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特許7478043人工歯の包装容器、人工歯の包装容器の製造方法、及び、人工歯の包装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】人工歯の包装容器、人工歯の包装容器の製造方法、及び、人工歯の包装方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/02 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61C19/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020112682
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011499
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】松川 充裕
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】永富 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山住 浩
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅大
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/019770(WO,A1)
【文献】実開昭62-062607(JP,U)
【文献】実開昭62-078681(JP,U)
【文献】登録実用新案第3152834(JP,U)
【文献】国際公開第2009/019769(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00-10
B65D 75/32
B65D 85/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
咬合面及び前記咬合面とは反対側の基底面を有する人工歯を収納する包装容器であって、
前記包装容器は上枠下枠、及び前記上枠に保持される台紙を備え、
前記上枠は、前記人工歯の前記咬合面側を覆う凹部を有し、該凹部には前記人工歯の前記咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する咬合面被覆部、及び、前記台紙を保持する溝を具備し、
前記下枠は、前記人工歯の前記基底面側を覆う凹部を有し、該凹部には前記人工歯の前記基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する基底面被覆部を具備
前記下枠はその全部が前記上枠の前記凹部の内側に配置され、
前記台紙は前記上枠の凹部をフタするように配置される、
人工歯の包装容器。
【請求項2】
複数の前記人工歯のそれぞれに対応するように、前記咬合面被覆部及び前記基底面被覆部が備えられている、請求項1に記載の人工歯の包装容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の人工歯の包装容器の製造方法であって、
前記人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記咬合面被覆部を具備する前記上枠を形成する工程、及び、
前記人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記基底面被覆部を具備する前記下枠を形成する工程、を含む、
人工歯包装容器の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の人工歯の包装容器による人工歯の包装方法であって、
前記人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記咬合面被覆部を具備する前記上枠に、前記人工歯を、前記人工歯の前記咬合面が前記咬合面被覆部に接するように配置する工程、及び、
前記上枠に配置された前記人工歯に対して、前記人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記基底面被覆部を具備する前記下枠を、前記人工歯の前記基底面が前記基底面被覆部に接するように配置する工程、を含む、
人工歯の包装方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の人工歯の包装容器による人工歯の包装方法であって、
前記人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記基底面被覆部を具備する前記下枠に、前記人工歯を、前記人工歯の前記基底面が前記基底面被覆部に接するように配置する工程、及び、
前記下枠に配置された前記人工歯に対して、前記人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する前記咬合面被覆部を具備する前記上枠を、前記人工歯の前記咬合面が前記咬合面被覆部に接するように配置する工程、を含む、
人工歯の包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工歯を包装する容器、及び人工歯の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科において、義歯を作製する時に使用する人工歯の搬送や保管、シェードガイド(標準色調見本)、又はモールドガイド(形態、大きさ見本)等を目的とする人工歯付座板が用いられている。例えば特許文献1には、座板に粘着性のワックスやテープ等の粘着物を用いて人工歯を定着させた人工歯付座板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-310645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粘着物(接着蝋を使うこともある。)を用いて人工歯を定着させた人工歯付座板は、粘着物による固定であるため、粘着物の劣化、輸送環境(気温の変化による粘着物の粘度の変化、輸送中の衝撃等)による人工歯の脱落、埃等のような異物の付着等の問題があった。
