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特許7478081電気プラグコネクタ用のコンタクトキャリア及びそのプラグコネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電気プラグコネクタ用のコンタクトキャリア及びそのプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6461 20110101AFI20240424BHJP
【FI】
H01R13/6461
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020188625
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2021082585
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】A50987/2019
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】ドプラー オリバー
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/069192(WO,A1)
【文献】特開2016-194598(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109116264(CN,A)
【文献】特開2014-195385(JP,A)
【文献】中国実用新案第205075676(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1、19、36、43)を有する電気プラグコネクタ用のコンタクトキャリアであって、
前記ハウジング(1、19、36、43)は、前記コンタクトキャリアを収容及び/又は具備し、
電気絶縁基部(8、18)を備え、
エネルギーを伝送するための第の接触子(4、31)の少なくとも1つの対とデータを伝送するための第の接触子(2、30)の複数の対とを備え、
前記第1の接触子(4、31)及び前記第2の接触子(2、30)は、前記電気絶縁基部(8、18)に保持され、且つ前記コンタクトキャリアの長手方向中心軸に対して基本的に直交して延びる平面に分布するように配置され、
第1の接触子の前記対の接触子(91、92)の間の想像上の第1の間隔線(50)は、第2の接触子の前記対(93、94及び/又は95、96)の接触子の間の想像上の第2の間隔線(51、52)と重ならず、
前記第2の間隔線(51、52)は、互いに交差し、
前記第2の間隔線の一方(52)は、前記コンタクトキャリアの前記長手方向中心軸に直交して延び、
前記第2の接触子の関連する対の接続部(93と94、95と96)の間の距離は、前記関連する対の前記接続部の1つと、前記関連する対でない前記第2の接触子の接続部との間の任意の距離(x、z)より大きい、ことを特徴とする、コンタクトキャリア。
【請求項2】
第2の接触子の異なる対の最も近い接触子(94と96)の間の最小距離(x)が非常に大きいため、前記接触子の間の特性インピーダンスは、50Ωより大きいことを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトキャリア。
【請求項3】
前記第2の接触子(2、30)は、交流電圧の場合には50V以下、高調波のない直流電圧の場合は120V以下になる、低電圧の電圧レベルでのアナログ及び/又はデジタルデータ伝送用に構成され、且つ/又は、
前記第1の接触子(4、31)は、低電圧の電圧レベル、即ち、50Vを超えて1000V以下の交流電圧と、120Vを超えて1500V以下の高調波のない直流電圧で使用するためにエネルギーを伝送するように構成される、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンタクトキャリア。
【請求項4】
ハウジングと、前記ハウジング(1、19、36、43)の内部に保持されたコンタクトキャリアとを備え、
電気絶縁基部(8、18)と、エネルギーを伝送するための第の接触子(4、31)の少なくとも1つの対と、データ伝ための第の接触子(2、30)の複数の対とを具備する電気プラグコネクタにおいて、
前記コンタクトキャリアは、請求項1~のいずれか1項に従って形成されることを特徴とする、電気プラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による電気プラグコネクタ用のコンタクトキャリアのほか、請求項10の前文による電気プラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングと、(別個の構成要素としてハウジングに挿入されるか、ハウジングが内部にあり一体的に構成された)コンタクトキャリア(contact carrier)と、電気エネルギー及びデータ信号を伝送するための接触子(contact)とから構成された基本構造を有する電気プラグコネクタが、異なる実施形態で知られている。これに関して、エネルギーを伝送するために少なくとも1つの第1の対の電気接触子が設けられ、データを伝送するために複数の第2の対の電気接触子が設けられる。このようなプラグコネクタ、特にそれらのコンタクトキャリアは、多種多様な実施形態にて利用可能であり、ケーブルプラグの接触要素の、特にケーブルソケットの数及び実施形態が異なり、異なる接地及び接続の変形を有する。接触子及び/又は接触要素は、データチャネル及び/又はエネルギーチャネルを接続し、チャネルを介して、アナログ及び/又はデジタルのデータ又は信号、又はエネルギーを、異なる電圧及び/又は電力出力及び/又は周波数を使用して伝送することができる。
【0003】
