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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20240424BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240424BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240424BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240424BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240424BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20240424BHJP
【FI】
H01M50/289
H01M50/262 Z
H01M50/291
H01M50/264
H01M50/262 E
H01M50/293
H01M50/209
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021187287
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074361
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/158950(WO,A1)
【文献】特開2017-152235(JP,A)
【文献】特開2014-044884(JP,A)
【文献】特開2010-165597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
H01M 50/262-50/293
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルと同数設けられ、前記第1の方向に沿って前記複数の電池セルと各々隣接する複数の第1セパレータ層と、
互いに隣接する前記複数の電池セルの間のうち1箇所にのみ設けられ、前記第1セパレータ層よりも前記第1の方向に沿って変形しにくい第2セパレータ層と、
前記複数の電池セル、前記第1セパレータ層および前記第2セパレータ層の積層体の両端に設けられる2つのエンドプレートと、
前記2つのエンドプレートを前記第1の方向において互いに近づけるように押圧する拘束部材とを備えた、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1セパレータ層は第1の弾性率を有し、前記第2セパレータ層は前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率を有する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の方向に対して各々直交する第2の方向または第3の方向からみて、前記第1セパレータ層および前記第2セパレータ層は、互いに異なる断面形状を有する、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1セパレータ層の内部に空隙が形成された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第2セパレータ層は、前記第1の方向に沿った前記電池モジュールの端部から離間した位置に設けられる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第2セパレータ層と前記電池セルとの間の接着力は、前記第1セパレータ層と前記電池セルとの間との接着力よりも小さい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
複数の電池セルおよびエンドプレートを第1セパレータ層を介装しながら第1の方向に各々積層して第1積層体および第2積層体を形成する工程と、
前記第1積層体および前記第2積層体の前記第1の方向に沿う長さを各々計測する工程と、
各々が前記第1セパレータ層よりも変形しにくい、互いに厚みが異なる複数種の絶縁部材を準備する工程と、
前記第1積層体および前記第2積層体の前記第1の方向に沿う長さの合計と、予め定められた所定の値との差分に基づいて、前記複数種の絶縁部材の中から第2セパレータ層を選択して前記第1セパレータ層および前記第2セパレータ層の厚みの合計を調整する工程と、
選択された前記第2セパレータ層を前記第1積層体および前記第2積層体の間に介装する工程と、
前記複数の電池セルおよび前記エンドプレートならびに前記第1セパレータ層および前記第2セパレータ層を拘束部材で前記第1の方向に拘束する工程とを備えた、電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第1セパレータ層は第1の弾性率を有し、前記第2セパレータ層は前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率を有する、請求項7に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記第1の方向に対して各々直交する第2の方向または第3の方向からみて、前記第1セパレータ層および前記第2セパレータ層は、互いに異なる断面形状を有する、請求項7または請求項8に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記第1セパレータ層の内部に空隙が形成された、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-200051号公報(特許文献1)には、電池の積層体の積層方向長さに応じて長さ調整手段を設けることにより、組電池の拘束圧が規定圧力となるように拘束工程を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-200051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池セルの特性を安定させるために、拘束圧を適切に調整することが求められる。他方、特許文献1に記載の組電池においては、長さ調整手段を設けることにより、組電池の積層方向長さが増大する。この結果、組電池の小型化が阻害される。
