転情報取得手段と、
前記搬送車の走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記走行情報取得手段により取得された走行情報に基づく値が所定閾値以上であるか否かに基づいて、前記搬送車の走行状態を判定する走行状態判定手段と、
前記搬送車の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得された位置情報の示す位置が所定箇所に該当するかを判定する位置判定手段と、
前記走行状態判定手段により判定された走行状態判定情報、前記位置判定手段により判定された所定箇所に該当するか否かの情報、及び、前記回転情報取得手段により取得された回転情報に基づいて、運転者の運転を評価する評価手段と、
前記回転情報取得手段により取得された運転者の頭部の回転角度が所定角度以上である場合に運転者が右左折を確認したと判定する頭部回転判定手段と、
を備え
前記頭部回転判定手段は、前記走行情報取得手段により取得された前記走行情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合に、そうでない場合と比較して、前記所定角度を低下させるように制御する、
ことを特徴とする搬送車用車載器。
【請求項2】
前記走行情報は、前記搬送車の停止の有無の情報、前記搬送車の停止の時間の情報、前記搬送車が有するブレーキの操作の有無の情報、前記搬送車の右左折の有無の情報、及び前記搬送車が有するステアリングの操作の有無の情報、のいずれか1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送車用車載器。
【請求項3】
前記所定箇所は、前記搬送車を一旦停止して右左折すべきと定められた箇所であり、
前記位置判定手段は、前記所定箇所の情報をビーコンによって得る、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送車用車載器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の搬送車用車載器と、
前記搬送車用車載器と通信可能なサーバーと、
を備える、ことを特徴とする運転評価システム。
【請求項5】
前記搬送車に乗る運転者の頭部の回転角度を検出する回転角度検出手段を更に備え、
前記回転情報取得手段は、前記回転角度検出手段から前記運転者の頭部の前記回転角度の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項に記載の運転評価システム。
【請求項6】
搬送車に乗る運転者の頭部の回転情報を取得する回転情報取得過程と、
前記搬送車の走行情報を取得する走行情報取得過程と、
前記走行情報取得過程が取得された走行情報に基づく値が所定閾値以上であるか否かに基づいて、前記搬送車の走行状態を判定する走行状態判定過程と、
前記搬送車の位置情報を取得する位置情報取得過程と、
前記位置情報取得過程により取得され位置情報の示す位置が所定箇所に該当するかを判定する位置判定過程と、
前記走行状態判定過程により判定された走行状態判定情報、前記位置判定過程により判定された所定箇所に該当するか否かの情報、及び、前記回転情報取得過程により取得された回転情報に基づいて、運転者の運転を評価する評価過程と、
前記回転情報取得過程により取得された運転者の頭部の回転角度が所定角度以上である場合に運転者が右左折を確認したと判定する頭部回転判定過程と、
を実行させ
前記頭部回転判定過程は、前記走行情報取得過程により取得された前記走行情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合に、そうでない場合と比較して、前記所定角度を低下させるように制御する過程である、
ことを特徴とする運転評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車用車載器、運転評価システム及び運転評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークリフトの移動速度及び移動方向の組み合わせが所定条件を満たすときに、フォークリフトが停止したと判定する停止判定手段を備える構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、運転者の眼球運動を計測する眼球運動計測部と、運転者の頭部運動を計測する頭部運動計測部と、眼球運動計測部の計測結果から眼球運動のタイミングを特定する眼球運動特定部と、頭部運動計測部の計測結果から頭部運動のタイミングを特定する頭部運動タイミング特定部と、を備え、眼球運動のタイミングと頭部運動のタイミングとを比較することにより、人の内的状態を推定する(視覚行動が眼球先行型及び頭部先行型のいずれであるかが判明する)構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-56736号公報
