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特許7478125フローティング型ブレーキディスク並びに鞍乗り型車両用の車輪
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】フローティング型ブレーキディスク並びに鞍乗り型車両用の車輪
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/12 20060101AFI20240424BHJP
   B62L 1/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
F16D65/12 R
F16D65/12 Y
B62L1/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021184187
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2023071418
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 直樹
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144796(JP,A)
【文献】特開2015-169264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
B62L 1/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のロータと、このロータの内側に所定の隙間を存して、同心に配置されるハブとを備えるフローティング型ブレーキディスクであって、
ロータとハブとが、周方向に等間隔で設けられた複数の結合部で結合され、ハブの中心に、ホイールに締結される環状の取付部を備えるものにおいて、
ハブは、各結合部から取付部に向けて周方向間隔が次第に広がるように分岐してのび、且つ、所定の曲率で周方向に湾曲した2本の湾曲梁部で構成されるスポーク部を有し、このスポーク部が周方向に等間隔で配列され
前記スポーク部の周方向一方側の湾曲梁部を第1湾曲梁部、周方向他方側の湾曲梁部を第2湾曲梁部とし、
第1湾曲梁部が周方向一方側に隣接するスポーク部の第2湾曲梁部と交差して、第1湾曲梁部の取付部側の先端部が、この隣接するスポーク部と周方向一方側で更に隣接するスポーク部の第2湾曲梁部の取付部側の先端部と接合する接合部を有することを特徴とするフローティング型ブレーキディスク。
【請求項2】
前記湾曲梁部の幅は、前記スポーク部の結合部側の先端部の幅の20%以上50%以下であることを特徴とする請求項1記載のフローティング型ブレーキディスク。
【請求項3】
前記取付部の外周から径方向外方に向かって突出して、前記接合部と連結する連結突部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のフローティング型ブレーキディスク。
【請求項4】
前記連結突部は、前記ハブの中心と前記結合部とを結ぶ線上に設けられ、この線に対して、前記結合部、前記スポーク部の2本の湾曲梁部及び前記連結突部の夫々の形状が対称であることを特徴とする請求項記載のフローティング型ブレーキディスク。
【請求項5】
ホイールと、ホイールに装着したフローティング型ブレーキディスクとを備える鞍乗り型車両用の車輪であって、
フローティング型ブレーキディスクとして、請求項1~の何れか1項記載のフローティング型ブレーキディスクを用いることを特徴とする鞍乗り型車両用の車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動二輪車等の鞍乗り型車両用の制動装置に用いられる、環状のロータと、このロータの内側に所定の隙間を存して、同心に配置されるハブとを備えるフローティング型ブレーキディスク並びにフローティング型ブレーキディスクを備える鞍乗り型車両用の車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフローティング型ブレーキディスクは例えば特許文献1で知られている。このものは、ロータとハブとが、周方向に等間隔で設けられた複数の結合部で結合され、ハブの中心に、ホイールに締結される環状の取付部を備える。
【0003】
ところで、制動時には、ハブの回転する力とロータの止まろうとする力とによって、各結合部からハブに対して大きな荷重、即ち、剪断力が作用する。このため、この剪断力に耐え得るだけの強度を有しつつ、ハブ(即ち、ブレーキディスク)の軽量化を図ることが求められる。
【0004】