【0005】
本技術の目的は、小型化かつセル特性の安定が図られた電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る電池モジュールは、第1の方向に配列された複数の電池セルと、複数の電池セルと同数設けられ、第1の方向に沿って複数の電池セルと各々隣接する複数の第1セパレータ層と、互いに隣接する複数の電池セルの間のうち1箇所にのみ設けられ、第1セパレータ層よりも第1の方向に沿って変形しにくい第2セパレータ層とを備える。
【0007】
本技術に係る電池モジュールの製造方法は、複数の電池セルおよびエンドプレートを第1セパレータ層を介装しながら第1の方向に各々積層して第1積層体および第2積層体を形成する工程と、第1積層体および第2積層体の第1の方向に沿う長さを各々計測する工程と、各々が第1セパレータ層よりも変形しにくい、互いに厚みが異なる複数種の絶縁部材を準備する工程と、第1積層体および第2積層体の第1の方向に沿う長さの合計と、予め定められた所定の値との差分に基づいて、複数種の絶縁部材の中から第2セパレータ層を選択する工程と、選択された第2セパレータ層を第1積層体および第2積層体の間に介装する工程と、複数の電池セルおよびエンドプレートならびに第1セパレータ層および第2セパレータ層を拘束部材で第1の方向に拘束する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本技術に係る電池モジュールによれば、比較的変形しやすい第1セパレータ層を電池セルの同数設けることにより、電池セルの積層数によらず、セル特性を安定させることができる。
【0009】
本技術に係る電池モジュールの製造方法によれば、第1積層体および第2積層体の長さの合計と予め定められた所定の値との差分に基づいて第2セパレータ層の厚みを調整する(複数種の絶縁部材から第2セパレータ層を選択する)ことにより、セパレータ層の厚みの増大を抑制しながら部品交差を吸収することができる。この結果、電池モジュールの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電池モジュールの基本的構成を示す図である。
図2図1に示す電池モジュールにおける電池セルおよびエンドプレートを示す図である。
図3図1に示す電池モジュールにおける電池セルを示す図である。
図4】電池モジュールにおけるセパレータの配置を示す図である。
図5】電池モジュールの製造方法における第1の工程を示す図である。
図6】電池モジュールの製造方法における第2の工程を示す図である。
図7】一例に係る第1セパレータ層を示す側面図である。
図8】一例に係る第2セパレータ層を示す側面図(その1)である。
図9】一例に係る第2セパレータ層を示す側面図(その2)である。
図10】一例に係る第1セパレータ層の断面図(その1)である。
図11】一例に係る第1セパレータ層の断面図(その2)である。
図12】一例に係る第2セパレータ層の表面状態を説明するための図(その1)である。
図13】一例に係る第2セパレータ層の表面状態を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0012】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0013】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0014】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0015】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。
【0016】
図1は、電池モジュール1の基本的構成を示す図である。図2は、電池モジュール1に含まれる電池セル100とエンドプレート200とを示す図である。図3は、電池モジュール1における電池セル100を示す図である。
【0017】
図1図2に示すように、電池モジュール1は、電池セル100と、エンドプレート200と、拘束部材300とを備える。
【0018】
複数の電池セル100は、Y軸方向(第1の方向)に並ぶように配列される。電池セル100は、電極端子110を含む。複数の電池セル100の間には、図示しないセパレータ(後述のセパレータ400)が介装されている。2つのエンドプレート200に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート200によって押圧され、2つのエンドプレート200の間で拘束されている。
【0019】
エンドプレート200は、Y軸方向において電池モジュール1の両端に配置されている。エンドプレート200は、電池モジュール1を収納するケースなどの基台に固定される。エンドプレート200のX軸方向の両端には、段差部210が形成される。段差部210は、Z軸方向に延びるように形成される。X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、互いに直交する。
【0020】
エンドプレート200は、たとえばアルミニウムまたは鋳鉄からなる。エンドプレート200を構成する素材は、これらに限定されない。
【0021】
拘束部材300は、2つのエンドプレート200を互いに接続する。拘束部材300は、2つのエンドプレート200に各々形成された段差部210に取り付けられる。
【0022】