【文献】特開2014-113227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フォークリフトは、作業の性質上、小回りを利かせて荷物を搬送する必要等があるため、右左折確認がされているか否かは、重要であるが、特許文献1に記載の構成では、フォークリフトが停止したかを判定するだけで、運転者が右左折を確認したかを判定するものではない。
また、運転者が右左折を確認することに関して、特許文献2に記載の構成では、運転者が車両を右左折するときに、左右を確認していたかどうか判別可能であるが、運転者が右左折確認する箇所が判別されていないため、右左折確認する必要がない箇所で右左折確認している可能性もあり、右左折確認をすべき箇所で右左折確認しているかという運転者の運転評価の精度が良好になり難い。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、運転者の運転評価の精度を向上させることができる搬送車用車載器、運転評価システム及び運転評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送車用車載器は、搬送車に乗る運転者の頭部の回転情報を取得する回転情報取得手段と、前記搬送車の走行情報を取得する走行情報取得手段と、前記走行情報取得手段により取得された走行情報に基づく値が所定閾値以上であるか否かに基づいて、前記搬送車の走行状態を判定する走行状態判定手段と、前記搬送車の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得された位置情報の示す位置が所定箇所に該当するかを判定する位置判定手段と、前記走行状態判定手段により判定された走行状態判定情報、前記位置判定手段により判定された所定箇所に該当するか否かの情報、及び、前記回転情報取得手段により取得された回転情報に基づいて、運転者の運転を評価する評価手段と、前記回転情報取得手段により取得された運転者の頭部の回転角度が所定角度以上である場合に運転者が右左折を確認したと判定する頭部回転判定手段と、を備え、前記頭部回転判定手段は、前記走行情報取得手段により取得された前記走行情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合に、そうでない場合と比較して、前記所定角度を低下させるように制御する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の運転評価システムは、前述の搬送車用車載器と、その搬送車用車載器と通信可能なサーバーと、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の運転評価プログラムは、搬送車に乗る運転者の頭部の回転情報を取得する回転情報取得過程と、前記搬送車の走行情報を取得する走行情報取得過程と、前記走行情報取得過程が取得された走行情報に基づく値が所定閾値以上であるか否かに基づいて、前記搬送車の走行状態を判定する走行状態判定過程と、前記搬送車の位置情報を取得する位置情報取得過程と、前記位置情報取得過程により取得され位置情報の示す位置が所定箇所に該当するかを判定する位置判定過程と、前記走行状態判定過程により判定された走行状態判定情報、前記位置判定過程により判定された所定箇所に該当するか否かの情報、及び、前記回転情報取得過程により取得された回転情報に基づいて、運転者の運転を評価する評価過程と、前記回転情報取得過程により取得された運転者の頭部の回転角度が所定角度以上である場合に運転者が右左折を確認したと判定する頭部回転判定過程と、を実行させ、前記頭部回転判定過程は、前記走行情報取得過程により取得された前記走行情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合に、そうでない場合と比較して、前記所定角度を低下させるように制御する過程である、ことを特徴とする。
【0010】
