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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】保冷バッグ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B65D81/38 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020101891
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021195148
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓之
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-140962(JP,U)
【文献】実開平01-047619(JP,U)
【文献】実開平06-024478(JP,U)
【文献】特開2006-123914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と側面部を有するバッグ本体と、該バッグ本体に取付けられた蓋体と、該バッグ本体に設けられる底面断熱部と、側面断熱部と、を備える保冷バッグであって、
該保冷バッグ使用時に該側面断熱部と該底面断熱部との接触面積を増大させるため、該側面断熱部から垂直方向に延びる延伸部と、該底面断熱部に形成される段部と、を備え、 前記底面断熱部は、前記延伸部をその下方から前記底面部から前記蓋体に向かう方向に支持するものであり、かつ前記延伸部の側部は前記段部の側面に接触するように設けられることを特徴とする、保冷バッグ。
【請求項2】
前記延伸部は、前記底面断熱部の端部を覆うように設けられる、請求項1に記載の保冷バッグ。
【請求項3】
前記延伸部の長さは、5mmから170mmの範囲である、請求項1又は2に記載の保冷バッグ。
【請求項4】
前記延伸部は、前記側面断熱部の全周に形成される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の保冷バッグ。
【請求項5】
前記延伸部は、前記底面断熱部の表面積の5%から100%の範囲の表面積を覆うように設けられる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の保冷バッグ。
【請求項6】
前記延伸部は、前記底面断熱部を覆うように設けられる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の保冷バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保冷又は保温した状態で運搬するための保冷バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食料品や医薬品等を保冷又は保温した状態で運搬するため、箱状の外箱に断熱材を敷き詰めた保冷箱が知られている。このような保冷箱では、例えば、外箱の内側に左右、前後の断熱性内壁材と、断熱性内底材と、断熱性蓋材を設ける構造がある。
【0003】
このような保冷箱は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、塩化ビニリデンを主成分とした共重合体に発泡剤を含浸させた基材を材料とした断熱材を、クーラー本体を構成する外ケースと内ケースとの間に施してある釣り用クーラーが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上面に開口を有すると共に側壁と底壁とで箱状をなす外箱と、該側壁に隣接して配置された板状の断熱性内壁材と、該底壁上に載置された板状の断熱性内底材と、該開口を塞ぐ板状の断熱性蓋材とを備える保冷箱において、該側壁に面して接合する接合片と、該接合片の上端から該開口の内方に延出して該蓋材に当接する平面をなす上面部と、該上面部から下方に屈曲する鈎片とからなる縁部材を備え、該上面部が該側壁の上方の内周に沿って略同一の高さになるように該縁部材を該側壁に接合固定し、該接合片と該鈎片とで形成されるコ字状の空間に該断熱性内壁材の上端面を嵌合することにより該断熱性内壁材を該側壁に接合固定する一方、該断熱性蓋材を該上面部に載置することにより該開口を塞ぐ保冷箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-24478号公報
【文献】特開2003-182777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの特許文献に係る態様においても、各面の断熱部を密着させたとしても、その隙間から内部の冷気が断熱材の外に漏れ出てしまう構造のため、保冷効果を確実に維持するのが難しいという問題があった。他方で、各面の断熱部を一体で成形した場合、保冷効果は改善しても、一体成形のためのコストや手間が掛かるだけでなく、断熱部を取り外す場合、常に全体を一体的に行う必要があるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各面の断熱部の成形をより簡易かつ低コストで行うことができるだけでなく、各面の断熱部間からの冷気の流出を確実に低減することで、保冷効果を向上させることにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグは、底面部と側面部を有するバッグ本体と、該バッグ本体に取付けられた蓋体と、該バッグ本体に設けられる底面断熱部と、側面断熱部と、を備え、該保冷バッグ使用時に該側面断熱部と該底面断熱部との接触面積を増大させるため、該側面断熱部から垂直方向に延びる延伸部又は該底面断熱部に形成される段部の少なくともいずれかを備えるよう構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部は、該底面断熱部の端部を覆うように設けられる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部の長さは、5mmから170mmの範囲である。