XLRタイプは、これに関連して特に普及している。このタイプのプラグを、ケーブルの両端にあるケーブルコネクタとして、あるいは装置又はコントロールパネルなどに設置するためのシャーシコネクタとして構成することができる。両変形例では、雄型部品(ケーブルプラグ、シャーシプラグ)又は雌型部品(継手及び/又は内蔵ソケット又はシャーシソケット)としての実施形態が可能である。さらに、シャーシコネクタの実施形態はこのほか、娯楽産業で使用され、水平に(プラグコネクタの長手方向軸に平行を意味する)、又は垂直に(長手方向軸に直交することを意味する)向けることができる導体基板及び/又は回路基板に接続するように構成することができる。水平回路基板を備えた形式では、ハウジングの背面から延びる接触子は角度が付けられており、導体基板との接続領域は、導体基板上の接合面で終端する。
【0004】
言及した実施形態のいずれでも、コンタクトキャリア自体は、典型的には、プラグコネクタのハウジング内に収容されるか、ハウジングと一体に形成される。それは、エネルギーを伝送するための少なくとも一対の第1の電気接触子と、データを伝送するための複数の対の第2の電気接触子を担持する電気絶縁基部を備える。このような接触子は、接着、押し込み又は類似の固定方法によって基部に保持され、典型的には、接触要素の及びコンタクトキャリアの長手方向軸に対して基本的に直交して延びる平面に分布するように配置される。好ましくは、接触子は、互いにかつコンタクトキャリアの長手方向軸に平行に延びる。
【0005】
特許文献1(国際公開第2010/060370号)は、電気自動車用の充電システム用のプラグ接続を開示する。プラグは、コンタクトキャリアと、コンタクトキャリアが配置されたハウジングの両方を有する。コンタクトキャリアは、プラグのハウジングに取り付けるための肩部を有する。ここで、プラグ接触子は、エネルギー伝達接触子と信号及び/又はデータ接触子との両方であり、エネルギー接触子と信号及び/又はデータ接触子との間に別個の物理的構成があるが、関連する接触子の対の分布はまったく開示していない。
【0006】
特許文献2(欧州特許第0847107号明細書)の主題は、環状断面を有するモジュラープラグコネクタである。コンタクトキャリアは、モジュール方式で組み立てられ、円筒形のコンタクトキャリアを共に形成する複数の個別のモジュールを備える。1つの関連するカテゴリの接触子を、空間的に分離された配置にて個々のモジュールに同時に組み込むが、個々のモジュール内の接触子の関連する対の分布はまったく開示しない。さらに、案内構造がハウジング内に配置され、案内構造により、コンタクトキャリアは鏡面反転構造と係合するため、正確に位置決めされて保持される。
【0007】
特許文献3(中国特許第103560369号明細書)は、接触子が二群に分割され、一方の群が電力伝送用に構成され、他方の群が信号伝送用に構成される、LEDパネル用プラグコネクタを開示する。信号伝送用の接触子の配置は、電力伝送用の接触子の配置内にわずかに突出するが、電力及び/又は信号接触子のそれぞれの配置内の関連する対の接触子の分布はまったく開示していない。
【0008】
特許文献4(独国実用新案第202015105928号明細書)によるハイブリッドプラグコネクタは、外部ケーシングを有しており、その中に、エネルギー供給を伝達するエネルギー導体と、データを伝送するためのデータ導体とを収容するための絶縁体が配置される。エネルギー導体は、少なくとも2本のエネルギー線を有し、データ導体は、少なくとも1本のデータ線を有する。ここに挙げた導体は、絶縁体と同じように空間的に分離した構成で存在する。
【0009】
特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4はこのほか、ハウジングとコンタクトキャリアとの間の凹部及び案内構造を開示する。
【0010】
本発明の根底にある目的は、多数のデータ及び/又はエネルギーチャネルを有するプラグコネクタ及び/又はプラグのハウジング用のコンタクトキャリアであった。このコンタクトキャリアは、データ及び/又は信号及び/又はエネルギーを可能な限り干渉を受けずに伝送することを可能にする。
【0011】
この目的を達成するために、請求項1~9のいずれかに記載のコンタクトキャリアが設計され、請求項10~15のいずれかに記載の電気プラグコネクタが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2010/060370号
【文献】欧州特許第0847107号明細書
【文献】中国特許第103560369号明細書
【文献】独国実用新案第202015105928号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、コンタクトキャリアは、第1の対の接触子の間の想像上の第1の間隔線(distance line)が、第2の対の接触子の間の想像上の第2の間隔線と重ならないことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、接触子は、第2の間隔線が互いに、好ましくは直角に交差するように配置され、一方の間隔線は、好ましくは、コンタクトキャリアの長手方向軸と交差し、他方の間隔線は、この長手方向軸に直交して延び、好ましくは、半分がコンタクトキャリアの長手方向軸から離れる方向を向いている。
【0015】
さらに、関連する対の接触子間の距離は、異なる対の接触子からの距離よりも大きいことが好ましい。
【0016】
これとは別に、あるいはこれに加えて、第1の接触子と、一対の第2の接触子のうちの最も近い接触子との間の距離は、同じ接触子群の最も近い接触子からの第1の接触子の距離よりも小さくてもよい。これに関連して、関連のない第2の対の接触子間の距離は、上記の距離値の間にある。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、コンタクトキャリアは、第2の接触子の異なる対の最も近い接触子間の距離が非常に大きいため、このような接触子間の特性インピーダンスが50Ω、好ましくは80Ωより大きくなることを特徴とする。
【0018】
本発明による別の実施形態では、コンタクトキャリアが提供される。このコンタクトキャリアでは、第2の接触子は、交流電圧の場合には50V以下に到達し、高調波のない直流電圧の場合は120V以下に到達し、好ましくは、交流電圧又は直流電圧の0.5V~25 Vの範囲の低電圧の電圧レベルでのアナログデータ及び/又はデジタルデータの伝送用に構成され、及び/又は第1の接触子は、低電圧の電圧レベル、即ち、50Vを超えて1000V以下の交流電圧と、120Vを超えて1500V以下の高調波のない直流電圧、しかし、好ましくは、200~500 Vの交流電圧及び/又は200V~300Vの高調波のない直流電圧の電圧範囲で使用するためにエネルギーを伝送するように構成される。