これらによれば、走行情報に基づく値が所定閾値以上であるときの搬送車の走行状態を判定し、その走行状態の搬送車の位置が所定箇所であるかを判定し、その走行状態の搬送車の位置で運転者の頭部の回転情報を取得するため、搬送車が所定箇所に到達したときに、その箇所における走行状態に応じた運転者の頭部回転に基づく確認動作があったかを評価することができる。その結果、運転者の運転を従来よりも精度良く評価することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転者の運転を従来よりも精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る運転評価システムの概略図である。
図2】センサボックス及び搬送車用車載器を示すブロック図である。
図3】運転評価システムの動作を示すフローチャートである。
図4】フォークリフトが停止後に左折する様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る運転評価システム1を示す概念図である。図1に示す運転評価システム1は、運転者Aの頭部に取り付けられたセンサボックス10と、運転者Aが乗る搬送車5に取り付けられた搬送車用車載器20と、サーバー30と、事務所等のパーソナルコンピューター40(以下PC40と称する)と、を備えている。
本実施形態では、センサボックス10は、運転者Aの頭部に着用される着用物(例えばヘルメット)に対して取り付けられている。なお、以下の説明において着用物はヘルメットであるものとして説明するが、これに限られるものではない。
また、搬送車5は、ブレーキ70と、ステアリング80と、を有する。運転者Aがブレーキ70を操作した情報及びステアリング80を操作した情報は、搬送車用車載器20に送信される。
【0015】
(センサボックス)
図2は、センサボックス10及び搬送車用車載器20の詳細を示すブロック図である。センサボックス10は、回転角度検出部11(回転角度検出手段)と、制御部12と、通信部13と、を備えている。
【0016】
(回転角度検出部)
回転角度検出部11は、運転者Aの頭部の左右方向の回転運動(前方向から左右の別方向への回転運動)の角速度、すなわち単位時間あたりの回転角度に応じた値を検出し、これを積分することにより運転者Aの頭部の左右方向の回転角度を検出し(この回転角度の情報を回転角度検出情報(回転情報)という)、この回転角度に応じた信号を出力する部位である。回転角度検出部11には、例えば角速度センサ(ジャイロセンサ)が用いられる。運転者Aの頭部の左右方向の回転運動は、運転者Aが首を左右に振る動作の他、体ごと首を左右に向ける動作も含む。なお、本実施形態では、搬送車5として、例えばフォークリフトが用いられる。
【0017】
(制御部・通信部)
制御部12は、センサボックス10の全体を制御するものである。制御部12は、回転角度検出部11により検出された頭部の回転角度の情報を、通信部13から搬送車用車載器20に送信する。
通信部13は、搬送車用車載器20と通信を行うものであり、通信アンテナや制御基板等を含んで構成されている。
【0018】
(搬送車用車載器)
搬送車用車載器20は、情報取得部21(情報取得手段)と、制御部22(制御手段)と、通信部23と、記憶部50と、を備えている。
【0019】
(走行情報取得部)
情報取得部21は、走行情報取得部24(走行情報取得手段)と、位置情報取得部25(位置情報取得手段)と、回転情報取得部60(回転情報取得手段)と、を備える。走行情報取得部24は、停止時間取得部24aと、右左折角度取得部24bと、を有する。
【0020】
(停止時間取得部)
停止時間取得部24aは、走行情報として搬送車5の停止時間の情報を取得する受信部である。停止時間取得部24aは、例えば車速センサからの信号に基づいて停止時間の情報を取得する。すなわち、停止時間取得部24aは、車速センサからの信号に基づいて、搬送車5の走行を検知できなくなってから走行が開始されるまでの時間を計測して、搬送車5の停止時間の情報を取得する。
【0021】
(右左折角度取得部)
右左折角度取得部24bは、走行情報として搬送車5の右左折動作の回転角度の情報を取得する受信部である。右左折角度取得部24bは、例えば角速度センサ(ジャイロセンサ)からの信号に基づいて回転角度の情報を取得する。
【0022】
(位置情報取得部)
位置情報取得部25は、搬送車5が一旦停止すべき箇所、及び搬送車5が右左折すべき所定箇所といった位置情報を、道路に設けられたビーコンから受信する(取得する)受信部である。
【0023】
(回転情報取得部)
回転情報取得部60は、回転角度検出部11から搬送車5の回転角度の情報(回転情報)を受信する(取得する)受信部である。
