(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電子機器およびカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20240424BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240424BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240424BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240424BHJP
【FI】
H04N23/55
H04N23/57
G03B30/00
G03B11/00
(21)【出願番号】P 2022042831
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】神尾 俊聡
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-260357(JP,A)
【文献】特開2009-159531(JP,A)
【文献】特開2010-157854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
H04N 23/57
G03B 9/08
G03B 11/00
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイを取り囲むベゼルを有する筐体と、
前記ベゼルに配置されるカメラモジュールと、を備え、
前記カメラモジュールは、
グラウンド用パッドと電源供給用パッドとが設けられた実装面を有する基板と、
撮像素子を有し、前記実装面上に実装されたカメラと、
前記カメラと対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面に露出して導電テープを介して前記グラウンド用パッドに電気的に接続されるグラウンド面と、前記第2面に露出して導電テープを介して前記電源供給用パッドに電気的に接続される電源供給面と、を有する光学シートと、を備え、
前記光学シートは、前記電源供給面と前記グラウンド面との間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能である、
電子機器。
【請求項2】
前記カメラモジュールは、
前記実装面に実装されて前記カメラを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を覆い、電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、をさらに備え、
前記グラウンド用パッドは、前記遮蔽部材である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
実装面を有する基板と、
撮像素子を有し、前記実装面上に実装されたカメラと、
前記カメラと対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面に露出して前記基板に電気的に接続されるグラウンド面と、前記第2面に露出して前記基板に電気的に接続される電源供給面と、を有する光学シートと、を備え、
前記光学シートは、前記電源供給面と前記グラウンド面との間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能であ
り、
前記実装面には、グラウンド用パッドおよび電源供給用パッドが設けられており、
前記グラウンド面は、導電テープを介して前記グラウンド用パッドに電気的に接続されており、
前記電源供給面は、導電テープを介して前記電源供給用パッドに電気的に接続されている、
カメラモジュール。
【請求項4】
前記実装面に実装されて前記カメラを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を覆い、電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、をさらに備え、
前記グラウンド用パッドは、前記遮蔽部材である、
請求項
