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特許7478174治療薬剤の発見および分析のためのプラットフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】治療薬剤の発見および分析のためのプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240424BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/25 20060101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/37 20060101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/42 20060101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/48 20060101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20240424BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20240424BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/02
C12Q1/25
C12Q1/37
C12Q1/42
C12Q1/48 Z
C12Q1/6816 Z
C12Q1/6844 Z
C12N15/11 Z
【請求項の数】 46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014932
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2019213584の分割
【原出願日】2016-05-09
(65)【公開番号】P2022068205
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】62/159,710
(32)【優先日】2015-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】モリー ヘ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル プリバイト
(72)【発明者】
【氏名】ミーシャ ゴリンスキー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ウィリアム ケリンジャー
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ ペイサジョビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン マーク バウテル
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/096777(WO,A2)
【文献】特表2011-516072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12Q 1/02
C12Q 1/25
C12Q 1/37
C12Q 1/42
C12Q 1/48
C12Q 1/6816
C12Q 1/6844
C12N 15/11
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、タンパク質アレイの作製方法:
(a)mRNA分子のライブラリーを提供する工程であって、前記ライブラリー中の個々のmRNA分子が標的配列およびタグ配列を含んでいる工程、
(b)前記mRNA分子のライブラリーを第1サブライブラリー及び第2サブライブラリーに分割又は分画する工程であって、前記第1サブライブラリー及び前記第2サブライブラリーは前記標的配列および前記タグ配列またはその相補体を有するmRNA分子を含み、
(c)第1サブライブラリーからのmRNA分子を固体支持体上の個々のフィーチャーに結合し、前記固体支持体上の第1サブライブラリーからのmRNA分子を増幅して第1サブライブラリーの前記mRNA分子のアンプリコンを生成する工程、
(d)前記第1サブライブラリーを第2サブライブラリーと接触させ、それにより第2サブライブラリーのmRNA分子を、前記タグ配列とその相補体のハイブリダイゼーションを介して、前記固体支持体上の前記第1サブライブラリーの前記mRNA分子の前記アンプリコンに結合させる工程と;
(e)前記固体支持体上の前記mRNA分子の前記標的配列を翻訳し、個々の前記フィーチャーに結合したタンパク質のアレイを作製する工程。
【請求項2】
以下を含む、タンパク質アレイの作製方法:
(a)固体支持体に結合したcDNA分子のライブラリーを提供する工程と;
(b)前記固体支持体上の前記cDNA分子を増幅してクラスターを形成する工程であって、各クラスターが前記ライブラリーからの特定のcDNA分子の複数のコピーを含む工程と;
(c)前記クラスターの複数の前記コピーを転写し、前記クラスターの各々に結合した複数のmRNA分子を生成する工程と;
(d)前記クラスターの前記mRNA分子を翻訳し、前記クラスターの各々に結合した複数のタンパク質を生成する工程。
【請求項3】
前記固体支持体上の前記タグ配列またはその相補体を配列決定し、それにより前記固体支持体上の個々の前記フィーチャーでの前記タグ配列またはその相補体の位置を決定する工程をさらに含む、及び/又は
第1サブライブラリーの前記核酸が前記標的配列をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体支持体上の前記標的配列を配列決定する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記固体支持体上の前記mRNA分子の各々の少なくとも一部を配列決定する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
以下を含む、タンパク質のスクリーニング方法:
(i)請求項1又は2に記載のタンパク質アレイを作製する工程と;
(ii)前記タンパク質アレイをスクリーニング剤と接触させる工程であって、前記アレイ中の1つ以上のタンパク質が前記スクリーニング剤と反応する工程と;
(iii)前記スクリーニング剤との接触の間または接触の後に前記タンパク質アレイを検出し、それにより前記アレイ中の少なくとも1つのタンパク質が前記スクリーニング剤と反応することを判定する工程。
【請求項7】
前記固体支持体上の前記タグ配列またはその相補体を配列決定し、それにより前記固体支持体上の個々の前記フィーチャーでの前記タグ配列またはその相補体の位置を決定する工程をさらに含む、
請求項1を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのタンパク質に結合した前記タグ配列に基づいて、前記スクリーニング剤と反応する前記アレイ中の前記少なくとも1つの前記タンパク質を同定する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固体支持体上の前記mRNA分子の各々の少なくとも一部を配列決定する工程をさらに含む、
請求項2を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのタンパク質に結合された前記mRNA分子の少なくとも一部の前記配列に基づいて、前記スクリーニング剤と反応する前記アレイ中の前記少なくとも1つのタンパク質を同定する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スクリーニング剤が、前記1つ以上のタンパク質に結合することによって、または前記1つ以上のタンパク質と前記1つ以上のタンパク質に対する親和性を持つ検体間の結合を遮断することによって、前記1つ以上のタンパク質と反応する、
請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記アレイの検出が、前記1つ以上のタンパク質に結合している前記スクリーニング剤を検出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スクリーニング剤が、前記1つ以上のタンパク質を化学修飾することによって、前記1つ以上のタンパク質と反応する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記アレイの検出が、1つ以上の修飾された前記タンパク質を検出することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スクリーニング剤が、検体生成物を生成することによって前記1つ以上のタンパク質と反応する、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記アレイの検出が、前記検体生成物を検出することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
mRNA分子の前記ライブラリーが、複数の同一遺伝子の変異体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記変異体がランダム突然変異誘発によって生成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1サブライブラリーのmRNA分子を前記固体支持体と接触させ、前記mRNA分子を前記固体支持体に結合させることを含む方法によって、第1サブライブラリーからの前記mRNA分子が前記固体支持体上の個々のフィーチャーに結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記mRNA分子が前記固体支持体上で増幅され、前記タグ配列の相補体を生成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1サブライブラリーのmRNA分子を前記固体支持体上の核酸プライマーへハイブリダイズすることによって、前記第1サブライブラリーからの前記mRNA分子を固体支持体上の個々のフィーチャーに結合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記mRNA分子がユニバーサルプライマー結合配列を含み、前記核酸プライマーがユニバーサルプライマー配列を含み、前記mRNA分子が、前記ユニバーサルプライマー結合配列の前記ユニバーサルプライマー配列へのハイブリダイゼーションを介して前記固体支持体に結合する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1サブライブラリーからの個々のmRNA分子又はその一部が逆転写される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
逆転写されたmRNA分子、またはその一部が前記固体支持体上で増幅され、前記タグ配列の相補体を生成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(a)mRNA分子の前記ライブラリーが流体試料中に提供され、第1サブライブラリーおよび第2サブライブラリーが、前記流体試料の別個の画分に由来する、又は
(b)前記固体支持体がフローセル内に配置される、又は
(c)前記タンパク質が、前記mRNA分子に共有結合している、又は
(d)前記方法が、前記アレイの1つ以上のフィーチャーに結合した前記mRNA分子またはタンパク質を選択的に除去する工程をさらに含む、又は
(e)前記選択的除去が、前記mRNA分子またはタンパク質を前記フィーチャーに結合させている結合のレーザー媒介性切断を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、
(i)第1サブライブラリーが、前記タグ配列の相補体を有するmRNA分子を含み、
第2サブライブラリーが、前記標的配列および前記タグ配列を有するRNA分子を含み、ならびに
(d)が、第2サブライブラリーを第1サブライブラリーと接触させ、それにより第2サブライブラリーのmRNA分子を、前記タグ配列とその相補体のハイブリダイゼーションを介して前記固体支持体に結合させることを含む、又は
(ii)第1サブライブラリーが、前記タグ配列を有するmRNA分子を含み、
第2サブライブラリーのmRNA分子がcDNA分子に逆転写され、前記cDNA分子が前記標的配列および前記タグ配列の相補体を有し、
(d)が、第2サブライブラリーを第1サブライブラリーと接触させ、それにより第2サブライブラリーのcDNA分子を、前記タグ配列とその相補体のハイブリダイゼーションを介して前記固体支持体に結合させることを含み、
(e)が、cDNA分子を転写してmRNA分子を前記固体支持体上に生成し、mRNA分子を前記固体支持体上で翻訳して個々の前記フィーチャーに結合したタンパク質のアレイを生成することを含む、又は
(iii)前記標的配列を、リボソームで、前記固体支持体上で翻訳し、前記リボソームをピューロマイシンで処理して個々の前記フィーチャーに結合したタンパク質のアレイを生成する、
方法。
【請求項27】
(i)mRNA分子、
(ii)前記mRNA分子の配列の相補体を有する核酸を含む固体支持体であって、前記核酸が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合している、固体支持体、
を含むタンパク質アレイであって、
ここで、個々のmRNA分子の配列は、前記固体支持体上の前記個々のフィーチャーにおいてそれぞれの相補的核酸配列にハイブリダイズまたは結合され、及び
ここで、前記mRNA分子から翻訳されたタンパク質は、それぞれのmRNA分子に結合され、
ここで、以下の(A)又は(B)のいずれかであり、
(A)前記mRNA分子はmRNA分子のライブラリーに含まれ、ここで、前記ライブラリー内の個々のmRNA分子は標的配列およびタグ配列を含み、前記固体支持体の前記核酸が相補的である前記mRNA分子の配列は前記タグ配列である、または
(B)mRNA分子の配列の相補体を有する前記核酸は、前記固体支持体に結合した異種cDNA分子のライブラリーの成員であり、ここで、各異種cDNA分子は前記固体支持体上の個々のフィーチャーに結合しており、各フィーチャーが特定のcDNA分子の複数のコピーを含み、前記mRNA分子はcDNA分子に結合されており、ここで前記cDNA分子の各々がそれぞれの結合されたmRNA分子に相補的である、
タンパク質アレイ。
【請求項28】
(i)前記タンパク質が、リボソームを介してそれぞれの前記mRNA分子に結合している、又は
(ii)前記タンパク質が発光標識されている、又は
(iii)前記固体支持体が、少なくとも1×106個の前記フィーチャーを含む、又は
(iv)前記固体支持体上の前記フィーチャーの平均ピッチが10ミクロン未満である、又は
(v)前記フィーチャーが100平方ミクロン未満の平均面積を含む、又は
(vi)前記アレイが請求項27に記載の前記(A)のアレイであり、mRNA分子の前記ライブラリーが、複数の同一遺伝子の変異体を含む、又は
(vii)前記アレイが請求項27に記載の前記(B)のアレイであり、cDNA分子の前記ライブラリーが、複数の同一遺伝子の変異体を含む、又は
(viii)前記タンパク質が、抗体、酵素、受容体、キナーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヒストン修飾酵素および核内ホルモン受容体からなる群より選択される、又は
(ix)前記固体支持体がフローセル内に配置される、
請求項27に記載のアレイ。
【請求項29】
以下を含む細胞のスクリーニング方法:
(a)複数の異種細胞を提供する工程であって、前記異種細胞の各々がタグ配列を有する核酸タグを含み、前記核酸タグ配列は、原形質膜脂質、原形質膜脂肪酸、または細胞の原形質膜脂質内のタンパク質への共有結合を介して複数の細胞の各細胞に連結されており、各タグ配列は特有の配列を含み;
(b)前記異種細胞の混合物を固体支持体と接触させ、前記固体支持体に結合した細胞のアレイを形成する工程と;
(c)前記固体支持体上の細胞のアレイを、少なくとも1つの光学特性についてスクリーニングする工程であって、ここで前記光学特性が放射線の吸光度、発光、発光寿命、及び発光偏光から選ばれ、前記スクリーニング反応が、前記固体支持体に結合した個々の前記細胞を検出することを含む工程と;
(d)前記固体支持体に結合した核酸タグの前記タグ配列を配列決定する工程と;
(e)前記アレイ中の少なくとも1つの細胞を候補細胞として、前記候補細胞の光学特性および前記タグ配列に基づいて同定する工程。
【請求項30】
工程(a)が、異種細胞を別個の容器に分離し、タグ配列を有する核酸を容器の各々に添加し、それにより複数の異種細胞を提供することを含み、ここで異種細胞の各々は別個の容器内にあり、特有のタグ配列を有する核酸タグを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
タグ配列を有する前記核酸がビーズに結合し、前記ビーズが複数の異種細胞の細胞に結合する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ビーズが前記細胞に対して特異的結合親和性を有する抗体を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固体支持体が核酸プライマーを含み、前記細胞が、前記核酸タグの前記核酸プライマーへのハイブリダイゼーションを介して前記固体支持体に結合する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記核酸タグがユニバーサルプライマー結合配列を含み、前記核酸プライマーがユニバーサルプライマー配列を含み、前記核酸タグが、ユニバーサルプライマー結合配列のユニバーサルプライマー配列へのハイブリダイゼーションを介して前記固体支持体に結合する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、前記核酸タグを増幅し、前記固体支持体上の前記核酸タグのアンプリコンを生成することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記核酸タグの配列決定が、前記核酸タグの前記アンプリコンを配列決定することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記固体支持体がフローセル内に配置されている、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記固体支持体から前記少なくとも1つの候補細胞を除去することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記固体支持体からの除去後に前記少なくとも1つの候補細胞を培養し、それにより前記少なくとも1つの細胞を複製することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞アレイのスクリーニングが、前記細胞をスクリーニング剤で処理することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記スクリーニング剤が、前記少なくとも1つの候補細胞に結合する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記スクリーニング剤が、前記少なくとも1つの候補細胞を改変する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記スクリーニング剤が前記少なくとも1つの候補細胞の発光を増加又は減少させ、前記スクリーニング反応が前記少なくとも1つの候補細胞の発光を検出することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記スクリーニング剤が、前記少なくとも1つの候補細胞を刺激する、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記スクリーニング剤が前記少なくとも1つの候補細胞の発光を増加または減少させ、前記スクリーニング反応が前記少なくとも1つの候補細胞の発光を検出することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
(i)前記方法が、タグ配列を有する核酸タグを増幅し、前記核酸タグの複数のコピーを前記異種細胞の各々に結合させることをさらに含む、又は
(ii)工程(d)が、前記核酸タグは前記固体支持体に結合しているという条件下で、前記固体支持体から個々の前記細胞を除去することと、次いで前記固体支持体に結合した核酸タグの前記タグ配列を配列決定することを含む、又は
(iii)工程(d)が、前記核酸タグをコピーして、前記固体支持体に結合した核酸タグコピーを生成することと、次いで前記固体支持体に結合した核酸タグコピーのタグ配列を配列決定することを含む、又は
(iv)工程(d)が、前記核酸タグをコピーして、前記固体支持体に結合した核酸タグコピーを生成することと、次いで、前記核酸タグコピーが前記固体支持体に結合しているという条件下で、前記固体支持体から個々の前記細胞を除去することと、次いで前記固体支持体に結合した核酸タグの前記タグ配列を配列決定することを含む、
請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体的に、医学的、農業的および工業的用途を有する薬剤(例えば、小分子
、タンパク質または細胞)の発見に関し、より具体的にはそのような用途のための候補薬
剤をスクリーニングするためのプラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハイスループットスクリーニング創薬では、複数の工程とプラットフォームとを
利用して、特定の標的に対する有効性および効力、ならびに分子標的のパネルに対する良
好な毒性プロファイルを示す「リード物質」または「ヒット物質」にふさわしい小分子の
大量のライブラリーをスクリーニングする。
【0003】
この過程の第1工程では、小分子ライブラリーを、ハイスループット様式で所定の標的
に対してスクリーニングする。これらのライブラリーは、典型的には、数十万のオーダー
の化合物である。現在のハイスループット方法論は自動化することができる。ロボット工
学の発展および自動化の結果、高価な機器は、低マイクロリットル範囲の投入試薬の量を
用いて、100,000分子/日をスクリーニングすることができる。アッセイは、均一系また
は不均一系のいずれかであってよく、前者は比較的単純で安価であり、後者はより複雑で
