(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240424BHJP
G10L 17/00 20130101ALI20240424BHJP
G10L 25/51 20130101ALI20240424BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G10L17/00 200C
G10L25/51 100
G10L25/51 300
(21)【出願番号】P 2020177519
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】執行 里恵
【審査官】金子 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-078926(JP,A)
【文献】特開2006-337407(JP,A)
【文献】特開2008-164966(JP,A)
【文献】特開2019-174752(JP,A)
【文献】特開2005-107330(JP,A)
【文献】特開2010-019942(JP,A)
【文献】特開2001-013964(JP,A)
【文献】特開2007-121916(JP,A)
【文献】特開2004-102147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
G10L 17/00
G10L 25/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶するデータ記憶部と、
楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の歌唱音声信号に基づいて、ある利用者が行ったハーモニー歌唱のタイプを判定し、且つ当該ハーモニー歌唱に対応する歌唱音声信号から抽出した声紋データに基づいて、当該ある利用者の利用者識別情報を特定する信号処理部と、
判定された前記ハーモニー歌唱のタイプと、特定された前記利用者識別情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、
複数の利用者の中の一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、前記記憶手段に記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、当該一の利用者以外の他の利用者の利用者識別情報を特定し、当該利用者識別情報に対応する他の利用者に対して、当該ある楽曲のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドするレコメンド部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記一の利用者が、選曲したある楽曲に対応する自動ハーモニーをキャンセルした場合、当該ある楽曲の自動ハーモニーに対応するデータに基づき、選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定する判定部を有し、
前記レコメンド部は、判定されたある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、前記記憶手段に記憶された、前記利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、前記他の利用者の利用者識別情報を特定することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記レコメンド部は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、前記利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプとに基づいて、前記他の利用者の利用者識別情報を特定することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記ハーモニー歌唱を行った利用者の歌唱音声信号に基づいて、ハーモニー歌唱の巧拙を評価する評価部を有し、
前記記憶処理部は、判定された前記ハーモニー歌唱のタイプ、特定された前記利用者識別情報、及び前記ハーモニー歌唱の評価を紐付けて前記記憶手段に記憶させ、
前記レコメンド部は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、前記利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、前記ハーモニー歌唱の評価が高い方のタイプとに基づいて、前記他の利用者の利用者識別情報を特定することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の利用者でカラオケ歌唱を行う際、ある利用者のカラオケ歌唱に合わせて、他の利用者がハーモニー歌唱を行うことがある。ハーモニー歌唱は、楽曲の主旋律のメロディーに沿ったカラオケ歌唱(以下、「通常のカラオケ歌唱」)に合わせて、当該主旋律のメロディーとは異なるピッチで歌唱することである。
【0003】
このようなハーモニー歌唱を支援する技術として、特許文献1には、第1表示手段に対し、カラオケ楽曲の歌詞テロップを表示すると共に、第2表示手段に対し、歌詞テロップにおけるハーモニー歌唱部をそれ以外の歌唱部と識別可能に表示制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハーモニー歌唱を行う利用者の中には、主旋律のメロディーのピッチよりも高いピッチで歌唱を行うことが得意な者や、主旋律のメロディーのピッチよりも低いピッチで歌唱を行うことが得意な者がいる。一方、ある楽曲については主旋律のメロディーのピッチよりも高いピッチでハーモニー歌唱を行うことが好ましい等、楽曲毎に最適なハーモニー歌唱が存在する。
【0006】