3に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベゼルに配置されたカメラモジュールを備える電子機器が開示されている。この電子機器は、カメラが電子機器の外部を撮像可能な状態と、カメラが電子機器の外部を撮像不可能な状態と、を切り替え可能なシャッター機構(覗き見防止装置)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らによれば、例えば特許文献1の電子機器において、シャッター機構には改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、シャッター構造を改善できる電子機器およびカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、ディスプレイと、前記ディスプレイを取り囲むベゼルを有する筐体と、前記ベゼルに配置されるカメラモジュールと、を備え、前記カメラモジュールは、グラウンド用パッドと電源供給用パッドとが設けられた実装面を有する基板と、撮像素子を有し、前記実装面上に実装されたカメラと、前記カメラと対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面に露出して導電テープを介して前記グラウンド用パッドに電気的に接続されるグラウンド面と、前記第2面に露出して導電テープを介して前記電源供給用パッドに電気的に接続される電源供給面と、を有する光学シートと、を備え、前記光学シートは、前記電源供給面と前記グラウンド面との間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能である。
【0007】
本発明の上記態様によれば、基板を介して光学シートに電圧を印加することにより、光学シートをシャッター機構として動作させることができる。また、カメラモジュールの薄型化およびベゼルの狭額縁化を実現しやすくなる。
【0008】
ここで、前記カメラモジュールは、前記実装面に実装されて前記カメラを駆動する駆動回路と、前記駆動回路を覆い、電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、をさらに備え、前記グラウンド用パッドは、前記遮蔽部材であってもよい。
【0009】
この場合、例えば遮蔽部材とは別にグラウンド用パッドが設けられている場合と比較して、カメラモジュールをより小型化することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るカメラモジュールは、実装面を有する基板と、撮像素子を有し、前記実装面上に実装されたカメラと、前記カメラと対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面に露出して前記基板に電気的に接続されるグラウンド面と、前記第2面に露出して前記基板に電気的に接続される電源供給面と、を有する光学シートと、を備え、前記光学シートは、前記電源供給面と前記グラウンド面との間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能である。
【0011】
本発明の上記態様によれば、基板を介して光学シートに電圧を印加することにより、光学シートをシャッター機構として動作させることができる。また、カメラモジュールの薄型化を実現しやすくなる。
【0012】
ここで、前記実装面には、グラウンド用パッドおよび電源供給用パッドが設けられており、前記グラウンド面は、導電テープを介して前記グラウンド用パッドに電気的に接続されており、前記電源供給面は、導電テープを介して前記電源供給用パッドに電気的に接続されていてもよい。
【0013】
この場合、カメラモジュールの幅が小さい場合であっても、光学シート、グラウンド用パッド、および電源供給用パッドと導電テープとの接触面積を確保し、光学シートへの電圧の印加を安定させることができる。
【0014】
また、前記カメラモジュールは、前記実装面に実装されて前記カメラを駆動する駆動回路と、前記駆動回路を覆い、電磁波を遮蔽する遮蔽部材と、をさらに備え、前記グラウンド用パッドは、前記遮蔽部材であってもよい。
【0015】
この場合、例えば遮蔽部材とは別にグラウンド用パッドが設けられている場合と比較して、カメラモジュールをより小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、シャッター構造を改善可能な電子機器およびカメラモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るカメラモジュールを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るカメラモジュールを示す分解図である。
【
図4】
図2に示すIV-IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るカメラモジュール1および電子機器100について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電子機器100は、カメラモジュール1と、ディスプレイ2と、筐体3と、を備える。
