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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】運転支援装置および車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240424BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20240424BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240424BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/06
B60W50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021159891
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049883
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友澤 元克
(72)【発明者】
【氏名】持田 勤
(72)【発明者】
【氏名】大谷 真也
(72)【発明者】
【氏名】山王堂 真也
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/078356(WO,A1)
【文献】特開2020-083006(JP,A)
【文献】特開2020-050263(JP,A)
【文献】特開2017-030568(JP,A)
【文献】特開2019-119231(JP,A)
【文献】特開2021-062683(JP,A)
【文献】特開2004-203359(JP,A)
【文献】特開2021-066286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60R 25/00 - 99/00
B60R 21/00 - 21/13
B60R 21/34 - 21/38
B62D 6/00 - 6/10
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺情報を収集するセンサを有する車両に対し、前記車両のユーザが所持する端末からの指示にしたがって運転支援を行う運転支援装置であって、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて前記車両の周辺の障害物および駐車領域を検出する検出部と、
前記駐車領域の出入り口側の端部を含んで所定の方向に延びる第1の境界線と、前記駐車領域の前記端部と向かい合う第1の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第2の境界線とに挟まれた領域を前記車両の移動が可能な道幅として算出する道幅算出部と、
前記駐車領域を出発位置または目標位置として、前記第1及び第2の境界線に挟まれた前記領域および前記駐車領域を通り、前記目標位置に至る前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、
前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、
前記道幅算出部は、
前記運転支援の開始後に、前記第1及び第2の境界線の内側であって、前記車両の進行方向の前記車両に対して前記第2の境界線側に第2の障害物が検出され、前記移動経路上を移動する前記車両が所定のタイミングに至った時点で前記第2の障害物が検出され続けていた場合、前記第2の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第3の境界線と、前記第1の境界線とに挟まれた領域を新たな道幅として算出する、
運転支援装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の境界線が延びる前記所定の方向は、前記駐車領域の前記出入り口側の端部に平行な方向である、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、
前記車両が後退から前進に転ずるタイミング、または前記車両が前進から後退に転ずるタイミングである、
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、
前記運転支援の開始が指示された後、所定時間が経過したタイミングである、
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
周辺情報を収集するセンサと、
ユーザが所持する端末からの指示にしたがって運転支援を行う運転支援装置と、が搭載された車両であって、
前記運転支援装置は、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて前記車両の周辺の障害物および駐車領域を検出する検出部と、
前記駐車領域の出入り口側の端部を含んで所定の方向に延びる第1の境界線と、前記駐車領域の前記端部と向かい合う第1の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第2の境界線とに挟まれた領域を前記車両の移動が可能な道幅として算出する道幅算出部と、
前記駐車領域を出発位置または目標位置として、前記第1及び第2の境界線に挟まれた前記領域および前記駐車領域を通り、前記目標位置に至る前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、
前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、
前記道幅算出部は、
前記運転支援の開始後に、前記第1及び第2の境界線の内側であって、前記車両の進行方向の前記車両に対して前記第2の境界線側に第2の障害物が検出され、前記移動経路上を移動する前記車両が所定のタイミングに至った時点で前記第2の障害物が検出され続けていた場合、前記第2の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第3の境界線と、前記第1の境界線とに挟まれた領域を新たな道幅として算出する、
車両。
【請求項6】
前記第1及び第2の境界線が延びる前記所定の方向は、前記駐車領域の前記出入り口側の端部に平行な方向である、
請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、
前記車両が後退から前進に転ずるタイミング、または前記車両が前進から後退に転ずるタイミングである、
請求項5または請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、
前記運転支援の開始が指示された後、所定時間が経過したタイミングである、
請求項5または請求項6に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の入庫時および出庫時に運転支援を行う運転支援装置がある。運転支援装置においては、入庫または出庫までの車両の移動経路を算出し、それに基づき車両を移動させる。車両の移動経路を算出する際、運転支援装置は、例えば駐車領域とは反対側に位置する障害物を基準にして車両の移動が可能な道幅を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-030580号公報
