IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セラム インスティチュート オブ インディア リミテッドの特許一覧

特許7478144低減用量の不活化ポリオウイルスを含む混合ワクチン組成物およびそれを調製するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】低減用量の不活化ポリオウイルスを含む混合ワクチン組成物およびそれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/05 20060101AFI20240424BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/10 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/13 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240424BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240424BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240424BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240424BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240424BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240424BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A61K39/05
A61K9/08
A61K38/16
A61K39/08
A61K39/10
A61K39/13
A61K39/145
A61K39/29
A61K39/39
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/64
A61P31/00
A61P37/04
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021520140
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 IN2019050737
(87)【国際公開番号】W WO2020075184
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】201821038850
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】514152303
【氏名又は名称】セラム インスティチュート オブ インディア プライベイト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,インダー・ジット
(72)【発明者】
【氏名】ラケシュ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】キルバニ,ジャガナサン・センブラッキアナン
(72)【発明者】
【氏名】ドッダパネニ,マノハール
(72)【発明者】
【氏名】シトール,アニル・ビャンカトラオ
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/048038(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/037365(WO,A1)
【文献】特表2012-506420(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093406(WO,A1)
【文献】特表2002-515056(JP,A)
【文献】特開2004-002463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/05
A61K 9/08
A61K 38/16
A61K 39/08
A61K 39/10
A61K 39/13
A61K 39/145
A61K 39/29
A61K 39/39
A61K 47/02
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/18
A61K 47/26
A61K 47/64
A61P 31/00
A61P 37/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5mlの組成物中に、
(i)少なくとも50%の吸着率で、アルミニウム塩に吸着されている、10Lf~25Lfの量のジフテリアトキソイド(D)、
(ii)少なくとも40%の吸着率で、アルミニウム塩に吸着されている、2Lf~10Lfの量の破傷風トキソイド(T)、
(iii)百日咳菌株134、509、25525、および6229を1:1:0.25:0.25の比で、12IOU~16IOUの量の不活化全細胞百日咳(wP)
(iv)少なくとも50%の吸着率で、アルミニウム塩に吸着されている、7μg~15μgの量のB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、
(v)7μg~13μgの量のインフルエンザ菌b型抗原(Ηib)、
(vi)IPV1型が1~25DUの量であり、IPV2型を1~10DUの量で、IPV3型が1~20DUの量である不活化ポリオウイルス抗原(IPV)、
(vii)リン酸アルミニウム吸着剤としての総アルミニウム含有量(Al3+)が、0.1~0.6mgの量、
、および
(viii)保存剤として、2-フェノキシエタノールを1~6mg(v/v)の量、メチルパラベンを0.1~1.5mg(w/v)の量、およびプロピルパラベンを0.05~0.2mg(w/v)の量で含むか、
2-フェノキシエタノールを1~6mg(v/v)の量、およびメチルパラベンを0.1~1.5mg(w/v)の量で含むか、または。
2-フェノキシエタノールを1~6mg(v/v)の量、およびプロピルパラベンを0.05~0.2mg(w/v)の量で含む、
を含む、完全に液体である複数回用量の免疫原性組成物。
【請求項2】
Hib抗原が、シアニル化コンジュゲーション化学または還元的アミノ化コンジュゲーション化学を用いて担体タンパク質にコンジュゲートされたHibポリリボシルリビトールリン酸(PRP)多糖であり、前記シアニル化試薬が、臭化シアン、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)、1-シアノ-4-ピロリジノピリジニウムテトラフルオロボレート(CPPT)、1-シアノイミダゾールすなわち、(1-CI)、1-シアノベンゾトリアゾール(1-CBT)、または2-シアノピリダジン-3(2H)オン(2-CPO)から選択され、担体タンパク質が、破傷風トキソイド、CRM197、ジフテリアトキソイド、髄膜炎菌外膜複合体、破傷風トキソイドの断片C、百日咳トキソイド、インフルエンザ菌のタンパク質D、大腸菌LT、大腸菌ST、緑膿菌由来の外毒素A、外膜複合体c(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシン、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌表面付着因子A(PsaA)、肺炎球菌PhtD、肺炎球菌表面タンパク質BVH-3およびBVH-11、炭疽菌の防御抗原(PA)、炭疽菌の解毒された浮腫因子(EF)および致死因子(LF)、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ツベルクリンの精製されたタンパク質誘導体(PPD)、合成ペプチド、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、N19のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質、鉄取込みタンパク質、C.difficile由来の毒素AまたはB、ならびにリンカーを有するかまたはリンカーを有さないS.agalactiaeタンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
IPV抗原が、Mahoney株、MEF-1株およびSaukett株から選択されるSalk株、またはSabin1型、Sabin2型、およびsabin3型から選択されるSabin株である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
D、T、およびHBsAgが、水酸化アルミニウム(Al(OH))もしくはリン酸アルミニウム(AlPO)などのアルミニウム塩(Al3+)から選択されるアジュバントに個別に吸着されている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
IPV抗原が、IPV1型の吸着率は10~100%の範囲内で、IPV2型の吸着率は60~100%の範囲内で、IPV3型の吸着率は10~100%の範囲内で、リン酸アルミニウム塩(AlPO)に吸着されている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
任意のアジュバントに対するHib抗原の吸着率が20%未満である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
塩化ナトリウムまたはリン酸緩衝生理食塩水から選択される希釈緩衝液をさらに含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
希釈剤または緩衝液として塩化ナトリウムを0.5%~1.5%の濃度で含む、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ20DUの量の1型(Mahoney株)、4DUの量の2型(MEF-1株)、および16DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ40DUの量の1型(Mahoney株)、8DUの量の2型(MEF-1株)、および32DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
0.5mLの前記組成物が、
a:10Lfの量のD抗原、2Lfの量のT抗原、12IOUの量のwP抗原、8μgの量のHBsAg、8μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
b:20Lfの量のD抗原、4Lfの量のT抗原、14IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、10μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン、または
c:25Lfの量のD抗原、10Lfの量のT抗原、16IOUの量のwP抗原、15μgの量のHBsAg、13μgの量のΗib抗原、IPV抗原、すなわち、それぞれ7.5DUの量の1型(Mahoney株)、1.5DUの量の2型(MEF-1株)、および6DUの量の3型(Saukett株)、0.55mg以下の総アルミニウム含有量(Al3+)、2.5mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.9mg(w/v)の量のメチルパラベン、0.1mg(w/v)の量のプロピルパラベン
のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の完全に液体である複数回用量の免疫原性組成物を製造する方法であって、
a)混合用の容器に通常の生理食塩水(NaCl)を添加するステップと、
b)ジフテリアトキソイドを含む成分iを前記混合用の容器に添加するステップと、
c)室温条件下で撹拌下にて、ステップb)の混合用の容器に破傷風トキソイドを含む成分iiを添加するステップと、
d)室温条件下で撹拌下にて、ステップc)の混合用の容器に不活化全細胞百日咳抗原または無細胞百日咳(aP)を含む成分iiiを添加するステップと、
e)室温条件下、ステップd)の混合用の容器にB型肝炎表面抗原を含む成分ivを添加するステップと、
f)6~16℃にて、ステップe)で得られた混合用の容器にHib抗原を含む成分vを添加するステップと、
g)IPV1型(Mahoney株)が0.5mL当たり1~25DUの量、IPV2型(MEF-1株)を0.5mL当たり1~10DUの量、およびIPV3型(Saukett株)が0.5mL当たり1~20DUの量であるIPV抗原を含む成分viを、6~16℃にて、ステップf)で得られた混合用の容器に添加するステップ、
h)0.5mL当たり1~6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノールおよび0.5mL当たり0.1~1.5mgの量のメチルパラベン、または
0.5mL当たり1~6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノールおよび0.5mL当たり0.05~0.2mgの量のプロピルパラベン、または
0.5mL当たり1~6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、0.5mL当たり0.1~1.5mgの量のメチルパラベン、および0.5mL当たり0.05~0.2mgの量のプロピルパラベン
から選択される保存剤の組合せを、6~16℃にて、ステップg)で得られた混合用の容器に添加するステップ添加するステップと、
i)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて混合された液のpHを6.0~7.0に調整するステップと、
j)メスアップするために通常の生理食塩水(NaCl)を混合された液に添加するステップと
を含む方法。
【請求項22】
成分iの調製が、以下のステップ:
a)容器にリン酸アルミニウムを移すステップと、
b)前記容器にジフテリアトキソイドを添加するステップと、
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを4.5~5.5に調整するステップと、
d)溶液を安定化させるステップと、
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて溶液のpHを5.5~6.5に調整するステップと、
f)ヒスチジン緩衝液を用いて溶液を安定化させるステップと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
成分iiの調製が、以下のステップ:
a)容器にリン酸アルミニウムを移すステップと、
b)前記容器に破傷風トキソイドを添加するステップと、
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを4.5~5.5に調整するステップと、
d)溶液を安定化させるステップと、
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて溶液のpHを5.5~6.5に調整するステップと、
f)ヒスチジン緩衝液を用いて溶液を安定化させるステップと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
成分iiiの調製が、以下のステップ:
a)百日咳菌株134をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップと、
b)百日咳菌株509をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップと、
c)百日咳菌株25525および6229をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップと、
c)百日咳菌株6229をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップと、
d)続いて、不活化百日咳菌株134、509、25525、および6229を、1:1:0.25:0.25の比で混合するステップと、