【0019】
本発明の任意の特徴では、少なくとも1つの案内要素が基部の外周に配置され、この案内要素は、収容ハウジング上の相補的な案内構造と係合するように設計される。
【0020】
別の任意選択の特徴では、円周の少なくとも一部にわたって基部の後側に肩部を形成し、好ましくは、円周の少なくとも一部にわたって基部の前側にも肩部を形成する。
【0021】
コンタクトキャリアは円盤又は円筒として実質的に形成された基部を有し、円盤及び/又は円筒の中心軸と接触子とは実質的に平行に配置されるXLZ変形例の場合では特に、本発明による変形例は、接触子は円筒半径を超える区分高さを有する円筒区分に配置され、他の円筒区分では、円筒及び/又は円盤の高さの少なくとも一部にわたって延びる凹部が形成されることを特徴とする。
【0022】
最初に記載した目的を達成するために、電気プラグコネクタは、コンタクトキャリアが前述の段落のうちの1つに従って設計されていることを特徴とする。
【0023】
これに関して、好ましくは、ハウジングの内側に、少なくとも位置決め止め具及び案内構造が設けられる。ここで、基部の前側に肩部を備えるコンタクトキャリアは、ハウジングが閉じているときに位置決め止め具に当接し、基部の外周に配置された案内要素は、少なくともハウジングが閉じているときに、好ましくは、ハウジングへの挿入中にすでに、案内構造と係合する。
【0024】
接触子に接続されたケーブルを備えて半径方向に圧縮可能な締付要素を有し、締付要素が圧縮時にケーブルを締め付けるそのようなプラグコネクタは、任意選択で、本発明によれば、締付要素が、その前面に配置された突起を使用して、コンタクトキャリアの基部の後側の肩部を把持し、ハウジングが閉じられるときに挿入開口部の方向に肩部に力を付与することを特徴とする。
【0025】
そのようにすることで、ハウジングは、好ましくは、締付スリーブとのネジ山付き接続部を確立するように構成され、ネジ山付き接続部が締結されると、締付スリーブ、締付要素、ハウジング及びケーブルが共に補強され、その結果、締付要素は、接続されたケーブルに対して張力緩和として作用する。
【0026】
任意選択で、本発明の別の特徴として、遮断部品又はハウジング蓋は、ハウジングの後側を閉じ、コンタクトキャリアの後側に当接し、閉じた固定状態であるときに挿入開口部の方向に力を付与することができる。プラグコネクタを気密に閉じ、プラグコネクタに気密に接続されるようにハウジング蓋を構成することが好ましい。これは特にスピーカでの用途にとって重要である。
【0027】
有利なことに、別の特徴として、手動で解放可能な係止装置を、それに応じて準備されたプラグコネクタの基部の凹部に挿入することができる。
【0028】
以下の説明では、本発明を、複数の例示的な実施形態に基づいて、図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図は、それぞれ非常に簡略化された概略図で示される。
図1】プラグ開口部の方向で見た本発明によるXLRケーブルプラグの斜視図。
図2】矢印IIの方向からの図1のケーブルプラグの縦断面図。
図3】矢印IIIの方向からの図1のケーブルプラグの縦断面図。
図4】XLRケーブルプラグの雄型実施形態での本発明によるコンタクトキャリアの斜視図。
図5図4のコンタクトキャリアの背面斜視図。
図6図4のコンタクトキャリアを備えたXLRケーブルプラグに挿入された締付要素-コンタクトキャリア配置の斜視図。
図7】ケーブルプラグのハウジングに挿入された、図4の背面からのコンタクトキャリアを示す図。
図8】XLR形式での本発明によるケーブル継手の斜視図。
図9】矢印Vの方向からの図8の継手の縦断面図。
図10】矢印VIの方向からの図8の継手の縦断面図。
図11図8のケーブル継手のための雌型実施形態での本発明によるコンタクトキャリアの斜視図。
図12】例えば図8と同じように、XLRケーブル継手に挿入されたコンタクトキャリア-締付要素配置の斜視図。
図13】挿入開口部の方向で見た内蔵プラグの正面斜視図。
図14図13の内蔵プラグの背面斜視図。
図15図13の内蔵プラグを真後ろから見た図。
図16図13のシャーシプラグの縦断面図。
図17】挿入開口部の方向で見た本発明によるXLRシャーシソケットの正面斜視図。
図18】挿入開口部の方向から見た、図17のシャーシコネクタの正面図。
図19】垂直中心面に沿った図17のシャーシソケットのハウジングの斜視断面図。
図20図17のシャーシコネクタの背面図。
図21図17のシャーシソケットを矢印XIVの方向で見た垂直縦断面図。
図22図17のシャーシコネクタをその上側に向けた水平縦断面図。
図23図17のシャーシコネクタをその下側に向けた水平縦断面図。
図24】XLR内蔵ソケットの本発明による別の実施形態の正面図。
図25図24の内蔵ソケット用の相補的ケーブルプラグの前面ハウジング部分を正面斜視図で示す図。
図26】シャーシプラグ又はケーブルプラグの例示であるXLRコンタクトキャリアの背面図であって、接触要素及び/又は接続部の関連する距離比の指定を含む図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず第一に、記載のさまざまな実施形態では、同等の部品を同等の参照番号及び/又は同等の構成要素の指定を用いて提供し、説明全体に含まれる開示は、同等の参照番号及び/又は同等の構成要素の指定を有する同等の部品に同じように移行され得ることに留意されたい。さらに、説明で選択された上部、下部、側面などの場所の仕様は、直接説明して描写した図を参照し、位置が変更された場合、このような場所の仕様は同じように新たな位置に移行することになる。
【0031】