【文献】特開2021-066286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、運転者が車両から降車した状態で、入庫および出庫の運転支援をリモートで行う運転支援装置が開発されている。このような運転支援装置では、車両から降車した運転者が障害物として認識されてしまい、運転者を基準に道幅が算出されてしまうことがある。この場合、道幅が不必要に狭く認識されてしまい、車両の運転支援が中止してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者を障害物として検出した場合でも運転支援の中止を抑制することができる運転支援装置および車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の運転支援装置は、周辺情報を収集するセンサを有する車両に対し、前記車両のユーザが所持する端末からの指示にしたがって運転支援を行う運転支援装置であって、前記センサからの前記周辺情報に基づいて前記車両の周辺の障害物および駐車領域を検出する検出部と、前記駐車領域の出入り口側の端部を含んで所定の方向に延びる第1の境界線と、前記駐車領域の前記端部と向かい合う第1の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第2の境界線とに挟まれた領域を前記車両の移動が可能な道幅として算出する道幅算出部と、前記駐車領域を出発位置または目標位置として、前記第1及び第2の境界線に挟まれた前記領域および前記駐車領域を通り、前記目標位置に至る前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、前記道幅算出部は、前記運転支援の開始後に、前記第1及び第2の境界線の内側であって、前記車両の進行方向の前記車両に対して前記第2の境界線側に第2の障害物が検出され、前記移動経路上を移動する前記車両が所定のタイミングに至った時点で前記第2の障害物が検出され続けていた場合、前記第2の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第3の境界線と、前記第1の境界線とに挟まれた領域を新たな道幅として算出する。
【0007】
この構成によれば、運転者を障害物として検出した場合でも運転支援の中止を抑制することができる。
【0008】
また、上述の運転支援装置において、前記第1及び第2の境界線が延びる前記所定の方向は、前記駐車領域の前記出入り口側の端部に平行な方向である。この構成によれば、境界線の延伸方向を駐車領域の向きに合わせて決定する駐車領域基準の車両の制御が可能となり、運転支援装置における境界線の算出等の処理をシンプルにすることができる。
【0009】
また、上述の運転支援装置において、前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、前記車両が後退から前進に転ずるタイミング、または前記車両が前進から後退に転ずるタイミングである。この構成によれば、運転支援中の車両10の動作と同期させて、障害物の状況を再確認するタイミングを測ることができる。
【0010】
また、上述の運転支援装置において、前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、前記運転支援の開始が指示された後、所定時間が経過したタイミングである。この構成によれば、毎回、一定のタイミングで障害物の状況を再確認することができ、また、運転支援装置における処理をシンプルにすることができる。
【0011】
実施形態の車両は、周辺情報を収集するセンサと、ユーザが所持する端末からの指示にしたがって運転支援を行う運転支援装置と、が搭載された車両であって、前記運転支援装置は、前記センサからの前記周辺情報に基づいて前記車両の周辺の障害物および駐車領域を検出する検出部と、前記駐車領域の出入り口側の端部を含んで所定の方向に延びる第1の境界線と、前記駐車領域の前記端部と向かい合う第1の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第2の境界線とに挟まれた領域を前記車両の移動が可能な道幅として算出する道幅算出部と、前記駐車領域を出発位置または目標位置として、前記第1及び第2の境界線に挟まれた前記領域および前記駐車領域を通り、前記目標位置に至る前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、前記道幅算出部は、前記運転支援の開始後に、前記第1及び第2の境界線の内側であって、前記車両の進行方向の前記車両に対して前記第2の境界線側に第2の障害物が検出され、前記移動経路上を移動する前記車両が所定のタイミングに至った時点で前記第2の障害物が検出され続けていた場合、前記第2の障害物の前記車両側の端部を含んで前記所定の方向に延びる第3の境界線と、前記第1の境界線とに挟まれた領域を新たな道幅として算出する。
【0012】
この構成によれば、運転者を障害物として検出した場合でも運転支援の中止を抑制することができる。
【0013】
また、上述の車両において、前記第1及び第2の境界線が延びる前記所定の方向は、前記駐車領域の前記出入り口側の端部に平行な方向である。この構成によれば、境界線の延伸方向を駐車領域の向きに合わせて決定する駐車領域基準の車両の制御が可能となり、運転支援装置における境界線の算出等の処理をシンプルにすることができる。
【0014】
また、上述の車両において、前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、前記車両が後退から前進に転ずるタイミング、または前記車両が前進から後退に転ずるタイミングである。この構成によれば、運転支援中の車両10の動作と同期させて、障害物の状況を再確認するタイミングを測ることができる。
【0015】
また、上述の車両において、前記移動経路上を移動する前記車両における前記所定のタイミングは、前記運転支援の開始が指示された後、所定時間が経過したタイミングである。この構成によれば、毎回、一定のタイミングで障害物の状況を再確認することができ、また、運転支援装置における処理をシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態にかかる運転支援装置が搭載された車両の上面図である。
図2図2は、実施形態にかかる運転支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる運転支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の運転支援装置が道幅を算出する場合の幾つかの例について説明する模式図である。
図5図5は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図6図6は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図7図7は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図8図8は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図9図9は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図10図10は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の他の例について説明する模式図である。
図11図11は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の他の例について説明する模式図である。
図12図12は、実施形態にかかる運転支援装置による運転支援処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の例示的な実施形態等の同様の構成要素には共通の符号を付与して、重複する説明を適宜省略する。
【0018】
(車両の構成例)
図1は、実施形態にかかる運転支援装置20が搭載された車両10の上面図である。図1における車両10の前後左右は、車両10の運転席から見た場合の方向を示す。
【0019】
実施形態の車両10は、例えば内燃機関を駆動源とする内燃機関自動車であってもよいし、電動機を駆動源とする電気自動車または燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよい。
【0020】
また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができ、内燃機関または電動機を駆動するために必要な種々のシステム、部品等の装置を搭載することができる。また、車両10における車輪13の駆動に関わる装置の方式、個数、及びレイアウト等は、種々に設定することができる。
【0021】
図1に示すように、車両10は、車体12、複数の車輪13、複数の測距部14a~14l、及び複数の撮像部16a~16dを備える。なお、測距部14a~14lを区別する必要がない場合には単に測距部14と記載する。また、撮像部16a~16dを区別する必要がない場合には単に撮像部16と記載する。