を含み、前記プロセスは、チオメルサールを含まず、不活化全細胞百日咳抗原は、塊状化せず、均質を維持し、それによって反応原性が低下し、より長期間にわたりより高い力価がもたらされる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
成分ivの調製が、以下のステップ:
a)容器にリン酸アルミニウムを移すステップと、
b)前記容器にB型肝炎表面抗原を添加するステップと、
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いて溶液のpHを4.5~5.5に調整するステップと、
d)溶液を安定化させるステップと、
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて溶液のpHを5.8~6.8に調整するステップと、
f)溶液を安定化させるステップと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
成分vの調製が、以下のステップ:
a)インフルエンザ菌b型を発酵させるステップと、
b)0.1%ホルムアルデヒドの存在下にて37℃で2時間不活化するステップと、
c)Hibポリリボシルリビトールリン酸(PRP)多糖を精製するステップと、
d)アジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーの存在下で臭化シアニル化コンジュゲーション化学を用いて、ステップcの精製した生成物を破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートさせるステップと、
e)ステップdのコンジュゲートを精製するステップと、
f)精製したコンジュゲートを、好ましくは0.22μmフィルターで濾過するステップと
を含み、遊離PRP百分率は、総精製Hibバルクコンジュゲート中5%以下である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオテクノロジーの分野に関し、より具体的には、抗原/免疫原および保存剤の群を含む複数回用量の混合ワクチン組成物を調製する方法に関する。さらに本開示は、混合ワクチン製造の分野における改良された方法論に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾病に対する免疫原性をもたらすことが可能な混合ワクチンは、投与される注射の回数を減少させ、複数回の筋肉内注射と関連する合併症を低減し、投与および製造費用を低減し、貯蔵費用を低減し、ワクチン接種が遅くなるリスクまたはワクチン接種を受けそびれるリスクを低下させ、かつ個別のワクチン接種の数を減らすことによって患者のコンプライアンスを向上させることから、単価ワクチンよりも常に有利である。さらに、混合ワクチンの完全に液体である製剤は、再構成を必要とするものよりも明白な利点を有する。完全に液体であるワクチンにおける平均調製時間は、完全には液体ではないワクチンと比較して、ほぼ半分であることが認められている。ほぼ全て(97.6%)の医療従事者は、日常の診療において、完全に液体であるワクチンの使用を望むであろうと述べた。(参考文献:Soubeyrand B他;Assessment of preparation time with fully-liquid versus non-fully liquid paediatric hexavalent vaccines.A time and motion study;Vaccine2015;33:3976-82)。
【0003】
現時点で既知の、利用可能な混合ワクチンは、多くの疾患に罹りやすいヒト集団において、1回の注射で望ましいレベルの安全性、有効性、および免疫原性を得るために、適切な免疫原性形態で適切な抗原の適切な配合物を含有していない場合がある。ほんの数種の抗原を追加して作製し得る異なるワクチンの組合せの数は、かなり多い。1~4種の他の抗原成分(例えば、HIB(凍結乾燥されたものまたは液体)、HBV、IPV、HAV)を、DTwPまたはDTaPのいずれかに添加することによって、生成可能な44組の考え得る異なるワクチンの組合せが存在する。この数は、異なる製造業者からの個々の成分を考慮に入れると、数千組に増加するであろう。全ての個々の新規混合ワクチンは(供給元による成分の差異を考慮に入れて)、安全性、安定性、適合性、および有効性を実証するために、個別に開発されなければならないことから、これら全てのワクチンの開発は難度の高い課題となっている。
混合ワクチンの抗原:
ジフテリア抗原および破傷風抗原
ジフテリアおよび破傷風は、それぞれジフテリア菌(Corynebacteriumdiphtheriae)および破傷風菌(Clostridium tetani)を原因とする急性感染症である。いずれの場合でも、臨床疾患の原因となるのは、これらの細菌の強力な外毒素である。これらの細菌に対する防御効果を有するワクチンは、毒素を含有しており、この毒素は、化学的に修飾されて、トキソイド、すなわち、もはや毒性はないが、依然として抗原性を有する化学的に修飾された毒素を形成する。ジフテリアおよび破傷風の毒素は、ウシ抽出物を含有する培地でジフテリア菌および破傷風菌を増殖させることによって産生される。これらの毒素は、トキソイド[ジフテリアトキソイド(D)および破傷風トキソイド(T)]を生成するために、以下の加熱、UV、ホルマリン/ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アセチルエチレンイミンなどを含む処理を用いて不活化される。ウシ海綿状脳症(BSE)、伝播性海綿状脳症(TSE)、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJDおよび変異型CJD)に関する懸念は、ワクチンを介して拡散される、ウシ抽出物を含有する増殖培地中に使用されている動物成分から生じることがある。(参考文献:WHO Guidelines on Transmissible Spongiform Encephalopathies in relation to Biological and Pharmaceutical Products;2003&EMEA/CPMP/BWP/819/01;2001年4月24日)。
百日咳抗原
化学的不活化および熱不活化百日咳菌(Bordetella pertussis)微生物からなる全細胞ワクチンの1940年代における導入は、百日咳菌(B.pertussis)を原因とする百日咳の発生率の劇的な低下に貢献した。
【0004】
全細胞DTPワクチンは、一般的に、複数の局所的有害事象(例えば、注射部位における紅斑、腫脹、および疼痛)、発熱、および他の軽度の全身事象(例えば、傾眠、苛立ち、および食欲不振)を伴う。(参考文献:Cody CL、Baraff LJ、Cherry JD、Marcy SM、Manclarck CR;The nature and rate of adverse reactions associated with DTP and DT immunization in infants and children.Paediatrics 1981;68:650-60)および(参考文献:Long SS、DeForest A、Pennridge Pediatric Associates他、Longitudinal study of adverse reactions following Diphtheria-tetanus-pertussis vaccine in infancy.Paediatrics 1990;85:294~302ページ)。
【0005】
より重度の全身事象(例えば、痙攣{発熱の有無に関わらない}および筋緊張低下反応性低下発作)は、全細胞DTPワクチンを受ける小児の間では発生頻度が低い(投与された1,750回分に対して1症例の割合)(参考文献:Cody CL、Baraff LJ、Cherry JD、Marcy SM、Manclarck CR;The nature and rate of adverse reactions associated with DTP and DT immunization in infants and children.Paediatrics 1981;68:650-60)。急性脳症の発生は、さらにいっそう稀である(投与された百万回分に対して0~10.5症例の割合)。専門家は、いくつかの稀な症例において、全細胞百日咳ワクチンが永続的な脳損傷を招くことを認めている。(参考文献:Institute of Medicine;DPT vaccine and chronic nervous system dysfunction、a new analysis;Washington D.C.、National Academy Press、1994年)。
【0006】
全細胞百日咳ワクチン接種の反応原性と重篤な副作用の間の因果関係について言及している複数の報告によって、ワクチン受容が減少し、その結果として再流行することとなった(Miller、D.L.、Ross、E.M.、Alderslade、R.、Bellman、M.H.、およびBrawson、N.S.B.(1981年).Pertussis immunization and serious acute neurological illness in children:Brit Med.J.282:1595~1599ページ)。
【0007】
全細胞百日咳(wP)に関連する有害反応は、そのワクチンの世界的な継続使用における障害であるため、工業国では、wP系混合ワクチンは、無細胞百日咳系混合ワクチンに徐々に置き換えられた。
【0008】
より最近では、規定された成分の百日咳ワクチンが開発された。全て液体の六価無細胞百日咳系ワクチン(DTaP IPV PRP-T-HBsAg)は、過去に報告されている(EP1028750)。
【0009】
Infanrix(登録商標)Hexa(GSK)は、Salk IPVを含有する、現在で唯一世界的に市販されている六価の小児用混合ワクチンである。この製品(DTaP3-IPV-HBV//Hib)は、使用前に残りのワクチンと再構成するために個別のバイアルに入れてある凍結乾燥されたHib抗原PRP-Tコンジュゲートと共に包装された五価の製品の充填済みシリンジとして販売されている。
【0010】
第2の六価ワクチンであるHexyon(登録商標)(Hexacima(登録商標)およびHexaxim(登録商標)とも呼ばれる)は、Sanofi Pasteurからの全て液体の六価ワクチンであるが、これもaPを伴う。このワクチンは、欧州および世界における民間市場向けのものである可能性が高い。
【0011】
DT、無細胞百日咳、Sabin IPV(I型:40DU、2型:8DU、3型:32DU)、単一株不活化ロタウイルス(G9株すなわち、116E株)、TTにコンジュゲートしたコンジュゲートインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型PRP、および組換えB型肝炎ワクチンからなる七価混合ワクチンは、Bharat Biotech Internationalによって開発されつつある。
【0012】
しかし、特に発展途上国の環境における無細胞百日咳(aP)ワクチンの長期有効性に関する懸念が生じている。最近の報告では、百日咳に対する免疫は青年期に弱まること、またこれは、ワクチン注射を完了する前に生後6ヵ月未満であった乳児において、症例が増加する原因となることが示唆されている。ワクチンの有効性は、乳児期にaPで免疫化された8~12歳において24%であると推定された。オーストラリアにおける観察研究でも、乳児期にaPワクチンを受けた青年では、wPワクチンを受けた青年においてより高い症例率を示した(相対危険度3.3、95%信頼区間2.4~4.5)。
【0013】
費用の観点から、aP抗原は、歴史的に、製造の違いおよび特許権使用料によって、wP抗原の費用の10~30倍高額であったため、発展途上国における経済的負担となっていた。結果として、wP系六価ワクチンの費用は、低資源国の公共部門における使用により適しているであろう。
【0014】
したがって、発展途上国向けの六価ワクチンにおける全細胞百日咳(wP)の使用は、費用および特に発展途上国の環境におけるaPワクチンの長期有効性に関して生じる懸念から、重要になっている。
【0015】
最良の全細胞百日咳(wP)ワクチンと比較して、aPワクチンは、集団予防接種プログラムにおいて同様に有効とは言えない(Vickers他、2006;Cherry2012)。
【0016】
高度に免疫化された集団における大流行の最近の研究によって、aPワクチンの防御期間があまりにも短いため(Kleinら2012;Misegadesら2012)、年長児および青年における免疫の低下ならびにこの年齢群における対応する症例の増加を招く結果となっていることが示された(Skowronski他2002;Klein他2012)。これは、10代に十分な防御を提供するwPワクチンとは対照的である(Klein他2012)。これらの欠点の結果として、1990年代にaPワクチンに切り替えた国では、百日咳に対する防御が不十分なだけではなく、小児に初回刺激を与えたワクチンは、後の追加免疫ワクチン接種に対する免疫応答を決定する可能性があるため、追加免疫に対する反応性が低い場合もある小児の世代が現在存在する(Podda他1995;Mascart他2007;Sheridan他2012;Liko、Robison、およびCieslak2013;Smits他2013)。
【0017】
wPの反応原性に寄与する最も重要な要因の1つは、細菌外膜由来の内毒素であるリポオリゴ糖(LOS)の存在である。
wPワクチンにおける毒素の不活化は、種々の方法によって行うことが可能であるが、活性な易熱性毒素が、最終製品において検出可能となるべきではない。多くの製造業者によって実践されているwP毒素の不活化のための全細胞百日咳(wP)バルク処理は、熱処理/ホルマリンを用いる。いくつかの報告では、wPの不活化にチメロサールが使用されている。しかし、チメロサールの使用がIPVの抗原性の損失を招くため(Vaccine 1994、第12巻、第9号、851~856ページ、Deleterious effect of thimerosal on the potency of inactivated poliovirus vaccine)、IPVを含有する混合ワクチンの場合は、経時的にIPVの力価を保持するために、チメロサール含有wPから個別のバイアルで提供するか、または元となる百日咳バルク不活化を変更する必要があることがある。いくつかの抗原、すなわち、活性なPTも免疫応答調節物質として働くことがあり、異なるワクチン間では種々の抗原に対する免疫応答に有意差が認められている(WHO、1993)。
【0018】
LOSの化学的抽出は、使用されたin vitroまたはin vivo試験に応じて、内毒素含有率(20%)の著しい低下および内毒素に関連する毒性の顕著な低下(最大97%)をもたらした。LOSの抽出は、製品の完全性に影響を及ぼすことはなく、より重要な点として、DTPの力価および/または安定性に影響を及ぼすことはなかった。さらに、抗体およびT細胞応答におけるいかなる差異もほぼ認められなかった。(参考文献:Waldely Oliveira Dias他;An improved whole cell pertussis vaccine with reduced content of endotoxin;Human Vaccines&Immunotherapeutics9:2、339~348ページ;2012年2月)
B型肝炎抗原
