IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7478159エネルギー供給システムのためのコンテナ、エネルギー供給システム及びそれを提供するための方法
<>
  • 特許-エネルギー供給システムのためのコンテナ、エネルギー供給システム及びそれを提供するための方法 図1
  • 特許-エネルギー供給システムのためのコンテナ、エネルギー供給システム及びそれを提供するための方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】エネルギー供給システムのためのコンテナ、エネルギー供給システム及びそれを提供するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240424BHJP
   H01M 50/256 20210101ALI20240424BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240424BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H02J3/32
H01M50/256
H02J3/38 110
H02J7/00 L
H02J7/00 302A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021544830
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020052346
(87)【国際公開番号】W WO2020161002
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】102019102639.3
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ファルク
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189317(JP,A)
【文献】特開2017-153341(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103038(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H01M 50/256
H02J 3/38
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー供給システム(1)のためのコンテナ(11)であって、
空調ユニット(9)及び/又は制御ユニット(10)を収容するための第1の区分(A1)と、エネルギー変換ユニット(3)および棚ユニット(6)を収容するための第2の区分(A2)と、を含み、
前記エネルギー変換ユニット(3)は、前記コンテナ(11)から取り外し可能であるように構成され、
前記エネルギー変換ユニット(3)が前記コンテナ(11)内に収容されている状態で、前記棚ユニット(6)は、解体された状態で前記第2の区分(A2)に配置され、
前記エネルギー変換ユニット(3)が前記コンテナ(11)から取り外された状態で、前記棚ユニット(6)は、前記第2の区分(A2)内の固定手段に設置されるよう構成され、
貯蔵モジュール(15)が、前記固定手段に設置された棚ユニット(6)に配置されて、コンテナから取り外された前記エネルギー変換ユニット(3)に電気的に接続されるように構成されている、コンテナ(11)。
【請求項2】
前記第2の区分(A2)は、第1の小区分(A2.1)及び第2の小区分(A2.2)に分割され、
前記エネルギー変換ユニット(3)が前記コンテナ(11)内に収容されている状態で、前記エネルギー変換ユニット(3)が前記第2の小区分(A2.2)に配置され、前記エネルギー供給システム(1)のさらなる構成部品が前記第2の小区分(A2.2)に配置されている、請求項1に記載のコンテナ(11)。
【請求項3】
前記第2の小区分(A2.2)に配置されている前記エネルギー供給システム(1)のさらなる構成部品が、前記貯蔵モジュール(15)のための前記棚ユニット(6)の構成部品であり、解体された状態で前記第1の小区分(A2.1)内に配置されている、請求項2に記載のコンテナ(11)。
【請求項4】