図1図3に示す、本発明による第1の例示的な実施形態は、ケーブルプラグとしての形態のシャーシコネクタである。これは、データ及び電力供給用のXLR形式のプラグ接続部の雄型部品を意味する。シャーシコネクタは、プラスチック材料だけでなく金属材料からも作成され得るハウジング1を有する。データ接続を確立するための接触子として、ここでは、例えば、ハウジング1の内側に4つの接触ピン2が保持される。接触ピン2は、ハウジング1の長手方向から見たとき、ハウジング1のソケット形状縁部3の前面からわずかに内側で終端する(図2及び図3を参照)。同じことが、データ接続の接触子2よりわずかに太い、電力供給のための2つの接触ピン4にも当てはまる。接触ピン及び/又は任意の種類の接触子は、単一の部品として、あるいは、例えば、順々に配置され、部分的に重なり合うこともある区分から構成された複数の部品として設計することができる。
【0032】
ハウジング1の後端は、データ及び電力供給ケーブル6が通る締付スリーブ5によって閉じられる。締付スリーブは、ハウジング1から円錐状に先細になるように設計される。このほか、ハウジング1と締付スリーブ5との間に、図示の実施形態では、弾性であるように設計されているが、硬質でもあり得る中間リング7を挿入することができる。
【0033】
接触ピン2、4は、この例では、別個の構成要素として形成され、ハウジング1の内部に保持されるコンタクトキャリアの電気絶縁基部8に固定される。コンタクトキャリアは、単一部品として設計することが好ましい。しかし、コンタクトキャリアが、軸方向に順々に配置されるか、互いに平行に配置されることもあり得る複数の区分から構成される他の実施形態も考えられる。相補的プラグコネクタの差し込み側では、接触要素2、4は、基部7の前面から、ハウジング1の縁部3と基部8との間に延びるハウジング1の中空空間に突出する。
【0034】
基部8の保持は、任意選択で、スナップ接続、他の圧入及び/又は連結接続、溶接、プレス、接着又はネジ接続を介して実施することができる。このほか、コンタクトキャリア、ただし特に、その基部8を、ハウジング1の一体型構成要素として一体であるように設計することが可能である。接触ピン2、4は、基部8に接着するか圧入するか、あるいは別の既知の方法で固定することができる。接触ピンは、基部8の後側に突出したそれぞれの端部に、接続対象のケーブル6のリッツ線のための接続部9を有する(特に図5を参照)。ハウジング1及び締付スリーブ5は、ネジ山付き接続部10を介して解放可能に接続される。
【0035】
コンタクトキャリアをハウジング1の内側に位置決めするために、例えば、内側に突出する突起部として設計された少なくとも1つの位置決め止め具11を、好ましくはハウジング1の内側に設けることができる。位置決め止め具11は、必要に応じて、円周の複数の区分にわたって、ハウジング1のコンタクトキャリアの少なくとも一部を覆うように延びる。基部8を位置決め止め具11に押し付けるために、ハウジング1を通って中央に延びるケーブルを備え、好ましくは半径方向に圧縮可能な締付要素12が設けられる。この締付要素12は、圧縮状態にあるとき、特にその好ましくは3つの締付部13を用いて、締付部が締付スリーブ5の円錐形内壁と共に押し付けられるときに、後側のケーブル6を固定する。これによって、張力も緩和される。
【0036】
この締付要素12は、その延長部14がその前面に配置された状態で、基部8の背面に当接する。ネジ山付き接続部10を確立する間、特にハウジング1のネジ山付き接続部10と締付スリーブ5が締結されているときに、締付要素12は圧縮され、ここでもまた、締付スリーブ5の円錐形内壁の影響によって、ハウジング1の前端に向かう方向に押される。その結果、延長部14は、その長手方向中心軸に平行に締付要素12の長手方向に延在し、基部8に前方力を付与し、それにより、接触ピン2、4及びハウジング1上でも、締付要素12、締付スリーブ5及びケーブル6が共に補強される。これに関して、少なくとも1つのオフセット15が、好ましくは、基部8の後側に形成されるか、円周にわたって分布する好ましくは複数のオフセット15が形成される。これは、1つ又は複数の肩部を形成し(図4を参照)、図6からわかるように、この肩部を締付要素12の延長部14が把持することができる。
【0037】
基部8の前面にも、1つ又は複数のオフセット17を形成することができ(図4を参照)、このようなオフセット17は、基部8上に肩部を形成し、肩部は位置決め止め具に当接し、コンタクトキャリアが前方に完全に押し出されたときの長手方向のコンタクトキャリアを確実に正しく位置決めする。
【0038】
さらに、例えば、タペット又は類似する突出部品を、案内要素16として、好ましくはコンタクトキャリアの基部8の外周に配置することができる。この案内要素16は、好ましくは基部8をハウジング1に挿入する間にすでに、ハウジング1の内側にある相補的な案内構造、好ましくは、ハウジング1の長手方向に延びる案内スロットと係合する。これにより、基部8とハウジング1との円周方向の正確な相対的位置合わせを確実なものにする。
【0039】
図8図10に示すケーブル継手、例えば、図1図3のケーブルプラグの雌型対応部分は、主にケーブルプラグと類似する構造を有する。図示の例示的な実施形態の場合、コンタクトキャリアの絶縁基部18を、再びハウジング19に挿入するが、好ましくは、ハウジング1及びコンタクトキャリアが絶縁プラスチック材料から作成される場合、両者を一体に設計することもあり得る。金属製のハウジング1では、絶縁コンタクトキャリアを挿入することが好ましい。
【0040】
この場合、ハウジング1は、相補的ケーブルプラグの前縁部3又はシャーシプラグの円周縁部の止め具として機能するオフセット20を備えており、プラグ接続の相補的部分が確立され、ハウジング19の後部よりわずかに小さい直径を有する前部21を挿入することができる。好ましくは、減衰リング22をオフセット20の領域に配置する。この減衰リング22は、プラグ接続が確立されたときに減衰効果を有し、有利にはこのほか、係止状態にて共に差し込まれる2つのプラグコネクタにわずかに事前に張力をかける。有利には、図8の継手は、相補的プラグとのプラグ接続のための係止装置23を備えており、この係止装置23は、基部18の凹部24に配置される。この係止は、プラグ接続の2つの部分を分離するために、ハウジング19の凹部26を通って外向きに突出する係止解除要素25を介して解放することができる。この過程では、係止装置のラッチ27は、好ましくは、係止解除要素25と一体になるように設計される。