肝炎ウイルスには種々の株が存在する。B型肝炎は、ヒトの肝臓に感染するB型肝炎ウイルス(HepB)によって引き起こされる疾患であり、肝炎と称する炎症を引き起こす。この疾患に対するワクチンは、前記ウイルスの外被タンパク質であるB型肝炎表面抗原(HBsAg)のうちの1つを含有する。集団予防接種のために使用されてきたワクチンは、現在入手可能であり、例えば、Merck製品のRecombivax HB(登録商標)およびComvax(登録商標)ならびにGlaxo SmithKline Biologicals製品のEngerix-B(登録商標)およびPediarix(登録商標)である。B型肝炎成分を有する混合ワクチンは、HepB単一抗原ワクチンと比較して、より高い完了率およびコンプライアンスの結果のいずれにも関連していた。(参考文献:Kurosky他;Effect of Combination Vaccines on Hepatitis B Vaccine Compliance in Children in the United States;The Pediatric Infectious Disease Journal、36(7):el89~el96、2017年7月)。複数の参考文献では、他の抗原と組み合わせた、リン酸アルミニウムへのB型肝炎表面抗原の吸着について言及されている。Hexavac(登録商標)混合ワクチンは、B型肝炎成分の免疫原性が低いため、市場から回収された。このため、十分な免疫原性または強化された免疫原性を有するB型肝炎抗原を含む混合ワクチン組成物の必要性がある。
インフルエンザ菌(Hib)抗原
インフルエンザ菌は、上気道フローラの正常な部分であるグラム陰性球桿菌である。インフルエンザ菌b型(Hib b)は、幼児における侵襲的な血液媒介感染症である髄膜炎の主な原因であり、出生後の最初の2年間における髄膜炎の主な原因である。インフルエンザ菌に対する予防接種は、1987年にカナダで、多糖ワクチン[ポリリボースリビトールリン酸(PRP)]を用いて開始された。Hibのポリリボシルリビトールリン酸(PRP)莢膜は、この微生物の主な病原性因子である。PRPに対する抗体は、血清殺菌活性の最初の寄与因子であり、抗体レベルの増加に伴って侵襲性疾患リスクは低下する。PRPは、T細胞非依存性抗原であり、このため、a)18ヵ月未満の乳幼児および小児における不十分な抗体応答の誘導、b)T細胞依存性抗原を用いた場合にみられるよりも可変的で量的に少ない抗体応答、c)免疫グロブリンM(IgM)のより高い割合での産生、およびd)追加免疫応答の誘導不能を特徴とする。
【0019】
PRP成分のみに基づいた初期ワクチンは、乳児において効果がないことが判明した。さらに、PRPコンジュゲートワクチンに対する取り組みが行われ、PRPは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、およびCRM197などの担体タンパク質と呼ばれるタンパク質にコンジュゲートされる。混合ワクチンにHib-コンジュゲート成分を含むことは、Hib免疫原性の低下と関連している。さらに、このHib-コンジュゲートは、水性媒体中では不安定であり、この形態で長期保存することは不可能である。このため、インフルエンザ菌b(Hib)のPRP多糖は、乾燥固体として製剤化されることが多く、他の抗原の液体製剤と共に、送達される時点で再構成される。例えば、Infanrix(登録商標)hexa(W099/48525)である。
ポリオ抗原
様々な種類のワクチンが入手可能である:
- 1961年にAlbert Sabin博士によって開発された弱毒化(弱められた)経口ポリオワクチン(OPV)。Sabin株を含むOPVは経口投与される。
- 1955年にJonas Salk博士によって開発された不活化(死菌)ポリオワクチン(IPV)。Salk株を含むIPVは注射として投与される。
- 近年、ホルマリンを用いてSabin株ポリオウイルスを不活化することによって調製されたSabin不活化ポリオウイルスが注射剤として開発され、市販の製品としても入手可能となっている。
【0020】
弱毒化(OPV)ポリオワクチンおよび不活化(IPV)ポリオワクチンは、いずれもポリオ疾患の世界的な抑制に有効であった。前記ポリオワクチンは、Salk株またはSabin株を含むことがある。
【0021】
1955年、Jonas Salk博士は、野生型ポリオウイルスの不活化に成功し、ひいては、それを注射タイプの製剤にすることを可能にしてSalk株と命名した。Salk株には、ポリオ疾患に対するワクチンに使用されているMahoney1型、MET2型、およびSaukett3型が含まれる。Sabin株には、Sabin1株およびSabin2株が含まれる。
【0022】
現時点で許容される標準用量のポリオワクチンは、不活化ポリオウイルス1型(Mahoney)を40D抗原単位、不活化ポリオウイルス2型(MEF-I)を8D抗原単位、および不活化ポリオウイルス3型(Saukett)を32D抗原単位含有しており、例えば、Infanrix-hexa(登録商標)である(W099/48525)。
【0023】
IPVは、現時点で、アジュバント非添加の単独製剤、またはDT-IPV(ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと共に)および六価-IPVワクチン(さらに、百日咳、B型肝炎、インフルエンザ菌b、およびアジュバントと共に)、例えば、Infanrix(登録商標)hexaを含む種々の組合せのいずれかとして入手可能である(W099/48525)。
【0024】
しかし、OPVと比較した場合、IPVの全体的な製造費用は著しく高額である。これは主に以下の要件によるものである:(i)用量当たりより多くのウイルス、(ii)追加の下流処理(すなわち、濃縮、精製、および不活化)、および関連するQC試験、(iii)下流処理における抗原の損失または低い回収率、ならびに(iv)封じ込め。これまで、財政的課題が、低所得国および中所得国におけるIPVの革新および実施の主な問題点であった。
【0025】
ポリオウイルスの根絶に続くIPVの今後の世界的な需要は、現行のレベルである年間8000万回分から4億5000万回分に増加し得る。したがって、IPVの供給を「拡大する」ための取り組みが必要とされる可能性が高い。
【0026】
本出願人らは、驚くべきことに、低減用量のIPVは、標準用量のIPV抗原と比較する場合、ポリオに対する非劣性/同等の防御を示すことを発見した。より低用量のIPV抗原を用いて感染症に対する防御をもたらす低減用量の有効なワクチン製剤は、従来ワクチンの供給が、世界的な需要に対して不十分であるか、従来ワクチンの製造費用が、該ワクチンを発展途上国にとって手頃な価格で販売することの妨げとなっている状況において望ましい。また、現存する市販の製剤と比較して、より低用量のIPVへの曝露は、より安全である可能性がある。このため、より手頃な価格でIPVを入手可能にするための種々の戦略が評価される必要がある。したがって、低減用量のIPVを含む混合ワクチンは、その価格をさらに安価にし、その投与を容易にすることが可能である。
【0027】
汎発性インフルエンザワクチンの場合、アジュバントの使用は、用量の低減を可能にし、アベイラビリティを増加させ、ワクチンの費用を低減した。したがって、IPVのアジュバントワクチン製剤は、費用を低減するであろうし、また世界的に使用可能なIPV用量の数を増加するであろうことが推測された。
【0028】
さらに、アルミニウム塩は、安全であるとみなされており、すでにIPVを含有する混合ワクチンに使用されており、開発における障害が最も低く、製造費用が高額ではない。しかし、アルミニウムアジュバントが、大幅な用量の低減を可能にすることは知られていない。
【0029】
加えて、六価ワクチン中に存在する全細胞百日咳抗原は、強い免疫刺激因子であることが証明されている。リン酸アルミニウムアジュバントおよび全細胞百日咳ワクチンの両方の免疫刺激作用によって、我々は低減用量のIPVを用いて良好な免疫応答が得られると推定する。
他の抗原
混合ワクチンに含まれる可能性のある他の抗原は、インフルエンザ菌(血清型a、c、d、e、fおよび非莢膜株)、肝炎(A、C、D、E、F、およびG株)、髄膜炎菌A、B、C、W、X、Y、インフルエンザ、肺炎球菌、連鎖球菌、炭疽菌、デング熱、マラリア、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、BCG、日本脳炎、ロタウイルス、痘瘡、黄熱、腸チフス、帯状疱疹、水痘ウイルスなどである。
【0030】
混合ワクチンに使用される抗原の範囲および種類は、乳児、幼児、小児、青年、および成人など、ワクチンが使用される標的集団次第である。最も初期に知られていた混合ワクチンであって、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、および任意選択で不活化ポリオウイルス(IPV)、および/またはB型肝炎ウイルス、および/またはインフルエンザ菌B型の感染を防ぐことが可能である混合ワクチンが知られている(例として、WO93/24148、WO97/00697、WO2000/030678、WO2008/028956、US6013264、およびWO2005089794を参照)。
【0031】
しかし、抗原競合の十分に証明されている事象は、多価ワクチンの開発を複雑にし、妨げとなっている。この事象は、複数の抗原を一緒に投与することによって、個別に投与される場合のこれらの抗原に対する免疫応答と比較して、特定の抗原に対する反応がたびたび低下する結果となることが観察されることを指す。
【0032】
一方、複数回用量のワクチンは、有害な微生物による汚染を防ぐために保存剤を含むべきである。発展途上国に輸出されるワクチン製品として、ワクチンが使用される国の環境、流通方法などを考慮すると、保存剤を含有する複数回用量のワクチンが好ましい。使用されている保存剤の例には、塩化ベンゼトニウム(フェメロール)、チオメルサール、フェノール、ホルムアルデヒド、および2-フェノキシエタノール(2-PE)が含まれることは、当該分野で知られている。ワクチンに適した保存剤は、環境上安全で、細菌に加えて酵母菌および他の真菌に対して有効であるべきであり、ワクチンの免疫原性作用に対する悪影響のないものであるべきである。
【0033】
チオメルサールは、保存剤として多くのワクチンで広く使用されているエチル水銀の誘導体である。チメロサールは、混入した微生物の増殖を防ぐこと、およびワクチン製品の保存または使用の間に無菌状態を維持することで知られており、WHO事前認証(PQ)を取得している多くの混合ワクチンは、保存剤としてチメロサールを含有する。しかし、注射部位における発赤および腫脹を含む、主に遅延型の局所過敏反応の形態であるチオメルサールに対する特定のアレルギー反応(集団の約16%)に関する報告がある。
【0034】
さらに、不活化ポリオワクチンに保存剤としてチオメルサールを使用すると、冷蔵庫で保存した場合であっても、1週間以内にワクチン力価が50%以上低下することが知られているため、不活化ポリオワクチンは、保存剤としてチオメルサールの代わりに2-PEを従来使用している。(Vaccine 1994、第12巻、第9号、851~856ページ、Deleterious effect of thimerosal on the potency of inactivated poliovirus vaccine)。
【0035】
前記混合ワクチン(D、T、wP、Hib、HBsAg、およびIPVを含む)には、5mg/mLの濃度で2-PEも使用される(WO2010046934、WO2008020322、およびWO2012093406)。
【0036】
しかし、2-PEは、2~8℃で、DPT系混合ワクチンにおいて、酵母菌および真菌に対する抗微生物活性が、チメロサールより弱いことが認められている。必要とされる基準を満たすために、2-PEを増量することによって混合ワクチンの保存効果を向上することは、選択肢の1つである。しかし、2PE濃度の増加は、混合ワクチンの投与対象である年少児における安全性の問題を招く可能性があり、そのため、このようなワクチンの承認に対する規制上の障害に繋がる可能性がある。
【0037】
したがって、2-PEを、安全基準および規制基準を満たす少なくとも1種の他の保存剤と組み合わせることによって、混合ワクチンの保存効果を向上することは有利であろう。2-PE以外の使用可能な保存剤の例には、塩化ベンゼトニウム(フェメロール)、パラベンエステル、フェノール、ホルムアルデヒドが含まれることは、当該分野で知られている。
【0038】
メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコールは、USP、BP、およびEPに従った抗微生物試験に合格することが認められた。さらに、これらの保存剤は、非毒性である上に有効である。パラベンの毒性は、身体がこれらの薬物を、容易で速やかに身体から除去するため、比較的低い。マウス腹腔内におけるメチルパラベンのLD50は1g/kgである。メチルおよびプロピルパラベンの混合物が市販のワクチンに使用されたことは、これまでに認められていない。
【0039】
本出願人らは、2-フェノキシエタノールとパラベンエステル(例えば、メチル-、プロピル-パラベン)の混合物の保存効果は、2-フェノキシエタノール単独と比較して、比較的により有効であることを発見した。
【0040】
さらに、本出願人らは、免疫原性、反応原性、安定性、および混合ワクチン組成物中における抗原の適切な形態の維持は、該組成物を製剤化する方法次第であり、この方法には、
a)個々の抗原を生成するプロセス、
b)抗原の一連の添加、
c)特定の抗原に対する特定のアジュバントの特定の量での使用、
d)アジュバントへの抗原の個別の吸着または組み合わせた吸着(ここで、組み合わせた吸着は、作業の容易さという形での利点および最初の予め吸着された抗原が、次の抗原を添加する間に部分的または完全に脱着する場合があることを含む欠点を有する。最後のステップで添加した抗原は、先に吸着した抗原が吸着能を飽和させている可能性があり、完全には吸着されないことがある。弱く吸着した抗原は、保存中に脱着される可能性がある。)、
e)アジュバントへの抗原の吸着の程度、
f)最小アルミニウム濃度の使用、
g)最適な濃度および種類の保存剤の使用、
h)撹拌、温度、およびpHを含む種々のパラメータの使用
が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
少なくとも一実施形態は本明細書で満たしている、本開示のいくつかの目的は以下のとおりである:
本開示の目的は、先行技術の1つもしくは複数の問題を改善することまたは少なくとも有用な代替物を提供することである。
【0042】
本開示の別の目的は、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、インフルエンザ菌、およびB型肝炎を原因とする感染症の防止および予防に適した完全に液体である混合ワクチン、またはその臨床徴候の発症もしくは進行を防ぐ、寛解する、もしくは遅延するための完全に液体である混合ワクチンを提供することである。
【0043】
本開示のさらに別の目的は、標準用量のIPV抗原と比較する場合、ポリオに対する非劣性/同等の防御を示す、種々の低減用量の不活化ポリオウイルス(IPV)抗原を含有する完全に液体である混合ワクチンを提供することである。
【0044】
本開示のさらに別の目的は、複数回用量の混合ワクチンの保存効果を向上するために、少なくとも1種のパラベン、すなわち、メチルまたはプロピルパラベン保存剤および2-フェノキシエタノール(2-PE)を含有する完全に液体である混合ワクチンを提供することである。
【0045】
本開示のさらに別の目的は、改善された免疫原性、低下した反応原性、改善された安定性を示し、さらに前記免疫原性成分それぞれに対するセロプロテクションの基準を満たす混合ワクチンのこのような組成物/製剤を製造する改良された方法を提供することである。
【0046】
本開示の他の目的および利点は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない以下の説明からより明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0047】
他の抗原/免疫原と組み合わせた低減用量の不活化ポリオウイルス(IPV)抗原ならびに複数回用量の混合ワクチンの保存効果を向上する保存剤として使用される少なくとも1種のパラベンエステル、すなわち、メチルまたはプロピルパラベンおよび2-フェノキシエタノール(2-PE)を含む混合ワクチン組成物およびその生成プロセス。
【0048】
本開示は、
a)半合成培地を用いて産生され、続いて解毒され、リン酸アルミニウムアジュバントに個別に吸着されることで免疫原性が増強された高度に精製されたジフテリアトキソイド(D)と破傷風トキソイド(T)、
b)特定の比の特異的な百日咳菌株に対して熱不活化と化学的不活化の組合せを使用して調製され、反応原性の低下および力価の上昇が得られた不活化全細胞百日咳菌(wP)成分、