【0022】
車体12は、乗員が乗車する車室を構成する。車体12には、複数の車輪13、複数の測距部14、及び複数の撮像部16が取り付けられている。図1の例では、車体12は、4個の車輪13と、12個の測距部14と、4個の撮像部16とを備えている。ただし、車体12に取り付けられる測距部14及び撮像部16の個数は任意である。
【0023】
4個の車輪13は、車体12の前後左右に設けられている。前側の2個の車輪13は例えば転舵輪として機能し、後側の2個の車輪13は例えば駆動輪として機能する。
【0024】
センサとしての測距部14は、例えば車両10の外周部に設けられ、超音波等の音波を検出波として送信して、車両10の周辺に存在する障害物等の対象物が反射した検出波を捉えるソナーである。なお、測距部14は、レーザ光等の検出波を送信するレーダー、またはミリ波レーダー等であってもよい。
【0025】
測距部14は、車両10の周辺の情報である周辺情報を収集して運転支援装置20に出力する。測距部14は、例えば検出波を送信してから受信するまでの時間である応答時間を、対象物と車両10との距離を特定するための周辺情報として収集する。運転支援装置20は、測距部14が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の障害物等の有無、及びその障害物までの距離を検出することができる。
【0026】
なお、測距部14は、1回の検出波の送信に対して、対象物の複数の個所が反射した複数の検出波を受信した場合には、最も早く受信した検出波の応答時間のみを周辺情報に含めてもよい。
【0027】
測距部14a~14dは車体12の前部に設けられている。これらの測距部14a~14dのうち、測距部14b,14cはフロントソナーとも呼ばれ、車両10の前端部に設けられている。測距部14b,14cは、車両10の前方の対象物を検出して、車両10の前方の周辺情報を収集する。また、測距部14a,14dはコーナーソナーとも呼ばれ、車両10前部のコーナー部分に設けられている。測距部14a,14dは、車両10の前方外側の対象物を検出して、車両10の前方外側の周辺情報を収集する。
【0028】
測距部14e~14hは車体12の後部に設けられている。これらの測距部14e~14hのうち、測距部14f,14gはリアソナーとも呼ばれ、車両10の後端部に設けられている。測距部14f,14gは、車両10の後方の対象物を検出して、車両10の後方の周辺情報を収集する。また、測距部14e,14hはコーナーソナーとも呼ばれ、車両10後部のコーナー部分に設けられている。測距部14e,14hは、車両10の後方外側の対象物を検出して、車両10の後方外側の周辺情報を収集する。
【0029】
測距部14i~14lはサイドソナーとも呼ばれ、車体12の側部に設けられている。測距部14i~14lのうち、測距部14i,14jは車両10の前部側方に設けられている。測距部14k,14lは車両10の後部側方に設けられている。測距部14i~14lは、車両10の側方の対象物を検出して、車両10の側方の周辺情報を収集する。
【0030】
センサとしての撮像部16は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、またはCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部16は、所定のフレームレートで撮影される複数のフレーム画像を含む動画、または静止画の撮像画像を生成する。
【0031】
撮像部16は、車体12の外周部に設けられ、それぞれ広角レンズまたは魚眼レンズを有しており、例えば水平方向の140°~190°の範囲を撮影することができる。撮像部16の光軸は、斜め下方に向けて設定されている。
【0032】
これにより、撮像部16は、路面を含む車両10の周辺を撮像した周辺情報を収集して運転支援装置20に出力する。運転支援装置20は、撮像部16が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の障害物等の有無、及びその障害物の位置を検出することができる。また、運転支援装置20は、撮像部16が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の駐車区画、及びその駐車区画の位置を検出することができる。
【0033】
撮像部16aは、車体12の前端部の左右方向の中央部であって、例えばフロントバンパーに設けられている。撮像部16aは、車両10の前方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。撮像部16bは、車体12の後端部の左右方向の中央部であって、例えばリアバンパーに設けられている。撮像部16bは、車両10の後方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。
【0034】
撮像部16cは、車体12の左端部の前後方向の中央部であって、例えば左側のサイドミラーに設けられている。撮像部16cは、車両10の左方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。撮像部16dは、車体12の右端部の前後方向の中央部であって、例えば右側のサイドミラーに設けられている。撮像部16dは、車両10の右方の周辺を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。
【0035】
(運転支援システムの構成例)
図2は、実施形態にかかる運転支援システム200の全体構成の一例を示すブロック図である。運転支援システム200は、例えば車両10に搭載されて、運転者が車両10からから降車した状態で、車両10の駐車区画への入庫または駐車区画からの出庫等の運転支援をリモートで行う。
【0036】
図2に示すように、運転支援システム200は、運転支援装置20、モニタ装置30、制動システム40、加速システム50、操舵システム60、変速システム70、車速センサ83、測距部14、及び撮像部16を備える。これらの構成は、車内ネットワークNTによって互いに情報の送受信が可能に接続されている。
【0037】
車内ネットワークNTは、例えばCAN(Controller Area Network)及びLIN(Local Interconnect Network)等を含んで構成される。車内ネットワークNTを運転支援システム200の一部に含めてもよい。
【0038】
また、運転支援システム200は、車両10の運転者等のユーザが所持する携帯端末100とインターネット等の無線回線を介して互いに情報の送受信が可能に接続されている。
【0039】
運転支援装置20は、ECU(Electronic Control Unit)等のマイクロコンピュータとして構成されており、車両10の運転支援を行なう。
【0040】
運転支援装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、通信制御回路22、表示制御回路23、SSD(Solid State Drive)24、ROM(Read Only Memory)25、及びRAM(Random Access Memory)26を備える。CPU21、ROM25、及びRAM26は同一パッケージ内に集積されていてもよい。
【0041】
CPU21は、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM25等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、このプログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。
【0042】
ROM25は、各種プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM26は、CPU21による演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD24は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、運転支援装置20の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0043】
