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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】プローブホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021089047
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181856
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 雅斗
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0259604(US,A1)
【文献】特開2004-053588(JP,A)
【文献】特開2015-136464(JP,A)
【文献】特開2011-244996(JP,A)
【文献】特開2011-139722(JP,A)
【文献】特開2005-287915(JP,A)
【文献】特開2000-333949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置に設けられるプローブホルダであって、
上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体の下側に設けられ、前記支持面により前記後端部が支持された状態において前記上向き姿勢が維持されるように前記後端部に連なるケーブル端部を保持する保持部と、
を含み、
前記保持部は、前記ケーブル端部の外面へ弾性的に接触する複数の膨らみを含む、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のプローブホルダにおいて、
前記ケーブル端部は、ケーブル本体を囲むケーブルブーツを含み、
前記保持部は前記ケーブルブーツを保持する、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項3】
上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体の下側に設けられ、前記支持面により前記後端部が支持された状態において前記上向き姿勢が維持されるように前記後端部に連なるケーブル端部を保持する保持部と、
を含み、
前記保持部は、
前記ホルダ本体から下方に突出した囲み壁と、
前記囲み壁の内面から突出し、前記ケーブル端部の外面へ弾性的に接触する複数の膨らみと、
を含む、ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項4】
請求項3記載のプローブホルダにおいて、
前記ホルダ本体は、上下方向に沿ったスリットであってケーブルの通過を許容する上側スリットを含み、
前記囲み壁は、前記上側スリットに連なる上下方向に沿ったスリットであって前記ケーブルの通過を許容する下側スリットを含む、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項5】
請求項4記載のプローブホルダにおいて、
前記囲み壁は、前記下側スリットを規定する2つのエッジを有し、
前記各膨らみは、上下方向へ伸長し且つ前記保持部の中心軸の方へ突出したリブであり、
前記複数の膨らみとしての複数のリブには、前記2つのエッジ付近に設けられた2つのリブが含まれる、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項6】
上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体の下側に設けられ、前記支持面により前記後端部が支持された状態において前記上向き姿勢が維持されるように前記後端部に連なるケーブル端部を保持する保持部と、
を含み、
前記ホルダ本体は、
中空のケースと、
前記支持面を有し、前記ケースの内面を覆うインナーカバーと、
を含む、ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項7】
請求項6記載のプローブホルダにおいて、
前記インナーカバーと前記保持部とが一体化されて弾性構造体が構成されている、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項8】
請求項7記載のプローブホルダにおいて、
前記弾性構造体は蓄光材料を含む、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【請求項9】
請求項1記載のプローブホルダにおいて、
前記ホルダ本体及び前記保持部の少なくとも一方における一部分が蓄光材料を含む、
ことを特徴とするプローブホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプローブホルダに関し、特に、プローブホルダの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、通常、プローブホルダユニットを備える。プローブホルダユニットは複数のプローブホルダの連結体であり、個々のプローブホルダによりプローブが保持される。具体的には、プローブは、プローブヘッド、ケーブル及びコネクタにより構成される。コネクタが超音波診断装置本体に対して着脱可能に接続される。プローブの使用後に、プローブヘッドが上向き姿勢とされ、その状態においてプローブヘッドがプローブユニットの収容空間に落とし込まれる。これにより、プローブヘッドがプローブホルダに保持される。