c)担体タンパク質(CP)にコンジュゲートしたインフルエンザ菌b型(Hib)莢膜多糖抗原(PRP)、
d)ホルムアルデヒド不活化の改良された方法を利用すること、および任意選択でリン酸アルミニウムアジュバントに吸着することによって調製され、標準用量と比較して同程度の有効性を示す低減用量のSalkまたはSabin(不活化ポリオウイルス)IPV
e)リン酸アルミニウムアジュバントに個別に吸着され、それによって免疫原性が増強されたB型肝炎(HepB)表面抗原、
f)反応原性の低下を確実にすることとなる最小アルミニウム含有量
g)保存剤として、2-フェノキシエタノール(2-PE)以外に、少なくとも1種のパラベンエステル、すなわち、メチルまたはプロピルパラベン、
を含む混合ワクチン組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示は、異なる実施形態の影響を受けやすいが、本開示が、本開示の原理の例示であると考えることができ、本説明で例示され、開示されることの開示の範囲を限定することを意図するものではないとの理解と共に、特定の実施形態は、以下の詳細な考察に示される。実施形態は、当業者に本開示の範囲を徹底して完全に伝えるために提供される。特定の成分および方法に関する多くの詳細が、本開示の実施形態の完全な理解を得るために明記されている。実施形態で提供される詳細が本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことは、当業者には明白であろう。いくつかの実施形態において、公知の組成物、公知のプロセス、公知の技術は、詳細に記載されていない。
【0050】
本開示で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、このような用語は、本開示の範囲を限定するとはみなされないものとする。本開示で使用する場合、「a」、「an」、および「the」という形態は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図することがある。
【0051】
第1、第2、第3などの用語は、前述の用語が、ある要素、成分、部位、層、または区分を、別の成分、部位、層、または区分から区別するためにのみ使用されることがあるため、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。第1、第2、第3などのような用語は、本明細書で使用される場合、本開示によって明らかに指示がない限り、特定の配列または順序を意味しない。本開示は、免疫原性組成物およびそれを調製するためのプロセスを提供する。
【0052】
「ワクチン」という用語は、任意選択で「免疫原性組成物」という用語と代替可能であり、その逆もまた同様である。
「D抗原単位」(「国際単位」またはIUとも呼ばれる):ポリオウイルスのD抗原型は、防御的に働く中和抗体を誘導する。本明細書で言及されるD抗原単位(例として、本発明のワクチン中)は、製剤化されたワクチンの各ヒト用量(典型的に最終体積0.5mL)に添加される最終的なワクチンの配合前に、吸着されていない各バルクIPV抗原型の測定された合計D抗原単位である。D抗原単位を測定する信頼性の高い方法は、当該分野で公知であり、例えとして、欧州薬局方によって公表されている。例として、D抗原単位は、以下の実施例1に記載されるとおり、ELISA試験を用いて測定されることがある(「ELISAによるD抗原定量化」)。欧州薬局方は、製造業者間でのこのような方法の規格化のために、試験試料(European Pharmacopoeia Biological Reference Preparation-欧州薬局方、事務局で入手可能、例えば、コードP 216 0000)を提供している(Pharmeuropa Special Issue、Bio96-2)。このため、D抗原単位の値は、当該分野で十分に理解されている。
【0053】
本明細書において「用量」という用語は、通常本発明のワクチンの1回の投与であり、これは、通常1回の注射である。典型的なヒト用量は0.5mLである。当然ながら、ワクチン投与スケジュールにおいて種々の用量を投与してもよい。
【0054】
本明細書において「IPV」またはこれらの成分を含む免疫原性組成物という用語は、不活化ポリオウイルス1型(例えば、好ましく使用されているとおり、Mahoney)、2型(例えば、MEF-1)、もしくは3型(例えば、Saukett)、またはSabin血清型1、2、3といったこれらの型のうち、いずれか2つもしくは3つ全ての組合せを意味することが意図される。本発明の目的のための全用量(または標準用量)IPV免疫原性組成物(Salk系IPV1型、2型、および3型のそれぞれのD抗原単位が40-8-32)の一例は、Poliovac(登録商標)(Serum Institute of India Pvt.Ltd.)であり得る。このため、本発明の免疫原性組成物において、Salk系IPVの標準用量と比較して(低減された)1分の1、2分の1、3分の1の用量低減があると本明細書で述べられる場合、それぞれ40、8、および/または32D抗原単位であるIPV1型、2型、および/または3型(各バルクIPV抗原型で測定される)のX%の低減用量と同等であるD抗原単位が、前記ワクチンの各用量内に配合されていることを意味している。
【0055】
本明細書全体を通して、「糖」という用語は、多糖またはオリゴ糖を示すことがあり、またその両方を含む。莢膜糖抗原は、完全長の多糖である場合があり、または細菌の「標準の大きさの糖」および「オリゴ糖」(天然では反復単位が少ないか、または多糖を扱いやすい大きさに縮小しているが、宿主において防御的に働く免疫応答を誘発する能力が依然としてある)にまで及ぶ場合がある。
【0056】
本開示の第1の実施形態によると、混合ワクチン組成物は、以下に限定されないが、ジフテリアトキソイド(D)、破傷風トキソイド(T)、全細胞百日咳菌(wP)、インフルエンザ菌b型(Hib)PRP-CPコンジュゲート、B型肝炎(HepB)、低減用量の不活化ポリオウイルス(IPV)から選択される抗原/免疫原の群を含み、2-フェノキシエタノールおよび少なくとも1種のパラベンエステルの組合せ保存剤を追加として含む。
【0057】
本開示の第2の実施形態によると、混合ワクチン組成物は、以下に限定されないが、インフルエンザ菌(血清型a、c、d、e、fおよび非莢膜株)、肝炎(A、C、D、E、F、およびG株)、髄膜炎菌A、B、C、Y、W-135、またはX、インフルエンザ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、チフス菌抗原、無細胞百日咳抗原、改変アデニル酸シクラーゼ、マラリア抗原(RTS、S)、肺炎球菌、連鎖球菌、炭疽菌、デング熱、マラリア、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、BCG、ヒト乳頭腫ウイルス、日本脳炎、デング熱、ジカ熱、エボラ熱、チクングンア熱、ロタウイルス、痘瘡、黄熱、フラビウイルス、帯状疱疹、水痘ウイルス抗原からなる群からそれぞれ選択される1種または複数の抗原をさらに含むことができる。
【0058】
本開示の第3の実施形態によると、混合ワクチン組成物に使用されるIPV株は、1型、2型、および3型の群から選択される不活化Sabin株、またはMahoney1型、MEF2型、およびSaukett3型の群から選択される不活化Salk株を含む。
【0059】
第3の実施形態の態様のうちの1つにおいて、ポリオウイルスは以下の方法で増殖されてもよい:
- CCL81-VERO(サル腎臓)細胞系は、ポリオウイルス、すなわち、SabinおよびSalk株の増殖のための宿主細胞として使用された。
- ポリオウイルスの望ましい株による宿主細胞の感染および72時間の培養後、該ウイルスおよび細胞片を含有する培地をプールし、単一の容器に回収した。
- この濾液を、100KDaカセットを用いたタンジェンシャルフロー濾過に供し、リン酸緩衝液を用いてダイアフィルトレーションを行い、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。
- 患者への投与前に、前記ウイルスは、適切な不活化方法を用いて不活化されなければならない。
【0060】
しかし、本発明者らは、驚くべきことに、ホルムアルデヒド不活化後のD抗原の高い損失率が、ポリオウイルス粒子の望ましくない凝集を予想外に招くリン酸緩衝液の存在による可能性があることを発見した。
【0061】
したがって、本開示の重要な一態様は、以下の
a)精製されたウイルスプールを、リン酸緩衝液から、7~7.5の間のpHを有する(30~50mM)の範囲のトリス緩衝液に緩衝液を交換するステップと、
b)上記混合物に、グリシン(5gm/L)を含有するM-199培地を添加するステップと、
c)0.025%ホルムアルデヒドを添加し、続いて混合するステップと、
d)続いて、マグネチックスターラーでウイルスバルクを継続して撹拌しつつ、この混合物を37℃で5~13日間インキュベートするステップと、
e)インキュベーション後の混合物を、7日目に中間TFFシステム(100KDa、0.1m)に供し、不活化後に最終濾過に供するステップと、
f)続いて、濾過されたバルクを2~8℃で保存するステップと、
g)D-Ag単位測定のために、D-Ag ELISAを実施するステップと
を含むホルマリン不活化の改良されたプロセスを含む。
【0062】
本開示の第4の実施形態によると、混合ワクチン組成物に使用されるIPV株は、1型、2型、および3型の群から選択される低減用量の不活化Sabin株、またはMahoney1型、MEF2型、およびSaukett3型の群から選択される低減用量の不活化Salk株を含む。
【0063】
本開示の第5の実施形態によると、前記IPV(SabinまたはSalk株)は、任意のアジュバントに個別に吸着されず、続いて最終的な混合ワクチン組成物に添加される場合がある。
【0064】
第5の実施形態の好ましい態様によると、前記IPV(SabinまたはSalk株)は、混合ワクチン中に存在するアジュバント、より好ましくはリン酸アルミニウム塩または水酸化アルミニウム塩に吸着されてもよく、IPV抗原の吸着率は、IPV1型では10~30%の範囲内、IPV2型では60~100%の範囲内、IPV3型では0~25%の範囲内であることがある。
【0065】
本開示の第6の実施形態によると、前記IPV(SabinまたはSalk株)成分は、(例えば、他の成分が存在する場合、それとの混合前または混合後)水酸化アルミニウム(Al(OH))もしくはリン酸アルミニウム(AlPO)などのアルミニウム塩(Al3+)、ミョウバン、リン酸カルシウム、MPLA、3D-MPL、QS21、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチドアジュバント、リポソーム、もしくは水中油型エマルジョン、またはその組合せの群から選択されるアジュバントに個別に吸着される場合がある。吸着される場合、1種または複数のIPV成分は、水酸化アルミニウム(Al(OH))またはリン酸アルミニウムに個別に、または混合物として一緒に吸着されてもよい。
【0066】
前記IPV(SabinまたはSalk株)成分は、以下の手順によってアルミニウム塩に吸着されてもよい:
- 最終アルミニウム(Al3+)濃度を0.1~0.8mg/用量の間にするため、オートクレーブで処理したAl(PO)またはAl(OH)の望ましい体積を50mL容器に入れ、
- 調整されたD-Ag単位と共にIPVバルクを添加し、希釈剤(10xM-199+0.5%グリシン)を用いてメスアップし、
- 最終配合物のpHを調整し、pHが6~7.5の間の最終配合物を得る。
【0067】
第6の実施形態の態様のうちの1つにおいて、ホルマリン不活化IPVは、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、および6.8から選択されるpH、好ましくは6.5のpHで、血清型毎に0.1mg/用量、0.2mg/用量、0.3mg/用量、0.4mg/用量、0.5mg/用量、0.6mg/用量、0.7mg/用量、および0.8mg/用量から選択される濃度、好ましくは0.1mg/用量~1.25mg/用量の間の濃度を有するアルミニウム(Al3+)に吸着され得る。
【0068】
第6の実施形態のさらに別の態様において、トリス存在下におけるホルマリン不活化後のD抗原の回復率は、50%、60%、70%、または80%のいずれかである可能性があり、リン酸アルミニウム吸着後の吸着率は、70%~80%、80%~90%、90%~99%、または95%~99%の間である可能性がある。
【0069】
本開示の第7の実施形態によると、ジフテリア毒素(外毒素)および破傷風毒素(外毒素)は、それぞれジフテリア菌および破傷風菌から得られ、続いて適当な不活化方法を用いて解毒された。このようにして得られたジフテリアトキソイド(D)および破傷風トキソイド(T)は、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製されてもよい。このようにして得られた精製されたDTは、さらに混合ワクチンの配合のために使用された。
【0070】
第7の実施形態の態様のうちの1つにおいて、ジフテリア毒素は、以下の組合せのうちの任意の1つで、最適な濃度の以下の成分からなる半合成培地でジフテリア菌を増殖させることによって産生される:
組合せ1:
カゼイン加水分解物、マルトース一水和物、氷酢酸、乳酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、β-アラニン、ピメリン酸、ニコチン酸、硫酸銅、硫酸亜鉛、塩化第一マンガン、L-シスチン、塩化カルシウム二水和物、オルトリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、およびWFI。
組合せ2:
カゼイン加水分解物、マルトース一水和物、氷酢酸、乳酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、β-アラニン、ピメリン酸、ニコチン酸、塩化第一マンガン、L-シスチン、塩化カルシウム二水和物、オルトリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、およびWFI。
組合せ3:
カゼイン加水分解物、マルトース一水和物、氷酢酸、乳酸ナトリウム、β-アラニン、ピメリン酸、ニコチン酸、硫酸銅、硫酸亜鉛、塩化第一マンガン、L-シスチン、塩化カルシウム二水和物、オルトリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、およびWFI。
組合せ4:
酵母エキス、マルトース一水和物、氷酢酸、乳酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、β-アラニン、ピメリン酸、ニコチン酸、硫酸銅、硫酸亜鉛、塩化第一マンガン、L-シスチン、塩化カルシウム二水和物、オルトリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、およびWFI。
【0071】
第7の実施形態の第2の態様によると、破傷風毒素は、以下の組合せのうちの任意の1つで、最適な濃度の以下の成分からなる半合成培地で破傷風菌を増殖させることによって産生される:
組合せ1:
カゼイン消化物、塩化カルシウム、リン酸水素二カリウム、無水ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、リボフラビン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、L-シスチン、塩化第二鉄、ビタミンB12溶液、ビオチン、濃HCl、NaOH、無水エタノール、およびWFI。
組合せ2:
カゼイン消化物、塩化カルシウム、β-アラニン、リン酸水素二カリウム、無水ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、リボフラビン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、L-シスチン、塩化第二鉄、ビタミンB12溶液、ビオチン、濃HCl、NaOH、無水エタノール、およびWFI。
組合せ3:
カゼイン消化物、塩化カルシウム、リン酸水素二カリウム、無水ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸亜鉛、リボフラビン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、L-シスチン、塩化第二鉄、ビタミンB12溶液、ビオチン、濃HCl、NaOH、無水エタノール、およびWFI。
組合せ4:
カゼイン加水分解物、塩化カルシウム、リン酸水素二カリウム、無水ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化第一マンガン、リボフラビン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、L-シスチン、塩化第二鉄、ビタミンB12溶液、ビオチン、濃CHl、NaOH、無水エタノール、およびWFI。
【0072】
第7の実施形態のさらに別の態様において、ジフテリア毒素および破傷風毒素は、以下の加熱、UV、ホルマリン/ホルムアルデヒド、アセチルエチレンイミンなどを含む不活化方法のうちの1つまたはその組合せを用いて解毒された。
【0073】
本開示の第8の実施形態によると、混合ワクチン組成物に使用される肝炎(Hep)抗原は、B型肝炎株(HBsAg)の表面から得られた肝炎抗原を含む。
第9の実施形態の態様のうちの1つにおいて、HBsAgは、以下の方法のうちの1つによって作製され得る:
- HBV感染中には、大量のHBsAgが肝臓で合成され、血流に放出されているため、慢性B型肝炎キャリアの血漿から前記抗原を粒子形態で精製することによる方法
- 組換えDNA方法によってそのタンパク質を発現する方法
本開示の第9の実施形態によると、ジフテリアトキソイド(D)、破傷風トキソイド(T)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)は、水酸化アルミニウム(Al(OH))もしくはリン酸アルミニウム(AlPO)などのアルミニウム塩(Al3+)、ミョウバン、リン酸カルシウム、MPLA、3D-MPL、QS21、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチドアジュバント、リポソーム、もしくは水中油型エマルジョン、またはその組合せの群から選択されるアジュバントに個別に吸着される。
【0074】
さらに好ましくは、ジフテリアトキソイド(D)、破傷風トキソイド(T)、およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)は、リン酸アルミニウムに個別に吸着される。
第9の実施形態の態様のうちの1つにおいて、ジフテリアトキソイド(D)抗原は、少なくとも50%の吸着率で、リン酸アルミニウムに吸着した。
【0075】
第9の実施形態の別の態様において、破傷風トキソイド(T)抗原は、少なくとも40%の吸着率で、リン酸アルミニウムに吸着した。
第9の実施形態のさらに別の態様において、B型肝炎表面抗原(HBsAg)は、少なくとも70%の吸着率で、リン酸アルミニウムに吸着した。
【0076】
本開示の第10の実施形態によると、本開示の混合ワクチンに使用されるHib抗原は、インフルエンザ菌B型(Hib)株760705の莢膜多糖から得られる。
第10の実施形態の一態様によると、Hib PRP抗原は、以下に限定されないが、CRM197、ジフテリアトキソイド、髄膜炎菌外膜複合体、破傷風トキソイドの断片C、百日咳トキソイド、インフルエンザ菌のタンパク質D、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌ST、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素A、外膜複合体c(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシン、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌表面付着因子A(PsaA)、肺炎球菌PhtD、肺炎球菌表面タンパク質BVH-3およびBVH-11、炭疽菌(Bacillus anthracis)の防御抗原(PA)、炭疽菌の解毒された浮腫因子(EF)および致死因子(LF)、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ツベルクリンの精製されたタンパク質誘導体(PPD)、合成ペプチド、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、N19のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質、鉄取込みタンパク質、C.difficile由来の毒素AまたはB、ならびにS.agalactiaeタンパク質からなる担体タンパク質の群から選択される担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0077】
さらに好ましくは、Hib PRPは、Ellis他によるDevelopment and clinical uses of Haemophilus influenzae type B conjugate vaccines.New York:Marcel Dekker、1994:37~69ページにKniskern他による「Conjugation:design,chemistry,and analysis」ですでに開示されている、CNBr化学、還元的アミノ化化学、シアニル化化学、または任意の他の化学によって、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートされる。
【0078】
第10の実施形態の第2の態様によると、前記担体タンパク質は、本開示の組成物中、遊離形態およびコンジュゲート形態の両方で存在し、非コンジュゲート形態は、好ましくは、全体としての組成物中の担体タンパク質の総量の20%以下であり、より好ましくは、5重量%未満で存在する。
【0079】
第10の実施形態の第3の態様によると、Hib抗原は、実質的にいずれのアジュバントにも吸着されていない。
第10の実施形態の第4の態様によると、Hib抗原は、何らかのアジュバントに計画的または意図的に吸着させなくてもよい。
【0080】
第10の実施形態の第5の態様によると、任意のアジュバントに対するHib抗原の吸着率は20%未満である。
本開示の第11の実施形態によると、本開示の混合ワクチン組成物に使用される全細胞百日咳(wP)抗原の製剤は、好ましくは、特定の比で混合された百日咳菌株134、509、25525、および6229から作製され、続いて、チオメルサールを含まず、このため反応源生の低下と力価の上昇がもたらされる、改良された不活化方法を用いることによって不活化され、wP抗原は、アルミニウム系アジュバントに吸着されてもされなくてもよい。
【0081】
第11の実施形態の一態様によると、本開示の混合ワクチン組成物に使用される全細胞百日咳(wP)抗原の製剤は、好ましくは、1:1:0.25:0.25の比で混合された百日咳菌株134、509、25525、および6229から作製される。
【0082】
第11の実施形態の第2の態様によると、混合ワクチン組成物に使用される全細胞百日咳(wP)抗原の製剤は、以下の加熱、UV、ホルマリン/ホルムアルデヒド、アセチルエチレンイミンなどを含む不活化処理のうちの1つまたは複数を用いて不活化された。
【0083】
さらに好ましくは、混合ワクチン組成物に使用される全細胞百日咳(wP)抗原の製剤は、熱処理と化学的処理の組合せを用いて不活化された。さらに好ましくは、ホルムアルデヒドの存在下にて56±2℃で10~15分間熱不活化された場合、wPバルクは、塊状化せず、容易に均質化される状態を維持し、それによって反応原性が低下し、より長期間にわたるより高いwP力価がもたらされる。
【0084】
第11の実施形態の第3の態様によると、混合ワクチン組成物に使用される全細胞百日咳(wP)抗原の製剤は、(例えば、他の成分が存在する場合、それとの混合前または混合後)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、またはその組合せなどのアルミニウム系アジュバントに吸着されてもされなくてもよい。吸着される場合、1種または複数のwP株(すなわち、134、509、25525、および6229)は、個別に、または混合物として一緒に吸着されてもよい。
【0085】
本開示の第12の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0086】
【表1】
【0087】
を含む。
本開示の第13の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0088】
【表2】
【0089】
を含む。
本開示の第14の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0090】
【表3】
【0091】
を含む。
本開示の第15の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0092】
【表4】
【0093】
を含む。
本開示の第16の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0094】
【表5】
【0095】
を含む。
本開示の第17の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0096】
【表6】
【0097】
を含む。
本開示の第18の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0098】
【表7】
【0099】
を含む。
本開示の第19の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0100】
【表8】
【0101】
を含む。
本開示の第20の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0102】
【表9】
【0103】
を含む。
本開示の第21の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0104】
【表10】
【0105】
を含む。
本開示の第22の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0106】
【表11】
【0107】
を含む。
本開示の第23の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0108】
【表12】
【0109】
を含む。
本開示の第24の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0110】
【表13】
【0111】
を含む。
本開示の第25の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0112】
【表14】
【0113】
を含む。
本開示の第26の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0114】
【表15】
【0115】
を含む。
本開示の第27の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0116】
【表16】
【0117】
を含む。
本開示の第28の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0118】
【表17】
【0119】
を含む。
本開示の第29の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0120】
【表18】
【0121】
を含む。
本開示の第30の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0122】
【表19】
【0123】
を含む。
本開示の第31の実施形態によると、複数回用量の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0124】
【表20】
【0125】
を含む。
本開示の第32の実施形態によると、最終の単回投与の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0126】
【表21】
【0127】
を含む。
本開示の第33の実施形態によると、最終の単回投与の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0128】
【表22】
【0129】
を含む。
本開示の第34の実施形態によると、最終の単回投与の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0130】
【表23】
【0131】
を含む。
本開示の第35の実施形態によると、最終の単回投与の混合ワクチン組成物/製剤は、
【0132】
【表24】
【0133】
を含む。
NMT-以下
本開示の第36の実施形態によると、最終の混合ワクチン組成物のうちの1種または複数の抗原は、いずれのアジュバントにも実質的に吸着されていなくてもよい。
【0134】
本開示の第37の実施形態によると、免疫原性組成物のpHは、pH6.0~pH8.0の範囲内、より好ましくはpH6.0~pH7.5の範囲内、さらにより好ましくはpH6.2~pH7.2の範囲内、最も好ましくはpH6.3~pH6.8の範囲内であってもよい。
【0135】
本開示の第38の実施形態によると、免疫原性組成物は、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、および酒石酸塩、加えて、望ましいpHを得るように選択された比でリン酸ナトリウムおよび/またはリン酸カリウムを含有するリン酸緩衝剤を含む、より複雑な有機緩衝剤からなる群から選択される緩衝剤をさらに含んでもよい。別の実施例において、緩衝剤は、望ましいpHを得るために配合されるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、すなわち、「Tris」を含有する。さらに別の実施例において、緩衝剤は、ハンクス塩を用いた最小必須培地であり得る。HEPES、ピペラジン-N,N’-ビス(PIPES)、および2-エタンスルホン酸(MES)などの他の緩衝液も本開示によって想定される。前記緩衝液は、本開示の免疫原性組成物の安定化に役立つ。緩衝液の量は、0.1mM~100mMの範囲内であってよく、好ましくは5mM、6mM、7mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、および30mMから選択されてもよい。
【0136】
前記実施形態のさらに別の態様において、免疫原性組成物は、界面活性剤、高分子、および塩からなる群から選択される薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。界面活性剤の例には、ポリソルベート20、ポリソルベート80などの非イオン性界面活性剤が含まれてもよい。高分子の例には、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、シクロデキストリンなどが含まれてもよい。塩の例には、NaCl、KCl、KHPO、NaHPO.2HO、CaCl、MgClなどが含まれてもよい。好ましくは、塩はNaClであってもよい。通常、塩の量は、100mM~200mMの範囲内であってもよい。
【0137】
ヒスチジン、グリシン、アルギニン、およびリジンなどのアミノ酸は、免疫原性組成物の安定化のために添加されてもよい。
本開示の第39の実施形態によると、免疫原性組成物は、水酸化アルミニウム(Al(OH))もしくはリン酸アルミニウム(AlPO)などのアルミニウム塩(Al3+)、ミョウバン、リン酸カルシウム、MPLA、3D-MPL、QS21、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチドアジュバント、リポソーム、または水中油型エマルジョンからなる群から選択される1種または複数のアジュバントをさらに含んでもよい。
【0138】
さらに好ましくは、前記組成物は、アジュバントとしてリン酸アルミニウム(AlPO)を含む。