通信制御回路22は、運転支援装置20で行われる演算処理のうち、主として携帯端末100との情報の送受信に関わる処理を実行する。表示制御回路23は、運転支援装置20で行われる演算処理のうち、主として撮像部16で得られた画像の画像処理、モニタ装置30が備える後述の表示部31に表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。
【0044】
制動システム40は、制動部41、制動制御部42、及び制動部センサ43を有し、車両10の減速を制御する。
【0045】
制動部41は、例えばブレーキ及びブレーキペダル等を含む装置であり、車両10を減速させる。制動制御部42は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。制動制御部42は、運転支援装置20からの指示に基づいて制動部41を制御して、車両10の減速を制御する。制動部センサ43は、例えば位置センサであって、制動部41に含まれるブレーキペダルの位置を検出する。制動部センサ43は、検出したブレーキペダル位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0046】
加速システム50は、加速部51、加速制御部52、及び加速部センサ53を有し、車両10の加速を制御する。
【0047】
加速部51は、例えばアクセルペダル等を含む装置であり、車両10を加速させる。加速制御部52は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。加速制御部52は、運転支援装置20からの指示に基づいて、加速部51を制御して、車両10の加速を制御する。加速部センサ53は、例え、位置センサであって、加速部51に含まれるアクセルペダルの位置を検出する。加速部センサ53は、検出したアクセルペダルの位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0048】
操舵システム60は、操舵部61、操舵制御部62、及び操舵部センサ63を有し、車両10の進行方向を制御する。
【0049】
操舵部61は、例えばハンドルまたはステアリングホイール等を含む装置であり、車両10の転舵輪を転舵させて、車両10の進行方向を操舵する。操舵制御部62は、例えばCPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。操舵制御部62は、運転支援装置20からの指示に基づいて、操舵部61を制御して、車両10の進行方向を制御する。操舵部センサ63は、例えばホール素子等を含む角度センサであって、操舵部61の回転角である操舵角を検出する。操舵部センサ63は、検出した操舵部61の操舵角を車内ネットワークNTに出力する。
【0050】
変速システム70は、変速部71、変速制御部72、及び変速部センサ73を有し、車両10の変速比を制御する。
【0051】
変速部71は、例えばシフトレバー等を含む装置であり、車両10の変速比を変更させる。変速制御部72は、例えばCPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。変速制御部72は、運転支援装置20からの指示に基づいて、変速部71を制御して、車両10の変速比を制御する。変速部センサ73は、例えば位置センサであって、変速部71に含まれるシフトレバーの位置を検出する。変速部センサ73は、検出したシフトレバーの位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0052】
車速センサ83は、例えば車両10の車輪13の近傍に設けられたホール素子を有し、車輪13の回転量または単位時間当たりの回転数を検出する。車速センサ83は、検出した回転量または回転数を示す車輪速パルス数を、車両10の速度(車速)を算出するためのセンサ値として、車内ネットワークNTへ出力する。運転支援装置20は、車速センサ83から取得したセンサ値に基づいて車両10の速度および移動量等を算出することができる。
【0053】
モニタ装置30は、車両10の車室内のダッシュボード等に設けられ、表示部31及び入力部32を有する。
【0054】
表示部31は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または有機ELディプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等の表示装置である。表示部31は、例えば運転支援装置20が送信した画像データに基づく画像、及び自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示を受け付ける画像等を表示する。
【0055】
入力部32は、例えば表示部31の表示画面に設けられているタッチパネルである。入力部32は、表示部31が表示画面に表示する内容を透過可能に構成されている。これにより、入力部32は、表示部31の表示内容を乗員に視認させることができる。
【0056】
入力部32は、表示部31の表示内容に対応した位置を乗員が触れることによって入力した指示を受け付けて、車内ネットワークNTを介して運転支援装置20へ送信する。なお、入力部32は、タッチパネルに限らず、押しボタン式等のハードスイッチであってもよい。
【0057】
携帯端末100は、CPU111、通信制御回路112、入出力制御回路113、SSD114、ROM115、及びRAM116を備えるコンピュータである。また、携帯端末100は出力部117及び入力部118を備える。携帯端末100は、車両10の運転者等のユーザによって所持され、ユーザが携行することが可能に構成されている。一例として、携帯端末100は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等であってよい。
【0058】
CPU111は、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM115等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、このプログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。
【0059】
ROM115は、各種プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM116は、CPU11による演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD114は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、携帯端末100の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0060】
通信制御回路112は、携帯端末100で行われる演算処理のうち、主として運転支援装置20との情報の送受信に関わる処理を実行する。入出力制御回路113は、通信制御回路112が受信した運転支援装置20からの運転支援に関する情報および通知等を出力部117に出力させる。また、入出力制御回路113は、入力部118から入力された操作内容を受け付けて、通信制御回路112から運転支援装置20へと送信させる。
【0061】
出力部117は、例えば液晶ディスプレイ、または有機ELディプレイ等の表示装置である。出力部117は、例えば運転支援装置20が送信した画像データに基づく画像、及び運転支援に関する操作指示を受け付ける画像等を表示する。出力部117が、音声または警報等を出力可能なスピーカ等を含んでいてもよい。
【0062】
入力部118は、例えば表示装置等である出力部117に設けられたタッチパネル等である。入力部118は、表示装置の表示内容に対応した位置をユーザが触れることによって入力した指示を受け付ける。なお、入力部118がキーボード等の押しボタン式のハードスイッチ等を備えていてもよい。
【0063】
図3は、実施形態にかかる運転支援装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、運転支援装置20は、表示制御部201、通知生成部202、送受信部203、取得部204、検出部205、道幅算出部206、経路算出部207、及び移動制御部208を機能部として備える。
【0064】