そこで、上記従来のものは、上記各結合部から上記取付部に向けて周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびる2本の梁部で構成されるスポーク部を、周方向に等間隔で配列させたトラス構造とすることで、各結合部同士を連結する環状梁部を設けず、ハブを軽量化している。
【0005】
ここで、ハブの更なる軽量化を図るには、各梁部の幅を細くすることが考えられるが、ハブの強度が低下する虞があり、ハブの強度を確保しながら、ハブの軽量化を図ることが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4481074号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、制動時の剪断力に耐え得る十分な強度を有しつつ、ハブの軽量化を実現できるフローティング型ブレーキディスク並びにこのフローティング型ブレーキディスクを備える鞍乗り型車両用の車輪を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、環状のロータと、このロータの内側に所定の隙間を存して、同心に配置されるハブとを備える本発明のフローティング型ブレーキディスクは、ロータとハブとが、周方向に等間隔で設けられた複数の結合部で結合され、ハブの中心に、ホイールに締結される環状の取付部を備え、ハブは、各結合部から取付部に向けて周方向間隔が次第に広がるように分岐してのび、且つ、所定の曲率で周方向に湾曲した2本の湾曲梁部で構成されるスポーク部を有し、このスポーク部が周方向に等間隔で配列され、前記スポーク部の周方向一方側の湾曲梁部を第1湾曲梁部、周方向他方側の湾曲梁部を第2湾曲梁部とし、第1湾曲梁部が周方向一方側に隣接するスポーク部の第2湾曲梁部と交差して、第1湾曲梁部の取付部側の先端部が、この隣接するスポーク部と周方向一方側で更に隣接するスポーク部の第2湾曲梁部の取付部側の先端部と接合する接合部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、各スポーク部を構成する周方向に湾曲した2本の湾曲梁部が、バネの様に作用して、周方向荷重を加えたときに、従来例の如き直線状の梁部と異なり、弾性的に変形することで、制動時にハブに衝撃的に作用する剪断力を弾性的に吸収することができる。その結果、制動時の剪断力に耐え得る十分な強度を維持しつつ、各スポーク部の各湾曲梁部の幅を細くすることができ、ハブの軽量化を実現できる。また、上記結合部と上記取付部との間で周方向に等間隔で配列されるスポーク部同士がトラス構造となることで、ハブにかかる荷重は、すべて各湾曲梁部に分力される圧縮力と引張力のみになり、ハブに大きな荷重が作用しても、ハブが変形するのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明においては、前記湾曲梁部の幅は、前記スポーク部の結合部側の先端部の幅の20%以上50%以下であることが好ましい。前記湾曲梁部の幅が、前記スポーク部の結合部側の先端部の幅の50%より大きいと、従来のハブよりも重くなるため、ハブの軽量化を図ることが難しい。一方、前記湾曲梁部の幅が、前記スポーク部の結合部側の先端部の幅の20%より小さいと、ハブのマシニング加工時に発生する熱によって、各湾曲梁部に反りが生じてしまう。
【0012】
また、本発明においては、前記取付部の外周から径方向外方に向かって突出して、前記接合部と連結する連結突部を有することが好ましい。これによれば、連結突部を設けずに、前記接合部を前記取付部に直接連結する場合に比べて、更にハブの軽量化を図ることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記連結突部は、前記ハブの中心と前記結合部とを結ぶ線上に設けられ、この線に対して、前記結合部、前記スポーク部の2本の湾曲梁部及び前記連結突部の夫々の形状が対称であることが好ましい。これによれば、前記結合部からハブにかかる荷重は、前記スポーク部の各湾曲梁部及び前記連結突部に均等に分力され、各湾曲梁部及び連結突部に同等の荷重が作用することで、ハブ全体の強度を向上させることができ、ブレーキディスクの制動性能や耐久性が向上する。
【0014】
また、ホイールと、ホイールに装着したフローティング型ブレーキディスクとを備える本発明の鞍乗り型車両用の車輪は、フローティング型ブレーキディスクとして、上述した本発明のフローティング型ブレーキディスクが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態のフローティング型ブレーキディスクが装着された鞍乗り型車両の前輪の側面図。
図2】本発明の第1実施形態のフローティング型ブレーキディスクの軸方向一方から見た側面図。
図3】本発明の第1実施形態のフローティング型ブレーキディスクのロータとハブとの結合部の分解斜視図。