前記第1の区分(A1)は、前記コンテナ(11)の第1の端面(S1)に隣接し、及び前記第2の区分(A2)の第2の小区分(A2.2)は、前記コンテナ(11)の第2の端面(S2)に隣接する、請求項2又は3に記載のコンテナ(11)。
【請求項5】
前記固定手段は、前記コンテナ(11)の対向する側壁に沿って配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項6】
前記エネルギー供給システム(1)を動作させるためのヒューズ(7)及び/又は回路遮断器(8)も前記第1の区分(A1)内に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項7】
標準コンテナで、20’、20’HC、40’、40’HC、45’HC、45’PW又は53’HCのISO海上貨物コンテナの仕様に準拠する寸法を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項8】
前記第2の区分(A2)は、前記エネルギー変換ユニット(3)のガイドされた取り外しのための軸受を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項9】
前記エネルギー変換ユニット(3)が前記コンテナ(11)内に収容されている状態において、前記エネルギー変換ユニット(3)は、前記第2の区分(A2)内に固定されて配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項10】
前記コンテナ(11)の前記第2の区分(A2)又は屋根側に隣接する端面(S2)は、ヒンジ式の又は取り外し可能な壁領域を有し、前記壁領域を通して、前記エネルギー変換ユニット(3)は、取り外され得る、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項11】
前記貯蔵モジュール(15)を互いに接続するための、前記貯蔵モジュール(15)を前記制御ユニット(10)に接続するための、及び/又は前記貯蔵モジュール(15)を前記エネルギー変換ユニット(3)に接続するための事前に敷設された電線(12)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンテナ(11)。
【請求項12】
エネルギー変換ユニット(3)と、棚ユニット(6)と、貯蔵モジュール(15)と、空調ユニット(10)とを有するエネルギー供給システム(1)であって、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンテナ(11)を含むエネルギー供給システム(1)。
【請求項13】
第1の区分(A1)及び第2の区分(A2)を有するコンテナ(11)と、エネルギー貯蔵部(2)と、エネルギー変換ユニット(3)とを含むエネルギー供給システム(1)を提供するための方法であって、
- 前記エネルギー貯蔵部(2)は、前記エネルギー供給システム(1)の動作中、前記コンテナ(11)の前記第2の区分(A2)内の複数の棚ユニット(6)に配置される複数の貯蔵モジュール(15)を含み、
- 前記エネルギー変換ユニット(3)は、輸送の目的で前記コンテナ(11)の前記第2の区分(A2)の内側に配置され、且つ前記エネルギー供給システム(1)を動作させる目的で前記コンテナ(11)の外側に配置され、
前記方法は、
- 前記エネルギー供給システム(1)の動作場所で前記コンテナ(11)の前記第2の区分(A2)から前記エネルギー変換ユニット(3)を取り外すステップと、
- 前記コンテナ(11)の前記第2の区分(A2)内に前記棚ユニット(6)を配置及び設置することにより、前記コンテナ(11)の内部を完成させるステップと、
- 前記棚ユニット(6)に前記貯蔵モジュール(15)を取り付けるステップと、
- 前記貯蔵モジュール(15)を互いに且つ前記エネルギー変換ユニット(3)に電気的に接続するステップと
を有する、方法。
【請求項14】