これらの機能部は、例えば上述のCPU21がROM25等の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、それを実行することにより実現される。または、プログラムにしたがうCPU21の制御下で、通信制御回路22、表示制御回路23、SSD24等が動作することにより実現される。
【0065】
なお、これらの機能部の一部または全部は、ASIC(Applocation Specific Integrated Circuit)を含む回路等のハードウェアによって構成されてもよい。
【0066】
表示制御部201は、モニタ装置30の表示部31に表示する内容を生成し、表示部31に表示させる。つまり、表示制御部201は、例えば車両10を駐車可能な駐車領域が検出されたことの通知画面、運転支援の開始、中断、または中止等の選択画面、運転支援中の車両10の周辺画像等を表示部31に表示させる。
【0067】
通知生成部202は、携帯端末100に送信される運転支援に関する通知を生成する。つまり、通知生成部202は、運転支援の開始、中断、または中止等のユーザへの通知内容を生成する。
【0068】
送受信部203は、携帯端末100との情報の送受信を行う。つまり、送受信部203は、例えば携帯端末100の位置情報を携帯端末100から受信する。携帯端末100の位置情報は、例えば携帯端末100が発する電波、または、ユーザによる携帯端末100の操作信号等の携帯端末100の所在を表す情報である。また、送受信部203は、通知生成部202が生成した通知を携帯端末100に送信する。また、送受信部203は、送信した通知に対するユーザの操作指示等を携帯端末100から受信する。
【0069】
取得部204は、車両10の周辺情報として、測距部14から音波の送受波情報および撮像部16から車両10周辺の撮像画像をそれぞれ取得する。
【0070】
検出部205は、取得部204によって取得された周辺情報に基づいて、車両10周辺の障害物、駐車区画、及び駐車領域等を検出する。
【0071】
障害物は、例えば他の車両、壁、柱、柵、突起、段差、輪留め等の種々の物体である。また、障害物は、例えば駐車場内を歩く人、リモートでの運転支援中に車両10から降車した運転者等であり得る。
【0072】
駐車区画は、車両10を駐車するように設けられ、例えば区画線、枠線、直線、帯、段差等によって区画された領域である。駐車領域は、車両10が駐車可能な駐車区画、つまり、車両10の駐車に障害となる他の車両等の障害物が存在しない駐車区画である。車両10の出庫支援においては、その車両10が駐車している駐車区画を駐車領域と呼ぶこともある。
【0073】
検出部205は、例えば測距部14の検出結果に基づいて、障害物の有無、車両10から障害物までの距離等を検出する。また、検出部205は、例えば撮像部16が撮像した画像に基づく画像処理によって、障害物の有無、駐車区画、車両10に対するこれらの位置(方位)、並びにこれらの形状、大きさ、及び高さ等を検出する。
【0074】
検出部205は、これらの検出結果を組み合わせることで、車両10周辺に障害物があるか否か、その障害物が車両10の走行に支障を及ぼし得るか否か、車両10周辺に駐車区画があるか否か、その駐車区画に車両10を駐車することが可能か否か、つまり、駐車領域として使用しうるか否か等の情報を抽出する。
【0075】
道幅算出部206は、運転支援において車両10が移動可能な道幅を算出する。より具体的には、道幅算出部206は、検出部205によって検出された駐車領域側で所定の方向に延びる境界線を算出する。また、道幅算出部206は、駐車領域と向かい合う側で上記の境界線と同じ方向に延びる他の境界線を算出する。また、道幅算出部206は、これらの境界線に挟まれた領域を道幅とする。
【0076】
また、道幅算出部206は、運転支援開始後も検出部205により新たな障害物が検出された場合等には道幅の再計算を行う。より具体的には、道幅算出部206は、上記2つの境界線内の所定位置に新たな障害物が検出されると、所定のタイミングで駐車領域と向かい合う側の境界線を新たな障害物に基づいて再計算し、それに伴って道幅の更新を行う。
【0077】
経路算出部207は、検出部205による検出結果に基づいて、車両10を誘導する目標位置を算出し、目標位置まで車両10を移動させる移動経路を算出する。
【0078】
車両10を駐車(入庫)する場合であれば、検出部205によって検出された駐車領域が目標位置となる。駐車区画から車両10を出庫する場合であれば、複数の駐車区画間に設けられた通路上等、それ以降、車両10が安全に走行を開始できる所定の場所が目標位置となる。
【0079】
また、経路算出部207は、必要に応じて切り返し位置の算出を行う場合もある。切り返し位置は、1回の後退または前進等によって駐車または出庫が困難であるような場合に1つ以上設定される。
【0080】
経路算出部207は、上記のように算出した目標位置に車両10を誘導すべく、車両10の出発位置から目標位置へと至る車両10の移動経路を算出する。車両10の出発位置は、運転者等によって運転支援が選択された時点の車両10の位置である。また、移動経路には、上記のように切り返し位置が含まれる場合もある。この場合、経路算出部207は、車両10の出発位置から切り返し位置を経て、目標位置へと至る移動経路を算出する。
【0081】
ここで、経路算出部207は、検出部205によって検出された駐車領域、及び道幅算出部206によって算出された2つの境界線内の領域を通るように移動経路を算出する。つまり、移動経路を算出する際、経路算出部207は、駐車領域および2つの境界線内の領域を移動経路が外れないようにする。
【0082】
経路算出部207により、例えば後退駐車、前進駐車、後退による並列駐車、前進による並列駐車等の駐車のための移動経路が算出される。また、経路算出部207により、例えば前進出庫、後退出庫、前進による並列出庫、後退による並列出庫等の出庫のための移動経路が算出される。
【0083】
移動制御部208は、車両10の運転支援の際、車両10の各部を制御して車両10の移動を行う。具体的には、移動制御部208は、制動システム40、加速システム50、操舵システム60、及び変速システム70の全部または一部を制御することにより、移動経路にしたがって車両10を目標位置に移動させる。このとき、移動制御部208は、制動部センサ43、加速部センサ53、操舵部センサ63、変速部センサ73、及び車速センサ83等の各センサからのフィードバックを受けながら車両10の移動を行う。
【0084】
(運転支援装置の道幅算出例)
次に、図4を用いて、運転支援装置20の道幅算出部206による道幅300の算出機能について説明する。
【0085】
図4は、実施形態の運転支援装置20が道幅300を算出する場合の幾つかの例について説明する模式図である。図4には、後退/前進駐車、前進/後退出庫、並列駐車、並列出庫の場合に、道幅算出部206がそれぞれ道幅300を算出する例について示す。
【0086】
図4に示すように、運転支援が開始されると、運転支援装置20の検出部205が、測距部14及び撮像部16から車両10の周辺情報を取得し、検出された駐車区画から駐車領域PAを選定する。検出部205は、駐車支援においては、例えば空車となっている駐車区画等を、車両10の駐車が可能な駐車領域PAとして検出する。検出部205は、出庫支援においては、例えばそのとき車両10が駐車している駐車区画を駐車領域PAとして検出する。
【0087】
また、図4の例では、車両10を挟んで駐車領域PAの反対側に複数の障害物91~93が検出されている。これらの障害物91~93は、駐車領域PAが道路に面している場合等には、道路を挟んで駐車領域PAと対向する建物の塀、電柱、縁石等、道路の一端側を構成する何らかの物体等である。これらの障害物91~93は、駐車領域PAが駐車場内である場合等には、検出された駐車領域PAの通路を挟んだ反対側に設置された駐車区画内の他の駐車車両、輪留め等でありうる。
【0088】
車両10を後退/前進駐車させる運転支援に際し、車両10は当初、例えば駐車領域PAの外側であって、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvの近傍に停車される。駐車領域PAの出入り口側の端部PAvとは、図中、上下方向を指す矢印で示すように、駐車領域PAへの駐車または出庫の際に車両10が出入りする側の端部である。
【0089】