図4】本発明の第2実施形態のフローティング型ブレーキディスクの軸方向一方から見た側面図。
図5】本発明の第3実施形態のフローティング型ブレーキディスクの軸方向一方から見た側面図。
図6】本発明の第4実施形態のフローティング型ブレーキディスクの軸方向一方から見た側面図。
図7】本発明の第5実施形態のフローティング型ブレーキディスクの軸方向一方から見た側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、FWは、自動二輪車等の鞍乗り型車両の前輪である。この前輪FWは、フロントフォークFfに懸架した車軸Fsに軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されるホイールWeと、ホイールWeの外周部に装着されるタイヤTrとを有する。図1中、Cpは、ブレーキ装置の構成要素としてのキャリパである。そして、ホイールWeの軸方向片側の所定位置には、本発明の第1実施形態のブレーキディスクBDが固定用ボルトVtにより取り付けられている。尚、ホイールWe、ブレーキ装置及び固定用ボルトVtとしては、公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0017】
図2及び図3も参照して、ブレーキディスクBDは、環状のロータ1と、ロータ1の内側に所定の隙間を存して、同心に配置されるハブ2とを備える。ロータ1は、例えばステンレス鋼板製である。ブレーキ操作時、ロータ1は、キャリパCpのブレーキパットで挟持され、ハブ2を介して車軸Fsに制動力を伝達する。ロータ1には、軽量化等のため、板厚方向に貫通する円形の貫通孔11が複数開設されている。また、ロータ1の内周縁部には、径方向内方にのびるほぼ矩形の舌片状の突片12が周方向に所定間隔で複数形成されている。
【0018】
ハブ2は、例えばアルミニウム合金製である。ハブ2の外周には、各突片12に夫々対応させて、径方向内方に凹入して、各突片12を受け入れる受入凹部21が形成される。また、突片12が受入凹部21から軸方向に抜け出ないようにする抜け止め手段3を備える。これら突片12、受入凹部21及び抜け止め手段3により、ロータ1とハブ2とを結合する結合部4が構成される。また、ハブ2の中心には、軸孔22aが形成される環状の取付部22が設けられている。そして、軸孔22aの周囲に形成した取付孔22bに、固定用ボルトVtを挿通して、取付部22をホイールWeに締結する。
【0019】
受入凹部21は、突片12の径方向に沿う両側面に略平行な受入面を有し、両受入面間の幅は、突片12の周方向の幅よりわずかに大きく形成されている。また、受入凹部21は、軸方向一方のみが開放されるように設けられており、軸方向他方はハブ2と一体の壁211で閉塞されている。更に、受入凹部21の軸方向一方の径方向内方の端部21aは、受入凹部21の他の部分よりも大きな略円形状に形成され、この端部21aの内壁面には、その周方向に沿って溝212が形成されている。
【0020】
抜け止め手段3は、突片12の軸方向一方の面に対向するように設けられ、例えばアルミニウム合金製の円板状の押え板31と、溝212に係合して押え板31を軸方向一方に抜け止めする止め輪32とで構成される。止め輪32としては、公知のC型スナップリングを用いることができるため、詳細な説明は省略する。また、突片12と受入凹部21との間の隙間には、受入凹部21の内壁面に沿うコの字形状の板部材5が挿入され、突片12と押え板31との間には、付勢手段としての皿バネ6が介設されている。
【0021】
上記の如く、受入凹部21の軸方向他方側がハブ2に一体の壁211で閉塞されていれば、即ち、受入凹部21がハブ2の板厚方向に貫通していなければ、ハブ2の強度(剛性)を高めることができる。尚、ロータ1とハブ2との結合方式は、上記のものに限定されず、他の公知のものを用いることができる。例えば、ハブ2に、軸方向一方の面から他方の面まで貫通させた受入凹部を形成するともに、筒状の胴部の一端にフランジ部が形成された連結ピンを用いて、連結ピンを突片に形成されたピン孔に挿通して、連結ピンの他端をかしめることで、ロータ1とハブ2とを連結することもできる。
【0022】
また、ハブ2の各結合部4と取付部22との間には、周方向に等間隔で配置されるスポーク部23が複数(本実施形態では12個)形成されている。スポーク部23は、各結合部4から取付部22に向かって(即ち、径方向内方に向かって)、周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびるとともに、周方向に所定の曲率(R150)で湾曲した2本の湾曲梁部231,231を有する(以後、各スポーク部23の周方向一方側の湾曲梁部231を第1湾曲梁部231、周方向他方側の湾曲梁部231を第2湾曲梁部231とも呼ぶ)。また、本実施形態では、湾曲梁部231の幅W1は3mm、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2は13mmである。尚、本実施形態では、各湾曲梁部231,231の幅W1は、径方向外方側から径方向内方側まで均一であるが、これに限定されず、各湾曲梁部231,231の幅W1は、径方向外方側から径方向内方側まで均一でなくてもよい。