、時間がかかり高価であるが、より精度が高い。
【0004】
最初の小分子スクリーニングアッセイは「ヒット物質」または「リード物質」を同定す
るのに有効であるが、これらのアッセイは通常ほんの第一歩にすぎない。これらのリード
物質またはヒット物質は、典型的には、遺伝毒性、薬理学的毒性、細胞毒性、および生物
細胞毒性に関して、明確な標的に対するプロファイリングアッセイを用いてさらにスクリ
ーニングされ、有害な臨床効果を有し得る候補を排除する。これらのアッセイの各々は、
キュレーションおよびデータマイニングされた独立したワークフローを採用する様々なプ
ラットフォームおよびキットアッセイを用いて独立して行われ、ヒット物質またはリード
物質の有用性についてのコンセンサスを作り出す。
【0005】
タンパク質進化法は、別のタイプのスクリーニングを構成する。これらの方法論は、膨
大な順列のアレイを扱ってきた。これらの方法論の処理量、速さ、およびコストの低さは
、それらを迅速なタンパク質進化の主要な選択肢にしようとする傾向があったが、その方
法はしばしば複雑であり、困難と共になされる。例えば、エマルジョンベースのスクリー
ニングは、液滴の合流/混合(多重スクリーニング用)の困難、エマルジョンの破壊(目
的の成分の回収)の困難、液滴サイズの変化による濃度変動から生じる複雑化、および液
滴の交差汚染を生じる。
【0006】
細胞ベースの治療法は、小分子ベースの治療法またはタンパク質ベースの治療法と比較
して潜在的に有利な治療能力を有する。細胞が外部シグナルを感知し、身体内の特定の部
位に移動し、複数の刺激を統合し、複雑な挙動(特定のエフェクター分子の放出など)で
応答することができるという重要な利点がある。細胞ベースの治療法の可能性を完全に達
成するには、治療細胞を、空間と時間の両方においてその「挙動」を制御できるように正
確に設計することが有効である。
【0007】
細胞工学における現在のワークフローは、典型的には以下の工程を含む:(i)刺激の
感知、統合および応答に関与する細胞内シグナル伝達回路の設計;(ii)細胞内でのそれ
らの機能の媒介に関与する遺伝子を組み込む複雑な遺伝子工学;ならびに(iii)ライブ
ラリー中の全ての細胞の中から、所望の機能を良好に発揮する遺伝子相補体を有するもの
を同定するスクリーニング方法。所望の細胞挙動の複雑さのため、現在のスクリーニング
方法は理想的ではない。例えば:蛍光活性化細胞選別(FACS)ベースの方法は処理量が多
いが、細胞挙動のスナップ写真のみを見る。一方、蛍光顕微鏡法は細胞挙動の動態を詳細
に追従することができるが、処理量が少ない。
【0008】
したがって、小分子、タンパク質、細胞およびその他の薬剤を、有益な特性についてス
クリーニングするためのプラットフォームおよび方法が必要とされている。本開示は、こ
の必要性に対処し、他の利点も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2014/142841 A1号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2010/0111768 A1号明細書
【文献】米国特許第8,951,781号明細書
【文献】米国特許第5,565,324号明細書
【文献】米国特許第5,573,905号明細書
【文献】米国特許第6,060,596号明細書
【文献】米国特許第6,737,236号明細書
【文献】米国特許第7,427,678号明細書
【文献】米国特許第7,375,234号明細書
【文献】米国特許第7,763,736号明細書
【文献】米国特許第8,129,542号明細書
【文献】米国特許第7,259,258号明細書
【文献】米国特許第7,504,499号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0342921A1号明細書
【文献】米国特許第8,460,865号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0059865 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0079923 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0005447 A1号明細書
【文献】国際公開第2008/093098号パンフレット
【文献】米国特許第6,266,459号明細書
【文献】米国特許第6,355,431号明細書
【文献】米国特許第6,770,441号明細書
【文献】米国特許第6,859,570号明細書
【文献】米国特許第6,210,891号明細書
【文献】米国特許第6,258,568号明細書
【文献】米国特許第6,274,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0026082 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0127589 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0137143 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0282617 A1号明細書
【文献】国際公開第00/63437号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2014/0243224 A1号明細書
【文献】米国特許第8,895,249号明細書
【文献】米国特許第8,778,849号明細書
【文献】米国特許第5,641,658号明細書
【文献】米国特許第7,115,400号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/0055100 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0096853 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0002090 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0128624 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0009420 A1号明細書
【文献】国際公開第05/010145号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2005/0130173 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0064460 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0099208 A1号明細書
【文献】米国特許第5,455,166号明細書
【文献】米国特許第5,130,238号明細書
【文献】米国特許第6,214,587号明細書
【文献】国際公開第91/06678号パンフレット
【文献】国際公開第04/018497号パンフレット
【文献】国際公開第07/123744号パンフレット
【文献】米国特許第7,057,026号明細書
【文献】米国特許第7,329,492号明細書
【文献】米国特許第7,211,414号明細書
【文献】米国特許第7,315,019号明細書
【文献】米国特許第7,405,281号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0108082号明細書
【文献】国際公開第2012/058096号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2005/0191698 A1号明細書
【文献】米国特許第7,595,883号明細書
【文献】米国特許第7,244,559号明細書
【文献】米国特許第5,599,675号明細書
【文献】米国特許第5,750,341号
【文献】国際公開第1989/10977号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2010/0092957 A1号明細書
【文献】米国特許第7,960,120号明細書
【文献】米国特許第9,017,623号明細書
【文献】米国特許第8,857,462号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0155295 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0206554 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0227684 A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0378322 A1号明細書
【文献】米国特許第8,637,242号明細書
【文献】米国特許第6,911,132号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0194331号明細書
【文献】国際公開第2007/120241号パンフレット
【文献】米国特許第6,773,566号明細書
【文献】米国特許第6,565,727号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/0205632号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0164490号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0023292号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0283407号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0096266号明細書
【文献】米国特許第7,547,380号明細書
【文献】米国特許第7,163,612号明細書
【文献】米国特許第7,641,779号明細書
【文献】米国特許第6,977,033号明細書
【文献】米国特許第7,328,979号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0039823号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0048951号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0192044号明細書
【文献】米国特許第7,052,244号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0124252号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0321262号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0179746号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0037393 A1号明細書
【文献】米国特許第8,288,103号明細書
【文献】米国特許第8,486,625号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0178285 A1号明細書
【文献】米国特許第9,012,022号明細書
【文献】米国特許第7,741,463号明細書
【文献】米国特許第7,622,294号明細書
【文献】米国特許第8,741,630号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】Bentley et al., Nature 456:53-59 (2008)
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【文献】Sleden et al., J Am Chem Soc 134: 765-8 (2012)
【発明の概要】
【0011】
本開示は、候補薬剤の特性評価方法を提供する。本方法は、以下の工程を含むことがで
きる:(a)候補薬剤のライブラリーを提供する工程であって、各候補薬剤が、タグ配列
を有する核酸タグに結合している工程と;(b)候補薬剤のライブラリーを固体支持体と
接触させて候補薬剤を固体支持体に結合させ、それにより、ライブラリーからの個々の候
補薬剤にそれぞれ結合する個々のフィーチャーを固体支持体上に含む候補薬剤アレイを形
成する工程と;(c)候補薬剤アレイをスクリーニング剤と接触させる工程であって、ア
レイ中の1つ以上の候補薬剤がスクリーニング剤と反応する工程と;(d)アレイのスクリ
ーニング剤との接触の間または接触の後にアレイを検出し、それによりアレイ中の少なく
とも1つの候補薬剤がスクリーニング剤と反応することを判定する工程と;(e)アレイ上
の核酸タグを配列決定し、候補薬剤の各々に結合したタグ配列を決定する工程と;(f)
少なくとも1つの候補薬剤に結合したタグ配列に基づいて、スクリーニング剤と反応する
アレイ中の少なくとも1つの候補薬剤を同定する工程。
【0012】
本開示は、タンパク質アレイの作製方法をさらに提供する。本方法は、以下の工程を含
むことができる:(a)固体支持体に結合したcDNA分子のライブラリーを提供する工程と
;(b)固体支持体上のcDNA分子を増幅してクラスターを形成する工程であって、各クラ
スターがライブラリーからの特定のcDNA分子の複数のコピーを含む工程と;(c)クラス
ターの複数のコピーを転写し、クラスターの各々に結合した複数のmRNA分子を生成する工
程と;(d)クラスターのmRNA分子を翻訳し、クラスターの各々に結合した複数のタンパ
ク質を生成する工程。
【0013】
この開示は、以下の工程を含むタンパク質アレイの作製方法も提供する:(a)mRNA分
子のライブラリーを提供する工程であって、ライブラリー中の個々のmRNA分子が標的配列
およびタグ配列を含んでいる工程、(b)ライブラリーから第1サブライブラリーを得る工
程であって、第1サブライブラリーはタグ配列またはその相補体を有する核酸を含み、核
酸が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合している工程、(c)ライブラリーから第2
サブライブラリーを得る工程であって、第2サブライブラリーは標的配列およびタグ配列
またはその相補体を有する核酸を含んでいる工程、(d)第2サブライブラリーを第1サブ
ライブラリーと接触させ、それにより第2サブライブラリーの核酸を、タグ配列とその相
補体のハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合させる工程と;(e)固体支持
体上の標的配列を翻訳し、個々のフィーチャーに結合したタンパク質のアレイを作製する
工程。
【0014】
この開示によって、細胞のスクリーニング方法も提供される。本方法は、以下の工程を
含むことができる:(a)複数の異種細胞を提供する工程であって、異種細胞の各々がタ
グ配列を有する核酸タグを含んでいる工程と;(b)異種細胞の混合物を固体支持体と接
触させ、固体支持体に結合した細胞のアレイを形成する工程と;(c)固体支持体上の細
胞のアレイを、少なくとも1つの光学特性についてスクリーニングする工程であって、ス
クリーニング反応が、固体支持体に結合した個々の細胞を検出することを含む工程と;(
d)固体支持体に結合した核酸タグのタグ配列を配列決定する工程と;(e)アレイ中の少
なくとも1つの細胞を候補細胞として、候補細胞の光学特性およびタグ配列に基づいて同
定する工程。
【0015】
本開示は、(a)固体支持体と;(b)固体支持体に結合した異種cDNA分子のライブラリ
ーであって、各異種cDNA分子が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合しており、各フ
ィーチャーが特定のcDNA分子の複数のコピーを含むライブラリーと(c)cDNA分子に結合
したmRNA分子であって、cDNA分子の各々が、それぞれの結合したmRNA分子に相補的である
mRNA分子と;(d)mRNA分子に結合したタンパク質分子であって、タンパク質分子の各々
が、それぞれの結合したmRNA分子によってコードされているタンパク質分子を含むアレイ
を提供する。
【0016】
本開示は、(a)mRNA分子のライブラリーであって、ライブラリー中の個々のmRNA分子
が標的配列およびタグ配列を含むライブラリーと、(b)タグ配列の相補体を有する核酸
を含む固体支持体を含み、核酸が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合しており、個
々のmRNA分子のタグ配列が、固体支持体上の個々のフィーチャーのそれぞれの相補的タグ
配列にハイブリダイズし、mRNA分子の翻訳によって得られるタンパク質が、それぞれのmR
NA分子に結合するアレイをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1A~Fは、候補薬剤のハイスループットスクリーニング過程の工程を示す図である。
図2】候補タンパク質薬剤のハイスループット合成およびスクリーニング過程を示す図である。
図3図3A及び3Bは、候補タンパク質薬剤のハイスループットタグ付け、合成およびスクリーニング過程を示す図である。
図4】スクリーニング剤の、フローセルに結合した細胞へのばく露およびスクリーニング剤に対する様々な細胞応答から予想される蛍光対時間のプロットを示す図である。
図5】個々のマイクロウェルに分けられ、次いでマイクロウェル特異的タグでタグ付けされた細胞を示す図である。
図6】コード化されたビーズを用いる固体支持体上の細胞位置の解読を示す図である。
図7】核酸タグを用いる固体支持体上の細胞位置の解読を示す図である。
図8】細胞から固体支持体上の部位への核酸タグの転移と、固体支持体上の核酸タグの配列決定とを示す図である。
図9】細胞膜内の脂肪酸に一対の核酸が結合することによってタグ付けされた細胞を示す図である。
図10】フローセル表面上の核酸タグ付き細胞の捕捉を示す図である。
図11】核酸タグの制限エンドヌクレアーゼ切断によるフローセル表面からの細胞の分離を示す図である。
図12】細胞が得られた容器内の解読されたタグの位置に基づく、フローセル表面上の細胞の同定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この開示は、治療的使用の候補などの、候補薬剤のハイスループットスクリーニングの
ための装置および方法を提供する。本明細書に記載の特定の実施形態は、核酸配列決定技
法および装置を有効に使用する。本明細書に記載の配列決定技法および装置を用いる利点
は、各候補薬剤に会合する核酸を識別することができるように、ならびに、各候補薬剤の
特定の刺激剤に対する応答を固体支持体上で個々に検出することができるように、多数の
異種候補薬剤を空間的に配列できることである。
【0019】
特定の実施形態では、複数の異種候補薬剤がライブラリーに提供され、各候補薬剤は特
有の核酸タグに結合(または別の方法で会合)する。候補薬剤は、限定されないが、核酸
、タンパク質、細胞および小分子を含む任意の様々な単位体であり得る。これらのタグ付
けされた候補薬剤は、個々の成員が、空間分離された候補薬剤のアレイを形成するように
、固体支持体に結合することができる。次いで、候補薬剤アレイを、スクリーニング剤(
または他の刺激剤)に晒すことによってスクリーニングし、候補薬剤の反応を、固体支持
体上の空間分解された位置で検出することができる。1つ以上の「ヒット物質」の位置は
、予想される、所望のまたは特有のシグナルのアレイ上での空間分解検出に基づいて同定
することができる。各タグをアレイ内のその位置に関して同定するために、配列決定反応
をアレイ上で(スクリーニング工程の前後いずれかに)行うこともできる。候補薬剤は、
「ヒット物質」の位置をその位置のタグの同定と相関させることによって同定することが
できる。
【0020】
本明細書に記載の方法または装置において使用されるいくつかの候補薬剤は核酸ベース
であり、例えば、タンパク質および細胞が挙げられる。タンパク質を使用するいくつかの
実施形態では、タンパク質をコードするDNAまたはRNA分子の配列を決定して、あるタンパ
ク質を別のタンパク質と識別することができる。さらに、個々のタンパク質のアミノ酸配
列は、既知の遺伝コードに基づいてRNA配列から推論することができる。しかし、いくつ
かの実施形態では、タンパク質も、タンパク質をコードする核酸も配列決定する必要はな
い。むしろ、各タンパク質は、タンパク質の配列とa prioriに相関しているタグと結合(
または別の方法で会合)することができる。したがって、タグを配列決定することは、あ
るタンパク質を別のタンパク質と識別するのに十分であり得る。同様に、細胞ベースの候
補薬剤は、配列決定されて集団中の個々の細胞を同定することができる核酸を含有する。
さらに、核酸配列を評価し、個々の細胞の有用な特性を決定することができる。ここでも
また、使用タグまたはa prioriに割り当てられたタグは、他の細胞内容物を配列決定する
必要なしに、細胞特性が識別されるのを可能にすることができる。
【0021】
本開示の方法および装置は、候補薬剤の治療的機能についてのスクリーニングに関して
例示されているが、他の機能的または構造的特性をスクリーニングできることが理解され
るであろう。例えば、本方法および装置を使用して、毒性、農業利用(例えば、農薬、成
長因子、ホルモンなど)、工業利用(例えば、触媒、染料、プラスチックなど)、栄養学
(例えば、香料、防腐剤など)、環境浄化についてスクリーニングすることができる。一
般に、本方法および装置を使用して、生物学的機能または非生物学的機能をスクリーニン
グすることができる。
【0022】
本明細書に記載の方法および装置は、ハイスループットスクリーニングの間に定量的な
測定を行うことができるという利点を有する。例えば、市販の配列決定プラットフォーム
、例えばIllumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって商品化されているもの
などは、蛍光シグナルを定量するための比較的広いダイナミックレンジを有する精密光学
部品を含む。さらなる利点は、候補薬剤アレイ中の複数の位置でのスクリーニング反応の
時間的動態を追跡できるということである。対照的に、多くの従来スクリーニングで使用
される流体選別方法は、通過する候補薬剤のスナップ写真のみを提供し、それにより測定