本発明の目的は、利用者及び楽曲のハーモニー歌唱のタイプに応じて、適当な利用者に対しハーモニー歌唱をレコメンドすることが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶するデータ記憶部と、楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の歌唱音声信号に基づいて、ある利用者が行ったハーモニー歌唱のタイプを判定し、且つ当該ハーモニー歌唱に対応する歌唱音声信号から抽出した声紋データに基づいて、当該ある利用者の利用者識別情報を特定する信号処理部と、判定された前記ハーモニー歌唱のタイプと、特定された前記利用者識別情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、複数の利用者の中の一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、前記記憶手段に記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、当該一の利用者以外の他の利用者の利用者識別情報を特定し、当該利用者識別情報に対応する他の利用者に対して、当該ある楽曲のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドするレコメンド部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者及び楽曲のハーモニー歌唱のタイプに応じて、適当な利用者に対しハーモニー歌唱をレコメンドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る記憶手段が記憶するテーブルを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る記憶手段が記憶するテーブルを示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図9】第3実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る記憶手段が記憶するテーブルを示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る記憶手段が記憶するテーブルを示す図である。
【
図12】第3実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図13】第3実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1から
図6を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0011】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40a、マイク40b、及びリモコン装置50を備える。
【0012】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40a及びマイク40bを通じて入力された歌唱音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40a及びマイク40bは利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの歌唱音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0014】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0015】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すデータである。
【0016】
また、記憶手段10aは、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、及び楽曲の属性情報を記憶する。
【0017】
本実施形態において、属性情報には、楽曲のハーモニー歌唱のタイプが含まれる。楽曲のハーモニー歌唱のタイプは、当該楽曲について最適なタイプを示すものである。具体的に、ハーモニー歌唱のタイプは、楽曲の主旋律のメロディーのピッチよりも高いピッチでカラオケ歌唱を行うタイプ(上ハモタイプ)、主旋律のメロディーのピッチよりも低いピッチでカラオケ歌唱を行うタイプ(下ハモタイプ)、或いはその両方が最適なタイプ(両ハモタイプ)のいずれかである。
【0018】
ここで、本実施形態において、記憶手段10aの記憶領域の一部は、データ記憶部100として機能する。データ記憶部100は、利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶する。
【0019】
利用者識別情報は、利用者毎に付与される利用者ID等、各利用者に固有の情報である。声紋データは、利用者の声を特定するためのデータ(たとえばフォルマントデータ)である。
【0020】
たとえば、利用者は、初めてカラオケ装置Kを使用する場合、リモコン装置50を介して個人情報(氏名、ニックネーム、好きなジャンル等)を入力する。カラオケ装置Kは、当該利用者に対して固有の利用者IDを割り当てる。また、利用者は、マイク40aまたはマイク40bを介して音声を入力する。カラオケ装置Kは、入力された音声を解析することで声紋データを取得する。カラオケ装置Kは、割り当てた利用者IDと取得した声紋データを紐付けてデータ記憶部100に記憶させる。なお、声紋データは、公知の手法(たとえば特開2008-165079号公報)により取得することができる。
【0021】
また、利用者識別情報、及び当該利用者の声紋データは、サーバ装置(図示なし)に記憶されていてもよい。この場合、利用者は、カラオケ装置Kを利用する際、リモコン装置50を介して自己の利用者IDを入力する。カラオケ装置Kは、入力された利用者IDをサーバ装置に送信する。サーバ装置は、受信した利用者IDに紐付けられた声紋データを記憶手段から読み出し、カラオケ装置Kに送信する。カラオケ装置Kは、受信した声紋データを利用者IDと紐付けてデータ記憶部100に記憶させる。