【0023】
ここで、各第1湾曲梁部231は、周方向一方側に隣接するスポーク部23の第2湾曲梁部231と交差している。更に、第1湾曲梁部231の取付部22側の各先端部は、この隣接するスポーク部23と周方向一方側で更に隣接するスポーク部23の第2湾曲梁部231の取付部22側の各先端部と接合し、各接合部232を形成する。
【0024】
また、ハブ2の中心Oと各結合部4とを結ぶ線L上には、取付部2の外周から径方向外方に向かって突出して、各接合部232と連結される連結突部221が、周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、各結合部4、各スポーク部23の2本の湾曲梁部231,231及び連結突部221の夫々の形状は、線Lに対して対称である。
【0025】
本実施形態によれば、各スポーク部23を構成する周方向に湾曲した2本の湾曲梁部231,231が、バネの様に作用して、周方向荷重を加えたときに、従来例の如き直線状の梁部と異なり、弾性的に変形することで、制動時に衝撃的に作用するハブ2に作用する剪断力を吸収することができる。その結果、制動時の剪断力に耐え得る十分な強度を維持しつつ、各スポーク部23の各湾曲梁部231,231の幅W1を細くすることができ、ハブ2の軽量化を実現できる。この場合、各スポーク部23の各湾曲梁部231,231の曲率は、スポーク部23の個数等に応じて、R35~R150の範囲とすることができる(後述する第2実施形態乃至第5実施形態も参照)。
【0026】
また、湾曲梁部231の幅W1は、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2の20%以上50%以下であることが好ましい。湾曲梁部231の幅W1が、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2の50%より大きいと、従来のハブ2よりも重くなり、ハブ2の軽量化を図ることが難しい。一方、湾曲梁部231の幅W1が、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2の20%より小さいと、ハブ2のマシニング加工時に発生する熱によって、湾曲梁部231に反りが生じてしまう。
【0027】
また、スポーク部23の第1湾曲梁部231が周方向一方側に隣接するスポーク部23の第2湾曲梁部231と交差して、第1湾曲梁部231の取付部22側の先端部が、この隣接するスポーク部23と周方向一方側で更に隣接するスポーク部23の第2湾曲梁部231の取付部22側の先端部と接合する接合部232を有することが好ましい。これによれば、結合部4と取付部22との間で周方向に等間隔で配列されるスポーク部23同士がトラス構造となることで、ハブ2にかかる荷重は、すべて各湾曲梁部231,231に分力される径圧縮力と引張力のみになり、ハブ2に大きな荷重が作用しても、ハブ2が変形するのを防ぐことができる。
【0028】
また、取付部22の外周から径方向外方に向かって突出して、接合部232と連結する連結突部221を有することが好ましい。これによれば、連結突部221を設けずに、接合部232を取付部22に直接連結する場合に比べて、更にハブ2の軽量化を図ることができる。
【0029】
更に、連結突部221は、ハブ2の中心Oと結合部4とを結ぶ線L上に設けられ、この線Lに対して、結合部4、スポーク部23の各湾曲梁部231,231及び連結突部221の夫々の形状が対称であることが好ましい。これによれば、結合部4からハブ2にかかる荷重は、スポーク部23の各湾曲梁部231,231及び連結突部221に均等に分力され、各湾曲梁部231,231及び連結突部221に同等の荷重が作用することで、ハブ2全体の強度を向上させることができ、ブレーキディスクBDの制動性能や耐久性が向上する。
【0030】
次に、図4乃至図7に示す第2実施形態乃至第5実施形態の自動二輪車用フローティング型ブレーキディスクBD~BDついて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の部材、部位には上記と同一の符号を付している。
【0031】