このときの車両10の向きは、駐車領域PAの奥行き、つまり、駐車方向に対して略直交している。このような位置を出発位置として、車両10を後退または前進により、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvから駐車領域PA内へと進入させて、駐車領域PAの奥行き方向に沿うように駐車させることができる。
【0090】
車両10を前進/後退出庫させる運転支援に際し、車両10は当初、例えば駐車領域PA内に駐車している。このとき、車両10は、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvに前端部または後端部を向けている。このような位置を出発位置として、車両10を前進または後退により、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvを通って駐車領域PAの外側へと移動させて、駐車領域PAから出庫させることができる。
【0091】
車両10を後退/前進駐車または前進/後退出庫させる場合に、運転支援が開始されると、道幅算出部206は、検出部205によって検出された駐車領域PAの出入り口側の端部PAvを含み、駐車領域PAの端部PAvと平行に延びる第1の境界線としての境界線301を算出する。
【0092】
また、道幅算出部206は、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvと向かい合う障害物91~93の車両10側の端部を含み、駐車領域PAの端部PAvと平行に延びる第2の境界線としての境界線302を算出する。つまり、境界線302は駐車領域側の境界線301と平行に延びる。
【0093】
図4の例のように、駐車領域PAの出入り口側の端部PAvと向かい合う障害物91~93が複数存在する場合には、境界線302は、車両10に最も近い障害物である第1の障害物としての障害物92の車両10側の端部を含むように算出される。
【0094】
また、道幅算出部206は、これらの境界線301,302に挟まれた領域を、運転支援中の車両10が移動することが可能な道幅300とする。上述のように、経路算出部207は、境界線301,302に挟まれた領域内および駐車領域PA内を外れないように車両10の移動経路を算出する。これにより、障害物91~93を回避しつつ、道幅300を有効に活用して移動経路を設定することができる。
【0095】
車両10を後退によって並列駐車させる場合、駐車領域PAの出入り口側の端部は、図中、左斜め上方および右斜め下方を指す矢印が付された端部PAsである。車両10を前進によって並列駐車させる場合、駐車領域PAの出入り口側の端部は、図中、右斜め上方および左斜め下方を指す矢印が付された端部PAsであって、後退による並列駐車の場合と同じ側の端部となる。
【0096】
車両10を前進または後退により並列駐車させる運転支援に際し、車両10は当初、例えば駐車領域PAの外側であって、駐車領域PAの出入り口側の端部PAs近傍に停車されている。このときの車両10の向きは、駐車領域PAの奥行き、つまり、駐車方向に対して略平行となっている。
【0097】
このような位置を出発位置として、車両10を後退または前進により、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsの奥行き方向片側から駐車領域PA内へと斜めに進入させて、駐車領域PAの奥行き方向に沿うように駐車させることができる。
【0098】
車両10を前進または後退によって並列出庫させる場合、及び車両10を後退によって並列出庫させる場合も、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsは、並列駐車の場合と同じ側の端部となる。
【0099】
車両10を前進または後退により並列出庫させる運転支援に際し、車両10は、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsの奥行き方向片側に前端部を向け、もう一方側に後端部を向けて駐車領域PA内に駐車している。
【0100】
このような位置を出発位置として、車両10を後退または前進により、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsの奥行き方向片側から駐車領域PAの外側へと斜めに移動させて、駐車領域PAから出庫させることができる。
【0101】
車両10を並列駐車または並列出庫させる場合、道幅算出部206は、運転支援が開始されると、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsを含み、駐車領域PAの端部PAsと平行に延びる第1の境界線としての境界線301を算出する。
【0102】
また、道幅算出部206は、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsと向かい合う障害物91~93のうち、車両10に最も近い障害物92の車両10側の端部を含んで、駐車領域PAの出入り口側の端部PAsおよび境界線301と平行な方向に延びる第2の境界線としての境界線302を算出する。
【0103】
また、道幅算出部206は、これらの境界線301,302に挟まれた領域を、運転支援中の車両10が移動することが可能な道幅300とする。
【0104】
このように、道幅算出部206は、後退/前進駐車、前進/後退出庫、後退または前進による並列駐車、前進または後退による並列出庫のいずれの場合においても、適宜、境界線301,302及び道幅300を算出する。上述のように、運転支援開始時に算出された境界線302は、新たな障害物の検出によって適宜、更新されうる。
【0105】
(運転支援装置の動作例)
次に、図5図11を用いて、車両10の運転支援を行う際の運転支援装置20の動作例について説明する。図5図9は、実施形態にかかる運転支援装置20による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【0106】
図5に示すように、複数の駐車区画が並ぶ駐車場内等で、他の車両94,95が駐車された駐車区画に挟まれて、1つの駐車区画が空車の状態であったとする。また、この駐車区画に対し車両10を挟んで反対側には複数の障害物91~93が存在しているものとする。
【0107】
車両10に搭載された運転支援装置20の検出部205は、複数の障害物91~93を検出する。また、検出部205は、複数の駐車区画の中から、例えば空車となっているこの駐車区画を、車両10の駐車が可能な駐車領域PAとして検出する。運転支援装置20の表示制御部201は、運転支援を開始するか否かを運転者等に選択させる選択画面をモニタ装置30の表示部31に表示させる。
【0108】
図6に示すように、運転者がモニタ装置30上で運転支援の開始を選択した後、携帯端末100を携行して車両10から降車したとする。
【0109】
運転支援装置20の送受信部203は、携帯端末100から発信される電波または操作信号等の位置情報を受信して、携帯端末100が車両10外に移動したことを検知する。運転支援装置20は、運転者によって運転支援の開始が選択された後、携帯端末100が車両10外へと移動したことが検知されると運転支援を開始する。
【0110】
このとき、通知生成部202が「運転支援開始」等の通知を生成し、送受信部203がその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させてもよい。
【0111】
運転支援装置20の道幅算出部206は、例えば上述の図4における後退駐車の場合と同様に、境界線301,302及び道幅300を算出する。また、道幅算出部206は、車両10周辺の所定領域を検出領域310として設定する。
【0112】
検出領域310は、車両10の進行方向の車両10に対して境界線302側に設定され、運転支援中にこの検出領域310内に新たに障害物が検出された場合に、道幅算出部206が、境界線302及び道幅300を更新するか否かを判定する判定基準となる。
【0113】
図7に示すように、運転支援装置20の経路算出部207は、車両10の現在位置から駐車領域PA内に至る移動経路TRを算出する。図7の例では、2回の切り返しを含む移動経路TRa,TRbが算出されている。
【0114】