【0019】
本実施形態に係る電子機器100はいわゆるクラムシェル型のノートパソコンであり、電子機器100は互いに回動可能に連結された第1筐体3Aおよび第2筐体3Bを含んでいる。第1筐体3Aは、ディスプレイ2を収容している。第2筐体3Bは、マザーボード(不図示)、キーボード、クリップパッド等を有する。ただし、電子機器100の種類はノートパソコンに限られない。電子機器100は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機等であってもよい。これらの場合において、電子機器100は第2筐体3Bを含まなくてもよく、第1筐体3Aがマザーボードを有していてもよい。
【0020】
筐体3は、ディスプレイ2を取り囲むベゼル3aを有している。より詳しくは、ベゼル3aは、ディスプレイ2に垂直な方向から見て、ディスプレイ2を取り囲んでいる。本実施形態に係るカメラモジュール1は、ベゼル3aに配置されている。言い換えると、カメラモジュール1は、ディスプレイ2に垂直な方向から見てベゼル3aと重なるように、筐体3(第1筐体3A)に収容されている。ベゼル3aのうち、カメラ20(後述)と重なる部分には、透過部3bが設けられている。透過部3bは、光を透過する材料によって形成される。なお、透過部3bに代えて、ベゼル3aを厚み方向Zに貫通する孔が形成されていてもよい。
【0021】
図2、
図3、および
図4に示すように、本実施形態に係るカメラモジュール1は、基板10と、カメラ20と、一対の遮蔽部材(グラウンド用パッド)30と、光学シート50と、カバー70と、駆動回路80と、を備える。基板10は、実装面10aを有する。カメラ20は、基板10の実装面10a上に実装されている。
【0022】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、基板10(実装面10a)に垂直な方向を厚み方向Zと称する。厚み方向Zに直交する一方向を、第1方向Xと称する。第1方向Xは、基板10が延在する一方向でもある。厚み方向Zおよび第2方向Yの双方に直交する方向を、第2方向Yと称する。厚み方向Zに沿って、基板10からカメラ20に向かう向きを、+Zの向きまたは表側と称する。+Zの向きとは反対の向きを、-Zの向きまたは裏側と称する。第1方向Xに沿う一つの向きを、+Xの向きまたは右方と称する。+Xの向きとは反対の向きを-Xの向きまたは左方と称する。第2方向Yに沿う一つの向きを、+Yの向きまたは上方と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向きまたは下方と称する。
【0023】
本実施形態に係る基板10は、第1方向Xおよび第2方向Yに延在する矩形形状を有する。基板10は、多層基板(ビルドアップ基板)であってもよいし、単層基板であってもよい。なお、基板10の構成は特に限定されず、公知の構成から適宜選択される。
【0024】
図4に示すように、本実施形態に係るカメラ20は、撮像素子21およびレンズ22を有する。撮像素子21は、光を電気信号(画像データ)に変換する機能を有する。撮像素子21としては、例えば、RGBカメラや赤外線カメラ等を採用できる。ただし、カメラ20の構成は上記の例に限定されず、光を電気信号に変換可能であれば公知の構成から適宜選択される。
【0025】
本実施形態に係る駆動回路80は、基板10の実装面10a上に実装された回路である。図示は省略するが、駆動回路80とカメラ20(撮像素子21)とは、電気的に接続されている。駆動回路80は、カメラ20(撮像素子21)を駆動する。
【0026】
本実施形態に係る一対の遮蔽部材30は、第1方向Xにおいてカメラ20を間に位置させるように配されている。本実施形態に係る各遮蔽部材30は、実装面10aに向けて開口した箱状形状を有し、駆動回路80を収容するように覆っている。また、遮蔽部材30は、厚み方向Zにおける寸法が第1方向Xにおける寸法および第2方向Yにおける寸法よりも小さい扁平な形状を有する(
図3も参照)。遮蔽部材30は、電磁波を遮蔽する。遮蔽部材30は、例えば、金属等の導電物質によって形成されている。本実施形態に係る遮蔽部材30は、基板10のGND(グラウンド、不図示)に接続されている。遮蔽部材30は、電磁波を遮蔽することで、駆動回路80が生じさせうる電磁ノイズから光学シート50を保護している。
【0027】
光学シート50は、第1方向Xに延びるテープ状の部材である。光学シート50の厚み(厚み方向Zにおける寸法)は、例えば0.12mm程度である。光学シート50は、-Zの向きを向く第1面50aと、第1面50aとは反対側に位置して+Zの向きを向く第2面50bと、を有する。第1面50aは、厚み方向Zにおいてカメラ20と対向している。