【0022】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0023】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40a、マイク40bを通じて入力された歌唱音声信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0024】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0025】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、信号処理部200、記憶処理部300、及びレコメンド部400として機能する。
【0026】
(信号処理部)
信号処理部200は、楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の歌唱音声信号に基づいて、ある利用者が行ったハーモニー歌唱のタイプを判定し、且つ当該ハーモニー歌唱に対応する歌唱音声信号から抽出した声紋データに基づいて、当該ある利用者の利用者識別情報を特定する。
【0027】
楽曲のカラオケ歌唱は、通常のカラオケ歌唱及びハーモニー歌唱のいずれかである。利用者のハーモニー歌唱のタイプは、上述の「上ハモタイプ」、または「下ハモタイプ」のいずれかである。
【0028】
ハーモニー歌唱のタイプの判定は、特開平10-161672号公報や特開2004-279786号公報に記載の技術等、様々な方法を利用することができる。
【0029】
たとえば、信号処理部200は、マイク40aまたはマイク40bから出力された歌唱音声信号と、カラオケ歌唱された楽曲のリファレンスデータとを比較し、ピッチの差を求める。ピッチの差はたとえば、楽曲のサビ部分の平均値や、楽曲全体の平均値として求めることができる。信号処理部200は、ピッチの差が小さい方の歌唱音声信号を通常のカラオケ歌唱の歌唱音声信号と判断し、ピッチの差が大きい方の歌唱音声信号をハーモニー歌唱の歌唱音声信号と判断する。更に、信号処理部200は、ハーモニー歌唱の歌唱音声信号とリファレンスデータとのピッチの差に基づいて、ハーモニー歌唱のタイプを判定する。具体的に、信号処理部200は、ピッチの差が正の場合、「上ハモタイプ」であると判定し、ピッチの差が負の場合、「下ハモタイプ」であると判定する。
【0030】
また、歌唱音声信号からの声紋データの抽出は、特開2008-165079号公報に記載の技術等、公知の方法を利用することができる。たとえば、信号処理部200は、楽曲のカラオケ歌唱に合わせてハーモニー歌唱を行った利用者の歌唱音声信号から声紋データを抽出し、データ記憶部100に記憶されている声紋データと対比する。信号処理部200は、一致した声紋データに紐付けられている利用者識別情報を、ハーモニー歌唱を行った利用者の利用者識別情報として特定する。
【0031】
ここで、具体例として、利用者U1がマイク40aを介して楽曲X1のカラオケ歌唱を行うのと同時に、利用者U2がマイク40bを介して楽曲X1のカラオケ歌唱を行ったとする。なお、楽曲X1の楽曲識別情報は、楽曲ID***X1であるとする。
【0032】
信号処理部200は、マイク40aまたはマイク40bから出力された歌唱音声信号と、楽曲X1のリファレンスデータとを比較し、ピッチの差を求める。
【0033】
この例では、信号処理部200は、ピッチの差が小さいマイク40aから出力された歌唱音声信号を通常のカラオケ歌唱の歌唱音声信号と判断し、ピッチの差が大きいマイク40bから出力された歌唱音声信号をハーモニー歌唱の歌唱音声信号と判断したとする。そして、信号処理部200は、ハーモニー歌唱の歌唱音声信号とリファレンスデータとのピッチの差に基づいて、ハーモニー歌唱のタイプとして「上ハモタイプ」を判定したとする。
【0034】
この場合、利用者U1が楽曲X1の通常のカラオケ歌唱を行い、それに合わせて利用者U2が上ハモタイプのハーモニー歌唱を行ったこととなる。
【0035】
また、信号処理部200は、ハーモニー歌唱を行った利用者U2の歌唱音声信号から声紋データを抽出し、データ記憶部100に記憶されている利用者毎の声紋データと対比する。ここでは、データ記憶部100に、利用者U2の声紋データ及び利用者識別情報ID***U2が記憶されているとする。信号処理部200は、一致した声紋データに紐付けられている利用者U2の利用者識別情報ID***U2を、ハーモニー歌唱を行った利用者の利用者識別情報として特定する。
【0036】
信号処理部200は、判定した利用者U2のハーモニー歌唱のタイプ(上ハモタイプ)、特定した利用者U2の利用者識別情報ID***U2、及びハーモニー歌唱を行った楽曲X1の楽曲ID***X1を記憶処理部300に出力する。なお、信号処理部200は、少なくとも判定したハーモニー歌唱のタイプ、及び特定した利用者識別情報を記憶処理部300に出力することでよい。
【0037】
(記憶処理部)
記憶処理部300は、判定されたハーモニー歌唱のタイプと、特定された利用者識別情報とを紐付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0038】
たとえば、上述の通り、信号処理部200から利用者U2のハーモニー歌唱のタイプ、利用者U2の利用者識別情報ID***U2、及び楽曲X1の楽曲ID***X1が出力されたとする。この場合、記憶処理部300は、それらを紐付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0039】
図3及び
図4は、記憶手段10aに記憶された、利用者毎のハーモニー歌唱タイプを示すテーブルである。具体的に、
図3は、利用者U2の楽曲毎のハーモニー歌唱のタイプを示し、
図4は、利用者U3の楽曲毎のハーモニー歌唱のタイプを示す。たとえば、
図3のテーブルからは、利用者U2が、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせて、上ハモタイプのハーモニー歌唱を行ったことがわかる。一方、
図4のテーブルからは、利用者U3が、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせて、下ハモタイプのハーモニー歌唱を行ったことがわかる。
【0040】
(レコメンド部)