移動経路TRaは、車両10の現在位置である出発位置PPから、車両10の前進方向にあたる1回目の切り返し位置SPaを経て、切り返し位置SPaに到達した車両10の後退方向にあたる暫定位置DPtまでの、図中、実線で示す経路である。移動経路TRbは、暫定位置DPtから、車両10の前進方向にあたる2回目の切り返し位置SPbを経て、切り返し位置SPbに到達した車両10の後退方向にあたり、駐車領域PA内に位置する目標位置DPfまでの、図中、破線で示す経路である。
【0115】
経路算出部207は、切り返し位置SPa,SPb、暫定位置DPt、及び目標位置DPfを含め、移動経路TRa,TRbの全体が、境界線301,302間の領域および駐車領域PA内に収まるように、移動経路TRa,TRbを算出する。
【0116】
運転支援装置20の移動制御部208は、経路算出部207の算出結果にしたがって、移動経路TRa,TRb上において車両10を移動させる。このとき、通知生成部202が、目下、車両10が運転支援を受けていることを示す「運転支援中」等の通知を生成し、送受信部203がその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させてもよい。
【0117】
図7は、車両10が、移動経路TRa上を前進し、出発位置PPから1回目の切り返し位置SPaまで移動しており、これから暫定位置DPtへ向けて、更に移動経路TRa上を後退しようとしている様子を示している。したがって、道幅算出部206は、車両10前方の境界線302側に設定していた検出領域310の位置を、車両10の新たな進行方向である車両10の後方であって、車両10の進行方向の車両10に対して境界線302側へと移動させる。
【0118】
これにより、図7の例では、車両10から降車していた運転者が、検出領域310内に障害物として検出されたとする。
【0119】
図8に示すように、道幅算出部206は、検出部205が検出領域310内に第2の障害物としての障害物を検出すると、障害物近傍の境界線302の一部を障害物側へと突出させて、境界線302側へと取り込む突出部302pを有する境界線302mを設定する。これにより、境界線301,320に挟まれた領域内にあった障害物が境界線302mより外側の領域に除外されることとなる。
【0120】
図8の例では、当初算出した移動経路TRa,TRbのうち、これから車両10が移動することとなる移動経路TRa,TRbが、新たに設定された境界線301,302m内に収まっている。このため、移動制御部208は、移動経路TRa上における車両10の移動を継続する。
【0121】
図9に示すように、車両10は、1回目の切り返し位置SPaから残りの移動経路TRa上を後退し、暫定位置DPtまで移動しており、これから2回目の切り返し位置SPへ向けて、移動経路TRb上を前進しようとしている。
【0122】
道幅算出部206は、例えばこのように車両10が後退から前進に転ずるタイミング、または前進から後退に転ずるタイミングで、図7において検出領域310内に検出された障害物がまだ検出され続けているかどうかを判定する。
【0123】
このように、道幅算出部206は、運転支援中の車両10の進行方向が転ずるタイミング等の所定のタイミングで、障害物の状況を改めて確認する。このような所定タイミングは、上記タイミング以外にも、例えば運転者等によって運転支援の開始指示がなされてから所定時間が経過したタイミング等としてもよい。
【0124】
図9の例では、当初、降車位置に留まっていた運転者が、車両10から離れた位置に移動している。道幅算出部206は、このように所定のタイミングで障害物が検出されなくなっていた場合には、境界線302mを、突出部302pを有さない当初の境界線302に戻す。その後、移動制御部208は、移動経路TRb上における車両10の移動を継続し、目標位置DPfである駐車領域PA内への車両10の駐車を完了させる。
【0125】
一方、運転支援中に、運転者等ではない他の障害物が車両10に対して設定された検出領域310内に検出される場合もありうる。このような場合について図10及び図11に示す。
【0126】
図10及び図11は、実施形態にかかる運転支援装置20による駐車支援の動作の他の例について説明する模式図である。
【0127】
図10に示すように、車両10の駐車領域PAへの運転支援中に、他の車両96が、車両10の道幅算出部206が算出した境界線302の近傍に停車したとする。また、これにより、例えば上述の1回目の切り返し位置SPa(図7及び図8参照)に移動していた車両10の検出領域310内に、この停車した車両96が検出されたとする。
【0128】
この場合、道幅算出部206は、第2の障害物としての車両96の近傍の境界線302の一部を車両96側へと突出させて、境界線302側へと取り込む突出部302pを有する境界線302mを設定する。これにより、境界線301,320に挟まれた領域内にあった車両96が境界線302mより外側の領域に除外されることとなる。
【0129】
また、図10において、車両10は、車両96の検出後、切り返し位置SPaから暫定位置DPtまでの移動を継続しており、これから2回目の切り返し位置SPbへ向けて前進に転ずるところである。このタイミングにおいても、車両96は依然、当初検出された位置に停車中であるとする。
【0130】
道幅算出部206は、車両96が障害物としてまだ検出され続けているため、車両96の車両10側の端部を含み、駐車領域PAの出入り口側の端部および境界線301と平行に延びる第3の境界線としての境界線303を算出し、新たに算出した境界線303と、当初に算出済みの境界線301とに挟まれた領域を新たな道幅300nとして設定する。
【0131】
図10の例では、当初算出した移動経路TRa,TRbのうち、これから車両10が移動することとなる移動経路TRbの一部が、新たに設定された境界線301,303内から外れている。このため、経路算出部207は、境界線301,303に挟まれた領域および駐車領域PA内に収まるよう新たな移動経路を算出する。
【0132】
道幅300nが狭くなり過ぎたこと等によって、新たな移動経路の算出ができない場合には、運転支援装置20は、目標位置DPfへの車両10の誘導は困難であるとして運転支援を中止(キャンセル)する。
【0133】
運転支援の中止にあたっては、通知生成部202は携帯端末100のユーザに運転支援の中止を知らせる通知を生成する。送受信部203はその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させる。
【0134】
なお、上述の図5図11の例では、運転支援装置20が後退駐車による運転支援を行う場合について説明した。しかし、運転支援装置20は、前進駐車、前進もしくは後退出庫、後退もしくは前進による並列駐車、または前進もしくは後退による並列出庫の場合であっても、同様に車両10の運転支援を行う。
【0135】
(運転支援装置の処理例)
次に、図12を用いて、実施形態の運転支援装置20による運転支援処理の例について説明する。図12は、実施形態にかかる運転支援装置20による運転支援処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0136】
図12に示すように、モニタ装置30の入力部32から運転支援を行う選択がなされると(ステップS101)、送受信部203は、携帯端末100から位置情報を取得して(ステップS102)、携帯端末100が車両10の外に移動したか否かを判定する(ステップS103)。送受信部203は、携帯端末100が車両10の外に移動したことが検知されるまで(ステップS103:No)、位置情報の取得を継続する(ステップS102)。
【0137】
携帯端末100が車両10の外に移動したことが検知されると(ステップS103:Yes)、運転支援装置20の取得部204は、測距部14及び撮像部16から車両10の周辺情報を取得し、検出部205は運転支援に必要な各種の検出処理を行う(ステップS104)。
【0138】
具体的には、検出部205は、取得された車両10の周辺情報に基づいて、車両10周辺の障害物の有無等を検出するとともに、選択された運転支援の内容に応じて、駐車領域PAの検出または駐車領域PAから出庫した後の車両10が停車可能な位置等を検出する。
【0139】
なお、取得部204による周辺情報の取得および検出部205による各種検出は、このタイミングより前から開始されていてもよい。また、取得部204は、少なくとも運転支援処理が終了するまで周辺情報の取得を継続する。また、検出部205は、少なくとも運転支援処理が終了するまで車両10周辺の障害物の検出等、運転支援に必要な各種検出処理を継続する。