【0005】
そこで本開示は上記問題に鑑み、人工歯を保持するために粘着物を必要とせず、生産性も高い人工歯の包装容器を提供することを課題とする。またその製造方法、及び人工歯の包装方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様は、咬合面及び咬合面とは反対側の基底面を有する人工歯を収納する包装容器であって、包装容器は上枠及び下枠を備え、上枠は人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する咬合面被覆部を具備し、下枠は人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する基底面被覆部を具備する、人工歯の包装容器である。
【0007】
上記人工歯の包装容器は、複数の人工歯のそれぞれに対応するように、咬合面被覆部及び基底面被覆部が備えられていてもよい。
【0008】
本開示の他の態様は、咬合面及び咬合面とは反対側の基底面を有する人工歯を収納する包装容器の製造方法であって、人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する咬合面被覆部を具備する上枠を形成する工程、及び、人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する基底面被覆部を具備する下枠を形成する工程、を含む、人工歯包装容器の製造方法である。
【0009】
本開示の他の態様は、咬合面及び咬合面とは反対側の基底面を有する人工歯の包装方法であって、人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する咬合面被覆部を具備する上枠に、人工歯を、人工歯の咬合面が咬合面被覆部に接するように配置する工程、及び、上枠に配置された人工歯に対して、人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する基底面被覆部を具備する下枠を、人工歯の基底面が基底面被覆部に接するように配置する工程、を含む、人工歯の包装方法である。
【0010】
本開示の他の態様は、咬合面及び咬合面とは反対側の基底面を有する人工歯の包装方法であって、人工歯の基底面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する基底面被覆部を具備する下枠に、人工歯を、人工歯の基底面が基底面被覆部に接するように配置する工程、及び、下枠に配置された人工歯に対して、人工歯の咬合面の少なくとも一部に沿った凹凸を有する咬合面被覆部を具備する上枠を、人工歯の咬合面が咬合面被覆部に接するように配置する工程、を含む、人工歯の包装方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、人工歯の咬合面、及び基底面の凹凸に沿った部位を有する上枠及び下枠で人工歯を挟むようにして保持するため、包装容器内で人工歯が動くことが抑制され、安定して人工歯が保持される。その際、人工歯を粘着物等で台紙に貼り付ける必要もなく、粘着物の劣化や輸送環境による人工歯の脱落や粘着物への汚れ付着を防止することができる。また、従来では人工歯を使用する際に台紙から取り外したときに人工歯に粘着物が付着することがあったが、本開示では人工歯に付着するような粘着物は用いないため、これを除去する作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は人工歯1が包装された人工歯の包装容器10の外観斜視図である。
図2図2はA-Aに沿った断面図である。
図3図3はB-Bに沿った断面図である。
図4図4図2の視点における分解断面図である。
図5図5図3の視点における分解断面図である。
図6図6(a)乃至図6(c)は人工歯の包装容器10の製造の工程を説明する図である。
図7図7(a)及び図7(b)は人工歯の包装方法の工程を説明する図である。
図8図8(a)及び図8(b)は人工歯の包装方法の工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には複数の人工歯1が収納された1つの形態にかかる人工歯の包装容器(以下、「包装容器」と記載することがある。)10の外観斜視図を示した。
図2は、包装容器10の断面図であり、図1にA-Aで示したように複数の人工歯1が並ぶ方向に沿って切断した断面図である。
図3は、包装容器10の断面図であり、図1にB-Bで示したように複数の人工歯1が並ぶ方向に対して直交する方向に沿って切断した断面図である。
図4図2の視点における分解断面図、図5図3の視点における分解断面図である。
以下に収納される人工歯1及び包装容器10について説明する。
【0014】
[人工歯]
人工歯1は、欠損した天然歯の代わりに、当該天然歯の機能を有するように作製された人工の歯牙である。人工歯1は例えば義歯床の凹部にその一端が挿入されて義歯床に固定されることで弓状に排列されて義歯となり、天然歯のように機能することができる。
【0015】
従って、人工歯1は天然歯の咬合面が模擬された咬合面2を備えて天然歯の咬合面と同様に機能するように凹凸を具備する。一方、咬合面2とは反対側は、上記のように例えば義歯床の凹部に挿入される基底面3となる。
このような人工歯1の形態は公知の通りであり、特に限定されるものではない。
【0016】