【0024】
(制御部)
制御部22は、搬送車用車載器20の全体を制御するものである。制御部22は、走行状態判定部26(走行状態判定手段)と、位置判定部27(位置判定手段)と、頭部回転判定部28(頭部回転判定手段)と、評価部29(評価手段)と、を備える。走行状態判定部26は、停止時間判定部26aと、右左折角度判定部26bと、を有する。
【0025】
(停止時間判定部)
停止時間判定部26aは、搬送車5の停止の時間について時間閾値(所定閾値)を有し、搬送車5を時間閾値(所定閾値)以上停止させたか否かを判定する部位である。このように、停止時間判定部26aにより判定された搬送車5の停止時間情報が、搬送車5の走行状態判定情報となる。
停止時間判定部26aにより搬送車5の停止の時間が時間閾値以上であると判定された場合には、頭部回転判定部28において判定基準とする頭部回転角度閾値を低閾値にセットする。
停止時間判定部26aにより搬送車5の停止の時間が時間閾値未満であると判定された場合には、頭部回転判定部28において判定基準とする頭部回転角度閾値を低閾値にセットすることなく、低閾値よりも高い通常の頭部回転角度閾値により所定時間以内に車両の右左折があったか否かを判定する。
【0026】
(右左折角度判定部)
右左折角度判定部26bは、搬送車5の右左折の角度について右左折角度閾値(所定閾値)を有し、搬送車5を右左折させたか否かを判定する部位である。このように右左折角度判定部26bにより判定された搬送車5の右左折の角度情報が、搬送車5の走行状態判定情報となる。
右左折角度判定部26bは、搬送車5の右左折の角度が右左折角度閾値以上である場合には、搬送車5を右左折させていると判定する。
右左折角度判定部26bは、搬送車5の右左折の角度が右左折角度閾値未満である場合には、搬送車5を直進させていると判定する。なお、右左折角度判定部26bがこのような右左折角度閾値未満の右左折の角度を右左折角度取得部24bから取得するのは、ステアリング80(図1参照)を切りながら搬送車5を直進させている場合に生じ得る。
【0027】
(位置判定部)
位置判定部27は、位置情報取得部25により取得された位置情報の示す位置が所定箇所(搬送車5を一旦停止して右左折すべき箇所)に該当するかを判定する。
【0028】
(頭部回転判定部)
頭部回転判定部28は、回転情報取得部60により取得された運転者Aの頭部の回転角度が所定角度(前述の低閾値又は通常の頭部回転角度閾値)以上である場合には運転者Aが右左折を確認したと判定する部位である。このように頭部回転判定部28により判定された運転者Aの頭部の右左折を確認したという右左折確認情報は、評価部29の評価に用いられる。
また、頭部回転判定部28は、走行情報取得部24の停止時間取得部24aにより取得された停止時間の情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合に、そうでない場合と比較して、右左折確認のための前述の所定角度(前述の低閾値又は通常の頭部回転角度閾値)を低下させるように制御する。これは、搬送車5の停止時間が長ければ、右左折確認している可能性が高いため、頭部回転角度が小さかったとしても右左折確認していると判断するためのものであり、反対に、搬送車5の停止時間が短ければ、右左折が不十分である可能性もあるため、頭部回転角度を通常通りしなければ右左折確認していないと判断するためのものである。
【0029】
評価部29は、走行状態判定部26により判定された走行状態判定情報(停止時間情報及び右左折の角度情報)、位置判定部27により判定された所定箇所に該当するか否かの情報(一時停止及び右左折の位置情報)、及び、回転情報取得部60により取得された回転角度検出情報(回転情報)に基づいて、運転者Aの運転を評価する。
【0030】
また、評価部29は、回転情報取得部60が取得する運転者Aの頭部の回転角度が所定角度以上である場合には運転者Aが右左折を確認したと判断する。
【0031】
通信部23は、センサボックス10と通信を行うものであり、通信アンテナや制御基板等を含んで構成されている。また、通信部23は、広域通信やインターネット網を介してサーバー30とも通信する。実施形態において、センサボックス10と搬送車用車載器20とは例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による通信を行うようになっている。
記憶部50は、制御部22を機能させるための運転評価プログラムの記憶領域や各種処理を行うための作業領域となるものである。