【0011】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部は、該側面断熱部の全周に形成されるよう構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部は、該側面断熱部の第1の側面断熱部と隣り合う第2の側面断熱部と第3の側面断熱部との境界領域で切り欠かれている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部は、該底面断熱部の表面積の5%から100%の範囲の表面積を覆うように設けられる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部は、該底面断熱部を覆うように設けられる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグは、該延伸部と該段部が設けられる場合、該段部は、その側面が該延伸部の側部に接触するように設けられる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグは、該延伸部と該段部が設けられる場合、該段部は、該延伸部の上部と該側面断熱部の側部とに接触するように設けられる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該段部は、その側面が該側面部断熱部の側部と接触するように設けられる。
【発明の効果】
【0018】
上記実施形態によれば、各面の断熱部の成形をより簡易かつ低コストで行うことができるだけでなく、各面の断熱部間からの冷気の流出を確実に低減することで、保冷効果を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る保冷バッグを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る保冷バッグを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図5a】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図5b】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
図8】本発明の一実施形態に係る保冷バッグの断熱部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る保冷バッグの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0021】
図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグの一実施形態について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41は、ナイロンやポリエステル織布にPVC・PU・EVAをコーティングした防水布を外側に配し、PEやスチロール等の合成樹脂発泡材を内装し、ナイロンやポリエステル布を内側に配した、防水性を有する(若しくは当該防水布面を表裏逆に使用した)バッグ本体23を備え、底面及び側面を有するボックス状に形成されて内部を収納部とし、上部に収納口が開口している。バッグ本体23の内面の各面には、後述するように、断熱材が収容された断熱部が、側面断熱部、底面断熱部として設けられる。なお、バッグ本体23の各面への断熱部の取付けには様々な態様が考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0022】
収納口の一側(後述する背面側側面35)に、バッグ本体23と同一材料で形成された蓋体27が、合成樹脂シート(例えば、ナイロンやポリエステル織布等)からなるヒンジ部材(図示せず)を介して連結されており、蓋体27の周縁部には、当該蓋体27を収納口に被せた際(蓋体27による収納口の閉鎖時)に、バッグ本体23の上部外周を覆うファスナー部29が当該外周に沿って延設されている。ここで、蓋体27の内面には、断熱材が収容された断熱部が、上面断熱部として設けられる。なお、蓋体27への断熱部の取付けには様々な態様が考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0023】
保冷バッグ41は、当該バッグ本体23に一対の両端部が取付けられた手持ちハンドル33を備えるようにしてもよい。当該手持ちハンドル33は、例えば、図1、2に示すように、バッグ本体23の正面側側面31と背面側側面35の上部外周に取付けられるが、これに限られない。また、当該手持ちハンドル33は、図示の例では、一対のU字状ハンドル37,39として構成される。なお、当該手持ちハンドル33の両U字状ハンドル37,39は、例えば、手で保冷バッグ41を持ち運ぶ際に、面ファスナー43,45が縫着されたループ状のハンドル合わせグリップ47で中央部分を一つに束ねることができるようになっていてもよい。
【0024】
また、保冷バッグ41は、当該バッグ本体23に両端部が取り付けられた肩ベルト(ショルダーベルト)53を備えるようにしてもよい。その場合、当該肩ベルト53は、例えば、図1、2に示すように、バッグ本体23の左右側面49、51間に、織布または合成樹脂(成形品),布帛,皮革等からなる一本の薄肉な帯状の肩ベルト53が架け渡されるようにして形成することができ、当該肩ベルト53の両端部54は、左右側面49,51に縫着で固定するようにすることができる。
【0025】
なお、保冷バッグ41では、当該肩ベルト53は、保冷バッグ41を地面に置いて下方に垂らすと、長手方向の中央部分が地面に触れる長さを有しており、また、当該肩ベルト53の中央部分に、肩ベルト53の全長の略1/3の寸法(長さL)を有する板状の肩当て55が取り付けられている。これ以上の詳細は省略する。
【0026】
次に、図3、4、6を参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41についてより詳細に説明する。図3、4、6に示すように、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41は、底面部24と側面部25を有するバッグ本体23と、該バッグ本体23に取付けられた蓋体27と、該バッグ本体23に設けられる底面断熱部26と、側面断熱部28と、を備え、該保冷バッグ使用時に該側面断熱部28と該底面断熱部26との接触面積を増大させるため、該側面断熱部28から垂直方向に延びる延伸部30又は該底面断熱部26に形成される段部32の少なくともいずれかを備えるよう構成される。ここで、図3の例では、延伸部30は側面断熱部28と共に略板状に形成され、延伸部30を適宜折り曲げることで底面断熱部26と接触するようにされる。他方、図6の例では、延伸部30は、側面断熱部28と共に型により形成される。