【0003】
特許文献1には、上向き姿勢にあるプローブヘッドのグリップ部分(中間部分)を保持する複数の膨らみを備えたプローブホルダが開示されている。特許文献1には、プローブヘッドの上向き姿勢を維持するためにプローブヘッドから出るケーブルに対して作用を及ぼす構造は認められない。なお、特許文献2には、蓄光性材料を有する塗膜を備える超音波プローブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-136464号公報
【文献】特開2005-168885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な大きさや形状を有するプローブヘッドが存在する。そのような多様性あるプローブヘッドを安定的に保持するために、プローブホルダに複雑な構造を設けると、コストの増大という問題が生じる。
【0006】
本開示の目的は、比較的に簡易な構成で様々なプローブを安定的に保持できるプローブホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るプローブホルダは、上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体の下側に設けられ、前記支持面に前記後端部が支持された状態において前記上向き姿勢が維持されるように前記後端部に連なるケーブル端部を保持する保持部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、比較的に簡易な構成で様々なプローブを安定的に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る超音波診断装置を示す図である。
図2】プローブホルダユニットの斜視図である。
図3】プローブホルダの斜視図である。
図4】プローブホルダの正面図である。
図5】プローブホルダの上面図である。
図6】保持状態を示す断面図である。
図7】変形例に係るプローブホルダの斜視図である。
図8】変形例に係るプローブホルダの正面図である。
図9】変形例に係るプローブホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)実施形態の概要
実施形態に係るプローブホルダは、ホルダ本体、及び、保持部を有する。ホルダ本体は、上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有する。保持部は、ホルダ本体の下側に設けられ、支持面に後端部が支持された状態において上向き姿勢が維持されるように後端部に連なるケーブル端部を保持する。
【0012】
上記構成によれば、支持面がプローブヘッド等の荷重を受ける。プローブヘッドの後端部に連なるケーブル端部が保持部によって保持される。これによりプローブヘッドの上向き姿勢が維持される。一般に、プローブヘッドの形状には多様性が認められ、プローブヘッドのサイズにも多様性が認められる。これに対し、プローブ端部の形状及びサイズにはそこまでの多様性は認められない。よって、プローブヘッドから伸びるケーブル端部を保持すれば、比較的に簡易な構成で、プローブヘッドのサイズや形態にかかわらずプローブを安定的に保持できる。
【0013】
一般に、ケーブル端部には、プローブヘッドの後端部に結合された一定の剛性を有する保護部材が含まれる。実施形態においては、そのような保護部材が保持部によって保持される。ケーブル端部の保持状態において、プローブヘッドがある方向へ傾斜運動しようとした場合、ケーブル端部は逆方向へ傾斜運動しようとする。その際、保持部が、ケーブル端部に対して、プローブヘッドの起立状態(垂直姿勢)を復元させる抵抗力を及ぼす。
【0014】
通常のプローブホルダは、プローブヘッドを取り囲む構造物を有するが、上記構成においては、そのような構造物を設けなくてもプローブを保持し得る。一方、プローブヘッドの物理的なガード、万が一の傾斜運動時の運動制限、視覚的な安心感、等のためにプローブヘッドを取り囲む構造物を設けてもよい。
【0015】
実施形態において、ケーブル端部は、ケーブル本体を囲むケーブルブーツを含む。保持部はケーブルブーツを保持する。ケーブルブーツは保護部材であり、それはケーブル端部の剛性を高める作用を発揮する。ケーブルブーツは通常、プローブヘッドに直接的に結合される。そのようなケーブルブーツをその外側から保持すれば、プローブヘッドに対して十分な姿勢保持力を及ぼせる。
【0016】
実施形態において、保持部は、ホルダ本体から下方に突出した囲み壁と、囲み壁の内面から突出し、ケーブル端部の外面へ弾性的に接触する複数の膨らみと、を含む。複数の弾性的な膨らみを設ければ、ケーブル端部のサイズや形態が多少変化しても、良好な保持状態を形成できる。3個以上の膨らみを設ければ、ケーブル端部の中心軸を保持部の中心軸に定位させることが容易となる。
【0017】
実施形態において、ホルダ本体は、上下方向に沿ったスリットであってケーブルの通過を許容する上側スリットを含む。囲み壁は、上側スリットに連なる上下方向に沿ったスリットであってケーブルの通過を許容する下側スリットを含む。実施形態において、囲み壁は、下側スリットを規定する2つのエッジを有する。各膨らみは、上下方向へ伸長し且つ保持部の中心軸の方へ突出したリブである。複数の膨らみとしての複数のリブには、2つのエッジ付近に設けられた2つのリブが含まれる。この構成によれば、ケーブルが保持部から自然に抜け出てしまうことを効果的に防止できる。各リブの突出量や弾性力の調整により、保持部の保持力を調整し得る。