前記エネルギー変換ユニット(3)は、前記動作場所において端面又は屋根側で前記コンテナ(11)から取り外される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エネルギー変換ユニット(3)は、レールシステムにより、ガイドされた方式で前記コンテナ(11)から取り外される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記エネルギー変換ユニット(3)は、前記コンテナ(11)の横の動作台に配置される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記貯蔵モジュール(15)は、充電式バッテリを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供給システムのためのコンテナ、本発明によるコンテナを有するエネルギー供給システム及びこのようなエネルギー供給システムを提供するための方法に関する。具体的には、この場合のエネルギー供給システムは、エネルギー貯蔵部と、エネルギー変換ユニットとを含む。この場合、エネルギー貯蔵部は、エネルギー供給システムの動作中にコンテナ内に配置される複数の貯蔵モジュールを有する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べたタイプのエネルギー供給システムは、例えば、エネルギー供給グリッド、例えば公共のエネルギー供給グリッドをサポートするために使用され、エネルギー供給システムのエネルギー貯蔵部は、したがって、エネルギー変換ユニットを介してエネルギー供給グリッドに接続される。エネルギー変換ユニットは、双方向に動作可能なDC/ACコンバータ及び変圧器を含み、エネルギー供給グリッドで電力が過剰に供給された場合、典型的にはエネルギー供給グリッドでのAC電圧の周波数が公称周波数を超える場合、エネルギー貯蔵部への電力の流れを生成し、エネルギー貯蔵部を充電することができる。同様に、電力の供給が不足した場合、典型的にはエネルギー供給グリッドでのAC電圧の周波数が公称周波数未満である場合、エネルギー変換ユニットは、エネルギー貯蔵部からエネルギー供給グリッドへの電力の流れを生成し、エネルギー貯蔵部を放電することができる。
【0003】
このようなエネルギー供給システムは、多くの場合、公共のエネルギー供給グリッドから遠く離れた大規模な消費体に供給する目的でも動作される。このような消費体は、例えば、鉱山の採掘及び運搬システムである。上記のそれぞれの場合、エネルギー供給システムは、エネルギー貯蔵部に加えて、さらなるエネルギー源、例えばPV発電機及び/又は風力タービンも含み得る。
【0004】
文献米国特許出願公開第2017 0346322 A1号明細書は、ある場所から別の場所にシステムを移動させるために1つ又は複数の可搬型コンテナを有するモジュール式電気エネルギー貯蔵及び供給システムを開示している。構成部品として、システムは、電気エネルギーを貯蔵するための貯蔵モジュールと、エネルギー変換ユニットと、監視及び制御ユニットとを含む。構成部品は、1つ又は複数の可搬型コンテナ内において空間的に離隔されて配置され、そこに均一に分布し、確実に密閉される。グリッド接続、オフグリッド、バックアップ又は他の用途でエネルギー貯蔵部を迅速に提供するためのシステム及び方法も提示されている。
【0005】
既知の方法では、コンテナは、インタフェースを介して互いに電気的に接続される一方、構成部品、特に貯蔵モジュール、エネルギー変換ユニット並びに監視及び制御ユニットは、輸送中及びエネルギー供給システムの動作中にそれぞれのコンテナ内にとどまる。しかしながら、さらに大規模なエネルギー貯蔵部を有する、したがって貯蔵モジュールの数が多いエネルギー供給システムの場合、輸送は、嵩が高いために困難を伴って初めて実行することができる。さらに、関連する高いエネルギー密度のため、コンテナ内に複数の貯蔵モジュールがあることは、輸送上かなり危険である。これは、特にコンテナを他のコンテナと積み重ねて出荷しようとする場合に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、エネルギー供給システムのためのコンテナであって、輸送が容易であり、特に簡単に且つコスト効率よくエネルギー供給システムを提供するために使用され得るコンテナを明示するという目的に基づく。本発明の目的は、エネルギー供給システム及びこのようなコンテナを有するエネルギー供給システムを提供するための方法を示すことでもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エネルギー供給システムのための、輸送が容易なコンテナを明示するという目的は、本発明によれば、独立請求項1の特徴を有するコンテナを用いて実現される。コンテナの有利な実施形態が請求項2~10に開示される。従属請求項11は、本発明によるコンテナを有するエネルギー供給システムを対象とする。請求項12は、本発明によるエネルギー供給システムを容易に提供するための方法を対象とする。方法の有利な実施形態が請求項13~15に記載される。