を単一時点に限定する。本明細書に記載の方法および装置は、流体選別技法と同等か、場
合によってはそれよりも優れている処理量を提供するが、スクリーニング結果の時間ベー
スの測定という付加価値がある。本明細書に記載の装置および方法のさらなる利点は、ス
クリーニング結果を検出できることと、スクリーニングからの「ヒット物質」を同定する
ために、タグとスクリーニング結果との空間的相関を与える方法でタグを検出できること
である。
【0023】
本明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、関連技術におけるそれらの通常
の意味を持つと理解される。本明細書で使用されるいくつかの用語およびそれらの意味を
、以下に記載する。
【0024】
本明細書で使用される用語「アンプリコン」は、核酸に関連して使用される場合、核酸
のコピーの産物を意味し、産物は、核酸のヌクレオチド配列の少なくとも一部と同じかま
たは相補的なヌクレオチド配列を有する。アンプリコンは、核酸またはそのアンプリコン
を鋳型として使用する任意の様々な増幅方法によって生成することができ、例えば、ポリ
メラーゼ伸長、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多置換
増幅(MDA)、ライゲーション伸長、またはライゲーション連鎖反応が挙げられる。アン
プリコンは、特定のヌクレオチド配列の単一コピー(例えば、PCR産物)またはヌクレオ
チド配列の複数のコピー(例えば、RCAのコンカテマー産物)を有する核酸分子であり得
る。標的核酸の第1アンプリコンは、典型的には相補的コピーである。続くアンプリコン
は、第1アンプリコンの生成後に、標的核酸からまたはアンプリコンから作製されるコピ
ーである。それに続くアンプリコンは、標的核酸と実質的に相補的であるか、または標的
核酸と実質的に同一である配列を有することができる。
【0025】
本明細書で使用される用語「アレイ」は、相対的位置に応じて互いに区別され得るフィ
ーチャーまたは部位の集団を指す。アレイの異なる部位にある異種分子または他の単位体
は、アレイ内の部位の位置に応じて互いに区別することができる。アレイの個々の部位は
、特定のタイプの1つ以上の分子(または他の単位体)を含むことができる。例えば、一
部位は、特定の配列を有する単一核酸分子を含むことができるか、または一部位は、同じ
配列(および/もしくはその相補的な配列)を有するいくつかの核酸分子を含むことがで
きる。アレイの部位は、同じ基質上に位置する異なるフィーチャーであり得る。例示的な
フィーチャーには、限定されないが、基質内のウェル、基質内もしくは基質上のビーズ(
もしくは他の粒子)、基質からの突起、基質上のリッジまたは基質内のチャネルが挙げら
れる。アレイの部位は、それぞれが異種分子(または他の単位体)を持つ別々の基質であ
り得る。別個の基質に結合した異種単位体は、基質が会合している固体支持体上の基質の
位置に応じて、または液体もしくはゲル中の基質の位置に応じて同定され得る。別個の基
質が固体支持体上に位置する例示的なアレイには、限定されないが、ウェル中にビーズを
有するものが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される用語「結合している」は、2つの物が互いに接合、固定、接着、
接続、または結合している状態を指す。例えば、核酸などの検体は、共有結合または非共
有結合によって、ゲルもしくは固体支持体などの物質に結合することができる。共有結合
は、原子間での電子対の共有を特徴とする。非共有結合は、電子対の共有を伴わない化学
結合であり、例えば水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用およ
び疎水性相互作用を挙げることができる。いくつかの実施形態では、捕捉剤を介して結合
が起こり得る。捕捉剤には、例えば、抗体、受容体、核酸、リガンド、レクチン、炭水化
物、アビジン、ビオチン、またはそれらの類似体を挙げることができる。
【0027】
本明細書で使用される用語「候補薬剤」は、特定の構造または機能を有すると推測され
る単位体を意味することを意図している。例示的な単位体には、限定されないが、分子、
細胞および細胞成分が挙げられる。分子は、タンパク質、アミノ酸、核酸(例えば、DNA
またはRNA)、ヌクレオチド、多糖類、糖類、代謝産物、ビタミン、酵素補因子などの生
物活性分子であってもよい。他の候補薬剤には、大環状分子、環状ペプチド、融合分子(
例えば、核酸-タンパク質融合物)、または提示構築物(例えば、ファージ上のペプチド
)が挙げられる。候補薬剤が保持すると推測される例示的な機能には、限定されないが、
別の薬剤の活性化、別の薬剤の阻害、別の薬剤の化学修飾、別の薬剤の分解、別の薬剤の
合成が挙げられ、ここで、他の薬剤は、候補薬剤であるとして上記に例示した単位体のう
ちの任意の1つ以上であってもよい。候補薬剤の構造は、上記の単位体もしくは当該技術
分野で知られている他の単位体についての、任意の既知構造または推測される構造であり
得る。
【0028】
本明細書で使用される用語「異種」は、核酸に関連して使用される場合、核酸が互いに
同じでないヌクレオチド配列を有することを意味する。2つ以上の核酸は、それらの全長
に沿って異なるヌクレオチド配列を有することができる。あるいは、2つ以上の核酸は、
それらの全長の実質的な部分に沿って異なるヌクレオチド配列を有することができる。例
えば、2つ以上の核酸は、2つ以上の分子に対して異なる標的ヌクレオチド配列部分を有す
ることができ、一方で、2つ以上の分子で同じであるユニバーサル配列部分も有すること
ができる。本用語は、アミノ酸配列の相違に基づいて互いに異なるとして識別可能なタン
パク質にも同様に適用することができる。
【0029】
本明細書で使用される用語「各」は、単位体のコレクションに関連して使用される場合
、コレクション内の個々の単位体を識別することを意図しているが、コレクション内の全
ての単位体を必ずしも指すものではない。明示的な開示または文脈がはっきりと別段に指
示している場合は、例外が生じることがある。
【0030】
本明細書で使用される用語「伸長」は、核酸に関連して使用される場合、少なくとも1
つのヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの核酸への付加を意味することを意図してい
る。特定の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドを、核酸の3'末端に、例えばポリメラ
ーゼ触媒作用(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼもしくは逆転写酵素)を介し
て付加することができる。化学的または酵素的方法を使用して、1つ以上のヌクレオチド
を核酸の3'もしくは5'末端に付加することができる。1つ以上のオリゴヌクレオチドを、
核酸の3'もしくは5'末端に、例えば化学的または酵素的(例えば、リガーゼ触媒作用)方
法を介して付加することができる。核酸は鋳型指向様式で伸長することができ、それによ
り伸長産物は、伸長される核酸にハイブリダイズする鋳型核酸に相補的である。
【0031】
本明細書で使用される用語「フィーチャー」は、特定の種類の分子または細胞のアレイ
における位置を意味する。フィーチャーは、単一分子(または細胞)のみを含有すること
ができるか、または同種のいくつかの分子(もしくは細胞)の集団を含有することができ
る。いくつかの実施形態では、フィーチャーは、分子または細胞を結合させる前に固体支
持体上に存在する。他の実施形態では、分子または細胞の固体支持体への結合によってフ
ィーチャーが作製される。アレイのフィーチャーは、典型的には離散的である。離散的フ
ィーチャーは連続していてもよく、または互いに離間していてもよい。フィーチャーのサ
イズおよび/またはフィーチャー間の間隔は、アレイが高密度、中密度または低密度とな
るように変化させることができる。高密度アレイは、約15μm未満で離間した部位を有す
ることを特徴とする。中密度アレイは、約15~30μmで離間した部位を有し、一方で低密
度アレイは、30μmを超えて離間した部位を有する。本明細書で有用なアレイは、例えば
、100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、または0.5μm未満で離間した部位を有することが
できる。本開示の装置または方法を使用して、上記の密度または密度範囲の部位を識別す
るのに十分な解像度でアレイを検出することができる。
【0032】
本明細書で使用される用語「フローセル」は、反応が実施され得るチャンバー、試薬を
チャンバーに送達するための注入口、およびチャンバーから試薬を除去するための排出口
を有する容器を意味することを意図している。いくつかの実施形態では、チャンバーは、
チャンバー内で生じる反応を検出するように構成される。例えば、チャンバーは、アレイ
、光標識された分子などのチャンバー内での光学的検出を可能にする1つ以上の透明な面
を備えることができる。例示的なフローセルには、限定されないが、核酸配列決定装置で
使用されるフローセルが挙げられ、例えば、Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア
州)によって市販されているGenome Analyzer(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSe
q(登録商標)もしくはHiSeq(登録商標)プラットホーム用の;またはLife Technologie
s(カールズバッド、カリフォルニア州)によって市販されているSOLiD(商標)もしくは
Ion Torrent(商標)配列決定プラットフォーム用のフローセルなどが挙げられる。例示
的なフローセルならびにそれらの製造方法および使用方法は、例えば、各々が参照により
本明細書に組み込まれる特許文献1、特許文献2および特許文献3にも記載されている。
【0033】
本明細書で使用される用語「ライブラリー」は、いくつかの異種単位体を含むコレクシ
ョンを意味することを意図している。コレクション内の単位体は、構造および/または機
能が異なる場合がある。例えば、コレクションは、異なるヌクレオチド配列を有する核酸
を含み得るか、またはコレクションは、異なる一次構造(すなわち、アミノ酸配列)、二
次構造、三次構造または四次構造を有するタンパク質を含み得る。しかし、ライブラリー
内には単位体のいくつかの冗長性が存在し得ることが理解されるであろう。例えば、多種
多様な異種核酸またはタンパク質を含むライブラリーであっても、特定の核酸またはタン
パク質の複数のコピーが存在し得る。ライブラリーに存在し得る例示的な単位体のタイプ
には、候補薬剤またはスクリーニング剤に関して本明細書に記載されるものを挙げること
ができる。
【0034】
本明細書で使用される用語「発光性」は、コールド体放射線を放出することを意味する
。本用語は、加熱の結果として物質から放出される放射線である白熱とは区別されること
を意図する。一般に発光は、エネルギー源が、原子の電子を、その最も低いエネルギーの
基底状態からより高いエネルギーの励起状態に移して;その後その電子が、基底状態に戻
れるように放射線の形でエネルギーを返したときに生じる。特に有用な発光単位体のタイ
プは、エネルギーが励起放射線によって提供された際にコールド体放射線を放出するもの
である。そのような単位体は、「蛍光性」または「光輝性」と称される。蛍光またはフォ
トルミネッセンスは、別の波長で単位体を照射した結果である波長の単位体による放射線
の放出として知覚され得る。
【0035】
本明細書で使用される用語「核酸」および「ヌクレオチド」は、当該技術分野でのそれ
らの使用と一致することと、天然に存在する種またはそれらの機能的類似体を含むことを
意図している。特に有用な核酸の機能的類似体は、配列特異的な様式で核酸にハイブリダ
イズすることができるか、または特定のヌクレオチド配列の複製の鋳型として使用するこ
とができる。天然に存在する核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有する主鎖を有
する。類似構造は、代替の主鎖連鎖を有することができ、当該技術分野で知られている任
意の様々なものが挙げられる。天然に存在する核酸は、一般にデオキシリボース糖(例え
ばデオキシリボ核酸(DNA)に見られる)またはリボース糖(例えばリボ核酸(RNA)に見
られる)を有する。核酸は、当該技術分野で知られているこれらの糖成分の任意の様々な
類似体を有するヌクレオチドを含有することができる。核酸は、天然ヌクレオチドまたは
非天然ヌクレオチドを含み得る。これに関して、天然デオキシリボ核酸は、アデニン、チ
ミン、シトシンまたはグアニンからなる群より選択される1つ以上の塩基を有することが
でき、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシンまたはグアニンからなる群より選択さ
れる1つ以上の塩基を有することができる。核酸またはヌクレオチドに含めることができ
る有用な非天然塩基は、当該技術分野で知られている。
【0036】
本明細書で使用される用語「ピッチ」は、アレイのフィーチャーに関連して使用される
場合、隣接するフィーチャーの中心間距離を指すことを意図している。フィーチャーのパ
ターンは、平均ピッチの観点から特徴付けることができる。パターンは、平均ピッチの周
りの変動係数が小さくなるように並べることができるか、またはパターンをランダムにす
ることができ、その場合変動係数は比較的大きくなり得る。いずれの場合でも、平均ピッ
チは、例えば、少なくとも約10nm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、100μmまたは
それ以上であり得る。その代わりに、またはそれに加えて、平均ピッチは、例えば、最大
で約100μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、0.1μmまたはそれ以下であり得る。当然なが
ら、特定のフィーチャーのパターンの平均ピッチは、上記範囲から選択された下限値のう
ちの1つと上限値のうちの1つの間にあり得る。
【0037】
本明細書で使用される用語「タンパク質」または「アミノ酸」は、当該技術分野でのそ
れらの使用と一致することと、天然に存在する種またはそれらの機能的類似体を含むこと
を意図している。天然に存在するタンパク質は、一般に、ペプチド結合を含有する主鎖を
有する。類似構造は、代替の主鎖連鎖を有することができ、当該技術分野で知られている
任意の種々のものが挙げられる。天然に存在するタンパク質は、一般に、アルギニン、ヒ
スチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン
、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロ
イシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンから選択される天然
アミノ酸、および天然に存在するそれらの修飾を有する。いくつかの天然に起こる修飾に
は、(例えば、セリン、スレオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸およびグルタミン酸の
)リン酸化、プレニル化、イソプレニル化、アシル化、アルキル化、グリコシル化、ビオ
チン化、ユビキチン化などが挙げられる。タンパク質は、非天然成分を有する天然アミノ
酸を含むことができる。タンパク質は、天然または非天然アミノ酸を含むことができる。
【0038】
本明細書で使用される用語「反応する」は、第1薬剤および第2薬剤に関連して使用され
る場合、薬剤の一方または両方の化学構造を修飾する作用、2つの薬剤間に1つ以上の共有
結合を作り出す作用、試薬の一方がもう一方の薬剤の化学構造の修飾を触媒することを可
能にする作用、または2つの薬剤を特異的に結合させる作用(例えば、非共有結合性相互
作用を介して)を指す。例示的な反応には、限定されないが、還元、酸化、付加、脱離、
転位、エステル化、アミド化、エーテル化、環化、もしくは置換などの化学反応;第1薬
剤が第2薬剤に特異的親和性で結合する結合性相互作用;2つ以上の薬剤が互いから離れる
解離反応;蛍光;発光;化学発光;および核酸複製、核酸増幅、核酸ハイブリダイゼーシ
ョン、核酸ライゲーション、リン酸化、酵素触媒、受容体結合、またはリガンド結合など
の生物学的反応が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される用語「組み換え」は、天然に存在しない遺伝子構築物を指すこと
を意図している。一例は、1つより多い起源由来の遺伝物質を組み合わせた産物である。
例示的な組み換え分子には、限定されないが、DNA、RNAおよびタンパク質が挙げられる。
組み換え分子が由来し得る起源には、例えば、異なる生物体由来の類似の遺伝要素、同じ
生物体由来の異なる遺伝要素、異なる生物体由来の異なる遺伝要素、合成遺伝要素、また
は合成および天然遺伝要素の組み合わせが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される用語「スクリーニング剤」は、第2候補薬剤と比較して第1候補薬
剤に対して選択的な構造または機能を有する単位体を意味することを意図している。多く
の実施形態では、スクリーニング剤の構造または機能は、本開示の方法または組成物にお
けるその使用の前に知られている。例示的な単位体には、限定されないが、分子、細胞お
よび細胞成分が挙げられる。分子は、タンパク質、アミノ酸、核酸(例えば、DNAまたはR
NA)、ヌクレオチド、多糖類、糖類、代謝産物、ビタミン、酵素補因子などの生物活性分
子であってもよい。例示的な選択的機能には、限定されないが、別の薬剤の活性化、別の
薬剤の阻害、別の薬剤の化学修飾、別の薬剤の分解、別の薬剤の合成が挙げられる;ここ
で他の薬剤は、候補薬剤であるとして上記で例示した単位体のうちの任意の1つ以上であ
り得る。スクリーニング剤の構造は、上記の単位体または当該技術分野で知られている他
の単位体として任意の既知構造もしくは推測される構造であり得る。
【0041】
本明細書で使用される、第2の物と比較して第1の物を「選択的に」操作すること(また
は、その「選択的」操作)への言及は、操作が第2の物に対する影響と比較して第1の物に
対してより大きな影響を及ぼすことを意味することを意図している。操作は、第2の物に
何ら影響を与える必要はない。操作は、第1の物に対して、第2の物に対する影響よりも少
なくとも1%、10%、50%、90%、または99%大きい影響を及ぼし得る。操作は、第1の物に対
して、第2の物に対する影響よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、100倍、1x103倍、1x104
または1x106倍大きい影響を及ぼし得る。操作には、例えば、修飾、接触、処理、変換、
(例えば化学結合の)開裂、(例えば、化学結合の)光化学的開裂、(例えば化学結合の
)形成、(例えば、化学結合の)光化学形成、共有結合性修飾、非共有結合性修飾、破壊
、光剥離、除去、合成、重合、光重合、(例えば、核酸の)増幅、(例えば、核酸の)コ
ピー、(例えば、核酸の)伸長、(例えば、核酸の)ライゲーション、または本明細書に
記載されているか、そうでなければ当該技術分野で知られている他の操作を挙げることが
できる。
【0042】
本明細書で使用される用語「小分子」は、約1000ダルトン未満の分子量を有する化合物
を意味することを意図している。特定の実施形態では、小分子は非重合性である。しかし
、小分子は、他の実施形態では、二量体または三量体であり得る。小分子は、重合体に取
り込まれることができる単量体であり得ることも理解されるであろう。特に有用な小分子
は有機化合物である。有用な小分子は、900、800、600、400、200または100ダルトン未満
の分子量を有することができる。
【0043】
本明細書で使用される用語「固体支持体」は、水性液体に不溶である硬質基質を指す。
基質は、非多孔質または多孔質であり得る。基質は、場合によっては(例えば多孔性のた
めに)液体を吸収することができ得るが、典型的には、液体を吸収した際に基質が実質的
に膨潤せず、乾燥によって液体が除去された際に実質的に収縮しない程度に十分に硬い。
非多孔性固体支持体は、一般に、液体または気体に対して不透過性である。例示的な固体
支持体には、限定されないが、ガラスおよび変性もしくは官能化ガラス、プラスチック(
例えば、アクリル、ポリスチレンおよびスチレンと他の物質の共重合体、ポリプロピレン
、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、Teflon(商標)、環状オレフィン、ポリ
イミドなど)、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor、シリカもしくはケイ素および変性
ケイ素を含むシリカベースの物質、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバー束ならびにポ
リマーが挙げられる。いくつかの実施形態に特に有用な固体支持体は、フローセルの構成
要素であるか、またはフローセル装置内に配置される。例示的なフローセルを、本明細書
においてさらに詳細に記載する。
【0044】
本明細書で使用される用語「サブライブラリー」は、ライブラリーからの単位体または
ライブラリーからの単位体のコピーを含む表現を有するコレクションを意味することを意
図している。サブライブラリー内の表現は、ライブラリー内の表現と比べて、完全であっ
ても部分的であってもよい。サブライブラリーは、ライブラリーから単位体の少なくとも
一部を分離することによって、またはライブラリー内の単位体の少なくともいくつかのコ
ピーを作ることによって得ることができる。
【0045】
本明細書中で使用される用語「タグ配列」は、核酸に結合した(または会合した)薬剤
を同定または特性評価するために使用され得る核酸中の一連のヌクレオチドを意味するこ
とを意図している。タグ配列は、天然に存在する配列、またはその核酸が得られた生物体
において天然に存在しない配列であり得る。特定の実施形態では、生体試料と共に使用さ
れる1つ以上のタグ配列は、その生体試料のゲノム、トランスクリプトームまたは他の核
酸において天然には存在しない。例えば、タグ配列は、特定の生体試料中の核酸配列に対
して80%、70%、60%、50%または40%未満の配列同一性を有することができる。
【0046】