【0018】
実施形態において、ホルダ本体は、中空のケースと、支持面を有し、ケースの内面を覆うインナーカバーと、を含む。この構成によれば、ケースとプローブヘッドとの直接的な接触を回避して、プローブヘッドを保護できる。実施形態においては、インナーカバーと保持部とが一体化されて弾性構造体が構成されている。この構成によれば、部品点数を削減してコスト低減を図れる。
【0019】
実施形態において、弾性構造体は蓄光材料を含む。超音波検査時においては、超音波画像の観察の便宜から、通常、検査室内が暗くされる。弾性構造体が自発光すれば、プローブホルダの位置や形態が目立つので、プローブホルダからのプローブヘッドの取り出しが容易となり、また、プローブホルダへのプローブヘッドの装着が容易となる。
【0020】
実施形態において、ホルダ本体及び保持部の少なくとも一方における一部分が蓄光材料を含む。接続端部を保持する構造を備えていないプローブホルダの一部又は全部が蓄光材料を含む材料で構成されてもよい。例えば、蓄光材料を含む塗膜が形成されてもよいし、蓄光材料が添加された材料で部品が製作されてもよい。
【0021】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断装置10が示されている。超音波診断装置10は、医療機関において使用され、生体(被検者)への超音波の送受波により得られた受信データに基づいて超音波画像を形成する医用装置である。なお、図1において、x方向は左右方向であり、y方向は奥行方向(前後方向)であり、z方向は垂直方向(上下方向)である。
【0022】
超音波診断装置10は、例えば、カート式の超音波診断装置である。超音波診断装置10は、図示されていない装置本体12を有する。装置本体12は箱状の形態を有し、その下部には複数のキャスタが設けられている。装置本体12は、図示されていない支持機構を介して、操作パネル14を支持している。操作パネル14は入力デバイスであり、それは複数のボタン、複数の摘み、トラックボール、キーボード等を有する。
【0023】
操作パネル14の奥側にはディスプレイ16が設けられている。操作パネル14によりアーム機構を介してディスプレイ16が支持されてもよい。ディスプレイ16は、有機EL表示器、LCD等により構成される。ディスプレイ16には超音波画像が表示される。操作パネル14の前側にはハンドルが設けられている。
【0024】
操作パネル14の右側にはプローブホルダユニット18が設けられている。操作パネル14の左側にプローブホルダユニットが設けられてもよい。プローブホルダユニット18は、複数のプローブホルダ20A~20Dを有する。プローブホルダ20A~20Dにより任意数のプローブが保持される。
【0025】
各プローブは、プローブヘッド22A~22C、ケーブル及びコネクタにより構成される。プローブヘッド22A~22C内には、複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられている。振動素子アレイにより超音波ビームが形成され、超音波ビームが電子走査される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式等が知られている。走査方式や用途の違いを反映して、様々な形態及び様々なサイズを有するプローブヘッド22A~22Cが提供されている。その一方、各プローブヘッド22A~22Cから引き出されているケーブルの形態やサイズは概ね等しい。各ケーブルの端部(接続端部)がプローブヘッド22A~22Cの後端部に連結されている。プローブホルダユニット18が単一のプローブホルダにより構成されてもよい。プローブホルダユニット18にゼリーウォーマー等の設備が設けられてもよい。
【0026】
図2は、プローブホルダユニット18の拡大斜視図である。プローブホルダユニット18は、フレーム24及び4つのプローブホルダ20A~20Dを含む。フレーム24は例えばアルミニウム等により構成される。プローブホルダ20A~20Dのケース(外壁)は例えば硬質の樹脂で構成される。フレーム24とプローブホルダ20A~20Dが一体化されてもよい。4つのプローブホルダ20A~20Dは奥行方向に並んでいる。各プローブホルダ20A~20Dは同じ形態を有している。
【0027】
各プローブホルダ20A~20Dの手前側に、溝26を介してアーム28が設けられている。各アーム28はフレーム24の一部を構成している。各アーム28にはケーブルフック30が形成されている。溝26はケーブルが差し込まれる通路として機能する。
【0028】
図3は、プローブホルダ20の斜視図である。プローブホルダ20は、ホルダ本体31及び保持部38により構成される。保持部38は、ホルダ本体31の下側に設けられ、下方へ突出した形態を有する。
【0029】
ホルダ本体31は、ケース32とインナーカバー部36とにより構成される。ケース32は中空の容器又はカップであり、その内面の全体がインナーカバー部36により覆われている。インナーカバー部36と保持部38は一体化されて単一の弾性構造体34が構成されている。見方を変えると、プローブホルダ20は、ケース32と弾性構造体34とにより構成される。ケース32は、弾性構造体34よりも硬質の材料、具体的には硬質樹脂によって構成される。ホルダ本体31は、後述するように、上向き姿勢を有するプローブヘッドの後端部を支持する支持面を有する。支持面は台座面である。