レコメンド部400は、複数の利用者の中の一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、記憶手段10aに記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、当該一の利用者以外の他の利用者の利用者識別情報を特定し、当該利用者識別情報に対応する他の利用者に対して、当該ある楽曲のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする。
【0041】
他の利用者の利用者識別情報の特定は、様々方法により行うことができる。本実施形態において、レコメンド部400は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。
【0042】
レコメンドは様々な方法により行うことができる。たとえば、レコメンド部400は、特定された利用者識別情報に対応する利用者の利用者IDを、ハーモニー歌唱を勧めるメッセージと共に、表示装置30やリモコン装置50の表示画面に表示させる。或いは、レコメンド部400は、利用者の利用者ID等を含んだ、ハーモニー歌唱を勧めるメッセージをスピーカ20から放音させる。また、レコメンド部400は、通信手段10bを介して利用者の所有する携帯端末にハーモニー歌唱を勧めるメッセージを送信することも可能である。この場合、利用者は、携帯端末で専用のアプリケーションソフトウェアを実行することにより、当該メッセージを確認することが可能となる。
【0043】
ここで、利用者U1~利用者U3がカラオケ装置Kを利用するとする。データ記憶部100には、各利用者の利用者識別情報及び声紋データが記憶されているとする。また、記憶手段10aには、利用者U2及び利用者U3について、
図3及び
図4に示すテーブルが記憶されているとする。更に、各利用者は、カラオケ装置Kの利用にあたって、リモコン装置50を介して自己の利用者IDの入力を行っているとする。利用者U1~利用者U3は「複数の利用者」の一例である。
【0044】
利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、たとえば、自己の利用者IDを選択した後、カラオケ歌唱を行う楽曲X1を選曲する。この場合、利用者U1と楽曲X1とが紐付けされることとなる。利用者U1は「一の利用者」の一例であり、楽曲X1は「ある楽曲」の一例である。
【0045】
レコメンド部400は、利用者U1が選曲した楽曲X1の属性情報から、楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(ここでは「上ハモタイプ」であるとする)を取得する。
【0046】
次に、レコメンド部400は、予め入力されている利用者U1~利用者U3の利用者IDと、楽曲X1を選曲する際に選択された利用者U1の利用者IDとを対比することで、カラオケ歌唱を行う利用者U1と、それ以外の利用者U2及び利用者U3とを特定する。利用者U2及び利用者U3は「他の利用者」の一例である。
【0047】
レコメンド部400は、利用者U2及び利用者U3毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプを特定する。具体的に、レコメンド部400は、
図3のテーブルを参照し、利用者U2の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方の「上ハモタイプ」を特定する。また、レコメンド部400は、
図4のテーブルを参照し、利用者U3の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方の「下ハモタイプ」を特定する。
【0048】
そして、レコメンド部400は、利用者U1が選曲した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(上ハモタイプ)と、利用者U2の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプ(上ハモタイプ)、及び利用者U3の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプ(下ハモタイプ)とを対比し、一致するハーモニー歌唱タイプ(上ハモタイプ)に紐付けられた利用者U2の利用者IDを特定する。
【0049】
その後、レコメンド部400は、利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする。なお、この例から明らかなように、記憶手段10aに記憶される情報としては、判定したハーモニー歌唱のタイプ、及び特定した利用者識別情報があればよく、楽曲IDは必須の情報ではない。
【0050】
==カラオケ装置の動作について==
次に、
図5及び
図6を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図5は、ハーモニー歌唱のタイプを記憶させる場合のカラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において、データ記憶部100は、利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶しているとする。
図6は、ハーモニー歌唱のレコメンドを行う場合のカラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。
【0051】
[ハーモニー歌唱のタイプの記憶]
利用者U1がマイク40aを介して楽曲X1のカラオケ歌唱を行うのと同時に、利用者U2がマイク40bを介して楽曲X1のカラオケ歌唱を行ったとする(複数の利用者によるカラオケ歌唱。ステップ10)。
【0052】
この場合、信号処理部200は、マイク40aまたはマイク40bから出力された歌唱音声信号に基づいて、ある利用者が行ったハーモニー歌唱のタイプを判定する(ハーモニー歌唱のタイプを判定。ステップ11)。ここでは利用者U2が「ある利用者(ハーモニー歌唱を行った利用者)」であるとする。
【0053】
また、信号処理部200は、ハーモニー歌唱を行った利用者U2の歌唱音声信号から声紋データを抽出し、当該声紋データに基づいて、利用者U2の利用者識別情報を、ハーモニー歌唱を行った利用者の利用者識別情報として特定する(ハーモニー歌唱を行った利用者の利用者識別情報を特定。ステップ12)。
【0054】