本明細書で使用される用語「ユニバーサル配列」は、2つ以上の核酸分子について、分
子が互いに異なる配列領域を有する場合であっても、共通している一連のヌクレオチドを
指す。分子のコレクションの異なる成員において存在するユニバーサル配列は、ユニバー
サル配列に相補的なユニバーサル捕捉核酸の集団を用いて、複数の異種核酸の捕捉を可能
にすることができる。同様に、分子のコレクションの異なる成員において存在するユニバ
ーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的なユニバーサルプライマーの集団を用いて、複
数の異種核酸の複製または増幅を可能にすることができる。したがって、ユニバーサル捕
捉核酸またはユニバーサルプライマーは、ユニバーサル配列に特異的にハイブリダイズす
ることができる配列を含む。
【0047】
以下に記載され、特許請求の範囲に列挙される実施形態は、上記の定義を考慮して理解
され得る。
【0048】
本開示は、候補薬剤の特性評価方法を提供する。本方法は、以下の工程を含むことがで
きる:(a)候補薬剤のライブラリーを提供する工程であって、各候補薬剤が、タグ配列
を有する核酸タグに結合している工程と;(b)候補薬剤のライブラリーを固体支持体と
接触させて候補薬剤を固体支持体に結合させ、それにより、ライブラリーからの個々の候
補薬剤にそれぞれ結合する個々のフィーチャーを固体支持体上に含む候補薬剤アレイを形
成する工程と;(c)候補薬剤アレイをスクリーニング剤と接触させる工程であって、ア
レイ中の1つ以上の候補薬剤がスクリーニング剤と反応する工程と;(d)アレイのスクリ
ーニング剤との接触の間または接触の後にアレイを検出し、それによりアレイ中の少なく
とも1つの候補薬剤がスクリーニング剤と反応することを判定する工程と;(e)アレイ上
の核酸タグを配列決定し、候補薬剤の各々に結合したタグ配列を決定する工程と;(f)
少なくとも1つの候補薬剤に結合したタグ配列に基づいて、スクリーニング剤と反応する
アレイ中の少なくとも1つの候補薬剤を同定する工程。
【0049】
任意の様々な候補薬剤を、本明細書に記載の方法で使用することができる。いくつかの
実施形態では、候補薬剤は、タンパク質、核酸、細胞または小分子からなる群より選択さ
れる。いくつかの実施形態では、使用される候補薬剤は、タンパク質、核酸、細胞または
小分子などの単位体の1つ以上のタイプを除外することが理解されるであろう。方法また
は組成物に含めることができるか、またはそれらから除外することができるこれらのタイ
プの単位体の例を、本開示を通じて記載する。
【0050】
有用な候補薬剤は、生物活性を有する分子か、または有すると推測される分子であり得
る。例示的な生物活性には、限定されないが、治療活性、毒性、ホルモン活性、生体分子
または細胞の活性化、生体分子または細胞の阻害、抗生物質活性、抗ウイルス活性、農薬
活性、精神薬理作用もしくは免疫作用などの生物体またはその器官への作用が挙げられる
。特に有用な種類の候補薬剤は、酵素阻害剤または酵素活性剤であり、例えば、本明細書
に記載の酵素を標的とするものが挙げられる。また、細胞シグナル伝達の候補活性剤、ま
たは細胞シグナル伝達の候補阻害剤も有用である。しかし、いくつかの実施形態では、候
補薬剤は、生物活性を有する必要はなく、生物活性を有すると推測される必要もない。場
合によっては、候補薬剤は非生物活性を有するか、または有すると推測されることになる
。非生物的であり得る活性の例には、限定されないが、工業的触媒、食品保存、石油処理
、ポリマー合成などが挙げられる。
【0051】
候補薬剤は、重合性であっても非重合性であってもよい。特に有用な重合体には、限定
されないが、タンパク質、核酸、多糖類、タンパク質核酸(PNA)およびプラスチックが
挙げられる。有用な非重合性分子には、例えば、脂質、アミノ酸、ヌクレオチド、酵素補
因子、代謝産物、単糖類および他の小分子が挙げられる。
【0052】
候補薬剤として有用なタンパク質の例には、限定されないが、抗体;オキシドレダクタ
ーゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、キナー
ゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、リグニ
ナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、パパイン、
レニン、ヒストン修飾酵素もしくはエステラーゼなどの酵素;またはG-共役受容体、細胞
表面受容体、免疫受容体、感覚受容体および核内ホルモン受容体などの受容体が挙げられ
る。
【0053】
別の特に有用な種類の候補薬剤は、例えば、限定されないが、以下を含む生物体に由来
する細胞が挙げられる細胞である:齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、有蹄
類、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ネコ、イヌ、霊長類(すなわち、ヒトもしくは非
ヒト霊長類)などの哺乳類;シロイヌナズナ、トウモロコシ、モロコシ、オートムギ、コ
ムギ、イネ、アブラナ、もしくはダイズなどの植物;緑藻クラミドモナスなどの藻類;エ
レガンス線虫などの線虫;キイロショウジョウバエ、蚊、ミバエ、ミツバチもしくはクモ
などの昆虫;ゼブラフィッシュなどの魚類;爬虫類;カエルもしくはアフリカツメガエル
などの両生類;キイロタマホコリカビ;ニューモシスチス・カリニ、トラフグ、酵母、サ
ッカラモナス・セレビシエもしくはシゾサッカロマイセス・ポンベなどの真菌;または熱
帯熱マラリア原虫。他の生物体には、細菌、大腸菌、ブドウ球菌もしくは肺炎マイコプラ
ズマなどの原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルスもしくはヒト免疫不全ウイルスなどのウ
イルス;またはウイロイドが挙げられる。細胞は、上記の生物体の均質培養物もしくは集
団、あるいはいくつかの異種生物体のコレクション、例えば混合培養物、共同体もしくは
生態系に由来し得る。
【0054】
本明細書で使用される候補薬剤は天然に存在するものであってよく、例えば、天然の集
団から収穫されるものであってよい。例えば、候補薬剤は、多細胞生物または共同体から
単離された遺伝的に天然の細胞であり得る。同様に、1つ以上の遺伝的に天然の細胞また
は生物体から得られたタンパク質、核酸または他の生体分子を使用することができる。あ
るいは、候補薬剤は合成されてもよく、または天然薬剤の改変された変異体であってもよ
い。例えば、遺伝子操作された細胞、タンパク質または核酸が、本明細書に記載の方法に
おいて使用され得る。候補薬剤として使用される細胞または細胞成分は、単細胞生物また
は多細胞生物に由来し得る。特定の実施形態では、幹細胞、免疫細胞またはこれらの細胞
型の1つ以上に由来する生体成分を、候補薬剤として本明細書で使用することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、候補薬剤の合成と並行して核酸タグを合成することができる
。例えば、コンビナトリアルケミストリー手法を用いて候補薬剤のライブラリーを合成す
ることができ、特定のヌクレオチド(またはヌクレオチド配列)を加えて、多くの異種化
学成分のいずれがライブラリーの各成員に付加されるかを示すことができる。したがって
、特定の候補薬剤に結合したタグ中のヌクレオチド配列は、特定の候補薬剤の合成履歴、
その特定の候補薬剤の化学構造を決定するために任意に使用され得る情報を提供する。結
合およびコンビナトリアル合成方法に使用される化学物質は、例えば、各々が参照により
本明細書に組み込まれる特許文献4;特許文献5または特許文献6に記載されている。
【0056】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態は、候補薬剤のライブラリーをコンビナトリア
ル合成する工程を含み、ここで、各候補薬剤で実施されるコンビナトリアル合成の個々の
反応は、1つ上のヌクレオチドの特有のシグネチャーの、上記候補薬剤の各々に結合した
核酸タグへの付加によって追跡され、それにより候補薬剤のライブラリーを提供し、ここ
で各候補薬剤は特有の核酸タグに結合している。
【0057】
核酸タグを候補薬剤に、核酸および使用中の特定のタイプの候補薬剤との使用に適した
当該技術者分野で知られている任意の様々な化学物質を用いて結合させることができる。
特定の実施形態では、核酸タグは候補薬剤に共有結合する。候補薬剤が核酸であるか、ま
たは核酸によってコードされる場合、連続核酸は、タグ配列および候補薬剤配列を含むこ
とができる。化学的方法を用いて、核酸タグを、候補薬剤として働くか、または候補薬剤
をコードする別の核酸に共有結合させることも可能である。核酸タグを候補薬剤に(候補
薬剤が核酸または他の種であろうとなかろうと)結合させるのに適した化学物質には、例
えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHSエステル)、イミドエステル、ヒドラ
ジン、カルボジイミド、マレイミド、ハロアセチル、ピリジニルジスルフィド、ジアジリ
ン、クリック化学物質(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献7;
特許文献8;特許文献9;特許文献10;または特許文献11を参照)またはスルフヒド
リルが挙げられる。他の有用な化学物質には、核酸をビーズまたは他の固体支持体に結合
させるために使用されているものが挙げられ、各々が参照により本明細書に組み込まれる
特許文献12または特許文献13に記載されている通りである。
【0058】
タグ配列は、任意の様々な長さであり得る。より長い配列は、一般に、集団に対してよ
り多くのおよび多様なタグを収容することができる。一般に、複数の全プローブは(異な
る配列ではあるが)同じ長さのタグを有することになるが、異なる長さのタグを異なるプ
ローブに使用することも可能である。タグ配列は、少なくとも2、4、6、8、10、12、15、
20またはそれ以上の長さのヌクレオチドであり得る。その代わりに、またはそれに加えて
、タグ配列の長さは、最大で20、15、12、10、8、6、4またはそれ以下のヌクレオチドで
あり得る。使用され得るタグ配列の例は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込ま
れる特許文献14および特許文献15に記載されている。
【0059】
本開示の方法は、候補薬剤のライブラリーを固体支持体と接触させ、候補薬剤を固体支
持体に結合させる工程を含むことができる。その結果、候補薬剤のアレイを支持体上に形
成することができ、そのアレイは、それぞれがライブラリーからの個々の候補薬剤に結合
する個々のフィーチャーを含んでいる。
【0060】
任意の様々な固体支持体を使用することができる。特に有用な固体支持体は、核酸アレ
イに使用されるものである。例としては、ガラス、変性ガラス、官能化ガラス、無機ガラ
ス、マイクロスフェア(例えば不活性および/または磁性粒子)、プラスチック、多糖類
、ナイロン、ニトロセルロース、セラミック、樹脂、シリカ、シリカベースの物質、炭素
、金属、光ファイバーまたは光ファイバー束、重合体およびマルチウェル(例えば、マイ
クロタイター)プレートが挙げられる。例示的なプラスチックには、アクリル、ポリスチ
レン、スチレンと他の物質の共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、
ポリウレタンおよびTeflon(商標)が挙げられる。例示的なシリカベースの物質には、ケ
イ素および様々な形態の変性ケイ素が挙げられる。
【0061】
特定の実施形態では、固体支持体は、ウェル、チューブ、チャネル、キュベット、ペト
リ皿、ボトルなどの容器内にあり得るか、またはその一部であり得る。特に有用な容器は
、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1;特許文献2および特許
文献3、または非特許文献1に記載のようなフローセルである。例示的なフローセルは、
Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって市販されているGenome Analyze
r(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)もしくはHiSeq(登録商標)プ
ラットホームなどの配列決定プラットフォームでの使用のためのフローセルである。別の
特に有用な容器は、マルチウェルプレートまたはマイクロタイタープレート中のウェルで
ある。
【0062】
任意に、固体支持体はゲルコーティングを含むことができる。核酸の固体支持体へのゲ
ルを介した結合は、Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から市販されている
フローセルによって例示されるか、または、各々が参照により本明細書に組み込まれる特
許文献16、特許文献17、特許文献18もしくは特許文献19に記載されている。本明
細書に記載の方法および装置において使用され得る例示的なゲルには、限定されないが、
アガロースなどのコロイド構造;ゼラチンなどのポリマーメッシュ構造;またはポリアク
リルアミド、SFA(例えば、参照により本明細書に組み込まれる特許文献16を参照)も
しくはPAZAM(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献17、もしく
は特許文献18を参照)などの架橋ポリマー構造を有するものが挙げられる。ゲルを使用
して、候補薬剤に直接(例えば、ゲルと候補薬剤との間の共有結合を介して)結合させる
か、または、候補薬剤に既に結合している相補的核酸へのゲル結合核酸のハイブリダイゼ
ーションを介して結合させることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、核酸および/または候補薬剤を結合させるこ
とができるフィーチャーのアレイとして構成され得る。特定の実施形態では、各フィーチ
ャーは、1つだけの候補薬剤を収容することになるか、さもなければ候補薬剤の特定の混
合物の単一種を含有するように構成されることになる。フィーチャーは、任意の様々な所
望の形式で存在することができる。例えば、フィーチャーは、ウェル、ピット、チャネル
、リッジ、隆起領域、ペグ、ポストなどであり得る。いくつかの実施形態では、フィーチ
ャーはビーズを含有することができる。しかし、特定の実施形態では、フィーチャーはビ
ーズまたは粒子を含む必要はない。例示的なフィーチャーには、454 LifeSciences(Roch
eの子会社、バーゼル、スイス)またはIon Torrent(Life Technologiesの子会社、カー
ルズバッド、カリフォルニア州)によって販売される商業的配列決定プラットフォームに
使用される基質に存在するウェルが挙げられる。ウェルを有する他の基質には、例えば、
エッチングされた光ファイバー、および各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文
献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23;特許文献24;特許文献25;特
許文献26;特許文献27;特許文献28;特許文献29;特許文献30または特許文献
31に記載の他の基質が挙げられる。いくつかの実施形態では、基質のウェルは、参照に
より本明細書に組み込まれる特許文献32に記載のようなゲル物質(ビーズの有無にかか
わらない)を含み得る。
【0064】
固体支持体上のフィーチャーは、上記で例示したガラス、プラスチックまたは他の物質
などの非金属表面上の金属フィーチャーであり得る。金属フィーチャーを有する例示的な
固体支持体およびその製造方法は、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献3
3または特許文献32に記載されている。
【0065】
フィーチャーは、スポットまたはパッチの格子として固体支持体に表示される。フィー
チャーは、反復パターンまたは不規則な非反復パターンで配置され得る。特に有用な反復
パターンは、六角形パターン、直線パターン、格子パターン、鏡映対称性を有するパター
ン、回転対称性を有するパターンなどである。非対称パターンも有用であり得る。ピッチ
は、最も近い隣接フィーチャーの異なる対の間で同じであってもよく、またはピッチは、
最も近い隣接フィーチャーの異なる対の間で変化してもよい。
【0066】
高密度アレイは、約15μm未満の平均ピッチ(隣接フィーチャーについて)を有するこ
とを特徴とする。中密度アレイは約15~30μmの平均ピッチを有し、低密度アレイは30μm
を超える平均ピッチを有する。本発明に有用なアレイは、100μm、50μm、10μm、5μm、
1μmまたは0.5μm未満の平均ピッチを有し得る。上記または本明細書の他の場所に記載の
平均ピッチ値および範囲は、秩序アレイまたはランダムアレイに適用可能であることを意
図している。
【0067】
特定の実施形態では、固体支持体上のフィーチャーは、各々が約100nm2、250nm2、500n
m2、1μm2、2.5μm2、5μm2、10μm2、100μm2、または500μm2以上の面積を有し得る。
その代わりに、またはそれに加えて、フィーチャーは、各々が約1mm2、500μm2、100μm2
、25μm2、10μm2、5μm2、1μm2、500nm2、または100nm2以下の面積を有し得る。上記範
囲は、上から見た際または上から撮像した際の固体支持体上のビーズまたは他の粒子の見
掛け領域を表すことができる。
【0068】
特定の実施形態では、固体支持体は、ビーズまたは他の粒子のコレクションを含むこと
ができる。表面上に配置されたビーズを有するアレイの例には、BeadChip(商標)アレイ
(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州)などのビーズがウェルに位置するもの
、454 LifeSciences(Rocheの子会社、バーゼル、スイス)からの配列決定プラットフォ
ームで使用される基質、またはIon Torrent(Life Technologiesの子会社、カールズバッ
ド、カリフォルニア州)の配列決定プラットフォームで使用されている基質が挙げられる
。ビーズを表面上に有する他の固体支持体は、各々が参照により本明細書に組み込まれる
特許文献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23;特許文献24;特許文献2
5;特許文献26;特許文献27;特許文献28;特許文献29;特許文献30または特
許文献31に記載されている。上記参考文献のいくつかは、ビーズを固体支持体の中また
は上に充填する前に、核酸をビーズに結合させる方法を記載している。このように、ビー
ズのコレクションは、各々が結合した特有の核酸を有する異種ビーズを含むことができる
。しかし、ユニバーサルプライマーを含むようにビーズを作製することができ、次いでビ
ーズをアレイ上に充填することができ、それにより本明細書に記載の方法で使用するユニ
バーサルアレイを形成できることが理解されるであろう。候補薬剤を、ビーズが固体支持
体に充填される前または後に、ビーズに結合させることができる。先に述べたように、ビ
ーズアレイに典型的に使用される固体支持体は、ビーズなしで使用することができる。例
えば、核酸(プローブもしくはプライマーなど)または候補薬剤は、ウェルに直接結合さ
せることができるか、またはウェル中のゲル物質に結合させることができる。したがって
、上記参考文献は、本明細書に記載の方法および組成物における使用のために改変するこ
とができる物質、組成物または装置の実例である。
【0069】
したがって、本明細書に記載の方法で使用される固体支持体は、異種候補薬剤または異
種核酸がアレイ中の異種ビーズに結合されているビーズアレイを含むことができる。この
実施形態では、各ビーズを異種候補薬剤または核酸に結合させることができ、異種核酸を
固体支持体に効果的に結合させるために、ビーズを固体支持体上にランダムに分布させる
ことができる。任意に、固体支持体は、単一ビーズまたは単一候補薬剤だけを収容する寸
法を有するウェルを含むことができる。そのような構成では、ビーズは、ウェル内にビー
ズがはめ込まれることによって生じる力のために、ウェルに結合することがある。また、
結合性化学物質または接着剤を使用して、ビーズをウェル内に保持することも可能である
【0070】
固体支持体は、複数の核酸または候補薬剤を含むことができるか、または固体支持体を
本明細書に記載の方法により作製し、複数の核酸または候補薬剤を結合させることができ
る。例えば、固体支持体は、少なくとも10、100、1×103、1×104、1×105、1×106、1×
107、1×108、1×109もしくはそれ以上の異種核酸または候補薬剤を含み得る。その代わ
りに、またはそれに加えて、固体支持体は、最大で1×109、1×108、1×107、1×106、1
×105、1×104、1×103、100、10もしくはそれ以下の異種核酸または候補薬剤を含み得る
。異種核酸または候補薬剤の各々は、例えば、候補薬剤の核酸成分が増幅されてクラスタ
ーを形成する場合、いくつかのコピーで存在し得ることが理解されるであろう。したがっ
て、上記範囲は、固体支持体上の異種候補薬剤または核酸クラスターの数を表すことがで
きる。また、上記範囲は、特定の核酸または候補薬剤に特有のものとして、本明細書に記
載される異種タグ、または他の配列要素の数を表せることも理解されるであろう。その代
わりに、またはそれに加えて、その範囲は、本明細書に記載の方法を用いて固体支持体上
に作製された伸長核酸または修飾候補薬剤の数を表すことができる。
【0071】
フィーチャーは、固体支持体を核酸または候補薬剤と接触させる前に、固体支持体上に
存在し得る。例えば、核酸または候補薬剤がプライマーへのハイブリダイゼーションを介
して支持体に結合する実施形態では、フィーチャーの外側の間質領域は実質的にいずれの
プライマーも欠くのに対して、プライマーをフィーチャーに結合させることができる。核
酸または候補薬剤を、固体支持体上の予め形成されたフィーチャーで捕捉することができ
、場合によっては、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献33、特許文献3
4、または特許文献32に記載の方法を使用して固体支持体上で増幅させることができる
【0072】
いくつかの実施形態では、核酸タグおよび/または候補薬剤の固体支持体への結合の間
または結合の後にフィーチャーが形成される。例えば、固体支持体はプライマーのローン