【0008】
本発明によるエネルギー供給システムのためのコンテナは、
- コンテナの輸送及びエネルギー供給システムの動作中、空調ユニット及び/又は制御ユニットを収容するための第1の区分と、
- コンテナの輸送中、エネルギー変換ユニットを収容するための第2の区分と
を含み、エネルギー変換ユニットは、コンテナから取り外し可能であるように設計される。第2の区分は、棚ユニットのための固定手段を有し、それにより、エネルギー変換ユニットが取り外された後、棚ユニットは、エネルギー供給システムを始動させるために固定手段に設置され得、且つ貯蔵モジュールを取り付けられ得る。
【0009】
この場合、空調ユニットは、コンテナ内部を冷却し、コンテナ内部の湿気を監視し、且つ/又はコンテナ内部から有害ガスを放出するように設計及び構成され得る。このような有害ガスは、例えば、エネルギー供給システムの動作中、コンテナ内で発生する可能性があり、明確に限定して放出されなければならない。空調ユニットは、完全に第1の区分内に配置することができるが、必ずしもそうする必要はない。さらに正確に言えば、空調ユニットの一部分がコンテナの第1の区分内に配置され、別の部分がコンテナの外側に配置されれば十分である。特に、空調ユニットは、コンテナの壁、有利には端面のコンテナの壁を貫通することが可能である。制御ユニットは、エネルギー貯蔵管理機能のために設計及び構成され得る。このような機能は、例えば、貯蔵モジュールの充電の状態を監視し、過充電又は深放電から貯蔵モジュールを保護する。代わりに又は加えて、制御ユニットは、エネルギー供給システムのための上位コントローラの機能性も実行し得る。エネルギー変換ユニットは、DC/ACコンバータ及び/又はDC/DCコンバータを有することができる。エネルギー変換ユニットは、双方向動作のために有利に設計することができ、双方向に動作可能なDC/ACコンバータ及び/又はDC/DCコンバータを含み得る。エネルギー変換ユニットは、追加的に変圧器を含むことができる。区分は、少なくとも1つの間仕切壁によって互いに離隔することができ、この間仕切壁は、例えば、コンテナの輸送中に個々の区分内に配置された構成部品がスリップすることを防ぐ。しかしながら、間仕切壁は、必ずしも存在する必要がないか、又は間仕切壁が存在する場合でも、必要に応じてコンテナから取り外すことができるように取り外し可能であり得る。
【0010】
本発明は、複数の貯蔵モジュールを有するエネルギー貯蔵部の場合、貯蔵モジュールが別個にコンテナの外に輸送されるという効果を利用する。貯蔵モジュールは、エネルギー供給システムが始動される前にのみ、エネルギー供給システムの動作場所でコンテナ内に設置される。したがって、コンテナは、少なくとも動作場所への輸送中、かなりの大きさの空きスペースを有する。この空きスペースは、エネルギー供給システムのさらなる構成部品、特にエネルギー変換ユニットをコンテナ内で動作場所まで輸送するために使用される。動作場所では、エネルギー変換ユニットは、コンテナから取り外され、コンテナとは別個に設定される。別個に又はコンテナ内で動作場所まで輸送され、貯蔵モジュールを収容することを意図した棚ユニットは、必要に応じて、それらの構成部品から組み立てられ、固定手段を使用してコンテナの内部の壁に設置される。次に、棚ユニットに貯蔵モジュールが取り付けられる。最後に、貯蔵モジュールは、互いに且つエネルギー変換ユニットの両方に電気的に接続される。したがって、コンテナは、2つの機能を実行する。エネルギー供給システムの動作場所への輸送中、コンテナは、エネルギー変換ユニットのための輸送手段として使用される。コンテナの実際の機能は、すなわち、エネルギー供給システムの動作中に貯蔵モジュールを収容及び空調する機能は、動作場所でのみ使用される。したがって、エネルギー供給システム、特にそのエネルギー変換ユニットは、特に簡単でコスト効率のよい方法で輸送することができる。具体的には、エネルギー変換ユニットは、エネルギー供給システムの動作場所にいずれにしても送達されるコンテナ内で輸送される。他の場合に必要となる、エネルギー変換ユニットを輸送するための別個の輸送コストは、発生しないか、又は大幅に削減された形式でのみ発生する。本発明の有利な実施形態が以下の説明及び従属請求項で述べられ、その特徴は、個別に使用され、且つ互いとの任意の所望の組み合わせで使用され得る。