また、人工歯1には人工歯に用いられる公知の材料を適用することができる。これには例えばセラミック、レジン、硬質レジン、及び金属等がある。
【0017】
歯牙は前歯から臼歯に至るまでそれぞれの形態上の特徴があり一様ではない。そこで、人工歯は通常、前歯から臼歯に至るまでを複数の人工歯を1つの組として取り扱うことが多い。本形態でも複数の人工歯1を包装する包装容器を例に説明をする。ただし、これに限定されることはなく、ある1つの人工歯を包装する包装容器であっても同じように考えることができる。
【0018】
[人工歯の包装容器]
図1乃至図5からわかるように本形態の包装容器10は、上枠11、下枠21、台紙31を有して構成されている。以下に詳しく説明する。
【0019】
<上枠>
上枠11は、シート状の部材に凹部12が設けられたものであり、この凹部12により少なくとも人工歯1のうち咬合面2が被覆されるように構成されている。特に図4及び図5の分解断面図からわかるように、凹部12は、凹部12の内側に連通する開口13、及び、該開口13とは反対側となる部位で凹部12の底に相当する部位である咬合面被覆部14を有している。
【0020】
なお、本形態では複数の人工歯1が収納される例の包装容器10であるが、凹部12は1つとされ、この1つの凹部12に複数の人工歯1が配置されるように構成されている。ただしこれに限定されることはなく、複数の凹部12が形成されてもよい。例えば後述する下枠21のように1つの人工歯1に対して1つの凹部が設けられてもよく、又は、1つの凹部に対して2以上の人工歯が配置され、凹部も複数設けられる形態であってもよい。
【0021】
咬合面被覆部14は、人工歯1の咬合面2の少なくとも一部に沿った凹凸を有している。これにより図2図3からわかるように人工歯1が包装容器10に収められたときに、その中で人工歯1が動くことを効率よく制限することができるため、粘着物を用いることなく安定して人工歯1の保持が可能となる。
咬合面被覆部14の当該凹凸は、人工歯1の咬合面2の少なくとも一部に沿った凹凸を有していればよいが、その程度は、咬合面2の多くの部分に沿った凹凸であることが好ましく、咬合面被覆部14は、咬合面2の50%以上の面積において、当該咬合面2に沿った凹凸を有していることが好ましい。
【0022】
また、本形態で上枠11は、外周縁に沿って、その開口が対向するように溝15が設けられている。この溝15には、図1図2からわかるように台紙31の外周縁が挿入され、これにより上枠11に台紙31を保持することができる。
なお、台紙の保持は必ずしもこのような溝を用いることに限定されることはなく、例えば粘着テープ、接着剤、ステープラ等の他の手段で行われてもよいため、そのときには溝を備える必要はない。
【0023】
上枠11は、特に限定されることはないが各種樹脂材料により構成することができる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート(PET)や塩化ビニル樹脂等である。また、上枠11は透明であることが好ましい。これにより包装された人工歯1を透視して視認することができる。かかる観点から透明度が高く、無色であることがさらに好ましい。
【0024】
<下枠>
下枠21は、シート状の部材に凹部22が設けられたものであり、この凹部22により少なくとも人工歯1のうち基底面3が被覆されるように構成されている。本形態では特に図4及び図5の分解断面図からわかるように、1つの人工歯1に対して1つの凹部22が設けられている。各凹部22は、凹部22の内側に連通する開口23、及び、該開口23とは反対側となる部位で凹部22の底に相当する部位である基底面被覆部24を有している。
【0025】
なお、本形態では複数の人工歯1が収納される例の包装容器10であり、凹部22は1つの人工歯1に対して1つ設けられている。ただしこれに限定されることはなく、上枠11で説明したように1つの凹部に対して複数の人工歯が配置されるように構成されてもよい。
【0026】
基底面被覆部24は、人工歯1の基底面3の少なくとも一部に沿った凹凸を有している。これにより図2図3からわかるように人工歯1が包装容器10に収められたときに、その中で人工歯1が動くことを効率よく制限することができるため、粘着物を用いることなく安定して人工歯1の保持が可能となる。
基底面被覆部24の当該凹凸は、人工歯1の基底面3の少なくとも一部に沿った凹凸を有していればよいが、その程度は、基底面3の多くの部分に沿った凹凸であることが好ましく、基底面被覆部24は、基底面3の50%以上の面積において、当該基底面3に沿った凹凸を有していることが好ましい。
【0027】
また、本形態で下枠21は、その全体が上枠11の凹部12の内側に入ることができるように構成されている。これにより上枠11と下枠21とで人工歯1をより強固に挟み込むようにして保持することが可能となる。ただし、このような形態に限定されることはなく。上枠と下枠との間に人工歯が納まればよい。
【0028】
下枠21を構成する材料は上枠11と同様に考えることができる。ただし、下枠21と上枠11とを同じ材料で構成してもよいし、異なる材料であってもよい。
【0029】
<台紙>
台紙31は、板状の部材であり、ここに製品名、人工歯の識別表示等、収納された人工歯を特定するための情報が印字されている。従って、特に限定されることはないが、台紙31は、紙、樹脂等のシートにより構成することができる。
【0030】
<各構成の組み合わせ>
上記した各構成部材は、例えば次のようにして組み合わされて包装容器10とされている。
上枠11の凹部12の内側に人工歯1が配置されている。このとき、上枠11の凹部12の内側のうち咬合面被覆部14に人工歯1の咬合面2が重なるように位置付けられている。上記したように咬合面被覆部14はその少なくとも一部において人工歯1の咬合面2の凹凸に沿った凹凸を有しているため、両者は係り合って人工歯1が動き難く安定して保持される。
【0031】