を有していてもよく、そうでなければフィーチャーを欠いていてもよい。この場合、核酸
または候補薬剤を固体支持体上に結合させることによってフィーチャーを形成することが
できる。任意に、得られたクラスターがフィーチャーとなるように、捕捉された核酸を固
体支持体上で増幅することができる。結合は、プライマーと別の核酸の相補的部分との間
の捕捉として上記で例示されているが、プライマー以外の捕捉成分は、予め形成されたフ
ィーチャーにまたはローンとして存在し得ることが理解されるであろう。他の例示的な捕
捉成分には、限定されないが、核酸もしくは候補薬剤と反応して共有結合を生成すること
ができる化学成分、または核酸もしくは候補薬剤上のリガンドに非共有結合することがで
きる受容体が挙げられる。
【0073】
特定の実施形態では、核酸プライマーは固体支持体に結合することになる。結合した核
酸タグを有する候補薬剤ライブラリーは、結合した核酸プライマーへの核酸タグのハイブ
リダイゼーションを介して固体支持体に結合することができる。例えば、核酸タグはユニ
バーサルプライマー結合配列を含むことができ、核酸プライマーはユニバーサルプライマ
ー配列を含むことができ、候補薬剤は、ユニバーサルプライマー結合配列のユニバーサル
プライマー配列へのハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合することができる
。ユニバーサルプライマーの代替として、固体支持体は、特定のタグ配列にハイブリダイ
ズする標的特異的プライマーを含むことができる。
【0074】
フィーチャー当たり単一の候補薬剤のアレイは、候補薬剤の固体支持体への結合によっ
て形成することができる。したがって、固体支持体上の1つ以上のフィーチャーは、それ
ぞれが単一の候補薬剤(例えば、単一分子、単一細胞または他の単一単位体)を含むこと
ができる。フィーチャーは、いくつかの実施形態では、特定のタイプの単一候補薬剤だけ
を収容するように構成され得る。しかし、フィーチャーが1つより多い候補薬剤を収容す
ることができるか否かにかかわらず、フィーチャーはそれでもなお、単一候補薬剤だけ、
b個だけの単一核酸タグ、または単一候補薬剤および単一核酸酸タグの両方だけを含んで
よい。あるいは、個々のフィーチャーは、複数の候補薬剤および/または核酸タグを含む
ことができる。例えば、個々のフィーチャーは、互いに同じ配列を有する核酸分子の集合
体および/またはタンパク質の集合体を含むことができる。特定の実施形態では、集合体
は単一の核酸鋳型からの増幅によって生成され、例えば各フィーチャーに結合したクラス
ターとしてアンプリコンを生成する。
【0075】
本明細書に記載の方法は、任意の様々な増幅技法を使用することができる。使用され得
る例示的な技法には、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサー
クル増幅(RCA)、多置換増幅(MDA)、またはランダムプライム増幅(RPA)が挙げられ
る。いくつかの実施形態では、増幅を溶液中で行うことができる。好ましくは、本開示の
方法で使用される増幅技法は固相上で行われることになる。特に、固体支持体に結合し、
核酸タグにハイブリダイズする1つ以上のプライマー種(例えば、核酸タグ中に存在する1
つ以上のユニバーサルプライマー結合部位に対するユニバーサルプライマー)を、増幅技
法で伸長することができる。固相PCRの実施態様を例に取ると、増幅に使用されるプライ
マーの一方または両方を固体支持体に(例えばゲルを介して)結合させることができる。
固体支持体に結合した2種のプライマーを利用する形式は、二本鎖アンプリコンが、コピ
ーされた鋳型配列に隣接する2つの固体支持体結合プライマー間にブリッジ様構造を形成
するため、ブリッジ増幅と称されることが多い。ブリッジ増幅に使用され得る例示的な試
薬および条件は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献35、特許
文献36、特許文献33、特許文献37、特許文献38、特許文献39、特許文献40ま
たは特許文献41に記載されている。固体支持体に結合した増幅プライマーの1つと、溶
液中の第2プライマーを用いて、固相PCR増幅を行うこともできる。固体支持体結合プライ
マーと可溶性プライマーとの組合せを使用する例示的な形式は、エマルジョンPCRにおい
て使用される形式であり、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献
2、特許文献42、または特許文献43または特許文献44に記載の通りである。エマル
ジョンPCRはその形式の例証であり、本明細書に記載の方法の目的については、エマルジ
ョンの使用は任意であり、実際にいくつかの実施形態ではエマルジョンを使用しないこと
が理解されるであろう。
【0076】
RCA技法を、本開示の方法での使用のために改変することができる。RCA反応に使用され
得る例示的な成分およびRCAがアンプリコンを生成する原理は、例えば、各々が参照によ
り本明細書に組み込まれる非特許文献3および特許文献45に記載されている。RCAに使
用されるプライマーは、溶液中に存在していてもよく、または固体支持体に結合していて
もよい。プライマーは、本明細書に記載のユニバーサルプライマーのうちの1つ以上であ
り得る。
【0077】
MDA技法を、本開示の方法での使用のために改変することができる。MDAのいくつかの基
本原理および有用な条件は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文
献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;特許文献46;特許文献47;特許
文献48に記載されている。MDAに使用されるプライマーは、溶液中に存在していてもよ
く、または増幅部位で固体支持体に結合していてもよい。この場合も、プライマーは、本
明細書に記載のユニバーサルプライマーのうちの1つ以上であり得る。
【0078】
特定の実施形態では、上に例示した増幅技法の組み合わせを使用することができる。例
えば、RCAおよびMDAを組み合わせて使用することができ、ここでRCAを使用してコンカテ
マーアンプリコンを溶液中に生成する(例えば溶液相プライマーを使用して)。次いで、
アンプリコンを、固体支持体に結合したプライマー(例えば、ユニバーサルプライマー)
を用いるMDAの鋳型として使用することができる。この例では、RCAとMDAを組み合わせた
工程の後に生成されるアンプリコンが固体支持体に結合することになる。
【0079】
本開示の方法は、候補薬剤アレイをスクリーニング剤または刺激剤と接触させる工程を
含むことができる。アレイ中の1つ以上の候補薬剤は、場合によってはスクリーニング剤
と反応してもよく、または刺激剤に応答してもよい。その結果、1つ以上の候補薬剤をヒ
ット物質として分類することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、1つ以上の候補薬剤に結合することに
よって、または候補薬剤と候補薬剤に対する親和性を有する検体との間の結合を遮断する
ことによって、アレイ中の1つ以上の候補薬剤と反応することになる。アレイを検出し、
スクリーニング剤が結合しているフィーチャーを同定することができる。例えば、スクリ
ーニング剤は、例えばスクリーニング剤上に存在する標識のために検出可能なシグナルを
生成することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、候補薬剤が存在するアレイ上の1つ以
上のフィーチャーを修飾することになる。例えば、スクリーニング剤は、候補薬剤、スク
リーニング剤またはその両方を化学修飾することによって、候補薬剤と反応することがで
きる。アレイを検出し、修飾が加えられたフィーチャーを同定することができる。特に、
修飾は、例えば候補薬剤が存在するフィーチャーに結合している標識のために検出可能な
シグナルを生成することができる。例示的な修飾には、以下が挙げられる:候補薬剤が存
在するフィーチャーへの標識成分の付加;候補薬剤が存在するフィーチャーへの親和性成
分の付加であって、親和性成分を標識に結合させること;候補薬剤が存在するフィーチャ
ーにおける蛍光消光剤の除去であって、消光剤の除去により発光シグナルを生じさせるこ
と;候補物質が存在するフィーチャーへの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーまたは
アクセプター成分の添加であって、その添加でフィーチャーから放出される見掛けの発光
波長を変化させること;候補薬剤が存在するフィーチャーからの標識成分の除去;候補薬
剤が存在するフィーチャーからの親和性成分の除去であって、親和性成分を標識に結合さ
せること;候補薬剤が存在するフィーチャーからの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナ
ーまたはアクセプター成分の除去であって、その除去でフィーチャーから放出される見掛
けの発光波長を変化させることなど。
【0082】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、アレイ中の1つ以上の候補薬剤と反応
して検体を生成することになる。アレイを検出し、検体が生成されたフィーチャーを同定
することができる。例えば、検体は、検出可能なシグナルを生成することができる。生成
され得る例示的な検体には、発光標識、検出可能な受容体のリガンド、酵素により使用さ
れて検出可能な生成物を生成する基質などが挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、候補薬剤のライブラリーと直接接触す
る必要はない。むしろ、捕捉剤をスクリーニング剤と接触させて捕捉生成物を生成し、次
いで捕捉生成物を候補捕捉剤のコレクションと接触させることができる。別の実施形態で
は、捕捉剤を候補薬剤のコレクションと接触させて捕捉生成物を生成し、次いで捕捉生成
物をスクリーニング剤と接触させることができる。捕捉生成物を使用する実施形態によっ
て例示されるように、スクリーニング剤を候補薬剤について所望のもしくは推測される構
造または機能を示すのに有用なものとするために、スクリーニング剤を候補薬剤と直接接
触させる必要はない。
【0084】
本明細書に記載の方法は、アレイをスクリーニング剤と接触させる間またはその後に、
候補薬剤アレイを検出する工程をさらに含み、それによりアレイ中の少なくとも1つの候
補薬剤がスクリーニング剤と反応することを判定することができる。アレイが結合される
固体支持体は、本明細書に記載の任意の様々な状態であり得る。例えば、固体支持体は候
補薬剤を、それに結合した核酸タグと共に含むことができる。あるいは、固体支持体は、
核酸タグを含まなくてもよく、代わりに候補薬剤から核酸タグを除去した後の状態にある
。核酸(例えば、タグおよび/または核酸ベースの候補薬剤)は、検出工程中は単一分子
形態または集合体形態であり得る。さらなる実施形態では、固体支持体は候補薬剤を含ま
なくてもよく、代わりに候補薬剤を除去した後の状態にある。したがって、検出は、本明
細書に記載の方法の任意の様々な時点で行うことができる。
【0085】
任意の様々なシグナルを、本明細書に記載のスクリーニング工程で検出することができ
、例えば、放射線の吸光度、発光、発光寿命、発光偏光などの光シグナル;レーリーおよ
び/またははミー散乱;磁気特性;電気特性;電荷;質量;放射能などが挙げられる。本
明細書に記載の方法で検出され得る例示的な標識には、限定されないが、フルオロフォア
、発光団、発色団、ナノ粒子(例えば、金、銀、カーボンナノチューブ)、重原子、放射
性同位元素、質量標識、電荷標識、スピン標識、受容体、リガンドなどが挙げられる。
【0086】
特定の実施形態は画像技術を使用する。当該技術分野で知られている検出装置を用いて
画像を得ることができる。例としては、光、明視野、暗視野、位相コントラスト、蛍光、
反射、干渉、または共焦点画像化用に構成された顕微鏡が挙げられる。特定の実施形態で
は、蛍光顕微鏡(例えば、共焦点蛍光顕微鏡)を用いて、例えば蛍光標識によって蛍光を
発するスクリーニング剤(または他の検体)を検出することができる。蛍光標本はまた、
Illumina社(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって市販されているGenome Analyze
r(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)もしくはHiSeq(登録商標)プ
ラットフォーム装置;またはLife Technologies(カールズバッド、カリフォルニア州)
によって市販されているSOLiD(商標)配列決定プラットフォームなどの蛍光検出用の光
学部品を有する核酸配列決定装置を用いて、画像化され得る。使用され得る他の結像光学
系には、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献1、特許文献49、特許文
献50または特許文献51;特許文献52、特許文献53、特許文献54、特許文献55
または特許文献56、および特許文献57に記載の検出装置において見られるものが挙げ
られる。
【0087】
固体支持体の画像を所望の分解能で得て、例えば、固体支持体上のアレイ中の候補薬剤
を識別することができる。したがって、分解能は、少なくとも0.5μm、1μm、5μm、10μ
m、50μm、100μm、500μm、1mmまたはそれ以上で離間したアレイのフィーチャーを識別
するのに十分なものであり得る。その代わりに、またはそれに加えて、分解能は、最大で
1mm、500μm、100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、0.5μmまたはそれ以下で離間したア
レイのフィーチャーを識別するように設定することができる。
【0088】
本開示の方法は、核酸タグを配列決定して、固体支持体(例えば、アレイ)上の候補薬
剤に結合したタグ配列を決定する工程を含むことができる。多くの実施形態では、候補薬
剤はアレイ中にランダムに配置され、配列決定反応は、異種候補薬剤の各々を特定する情
報を提供する。配列決定は、候補薬剤およびその核酸タグが結合している固体支持体上で
行うことができる。したがって、核酸タグは、その配列を決定するために固体支持体から
除去される必要はない。場合によっては、核酸タグで配列決定反応を行う前に、候補薬剤
を固体支持体から除去してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、候補薬剤は核酸であるか、または候補薬剤をコードする核酸
に結合している。そのような実施形態では、配列決定技術を用いて候補薬剤の配列を決定
することができる。配列決定は、候補薬剤が結合している固体支持体上で行うことができ
る。候補薬剤およびその核酸タグを、一緒に配列決定する(例えば、連続配列決定読み取
りにおいて)、または別々に配列決定することができる(例えば、タグの配列決定と候補
薬剤の配列決定との間で非配列決定工程を実施することができる)。
【0090】
本開示の方法は、時間ベースの検出または候補薬剤アレイの反応速度測定を採用するこ
とができる。したがって、アレイの検出は、複数の時点でアレイ上の個々のフィーチャー
のうちの1つ以上についてシグナルを取得することを含むことができる。本明細書に記載
の任意の様々なシグナルおよび標識は、時間ベースの分析または反応速度分析で検出する
ことができる。
【0091】
本開示の方法は、核酸タグを配列決定して、アレイ中の候補薬剤に結合したタグ配列を
決定する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、候補薬剤は核酸であり、候
補薬剤はそれが結合する核酸によってコードされる(例えば、mRNAまたはcDNAに結合した
タンパク質候補薬剤)か、または候補薬剤は核酸を含有する(例えば、核酸を含有する細
胞)。合成時配列決定(SBS)技法などの配列決定技法は、特に有用な方法である。
【0092】
SBSは、以下のようにして行うことができる。第1SBSサイクルを開始するために、1つ以
上の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、SBSプライマーなどを、固体支持体上の1つ以
上のフィーチャー(例えば、核酸が固体支持体に結合しているフィーチャー(単数または
複数))と接触させることができる。SBSプライマー伸長が標識ヌクレオチドの組み込み
をもたらしたフィーチャーを検出することができる。任意に、ヌクレオチドは、ヌクレオ
チドがSBSプライマーに添加された時点でさらなるプライマー伸長を終結させる可逆的終
結成分を含むことができる。例えば、可逆的終結成分を有するヌクレオチド類似体をプラ
イマーに添加し、非ブロック化剤が送達されてその成分を除去するまで、その後の伸長が
起こらないようにすることができる。したがって、可逆的終結を使用する実施形態では、
非ブロック化剤を固体支持体に送達することができる(検出が起こる前または後に)。様
々な送達工程の間に洗浄を行うことができる。次いで、このサイクルをn回繰り返してプ
ライマーをnヌクレオチド伸長させ、それにより長さnの配列を検出することができる。本
開示の組成物、装置または方法での使用に容易に適用することができる例示的なSBS手順
、流体システムおよび検出プラットフォームは、例えば、各々が参照により本明細書に組
み込まれる非特許文献1、特許文献49、特許文献50または特許文献51;特許文献5
2、特許文献53、特許文献54、特許文献55または特許文献56、および特許文献5
7に記載されている。
【0093】
パイロ配列決定などの、環状反応を使用する他の配列決定法を使用することができる。
パイロ配列決定は、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に組み込まれる際の無機ピロリン酸
(PPi)の放出を検出する(各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献8;非
特許文献9;非特許文献10;または特許文献24、特許文献25もしくは特許文献26
)。パイロ配列決定では、放出されたPPiは、ATPスルフリラーゼによってアデノシン三リ
ン酸(ATP)に直ちに変換されることによって検出することができ、生成されたATPのレベ
ルはルシフェラーゼ産生光子を介して検出することができる。したがって、配列決定反応
は、発光検出システムを介して観察することができる。蛍光ベースの検出システムに使用
される励起放射線源は、必ずしもパイロ配列決定手順に必要ではない。パイロ配列決定を
本開示の装置、組成物または方法に適用する際に使用され得る有用な流体システム、検出
器および手順は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献58、特許
文献59、特許文献60または特許文献61に記載されている。
【0094】
ライゲーション時配列決定反応も有用であり、例えば、各々が参照により本明細書に組
み込まれる非特許文献11;または特許文献62もしくは特許文献63に記載のものが挙
げられる。いくつかの実施形態は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる非
特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;または特許文献64に記載のようにハ
イブリダイゼーション時配列決定手順を含むことができる。ライゲーション時配列決定お
よびハイブリダイゼーション時配列決定手順の両方において、アレイの部位に存在する核
酸は、オリゴヌクレオチド送達および検出の反復サイクルにかけられる。本明細書または
本明細書で引用した参考文献に記載の組成物、装置または方法は、ライゲーション時配列
決定またはハイブリダイゼーション時配列決定手順に容易に適合させることができる。典
型的には、オリゴヌクレオチドを蛍光標識し、本明細書または本明細書で引用した参考文
献のSBS手順に関して記載されたものと同様の蛍光検出器を用いて検出することができる
【0095】
いくつかの配列決定の実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイム観察を伴う方
法を利用することができる。例えば、ヌクレオチド取り込みは、フルオロフォア担持ポリ
メラーゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作
用、またはゼロモード導波路(ZMW)によって検出することができる。FRETベースの配列
決定の技法および試薬は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献
15;非特許文献16;非特許文献17に記載されている。
【0096】
いくつかの配列決定の実施形態は、ヌクレオチドの伸長産物への組み込みの際に放出さ
れるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Io
n Torrent(ギルフォード、コネチカット州、Thermo Fisher子会社)から市販されている
電気検出器および関連技法、または各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献2
7;特許文献28;特許文献29;もしくは特許文献30に記載の配列決定法およびシス
テムを使用することができる。
【0097】
本開示の方法は、1つ以上の候補薬剤を固体支持体から除去する工程をさらに含むこと
ができる。特定の実施形態では、フィーチャーの核酸タグを配列決定する前に、候補薬剤
をアレイのフィーチャーから除去することができる。これは、候補薬剤が配列決定技法に
干渉する場合、または配列決定技法で使用される試薬から候補薬剤を保護することが望ま
しい場合に有益であり得る。いくつかの実施形態では、スクリーニングにおいてヒット物
質として同定された1つ以上の候補薬剤をアレイから選択的に除去することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、候補薬剤は、それを固体支持体に結合させているテザーを切
断することによって除去することができる。例えば、候補薬剤は、それが結合している核
酸タグを介して固体支持体につながれていてもよい。タグ核酸が、相補的核酸へのハイブ
リダイゼーションによって支持体に結合する場合、ハイブリッド複合体を変性させること
によって除去を達成することができる。あるいは、核酸タグは、候補薬剤への結合点とタ