【0028】
本実施形態に係る光学シート50は折り曲げ構造を有する。より具体的には、光学シート50は、第1延在部501、第2延在部502、および折り曲げ部503を含んでいる。第1延在部501は、光学シート50のうち、カメラ20および一対の遮蔽部材30を厚み方向Zから覆うよう、第1方向Xに延びる部分である。折り曲げ部503は、光学シート50のうち、第1延在部501の右端(+X端)から実装面10aに向けて-Zの向きに延びる部分である。第2延在部502は、光学シート50のうち、折り曲げ部503の-Z端から右方(+Xの向き)に向けて延びる部分である。ただし、光学シート50は折り曲げ構造を有していなくてもよい。例えば、光学シート50は、第1延在部501と第2延在部502とがなだらかな曲面状に接続された構造を有していてもよい。
【0029】
図5に示すように、本実施形態に係る光学シート50は、第1保護層51Aと、第2保護層51Bと、第1導電層52Aと、第2導電層52Bと、本体層53と、を含む5つの層を有する。第1保護層51A、第1導電層52A、本体層53、第2導電層52B、第1保護層51Aは、第1面50aから第2面50bに向かう向き(+Zの向き)においてこの順に積層されている。以降、説明を容易とするために、第1保護層51Aおよび第2保護層51Bを総称して単に保護層51と称する場合がある。同様に、第1導電層52Aおよび第2導電層52Bを総称して単に導電層52と称する場合がある。
【0030】
本体層53は、本体層53の表面(+Z面)と裏面(-Z面)との間に印加される電圧(交流電圧)の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能な層である。本体層53は、例えば、高分子材料や液晶材料を含んでいる。本体層53に印加される電圧の大きさが変化すると、当該材料の配列や向きが変化し、上記透光状態と遮光状態とが切り替わる。より具体的には、本体層53は、所定値以上の大きさの電圧が印加されている場合に透光状態となり、所定値未満の大きさの電圧が印加されている場合に遮光状態となる層であってもよい。あるいは、本体層53は、所定値以上の大きさの電圧が印加されている場合に遮光状態となり、所定値未満の大きさの電圧が印加されている場合に透光状態となる層であってもよい。
【0031】
導電層52は、導電性材料によって形成された層である。第1導電層52Aは、本体層53とは反対側に位置し、第1保護層51Aに向くグラウンド面52aを有する。第2導電層52Bは、本体層53とは反対側に位置し、第2保護層51Bに向く電源供給面52bを有する。第1導電層52Aおよび第2導電層52Bは、本体層53に電圧を印加する際に一対の電極として機能する。つまり、グラウンド面52aと電源供給面52bとの間に電圧を印加することにより、本体層53に電圧が印加される。保護層51は、導電層52および本体層53を保護する層である。本実施形態に係る保護層51は、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムである。なお、保護層51および導電層52は、光を透過する材料によって形成される。これにより、光学シート50は、全体として、電圧制御によって透光状態と遮光状態とを切り替え可能に構成されている。
【0032】
光学シート50のグラウンド面52aと電源供給面52bとの間には、基板10を介して電圧が印加される。以下、光学シート50に電圧を印加するために、光学シート50と基板10とを電気的に接続する構成について説明する。
【0033】
図3、
図4、および
図5に示すように、本実施形態に係る光学シート50は、導電テープ60を介して基板10に接続されている。
図3に示すように、本実施形態に係るカメラモジュール1は、一対のグラウンド用テープ60Aおよび1枚の電源供給用テープ60Bを含む3枚の導電テープ60を有する。各導電テープ60A、60Bは、導電性および粘着性を有する。
【0034】
一対のグラウンド用テープ60Aは、一対の遮蔽部材30の表面(+Z面)に1枚ずつ貼りつけられる。
図5に示すように、光学シート50の第1面50aの一部には、第1保護層51Aが取り除かれ第1導電層52Aのグラウンド面52aが露出した部分が設けられている。より具体的には、第1延在部501のうち厚み方向Zにおいて一対の遮蔽部材30と対向する部分には、第1保護層51Aが取り除かれグラウンド面52aが露出した部分が2箇所設けられている。当該露出部分において、グラウンド用テープ60Aがグラウンド面52aに貼り付けられている。上述したように、遮蔽部材30は、基板10のGNDに接続されている。したがって、グラウンド用テープ60Aが上記のようにグラウンド面52aおよび遮蔽部材30の双方に貼り付けられることにより、グラウンド面52aがグラウンド用テープ60Aを介して基板10に電気的に接続され、かつ、固定される。