【0011】
コンテナの1つの有利な実施形態では、第2の区分は、第1の小区分及び第2の小区分に分割される。この場合、エネルギー変換ユニットは、コンテナの輸送中に第2の区分の第2の小区分内に配置される一方、エネルギー変換システムの動作場所で必要なエネルギー供給システムのさらなる構成部品、特に貯蔵モジュールのための棚ユニットの構成部品は、第1の小区分内に配置される。この場合、棚ユニットは、第1の小区分内に解体された状態で存在し得るか、又は省スペースで構成部品に分解され得る。第1の小区分は、間仕切壁を介して第2の小区分から離隔することができる。この場合、空調ユニット及び/又は制御ユニットを収容する第1の区分は、コンテナの第1の端面に隣接し得る。エネルギー供給システムを動作させるためのヒューズ及び/又は回路遮断器も第1の区分内に配置され得る。さらに、エネルギー貯蔵ユニットを有する区分で規定される場合がある消防のための火災検知器と、任意に消火器とが第1の区分内に設置され得る。第1の区分は、貯蔵モジュールを含むエネルギー貯蔵部からエネルギー変換ユニットに電線を接続するための接続部も有することができる。
【0012】
第2の区分、特にその第2の小区分は、輸送中にエネルギー変換ユニットを収容し、これは、コンテナの第1の端面に対向する第2の端面に隣接し得る。この場合、コンテナの第2の区分又は屋根側に隣接する第2の端面は、有利には、ヒンジ式の又は取り外し可能な壁領域を有し、この領域を通して、エネルギー変換ユニットは、取り外され得る。この場合、屋根側の壁領域が屋根側全体を含み、及び/又は第2の端面の壁領域が第2の端面全体を含むことも可能である。この場合、コンテナ内でのエネルギー変換ユニットの移動が長くなることが避けられるため、エネルギー変換ユニットは、非常に簡単に取り外すことができる。さらに正確に言えば、エネルギー変換ユニットは、直接コンテナの出口領域にすでに配置される。1つの好適な実施形態では、第2の区分は、エネルギー変換ユニットのガイドされた取り外しのための軸受を有する。例えば、油圧で作動する昇降用フォークがその上に移動可能に装着されたレールシステムは、このような軸受を有することができる。取り外しがガイドされることで、エネルギー変換ユニット及びコンテナの両方への損傷が避けられる。取り外しは、同様に1人で、場合により2人で手動又は昇降用フォークを用いて半自動で行うことができる。
【0013】
1つの実施形態では、コンテナは、第2の区分内に配置され、且つエネルギー変換ユニットをコンテナの内部、特にコンテナの第2の区分内で固定するように設計された固定要素を有する。第2の区分が2つの離隔された小区分を有し、エネルギー変換システムが第2の小区分内に配置される場合、固定要素も第2の小区分内に配置される。エネルギー変換ユニットは、コンテナの輸送中、固定要素を使用して第2の区分内に固定することができ、スリップし得ないようにそこに配置することができる。したがって、エネルギー変換ユニット及びコンテナの相対運動並びに輸送中のエネルギー変換ユニット及び/又はコンテナへの関連する損傷が確実に回避される。コンテナ内でエネルギー供給システムの動作場所に輸送され、輸送中にスリップすることで自らが損傷する可能性及び/又は他の構成部品を損傷させる可能性がある、エネルギー供給システムのさらなる構成部品のために適切な固定要素も設け得る。
【0014】
1つの有利な変形形態では、コンテナは、標準コンテナの仕様に準拠する寸法を有する。特に、コンテナの寸法は、20’、20’HC、40’、40’HC、45’HC、45’PW又は53’HCのISO海上貨物コンテナの寸法に対応し得る。鉄道、トラック及び貨物船などの従来から使用されている輸送手段の積載エリアは、これらの寸法に一致するため、コンテナは、これらの輸送手段により、場合により他のコンテナとともに特に簡単で信頼性の高い方法で輸送することも可能である。有利には、コンテナの下側の角部、場合により上側の角部にも標準化されたコンテナコーナが取り付けられる。これらは、輸送中にコンテナの固定を追加的に補助するものとして、特に複数のコンテナが互いに積み重ねられる場合に使用される。