【0140】
道幅算出部206は、検出部205による検出結果に基づいて、駐車領域PA側に境界線301を設定し、駐車領域PAと向かい合う側に境界線302を設定し、境界線301,302に挟まれた領域を道幅300として算出する(ステップS105)。
【0141】
経路算出部207は、検出部205による検出結果に基づいて、駐車領域PA内の所定位置または駐車領域PAから出庫した後の車両10の停止位置等の目標位置DPfを算出し、車両10の出発位置PPから、場合によっては切り返し位置SPを経由して、目標位置DPfへと至る移動経路TRを算出する(ステップS106)。
【0142】
移動制御部208は、経路算出部207が算出した移動経路TRにしたがって車両10の移動を制御する(ステップS107)。
【0143】
車両10の運転支援中、移動制御部208は、検出部205の検出結果に基づいて、移動経路TR上を移動する車両10の近傍に障害物が検出されたか否かを監視するとともに、車両10に設定された検出領域310内に障害物が検出されたか否かを監視する(ステップS108)。
【0144】
障害物が検出されなければ(ステップS108:No)、移動制御部208は、車両10が目標位置DPfに到達するまでの間(ステップS116:No)、移動経路TR上における車両10の移動を継続する(ステップS107)。
【0145】
移動経路TR上を移動する車両10の近傍または検出領域310内に障害物が検出された場合には(ステップS108:Yes)、移動制御部208は、当初算出された移動経路TRを維持しつつ車両10を移動させても障害物との衝突の危険性等が生じないか否かを判定する(ステップS109)。
【0146】
移動経路TRの維持が困難な場合(ステップS109:No)、経路算出部207は、新たに検出された障害物を回避する移動経路を再計算することが可能か否かを判定する(ステップS115)。移動経路の再計算が可能であれば(ステップS115:Yes)、経路算出部207は、車両10の現在位置を新たな出発位置として、目標位置および車両10の移動経路等を再計算して、ステップS106以降の処理を繰り返す。移動経路の再計算が困難であれば(ステップS115:Yes)、運転支援装置20は運転支援を中止する。
【0147】
移動経路TRの維持が可能な場合(ステップS109:Yes)、道幅算出部206は、新たに検出された障害物が、車両10に設定した検出領域310内に位置するか否かを判定する(ステップS110)。障害物が検出領域310から外れる位置にある場合には(ステップS110:No)、車両10が目標位置DPfに到達するまでの間(ステップS116:No)、移動制御部208が、移動経路TR上における車両10の移動を継続する(ステップS107)。
【0148】
障害物が検出領域310内にある場合には(ステップS110:Yes)、道幅算出部206は、駐車領域PAと向かい合う側の境界線302を、障害物を取り込む突出部302pを含む境界線302mへと再設定する(ステップS111)。
【0149】
また、道幅算出部206は、移動経路TR上を移動する車両10の進行方向が転ずるタイミング、運転支援の開始指示から所庭時間が経過したタイミング等の所定タイミングとなったか否かを判定する(ステップS112)。道幅算出部206は、所定タイミングとなるまで待機する(ステップS112:No)。
【0150】
所定タイミングになると(ステップS112:Yes)、道幅算出部206は、ステップS108の処理で検出された障害物が依然、検出され続けているか否かを判定する(ステップS113)。障害物が検出されなくなっていた場合には(ステップS113:No)、車両10が目標位置DPfに到達するまでの間(ステップS116:No)、移動制御部208が、移動経路TR上における車両10の移動を継続する(ステップS107)。
【0151】
所定タイミングにおいて、依然、障害物が検出され続けていた場合には(ステップS113:Yes)、道幅算出部206は、突出部302pを含む境界線302mに替えて、障害物の車両10側の端部を含む境界線303を算出し、境界線301,303に挟まれた領域を新たな道幅300nとして再設定する(ステップS114)。
【0152】
経路算出部207は、再設定された道幅300nに基づいて、移動経路の再計算が可能であれば(ステップS115:Yes)、ステップS106以降の処理を繰り返し、移動経路の再計算が困難であれば(ステップS115:Yes)、運転支援装置20が運転支援を中止する。
【0153】
車両10が目標位置DPfに到達した場合(ステップS116:Yes)、または、上記いずれかの理由で運転支援が中止された場合(ステップS115:No)、運転支援装置20は運転支援を終了する。
【0154】
以上により、実施形態の運転支援装置20による運転支援処理が終了する。
【0155】
(概括)
運転支援装置は、測距部および撮像部等の各種センサからの車両の周辺情報に基づいて、車両の運転支援を行う。近年、運転者が降車した状態で、駐車領域に対して車両の入庫または出庫をリモートで支援する運転支援装置の開発が進んでいる。
【0156】
また、運転支援装置は、例えば車両の周囲の障害物等に基づいて、車両の移動が可能な道幅を設定したうえで、その領域内を通る移動経路にしたがって車両を誘導する。
【0157】
しかしながら、リモートでの運転支援においては、降車した運転者が、車両周辺の障害物として検出され、運転者を基準として道幅が設定されてしまう場合がある。このような場合、道幅が不必要に狭められて設定されてしまい、その中で車両を目標位置まで誘導させるため何度も切り返しを繰り返したり、車両を目標位置まで誘導することが不可能となって運転支援が中止されてしまったりすることがある。
【0158】
これを回避するため、例えば運転者を障害物と区別するため新たなセンサ等を車両に取り付けると、システム構成が複雑となり、システムの制御が煩雑となってしまうほか、運転支援装置のコストが増大してしまう。
【0159】
実施形態の運転支援装置20によれば、運転支援の開始後に、境界線301,302の内側であって、車両10の進行方向の車両10に対して境界線302側に設定された検出領域310内に新たな障害物が検出され、移動経路TR上を移動する車両10が所定のタイミングに至った時点で上記の障害物が検出され続けていた場合、上記の障害物の車両10側の端部を含む境界線303と、境界線301とに挟まれた領域を新たな道幅300nとして算出する。
【0160】
これにより、障害物が車両10を降車した運転者等であった場合、不用意に運転者を基準として境界線を再設定し、道幅を狭めてしまうことが抑制される。また、障害物が運転者等であれば、運転支援により移動中の車両10の近傍に留まり続けるとは考えにくい。このため、所定のタイミングまで当初算出した境界線302を維持しておくことで、元の道幅300を維持したまま、当初算出された移動経路TRによって車両10を目標位置DPfまで誘導できる可能性が高まる。
【0161】
よって、運転者を障害物として検出した場合でも運転支援の中止を抑制することができる。運転者と障害物とを区別するため、新たなセンサ等を導入する必要もなく、運転支援装置20の構成および制御をシンプルなものにして、かつ、コストの増大を抑制することができる。
【0162】
なお、上述の実施形態においては、運転支援装置20が車両10に搭載されていることとしたが、運転支援装置20は必ずしも車両10に搭載されていなくともよい。例えば、運転支援装置が車両から離れた位置で、各種センサから車両の周辺情報を取得して、リモートで車両の運転支援を行ってもよい。
【符号の説明】
【0163】
10…車両
14…測距部
16…撮像部
20…運転支援装置
91~93…障害物
100…携帯端末
201…表示制御部
202…通知生成部
203…送受信部
204…取得部
205…検出部
206…道幅算出部
207…経路算出部
208…移動制御部
300,300n…道幅
301,302,302m,303…境界線
310…検出領域
DPf…目標位置
PA…駐車領域
PAs,PAv…端部
PP…出発位置
SP…切り返し位置
TR,TRa,TRb…移動経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12