記憶処理部300は、ステップ11で判定されたハーモニー歌唱のタイプと、ステップ12で特定された利用者識別情報とを紐付けて記憶手段10aに記憶させる(ハーモニー歌唱のタイプ及び利用者識別情報を紐付けて記憶。ステップ13)。
【0055】
[ハーモニー歌唱のレコメンド]
利用者U1~利用者U3がカラオケ装置Kを利用するとする。また、各利用者は、カラオケ装置Kの利用にあたって、リモコン装置50を介して自己の利用者IDの入力を行っているとする。
【0056】
利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、自己の利用者IDを選択した後、カラオケ歌唱を行う楽曲X1を選曲する(楽曲を選曲。ステップ20)。レコメンド部400は、利用者U1が選曲した楽曲X1の属性情報から、楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプを取得する(選曲した楽曲のハーモニー歌唱のタイプを取得。ステップ21)。
【0057】
次に、レコメンド部400は、予め入力されている利用者の利用者IDと、楽曲X1を選曲する際に選択された利用者U1の利用者IDとを対比することで、カラオケ歌唱を行う利用者U1と、他の利用者(利用者U2及び利用者U3)とを特定する(他の利用者を特定。ステップ22)。
【0058】
そして、レコメンド部400は、ステップ21で取得した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプと、ステップ22で特定した他の利用者毎の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプに基づいて、たとえば、利用者U2の利用者IDを特定する(他の利用者の利用者IDを特定。ステップ23)。
【0059】
その後、レコメンド部400は、ステップ23で特定した利用者IDに対応する利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする(ハーモニー歌唱をレコメンド。ステップ24)。
【0060】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶するデータ記憶部100と、楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の歌唱音声信号に基づいて、ある利用者が行ったハーモニー歌唱のタイプを判定し、且つ当該ハーモニー歌唱に対応する歌唱音声信号から抽出した声紋データに基づいて、当該ある利用者の利用者識別情報を特定する信号処理部200と、判定されたハーモニー歌唱のタイプと、特定された利用者識別情報とを紐付けて記憶手段10aに記憶させる記憶処理部300と、複数の利用者の中の一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、記憶手段10aに記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、当該一の利用者以外の他の利用者の利用者識別情報を特定し、当該利用者識別情報に対応する他の利用者に対して、当該ある楽曲のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドするレコメンド部400と、を有する。
【0061】
このようなカラオケ装置Kによれば、カラオケ歌唱される楽曲のハーモニー歌唱のタイプと共通するタイプのハーモニー歌唱を行った利用者に対して、ハーモニー歌唱をレコメンドすることができる。このようにハーモニー歌唱がレコメンドされることにより、他の利用者は、自らが得意とするタイプのハーモニー歌唱を行いやすくなる。また、カラオケ歌唱を行う利用者にとっても、自己のカラオケ歌唱に合ったハーモニー歌唱を聴くことでカラオケ歌唱をより楽しむことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、利用者及び楽曲のハーモニー歌唱のタイプに応じて、適当な利用者に対しハーモニー歌唱をレコメンドすることができる。
【0062】
また、本実施形態に係るカラオケ装置Kにおけるレコメンド部400は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。ある利用者の利用者識別情報に紐付けられたハーモニー歌唱のタイプの数が多い場合、当該ある利用者はそのタイプのハーモニー歌唱を得意とする可能性が高い。すなわち、複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプを用いて利用者識別情報を特定することにより、ハーモニー歌唱のレコメンドをより適切に行うことができる。
【0063】
<第2実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置について説明する。本実施形態では、選曲した楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定する例について述べる。本実施形態において、記憶手段10aに記憶されている楽曲の属性情報には、楽曲のハーモニー歌唱のタイプは含まれない。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0064】
[制御手段]
図7に示すように、本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、信号処理部200、記憶処理部300、レコメンド部400、及び判定部500として機能する。
【0065】
(判定部)
判定部500は、一の利用者が、選曲したある楽曲に対応する自動ハーモニーをキャンセルした場合、当該ある楽曲の自動ハーモニーに対応するデータに基づき、選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定する。
【0066】
自動ハーモニーは、楽曲のカラオケ演奏に合わせてハーモニー歌唱を自動で再生する機能である。自動ハーモニーは、たとえば、リファレンスデータの各ピッチを所定値だけシフトして生成されるハーモニーデータ(たとえば特開2004-279786参照)、または予め録音されたハーモニー音声データに基づいて実行される。これらのデータは、たとえば、楽曲の楽曲データとして記憶手段10aに記憶されている。或いは、ハーモニーデータの場合、判定部500が、都度、リファレンスデータから生成してもよい。ハーモニーデータ及びハーモニー音声データは、「自動ハーモニーに対応するデータ」の一例である。