【0015】
コンテナの1つの実施形態では、棚ユニットを設置するための固定手段は、対向する側壁に沿って、特にコンテナの内部に面する側に配置される。この場合、それらは、第2の区分内に配置され得る。エネルギー供給システムの動作中、エネルギー貯蔵部の貯蔵モジュールは、特に同様にコンテナの第2の区分内に配置されるのに対して、制御ユニット及び/又は空調ユニットは、コンテナの輸送中及びエネルギー供給システムの動作中の両方において、第1の区分内に配置される。1つの実施形態では、コンテナは、輸送中、貯蔵モジュールを互いに接続するための、貯蔵モジュールを制御ユニットに接続するための、及び/又は貯蔵モジュールをエネルギー変換ユニットに接続するための事前に敷設された電線をすでに有し得る。このようにして、ケーブルを敷設する際の時間のかかる作業は、エネルギー供給システムの供給者によってすでに行われていることが可能であり、エネルギー供給システムの動作場所で行う必要がない。さらに正確に言えば、コンテナ及び貯蔵モジュールが送達された後、このように、エネルギー供給システムも動作場所で迅速に始動させることができる。
【0016】
本発明によるエネルギー供給システムは、エネルギー変換ユニットと、貯蔵モジュールを収容するための棚ユニットと、電気エネルギーを貯蔵するための貯蔵モジュールと、空調ユニットとを含む。エネルギー供給システムは、本発明によるコンテナも含む。この場合、本発明によるコンテナは、その輸送中、エネルギー供給システムの部品、特にそのエネルギー変換ユニットの輸送手段としてだけでなく、その空調ユニット及び/又はその制御ユニットの輸送手段としても使用される。
【0017】
本発明による方法は、第1の区分及び第2の区分を有するコンテナと、エネルギー貯蔵部と、エネルギー変換ユニットとを含むエネルギー供給システムを提供することを目的とする。エネルギー貯蔵部は、エネルギー供給システムの動作中、コンテナの第2の区分内の複数の棚ユニットに配置される複数の貯蔵モジュールを含む。エネルギー変換ユニットは、エネルギー供給システムを輸送する目的でコンテナの第2の区分内に収容され、且つエネルギー供給システムを動作させる目的でコンテナの外側に配置されるように構成される。この場合、方法は、以下のステップ:
- エネルギー供給システムの動作場所でコンテナの第2の区分からエネルギー変換ユニットを取り外すステップと、
- 棚ユニットをコンテナの第2の区分内に配置及び設置するステップと、
- 棚ユニットに貯蔵モジュールを取り付けるステップと、
- 一方では貯蔵モジュールを互いに電気的に接続し、且つ他方では貯蔵モジュールをエネルギー変換ユニットに電気的に接続するステップと
を含む。本発明によるコンテナに関連してすでに言及した利点は、本発明によるエネルギー供給システム及び本発明による方法の両方に生じる。
【0018】
この方法の1つの有利な実施形態では、エネルギー変換ユニットは、エネルギー供給システムの動作場所において端面又は屋根側でコンテナから取り外され得る。この場合、エネルギー変換ユニットは、レールシステムにより、ガイドされた方式でコンテナから取り外され、これによりコンテナ及びエネルギー変換ユニットへの損傷を大部分回避することができる。エネルギー変換ユニットは、直接又はコンテナから取り外された後にレールシステムにより動作台に移すことができる。エネルギー供給システムの動作中、動作台は、コンテナの横に配置され得る。コンテナ内で棚ユニットに取り付けられる貯蔵モジュールは、充電式バッテリを含み得る。これらは、特にLiイオン、鉛及び/又はNiMH充電式バッテリであり得る。
【0019】
図を用いて、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態において、エネルギー供給システムの動作場所に輸送するための状態にある、本発明によるエネルギー供給システムのコンテナを示す。