【0027】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグによれば、底面断熱部と側面断熱部とを一体に成形する必要がないために、各面の断熱部の成形をより簡易かつ低コストで行うことができるだけでなく、各面の断熱部間からの冷気の流出を確実に低減することで、保冷効果を向上させることが可能となる。
【0028】
ここで、保冷バッグの保冷効果は、保冷バッグが載置される地面からの熱的な影響と、保冷バッグ内からの冷気の漏れ(特に底部付近からの冷気の漏れ)の2つの要素から決定されることが判ってきているが、前者の影響を低減するために底部断熱部を厚く形成することができるが、重さや寸法の制約から限度があり、後者については、個別に成形される底面断熱部と側面断熱部との間からの冷気の漏れを効果的に防止することが重要であることが判ってきており、本出願の発明者はその具体的方策を見出したものである。なお、側面断熱部28は、1つの板状断熱部を形成後、折り曲げかつその両端部を適宜連結・接着することで形成することができる。
【0029】
また、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41において、該延伸部30は、該底面断熱部26の端部34を覆うように設けられる。このようにして、底面断熱部と側面断熱部との間からの冷気の漏れを防止でき、保冷効果を高めることが可能となる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41において、該延伸部30の長さは、5mmから170mmの範囲である。このようにして、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響を防止することが可能となることが判った。
【0031】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41において、該延伸部30は、該側面断熱部28の全周に形成されるよう構成される。このようにして、底面断熱部と側面断熱部との間からの冷気の漏れを防止でき、保冷効果をさらに高めることが可能となる。
【0032】
次に、図5a、5bを参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41について説明する。図5a、5bに示すように、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41において、該延伸部30は、例えば、該側面断熱部28の第1の側面断熱部19と隣り合う第2の側面断熱部20と第3の側面断熱部21との境界領域で切り欠かれている。これは、図5a、5bに示すように、他の側面断熱部についても同様に切り欠かかれている。このようにして、折返し部の重なりを防止され、底面断熱部と側面断熱部の間からの冷気の漏れをより効果的に防止でき、保冷効果をさらに高めることが可能となる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41において、該延伸部30は、該底面断熱部26を覆うように設けられる。このようにして、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響をさらに防止することが可能となる。
【0034】
本発明の一実施形態に係る保冷バッグにおいて、該延伸部30は、該底面断熱部26の表面積の5%から100%の範囲の表面積を覆うように設けられる。このようにして、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響を防止することが可能となる。
【0035】
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41の断熱部について説明する。図7の例は、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41に、該延伸部30と該段部32が設けられる場合であり、該段部32は、その側部32aが該延伸部30の側部30aに接触するように設けられる。このようにして、接触面積を大幅に増大することができ、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響を防止することが可能となる。
【0036】
次に、図8を参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41の断熱部について説明する。図8の例も同様に、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41に、該延伸部30と該段部32が設けられる場合であるが、該段部32(逆段部ないしは突出部と呼ぶこともできるが、ここでは段部32とする)は、該延伸部30の上部30bと該側面断熱部28の側部28aとに接触するように設けられる。このようにして、接触面積を大幅に増大することができ、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響を防止することが可能となる。また、バッグ内に物を入れた際、その自重により内部の冷気の漏れの防止を助けるようにすることもできる。
【0037】
次に、再度図4を参照して、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41の断熱部について説明する。図4の例では、本発明の一実施形態に係る保冷バッグ41では、段部32が設けられ、該段部32は、その側面32aが該側面部断熱部28の側部28aと接触するように設けられる。このようにして、接触面積を大幅に増大することができ、保冷バッグ内の冷気の漏れや地面からの熱的影響を防止することが可能となる。
【0038】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0039】
19 第1の側面断熱部
20 第2の側面断熱部
21 第3の側面断熱部
22 第4の側面断熱部
23 バッグ本体
24 底面部
25 側面部
26 底面断熱部
27 蓋体
28 側面断熱部
28a 側部
29 ファスナー部
30 延伸部
30a 側部
30b 上部
31 正面側側面
32 段部
32a 側部
33 手持ちハンドル
34 底面断熱部の端部
35 背面側側面
37,39 U字状ハンドル
41 保冷バッグ
43,45 面ファスナー
47 ハンドル合わせグリップ
53 ショルダーベルト
54 両端部
55 肩当て
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8