複数の電池セル100およびエンドプレート200の積層体に対してY軸方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材300を段差部210に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート200を接続する拘束部材300に引張力が働く。その反作用として、拘束部材300は、2つのエンドプレート200を互いに近づける方向に押圧する。エンドプレート200は、段差部210を有する構造に限定されない。
【0023】
拘束部材300は、たとえばアルミニウム、鉄またはステンレスからなる。拘束部材300を構成する素材は、これらに限定されない。
【0024】
図3に示すように、電池セル100は、平坦面状の略直方体形状に形成されている。電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを含む。正極端子111と負極端子112とは、X軸方向(第2の方向)に並ぶ。角型の筐体120は、Z軸方向(第3の方向)に沿って対向する上面および底面を有する。電極端子110は、筐体120の上面に設けられている。筐体120の上面および下面は、X軸方向が長辺方向、Y軸方向が短辺方向となるような略長方形形状を有する。筐体120には、電極体および電解液が収容されている。
【0025】
電池モジュール1を製造する際は、まず、複数の電池セル100をY軸方向に沿って積層する。次に、積層された複数の電池セル100の両端にエンドプレート200が設けられる。そして、複数の電池セル100およびエンドプレート200が、拘束部材300によってY軸方向に拘束される。
【0026】
図4は、電池モジュール1におけるセパレータ400の配置を示す図である。図4に示すように、セパレータ400は、第1セパレータ層410と、第2セパレータ層420とを含む。第1セパレータ層410および第2セパレータ層420は、樹脂などの絶縁部材により各々形成される。
【0027】
第1セパレータ層410は、複数(図4の例では4個)の電池セル100と同数設けられる。第1セパレータ層410は、Y軸方向に沿って複数の電池セル100と各々隣接する。第1セパレータ層410は、第2セパレータ層420よりもY軸方向に変形しやすいように形成される。第1セパレータ層410は、電池セル100の膨圧力を吸収する「弾性層」に相当する。
【0028】
第2セパレータ層420は、複数の電池セル100の間のうち、1箇所のみに設けられる。第2セパレータ層420は、第1セパレータ層410よりもY軸方向に変形しにくいように構成される。
【0029】
第2セパレータ層420は、電池モジュール1におけるY軸方向の中心付近に設けられる。換言すると、第2セパレータ層420は、電池モジュール1のY軸方向の端部から離間した位置に設けられる。
【0030】
図4に示す構造において、仮に、第2セパレータ層420を設けず、代わりに第1セパレータ層410を設ける場合には、第1セパレータ層410の数が電池セル100よりも1つ多くなる。この場合、製造時に同じ条件で電池セル100を拘束しても、その後の電池使用時における拘束荷重は、電池セル100の積層数(n)によって若干変動し得る。
【0031】
たとえば、電池セル100の積層数が10である場合、10個分の電池セル100の膨張による変形量を11層の第1セパレータ層410で吸収(1層あたり10/11個分を吸収)する。他方、電池セル100の積層数が20である場合、20個分の電池セル100の膨張による変形量を21層の第1セパレータ層410で吸収(1層あたり20/21個分吸収)する。このように、電池モジュール1において第1セパレータ層410および電池セル100の数が異なる場合、電池セル100の積層数(n)によって各々の第1セパレータ層410の変形量が異なることになる。したがって、製造時に同じ条件で拘束しても、電池使用時において電池セル100に作用する拘束力が積層数(n)によって異なることになる。この結果、電池セル100の特性が安定しなくなる。他方、電池セル100の積層数(n)に応じて製造時の拘束条件を変化させることは、電池モジュール1の製造工程の煩雑化を招く。
【0032】
これに対し、本実施の形態に係る電池モジュール1においては、比較的変形しやすい第1セパレータ層410と電池セル100とを同数とすることにより、電池使用時において、電池セル100の積層数(n)によらず同じ拘束荷重を電池セル100に作用させることができるので、工程の煩雑化を抑制しながら、電池セル100の特性を安定させることができる。
【0033】
次に、図5図6を用いて、電池モジュール1の製造方法について説明する。図5に示すように、まず、複数の電池セル100およびエンドプレート200を第1セパレータ層410を介装しながらY軸方向(第1の方向)に各々積層することで、第1積層体10および第2積層体20が形成される。
【0034】
図5の例では、第1積層体10および第2積層体20は、互いに同数(各々2個)の電池セル100を含むが、本技術の範囲はこれに限定されない。第1積層体10および第2積層体20に含まれる電池セル100を同数とすることで、電池モジュール1におけるY軸方向の中心付近に第2セパレータ層420を設けることができる。
【0035】
次に、第1積層体10および第2積層体20のY軸方向に沿う長さが各々計測され、その合計値が算出される。
【0036】
第2セパレータ層420は、互いに厚みが異なる複数種の絶縁部材から選択される。第1積層体10および第2積層体20のY軸方向に沿う長さの合計値と、予め定められた所定の値(設計値)との差分に基づいて、予め準備された複数種の絶縁部材の中から、最も適切な厚み(T)を有する第2セパレータ層420が選択される。
【0037】
次に、図6に示すように、選択された第2セパレータ層420が第1積層体10および第2積層体20の間に介装される。その後、電池セル100、エンドプレート200、第1セパレータ層410、および第2セパレータ層420を拘束部材300によりY軸方向に拘束することにより、図4に示す電池モジュール1が形成される。
【0038】