図2】さらなる実施形態による、輸送後及び動作場所でのアセンブリ後の、図1の本発明によるコンテナを有する、本発明によるエネルギー供給システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1の実施形態において、エネルギー供給システム1の動作場所に輸送するための状態にある、本発明によるエネルギー供給システム1のコンテナ11を図示する。コンテナ11は、第1の区分A1及び第2の区分A2を含む。第1の区分A1は、コンテナ11の第1の端面S1に隣接する一方、第2の区分A2は、コンテナの第2の端面S2に隣接する。第2の区分A2は、間仕切壁13によって第1の小区分A2.1及び第2の小区分A2.2にさらに分かれている。空調ユニット9及び制御ユニット10は、第1の区分A1内に配置される。図1では、空調ユニット9は、例として、完全にコンテナ11内にある。しかしながら、空調ユニット9は、第1の端面S1を貫通して、一部のみを第1の区分A1内に配置することも可能である。この場合、空調ユニット9の一部は、コンテナ11の端面S1から突出する。ヒューズ7及びスイッチ8は、わかりやすくするためにそれぞれ記号のみによって表示されているが、それらも第1の区分内に配置される。第1の区分A1は、第1の小区分A2.1が第2の小区分A2.2から離隔されるのと同様の方法において、取り外し可能な間仕切壁13によって第2の区分A2から離隔される。棚ユニット6は、第2の区分A2の第1の小区分A2.1内に解体された状態で配置される。エネルギー供給システム1のエネルギー変換ユニット3は、第2の区分A2の第2の小区分A2.2に位置する。エネルギー変換ユニット3は、DC/ACコンバータ4及び変圧器5を有する。コンテナ11の輸送中、エネルギー変換ユニット3及び解体された棚ユニット6は、適切な固定要素(図1には図示されていない)を使用してコンテナ3の床及び/又は側壁に固定されることにより、輸送中のエネルギー変換ユニット3及びコンテナ11への損傷を回避する。コンテナ11は、コンテナの側壁の内側に長手方向に配置された第2の区分A2内に固定手段(図1には図示されていない)も有する。コンテナ11が輸送された後、それらは、コンテナ11の内部で棚ユニット6を固定するために使用される。事前に敷設された電線12もコンテナ11の側壁の内側に沿って延びる。それらの電線は、第2の端面S2の近傍から始まって、第2の区分A2に沿って延び、第1の区分A1に達する。棚ユニット6に貯蔵モジュール15が取り付けられた後、電線12を使用して、貯蔵モジュール15を互いに電気的に接続し、且つ貯蔵モジュール15を制御ユニット10に接続する。コンテナ11がエネルギー供給システム1の動作場所に輸送された後、エネルギー変換ユニット3は、第2の端面S2を通してコンテナ11から取り外される。これは、図1では、第2の端面S2上に図示された矢印により記号化されている。
【0022】
図2は、さらなる実施形態による、輸送後及び動作場所でのアセンブリ後の、図1の本発明によるコンテナ11を有する、本発明によるエネルギー供給システム1を図示する。エネルギー変換ユニット3は、コンテナ11から取り外されて、コンテナの端面の横に配置される。第2の区分A2の第1の小区分A2.1と第2の小区分A2.2との間の間仕切壁13は、コンテナ11から取り外される。1つの間仕切壁13のみが第1の区分A1を第2の区分A2から離隔する。残っている間仕切壁13には、エネルギー供給システム1の動作中に第2の区分A2から第1の区分A1内に人が通れるようにする通路があり得る。棚ユニット6は、第2の区分A2の側壁に設置され、貯蔵モジュール15が取り付けられる。この場合、貯蔵モジュール15は、わかりやすくするために図2には示されていないが、事前に敷設された電線12を介して互いに且つ制御ユニット10に電気的に接続される。エネルギー変換ユニット3は、接続線16を介して第1の側でコンテナ11内の貯蔵モジュール15に接続され、且つ第2の側でエネルギー供給グリッド(図2には図示されていない)に接続される。
【符号の説明】
【0023】
1 エネルギー供給システム
2 エネルギー貯蔵部
3 エネルギー変換ユニット
4 DC/ACコンバータ
5 変圧器
6 棚ユニット
7 ヒューズ
8 スイッチ
9 空調ユニット
10 制御ユニット
11 コンテナ
12 接続線
13 間仕切壁
15 貯蔵モジュール
16 接続線
17 接続線
A1 区分
A2 区分
A2.1 小区分
A2.2 小区分
S1 端面
S2 端面
図1
図2