【0035】
なお、本実施形態においては、グラウンド面52aと基板10のGNDとを接続するために遮蔽部材30を用いていたが、遮蔽部材30とは異なるグラウンド用パッドが用いられてもよい。グラウンド用パッドは、厚み方向Zにおける寸法が第1方向Xにおける寸法および第2方向Yにおける寸法よりも小さい扁平な形状を有するとともに、基板10のGNDに電気的に接続された部材である。言い換えれば、グラウンド面52aを基板10に接続させるためのグラウンド用パッドは、本実施形態のような遮蔽部材30であってもよいし、遮蔽部材30とは別の扁平な部材であってもよい。
【0036】
図3および
図4に示すように、基板10の実装面10aには、電源供給用パッド40が設けられている。電源供給用パッド40は、厚み方向Zにおける寸法が第1方向Xにおける寸法および第2方向Yにおける寸法よりも小さい扁平な形状を有する。電源供給用パッド40は、導電性材料によって形成されており、基板10に対し電気的に接続されている。また、
図5に示すように、光学シート50の第2面50bの一部には、第2保護層51Bが取り除かれ第2導電層52Bの電源供給面52bが露出した部分が設けられている。より具体的には、第2延在部502の一部には、第2保護層51Bが取り除かれ電源供給面52bが露出した部分が設けられている。本実施形態においては、電源供給面52bの当該露出部分と、電源供給用パッド40とを表側(+Z側)から覆うように、電源供給用テープ60Bが、電源供給面52bおよび電源供給用パッド40に貼り付けられている。これにより、電源供給面52bが電源供給用テープ60Bを介して基板10に電気的に接続され、かつ、固定される。
【0037】
なお、電子機器100は、一対の遮蔽部材(グラウンド用パッド)30および電源供給用パッド40と電気的に接続された電圧制御回路(不図示)を備える。電圧制御回路は、一対の遮蔽部材30および電源供給用パッド40を介してグラウンド面52aと電源供給面52bとの間に電圧を印加する。電圧制御回路は、グラウンド面52aと電源供給面52bとの間に印加する電圧の大きさを変化させることにより、光学シート50の状態を、透光状態と遮光状態との間で切り替える。なお、電圧制御回路は、基板10上に実装されていてもよいし、基板10と別体に構成されていてもよい。
【0038】
図2および
図3に示すように、カバー70は、カメラ20、遮蔽部材30、および光学シート50を覆うように、基板10に取り付けられる。カバー70のうち厚み方向Zにおいてカメラ20と対向する部分には、孔71が形成されている。孔71は、カバー70を厚み方向Zに貫通している。なお、孔71に代えて、光を透過する材料によって形成された透過部が設けられていてもよい。
【0039】
次に、以上のように構成されたカメラモジュール1の作用について説明する。
【0040】
従来、ノートパソコン等の電子機器のベゼルに配置されるカメラモジュールが知られている。カメラモジュールは、シャッター機構を有する場合がある。シャッター機構は、カメラが電子機器の外部を撮像可能な状態と、カメラが電子機器の外部を撮像不可能な状態とを切り替え可能な機構である。シャッター機構は、例えば、ハッキング時における盗撮防止等の目的に使用される。
【0041】
従来のシャッター機構の種類としては、例えば、手動開閉方式、モータ駆動方式、および回路切断方式等が知られている。手動開閉方式は、ユーザがシャッター(操作子)を手動で操作することによって上記撮像可能状態と撮像不可能状態とを切り替える方式である(例えば、特許文献1を参照)。モータ駆動方式は、シャッター機構がシャッターを駆動するモータを備え、当該モータの動力によって上記2つの状態の切り替えを行う方式である。回路切断方式は、カメラを駆動する駆動回路への電源供給の有無によって上記2つの状態の切り替えを行う方式である。
【0042】
しかしながら、手動開閉方式のシャッター機構においては、ユーザがシャッターを操作する際に不意にレンズに触れ、レンズが汚れてしまう可能性があった。また、シャッターが電子機器の表面に露出しているため、電子機器の意匠性を損なう可能性があった。モータ駆動方式のシャッター機構においては、モータを駆動させるための部品(駆動部品)が増加しやすく、製造コストが増加しやすくなっていた。また、モータを正常に駆動させるためには駆動部品を基板に対して組み付ける際に高い精度が要求される場合があり、作業性の低下を招く可能性があった。回路駆動方式のシャッター機構においては、カメラが撮像可能状態と撮像不可能状態とのいずれの状態にあるのかを、ユーザが視認しにくいという課題があった。