本実施の形態に係る電池モジュール1の製造方法によれば、第1積層体10および第2積層体20の長さの合計と、予め定められた所定の値との差分に基づいて第2セパレータ層420の厚みを調整する(複数種の絶縁部材から最も適切な厚み(T)を有する第2セパレータ層420を選択する)ことにより、セパレータ400の厚みの増大を抑制しながら部品交差を吸収することができる。この結果、電池モジュール1の小型化を図ることができる。すなわち、第2セパレータ層420は、部品公差による厚みのばらつきを吸収する「厚み調整層」に相当する。
【0039】
第1セパレータ層410と第2セパレータ層420とは、各々の弾性率を互いに異ならせることにより変形のしやすさを異ならせてもよいし、各々の形状を互いに異ならせることにより変形のしやすさを異ならせてもよい。
【0040】
たとえば、第1セパレータ層410の弾性率(第1の弾性率)を第2セパレータ層420の弾性率(第2の弾性率)よりも低く、換言すると、第2セパレータ層420の弾性率(第2の弾性率)を第1セパレータ層410の弾性率(第1の弾性率)よりも高くすることで、第2セパレータ層420を第1セパレータ層410よりもY軸方向に変形しにくくすることができる。
【0041】
具体的には、第1セパレータ層410の弾性率(第1の弾性率)は、Y軸方向の単位歪みに対して面圧50MPa以下程度に設定され得る。第2セパレータ層420の弾性率(第2の弾性率)は、Y軸方向の単位歪みに対して面圧200MPa以上程度に設定され得る。すなわち、第2セパレータ層420は、第1セパレータ層410に対して4倍以上程度変形しにくい素材により構成されることが好ましい。ただし、本技術の範囲はこの範囲に限定されない。
【0042】
図7ないし図9は、第1セパレータ層410および第2セパレータ層420をX軸方向またはZ軸方向から見た側面図である。
【0043】
第1セパレータ層410および第2セパレータ層420の形状を異ならせる場合、たとえば、図7に示すように、第1セパレータ層410に第1の幅(B1)を有する突起411を設け、図8に示すように、第2セパレータ層420に第1の幅(B1)よりも大きい第2の幅(B2)を有する突起421を設けることにより、第2セパレータ層420を第1セパレータ層410よりもY軸方向に変形しにくくすることができる。
【0044】
または、図7に示すように、第1セパレータ層410に突起411を設け、図9に示すように、第2セパレータ層420には突起を設けないようにすることで、第2セパレータ層420を第1セパレータ層410よりもY軸方向に変形しにくくすることができる。
【0045】
図7に示す第1セパレータ層410に対して、図8図9に示す第2セパレータ層420は、電池セル100と接触してY軸方向の圧縮力を受ける面積が大きいため、面圧が低減され、Y軸方向に変形しにくくなる。
【0046】
第1セパレータ層410および第2セパレータ層420の変形のしやすさを異ならせるにあたり、素材の弾性率の違いと、断面形状の違いとを併用してもよい。
【0047】
図10図11は、第1セパレータ層410のX軸方向またはZ軸方向の断面図である。図10に示すように、第1セパレータ層410の内部に空間412(空隙)を形成することにより、第1セパレータ層410を相対的に変形しやすくすることができる。
【0048】
また、図11に示すように、第1セパレータ層410を気泡413(空隙)を有する発泡構造とすることにより、第1セパレータ層410を相対的に変形しやすくすることができる。
【0049】
図12(A),図13(A)は、第2セパレータ層420のX軸方向の断面図である。図12(B),図13(B)は、第2セパレータ層420をY軸方向から見た図である。
【0050】
第2セパレータ層420の表面は、電池セル100から剥離しやすい構造ないし材質とすることができる。第2セパレータ層420が電池セル100から剥離しやすい構造ないし材質であれば、第1積層体10および第2積層体20の長さの合計に異常がある場合、第2セパレータ層420の差し替えを容易に行うことができる。
【0051】
このとき、第1セパレータ層410と電池セル100との間は接着し、第2セパレータ層420と電池セル100との間は接着しないような構成とすることができる。もしくは、第2セパレータ層420と電池セル100との間が、第1セパレータ層410と電池セル100との間より剥離しやすくなる構造や材質を選択することができる。
【0052】
第2セパレータ層420が電池セル100から剥離しやすい構造ないし材質としては、たとえば、図12に示すように、第2セパレータ層420のX軸方向全体に亘って延びる凹部422が形成され得る。また、図13に示すように、第2セパレータ層420の表面にブラスト処理を施すことにより凹部423を形成することができる。
【0053】
さらに、第2セパレータ層420の表面に表面滑性処理を施してもよい。表面滑性処理は、ハロゲン化処理、粉末処理、およびコーティング処理を含む。ハロゲン化処理は、塩素およびフッ素などのハロゲンを付加反応させる処理である。粉末処理は、シリカ、タルク、コーンスターチなどの粉末を付着させる処理である。コーティング処理は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などからなる表面コートを形成する処理である。
【0054】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 電池モジュール、10 第1積層体、20 第2積層体、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、200 エンドプレート、210 段差部、300 拘束部材、400 セパレータ、410 第1セパレータ層、411 突起、412 空間、413 気泡、420 第2セパレータ層、421 突起、422,423 凹部。
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