グ配列との間に位置する切断部位を含むことができる。このように、候補薬剤を、切断部
位を標的とする切断反応によってタグ配列から分離することができる。いくつかの方法で
は、増幅または修飾工程の間に、切断部位を核酸に導入することができる。例えば、切断
部位を、伸長工程の間に伸長プライマーに導入することができる。
【0099】
例示的な切断部位には、限定されないが、結合切断をもたらす化学的、酵素的または物
理的過程を受け易い成分が挙げられる。例えば、その位置は、エンドヌクレアーゼによっ
て認識されるヌクレオチド配列であり得る。適切なエンドヌクレアーゼおよびそれらの認
識配列は、当該技術分野でよく知られており、多くの場合市販されている(例えば、New
England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ州;ThermoFisher、ウォルサム、マサチ
ューセッツ州またはSigma Aldrich、セントルイス、ミズーリ州から)。特に有用なエン
ドヌクレアーゼは、核酸中の結合部位に対して3'側の離れた部位で核酸鎖の結合を切断し
、その例にはII型またはII型制限エンドヌクレアーゼが挙げられる。
【0100】
光解離性成分は、有用な切断部位を提供する。例示的な光解離性成分には、限定されな
いが、(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)エチル)エステル(すなわちDMNPE)および
(1-(2-ニトロフェニル)エチル)エステル(すなわちNPE)が挙げられる。参照により本明
細書に組み込まれる非特許文献18を参照。他の光解離性成分、ならびにその合成および
使用のための方法は、各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献49または特許
文献65に記載されている。光解離性成分は、候補薬剤の個々のフィーチャーからの標的
切断に有利に使用することができる。空間分解放射線(例えば、レーザー、集束光源およ
び/または空間フィルタ/マスクからの)を使用して、特定の候補薬剤が光解離性成分を
介して繋がれている個々のフィーチャーにアドレスすることができる。その結果、特定の
候補薬剤を選択的に除去することができる(同じアレイ上の他のフィーチャーの候補薬剤
と比較して)。
【0101】
いくつかの実施形態では、切断部位は、脱塩基部位であるか、または脱塩基部位を作る
ために除去されやすい塩基を有するヌクレオチドである。脱塩基部位を形成するために除
去されやすいヌクレオチドの例には、ウラシルおよび8-オキソ-グアニンが挙げられる。
特定の実施形態では、New England Biolabsから入手可能なUSER(商標)試薬が使用され
る。核酸を切断するために使用され得る切断部位および方法の他の例は、例えば、参照に
より本明細書に組み込まれる特許文献66に記載されている。
【0102】
本開示は、タンパク質アレイの作製方法をさらに提供する。本方法は、以下の工程を含
むことができる:(a)固体支持体に結合したcDNA分子のライブラリーを提供する工程と
;(b)固体支持体上のcDNA分子を増幅してクラスターを形成する工程であって、各クラ
スターがライブラリーからの特定のcDNA分子の複数のコピーを含む工程と;(c)クラス
ターの複数のコピーを転写し、クラスターの各々に結合した複数のmRNA分子を生成する工
程と;(d)クラスターのmRNA分子を翻訳し、クラスターの各々に結合した複数のタンパ
ク質を生成する工程。
【0103】
この開示は、以下の工程を含むタンパク質アレイの作製方法も提供する:(a)mRNA分
子のライブラリーを提供する工程であって、ライブラリー中の個々のmRNA分子が標的配列
およびタグ配列を含んでいる工程、(b)ライブラリーから第1サブライブラリーを得る工
程であって、第1サブライブラリーはタグ配列またはその相補体を有する核酸を含み、核
酸が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合している工程、(c)ライブラリーから第2
サブライブラリーを得る工程であって、第2サブライブラリーは標的配列およびタグ配列
またはその相補体を有する核酸を含んでいる工程、(d)第2サブライブラリーを第1サブ
ライブラリーと接触させ、それにより第2サブライブラリーの核酸を、タグ配列とその相
補体のハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合させる工程と;(e)固体支持
体上の標的配列を翻訳し、個々のフィーチャーに結合したタンパク質のアレイを作製する
工程。
【0104】
ゲノムDNA(gDNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)またはコピーDNA(cDNA)分子のライ
ブラリーは、1つ以上の目的のタンパク質を発現する1つ以上の生物体に由来し得る。例え
ば、所望のタンパク質または所望の活性を有するタンパク質を発現することが推測される
生物体からライブラリーを得ることができる。本明細書に記載のもののような当該技術分
野で知られている任意の生物体を使用することができる。この生物体は、工業的、治療的
、診断的または予後的関心のものであり得る。例えば、ライブラリーは人体から得ること
ができ、予後または診断目的のためにスクリーニングすることができる。あるいは、生物
体は、治療効果をもたらす遺伝子または工業的用途を有する遺伝子を発現すると推測され
るものであってもよい。いくつかの実施形態では、ライブラリーは、非ヒト生物体から得
られるか、そうでなければ非ヒト起源である。
【0105】
いくつかの用途では、gDNA、mRNAまたはcDNA分子のライブラリーは、組み換え生物体の
ライブラリーで発現される単一遺伝子の変異体を含む。そのような変異体は、限定されな
いが、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献19および非特許文献20に
記載のものが挙げられる既知のタンパク質工学技法を用いて作製することができる。例え
ば、変異体を、遺伝子の全部または一部のランダム突然変異誘発によって生成することが
できる。セミランダム突然変異誘発技法も使用することができる。
【0106】
本明細書に記載の方法において発現される遺伝子(例えば、mRNA、cDNAまたはタンパク
質として)は、抗体、酵素、受容体、キナーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、プロテ
アーゼ、エステラーゼ、核内ホルモン受容体、ヒストン修飾酵素および本明細書で例示さ
れる他のものからなる群より選択され得る。遺伝子は組み換え体であってよく、例えば、
遺伝子の天然の供給源とは異なる生物体において発現されるか、または遺伝子にとって天
然ではない修飾を有する。特定の実施形態では、gDNA、mRNA、cDNAまたはタンパク質ライ
ブラリーは、クローニングまたは発現用に一般的に使用される細菌、酵母、昆虫、哺乳動
物または他の細胞系から単離することができる。
【0107】
ライブラリーのそれぞれ個々の成員がタンパク質コード配列およびタグ配列を含むよう
に、異種核酸(例えば、gDNA、mRNAまたはcDNA)のライブラリーを構築することができる
。タグ配列を、各タンパク質コード配列にランダムにまたは系統的に割り当てる(すなわ
ち、既知タグが既知変異体とa prioriに関連している)ことができる。一例として、タン
パク質もコードすることになる核酸構築物を合成する際に、ランダムヌクレオチドをタグ
領域の1つ以上の位置に組み込むことによって、タグをランダムに割り当てることができ
る。別の例では、平均して各タンパク質コード核酸が特有のタグ配列にライゲーションす
るように、異種核酸タグの集団を異種タンパク質コード核酸の集団にランダムにライゲー
ションさせることができる。系統的なタグ付けの例として、特定のタグの核酸構築物への
合成は、それが構築物中にあるタンパク質コード配列中の突然変異または変異体とa prio
riに相関するような方法で行うことができる。
【0108】
本明細書に記載の方法は、ライブラリーから第1および第2サブライブラリーを得る工程
を含むことができる。いくつかの実施形態では、サブライブラリーは、ライブラリーから
画分を除去することによって、またはライブラリーを物理的に分割することによって得ら
れる。一般に、ライブラリーは、各候補薬剤の複数のコピーを含む液体であろう。gDNA、
mRNA、cDNA、大環状分子、環状ペプチド、融合分子(例えば、核酸-タンパク質融合)、
提示構築物(例えば、ファージ上のペプチド)またはタンパク質などの、任意の様々な候
補薬剤を使用することができる。したがって、流体を分画または分割することによって得
られるサブライブラリーは、ほぼ同じ内容物を有すると予想される。場合によっては、複
数のコピーを作製するために、増幅工程を核酸ライブラリー(例えば、DNAまたはRNAライ
ブラリー)で実施することができる。
【0109】
gDNA、mRNA、cDNAまたはタンパク質ライブラリーを、本明細書の他の箇所に記載の方法
を用いて固体支持体に結合させることができる。特定の実施形態では、mRNA分子ライブラ
リーが使用され、ここでmRNA分子の各々は、候補薬剤をタグ配列と共にコードする配列を
含む。第1サブライブラリーは、ライブラリーのmRNA分子を固体支持体と接触させてmRNA
分子を固体支持体に結合させることを含む方法によって得られる。例えば、固体支持体は
、固体支持体に結合した核酸プライマーを有することができ、mRNA分子は、核酸プライマ
ーとのハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合することができる。より具体的
な例として、mRNA分子はユニバーサルプライマー結合配列を含むことができ、核酸プライ
マーはユニバーサルプライマー配列を含み、mRNA分子はユニバーサルプライマー結合配列
のユニバーサルプライマー配列へのハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合す
ることができる。次いで、結合したmRNA分子を固体支持体上でコピーまたは増幅し、タグ
配列の相補体を生成することができる。次いで、第1サブライブラリーと同じライブラリ
ーに由来する第2サブライブラリーを、第1サブライブラリーのアンプリコン(またはコピ
ー)と接触させ、それにより第2サブライブラリーの核酸を、タグ配列とその相補体のハ
イブリダイゼーションを介して固体支持体に結合させることができる。このようにして、
固体支持体を、スクリーニング反応または翻訳に利用可能なmRNA分子のライブラリーを含
むように改変し、第2サブライブラリーのmRNA分子によって発現されるタンパク質のライ
ブラリーを生成する。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1核酸または第2核酸サブライブラリーの1つを、溶液中で
コピーまたは増幅することができる。このようにして増幅またはコピーされたサブライブ
ラリーは、他のサブライブラリーのタグ配列にハイブリダイズすることができる相補的タ
グ配列を含むことになる。サブライブラリーのいずれかを固体支持体に結合させることが
でき、他方のサブライブラリーをハイブリダイズさせ、スクリーニング反応、mRNAを産生
する転写反応および/またはタンパク質ライブラリーを生成する翻訳反応に利用可能な核
酸分子ライブラリーを有する固体支持体を作製することができる。
【0111】
mRNAライブラリーを利用する実施形態では、ライブラリー中の個々のmRNA分子の一部ま
たは全部を逆転写してcDNAを生成することを含む方法によって、第1サブライブラリーを
得ることができる。逆転写は、溶液中または固体支持体上で起こり得る。次いで、得られ
たcDNA分子を溶液中または固体支持体上で増幅することができる。したがって、ライブラ
リー中に存在するタグ配列の相補体を有するcDNA分子を生成することができる。場合によ
っては、cDNA分子は、mRNA分子の一部分だけ、例えば、マルチドメインタンパク質の特定
のドメインまたはドメインのサブセットを発現する部分だけを含むことができる。
【0112】
本発明の方法は、cDNAをmRNAに転写する工程を含むことができる。転写は、各々が参照
により本明細書に組み込まれる非特許文献19および非特許文献20の文献に記載のよう
な既知のカクテル、または市販されているカクテルを使用して行うことができる。特定の
実施形態では、転写は、支持体に結合したcDNA分子上で行われる。転写反応のmRNA産物は
、それらが生成されるフィーチャーに結合することができる。例えば、本明細書の実施例
2に記載の技法を用いて結合を達成することができる。また、タンパク質を、それらをコ
ードするDNA分子に結合させること(例えば、直接結合またはエマルジョン液滴中の共局
在化によって)も有用であり得る。タンパク質は、それらをコードするDNA分子に近接し
て結合させることもできる(例えば、核酸プログラム型タンパク質アレイ(NAPPA))。
【0113】
本発明の方法は、mRNAをタンパク質に翻訳する工程を含むことができる。翻訳は、各々
が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献19および非特許文献20に記載のよう
な既知のカクテル、または市販されているカクテルを使用して行うことができる。特定の
実施形態では、翻訳は、支持体に結合したmRNA分子上で行われる。翻訳反応のタンパク質
産物は、それらが生成されるフィーチャーに結合することができる。例えば、本明細書の
実施例2に記載の技法を用いて結合を達成することができる。
【0114】
本明細書に記載のタンパク質アレイの作製方法を、タンパク質のスクリーニング方法に
使用することができる。本方法は、以下の工程を含むことができる:(i)タンパク質ア
レイを作製する工程と;(ii)タンパク質アレイをスクリーニング剤と接触させる工程で
あって、アレイ中の1つ以上のタンパク質がスクリーニング剤(または刺激剤)と反応す
る工程と;(iii)スクリーニング剤(または刺激剤)との接触の間または接触の後にタ
ンパク質アレイを検出し、それによりアレイ中の少なくとも1つのタンパク質がスクリー
ニング剤(または刺激剤)と反応することを判定する工程。
【0115】
特定の実施形態では、スクリーニング剤は、1つ以上のタンパク質に結合することによ
って、またはタンパク質とタンパク質に対する親和性を持つ検体間の結合を遮断すること
によって、1つ以上のタンパク質と反応する。アレイの検出は、1つ以上のタンパク質に結
合しているスクリーニング剤を検出することを含むことができる。例えば、スクリーニン
グ剤は発光性であってもよく、アレイ上の発光を検出することによって検出を行うことが
できる。
【0116】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、1つ以上のタンパク質を化学修飾する
ことによって、1つ以上のタンパク質と反応する。この場合、アレイの検出は、1つ以上の
修飾されたタンパク質を検出することによって達成することができる。例えば、1つ以上
の修飾されたタンパク質は発光性であってもよく、アレイ上の発光を検出することによっ
て検出を達成することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、スクリーニング剤は、検体生成物を生成することによって、
1つ以上のタンパク質と反応する。この場合、アレイの検出は、検体生成物を検出するこ
とを含む。例えば、検体生成物は発光性であってもよく、アレイ上の発光を検出すること
によって検出を実施することができる。
【0118】
本明細書において先に記載したように、アレイの検出は、複数の時点でアレイ上の個々
のフィーチャーのうちの1つ以上についてシグナルを取得することを含むことができる。
【0119】
gDNA、cDNAまたはmRNA分子の一部であるタグ配列は、本明細書に記載の方法または当該
技術分野で知られている方法を用いて配列決定することができる。例えば、配列決定反応
は、スクリーニングが実施されているか、実施されたか、または実施される予定の固体支
持体上で実施することができる。したがって、本明細書に記載の方法は、固体支持体上の
タグ配列またはその相補体を配列決定し、それにより固体支持体上の個々のフィーチャー
でのタグ配列またはその相補体の位置を決定する工程を含むことができる。そのような方
法は、少なくとも1つのタンパク質に結合したタグ配列に基づいて、スクリーニング剤と
反応するアレイ中の少なくとも1つのタンパク質を同定する工程をさらに含むことができ
る。
【0120】
本明細書に記載の方法は、固体支持体上の候補gDNA、cDNAまたはmRNAを配列決定する工
程をさらに含むことができる。したがって、1つ以上の配列決定反応を固体支持体上で行
い、タグ配列の同一性および/または候補配列の同一性を決定し、それにより固体支持体
上の個々のフィーチャーでの所望の候補薬剤の位置を決定することができる。
【0121】
場合によっては、gDNA、cDNAまたはmRNAは、配列決定法の平均読み取り長より長くても
よい。そのような場合、候補核酸を複数の配列決定操作にかけ、それぞれで異種プライマ
ーを用いることができる。例えば、第1配列決定操作は、本明細書に記載の配列決定方法
論およびプラットフォームまたは本明細書に組み込まれる参考文献において一般的に使用
されるユニバーサルプライミング配列にハイブリダイズするプライマーを使用することが
できる。第1配列決定プライマーがハイブリダイズした位置の下流にハイブリダイズする
第2配列決定プライマーを用いて、次の配列決定操作を行うことができる。鋳型核酸の重
複するまたは隣接する読み取りを得られるように、プライマーを、配列決定操作の予想さ
れる読み取り長に従って配置することができる。候補核酸の所望の領域(単数または複数
)をカバーするのに十分な数の配列決定プライマーについて、複数の配列決定操作を繰り
返すことができる。
【0122】
候補核酸が、配列決定法の平均読み取り長よりも長い場合の別の選択肢は、カセット手
法を使用することである。カセット手法では、核酸の小さな領域またはドメインが、候補
核酸において突然変異または修飾される。カセットは、1回の配列決定操作で読み込むの
に十分短いように選択することができる。カセットの上流にある候補核酸の領域がライブ
ラリーの全成員において均一である限り、それはユニバーサルプライミング部位としての
役割を効果的に果たし、配列決定プライマーは、カセットでの局在配列決定のために、こ
の領域にハイブリダイズすることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、候補gDNA、cDNAまたはmRNAを配列決定する必要はない。むし
ろ、タグの配列決定が候補核酸を同定するのに十分であるように、タグ配列は既知候補核
酸配列とa prioriに関連付けられていてもよい。候補核酸と、それがコードするタンパク
質と、またはタンパク質の特性とを同定するために、特定のフィーチャーに存在するタグ
のa prioriな知識を、スクリーニング工程においてフィーチャーから観察されるシグナル
と相関させることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、候補核酸(例えば、gDNA、cDNAまたはmRNA)またはタンパク
質は、それを固体支持体に結合させるテザーを切断することによって除去することができ
る。例えば、そのような候補薬剤は、タグ配列を介して固体支持体に繋がれてもよい。切
断部位は、候補薬剤への結合点とタグ配列との間に位置することができる。このように、
候補薬剤を、切断部位を標的とする切断反応によってタグ配列から分離することができる
。例示的な切断部位には、限定されないが、本明細書の他の箇所に記載されているか、そ
うでなければ当該技術分野で知られているものが含まれる。
【0125】
したがって、本開示の方法は、アレイの1つ以上のフィーチャーに結合したgDNA、cDNA
、mRNAまたはタンパク質分子を選択的に除去する工程を含むことができる。選択的除去に
は、例えば、本明細書の他の場所に記載の試薬および方法を使用した、分子をフィーチャ
ーに結合させる光解離性結合の光媒介性切断を挙げることができる。
【0126】
本開示は、(a)固体支持体と;(b)固体支持体に結合した異種cDNA分子のライブラリ
ーであって、各異種cDNA分子が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合しており、各フ
ィーチャーが特定のcDNA分子の複数のコピーを含むライブラリーと;(c)cDNA分子に結
合したmRNA分子であって、cDNA分子の各々が、それぞれの結合したmRNA分子に相補的であ
るmRNA分子と;(d)mRNA分子に結合したタンパク質分子であって、タンパク質分子の各
々が、それぞれの結合したmRNA分子によってコードされるタンパク質分子を含むアレイを
提供する。
【0127】
本開示は、(a)mRNA分子のライブラリーであって、ライブラリー中の個々のmRNA分子
が標的配列およびタグ配列を含むライブラリーと、(b)タグ配列の相補体を有する核酸
を含む固体支持体を含み、核酸が固体支持体上の個々のフィーチャーに結合しており、個
々のmRNA分子のタグ配列が、固体支持体上の個々のフィーチャーのそれぞれの相補的タグ
配列にハイブリダイズし、mRNA分子の翻訳によって得られるタンパク質が、それぞれのmR
NA分子に結合するアレイをさらに提供する。
【0128】
本開示のアレイは、本明細書に記載の方法の1つ以上の工程から生じる成分を含むこと
ができる。例えば、例えばgDNA、cDNAまたはmRNA種などの核酸は、本明細書に記載の方法
に従って固体支持体に結合させることができる。同様に、タンパク質は、本明細書に記載
の方法に従って固体支持体に結合させることができる。特定の実施形態では、実施例2お
よび3に記載のように、cDNAを固体支持体に結合させ、コードされたmRNAをcDNAに結合さ
せ、コードされたタンパク質をmRNAに結合させることができる。これらの実施例に記載の
ように、cDNAを介する結合は任意であり、代わりにmRNAを固体支持体に結合させることが
でき(例えば、相補的タグへのハイブリダイゼーションまたは他の結合方法を介して)、
コードされたタンパク質をmRNAに結合させることができる。
【0129】
任意に、mRNA分子を、それをコードするcDNA分子に、RNAポリメラーゼで形成された複
合体を介して結合させることができる。結合は、複合体化されたcDNA、mRNAおよびRNAポ
リメラーゼ間の共有結合架橋によって媒介され得る。同様に、タンパク質分子は、それを