【0041】
この実施形態では、コンタクトキャリア、特に基部18は、接触ピン2、4の代わりに、ハウジング19の前面までずっと延在し、データ接続の接触ピン2のための環状又は好ましくは中空の円筒形の挿入開口部28と、電源の接触ピン4のためのさらに大きな直径の挿入開口部29とを作成する。次に、データ接続用の実際の接触ソケット30及び電源用の接触ソケット31は、このような挿入開口部28、29に接着されるか圧入されるか、あるいは異なる従来の方法で固定され、ソケット30、31は接触ピン2、4への電気接続を確立する。ケーブル6への接続部9が再び基部キャリア18の後側に導出される。
【0042】
基部本体18の凹部24は、ハウジング19の面の中心軸の方向に突出するタペット32によって前方に向かって覆われている。最後に、前部21の外側にあるハウジング19の長手方向中心軸に平行に延び、小さめの直径を有する長手方向突起部を、プラグ接続の相補的対応物に対する円周方向の正しい位置合わせのための案内要素33として提示することができる。
【0043】
好ましくは、コンタクトキャリアの長手方向での正しい位置決めは、ケーブルプラグについて上記で説明したのと同じ方法で、少なくとも1つの位置決め要素11と基部18上の前部オフセット34との協働によって達成される。位置決め要素11は、突起部、突起部の配置として、あるいは小さめの外側断面を有する前部21への移行部にてハウジング19内の断面狭窄として形成することができる。ハウジング19の表面の方向への基部要素18の加圧は、好ましくはこのほか、前方に突出する延長部が、好ましくは、基部18の後側の1つ又は複数のオフセット45を把持する締付要素12に関して上記のように実施される。円周方向に正しく位置決めするために、案内要素16が再び基部本体18に設けられ、ハウジング19は相補的な案内構造を有する。
【0044】
しかし、上記の実施形態でのコンタクトキャリア及び基部8、18は、ケーブルプラグ(図1)及びケーブル継手(図4)に対して使用することができるだけでなく、ハウジング36の対応する相補的な設計があれば、シャーシプラグ又はシャーシソケットにも使用することができる。これとは別に、一体構造では、そのような構成要素の中央部は、上記の形態のコンタクトキャリアとして設計することができる。
【0045】
図13図16は、例示的な実施形態として、データチャネル用の4つの接触ピン2及び電源用の2つの接触ピン4を有するXLR形式のシャーシプラグを示す。接触ピンは、図1図6に記載するように設計された基部8に固定され、装置又は制御パネルなどに設置されるように構成されたハウジング36にここでは挿入されている。基部8は、保持締付及び/又は遮断部品37によってこのハウジング36内に保持される。任意選択で、遮断部品37の代わりに、ハウジング36を後方に向かって閉じるハウジング蓋を使用することもできる。図14及び図15に見られるように、遮断部品37は、必ずしもハウジング36の後側の開口部全体を覆う必要はないが、基部8は、その後側及び接触ピン2、4の接続部9と共に、ハウジング36から突出し、前方に曲げられた突起38によってハウジング36内で前方に向かって保持することができる。この目的のために、このような突起38又は保持部は、基部8の後側のオフセット15を把持する。
【0046】
シャーシソケット及び/又はシャーシプラグの場合に一般的であるように、取付フランジ39をハウジング36上に形成する。取付フランジ39は、典型的には、長方形又は丸い円周形状を有し、ハウジング36の中心軸に対して少なくとも2つの対向する側に取付穴40を有する。円周方向の突起部41が、プラグ接続の相補的部分のための挿入開口部42を区切る。取付フランジ39はこのほか、任意の所望の多角形の円周方向の縁部を有する円形、楕円形、多角形、あるいは類似する形状であるように設計されることがあり得る。これとは別に、穴を有し、円筒形のハウジング36から横方向に突出する取付座も可能であり、ハウジングの長手方向軸に対して互いに対向する2つの取付座が好ましい。
【0047】
図13図15のシャーシプラグを通る図16の縦断面図が示すように、ハウジング36もまた、その内側に位置決め止め具11として機能する少なくとも1つの突起部を有し、この突起部は、円周の少なくとも一部及び/又は少なくともその複数の区分にわたって内側に突出する。基部8の押圧は、その前側、好ましくは前側のオフセット17が位置決め止め具11に当接するように、この場合、シャーシプラグ又は内蔵ソケットによって達成されるが、締付要素12ではなく、遮断部品31によって達成される。
【0048】
図1図3のケーブルプラグのコンタクトキャリアを図13図16のシャーシプラグにも使用することができる方法と同じように、図8図10の継手のコンタクトキャリアを内蔵ソケット又は図17図21による内蔵ソケットにも使用することができる。このような場合のいずれでも、雄型及び雌型の両方のコンタクトキャリアは、ケーブルコネクタ及びシャーシコネクタの両方として使用するために1つの実施形態のみが提供されるように、全体的に同等になるように設計されることが好ましい。
【0049】
内蔵ソケットの好ましい実施形態を図17図21に示す。コンタクトキャリアの絶縁基部18は、その(上記で説明したのと同じ方法で設計された)位置決め止め具11と共にハウジング43に挿入され、基部18上の案内要素16の配置及びハウジング43の内側の案内構造を介して円周方向に正しく位置合わせされる。突起部44が、ケーブルプラグのソケット形状の前部ハウジング部のための環状挿入開口部45を区切る。内側に突出するタペット46が、基部18の凹部24の前端部を覆い、この凹部には、ケーブルプラグの不注意な取り外しを防ぐために、好ましくは、係止装置23が挿入される。プラグ接続の意図された解放のために、係止は、ソケットから前方に突出する係止解除要素47の作動によって解放可能である。ハウジング43上の突起48が、係止装置23及び係止解除要素47の部分及び/又は要素であって、基部18の凹部24から突出する部分及び/又は要素を収容するのに役立つ。