【0043】
これに対し本実施形態に係るカメラモジュール1は、電圧制御によって透光状態と遮光状態とを切り替え可能な光学シート50を備えている。光学シート50が透光状態にある場合、カメラ20は、孔71および透過部3bを介して、電子機器100の外部を撮像可能である。一方、光学シート50が遮光状態にある場合、カメラ20は、電子機器100の外部を撮像できない。すなわち、基板10を介して電圧を印加することにより、光学シート50は、シャッター機構として動作する。
【0044】
また、本実施形態に係るカメラモジュール1においては、透光状態と遮光状態とを切り替える際にユーザが光学シート50に触れる必要がないため、レンズ22が汚れにくい。また、カメラモジュール1を電子機器100の表面に露出させる必要がないため、電子機器100の意匠性を損ないにくい。また、モータ駆動方式のシャッター機構と比較して光学シート50を駆動させるための部品を少なくすることができるため、製造コストを抑制しやすい。また、基板10と光学シート50と間の電気的接続に導電テープ60を用いているため、光学シート50を正常に駆動させるために必要な組み付け精度を低減しやすい。また、光学シート50が透光状態にある場合、ユーザは、透過部3bおよび孔71を通じてカメラ20を視認できる。一方、光学シート50が遮光状態にある場合、ユーザは、カメラ20を視認できない。つまり、ユーザは、カメラ20を視認できるか否かによって、カメラ20が撮像可能状態および撮像不可能状態のいずれの状態にあるかを視認することができる。また、先述したように、光学シート50の厚みは0.12mm程度であるため、例えば手動開閉方式やモータ駆動方式のシャッター機構を有するカメラモジュールと比較して、カメラモジュール1の厚みを小さくしやすくなる。つまり、カメラモジュール1の薄型化が容易になる。
【0045】
また、本実施形態に係るカメラモジュール1においては、光学シート50と基板10とを導電テープ60を用いて接続している。この構成により、例えばはんだ付けを用いた接続を採用した場合と比較して、光学シート50の保護層51(PETシート)に熱による損傷が生じることを抑制できる。また、例えば光学シート50を基板10に対してねじ止め固定あるいはかしめ固定する場合と比較して、光学シート50に生じる歪みを抑制することができる。また、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)を用いて光学シート50と基板10とを接続する場合と比較して、カメラモジュール1およびベゼル3aの小型化および薄型化を実現しやすくなる。
【0046】
また、電子機器100のベゼル3aにカメラモジュール1が配置され、カメラモジュール1の幅(第2方向Yにおける寸法)が小さい場合であっても、導電テープ60と、扁平形状を有する遮蔽部材30および電源供給用パッド40と、を用いることで、光学シート50と基板10との電気的接続を安定させることができる。より具体的には、カメラモジュール1の幅が小さい場合であっても、光学シート50と導電テープ60との接触面積、遮蔽部材30と導電テープ60との接触面積、および電源供給用パッド40と導電テープ60との接触面積が確保しやすく、光学シート50への電圧の印加を安定させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器100は、ディスプレイ2と、ディスプレイ2を取り囲むベゼル3aを有する筐体3と、ベゼル3aに配置されるカメラモジュール1と、を備え、カメラモジュール1は、遮蔽部材(グラウンド用パッド)30と電源供給用パッド40とが設けられた実装面10aを有する基板10と、撮像素子21を有し、実装面10a上に実装されたカメラ20と、カメラ20と対向する第1面50aと、第1面50aとは反対側に位置する第2面50bと、第1面50aに露出して導電テープ60(グラウンド用テープ60A)を介して遮蔽部材(グラウンド用パッド)30に電気的に接続されるグラウンド面52aと、第2面50bに露出して導電テープ60(電源供給用テープ60B)を介して電源供給用パッド40に電気的に接続される電源供給面52bと、を有する光学シートと、を備え、光学シート50は、グラウンド面52aと電源供給面52bとの間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能である。
【0048】
この構成によれば、基板10を介して光学シート50に電圧を印加することにより、光学シート50をシャッター機構として動作させることができる。また、カメラモジュール1の薄型化およびベゼル3aの狭額縁化を実現しやすくなる。なお、「ベゼル3aの狭額縁化」とは、ベゼル3aの幅(第2方向Yにおける寸法)を小さくすることを意味する。