コードするmRNAに、リボソームと形成された複合体を介して結合することができる。結合
は、複合体化されたmRNA、タンパク質およびリボソーム間の共有結合架橋によって媒介さ
れ得る。
【0130】
本明細書に記載のスクリーニング工程の任意の様々なスクリーニング剤、標識または生
成物が、本開示のアレイに存在し得る。例えば、タンパク質があるフィーチャーは、任意
に、発光分子(スクリーニング剤など)のタンパク質への特異的な非共有結合を介して、
またはタンパク質に共有結合した発光成分を介して、発光標識することができる。全ての
フィーチャーが必ずしも標識されるわけではない。むしろ、所望の活性または選択された
活性を有するタンパク質を含有するフィーチャーのサブセットを選択的に標識し、他のフ
ィーチャーは標識しないことができる。例えば、ライブラリーの内容物およびスクリーニ
ングの性質に応じて、フィーチャーの50%、25%、10%、5%または1%未満を標識してもよい
【0131】
本明細書に記載の任意の様々な候補薬剤および/または核酸タグが、本開示のアレイに
存在し得る。アレイ上の異なる種の数、アレイ上の種を含有するフィーチャーの密度、ま
たは特定のフィーチャーに結合するそれぞれの種の数は、アレイの作製方法および使用方
法に関して本明細書に記載される範囲内であり得る。
【0132】
この開示によって、細胞のスクリーニング方法も提供される。本方法は、以下の工程を
含むことができる:(a)複数の異種細胞を提供する工程であって、異種細胞の各々がタ
グ配列を有する核酸タグを含んでいる工程と;(b)異種細胞の混合物を固体支持体と接
触させ、固体支持体に結合した細胞のアレイを形成する工程と;(c)固体支持体上の細
胞のアレイを、少なくとも1つの光学特性についてスクリーニングする工程であって、ス
クリーニング反応が、固体支持体に結合した個々の細胞を検出することを含む工程と;(
d)固体支持体に結合した核酸タグのタグ配列を配列決定する工程と;(e)アレイ中の少
なくとも1つの細胞を候補細胞として、候補細胞の光学特性およびタグ配列に基づいて同
定する工程。
【0133】
特定の実施形態では、細胞は、候補薬剤として本明細書に記載の方法で使用される。細
胞は、多細胞生物体から単離された天然細胞、単細胞生物体を含む天然細胞、多細胞生物
体由来の遺伝子操作された細胞または遺伝子操作された単細胞生物体であり得る。本明細
書に記載の方法または組成物で使用される細胞は、天然の供給源から得ることができ、ま
たはそれらはex vivo培養物から得ることができる。
【0134】
Ex vivoでコピー、培養または増殖させることができる細胞は、特に有用である。例え
ば、スクリーニング工程の前または後に候補細胞の1つ以上のコピーを作製することは有
用であり得る。したがって、スクリーニングにおいてヒット物質として同定された細胞(
または細胞のクローン)を、事前に作られたストックまたはスクリーニングで使用される
固体支持体から単離することができる。単離された細胞をさらに使用もしくは操作して、
例えば、細胞をさらに十分に特性評価することができ、または治療手段において細胞を使
用することができる。
【0135】
遺伝子組み換え細胞を使用する実施形態では、遺伝子組み換えは、例えば、以下をもた
らすものを含む当該技術分野で知られている任意の様々なものであり得る:非天然組み換
えタンパク質の発現、突然変異組み換えタンパク質の発現、天然に存在するタンパク質の
コード配列の全部または一部の欠失、天然に存在するタンパク質の発現の阻害、天然に存
在するタンパク質の発現の増強、非天然検体の生成または天然検体の生成の阻害。例えば
、候補細胞ライブラリー中の1つ以上の遺伝子のコード配列は、点突然変異、欠失(例え
ば、タンパク質コード配列全体、タンパク質のドメインもしくは他の部分の除去)、また
は挿入(例えば、キメラ)を含有し得る。
【0136】
ライブラリー中にある候補細胞は、核酸タグを含むことができる。細胞をタグ付けする
いくつかの例示的な方法は、実施例4および/または以下に記載されている。
【0137】
いくつかの実施形態では、核酸タグを細胞の表面に共有結合させることができる。一般
に、ライブラリー中の各細胞を単一核酸タグ配列のみでタグ付けする方法が採用される(
とはいえ、同じタグ配列のコピーをそれぞれ有する複数の核酸分子が各細胞内または各細
胞上に存在し得る)。例えば、各細胞が核酸タグ分子と個々に反応できるように、細胞を
物理的に単離することができる。物理的に細胞を分離する方法には、例えば、個々の容器
、マイクロプレート上のウェル、アレイ上のフィーチャー、ビーズ、液滴アクチュエータ
装置内の流体小滴、エマルジョン中の流体小滴、または小胞への各細胞の分離が挙げられ
る。
【0138】
核酸タグが送達され得る液滴を作製するのに特に有用な方法には、例えば、RainDance
Technologies(ビルリカ、マサチューセッツ州)によって市販されているもの、または各
々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献67もしくは特許文献68に記載のもの
が挙げられる。液滴の作製および液滴へのタグの添加のさらなる方法は、10X Genomicsに
よって市販されているか、または各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献69
;特許文献70;特許文献71または特許文献72に記載されている。これらの方法を改
変し、細胞(または本明細書に記載の他の候補薬剤)が個々の液滴に充填され、充填され
た液滴が核酸タグを含有する流体と相互作用し、個々の液滴が単一タグ核酸種および単一
候補薬剤種で終わるようにすることができる。当然ながら、核酸種の複数のコピーまたは
候補薬剤種の複数のコピーが個々の液滴中に存在することができる。いくつかの実施形態
では、核酸タグは、個々の液滴に送達されるビーズに結合する。核酸タグは、例えば実施
例4に記載の結合性化学物質を用いて細胞の表面に結合することができる。
【0139】
細胞(または他の候補薬剤)を分離するために、例えば細胞をタグ付けするために使用
され得る特に有用な液滴操作装置は、例えば以下に記載の液滴アクチュエータである:特
許文献73、2005年6月28日に登録された、「エレクトロウェッティングベースの技術に
より液滴を操作するための装置」という名称の特許文献74;Pamulaらによる、2006年8
月31日に公開された「プリント回路基板上で液滴を操作するための装置および方法」とい
う名称の特許文献75;Pollackらによる、2007年10月25日に公開された「液滴ベースの
生化学」という名称の特許文献76;Shenderovによる、2004年8月10日に登録された「マ
イクロ流体用の静電アクチュエータおよびその使用方法」という名称の特許文献77;Sh
enderovによる、2003年5月20日に登録された「マイクロ流体用の可動部品のないアクチュ
エータ」という名称の特許文献78;Kimらによる、2003年11月6日に公開された「エレク
トロウェッティング駆動マイクロポンピング」という名称の特許文献79;Kimらによる
、2006年7月27日に公開された「ノズルからの液滴の完全な移動を促進するための方法お
よび装置」という名称の特許文献80;Kimらによる、2007年2月1日に公開された「プリ
ント回路基板上での小物移動」という名称の特許文献81;Shahらによる、2009年11月19
日に公開された「液滴マイクロ流体における磁性粒子の使用方法」という名称の特許文献
82;Kimらによる、2010年4月22日に公開された「チップ上の液滴の電気的操作のリアル
タイムフィードバック制御のための方法および装置」という名称の特許文献83;Velev
による、2009年6月16日に登録された「流体表面を有する液滴輸送装置および方法」とい
う名称の特許文献84;Sterlingらによる、2007年1月16日に登録された「エレクトロウ
ェッティングによる、化学的、生化学的および生物学的アッセイなどのためのマイクロ流
体制御用の方法、装置および品物」という名称の特許文献85;Beckerらによる、2010年
1月5日に登録された「プログラム可能な流体処理のための方法および装置」という名称の
特許文献86;Beckerらによる、2005年12月20日に登録された「プログラム可能な流体処
理のための方法および装置」という名称の特許文献87;Decreらによる、2008年2月12日
に登録された「流体の操作のためのシステム」という名称の特許文献88;Yamakawaらに
よる、2006年2月23日に公開された「化学分析装置」という名称の特許文献89;Wuによ
る、2011年3月3日に公開された「熱交換化学プロセスのためのデジタルマイクロ流体ベー
スの装置」という名称の特許文献90;Fouilletらによる、2009年7月30日に公開された
「電極アドレス指定方法」という名称の特許文献91;Fouilletらによる、2006年5月30
日に登録された「静電気力による微小懸垂線に沿った微小液体容積の移動のための装置」
という名称の特許文献92;Marchandらによる、2008年5月29日に公開された「液滴マイ
クロリアクター」という名称の特許文献93;Adachiらによる、2009年12月31日に公開さ
れた「液体移送装置」という名称の特許文献94;Rouxらによる、2005年8月18日に公開
された「2つまたは複数の固体基質間での液滴の移動を制御するための装置」という名称
の特許文献95;ならびに非特許文献21、これらの各々は参照により本明細書に組み込
まれる。
【0140】
特定の実施形態では、ライブラリー中の細胞を、核酸タグを含むように遺伝子組み換え
することができる。例えば、集団中の個々の細胞は、タグ配列をコードするプラスミドを
保持することができるか、または個々の細胞のゲノムは、タグ配列を含むように改変する
ことができる。場合によっては、タグ配列は、本明細書に記載の方法でスクリーニングさ
れる遺伝的変異体も含む核酸構築物中にコードされる。
【0141】
それぞれ個々の細胞がランダムに割り当てられたタグ配列を獲得するように、または
各細胞を改変して既知タグ配列を含むようにすることができるように、異種細胞のライブ
ラリーを構築することができる。例えば、ランダムなタグ付けは、スクリーニングされる
遺伝的変異体もコードすることになる核酸構築物を合成する際に、ランダムなヌクレオチ
ドをタグ領域の1つ以上の位置に組み込むことによって行うことができる。別の例では、
平均して各変異体核酸が特有のタグ配列にライゲーションするように、異種核酸タグの集
団を異種変異体コード核酸の集団にランダムにライゲーションさせることができる。次い
で、構築物をライブラリー中の細胞に加えることができる。同様に、平均して各細胞が特
有のタグ配列に結合するように、異種核酸タグの集団を異種細胞の集団に共有結合させる
ことができる。
【0142】
他の実施形態では、それぞれ個々の細胞が、既知細胞とa prioriに関連する既知タグを
取得するように、異種細胞のライブラリーを構築することができる。A prioriなタグ付け
の例として、特定のタグの核酸構築物への合成は、それが上記構築物中の突然変異または
変異体と相関するような方法で行うことができる。いくつかの実施形態では、細胞は互い
に物理的に分離されており、既知タグ配列を有する核酸を細胞と接触させ、単一タイプの
タグの単一細胞との共有結合を形成する。
【0143】
特定の実施形態では、核酸タグをビーズに結合させることができ、ビーズを細胞に結合
させることができる。任意に、ビーズを、特異的結合親和性を有する抗体または細胞に結
合させることができる。しかし、他の結合様式を使用してビーズを細胞に結合させること
ができ、例えば、核酸を候補薬剤または固体支持体に結合させるという文脈において本明
細書で例示されるものが挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態では、核酸タグは、細胞の原形質膜脂質または脂肪酸への核酸タグ
の共有結合によって、細胞に結合することができる。あるいは、核酸タグは、細胞の原形
質膜脂質中のタンパク質への共有結合によって、細胞に結合することができる。共有結合
の代替として、核酸タグは、細胞表面上のリガンドに結合する受容体を含むことができ、
または核酸タグは、細胞表面上の受容体に結合するリガンドを含むことができる。例示的
な結合方法を、以下の実施例4に記載する。
【0145】
細胞ライブラリーを、他のタイプの候補薬剤を固体支持体に結合させるための本明細書
に記載の方法の1つ以上を用いて、アレイに結合させることができる。例えば、固体支持
体は、核酸プライマーを含むことができ、細胞は、核酸タグの核酸プライマーへのハイブ
リダイゼーションを介して固体支持体に結合することができる。場合によっては、核酸タ
グはユニバーサルプライマー結合配列を含むことができ、核酸プライマーはユニバーサル
プライマー配列を含むことができ、候補薬剤は、ユニバーサルプライマー結合配列のユニ
バーサルプライマー配列へのハイブリダイゼーションを介して固体支持体に結合すること
ができる。
【0146】
本開示の方法は、核酸タグなどの核酸がハイブリダイズされる固体支持体に結合したプ
ライマーを伸長させる工程を含むことができる。得られた伸長プライマーは、タグ配列お
よび核酸由来の他の配列(相補的形態であるが)を含むことになる。したがって、伸長プ
ライマーは、候補薬剤からの核酸の空間的にタグ付けされたバージョンである。核酸中に
存在するタグ配列以外の配列要素も、伸長プライマーに含めることができることが理解さ
れるであろう。そのような要素には、例えば、プライマー結合部位、切断部位、他のタグ
配列(例えば、試料識別タグ)、捕獲配列、核酸結合タンパク質または核酸酵素の認識部
位などが挙げられる。
【0147】
プライマーの伸長は、本明細書で例示される方法か、そうでなければ核酸の増幅または
核酸の配列決定について当該技術分野で知られている方法を用いて実施することができる
。特定の実施形態では、1つ以上のヌクレオチドを、プライマーの3'末端に、例えばポリ
メラーゼ触媒作用(例えばDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)を介し
て付加することができる。化学的または酵素的方法を使用して、1つ以上のヌクレオチド
をプライマーの3'もしくは5'末端に付加することができる。1つ以上のオリゴヌクレオチ
ドを、プライマーの3'もしくは5'末端に、例えば化学的または酵素的(例えば、リガーゼ
触媒作用)方法を介して付加することができる。プライマーは鋳型指向様式で伸長するこ
とができ、それにより伸長産物は、プライマーにハイブリダイズする鋳型核酸に相補的で
ある。いくつかの実施形態では、RNA鋳型を用いる逆転写酵素によってDNAプライマーを伸
長させ、それによりcDNAを生成する。したがって、本明細書に記載の方法で作製された伸
長プローブは、逆転写DNA分子であり得る。核酸を伸長するための例示的な方法は、各々
が参照により本明細書に組み込まれる特許文献96または特許文献97または特許文献9
8に記載されている。
【0148】
プライマーにハイブリダイズした核酸の全部または一部は、伸長によってコピーするこ
とができる。例えば、伸長プローブは、少なくとも1、2、5、10、25、50、100、200、500
、1000またはそれ以上の核酸からコピーされたヌクレオチドを含むことができる。伸長産
物の長さは、例えば、伸長反応において可逆的に終結するヌクレオチドを使用し、限られ
た数の伸長サイクルを実行することによって制御することができる。そのサイクルは、SB
S技法で例示されるように実行することができ、標識ヌクレオチドの使用は必要ではない
。したがって、本明細書に記載の方法で生成された伸長プライマーは、1000、500、200、
100、50、25、10、5、2または1以下の核酸からコピーされたヌクレオチドを含むことがで
きる。当然ながら、伸長プローブは、上記の範囲内または範囲外のいずれの長さでもあり
得る。
【0149】
アレイに結合した細胞ライブラリーは、他の候補薬剤のスクリーニングに関して本明細
書に記載の方法を用いてスクリーニングすることができる。特定の実施形態では、細胞ア
レイのスクリーニングは、細胞をスクリーニング剤で処理する工程を含むことができる。
その結果、スクリーニング剤は、アレイ上の少なくとも1つの候補細胞に結合し得る。任
意に、スクリーニング剤は発光性であり、スクリーニング反応は、少なくとも1つの候補
細胞の発光を検出することによって実施されることになる。
【0150】
いくつかの実施形態では、アレイに送達されるスクリーニング剤は、アレイ中の少なく
とも1つの候補細胞を改変することになる。例えば、スクリーニング剤は、アレイ上の少
なくとも1つの候補細胞を刺激し得る。あるいは、スクリーニング剤は、アレイ上の少な
くとも1つの候補細胞を阻害または殺傷さえし得る。
【0151】
細胞アレイと接触するスクリーニング剤は、少なくとも1つの候補細胞の発光を増減さ
せてもよく、スクリーニング反応は、少なくとも1つの候補細胞の発光を検出する工程を
含むことができる。
【0152】
本明細書の他の箇所に記載されているように、検出工程は、反応速度測定または時間ベ
ースの測定を含むことができる。例えば、細胞アレイの検出は、複数の時点でアレイ上の
個々のフィーチャーのうちの1つ以上についてシグナルを取得する工程を含むことができ
る。
【0153】
細胞に結合しているか、または細胞中に存在する核酸タグは、本明細書に記載の方法で
配列決定することができる。細胞に結合している核酸は、細胞上で配列決定することがで
きる。あるいは、例えば、実施例4に例示されているもののようなプライマー伸長法を介
して、核酸を固体支持体に移すことができ、タグ配列(またはその相補体)を含有する伸
長プライマーの領域は、固体支持体上で配列決定することができる。本明細書の他の箇所
に記載の固体支持体に結合した核酸の配列決定方法を、細胞に結合する核酸タグまたは核
酸タグが由来する細胞に近接したフィーチャーに結合する核酸タグに使用することができ
る。
【0154】
場合によっては、核酸タグ(またはタグのコピー)を固体支持体に結合させたままで、
細胞を固体支持体から除去することが望ましい場合がある。その後、タグ配列を、細胞の
非存在下で配列決定することができる。
【0155】
核酸タグが細胞内に存在する実施形態では、アレイの表面上で細胞を溶解し、細胞内容
物の放出および核酸タグの局在捕捉をもたらすことができる。核酸タグは、固体支持体上
のプライマーに相補的なユニバーサル配列領域を含むことができる。したがって、核酸タ
グを、増幅および/または配列決定に適した形式で固体支持体上に捕捉することができる
。固体支持体上に捕捉された核酸は、任意に増幅することができる。固体支持体上に捕捉
された核酸またはそれから生成されたアンプリコンは、本明細書に記載の方法を用いて固
体支持体上で配列決定することができる。
【0156】
本開示の方法は、1つ以上の細胞をアレイから除去する工程を含むことができる。例え
ば、スクリーニング工程でヒット物質として同定された1つ以上の細胞を選択的に除去す
ることができる。任意に、細胞の生存能力を保持する条件を使用することができる。その
ようにして、除去された細胞(単数または複数)を、培養、コピー、または増殖すること
ができる。細胞(単数または複数)を、他の候補薬剤に関して本明細書の他の箇所に記載
の技法および試薬を用いて除去することができる。例えば、光解離性リンカーおよび空間
フィルタリングされた光線の使用は、特定の細胞をアレイ中の他の細胞から単離するのに
特に有用であり得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、スクリーニング工程の後に生存細胞をアレイから除去する必
要はない。むしろ、タグ配列は、タグの配列決定が、細胞を単離または特性評価すること
をさらに必要とせずに細胞を同定するのに十分であるように、既知の細胞とa prioriに関
連していてもよい。特定のフィーチャーに存在するタグのa prioriな知識は、細胞を同定
するために、スクリーニング工程においてフィーチャーから観察されたシグナルと相関さ
せることができる。
【実施例
【0158】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、本発明を限定するものでは
ない。
【0159】
(実施例1)
小分子スクリーニング
Illumina(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって市販されているものなどの次世
代配列決定プラットフォームは、創薬のための統合されたハイスループットスクリーニン
グプラットフォームを構築する基盤を提供する。標的分子への結合を可能にする官能基で
核酸を修飾することにより、配列決定フローセルを、ハイスループット化合物スクリーニ
ング用のアレイを構築するための基質として利用することが可能である。様々なスクリー
ニングアッセイを、同じプラットフォームを使用して、結合した標的に変えて実施するこ
とができる。配列決定プラットフォーム上の小分子をスクリーニングするための例示的な
方法を図1A図1Fに図示し、以下に記載する。
【0160】
図1Aは、それぞれが29ヌクレオチド長である50,000の異種核酸分子がテープベースの
合成機器上で合成される第1工程を示す。テープは、個々の核酸種がそれぞれ合成される
個々にアドレス可能な部位を含む。核酸分子はまた、スルフヒドリル、アミンまたはN-ヒ
ドロキシスクシンイミド基などの官能基(FG)を5'末端に含む。核酸の5'領域はユニバー
サルプライマー(50,000の核酸の全てについて同じ)をコードする10ヌクレオチドを含み
、3'領域は50,000の異種タグ配列(「コード」配列とも称される)のうちの1つをコード
する。例示的なテープベースのDNA合成機器は、参照により本明細書に組み込まれる特許
文献99に記載されている。
【0161】
第2工程は図1Bに示されており、単一鋳型ハイブリッド核酸を合成テープの各ウェル
中の核酸にライゲーションさせ、ユニバーサルオーバーハングプライマーを作製する。図
に示すように、ライゲーションは、異種核酸のユニバーサルプライマー配列と、単一鋳型
ハイブリッド上のオーバーハングとのハイブリダイゼーション後に生じる。任意に、ライ
ゲーション事象の前に、異種核酸をテープから除去することができる(例えば、核酸を精
製または修飾するために)。他の任意の構成は、異種核酸の代わりに単一鋳型ハイブリッ
ドに結合した官能基を有することを含む。その代わりに、またはそれに加えて、単一鋳型
ハイブリッドは、ビオチン、アジドまたはアルキン基などの表面結合成分を有することが
できる。
【0162】
図1Cに示すように、特定の候補薬剤(例えば、「化合物」)を合成機器テープ上の個