【0050】
内蔵ソケットのハウジング43は、ハウジング蓋49によって、あるいは、これとは別に、図14の実施形態による遮断部品によって後側で閉じられる。蓋又は遮断部品は、ここでは、後側の開口部全体を覆い、ハウジング43に溶接されるか接着され、あるいは圧入及び/又は連結接続による異なる従来の方法で接合される。接触ソケット30、31の後端部9のみが蓋又は遮断部品から突出する。ハウジング蓋49は、基部18の後側に当接するほか、代替又は追加として、必要に応じて基部18の後側にあるオフセット15を把持し、押圧力を基部18に、位置決め止め具11に向かって前方に付与することができる。このほか、円周方向に正しい位置合わせを、上記で説明したように、基部18上の案内要素16に対する配置及びハウジング43内の案内構造によって提示することができる。完全に挿入された状態では、タペット46とコンタクトキャリアの基部18の凹部24との係合はこのほか、正しい円周方向の位置合わせと、必要に応じてこのほか、ハウジング43の長手方向の位置決め要素とのための追加の支援である。
【0051】
長手方向軸に平行に延びる案内突起部25(図24を参照)を、内蔵ソケットにも、好ましくは、コンタクトキャリアの外側、あるいはコンタクトキャリアの基部18が挿入される内部ハウジング部にも設けることができる。この配置は、ハウジング1の前端部がハウジング1の長手方向に案内スロット26を備えているケーブルプラグを挿入するとき、接触ピン2、4及び挿入開口部28、29の正しい相対的位置合わせを確実なものにする。
【0052】
図25は、ケーブルプラグ用のハウジング1を示す。ハウジング1は、図24の内蔵ソケットとのプラグ接続を確立するためだけでなく、図4のケーブル継手に接続するためにも構成される。この目的のために、ハウジング1は、その後端に、締付スリーブ5が見える状態でネジ山付き接続部10のための内在するネジ部があり、ハウジング1の長手方向中心軸に平行に一定の長さにわたって延びる長手方向スロットを有する。その結果、ケーブルプラグを内蔵ソケットのハウジング30に充分な深さで差し込むことができたり、及び/又は継手のハウジング19のセクション21全体をケーブルプラグのハウジング1の前部に挿入することができたりする。突起部とスロットの位置は、突起部をスロットに挿入することができるときに、接触ピン2、4と挿入開口部28、29の相対位置が一致するように必然的に選択される。
【0053】
接触ピン2、4及び/又は接触ソケット30、31は、データ及び/又はエネルギーチャネルを形成する。このようなチャネルを介して、アナログデータ及び/又はデジタルデータ又は信号又はエネルギーを、異なる電圧及び/又は電力出力及び/又は周波数を使用して伝送することができる。ここで説明するXLR形式のプラグコネクタの2+4変形例では、エネルギーを伝達するための少なくとも一対の第1の接触要素、即ち、それぞれ2つの接触ピン4及び/又は接触ソケット31が設けられ、少なくとも二対の第2の接触要素、即ち、それぞれアナログ及び/又はデジタル伝送するための2つの接触ピン2及び/又は接触ソケット30が設けられる。コンタクトキャリアの基部8、18は、好ましくは、実質的に円盤又は円筒として形成される。円盤及び/又は円筒及び接触要素2、4、30、31の中心軸は、実質的に平行になるように配置される。好ましくは、接触要素2、4、30、31はこのほか、基部8、18の中心軸及びハウジング1、19、36、43の長手方向軸に平行に配向される。接触要素2、4、30、31の接続部9は、相補的プラグコネクタの反対側に位置する基部8、18の後側にて、ケーブルコネクタの場合にはハウジング1、19後部に向かって、あるいはシャーシコネクタの場合にはハウジング36、43の外側へ案内される。しかし、独立した開発として、接触要素30、31が、シャーシコネクタのハウジング36、43の後壁、あるいは後部ハウジングの蓋又は他の任意の後部カバーを通して、好ましくは、ハウジング36、43の長手方向中心軸に対して平行に、外側に向かって案内されることも可能である。
【0054】
一方で、例えば、プラグ接続のための係止装置のために充分な空間を割り当てながら、個々の接触要素2、4、30、31の間に充分な距離を確保するために、第1及び第2の接触要素2、4及び/又は22の対及び/又はそれぞれの接続部91から96は、ここに見える接続部91~96を参照して図26にグラフで説明するように、円柱半径rと少なくとも同等であるが、好ましくは、円柱半径rよりも大きい区分高さを有する円筒区分に配置される。接触要素2、4、30、31及び/又は接続部91から96の中心軸は、これに関連して、それぞれの位置の基準点として使用される。このため、他の円筒区分には充分な空間があり、円筒及び/又は円盤の高さの少なくとも一部にわたって延びる凹部42をその空間の中に形成することができる。
【0055】
日付をアナログ的及び/又はデジタル的に伝送するための第2の接触要素の対の接触ピン4及び相補的接触ソケット22は、交流電圧の場合に50V以下に到達し、高調波のない直流電圧の場合に120V以下に到達する超低電圧の電圧レベルに適する。電圧レベルは、好ましくは、交流電圧又は直流電圧の0.5Vから25Vの範囲内である。エネルギーを伝送するための少なくとも一対の第1の接触要素の接触ピン2及び接触ソケット22は、低電圧の電圧レベル、即ち、50Vを超え1000V以下の交流電圧及び120Vを超え1500V以下の高調波のない直流電圧にて使用されるように構成される。構造及び構成は、好ましくは、200~500Vの交流電圧及び/又は200V~300Vの高調波のない直流電圧の電圧範囲用に設計される。
【0056】
電力伝送による外乱を備えた信号を可能な限り低い程度にて伝送するために、信号及び/又はデータ伝送のための接触子から電力伝送のための接触子を空間的に分離した配置が提供される。接触要素2、4、30、31を介した伝送間の可能な限り低い相互影響のために特に有利な構成がこのほか、以下でさらに説明する、接触要素2、4、30、31のそれぞれの対の特別な配置によって特徴付けられる。このため、接触要素2、4、30、31及びそれぞれの接続部91~96の配置は、信号の妨害されない伝送を確実なものにするために、接触要素及びコンタクトキャリアの長手方向中心軸49に対して基本的に直交して延びる平面に分布するように配置されるように設計される。