【0049】
また、カメラモジュール1は、実装面10aに実装されてディスプレイ2を駆動する駆動回路80と、駆動回路80を覆い、電磁波を遮蔽する遮蔽部材30と、をさらに備え、グラウンド用パッドは、遮蔽部材30である。この構成により、例えば遮蔽部材30とは別にグラウンド用パッドが設けられている場合と比較して、カメラモジュール1をより小型化することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るカメラモジュール1は、遮蔽部材(グラウンド用パッド)30と電源供給用パッド40とが設けられた実装面10aを有する基板10と、撮像素子21を有し、実装面10a上に実装されたカメラ20と、カメラ20と対向する第1面50aと、第1面50aとは反対側に位置する第2面50bと、第1面50aに露出して導電テープ60(グラウンド用テープ60A)を介して遮蔽部材(グラウンド用パッド)30に電気的に接続されるグラウンド面52aと、第2面50bに露出して導電テープ60(電源供給用テープ60B)を介して電源供給用パッド40に電気的に接続される電源供給面52bと、を有する光学シートと、を備え、光学シート50は、グラウンド面52aと電源供給面52bとの間に印加される電圧の大きさを変化させることにより、光を透過する透光状態と光を遮蔽する遮光状態との間を切り替え可能である。
【0051】
この構成によれば、基板10を介して光学シート50に電圧を印加することにより、光学シート50をシャッター機構として動作させることができる。また、カメラモジュール1の薄型化を実現しやすくなる。
【0052】
また、実装面10aには、遮蔽部材(グラウンド用パッド)30および電源供給用パッド40が設けられており、グラウンド面52aは、導電テープ60(グラウンド用テープ60A)を介して電源供給用パッド40に電気的に接続されており、電源供給面52bは、導電テープ60(電源供給用テープ60B)を介して遮蔽部材(グラウンド用パッド)30に電気的に接続されている。
【0053】
この構成により、カメラモジュール1の幅が小さい場合であっても、光学シート50、遮蔽部材30、および電源供給用パッド40と導電テープ60との接触面積を確保し、光学シート50への電圧の印加を安定させることができる。
【0054】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
例えば、前記実施形態では、一対の遮蔽部材30の双方が光学シート50に対し電気的に接続されていたが、一対の遮蔽部材30のうち一方のみが光学シート50に接続されていてもよい。ただし、一対の遮蔽部材30の双方が光学シート50に接続されている構成は、一対の遮蔽部材30のうち一方のみが光学シート50に接続されている構成と比較して、光学シート50への電圧供給をより安定させることができるため好適である。これは、光学シート50および遮蔽部材30と導電テープ60(グラウンド用テープ60A)との接触面積がより大きくなるためである。
【0056】
また、光学シート50は、遮蔽部材(グラウンド用パッド)30、電源供給用パッド40、および導電テープ60とは異なる導電部材によって、基板10に対して電気的に接続されていてもよい。
【0057】
また、光学シート50の構成は上述の例に限定されず、透光状態と遮光状態との間で切り替え可能なシートであれば公知の構成から適宜選択される。
【0058】
また、遮蔽部材30の内部には、駆動回路80以外の部材が収容されていてもよい。例えば、遮蔽部材30の内部に、実装面10a上に実装されたLED(Light Emitting Diode)等のライトが収容されていてもよい。この場合、当該ライトは、カメラ20が撮像を行う際に被写体を照射するように構成されていてもよい。あるいは、当該ライトは、カメラ20が撮像可能状態にあるか撮像不可能状態にあるかに応じて点灯と非点灯とが切り替わるインジケータであってもよい。遮蔽部材30の内部に上記のライトが収容されている場合、遮蔽部材30のうち厚み方向Zにおいてライトと対向する部分には、孔もしくは透過部が設けられていてもよい。同様に、ベゼル3aのうち厚み方向Zにおいてライトと対向する部分には、孔もしくは透過部が設けられていてもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100…電子機器 1…カメラモジュール 2…ディスプレイ 3…筐体 3a…ベゼル 10…基板 10a…実装面 20…カメラ 21…撮像素子 30…遮蔽部材(グラウンド用パッド) 40…電源供給用パッド 50…光学シート 50a…第1面 50b…第2面 52a…グラウンド面 52b…電源供給面 60…導電テープ 80…駆動回路