さらに好ましくは、前記組成物は、アジュバントとして水酸化アルミニウム(AlOH)を含む。
【0139】
第39の実施形態の態様のうちの1つにおいて、最終製剤の抗原は、in situリン酸アルミニウムゲルもしくは既製のリン酸アルミニウムゲル、またはその組合せに吸着されてもよい。
【0140】
第39の実施形態の好ましい態様のうちの1つにおいて、本開示の組成物は、アジュバントを2.5mg/0.5mL以下の量、具体的には、1.5mg/0.5mL~0.1mg/0.5mLの量で含有してもよい。
【0141】
本開示の第40の実施形態によると、免疫原性組成物は、油水エマルジョン、Mf-59、リポソーム、リポ多頭、サポニン、リピドA、リピドA誘導体、モノホスホリルリピドA、3-脱アシル化モノホスホリルリピドA、AS01、AS03、オリゴヌクレオチド、少なくとも1つの非メチル化CpGを含むオリゴヌクレオチドおよび/もしくはリポソーム、フロイントアジュバント、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、高分子、ブロック共重合体を含むポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体のような共重合体、高分子p1005、CRL-8300アジュバント、ムラミルジペプチド、TLR-4アゴニスト、フラジェリン、グラム陰性菌由来フラジェリン、TLR-5アゴニスト、TLR-5受容体に結合能力のあるフラジェリン断片、α-C-ガラクトシルセラミド、キトサン、インターロイキン-2、QS-21、ISCOMS、スクアレン混合物(SAF-1)、Quil A、コレラ毒素Bサブユニット、ポリホスファゼンおよびその誘導体、マイコバクテリウム細胞壁調製物、ミコール酸誘導体、非イオン性ブロック共重合体界面活性剤、OMV、fHbp、サポニン、ステロールと脂質の組合せからなる群から選択される免疫刺激成分をさらに含んでもよい。
【0142】
本開示の第41の実施形態によると、免疫原性組成物は、塩化ベンゼトニウム(フェメロール)、フェノール、m-クレゾール、チオメルサール、ホルムアルデヒド、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-クロロ-m-クレゾール、もしくはベンジルアルコール、またはその組合せからなる群から選択される保存剤をさらに含んでもよい。ワクチン組成物は、単回の予防接種のための保存剤を含むか、または複数回の予防接種(すなわち、「複数回用量」キット)のための保存剤を含んでもよい。複数回用量の準備には、保存剤の包含が好ましい。複数回用量の組成物に保存剤を含むことの代替(または追加)として、前記組成物は、物質を除去するための無菌アダプターを有する容器に収められてもよい。通常、保存剤の量は、0.1mg~50mgの範囲内であってもよい。
【0143】
本開示の第42の実施形態によると、免疫原性組成物は、望まれる投与経路および製剤に応じて、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化または粘度増強添加物、香味剤、着色剤などのような補助物質をさらに含んでもよい。
【0144】
本開示の第43の実施形態によると、免疫原性組成物は、完全に液体であってもよいが、これに限定されるものではない。液体製剤の適当な形態には、望ましいpHに緩衝された溶液、懸濁剤、エマルジョン、シロップ剤、等張水溶液、粘性組成物、およびエリキシル剤が含まれてもよい。
【0145】
本開示の免疫原性組成物は、ローション剤、ゲル剤、噴霧剤、軟膏、または他の適当な技術を含み経皮製剤の形態であってもよい。経鼻投与または呼吸器(粘膜)投与が望ましい場合(例えば、エアゾール吸入または吹送)、組成物は、圧迫スプレーディスペンサー、ポンプディスペンサー、またはエアゾールディスペンサーの形態であって、これによって分配され得る。エアゾール剤は、通常、炭化水素を用いて圧力を加えられいる。ポンプディスペンサーは、好ましくは、定用量または特定の粒径を有する用量を分配し得る。溶液、懸濁剤、およびゲル剤の形態である場合、いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、有効成分に加えて大量の水(好ましくは精製水)を含有する。
【0146】
本開示の第44の実施形態によると、前記混合ワクチンは、2~8℃で12~36ヵ月、25℃で2~6ヵ月、37℃で1週間~4週間安定していると思われる。
本開示の第45の実施形態によると、免疫原性組成物は、ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎ウイルス、インフルエンザ菌b型、ポリオウイルスの感染の発症を低減するためか、またはこれらの感染を含む健康状態を予防するための方法であって、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、もしくは静脈内投与、または注入投与、またはインプラントからの徐放、または目薬による投与、または経鼻、直腸、頬側、膣内、経口、胃内、粘膜、経舌、肺胞粘膜、歯肉粘膜、嗅粘膜、もしくは呼吸粘膜投与、または予防接種の他の全ての投与経路を介して、免疫学的に有効な量の免疫原性組成物をヒト対象に投与することを伴う方法における使用のために製剤化されてもよい。
【0147】
本開示の第46の実施形態によると、免疫原性組成物は、単回用量バイアルもしくは複数回用量バイアル(2回用量または5回用量または10回用量バイアル)または複数回用量キットとして、または充填済みシリンジとして製剤化が可能であり、前記免疫原性組成物は、単回用量スケジュールまたは好ましくは、ワクチン接種の初回コース後に、必要であれば、続く1~3年後の時間間隔で、1~3回の個別の用量を投与する複数回用量スケジュールで投与されてもよい。投与計画も、少なくとも部分的に、防御免疫を付与するために必要とされる追加免疫用量の必要性をふまえて決定されるであろう。
【0148】
さらに好ましくは、前記免疫原性組成物は、第1用量、および続く1~3年後の時間間隔をあけた第2用量からなる2回用量レジメンに従って、ヒト対象または2歳以下の小児に投与するために製剤化されてもよい。
【0149】
さらに好ましくは、前記免疫原性組成物は、他の薬物または他の任意のワクチンと同時に投与されてもよい。
本開示の第47の実施形態によると、出願人は、改善された免疫原性および低下した反応原性を有する複数回用量の完全に液体である混合ワクチンは、i)個々の抗原を生成するプロセス、ii)抗原の一連の添加、iii)特定の抗原に対する特定のアジュバントの特定の量での使用、iv)アジュバントへの抗原の個別の吸着または組み合わせた吸着、v)アジュバントへの抗原の吸着の程度、vi)最小アルミニウム濃度の使用、vii)最適な濃度および種類の保存剤の使用、およびviii)撹拌、温度、およびpHを含む種々のパラメータの使用を考慮に入れた上で、以下に開示されるプロセスによってワクチンが製造された場合に得られることを発見した。
SIIPL混合ワクチンに使用される株の生物学的供給源:
ジフテリアトキソイド:
ジフテリア菌PW8 CN2000株は、1973年に凍結乾燥形態で、Wellcome Research Laboratory、London、United Kingdomから、National Control Authority Central Research Institute(C.R.I.)Kasauli、Himachal Pradesh、Indiaによって得られた。この株を復活させ、マスターシードロット-ジフテリア菌CN2000 A1としてC.R.I.Kasauliでさらに凍結乾燥した。
破傷風トキソイド:
破傷風菌Harvard株No.49205は、凍結乾燥形態で、Rijks Institute Voor de Volksgezondheid(Netherlands)から、National Control Authority C.R.I.Kasauliによって得られた。
百日咳:
SIIPLでの百日咳ワクチンバルクの製造は、百日咳菌の4種の株、すなわち、株134、509、6229、および25525の使用を伴う。株134および509のマスターシードは、もともとRijks Institute、Netherlandsからのもので、National Control Authority、Central Research Institute、Kasauli、Himachal Pradesh、Indiaを介して得られた。株6229および25525のマスターシードは、もともとLister Institute、Englandからのものである。
B型肝炎:
Rhein Biotech(Germany)は、HBsAg表面抗原遺伝子を含有する組換えHansenulapolymorpha株を構築した。Rhein Biotechは、マスター細胞バンク(MCB Hansenulapolymorpha K3/8-1株ADW、12/94)も設立し、このバンクにおいて全ての特性評価試験が実施された。
インフルエンザ菌b型:
細胞基質の産生のための供給源微生物は、インフルエンザ菌b型、株760705である。この株は、1976年11月に、2歳2ヵ月の男児(1974年8月14日に出生)からもともと単離された。Academic Medical Centre(AMC)、University of Amsterdamにて、-70℃で保存する前に、この株の3回の継代培養を行った。この株は、SIIPLとNetherlands Vaccines Institute(NVI、The Netherlands)の共同研究の一環としてSIIPLに移送された。
IPV:
前記株およびSalkポリオウイルスの供給元は,以下に提示される。
ポリオウイルス1型:
株:Mahoney
供給元:Bilthoven Biologicals、Netherlands
ポリオウイルス2型:
株:MEF1
供給元:Bilthoven Biologicals、Netherlands
ポリオウイルス3型:
株:Saukett
供給元:Bilthoven Biologicals、Netherlands
本明細書全体を通して、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変化形は、定めた要素、完全体、もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の要素、完全体、もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップの群を除外することを意味するのではないと理解されるであろう。
【0150】
「少なくとも」または「少なくとも1種」という表現の使用は、その使用が、本発明の実施形態において、望ましい目的または結果のうちの1つまたは複数を達成するためである場合があることから、1種または複数の要素、成分、または数量の使用を示唆する。本発明の特定の実施形態が記載されているが、これらの実施形態は、実施例としてのみの目的で提示されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲内における、本発明の製剤に対する変形または改変は、本明細書の開示を検討する上で当業者に想到される場合がある。このような変形または改変は、十分に本発明の趣旨の範囲内である。
【0151】
種々の物理的パラメータ、寸法,および数量のために与えられた数値は、単に近似値であり、該物理的パラメータ、寸法、または数量に割り付けられた数値より高い値は、本明細書に反対の記載がない限り、本発明の範囲内に含まれることが想定される。
【0152】
本明細書において、好ましい実施形態の特定の特徴にかなりの重点が置かれているが、本開示の原理から逸脱することなく、好ましい実施形態に多くの追加の特徴が追加される可能性があり、また多くの変更が行われる可能性があることは、理解されるであろう。本開示の好ましい実施形態におけるこられの変更および他の変更は、本明細書の開示から当業者には明らかであろうし、前述の記述事項は、制限としてではなく、単に本開示の例示として解釈されるべきであることが、明確に理解されるべきである。
利点
本明細書で上記される本開示は、以下に限定されないが、D、T、wP、HBsAg、Hib PRP-TTコンジュゲート、およびIPVを含む混合ワクチン組成物の実現、ならびにその製造方法を含む、いくつかの技術的な進歩および利点を有する。他の混合ワクチン組成物と比較した場合、本開示は以下の利点を提供する:
1.完全に液体である混合ワクチン。
【0153】
2.標準用量(40-8-32DU)と比較して同等の有効性示す、標準用量と比較して低減用量のIPV抗原。
3.D、T、wP、HepB、Hib、IPV抗原の改善された免疫原性。
【0154】
4.12ヵ月の期間にわたって試験された2~8℃および室温における改善された安定性。
5.伝播性海綿状脳症(TSE)またはウシ海綿状脳症(BSE)を除いた半合成培地を用いて産生され、高度に精製されたジフテリアトキソイド(D)および破傷風トキソイド(T)。
【0155】
6.全細胞百日咳菌(wP)抗原は、百日咳菌株134、509、25525、および6229を、1:1:0.25:0.25の比で含み、それによって百日咳菌に対する力価および免疫原性が改善されている。
【0156】
7.熱不活化およびホルムアルデヒド不活化の組合せを用いた、全細胞百日咳菌(wP)成分の改良された不活化方法。このプロセスはチオメルサールを含まず、不活化全細胞百日咳抗原は、塊状化せず、均質を維持し、それによって反応原性が低下し、より長期間にわたるより高い力価がもたらされる。
【0157】
8.総インフルエンザ菌b型PRP-TTコンジュゲートバルク中の少ない遊離PRP(7%未満)。
9.任意のアジュバントに対するHib抗原の吸着率は、20%未満である。
【0158】
10.リン酸アルミニウムアジュバントに個別に吸着され、それによって力価および免疫原性が改善された、ジフテリアトキソイド抗原(D)、破傷風トキソイド(T)抗原、およびB型肝炎(HepB)表面抗原の改善された吸着プロファイル。
【0159】
11.反応原性の低下を確実にすることとなる最小総アルミニウム含有量(Al3+)。
12.保存剤として最適化された濃度の2-フェノキシエタノール(2-PE)および少なくとも1種のパラベンエステル(メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、したがって、複数回用量の完全に液体である混合ワクチンの抗微生物能が効果的に維持されている。
【実施例
【0160】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。続く実施例において開示される組成物および技術が、本発明者によって見出された本発明の実施において十分に機能する技術を代表し、このため、その実施のための好ましい様式を構成すると考えられることは、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示をふまえて、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更が行われる可能性があり、依然として同様または類似の結果が得られることを理解するべきである。
【0161】
実施例1
本開示に従ったワクチン組成物の種々の組合せ
【0162】
【表25-1】
【0163】
【表25-2】
【0164】
【表25-3】
【0165】
【表25-4】
【0166】
さらに、水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて、組成物のpHを、上記で開示されるとおり約6.0~7.0に調整し、通常の生理食塩水(0.9%)を添加することによってメスアップする。前記ワクチンは、製造プロセス中を使用される微量のグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ネオマイシン、ストレプトマイシン、およびポリミキシンBを含有することがある。
【0167】
【表26-1】
【0168】
【表26-2】
【0169】
【表26-3】
【0170】
さらに、水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いて、組成物のpHを、上記で開示されるとおり約6.0~7.0に調製し、通常の生理食塩水(0.9%)を添加することによってメスアップする。前記ワクチンは、製造プロセス中を使用される微量のグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ネオマイシン、ストレプトマイシン、およびポリミキシンBを含有することがある。