【0032】
(サーバー)
図1に示すサーバー30は、搬送車用車載器20と通信可能なものであって、搬送車用車載器20のデータを管理するものである。
【0033】
(PC)
PC40は、事務所内に備え付けられるものであって、サーバー30を通じて、例えば制御部12,22による制御状況を閲覧可能とされている。このため、管理者は、PC40を参照することで作業が適切に行われているかを監視することができる。
【0034】
次に、本実施形態に係る運転評価システム1の動作を説明する。図3は、本実施形態に係る搬送車用車載器20の動作を示すフローチャートである。図4は、本実施形態に係る搬送車5が停止してから右左折する過程を示す概念図である。この図3及び図4を参照しつつ、説明する。
【0035】
まず、図3に示すように、制御部22は、搬送車5の停止判断を処理する(S1)。制御部22(停止時間判定部26a)は、停止時間取得部24aが取得した(走行情報取得過程による)停止時間の情報に基づいて、搬送車5が停止中かつ停止時間が時間閾値以上であるかを判定する(走行状態判定過程)(S2)(例えば、制御部22は、図4に示す搬送車5が一時停止位置で5秒~10秒程度、停止状態L1であるかを判定する。)。
【0036】
搬送車5が停止中かつ停止時間が時間閾値未満である場合(S2:NO)、例えば搬送車5が停止して所定時間未満で再発進した場合、処理はステップS4に移行する。搬送車5が停止中かつ停止時間が時間閾値以上である場合(S2:YES)、例えば搬送車5が停止したまま時間閾値以上を経過した場合、制御部22は、右左折の判定の頭部回転角度閾値を低くセットして(S3)、処理はステップS4に移行する。
【0037】
次に、制御部22(右左折角度判定部26b)は、所定時間以内に、右左折角度取得部24bが取得した(右左折角度取得過程による)右左折角度の情報に基づいて、搬送車5の右左折角度が右左折角度閾値以上であるかにより右左折があったかを判定する(右左折角度判定過程)(S4)(例えば、制御部22は、図4に示す搬送車5が左折状態L2であるかを判定する。)。搬送車5が右左折した場合(S4:YES)、制御部22は、回転角度検出部11により検出されて回転情報取得部60により取得された運転者Aの頭部の回転角度に基づいて、ジャイロ判定が有効か否かを判定する(回転角度検出過程、回転情報取得過程及び頭部回転判定過程)(S5)(例えば、図4に示す運転者Aが左右確認のために頭部を回転させた(頭部回転状態L4)か否かを判定する)。搬送車5が直進した場合(S4:NO)、制御部22は、回転角度検出部11により検出されて回転情報取得部60により取得された頭部回転状態L4の運転者Aの頭部の回転角度に基づいて、ジャイロ判定が有効か否かを判定する(回転角度検出過程、回転情報取得過程及び頭部回転判定過程)(S6)。
【0038】
ジャイロ判定が有効の場合(S6:YES)、制御部22は、搬送車5の右左折を確認したと判定し、評価を+1(プラス1)として処理する(S7)。ジャイロ判定が無効の場合(S6:NO)、制御部22は、位置情報取得部25が取得した(位置情報取得過程による)搬送車5の位置情報を示す位置が搬送車5を右左折させるべき所定箇所かを判定する(位置判定過程)(S8)(例えば、制御部22は、図4に示す搬送車5の右左折箇所L3に設置(又はこの近傍に設置)されたビーコンから受信した信号に基づく指定場所であるかを判定する。)。
【0039】
ジャイロ判定が有効の場合(S5:YES)、制御部22は、搬送車5の右左折を確認したと判定し、評価を+1(プラス1)として処理する(評価過程)(S7)。ジャイロ判定が無効の場合(S5:NO)、制御部22は、搬送車5の右左折を確認しなかったと判定し、評価を-1(マイナス1)として処理する(評価過程)(S9)。
【0040】
指定場所である場合(S8:YES)、制御部22は、S9の処理に移行する。指定場所でない場合(S8:NO)、制御部22は、処理を終了する。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る搬送車用車載器20は、搬送車5に乗る運転者Aの頭部の回転情報を取得する回転情報取得部60と、搬送車5の走行情報を取得する走行情報取得部24と、走行情報取得部24により取得された走行情報に基づく値が所定閾値以上であるか否かに基づいて、搬送車5の走行状態を判定する走行状態判定部26と、搬送車5の位置情報を取得する位置情報取得部25と、位置情報取得部25により取得された位置情報の示す位置が所定箇所に該当するかを判定する位置判定部27と、走行状態判定部26により判定された走行状態判定情報、位置判定部27により判定された所定箇所に該当するか否かの情報、及び、回転情報取得部60により取得された回転情報に基づいて、運転者Aの運転を評価する評価部29と、を備える。