【0067】
通常のカラオケ歌唱を行う利用者は、楽曲を選曲する際等、カラオケ歌唱を開始する前に、リモコン装置50を介して自動ハーモニーを使用するかキャンセルするかを決定することができる。たとえば、判定部500は、利用者によるリモコン装置50の表示画面に表示されるアイコンの選択に応じて、自動ハーモニーの使用またはキャンセルの判断を行う。
【0068】
ハーモニー歌唱のタイプの判定は、様々な手法を用いることができる。たとえば、ハーモニーデータを用いる場合、判定部500は、シフトされたピッチを確認し、ピッチが+方向にシフトされていれば「上ハモタイプ」、ピッチが-方向にシフトされていれば「下ハモタイプ」であると判定する。また、ハーモニー音声データを用いる場合、判定部500は、ハーモニー音声データとリファレンスデータとのピッチの差を求め、ピッチの差が正の場合、「上ハモタイプ」であると判定し、ピッチの差が負の場合、「下ハモタイプ」であると判定する。
【0069】
ここで、第1実施形態と同様、利用者U1~利用者U3がカラオケ装置Kを利用するとする。データ記憶部100には、各利用者の利用者識別情報及び声紋データが記憶されているとする。また、記憶手段10aには、利用者U2及び利用者U3については、
図3及び
図4に示すテーブルが記憶されているとする。更に、各利用者は、カラオケ装置Kの利用にあたって、リモコン装置50を介して自己の利用者IDの入力を行っているとする。
【0070】
利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、自己の利用者IDを選択した後、カラオケ歌唱を行う楽曲X1を選曲し、且つ自動ハーモニーをキャンセルしたとする。この場合、判定部500は、楽曲X1の自動ハーモニーに対応するデータに基づき、選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定する。判定部500は、判定したハーモニー歌唱のタイプと、利用者U1の利用者IDを紐付けてレコメンド部400に出力する。
【0071】
(レコメンド部)
本実施形態に係るレコメンド部400は、判定されたある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、記憶手段10aに記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。
【0072】
たとえば、判定部500から、利用者U1が選曲した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(上ハモタイプ)及び利用者U1の利用者IDが出力されたとする。
【0073】
この場合、レコメンド部400は、予め入力されている利用者U1~利用者U3の利用者IDと、出力された利用者U1の利用者IDとを対比することで、カラオケ歌唱を行う利用者U1と、それ以外の利用者U2及び利用者U3とを特定する。
【0074】
レコメンド部400は、利用者U2及び利用者U3毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプを特定する。具体的に、レコメンド部400は、
図3のテーブルを参照し、利用者U2の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方の「上ハモタイプ」を特定する。また、レコメンド部400は、
図4のテーブルを参照し、利用者U3の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方の「下ハモタイプ」を特定する。
【0075】
そして、レコメンド部400は、判定部500から出力された楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(上ハモタイプ)と、利用者U2の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプ(上ハモタイプ)、及び利用者U3の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、数が多い方のタイプ(下ハモタイプ)とを対比し、一致するハーモニー歌唱タイプ(上ハモタイプ)に紐付けられた利用者U2の利用者IDを特定する。
【0076】
その後、レコメンド部400は、利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする。なお、自動ハーモニーをキャンセルしない場合には、レコメンド部400はハーモニー歌唱のレコメンドを行わない。
【0077】
==カラオケ装置の動作について==
次に、
図8を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図8は、ハーモニー歌唱のレコメンドを行う場合のカラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。なお、ハーモニー歌唱のタイプを記憶させる場合のカラオケ装置Kの動作は、第1実施形態と同様である。
【0078】
[ハーモニー歌唱のレコメンド]
利用者U1~利用者U3がカラオケ装置Kを利用するとする。また、各利用者は、カラオケ装置Kの利用にあたって、リモコン装置50を介して自己の利用者IDの入力を行っているとする。
【0079】
利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、自己の利用者IDを選択した後、カラオケ歌唱を行う楽曲X1を選曲する(楽曲を選曲。ステップ30)。また、利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、選曲した楽曲X1に対応する自動ハーモニーをキャンセルする(自動ハーモニーをキャンセル。ステップ31)。
【0080】