一方、本形態で下枠21は上枠11の凹部12の内側に入るとともに、下枠21の凹部22の内側のうち基底面被覆部24に人工歯1の基底面3が重なるように位置付けられている。下枠21についても上記したように基底面被覆部24はその少なくとも一部において人工歯1の基底面3の凹凸に沿った凹凸を有しているため、両者は係り合って人工歯1が動き難く安定して保持される。
また、下枠21はその端部で図2に符号10aで示した部位のように上枠11の凹部12の側壁部に重なるようにして配置される。
【0032】
このように、人工歯1は上枠11及び下枠12で挟み込まれるように保持されるとともに咬合面2は咬合面被覆部14、基底面3は基底面被覆部24にそれぞれ重なるようにして覆われているため、粘着物を用いることなく安定して包装容器10内に保持される。
【0033】
台紙31は、上枠11の縁に沿って枠状に設けられた溝15の溝内にその端部が配置されることで上枠11に保持される。なお、この台紙31は、配置により下枠21を覆うフタの機能も有し、下枠21が上枠11から離脱することを防止する。
【0034】
<人工歯の包装容器の製造方法>
包装容器10は例えば次のように製造することができる。図6(a)、図6(b)、及び、図6(c)に説明のための図を表した。
【0035】
上枠11を作製するため、上枠11のための型40を準備する。図6(a)からわかるように、型40は、上枠11の凹部12に対応する(凹凸関係が逆である)凸部41を備えるとともに、凸部41の両側で凸部41から少し離隔した位置に吸引口42を備えている。この吸引口42は不図示の吸引機に接続されており、吸引口42から空気を吸引することができる。
一方、成形後に最終的に上枠11となるシート状の材料(材料シート46)を準備し、枠45で一定区画を囲うように配置する。そして、枠45の枠内に配置された材料シート46をヒーター等により加熱し、材料シート46の変形性を高めておく。
【0036】
次に図6(b)からわかるように、枠45を型40に近づけるように移動する。このとき、材料シート46のうち枠45の枠内に配置された部分を型40の凸部41の頂部に押し当てるようにし、枠45は凸部41の根本部分の高さ位置にまで移動する。なお、この枠45の枠内に吸引口42が含まれる。
これにより図6(b)のように、凸部41の頂部については当該頂部の形状に沿って材料シート46が変形するが、頂部以外については枠45と凸部41との間に材料シート46が凸部41に密着せずに空間が形成される部位が生じる。
【0037】
そこで、図6(b)に直線矢印で示したように吸引口42から空気を吸引する。すると図6(c)に示したように、空間部分の空気が吸引されることに伴って材料シート46が型40に沿って密着するように変形する。
【0038】
その後、変形した材料シート46を冷却して離型し、所定の大きさに切断して端部を折り曲げることにより溝15を形成して上枠11とする。
【0039】
溝15を作製する以外は下枠21についても同様に作製することができる。
【0040】
<効果等>
以上説明した人工歯の包装容器によれば、人工歯の咬合面、及び基底面の凹凸に沿った部位を有する上枠及び下枠で人工歯を挟むようにして保持しているため、包装容器内で人工歯が動くことが抑制され、安定して保持される。その際、人工歯を粘着物で台紙に貼り付ける必要もなく、脱落や汚れを防止することができる。
また、上記した人工歯の包装容器の製造方法によれば、複雑な形状を有する咬合面被覆部及び基底面被覆部を有していても、その凹凸形状を容易に作製することができる。
【0041】
[人工歯の包装方法]
次に、本形態で人工歯を包装する方法について説明する。図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)に説明するための図を表した。
【0042】
図7(a)、図7(b)の例では、初めに上枠11を準備し、開口13が上、咬合面被覆部14が下となるように配置した後、図7(a)に示したように人工歯1の咬合面2を下向きにして人工歯1を上枠11の凹部12に挿入し、対応する咬合面2と咬合面被覆部14とを重ねるようにして上枠11に人工歯1を配置する。
次に上枠11に配置された人工歯1に対して、下枠21を配置する。具体的には図7(b)に表れているように、下枠21を上枠11の凹部12内に挿入する。このとき、人工歯1の基底面3と対応する基底面被覆部24とを重ねるようにして配置する。
そして台紙31の縁を上枠11の溝15に配置して台紙31を上枠11に保持する。
これにより人工歯1が包装容器10に包装される。
【0043】
一方、図8(a)、図8(b)の例では、初めに下枠21を準備し、開口23が上、基底面被覆部24が下となるように配置した後、図8(a)に示したように人工歯1の基底面3を下向きにして人工歯1を下枠21の凹部22に挿入し、対応する基底面3と基底面被覆部24とを重ねるようにして下枠21に人工歯1を配置する。
次に下枠21に配置された人工歯1に対して、上枠11を配置する。具体的には図8(b)に表れているように、下枠21が上枠11の凹部12内に挿入されるように上枠11を被せるようにする。このとき、人工歯1の咬合面2と対応する咬合面被覆部14とを重ねるようにして配置する。
そして台紙31の縁を上枠11の溝15に配置して台紙31を上枠11に保持する。
これにより人工歯1が包装容器10に包装される。
【0044】
以上のように、本形態の人工歯の包装方法によれば、粘着物を用いることなく容易に人工歯を包装することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 人工歯
2 咬合面
3 基底面
10 人工歯の包装容器
11 上枠
12 凹部
13 開口
14 咬合面被覆部
15 溝
21 下枠
22 凹部
23 開口
24 基底面被覆部
31 台紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8