【0171】
実施例2
インフルエンザ菌b型コンジュゲートバルクの製造プロセス
製造ステップの大局を、図1のフローチャートに示す。該プロセスの53ステップのそれぞれは、以下に簡潔に記載される:
ステップ1:接種物第I段階振盪フラスコ(S1):
ワーキングシードロットバイアルを用いて、濾過された種培地0.22μmを含有する接種物段階振盪フラスコに接種する。作業体積25mLの使い捨てPETG125mLフラスコを使用する。この段階は、制御された撹拌(200±50rpm)および温度(36±2℃)のインキュベーター振盪機で行われる。適切な細菌増殖(OD590≧1.0)が得られた後、この培養物を、ステップ2に記載される次の接種物段階(S2段階)に移行する。培養物の純度を確認するため、インプロセス管理としてグラム染色を実施する(グラム陰性球桿菌)。
ステップ2:接種物第II段階振盪フラスコ(S2):
S2接種物段階は、作業体積800mLの2Lフェルンバッハフラスコ(S2AおよびS2B)からなる。S2Aフラスコは、OD590が合格基準内となるまで、OD590の測定に使用され、S2Bフラスコは、S3段階の接種のために使用される。S1接種物段階と同じ濾過滅菌した培地を用いて、両フラスコをバッチ処理する。S1段階フラスコを用いて、第II段階振盪フラスコの両方に接種する。この段階は、制御された撹拌(200±50rpm)および温度(36±2℃)のインキュベーター振盪機で行われる。適切な細菌増殖(OD590≧1.0)が得られた後、この培養物を、ステップ3に記載される次の接種物段階(S3段階)に移行する。培養物の純度を確認するため、インプロセス管理としてグラム染色を実施する(グラム陰性球桿菌)。
ステップ3:接種物第III段階発酵槽:
S3接種物段階は、作業体積35Lの120L発酵槽からなる。先の接種物段階と同じ培地を用いて、発酵槽をバッチ処理する。S2段階フラスコを用いて、接種物発酵槽に接種する。増殖は、接種物発酵槽で、温度(36±2℃)、DO(設定値10%)、撹拌(300~600rpm)、通気(1~5LPM)、背圧(0.2バール)にて行われる。適切な細菌増殖(OD590≧1.0)が得られた後、この培養物を、ステップ4に記載される次の生成段階(S4段階)に移行する。培養物の純度を確認するため、プロセス内管理としてグラム染色を実施する(グラム陰性球桿菌)。
ステップ4:1200L規模の生成発酵:
1200L生成発酵槽の作業体積は800Lである。これを、基本培地成分を用いてバッチ処理し、in situで蒸気滅菌する。続いて、0.22μmフィルターに通した後、種々の培地補充物を添加する。ステップ3から得られたS3段階培養物を用いて、この発酵槽に接種する。発酵は、制御された溶存酸素(設定値20%)、温度(36±2℃)、pH(7.1~7.4)、撹拌(40~400rpm)、通気(50~300LPM)、および背圧(0.2バール)の下で行われる。発酵過程の間に、個別に2回の栄養素の添加を追加する。
OD590を測定することによって(OD590≧3.5)増殖をモニターし、静止段階に達した後に発酵は完了したと判断される。増殖期および静止期の間、多糖生成物が分泌され、培養ブロス中に蓄積する。培養物の純度を確認するため、インプロセス管理としてグラム染色を実施する(グラム陰性球桿菌)。
ステップ5:ホルマリン処理:
化学物質(ホルマリン)を使用することによって、このステップで生物負荷を減少させる。0.1%ホルマリンを添加し、発酵させたブロスを、37℃で2時間以上インキュベートする。ホルマリン処理後、容器を直ちに15℃未満に冷却する。ホルマリン添加によって生物負荷が減少されることは、立証されている。これは、培養期間後の培養平板によって確認される。生物負荷が減少したブロスは、ステップ6に記載されるとおりに回収できる状態である。
ステップ6:連続遠心分離による回収:
初期の回収ステップとして連続遠心分離を採用する。このステップは、不活化バイオマスから粗ブロスを含有する多糖を分離するために実施される。OD590の低下によって評価される90%超のバイオマスの除去を目的として連続遠心分離機を使用する。この遠心分離機を、約15000gおよび液体流速200~500L/時間で作動させる。遠心分離後の上清を、ステップ7に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ7:50LP深層濾過:
遠心分離後の上清を、50LP深層フィルターに通し、細胞残屑のような粗大物質を除去する。このステップは、生成物に濾液を通過させ、ステップ8に記載されるとおりに追加の深層フィルターに繋がる。
ステップ8:90LP深層濾過:
50LP深層フィルターからの濾液を、さらに90LP深層フィルター(名目上0.22μmの等級)に通し、先の深層フィルターによって保持されなかったと思われる全ての不溶性物質をさらに除去する。このステップは、該濾液が基本的に細胞残屑を含まず、確実に0.22μmフィルターを通過できることを保証する。続く濾過ステップは、ステップ9に記載される。
ステップ9および10:0.22μm濾過:
90LP深層フィルターからの濾液を、さらに0.22μmフィルターに通し、その濾液を保持タンクに回収する。
ステップ11および12:100kD濃縮およびダイアフィルトレーション:
このステップは、培地成分および小さい分子量の不純物を除去するために行われる。さらに、作業体積を縮小するため、濃縮を行う。Hib多糖(PRP)の分子量が500kD以上であるため、100kDの分子量カットオフが選択される。前記ブロスを約10倍に濃縮し、続いて、5倍量以上の0.01M PBS緩衝液(pH7.2)を用いてダイアフィルトレーションを行う。この残留物中に得られた生成物を、「粗PRP」と称し、ステップ13に記載されるとおりに、さらに処理する。濃縮したブロスを、0.22μmフィルターを介した移送口を通してDSP区域に移し、確実に細菌がDSP区域に移行されないようにする。
ステップ13:CTAB沈殿:
CTAB(セチル-トリメチルアンモニウムブロミド)は、カチオン性界面活性剤であり、多糖の沈殿のために使用される。CTABは、親水性領域に加えて疎水性部位からなり、タンパク質、核酸、および多糖を沈殿させる。ステップ12から得られた粗PRPを、1%CTAB濃度で沈殿させ、2時間超インキュベートする。このCTABペレットの回収は、ステップ14に記載される。
ステップ14、15、および16:CTABペレットの遠心分離、回収、および保存:
SEZ-3、FFにおいて、CTABペレットを、連続遠心分離機を使用して、15000rpmで遠心分離する。このCTABペレットを回収し、重量を測定し、等分し、さらに処理するために-20℃以下で保存する。これは、第1のインプロセス保持ステップである。
ステップ17および18:CTABペーストの解凍および溶解:
凍結したCTABペーストを、室温に解凍する。解凍したペレットを、5.85%NaCl溶液に溶解する。この溶解は、撹拌タンクで行われ、多糖生成物は、水相に可溶化される。前記タンクには、いくらかの溶解しない物質が含まれ、これは、沈殿したタンパク質および核酸由来のものである。この懸濁液を、ステップ19に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ19:遠心分離:
ステップ18から得られた物質を、2~8℃、5000~6500rpmで、20~30分間遠心分離し、溶解しない物質を除去する。遠心分離後の上清を回収し、ステップ20に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ20:72%エタノール沈殿:
72%エタノールを用いてPRPを沈殿させる。96%エタノールを用いて、ステップ19で得られた上清に対する最終濃度が72%のエタノールを生成する。この沈殿は、2~8℃で一晩の間に行われる。得られた沈殿物を、ステップ21に記載されるとおりに回収する。
ステップ21および22:遠心分離およびペレットの溶解:
72%エタノール沈殿物を、2~8℃、5000~6500rpmにおける20~30分間の遠心分離によって回収する。視覚的に透明になるまで、得られたペレットをW.F.I.に溶解する。可溶化されたペレットの次の処理は、ステップ23に記載される。
ステップ23:DOCおよび32%エタノール沈殿:
ステップ22から得られた物質に、6%酢酸ナトリウムおよび1%デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を添加する。96%エタノールを用いて、最終濃度が32%のエタノールを生成する。DOCおよび32%アルコールのいずれも、多糖は液相に留めるが、タンパク質不純物の沈殿を促す。この沈殿は、2~8℃で一晩の間(8時間以上)に行われる。
ステップ24:遠心分離:
ステップ23から得られた物質を、2~8℃、5000~6500rpmで、20~30分間遠心分離し、沈殿物を除去する。遠心分離後の上清を回収し、ステップ25に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ25:深層濾過および炭素濾過:
ステップ24で得られた上清溶液は可溶性PRPを含有しており、この上清溶液を、深層濾過に供した後に、炭素濾過を行って核酸および着色料を除去する。核酸の除去は、260nm(A260)における吸光度を間欠的に測定することによってモニターされる。目標とするA260に達した後、該溶液を0.22mμフィルターで濾過し、この濾過した溶液を、ステップ26に記載されとおりにさらに処理する。
ステップ26:64%エタノール沈殿:
ステップ25で得られた濾過された物質を、96%エタノールを用いて、最終濃度が64%のエタノールでさらに沈殿させる。この沈殿は、2~8℃で一晩の間に行われる。得られた沈殿物を、遠心分離によって回収し、ステップ27に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ27:ペレットの回収および溶解:
上清をデカンテーションして廃棄し、ペレットを回収する。このペレットを、室温でW.F.I.に溶解する。
ステップ28:300kD濃縮およびダイアフィルトレーション:
溶解したペレットの溶液を、300kD NMWCO膜を用いて濃縮する。これを、8倍量以上(NLT)のW.F.I.を用いて、さらにダイアフィルトレーションを行う。得られた残留物を、ステップ29に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ29および30:0.22μm濾過および精製されたPRPの保存:
300kD UF残留物を、生物負荷を最小限に抑えるための浄化ステップとして、0.22μmフィルターに通す。得られた精製されたPRPを等分し、ステップ31に記載されるとおりに、さらに使用するまで、-20℃以下で保存する。精製されたPRPのサンプルを、Q.C.分析に出す。
ステップ31:解凍およびプール:
コンジュゲートのバッチサイズに基づいて、ステップ30から得られた適切な量の天然多糖を解凍する。ステップ32に記載されるとおりに、さらに処理するために必要とされる、プールされた物質のPRP含有量を分析する。
ステップ32:100kD濃縮:
プールされた精製された多糖は、さらに処理するために、最小濃度(8~12mg/mL)であることが必要とされる。プール多糖濃度が目標値よりも低い場合、プールされた多糖溶液を、100kD UF NMWCO膜を用いて濃縮する。濃縮後にサンプルを抜き取り、次のステップ(ステップ33)のための最小濃度に達しているか確認する。
ステップ33:アルカリ解重合:
ステップ32から得られた濃縮した多糖(74g/110gに相当)を、軽度のアルカリ条件下で、炭酸塩-重炭酸塩緩衝液を用いて解重合する。目標の多糖サイズに達した後、解重合した多糖を、ステップ34に記載されるとおりに、活性化する。
ステップ34:多糖の活性化:
ステップ33で得られた解重合された多糖を、臭化シアンを用いて活性化する。この活性化は、窒素環境下で行われる。臭化シアンは毒性の高い化学物質であり、この化学物質を取り扱う際には、適切な注意を要する。
【0172】
ステップ35:リンカーの結合:
ステップ34から得られた反応混合物に、新たに調製されたアジピン酸ジヒドラジド(ADH)溶液を6~10分以内に添加する。この反応溶液は、2~10℃で、16時間以上かけて行われる。ADHリンカーの役割は、コンジュゲーション反応のために必要なアミン基を多糖内にもたらすことである。
ステップ36:濃縮およびダイアフィルトレーション:
ステップ35から得られた反応混合物を濃縮し、10kD NMWCO UF膜を用いて、体積毎にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)でダイアフィルトレーションを行い、遊離ADHを除去する。ADHの除去をHPLCでモニターし、遊離ADHレベルが5%未満に達するまでダイアフィルトレーションを継続する。得られた残留物に、5倍量以上のMES-NaCl緩衝液でさらにダイアフィルトレーションを行う。これを、20mg/mL以上の濃度が得られるまで、さらに濃縮する。この濃縮して処理したPRPを、ステップ37に記載されるとおりに、さらに使用するまで、2~8℃で維持する。
ステップ37および38:0.22μm濾過および処理したPRPの保存:
ステップ36からの残留物を、浄化ステップとしての役割を果たす、0.22μmフィルターに通す。これは、グレードC区域で実施されるプロセス中、生物負荷レベルが制御されていることも保証する。濾過して活性化した多糖を回収し、サンプルを取り、等分し、さらに処理するまで2~8℃で保存する。PRPの分子サイズ(kD)、PRP含有量、およびPRP活性化の程度を含む分析のために、処理した多糖プールからサンプルを抜き取る。処理したPRPのさらなる処理は、ステップ40に記載される。
ステップ39:TT10kD濃縮およびダイアフィルトレーション:
コンジュゲーション反応には、2つの成分、すなわち、処理した多糖および担体タンパク質(TT)が必要である。担体タンパク質を濃縮し、10kD UF NMWCO膜を用いて、MES-NaCl緩衝液でダイアフィルトレーションを行う。次に、このダイアフィルトレーションを行った担体タンパク質を、同じ膜を用いて、20mg/mL以上にさらに濃縮する。
ステップ40:コンジュゲーション:
コンジュゲーション反応には、2つの成分、すなわち、処理した多糖および担体タンパク質(TT)が必要である。活性化した多糖成分は、ステップ38から得られる。担体タンパク質は、ステップ39から得られる。この2つの成分を、その比がPRP:TT=1:1(w/w)となる適切な量で、EDCの存在下、撹拌しながら混合する。コンジュゲーション反応を、HPLCでモニターし、タンパク質の変換(遊離タンパク質のコンジュゲートへの変換に基づく)が85%以上に達するまで継続する。
ステップ41:クエンチング:
コンジュゲーション反応が、変換(ステップ40)の合格基準まで進んだ後、クエンチングによって反応を停止する。リン酸EDTA緩衝液を用いて、コンジュゲーション反応をクエンチする。続いて、このコンジュゲーション反応液を、ステップ42に記載されるとおりに処理する。
ステップ42:30SPおよび0.22μm濾過:
ステップ41から得られたコンジュゲートを30SPフィルターで濾過し、続いて、0.22μm濾過を行う。これによって、あらゆる大きな凝集物を確実に除去する。濾過したコンジュゲートを、ステップ43に記載されるとおりに処理する。
ステップ43:300kD限外濾過およびダイアフィルトレーション:
ステップ42から得られたコンジュゲーション反応混合物に、300kD UF NMWCO膜を用いて、0.05%生理食塩水でダイアフィルトレーションを行う。ダイアフィルトレーションを実施して、コンジュゲーション試薬および未反応のTTを除去する。得られた残留物を、ステップ44に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ44および45:0.22μm濾過および粗コンジュゲートの保存:
ステップ43からの残留物を、浄化ステップとしての役割を果たす、0.22μmフィルターに通す。これは、グレードC区域で実施されるプロセス中、生物負荷レベルが制御されていることも保証する。濾過した粗コンジュゲートを回収し、サンプルを取り、さらに処理するまで2~8℃で保存する。粗コンジュゲートのさらなる処理は、ステップ46に記載される。
ステップ46:粗コンジュゲートの希釈:
ステップ45からの粗コンジュゲートを、W.F.I.を用いて、目標濃度である4±1mg/mLまで希釈し、必要に応じて、ステップで47に記載される沈殿ステップによってさらに処理する。
ステップ47:硫酸アンモニウム沈殿:
希釈したコンジュゲート反応混合物をさらに処理し、硫酸アンモニウム(50%w/v原液)を用いて、遊離PRPを除去する。この沈殿ステップは、15℃未満で撹拌しながら行われる。沈殿ステップによって、コンジュゲートは沈殿物中に促され、遊離PRPは上清中に残る。硫酸アンモニウムの添加後に、得られた懸濁液を、15℃未満で撹拌することなく、12時間以上保存する。
ステップ48:ペレットの回収および溶解:
ステップ47から得られた懸濁液を、約7000g、2~8℃で、40±10分間遠心分離する。上清をデカンテーションによって廃棄し、得られたペレットをトリス-生理食塩水で溶解する。
ステップ49:300kDダイアフィルトレーション:
ステップ48から得られた溶液を、30SP深層フィルターで濾過し、300kD NMWCO膜を用いて、20mMトリス-生理食塩水でダイアフィルトレーションを行う。
ステップ50:GPCクロマトグラフィー精製:
ステップ49から得られた溶液を、サイズ排除クロマトグラフィーのために、Toyopearl HW-65Fヒドロキシル化メタクリルポリマービーズゲルを含有する約70LのGPCカラムに充填する。処理したコンジュゲート(硫酸アンモニウム処理後)に対するGPCクロマトグラフィーの使用によって、得られた物質中の遊離PRPレベルが低下する。このカラムを、20mMトリス0.9%NaClで溶出し、A280に基づいて画分を回収する。遊離PRP、比、および分子サイズに対する合格基準に基づいて適切な画分をプールし、このプールを、ステップ51に記載されるとおりに、さらに処理する。
ステップ51:300kDダイアフィルトレーション:
ステップ50から得られたプールしたコンジュゲート溶出液に、300kD UF NMWCO膜を用いて、20mMトリスでダイアフィルトレーションを行う。この残留物体積の目標を、その中のPRP含有量が約1mg/mLとなるようする。
ステップ52および53:0.22μm濾過:
ステップ51から得られたバルクコンジュゲートを、グレードA環境下にて0.22μmフィルターで濾過し、無菌状態を確保する。0.22μmフィルターの完全性試験をする。濾過したバルクコンジュゲートからのサンプルを、完了を分析するためのQ.C.に出す。濾過したコンジュゲートに、「無菌Hibバルクコンジュゲート」とラベルし、2~8℃で保存する。バルクコンジュゲートは、2~8℃で最大3ヵ月間保存されるであろうし、その後、使用されない場合は、-70℃で最大1年間の合計期間の保存が可能である。
得られたHib PRP-TTコンジュゲート抗原の品質特性は以下のとおりであった:
PRP含有量(μg/0.5mL):8.1
比(PRP:TT):0.5
遊離PRP(%):4.8%
PMW(kD):983
平均MW(kD):752
実施例3
不活化wP抗原を製造するプロセス
全細胞百日咳(wP)抗原の不活化方法:
ホルムアルデヒド存在下にて56℃で10分間の不活化、ホルムアルデヒドの存在下にて56℃で15分間の不活化、のヒミン(hymine)存在下にて56℃で10分間の不活化、ヒミン存在下にて56℃で15分間の不活化、および56℃で30分間の加熱のみの不活化を含む、種々の実験を実施した後、不活化方法の最適化を行う。これらの方法を用いた力価における有意差は認められない。これらの方法からホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10分間が選択され、これは、この方法を用いて製造された百日咳細胞集団が、上記の他の方法と比較して、より均質であるからである。
不活化wP抗原を製造するプロセスは、以下のステップ:
a)百日咳菌株134をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップ
b)百日咳菌株509をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップ
c)百日咳菌株25525および6229をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップ
c)百日咳菌株6229をホルムアルデヒドの存在下にて56℃で10~15分間不活化するステップ
d)続いて、不活化百日咳菌株134、509、25525、および6229を、1:1:0.25:0.25の比で混合するステップ
e)任意選択で、アルミニウム系アジュバントに吸着されるステップ
を含む。
【0173】
このプロセスはチオメルサールを含まず、不活化全細胞百日咳抗原は、塊状化せず、均質を維持し、それによって反応原性が低下し、より長期間にわたるより高い力価がもたらされる。
【0174】
実施例4
不活化ポリオウイルス(IPV)を製造するプロセス
1.ポリオウイルスは以下の方法によって増殖されてもよい:
a)CCL81-VERO(サル腎臓)細胞系を、ポリオウイルス、すなわち、sabinおよびsalk株の増殖のための宿主細胞として使用した。
【0175】
b)宿主細胞をポリオウイルスの望ましい株で感染させ、72時間培養した後、該ウイルスおよび細胞残屑を含有する培地をプールし、1つの容器に集めた。
c)この濾液を、100KDaカセットを用いたタンジェンシャルフロー濾過に供し、リン酸緩衝液を用いたダイアフィルトレーションを行い、陰イオン交換クロマトグラフィー用いて精製した。
【0176】
d)患者に投与する前に、該ウイルスは適切な不活化方法を用いて不活化されていなければならない。
2.以下のステップを含むホルマリン不活化:
a)精製したウイルスプールの緩衝液を、リン酸緩衝液から、pHが7~7.5の間であり、30~50mMの範囲内のトリス緩衝液に交換した。
【0177】
b)上記の混合物に、グリシン(5gm/L)を含有するM-199培地を添加した。
c)0.025%ホルムアルデヒドを添加し、続いて混合した。
d)続いて、この混合物を、マグネチックスターラーでウイルスバルクの撹拌を継続しつつ、37℃で5~13日間インキュベートした。
【0178】
e)インキュベーション後の混合物を、7日目に中間TFFシステム(100KDa、0.1m)に供し、不活化後の最終濾過を行った。
f)続いて、濾過したバルクを2~8℃で保存した。
【0179】
g)D-Ag単位決定のためのD-Ag ELISAを実施した。
h)IPV1型、2型、および3型の一価プールバルクを混合して、三価または二価IPV(SalkまたはSabin血清型)を形成した。
【0180】
i)最終製剤のpHを調整して、pHが6~6.8の間の最終製剤を得た。
j)最終的な混合ワクチン組成物に添加されたIPV抗原(SabinまたはSalk株)を、混合ワクチン中に存在するアジュバント(リン酸のアルミニウム塩)に吸着させ、このIPV抗原の吸着率は、IPV1型では10~30%の範囲内、IPV2型では60~100%の範囲内、IPV3型では0~25%の範囲内であることが認められた。
3.個別にアルミニウム塩に吸着させる場合のIPV(SabinおよびSalk株)の製剤手順:
a)最終アルミニウム(Al3+)濃度が0.1~0.8mg/用量となるように、オートクレーブで処理したAlPOの望ましい量を50mL容器に取る
b)D-Ag単位を調整したIPVバルクを添加し、希釈剤(10×M-199+0.5%グリシン)を用いてメスアップする
c)最終製剤のpHを調整して、pHが6~6.8の間の最終製剤を得る
4)記載に従って三価または二価IPV(SalkまたはSabin血清型)に製剤化されるアルミニウム吸着一価プール
結果:
リン酸アルミニウム(AlPO)塩へのIPV1型、2型、および3型(SabinおよびSalk)の吸着率は、少なくとも90%であることが認められた。
【0181】
出願人は、(ポリオウイルス抗原の標準用量が、1型-40DU、2型-8DU、3型-32DUであるのに対して)ポリオウイルス抗原の用量を2分の1に低減することができた。
【0182】
【表27】
【0183】
実施例5
混合ワクチンを製造するプロセス
この実施例は、D、T、wP、HBsAg、Hib PRP-TTコンジュゲート、IPV、および保存剤を含む混合ワクチン組成物を製造するプロセスの概要を提示する:
成分I - アルミニウム吸着ジフテリアトキソイド
成分II - アルミニウム吸着破傷風トキソイド
成分III - (実施例3に記載される)wP抗原
成分IV - アルミニウム吸着B型肝炎表面抗原
成分V - (実施例2に記載される)Hib PRPコンジュゲート
成分VI - (実施例4に記載される)IPV抗原
1.アルミニウム吸着ジフテリアトキソイドを含む成分Iの調製:
a)容器/器にリン酸アルミニウムを移す
b)ジフテリアトキソイドを添加する
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いてpHを4.5~5.5に調整する
d)安定するまで待つ
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いてpHを5.5~6.5に調整する
f)安定するまで待つ
2.アルミニウム吸着破傷風トキソイドを含む成分IIの調製:
a)容器/器にリン酸アルミニウムに移す
b)破傷風トキソイドを添加する
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いてpHを4.5~5.5に調整する
d)安定するまで待つ
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いてpHを5.5~6.5に調整する
f)安定するまで待つ
3.アルミニウム吸着B型肝炎表面抗原を含む成分IVの調製:
a)容器/器にリン酸アルミニウムを移す
b)B型肝炎表面抗原を添加する
c)酢酸/水酸化ナトリウムを用いてpHを4.5~5.5に調整する
d)安定するまで待つ
e)水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いてpHを5.5~6.5に調整する
f)安定するまで待つ
4.D、T、wP、HBsAg、Hib PRP-TTコンジュゲート、IPV、および保存剤を含む混合ワクチン組成物を製造するプロセス
1.混合用の器/容器への通常の生理食塩水を添加した。
【0184】
2.成分Iを添加した。
3.成分Iと成分IIを混合し、室温で30~40分間撹拌した。
4.上記の混合物に成分IIIを添加し、続いて室温で30~60分間撹拌した。
【0185】
5.ステップ4で得られた混合物に成分IVを添加し、続いて室温で30~60分間撹拌した。
6.ステップ5で得られた混合物に成分Vを添加し、続いて6~16℃で30~60分間撹拌した。
【0186】
7.ステップ6で得られた混合物に成分VIを添加し、続いて6~16℃で撹拌した。
8.ステップ7で得られた混合物に、以下で開示される保存剤の組合せのうちの1つを6~16℃で添加した。
【0187】
a)0.5mL当たり1mg~0.5mL当たり6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノール、または
b)0.5mL当たり1mg~0.5mL当たり6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノールおよび0.5mL当たり0.1~1.5mg(w/v)の濃度で使用されるメチルパラベン、または
c)0.5mL当たり1mg~0.5mL当たり6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノールおよび0.5mL当たり0.05~0.2mg(w/v)の濃度で使用されるプロピルパラベン、または
d)0.5mL当たり1mg~0.5mL当たり6mg(v/v)の量の2-フェノキシエタノールおよび0.5mL当たり0.1~1.5mg(w/v)の濃度で使用されるメチルパラベンおよび0.5mL当たり0.05~0.2mg(w/v)の濃度で使用されるプロピルパラベン。
【0188】
9.pHを確認し、必要に応じて、水酸化ナトリウム/炭酸ナトリウムを用いてpH6.0~7.5に調整した。
10.ステップ9で得られた生理食塩水(0.9%)を用いてメスアップし、続いて3時間撹拌した。
【0189】
実施例6
抗原の吸着、力価、および安定性プロファイル
【0190】
【表28】
【0191】
【表29】
【0192】
【表30】
【0193】
所見:
- 半分の用量濃度のIPVを用いて製造された六価ワクチンバッチは、有望な試験結果を示した。
- 半分の濃度のIPVで製造された六価ワクチンのIPVのin vivo有効性は、規定量のIPVを用いた現時点で入手可能なワクチン(SIIPLによって製造された市販のPoliovac)に相当することが認められた。
【0194】
実施例7
抗微生物性能力試験
本発明者らは、D、T、wP、Hib、HBsAg、およびIPVワクチンを含有する複数回用量の混合ワクチンを開発する一方で、最初に、保存剤として当該分野で従来使用されてきた2-フェノキシエタノール(2-PE)を、2.5mg/0.5mLの用量濃度で添加することによって、抗微生物能に対する試験を実施した。しかし、2-PEは、DPT系混合ワクチンにおいて、酵母菌および真菌に対する抗微生物活性が、チオメルサールより弱いことが認められた。
【0195】
必要とされる基準を満たすために、2-PE(保存剤)を増量することは、ワクチンの投与対象である幼児における安全性の問題を招く可能性があり、最終製品の安定性にも影響を及ぼす可能性がある。さらに、前記ワクチンに含有される保存剤の量は、ワクチンの安全性に関して、US薬局方、欧州薬局方、WHO薬局方、またはその組合せにおいて定義される必要条件を満たすべきである。
【0196】
この点に関して、本発明者らは、安全性および抗微生物能の両方の基準を満たす複数回用量混合ワクチンにおけるパラベンのような他の保存剤と2-PEを組み合わせることによって、抗微生物能に対する必要条件を満たすことが可能である新規の組成物を開発するための取り組みとして、実験を実施した。本開示において、抗微生物能試験は、ワクチン製品に関してWHOによって要求される欧州薬局方カテゴリーB(EP-B)基準に従って実施された。
【0197】
【表31】
【0198】
抗微生物性能力のスクリーニング:
実施例1に開示される六価混合ワクチン製剤を、それぞれ0時間にワクチン製剤中10~10CFU/mLの量で、異なる4種類の細菌-黄色ブドウ球菌(ATCC番号6538)、緑膿菌(ATCC番号9027)、大腸菌(Escherichia coli)(ATCC番号8739)、およびStaphylococcus arlettae(環境分離株EMI)、1種の酵母菌-Candida albicans(ATCC番号10231)、ならびに1種の真菌-Aspergillus brasiliensis(ATCC番号16404)を含む合計6種類の微生物と共に接種した。次に、細菌、真菌、酵母菌のサンプルを、0時間、24時間、7日目、14日目、および28日目に回収し、固体培地で培養し、コロニー数を3日目および5日目の間に計数し、コロニーの対数減少を算出した。この結果を以下の表38に示す。
【0199】
【表32-1】
【0200】
【表32-2】
【0201】
所見:
- 異なる組合せで製造された全ての六価ワクチンが、欧州薬局方カテゴリーBに従った保存剤の有効性に適合することが認められることが観察された。しかし、異なる組合せが使用された場合、その有効性は変化することが認められた。
- 2PE、MP、およびPPを含有する六価ワクチンの保存剤の有効性が、保存剤、すなわち、2PE単独、2PEとPP、2PEとMP、およびPPとMPといった他の組合せと比較して極めて有効であることが認められた。
- 0.5%の2PEとPPおよびMPを含有する六価ワクチンの保存剤の有効性が、同じ組合せであるが、0.4%の2PEを含有するものと比較してより有効であることが認められたことも注目される。
【0202】
実施例8
SIIPLの低減用量の混合ワクチン対Easy Six(Panacea)
【0203】
【表33】