々のウェルの各々にロボットで添加する第3工程が実施される。候補薬剤の各々は、異種
核酸上の官能基と反応する反応基を含む。結果として、候補薬剤の各々は、合成機器テー
プ上の特定の核酸タグに結合され、それによりコードされた候補薬剤を生成する。
【0163】
図1Dに示すように、コードされた候補薬剤をフローセル表面上の識別可能な部位に固
定化する工程4が実施される。固定化は、核酸の単一鋳型部分の、フローセル表面上にあ
る相補的ユニバーサルプライマーへのハイブリダイゼーションによって行うことができる
。プライマーを、フローセル表面に、PAZAMゲル、または例えば、各々が参照により本明
細書に組み込まれる特許文献16、もしくは特許文献100に記載のような他のヒドロゲ
ルを介して結合させることができる。
【0164】
工程5では、図1Eに示すように、スクリーニング剤(「標的分子」とも称される)を
、フローセルの表面上にある固定化されコードされた候補薬剤と接触させる。スクリーニ
ング剤は、Illumina配列決定機器などの光学装置を用いて検出することができる蛍光標識
を含む。画像を、例えばリアルタイムで取得し、識別可能な部位の各々でのスクリーニン
グ剤の結合反応速度を測定することができる。図1Eの例では、コードNに結合した候補
薬剤は、所望の結合反応速度プロファイルによって決定される「ヒット物質」である。
【0165】
図1Fに示すように、コードNの配列は、フローセル上で実行される配列決定プロトコ
ルに基づいて決定することができる。コードNの配列を、それが合成された合成機器テー
プ上の位置と相関させることができ、次に、「ヒット物質」の同一性を、コードNが合成
された合成機器テープ上の位置にどの候補薬剤が配信されたかの知識に基づいて判定する
ことができる。
【0166】
(実施例2)
タンパク質スクリーニング
固相増幅法は、高度に多重化された核酸の提示を可能にする。特に有用な固相増幅法は
、ブリッジ増幅(クラスター形成とも称される)であり、これは、例えば、各々が参照に
より本明細書に組み込まれる特許文献35;特許文献37;特許文献36;特許文献38
;特許文献39;特許文献40;特許文献41に記載のように実施することができる。
【0167】
この実施例は、固相増幅から生じる核酸クラスターを使用してフローセル上にタンパク
質アレイを形成することを記載する。この技法のいくつかの重要な利点は、(a)多種多
様な異種タンパク質の活性についてスクリーニングすることができるように、比較的小さ
いサイズであるが、表面上で光学的に識別可能な多数のタンパク質含有フィーチャーを提
供すること;および(b)フィーチャーがタンパク質をコードする核酸を含有し、核酸は
配列決定に適したものであり、それによりフローセルの各フィーチャーのタンパク質を同
定できることである。
【0168】
図2に示すように、cDNAライブラリーは、転写部位および翻訳部位とともにP5ならびに
P7プライマー結合部位を有するアダプターを有するように構築される。ライブラリーはフ
ローセルに結合され、ライブラリー成員は、ブリッジ増幅を用いてフローセルの表面上で
増幅され、クラスターを形成する。P5およびP7プライマー結合配列、アダプターを有する
核酸ライブラリーの作製方法、およびクラスターの作製方法についての記載は、例えば、
ブリッジ増幅技術に関して上記で引用した参考文献、各々が参照により本明細書に組み込
まれる非特許文献1、特許文献16および特許文献101を参照。
【0169】
得られたcDNAクラスターを、RNAポリメラーゼを用いてmRNAに転写する。mRNAは、以下
により、その転写が始まるcDNAクラスターに近接して維持される:(a)RNAポリメラーゼ
が停止してmRNA転写物がcDNAに結合したままとなるように、cDNA構築物の末端に転写終結
部位がないことにより、(b)同様にRNAポリメラーゼを停止させる既知転写休止部位(例
えば、大腸菌のTrpオペロン由来)の使用により、(c)化学的方法を用いて転写を停止さ
せることにより(例えば、ビシクロマイシン)、または(d)転写されたRNAがハイブリダ
イズすることになるcDNAクラスターにおいて相補配列を有することにより。
【0170】
mRNAは、cDNAクラスターに局在し、そこから転写され、その後翻訳されてタンパク質を
作製する。これは、mRNA中の開始コドン(cDNAライブラリー構築物の5'末端のアダプター
中の転写開始配列とともに導入され得る)によって促進される。さらに、mRNAは、3'末端
に終止コドンを持たないことになる。図2に示すように、終止コドンの欠如は、タンパク
質がリボソームを介してmRNAに結合したままであるように、mRNAの末端でのリボソーム停
止をもたらす(その後mRNAは、停止したRNAポリメラーゼによってcDNAクラスターに結合
した状態にある)。あるいは、リボソームを化学的手段(例えば、クロラムフェニコール
/ピューロマイシン)によって停止させることができる。共役した転写および翻訳は、容
易に入手可能なウサギ網状赤血球溶解物、細菌S30または小麦胚芽抽出物系を用いて行う
ことができる。
【0171】
別の手法では、タンパク質を溶液中で生成させ、次いでフローセルまたは他の表面に結
合させることができる。この手法は表面上での増幅を含まないが、溶液ベースの技法がよ
り容易に利用可能であるか、または評価されるタンパク質に適用可能である場合に有益で
あり得る。得られたタンパク質アレイをスクリーニング剤または他の刺激剤でスクリーニ
ングし、ヒット物質を同定する。クラスター内のcDNAを配列決定し、タンパク質ヒット物
質を同定する。
【0172】
(実施例3)
タグを用いたタンパク質スクリーニング
Illumina(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって市販されているものなどの次世
代配列決定プラットフォームは、タンパク質進化のための統合されたハイスループットス
クリーニングプラットフォームを構築する基盤を提供する。例示的な方法を図3Aおよび
図3Bに示す。
【0173】
第1工程として、目的の標的タンパク質およびランダムタグ(「コード」とも称される
)に対するランダムまたはセミランダム突然変異を有するベクターのライブラリーを作製
する。ベクターを、タンパク質およびタグのコード配列を含むmRNAを発現するように構築
する。異種ランダムタグの数は、各変異体mRNAが高い確率で特有のタグを含むように、ラ
イブラリー中のタンパク質変異体の数より多い。例えば、10ヌクレオチドのランダム配列
は106個の異種タグを提供することになり、20ヌクレオチドのランダム配列は1012個の異
種タグを提供することになる。
【0174】
突然変異のランダムな導入およびランダムタグの使用の代わりに、第1工程は、所定の
突然変異を引き起こし、既知タグと結合させるように行うことができる。
【0175】
第2工程では、ベクターで形質転換された細菌のライブラリーを培養して、それぞれの
ベクター由来のmRNAを生成する。ライブラリーを溶解し、ライブラリー中(すなわちmRNA
ライブラリー)の種々のベクターからのmRNA転写物の混合物を放出させる。
【0176】
第3工程では、mRNAライブラリーを分割して2つのサブライブラリーを作製する。ライブ
ラリーを分割すると、両方のサブライブラリーに同じ成員が存在するように、ライブラリ
ーは各成員の複数のコピーを含んでいる。再度、特有のタグ配列が各タンパク質変異体配
列に結合される。
【0177】
第4工程では、図3Bに示すように、第1サブライブラリーをフローセルに結合させ、フ
ローセル上で増幅させ、コード配列および得られたアンプリコンのそれぞれのタグを配列
決定する。このようにして、各成員が結合されている部位が特定される。次いで、第2サ
ブライブラリーの成員をフローセルと接触させると、第2サブライブラリーからの成員が
、タグ配列の相補性を介して第1サブライブラリー由来の同一の成員から生成されたアン
プリコンにハイブリダイズする。このようにして、第2サブライブラリーの各成員が位置
する部位は、配列決定結果およびタグとそれらの相補体との間の予想されるハイブリダイ
ゼーションに基づいて推論することができる。フローセル上に捕捉された第2サブライブ
ラリーの成員は、その後翻訳され、タンパク質標的をフローセル上に発現する。タンパク
質の各々は、それが翻訳されたRNAに結合したままの状態で発現される。例えば、結合は
、実施例2に記載の技法を用いて達成することができる。次いで、スクリーニング剤また
は他の刺激剤でタンパク質をスクリーニングすると、所望の機能をハイスループット様式
で同定することができる。結果は、タンパク質をコードするRNA配列と相関するフローセ
ル上の部位に局在するタンパク質活性シグナルである。
【0178】
この方法論は、フローセルレーンあたり3,000万以上のタンパク質の大量処理を可能に
することができる。このスクリーニング過程は、エマルジョンベースのスクリーニングに
関連する困難を回避する。例えば、フローセルの各フィーチャーでの定量的および反応速
度ベースのデータをIllumina配列決定機器を使用して取得し、従来のエマルジョンベース
の技法を使用して得られるものよりも洗練された選択的スクリーニング基準を可能にする
ことができる。
【0179】
(実施例4)
細胞スクリーニング
この実施例は、蛍光顕微鏡検査で典型的に伴う利点である、リアルタイムで動的過程を
追跡する能力を有する蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)の高い処理能力の利点を提供
し、同時に集団内の個々の細胞を同定する次世代配列決定の利点を付加する、細胞のスク
リーニング方法論を記載する。結果として、本明細書に記載の方法は、所望の挙動を示す
細胞の回収および特性評価を可能にする。具体的には、この実施例は、Illumina社(サン
ディエゴ、カリフォルニア州)からの次世代配列決定プラットフォームを適応させ、蛍光
により、特異的刺激に応答する個々の細胞の表現型挙動(例えば、蛍光レポーターの発現
によって測定される)を超ハイスループットで観察し、後続の同定および回収のための、
それぞれ個々の細胞の表面上に提示されたタグの配列決定が続く。このプラットフォーム
は、細胞工学用ハイスループットスクリーニングの標準的な方法を提供することができる
【0180】
細胞は、小分子およびタンパク質とは異なる、そして多くの場合、それらの改良版であ
る潜在的治療能力を有する。細胞は身体の特定の場所に積極的に移動し、複数の外部刺激
を感知することができ、複数の情報源を統合して正確な出力で応答することができる。さ
らに、細胞ベースの応答は、予めプログラムされた機能または外部要因の追加によって制
御することができる複雑な動的パターンを有することができる。現在、クローン病を治療
するための操作された微生物の使用から、がんを治療するための患者由来の操作されたヒ
ト免疫細胞の使用まで、広範囲の疾患の治療のための細胞ベースの療法が検討されている
。重要なことには、微生物またはヒト細胞のいずれかを、治療的に有用であるように操作
することができる。
【0181】
細胞工学のワークフロー
細胞工学(微生物またはヒト細胞のいずれかにおける)は、考慮すべき多くの変数を伴
う複雑な過程である。したがって、単一設計を試みるのではなく、選択またはスクリーニ
ングされ得る候補細胞のライブラリーを設計することが有益である。具体的には、細胞工
学は、以下の工程を含むことができる:(1)外部シグナル、情報統合ネットワーク、お
よびシグナル依存応答(しばしば遺伝子発現を伴う応答)に対する1つ以上のセンサーを
含むことができる遺伝子回路の設計;(2)候補細胞のライブラリーにわたって上記成分
の1つ以上の遺伝子標的を修飾すること(例えば、CRISPR-Cas9を用いて);ならびに(3
)多数の異種候補細胞の中から、所望の細胞挙動を与えるヒット物質を同定するハイスル
ープットスクリーニング。
【0182】
堅固なハイスループットスクリーニング技術は、検査が必要な細胞数が多い(しばしば
何千もの異なる設計が試みられる)場合に、細胞工学に大きな利点を提供することができ
、操作過程に導入される変更により、大規模で多様な細胞行動が明らかになるであろう。
所望のスクリーニングは、非常に高い処理能力を達成しながら、複雑な時間的動態を追跡
することもできる。本明細書に記載のスクリーニングは、これらの利点を提供する。
【0183】
細胞スクリーニング法は、以下の2つの段階を有する:
【0184】
段階1:表現型観察。図4に示すように、適切な蛍光レポーターを有する操作された生
細胞のライブラリーを、配列決定プラットフォーム(例えばIllumina MiSeq(登録商標)
、NextSeq(登録商標)、HiSeq(登録商標)またはGenome Analyzer(登録商標)プラッ
トフォーム)のフローセルに充填する。個々の細胞はランダムに分布し、フローセルの表
面に結合することになる(分析される特定の細胞に応じて特定の結合性化学物質を使用し
て)。それぞれ個々の細胞の蛍光を一定の時間間隔で記録し、配列決定中にIlluminaフロ
ーセルで目下で行われている際にフローセル表面を走査する。個々の細胞は、目下の配列
決定クラスターに匹敵する(またはそれよりも大きい)平均サイズを有することになり、
それにより配列決定プラットフォームの解像度をスクリーニングによく適合させることに
留意されたい。また、細胞は、シグナル強度が配列決定プラットフォームによって目下で
検出されているものと類似である(またはより大きい)ように、何千もの蛍光レポーター
分子を抱えることができる。特定の時間に、細胞をスクリーニング剤(または他の刺激剤
)に晒し、細胞の応答を検出する(例えば、レポーター遺伝子の発現の変化、または任意
の他のタイプの細胞レポーターの蛍光強度の変化 - 細胞質中のカルシウム濃度、細胞内
局在の変化によるフルオロフォアクエンチングなどに反映されるように)。蛍光レポータ
ーの変化を経時的に観察することにより、多様な刺激剤(または刺激剤の組み合わせ)に
応答した表現型の変化の時間的動態を決定することが可能になる。
【0185】
段階2:個々のタグの解読による単一細胞識別。集団内の各細胞にはタグが割り当てら
れることになる。細胞をタグ付けするための3つの異なる技法を以下に説明する。最初の
工程では、タグを個々の細胞に結合させる。タグのタイプ(例えば、ビーズ、膜結合核酸
など)とは無関係に、1つの細胞が各容器に位置するように、最初に細胞を個々の容器(
例えば、マイクロウェル)に分類する。次いで、図5に示すように、各容器内の細胞に特
有のタグを与える。
【0186】
2.1 ビーズでの単一細胞バーコード化。集団内の各細胞(例えば、T細胞では直径~10
μm)を、1~10個のビーズでタグ付けする。ビーズは、約1~2μmの直径を有することが
できる。有用なビーズには、例えば、Illuminaのビーズアレイ技術で使用されているもの
か、または各々が参照により本明細書に組み込まれる特許文献102もしくは特許文献1
03に記載のものが挙げられる。個々の細胞を個々の容器に予め分離し、各容器に同じ特
有のタグを共有するビーズ(すなわち、各容器と各タグとの間に既知の対応があることに
なる)を加えることによって、各細胞は単一タグをコードするビーズでタグ付けされる。
細胞タグ付けは多くの方法で、例えば、標的細胞の表面上に天然に存在する特異的エピト
ープを認識する抗体とビーズを共有結合させることにより達成することができる。このよ
うに、各ビーズタグ付き細胞はフローセルの表面上にランダムに分布することになるが、
各細胞はそれ自身のビーズ(単数または複数)と空間的に共局在化することに留意された
い(図6)。したがって、段階1に続いて、フローセル上のビーズ(単数または複数)を
解読し、同定されたタグを対応するビーズ(単数または複数)に最も近接した細胞に割り
当てることによって、各細胞の同一性が明らかになる。ビーズ上のタグは、合成技術によ
る配列決定(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献1、特許文献
49、特許文献50もしくは特許文献51;特許文献52、特許文献53、特許文献54
、特許文献55もしくは特許文献56、および特許文献57を参照)、または各々が参照
により本明細書に組み込まれる特許文献15もしくは非特許文献22に記載の解読技術を
用いて解読することができる。
【0187】
2.2 配列決定タグでの単一細胞同定。ビーズタグ付けに代わるものまたは追加されるも
のは、各細胞の表面上に直接提示される特有の配列識別子を使用することである。そのた
めに、集団中の各細胞は、フローセルへの細胞充填の前に(例えば、段階1の前に)、表
面提示された個々の一本鎖DNAタグで修飾されることになる。核酸タグ結合性化学物質は
、特定の細胞型によって決まる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる非特許文献
23によって報告されているように、ヒト細胞を、原形質膜脂質に共有結合した一本鎖DN
A分子でタグ付けすることができる。別の例として、酵母細胞を、Aga1-Aga2細胞壁複合体
上に提示されたHaloTagタンパク質に共有結合した一本鎖DNA分子でタグ付けすることがで
きる。
【0188】
それぞれ個々のタグは、少なくとも3つの領域で構成されている。領域1は、結合部分(
例えば、細胞型に応じて、脂質またはタンパク質)に連結される。領域2は、必要とされ
るプレキシティに応じた規定数の塩基からなる(4ヌクレオチド全てを使用して、長さ「n
」の配列に対して4nの組み合わせを生成することが可能である;例えば、4塩基長の配列
は、256の異なる個々の細胞を同定するためのタグを包含することになり、5つでは1024の
異なるタグを生じることになる、など)。したがって、9塩基のタグ配列さえあれば、250
,000を超える異種細胞を個別に同定することが可能である。領域3は、配列決定プライマ
ーに相補的なDNA配列からなる。各細胞は、単一タグをコードする核酸で、予め容器中の
個々の細胞を単離し、各容器に同じ特有のタグ配列を共有する核酸(前述のように、各容
器と各タグとの間には既知の対応が存在することになる)を添加することによってタグ付
けされることに留意されたい。
【0189】
別々の工程(表現型測定が得られる前または後に実施される)において、それぞれ個々
の細胞の同一性は、例えば、以下に記載の2つの方法のうちの1つで決定されることになる
【0190】
2.2.1 各細胞に結合した特定のタグのin situ配列決定。各細胞は、特定のタグの複数
のコピーを提示する。したがって、シグナルは配列決定機器で容易に検出できる(図7
参照)。さらに、各タグを同定するための読み取り長は比較的短く(例えば、9塩基は>2
50,000タグを識別するのに十分である)、十分に、市販の配列決定機器の典型的な数百ヌ
クレオチドの読み取り長の範囲内である。
【0191】
In situタグ配列決定は、多くの方法で達成することができる。1つの可能性は、生細胞
の表面上で直接配列することである。別の可能性は、配列決定の前に細胞を固定すること
である(生細胞から流出するヌクレオチドが配列決定反応を妨害する場合)。第3の可能
性は、各細胞から核酸タグを分離して捕捉することである。このために、フローセル表面
を、全ての細胞結合核酸に共通の領域に相補的な領域を含有する捕捉プローブ(例えば、
配列決定プライマー)で修飾し、表面への細胞の初期結合を可能にし、配列決定の前に分
離された核酸の捕捉を容易にする。必要に応じて、核酸タグの表面捕捉後に細胞を除去す
ることができる。
【0192】
2.2.2 フローセルに結合したタグのコピーのin situ配列決定。図8に示すように、細
胞表面提示核酸タグを、フローセル表面結合プライマー(部分的相補配列を有する)にハ
イブリダイズさせる。細胞表面核酸タグを、特定の制限酵素での消化によって細胞から分
離させ、次いで細胞をフローセルから洗い流す。次いでフローセル表面結合核酸タグを伸
長し、元の細胞タグのコピーを効果的に作製し、次いで配列決定することになる。多くの
場合、細胞は何千もの核酸からなる直径約1μmの「スポット」を残す可能性があるため、
コピーをブリッジ増幅する必要はない。しかし、希望であればブリッジ増幅を実施するこ
とができる(この場合、適切なプライマー結合部位を核酸タグに添加することができ、第
2プライマータイプをフローセル表面に結合させることができる)。
【0193】
場合によっては、図9に示すように、膜固定核酸を用いてタグを個々の細胞に結合させ
ることができる。膜固定核酸は、リンカー領域、制限部位(RE)、配列決定プライマー結
合部位(SBS3)、タグ配列(バーコード)および捕捉配列を含むことになる。次いで、参
照により本明細書に組み込まれる非特許文献23に記載のように、または図10に示すよ
うに、捕獲配列に相補的な配列を有する表面結合核酸によって細胞を表面捕捉することが
できる。
【0194】
スクリーニング工程における細胞表現型挙動を示す蛍光シグナルの記録(例えば、ある
期間のおよび特定の培地条件下でのレポーターからの蛍光の測定)に続いて、核酸タグを
フローセル表面上でコピーし、その後細胞を洗い流すことができる。表面上のコピーは、
図11に示すように、どの細胞がフローセル表面上のどこに位置したかに関する空間情報
を効果的に保存する。
【0195】
表面上の各細胞の空間位置を記録することにより、記録された蛍光時系列の各々にタグ
同一性を割り当てることが可能となり、したがって表現型応答を細胞同一性と効果的に結
びつけることができる。次いで、これらの同一性を用いて、単一容器内(図12に示すよ
うに、細胞が最初にタグ付けされた場所)の個々のクローンを同定することができるか、
または選択された細胞の表面上に存在するタグに相補的な核酸でプルダウンすることによ
り、選択された細胞を細胞混合物から回収することができる。
【0196】
この出願を通じて、様々な刊行物、特許または特許出願が参照されている。これらの刊
行物の開示内容全体は、本発明が関係する技術水準をより詳細に説明するために、参照に
より本出願に組み込まれる。
【0197】
用語「含む(comprising)」は、本明細書において非限定的であることを意図しており
、列挙された要素を含むだけでなく、任意の追加の要素をさらに包含する。
【0198】
本発明を上記で示した実施例を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく
種々の変更が行われ得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、特許請求
の範囲によってのみ限定される。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12