【0042】
この搬送車用車載器20によれば、走行状態判定部26により、走行情報に基づく値が所定閾値以上であるときの搬送車5の走行状態を判定し、位置判定部27により、その走行状態の搬送車5の位置が所定箇所であるかを判定し、回転情報取得部60により、その走行状態の搬送車5の位置で運転者Aの頭部の回転情報を取得するため、搬送車5が所定箇所に到達したときに、その箇所における走行状態に応じた運転者Aの頭部回転に基づく確認動作があったかを評価することができる。その結果、運転者Aの運転を従来よりも精度良く評価することができる。
【0043】
走行情報は、車速センサから取得された搬送車5の停止の有無の情報及び搬送車5の停止の有無の情報、角速度センサから取得された搬送車5の右左折の有無の情報である。このため、搬送車5の停止の有無の後に搬送車5の右左折の有無が判定されることにより、運転者Aが搬送車5を運転する際の特に注意が必要な場面で、運転者Aの運転を評価することができる。
【0044】
制御部22は、回転情報取得部60により取得された運転者Aの頭部の回転角度が所定角度以上である場合に運転者Aが右左折を確認したと判断し、走行情報取得部24により取得された走行情報が所定時間以上の車両停止を示すものである場合、そうでない場合と比較して、所定角度を低下させるように制御する。このため、運転者Aによる搬送車5の走行情報が所定時間以上である場合には、運転者Aが右左折にあたって左右確認をする可能性が高いため、運転者Aの頭部の回転角度が小さくても、運転者Aが左右確認したと判断できる。
【0045】
所定箇所は、搬送車5を一旦停止及び右左折すると予め定められた箇所であり、位置判定部27は、所定箇所の情報をビーコンによって得る。このため、建物内等のGPS電波が届きにくい環境においても、搬送車5の所定箇所を正確に判断できる。
【0046】
運転評価システム1は、搬送車用車載器20と、搬送車用車載器20と通信可能なサーバー30と、を備える。このため、サーバー30に蓄積して集計解析等に利用できる。
【0047】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、走行情報は、車速センサから取得される搬送車5の停止の有無の情報及び搬送車5の停止の時間の情報、角速度センサから取得される搬送車5の右左折の有無の情報であったが、これに限らず、搬送車5が有するブレーキ70の操作の有無の情報、及び搬送車5が有するステアリング80の操作の有無の情報、であっても良い。あるいは、走行情報は、搬送車5の停止の有無の情報、搬送車5の停止の時間の情報、搬送車5が有するブレーキ70の操作の有無の情報、搬送車5の右左折の有無の情報、及び搬送車5が有するステアリング80の操作の有無の情報、の全部又は一部の組み合わせであっても良い。
【0049】
また、本実施形態では、位置情報取得部25は、図示しないビーコンから位置情報を取得していたが、これに限らず、例えばGPS受信機から位置情報や向き情報等を取得する構成であっても良い。
【0050】
また、本実施形態において図3に示した処理は搬送車用車載器20の制御部22が実行するものとして説明したが、これに限らず、一部がサーバー30に実行されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 :運転評価システム
5 :搬送車
10 :センサボックス
11 :回転角度検出部(回転角度検出手段)
12 :制御部
13 :通信部
20 :搬送車用車載器
21 :情報取得部(情報取得手段)
22 :制御部(制御手段)
23 :通信部
24 :走行情報取得部(走行情報取得手段)
24a :停止時間取得部
24b :右左折角度取得部
25 :位置情報取得部(位置情報取得手段)
26 :走行状態判定部(走行状態判定手段)
26a :停止時間判定部
26b :右左折角度判定部
27 :位置判定部(位置判定手段)
28 :頭部回転判定部(頭部回転判定手段)
29 :評価部(評価手段)
30 :サーバー
40 :パーソナルコンピューター
50 :記憶部
60 :回転情報取得部(回転情報取得手段)
70 :ブレーキ
80 :ステアリング
A :運転者
L1 :停止状態
L2 :左折状態
L3 :右左折箇所
L4 :頭部回転状態
図1
図2
図3
図4