この場合、判定部500は、楽曲X1の自動ハーモニーに対応するデータに基づき、選曲した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプを判定する(選曲された楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定。ステップ32)。
【0081】
次に、レコメンド部400は、予め入力されている利用者の利用者IDと、楽曲X1を選曲する際に選択された利用者U1の利用者IDとを対比することで、カラオケ歌唱を行う利用者U1と、他の利用者(利用者U2及び利用者U3)とを特定する(他の利用者を特定。ステップ33)。
【0082】
そして、レコメンド部400は、ステップ32で判定された楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプと、ステップ33で特定した他の利用者毎の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプに基づいて、たとえば、利用者U2の利用者IDを特定する(他の利用者の利用者IDを特定。ステップ34)。
【0083】
その後、レコメンド部400は、ステップ34で特定した利用者IDに対応する利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする(ハーモニー歌唱をレコメンド。ステップ35)。
【0084】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、一の利用者が、選曲したある楽曲に対応する自動ハーモニーをキャンセルした場合、当該ある楽曲の自動ハーモニーに対応するデータに基づき、選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプを判定する判定部500を有し、レコメンド部400は、判定されたある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、記憶手段10aに記憶された、利用者のハーモニー歌唱のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。このようなカラオケ装置Kによれば、自動ハーモニーのキャンセルに応じて、適当な利用者に対しハーモニー歌唱をレコメンドすることができる。
【0085】
<第3実施形態>
次に、
図9~
図13を参照して、第3実施形態に係るカラオケ装置について説明する。本実施形態では、ハーモニー歌唱の評価を用いて利用者識別情報を特定する例について述べる。第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0086】
[制御手段]
図9に示すように、本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、信号処理部200、記憶処理部300、レコメンド部400、及び評価部600として機能する。
【0087】
(評価部)
評価部600は、ハーモニー歌唱を行った利用者の歌唱音声信号に基づいて、ハーモニー歌唱の巧拙を評価する。
【0088】
ハーモニー歌唱の巧拙の評価は、様々な方法で行うことができる。たとえば、評価部600は、ある楽曲のハーモニー歌唱を行った利用者の歌唱音声信号に含まれる各ノートのピッチと、当該ある楽曲の自動ハーモニーに対応するハーモニーデータに含まれる各ノートのピッチとを比較し、その差に応じて所定の採点値を付与することにより、評価を行うことができる。なお、この場合、記憶手段10aは、楽曲データとしてハーモニーデータを記憶している。
【0089】
(記憶処理部)
本実施形態に係る憶処理部300は、判定されたハーモニー歌唱のタイプ、特定された利用者識別情報、及びハーモニー歌唱の評価を紐付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0090】
たとえば、第1実施形態で述べたように、信号処理部200から利用者U2のハーモニー歌唱のタイプ、利用者U2の利用者識別情報ID***U2、及び楽曲X1の楽曲ID***X1が出力されたとする。また、評価部600から利用者U2のハーモニー歌唱の評価として採点値「90点」が出力されたとする。この場合、記憶処理部300は、それらを紐付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0091】
図10及び
図11は、記憶手段10aに記憶された、利用者毎のハーモニー歌唱タイプ及び評価を示すテーブルである。具体的に、
図10は、利用者U2の楽曲毎のハーモニー歌唱のタイプ及び評価を示し、
図11は、利用者U3の楽曲毎のハーモニー歌唱のタイプ及び評価を示す。たとえば、
図10のテーブルからは、利用者U2が、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせて、上ハモタイプのハーモニー歌唱を行い、その評価が「80点」であったことがわかる。一方、
図11のテーブルからは、利用者U3が、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせて、下ハモタイプのハーモニー歌唱を行い、その評価が「80点」であったことがわかる。
【0092】
(レコメンド部)
本実施形態に係るレコメンド部400は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、ハーモニー歌唱の評価が高い方のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。
【0093】
ここで、利用者U1~利用者U3がカラオケ装置Kを利用するとする。データ記憶部100には、各利用者の利用者識別情報及び声紋データが記憶されているとする。また、記憶手段10aには、利用者U2及び利用者U3については、
図10及び
図11に示すテーブルが記憶されているとする。更に、各利用者は、カラオケ装置Kの利用にあたって、リモコン装置50を介して自己の利用者IDの入力を行っているとする。
【0094】
利用者U1は、カラオケ装置Kのリモコン装置50を介し、自己の利用者IDを選択した後、カラオケ歌唱を行う楽曲X1を選曲する。楽曲X1は「ある楽曲」の一例である。
【0095】