【0030】
保持部38は、プローブヘッドの後端部に連なるケーブル端部(接続端部)を保持するケーブル保持部である。保持部38は、囲み壁39及びリブ列40により構成される。囲み壁39は、概ね円筒状の形態(C字形の水平断面)を有し、その内面にリブ列40が設けられている。リブ列40は、図示の構成例では、4つのリブからなる。各リブは囲み壁39の内面から保持部38の中心軸へ向かって突出している。
【0031】
実施形態においては、弾性構造体34は、シリコーンゴム等の弾性材料により構成されている。弾性材料には蓄光材料が添加されている。あるいは、弾性構造体34の表面に蓄光材料が塗布されている。蓄光材料として様々な材料が知られている。例えば、SrAl系の蓄光材料、ZnS系の蓄光材料、等が知られている。弾性構造体34に蓄光材料を含有させておくと、検査室が暗くなった状態において弾性構造体34が自発光する。これにより、プローブホルダ20へのプローブの差し込みやプローブホルダ20からのプローブの取り出しが容易となる。特に、プローブホルダ20に形成されたスリットに対するケーブルの抜き差しが容易となる。発光材料の選択により、任意の発光色を選択し得る。
【0032】
図4は、プローブホルダの正面図である。ケース32はカップ状の形態を有し、それは底壁46を有する。底壁46の中央部には、保持部38の下方への突出を許容する開口が形成されている。ケース32は円筒状のケース本体42を有し、その上部は肉厚部を構成している。符号50は肉厚部の上面を示している。ケース32は上下方向に沿ったスリット48を有する。
【0033】
弾性構造体34は、インナーカバー部36及び保持部38により構成される。インナーカバー部36は、ケース32の内面それ全体を覆っている。インナーカバー部36は、筒状部57を有し、その上端には水平方向に広がった鍔部54が設けられている。鍔部54はケース32における環状の上面50を部分的に覆っている。符号44はケース32の内部空間を示しており、符号45はインナーカバー部36の内部空間を示している。
【0034】
インナーカバー部36は底壁58を有し、底壁58の中央部にはケーブルを通過させる開口が形成されている。インナーカバー部36は、上下方向に沿って形成されたスリット52を有する。ケース32に形成されたスリット48及びインナーカバー部36に形成されたスリット52により上側スリットが構成される。それはケーブルの通過路として機能する。ケース32において、スリット48の上側には、一対の斜面50Aが形成されている。インナーカバー部36において、スリット52の上側には、一対の斜面50Aに沿って形成された一対の斜面54Aが形成されている。
【0035】
保持部38において、囲み壁39は、その上部からその下部にかけて徐々に細くなった先細形態を有する。囲み壁39の外面39Aは円錐面である。囲み壁39には上下方向に沿ったスリット56が形成されている。それは上側スリットに連なる下側スリットとして機能する。囲み壁39の内部は、上下方向に貫通したケーブル保持空間である。
【0036】
図5は、プローブホルダの上面図である。ケース内面32Aそれ全体がインナーカバー部36によって覆われている。インナーカバー部36は、筒状部及び底壁を有する。底壁の上面が支持面58Aとして機能する。支持面58Aにより、上向き姿勢にあるプローブヘッドの後端部が支持される。上記のように、スリット48及びスリット52により上側スリットが構成されている。
【0037】
保持部における囲み壁の内面39Bには上記のようにリブ列40が形成されている。リブ列40は、4つのリブ40a~40dにより構成される。その内で、リブ40a及びリブ40dは、保持部におけるスリット56を規定する2つのエッジの付近に形成されている。4つのリブ40a~40dの先端部分がケーブル60の外面(具体的にはケーブルブーツの外面)に弾性的に当接する。4つのリブ40a~40dにより、ケーブル60の中心軸が保持部の中心軸に合わせられつつ、ケーブル60が保持される。
【0038】
起立姿勢にあるプローブヘッドの後端部が支持面58Aによって支持されている状態において、プローブヘッドがある方向に傾斜運動しようとした場合、その方向とは逆の方向へケーブル端部が傾斜運動しようとする。その傾斜運動に対する抵抗力が保持部からケーブル端部へ及ぶ。これにより、プローブヘッドの垂直姿勢が維持される。基本的に、いずれのプローブヘッドがホルダ本体に収容されても、プローブヘッドは、その下端面を除いて、ホルダ本体に対して非接触となる。ホルダ本体は、基本的に、プローブヘッドを保持する作用を発揮しない。
【0039】
実施形態においては、プローブホルダに対してプローブをセットする際に、上側スリット及び下側スリットがケーブル通過路として機能する。下側スリットを規定する2のエッジ付近に2つのリブ40a,40dが形成されているため、下側スリットからのケーブルの脱落が防止されている。各リブ40a~40dは、中実の膨らみであるが、それを中空の膨らみとして構成してもよい。リブ列40を3つのリブで構成してもよく、それを5つ以上のリブで構成してもよい。ケーブル60のサイズに応じて各リブ40a~40dが適度に潰れる。リブ列40は、サイズや形態が異なる様々なケーブルを安定的に保持し得るものである。