【0057】
電力を伝送するための第1の接触要素の対の接触要素及び/又は接続部91、92の間の想像上の第1の間隔線50が、データを伝送するための接触要素の第2の対の接触要素及び/又は接続部93~96の間のあらゆる想像上の第2の間隔線51、52と重なっていない。この点に関して、間隔線は、接触要素の各対91と92、93と94、95と96の2つの関連する接触要素の中心軸間の最短直線として定義される。
【0058】
例えば、図23は、基部7の長手方向中心軸49を通る一対の第1の接触要素の接続部91と92との間の間隔線50が、第2の接触要素の半径方向に配置された一対の接続部95、96の間隔線51であって、間隔線50に直交して延びて長手方向中心軸49に対して半径方向に延びる間隔線51、と重ならないことを明確に示す。この間隔線52は、間隔線51に直交して、ひいては間隔線50に平行に延びるため、他の第2の接触要素の接続部93、94の別の対の間隔線52の間にも重なりはない。ここでは、さらに以下では、接触要素の比率はそれぞれの接続部に等しく適用され、その逆も同じである。
【0059】
第2の接触要素4、22の接続部93~96の対の間隔線51、52は、好ましくは直角に互いに交差する。接触要素4、22及びそれぞれの接続部93~96は、ここでは、一方の間隔線51がコンタクトキャリアの長手方向中心軸49と交差し、他方の間隔線52がこの長手方向中心軸49に直交して延び、好ましくは、間隔線51の半分が、コンタクトキャリアの長手方向中心軸(49)から離れる方向を向くように配置される。
【0060】
電力伝送との組み合わせにもかかわらず、データの妨害されない伝送を確実なものにするために、関連する対の接触要素2、4、30、31及び接続部91~96の間の距離t、u及び/又はwは、さらに好ましくは、異なる対の接触要素及び/又は接続部までの任意の距離v、x、y、zよりも大きい。第1の接続部91、この場合は電源用の接触子の1つと、データを伝送するための一対の第2の接触子の最も近い接続部94との間の距離yが、同じ接触子群のうちの最も近い接続部、即ち、好ましくは、電源用の関連する接触子の対の第2の接続部91からの第1の接続部94の距離vよりも小さい配置が、ここでは特に好ましい。しかし、この過程では、このほか、データを伝送するための関連のない第2の接触要素の対の接続部94と95との間の距離zが上記の距離値vとyとの間にあることが保証される必要がある。
【0061】
妨害されないデータ伝送のための可能な限り最良の安全性は、前述の特徴に加えて、50Ω、好ましくは80Ωを超える接触子の異なる対の最も近い接触子間の特性インピーダンスを有する配置によって提供される。この目的のために、このような接触子及び/又は接続部と、特に誘電性の値に関してそれぞれ特定の誘電率を有する材料との間の距離は、互いに調整され、一方では、このような比率は特に、発生する最小距離(図26では、これは接続部94と96との間の距離であり、どちらの接続部も第2の接触要素の異なる対に属する)に適用されるべきである。
【0062】
例示的な実施形態は、可能な実施形態の変形例を示し、この点に関して、本発明は、このような特定の例示された実施形態の変形例に限定されず、むしろ、個々の実施形態の変形例のさまざまな組み合わせも可能であり、本発明によって提供される技術的行動の教示によるこの変化の可能性が、この技術分野の当業者の能力の範囲内にあることに留意されたい。
本発明の態様の一部を以下記載する。
〔態様1〕
ハウジング(1、19、36、43)を有する電気プラグコネクタ用のコンタクトキャリアであって、
前記ハウジング(1、19、36、43)は、前記コンタクトキャリアを収容及び/又は具備し、
電気絶縁基部(8、18)を備え、
エネルギーを伝送するための少なくとも一対の第1の電気接触子(4、31)とデータを伝送するための複数の対の第2の電気接触子(2、30)とを備え、
前記接触子は、前記基部に保持され、前記接触要素及び前記コンタクトキャリアの長手方向軸に対して基本的に直交して延びる平面に分布するように配置され、好ましくは、互いに、前記コンタクトキャリアの長手方向軸(49)に平行に延び、
第1の接触子の対の接触子(91、92)の間の想像上の第1の間隔線(50)は、第2の接触子の対(93、94及び/又は95、96)の接触子の間の想像上の第2の間隔線(51、52)と重ならないことを特徴とする、コンタクトキャリア。
〔態様2〕
前記第2の間隔線(51、52)は、互いに、好ましくは直角に交差し、
一方の間隔線(51)は、好ましくは、前記コンタクトキャリアの前記長手方向中心軸(49)と交差し、
他方の間隔線(52)は、前記長手方向中心軸(49)に直交して、好ましくは、前記コンタクトキャリアの前記長手方向中心軸(49)から離れる方向に向いている前記第1の間隔線(51)の半分に延びる、ことを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトキャリア。
〔態様3〕
関連する対の前記接触子(91と92;93と94;95と96)の間の距離(t、u、w)は、異なる対の接触子への任意の距離(v、x、y、z)よりも大きいことを特徴とする、請求項2に記載のコンタクトキャリア。
〔態様4〕
前記第1の対の接触子のうちの一方の接触子(92)と、一対の第2の接触子の最も近い接触子(94)との間の距離(y)は、同じ接触子群の最も近い接触子(91)から前記第1の接触子(94)の距離(v)よりも小さく、
関連のない第2の接触子の対の接触子(94、95)の間の最大距離(z)は、前記距離の値(v、y)の間に収まる、ことを特徴とする、請求項2に記載のコンタクトキャリア。
〔態様5〕
前記接触子の間、好ましくは、第2の接触子の異なる対の最も近い接触子(94と96)の間の最小距離(x)が非常に大きいため、前記接触子の間の特性インピーダンスは、50Ω、好ましくは80Ωより大きいことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンタクトキャリア。