レコメンド部400は、利用者U1が選曲した楽曲X1の属性情報から、楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(ここでは「上ハモタイプ」であるとする)を取得する。
【0096】
次に、レコメンド部400は、予め入力されている利用者U1~利用者U3の利用者IDと、楽曲X1を選曲する際に入力された利用者U1の利用者IDとを対比することで、カラオケ歌唱を行う利用者U1と、それ以外の利用者U2及び利用者U3とを特定する。利用者U2及び利用者U3は「他の利用者」の一例である。
【0097】
レコメンド部400は、利用者U2及び利用者U3毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、ハーモニー歌唱の評価が高い方のタイプを特定する。具体的に、
図10のテーブルによれば、利用者U2の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプの評価について、上ハモタイプの平均点は、73.3点であり、下ハモタイプの平均点は、65点である。この場合、レコメンド部400は、平均点が高い方の「上ハモタイプ」を特定する。また、
図11のテーブルによれば、利用者U3の利用者IDに紐付けられた4つのハーモニー歌唱のタイプの評価について、上ハモタイプの平均点は、68点であり、下ハモタイプの平均点は、86.3点である。この場合、レコメンド部400は、平均点が高い方の「下ハモタイプ」を特定する。
【0098】
なお、レコメンド部400は、利用者の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプの評価について、最も点数が高いタイプを特定してもよい。たとえば、
図10のテーブルによれば、レコメンド部400は、最も点数が高い「80点」に対応する「上ハモタイプ」を特定することができる。
【0099】
そして、レコメンド部400は、利用者U1が選曲した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプ(上ハモタイプ)と、利用者U2の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、評価が高い方のタイプ(上ハモタイプ)、及び利用者U3の利用者IDに紐付けられたハーモニー歌唱のタイプのうち、評価が高い方のタイプ(下ハモタイプ)とを対比し、一致するハーモニー歌唱タイプ(上ハモタイプ)に紐付けられた利用者U2の利用者IDを特定する。
【0100】
その後、レコメンド部400は、利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする。
【0101】
==カラオケ装置の動作について==
次に、
図12及び
図13を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図12は、ハーモニー歌唱のタイプを記憶させる場合のカラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において、データ記憶部100は、利用者を識別するための利用者識別情報と、当該利用者の声紋データとを紐付けて記憶しているとする。
図13は、ハーモニー歌唱のレコメンドを行う場合のカラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。
【0102】
[ハーモニー歌唱のタイプの記憶]
ステップ40~ステップ42は、第1実施形態のステップ10~12と同様である。
【0103】
評価部600は、ハーモニー歌唱を行った利用者U2の歌唱音声信号に基づいて、ハーモニー歌唱の巧拙を評価する(ハーモニー歌唱を評価。ステップ43)。
【0104】
記憶処理部300は、ステップ41で判定されたハーモニー歌唱のタイプ、ステップ42で特定された利用者識別情報、及びステップ43で得られたハーモニー歌唱の評価を紐付けて記憶手段10aに記憶させる(ハーモニー歌唱のタイプ、利用者識別情報、ハーモニー歌唱の評価を紐付けて記憶。ステップ44)。
【0105】
[ハーモニー歌唱のレコメンド]
ステップ50~ステップ52は、第1実施形態のステップ20~22と同様である。
【0106】
レコメンド部400は、ステップ51で取得した楽曲X1のハーモニー歌唱のタイプと、利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、ハーモニー歌唱の評価が高い方のタイプとに基づいて、たとえば、利用者U2の利用者IDを特定する(ハーモニー歌唱の評価に基づいて、他の利用者の利用者IDを特定。ステップ53)。
【0107】
その後、レコメンド部400は、ステップ53で特定した利用者IDに対応する利用者U2に対して、楽曲X1のカラオケ歌唱に合わせたハーモニー歌唱をレコメンドする(ハーモニー歌唱をレコメンド。ステップ54)。
【0108】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、ハーモニー歌唱を行った利用者の歌唱音声信号に基づいて、ハーモニー歌唱の巧拙を評価する評価部600を有し、記憶処理部300は、判定されたハーモニー歌唱のタイプ、特定された利用者識別情報、及びハーモニー歌唱の評価を紐付けて記憶手段10aに記憶させ、レコメンド部400は、一の利用者が選曲したある楽曲のハーモニー歌唱のタイプと、利用者毎の利用者識別情報に紐付けられた複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、ハーモニー歌唱の評価が高い方のタイプとに基づいて、他の利用者の利用者識別情報を特定する。ある利用者の利用者識別情報に紐付けられた特定のハーモニー歌唱のタイプの評価が高い場合、当該ある利用者はそのタイプのハーモニー歌唱を得意とする可能性が高い。すなわち、複数のハーモニー歌唱のタイプのうち、評価が高い方のタイプを用いて利用者識別情報を特定することにより、ハーモニー歌唱のレコメンドをより適切に行うことができる。
【0109】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
100 データ記憶部
200 信号処理部
300 記憶処理部
400 レコメンド部
500 判定部
600 評価部
K カラオケ装置