【0040】
例えば、囲み壁の内面39Bからの各リブ40a~40dの突出量は、各リブの下部において1.2mmであり、各リブの上部において4mmである。例えば、あるプローブにおいて、ケーブル端部の外径は9~15mmにわたって変化する。プローブ種類が異なる場合、その変化の範囲が更に変化する。そのような変化があってもケーブル端部を確実に保持できように、各リブの突出量が定められている。なお、ケーブル本体の外径は例えば6~10mmの範囲内にある。
【0041】
図6には、プローブ保持状態が断面図として示されている。プローブは、プローブヘッド22及びケーブル68を有する。プローブヘッド22は、先端部62、胴部(グリップ部)64、及び、後端部66を有する。先端部62内には複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられている。図示の例では、先端部62は胴部64に比べて肥大している。後端部66から下方へケーブル68が引き出されている。図6においては、ケーブル68の内で、後端部66に連なる端部(ケーブル端部)が示されている。
【0042】
ケーブル端部には、ケーブル本体70及びそれを取り囲むケーブルブーツ72が含まれる。ケーブル本体70には多数の信号線が含まれる。ケーブルブーツ72は一定の弾性を有する部材であり、それは例えば樹脂又はゴム材料により構成される。ケーブルブーツ72は、ケーブル端部の剛性を高める保護部材である。ケーブルブーツ72においては、その下部からその上部にかけて肉厚が徐々に増大されている。これに伴って、ケーブルブーツ72の外径は、その下部からその上部にかけて増大している。ケーブルブーツ72の上端部は、プローブヘッド22の後端部66内に入り込んでおり、両者が機械的に連結されている。
【0043】
ホルダ本体31の内部に、プローブヘッド22における胴部64及び後端部66が収容されている。プローブヘッド22における先端部62は、プローブホルダ20から突出しており、外部に露出している。弾性構造体34は、一体化されたインナーカバー部36及び保持部38により構成される。ケースの底壁46の開口80Aを通じて保持部38が下方へ突出している。保持部38はケーブル保持空間を有し、それは上部開口82A及び下部開口82Bを有する。保持部38の内面上には環状に配列された複数のリブからなるリブ列40が設けられている。各リブは上下方向に伸長した突起部である。リブ列40によりケーブル68が保持される。
【0044】
保持部38は下端レベルh1から上端レベルh3にわたって形成されている。実施形態においては、その範囲内において、下端レベルh1から中間レベルh2にかけてリブ列40が形成されている。もっとも、下端レベルh1から上端レベルh3までの全体にわたってリブ列40が形成されてもよい。
【0045】
支持面58Aがプローブヘッド22等の荷重を受けている。プローブヘッド22から伸びるケーブル68が保持部38により保持されており、これによりプローブヘッド22の起立姿勢が維持される。その状態では、プローブヘッド22は、その後端面を除いて、ホルダ本体31には接していない。その観点から見て、ホルダ本体31において底壁46以外を除去することも可能である。もっとも、外力からのプローブヘッド22の保護、プローブヘッド22に対して過大な傾斜力が及んだ場合におけるプローブヘッド22の落下防止、及び、心理的な安心感、等の観点からホルダ本体31の形態をカップ状又は井戸状とした方がよい。
【0046】
図7には、プローブホルダの変形例が示されている。図3等に示したプローブホルダ20との比較において、図7に示すプローブホルダ90においては上部に丸みをもった形態が認められ、各リブについても丸みをもった形態が認められる。但し、図7に示したプローブホルダ90と図3等に示したプローブホルダ20の間で、基本的な構成は共通している。
【0047】
プローブホルダ90は、硬質のケース92及び弾性構造体94を有する。弾性構造体94は、インナーカバー部96及び保持部98により構成される。保持部98の内面上にはリブ列100が設けられている。
【0048】
図8において、A-A’線で示す断面が図9に示されている。上述したように、弾性構造体94は、ケース92内のインナーカバー部96及びケース92から下方に突出した保持部98により構成される。保持部98にはリブ列100が形成されている。
【0049】
実施形態に係るプローブホルダによれば、プローブヘッドそれ自体を保持するのではなく、そこから出るケーブル端部を保持する新しい保持方式を実現できる。これにより様々なプローブを簡易な構成で安定的に保持することが可能となる。プローブ保持に際して、プローブヘッドの大部分が非接触状態となるので衛生的である。プローブヘッドを取り出す際にプローブヘッドの周囲に複数の指を差し込み易いという利点も得られる。
【0050】
また、実施形態に係るプローブホルダによれば、弾性構造体への蓄光材料の添加により、周囲が暗い状況下で、弾性構造体が自発光するので、プローブホルダの視認性を高められる。
【符号の説明】
【0051】
10 超音波診断装置、18 プローブホルダユニット、20 プローブホルダ、22 プローブヘッド、31 ホルダ本体、32 ケース、34 弾性構造体、36 インナーカバー部、38 保持部、39 囲み壁、40 リブ列、60,68 ケーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9