図4に示す第2実施形態は、上記第1実施形態と同様、12個のスポーク部23を備える。各スポーク部23は、各結合部4から取付部22に向かって、周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびるとともに、周方向に所定の曲率(R70)で湾曲する各湾曲梁部231,231を有する。また、本実施形態は、湾曲梁部231の幅W1が3mm、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2が13mmである。尚、本実施形態では、各湾曲梁部231,231の幅W1及び各連結突部221の幅は、径方向外方側から径方向内方側まで均一であるが、これに限定されず、各湾曲梁部231,231の幅W1や各連結突部221の幅は、径方向外方側から径方向内方側まで均一でなくてもよい。
【0032】
また、図5に示す第3実施形態は、4個のスポーク部23を備える。各スポーク部23は、各結合部4から取付部22に向かって、周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびるとともに、周方向に所定の曲率(R100)で湾曲する各湾曲梁部231,231を有する。本実施形態は、湾曲梁部231の幅W1が4.5mm、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2が13mmである。また、本実施形態は、各湾曲梁部231,231の取付部22側の各先端部が夫々接合する接合部及びこれに連結する連結突部を設けず、各湾曲梁部231,231の各先端部は取付部22に接合される。
【0033】
また、図6に示す第4実施形態では、3個のスポーク部23を備える。各スポーク部23は、各結合部4から取付部22に向かって、周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびるとともに、周方向に所定の曲率(R90)で湾曲する各湾曲梁部231,231を有する。本実施形態は、湾曲梁部231の幅W1が3.5mm、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2は12mmである。また、本実施形態も、上記第3実施形態と同様、各湾曲梁部231,231の取付部22側の各先端部が夫々接合する接合部及びこれに連結する連結突部を設けず、各湾曲梁部231,231の各先端部は取付部22に接合される。
【0034】
また、図7に示す第5実施形態では、10個のスポーク部23を備える。各スポーク部23は、各結合部4から取付部22に向かって、周方向間隔が次第に広がるように分岐してのびるとともに、周方向に所定の曲率(R35)で湾曲する各湾曲梁部231,231を有する。本実施形態は、湾曲梁部231の幅W1は3mm、スポーク部23の結合部4側の先端部23aの幅W2は12mmである。本実施形態も、上記第3及び第4実施形態と同様、各湾曲梁部231,231の取付部22側の各先端部が夫々接合する接合部及びこれに連結する連結突部を設けず、各湾曲梁部231,231の各先端部は取付部22に接合される。また、本実施形態の取付部22には、取付孔22bと取付孔22bとの間に、孔径の異なる孔22cが形成されている。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ハブ2の中心Oと各結合部4とを結ぶ線Lに対して、スポーク部23の各湾曲梁部231,231の形状を対称としたが、各湾曲梁部231,231の形状を非対称とすることもできる。また、上述したように、各湾曲梁部231,231の曲率は、スポーク部23の個数等に応じて、R35~R150の範囲とすることができる。この場合、ロータ1の径の変更に伴って、ロータ1の摺動幅を確保するため、ハブ2の形状を小さくする必要が生じても、スポーク部23の個数、各湾曲梁部231,231の幅W1や曲率を変更することで、環状の取付部22の径を変えることなく、ハブ2を設計することができる。
【0036】
また、図1では、鞍乗り型車両用の前輪FWのホイールWeに、第1実施形態のブレーキディスクBDを装着したものを例に説明したが、上記第2乃至第5実施形態のブレーキディスクBD~BDを装着することもできる。尚、図1に示す車輪は、鞍乗り型車両用の前輪FWであるが、鞍乗り型車両用の後輪のホイールにも、上記第1乃至第5実施形態のブレーキディスクBD~BDを装着することができる。
【符号の説明】
【0037】
BD~BD…フローティング型ブレーキディスク、FW…自動二輪車の前輪(鞍乗り型車両用の車輪)、L…ハブの中心と結合部とを結ぶ線、R…曲率、W1…湾曲梁部の幅、W2…スポーク部の結合部側の先端部の幅、We…ホイール、1…ロータ、12…突片(結合部)、2…ハブ、21…受入凹部(結合部)、22…取付部、221…連結突部、23…スポーク部、231…湾曲梁部、231…第1湾曲梁部、231…第2湾曲梁部、232…接合部、3…抜け止め手段(結合部)、4…結合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7