〔態様6〕
前記第2の接触子(2、30)は、交流電圧の場合には50V以下、高調波のない直流電圧の場合は120V以下になる、好ましくは、交流電圧又は直流電圧の0.5V~25Vの範囲の、低電圧の電圧レベルでのアナログ及び/又はデジタルデータの伝送用に構成され、及び/又は、
前記第1の接触子(4、31)は、低電圧の電圧レベル、即ち、50Vを超えて1000V以下の交流電圧と、120Vを超えて1500V以下の高調波のない直流電圧、好ましくは、しかし、200~500Vの間の交流電圧及び/又は200V~300Vの高調波のない直流電圧の電圧範囲で使用するためにエネルギーを伝送するように構成される、ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンタクトキャリア。
〔態様7〕
少なくとも1つの案内要素(16)は、前記基部(8、18)の外周に配置され、
前記案内要素は、収容ハウジング(1、19、36、43)上の相補的な案内構成と係合するように設計される、ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンタクトキャリア。
〔態様8〕
肩部(15)は、少なくとも円周の一部にわたって、前記基部(8、18)の後側に形成され、
好ましくは、肩部(17)は、少なくとも円周の一部にわたって、前記基部(8、18)の前側にも形成される、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンタクトキャリア。
〔態様9〕
請求項1~8のいずれか1項に記載のコンタクトキャリアであって、
その基部(8、18)は、実質的に円盤又は円筒として形成され、
前記円盤及び/又は前記円筒の中心軸(49)と前記接触子(2、4、30、31)とは、実質的に平行に配置されることを特徴とし、
前記接触子(2、4、30、31)は、円筒半径(r)を超える区分高さを有する円筒区分に配置され、他の円筒区分では、凹部(24)は、前記円筒及び/又は前記円盤の高さの少なくとも一部にわたって延びて形成される、ことを特徴とする、コンタクトキャリア。
〔態様10〕
ハウジングと、前記ハウジング(1、19、36、43)の内部に保持されたコンタクトキャリアとを備え、
電気絶縁基部(8、18)と、エネルギーを伝送するための少なくとも一対の第1の電気接触子(4、31)と、データを伝送するための複数の対の第2の電気接触子(2、30)とを具備する電気プラグコネクタにおいて、
前記コンタクトキャリアは、請求項1~9のいずれか1項に従って形成されることを特徴とする、電気プラグコネクタ。
〔態様11〕
前記ハウジング(1、19、36、43)の内側に、少なくとも位置決め止め具(11)及び案内構造は、設けられ、
前記基部(8、18)の前面に肩部を好ましくは備える前記コンタクトキャリアは、前記ハウジングが閉じているときに前記位置決め止め具(11)に当接し、
前記基部(8、18)の外周に配置された前記案内要素(16)は、前記ハウジング(1、19、36、43)が少なくとも閉じているときに、好ましくは、前記ハウジングへの挿入中にはすでに、前記案内構造と係合する、ことを特徴とする、請求項10に記載のプラグコネクタ。
〔態様12〕
前記接触子に接続されたケーブル(6)を具備する、半径方向に圧縮可能な締付要素(12)であって、前記締付要素(12)は、圧縮されると前記ケーブル(6)を締め付ける、締付要素(12)を具備し、
前記締付要素(12)は、その前面に配置された延長部(14)を使用して、前記コンタクトキャリアの前記基部(8、18)の後側にある前記肩部(15)を把持し、前記ハウジング(1、19)が閉じているときに前記挿入開口部の方向に前記肩部に力を付与することを特徴とする、請求項11に記載のプラグコネクタ。
〔態様13〕
前記ハウジング(1、19)は、締付スリーブ(5)とのネジ山付き接続部(10)を確立するように構成され、
前記ネジ山付き接続部(10)が締結されると、前記締付スリーブ(5)、前記締付要素(12)、前記ハウジング(1、19)及び前記ケーブル(6)は共に補強される、ことを特徴とする、請求項12に記載のプラグコネクタ。
〔態様14〕
遮断部品又はハウジング蓋(37、43)は、前記ハウジング(36、43)の後側を閉じ、閉じて固定された状態では、前記コンタクトキャリアの、好ましくは前記基部(8、18)の後側に当接し、前記挿入開口部(36、45)の方向にそれに力を加え、
好ましくは前記ハウジング(36、43)及びハウジング蓋(40)は、気密に互いに接続される、ことを特徴とする、請求項11に記載のプラグコネクタ。
〔態様15〕
請求項9に記載のコンタクトキャリアを有する請求項10~14のいずれか1項に記載のプラグコネクタであって、係止解除要素(25、47)によって手動で解放可能である係止装置(23)は、前記基部(18)の前記凹部(24)に挿入されることを特徴とする、プラグコネクタ。
【符号の説明】
【0063】
1 ハウジング
2 接触ピン
3 縁部
4 接触ピン
5 締付スリーブ
6 ケーブル
7 中間リング
8 雄型基部
9 接続部
10 ネジ山付き接続部
11 位置決め止め具
12 締付要素
13 締付部
14 延長部
15 後部オフセット
16 案内要素
17 前部オフセット
18 雌型基部
19 ハウジング
20 オフセット
21 細めの部分
22 緩衝リング
23 係止装置
24 基部の凹部
25 係止解除要素
26 ハウジングの凹部
27 ラッチ
28 挿入開口部
29 挿入開口部
30 接触ソケット
31 接触ソケット
32 タペット
33 案内要素
34 前部オフセット
35 後部オフセット
36 ハウジング
37 遮断部品
38 保持部
39 取付フランジ
40 取付穴
41 突起部
42 挿入開口部
43 ハウジング
44 突起部
45 挿入開口部
46 タペット
47 係止解除要素
48 突起
49 長手方向中心軸
50 間隔線
51 間隔線
52 間隔線
91 接続部
92 接続部
93 接続部
94 接続部
95 接続部
96 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26