(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B66F9/24 V
(21)【出願番号】P 2022078642
(22)【出願日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-122598(JP,A)
【文献】特開平09-165200(JP,A)
【文献】特開2018-065626(JP,A)
【文献】特開2016-204068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0138287(US,A1)
【文献】特開2008-087891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスト装置が設けられた車両本体と、
コンテナを保持した状態で前記マスト装置に沿って昇降するスプレッダ装置と、
を備えるコンテナ用のフォークリフトであって、
前記マスト装置を前後方向に傾動させるティルト部と、
オン状態の時にレーザ光を照射して路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインを表示させるレーザラインマーカー部と、
前記レーザラインマーカー部の前記オン状態を制御するレーザ制御部と、を備え、
前記レーザ制御部は、
前記スプレッダ装置が前記コンテナを保持した状態である第1条件と、前記マスト装置が傾動していない中立位置の状態である第2条件とを満たした場合に、前記レーザラインマーカー部を前記オン状態にする
ことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記スプレッダ装置は、ロックオン状態の時に前記コンテナに固定された状態になる一方、ロックオフ状態の時に前記コンテナから離脱可能な状態になるツイストロック部を備え、
前記レーザ制御部は、前記ツイストロック部が前記ロックオン状態の時に前記第1条件を満たすと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記マスト装置の前記中立位置を検知するセンサ部を備え、
前記センサ部は、
前記車両本体から前記マスト装置側に突出するように前記車両本体に設けられた第1部材と、
前記マスト装置から前記車両本体側に突出するように前記マスト装置に設けられ、前記マスト装置とともに移動する第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材の一方に設けられた近接スイッチと、
前記第1部材および前記第2部材の他方に設けられた、前記近接スイッチの被検出体と、を備え、
前記近接スイッチは、前記マスト装置が前記中立位置の時に前記被検出体を検出し、
前記レーザ制御部は、前記近接スイッチが前記被検出体を検出している間、前記第2条件を満たすと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記レーザラインマーカー部は、
前記レーザ光を照射するレーザ装置と、
前記レーザ装置が配置された、前記路面に対する角度を調整できる角度調整部と、を備え、
前記車両本体は、左右一対のフロントフェンダを備え、
前記角度調整部は、前記左右一対のフロントフェンダの少なくとも一方のフェンダの前面の一部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記フェンダは、前面プレートと、上面プレートと、側面プレートと、を備え、
前記角度調整部は、
前記レーザ装置が配置される角度調整プレートと、
前記側面プレートに重なるように前記角度調整プレートに連結された連結プレートと、
前記角度調整プレートと前記前面プレートとを接続するヒンジと、
前記連結プレートと前記側面プレートとを固定する固定ボルトと、を備え、
前記連結プレートおよび前記側面プレートの一方のプレートには、前記固定ボルトが差し込まれるボルト穴が設けられ、
前記連結プレートおよび前記側面プレートの他方のプレートには、前記固定ボルトが差し込まれる長穴が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用のフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフォークリフトとして、マスト装置が設けられた車両本体と、コンテナを保持した状態でマスト装置に沿って昇降するスプレッダ装置と、を備える空コンテナ用のフォークリフトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9に示すように、コンテナC1の隣にコンテナC2を配置する場合、従来のフォークリフト1Cの作業者は、自身の感覚を頼りに、コンテナC1とコンテナC2とが平行に並ぶようコンテナC2を移動させる。コンテナC2の位置がずれた場合、作業者は、再度フォークリフト1Cを前後進させるなどして、コンテナC2の位置を合わせる必要がある。このため、従来のフォークリフト1Cでは、作業者の技術や経験によって作業スピードに差が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、コンテナを配置する際の作業スピードの効率化を図ることが可能なフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、
マスト装置が設けられた車両本体と、
コンテナを保持した状態で前記マスト装置に沿って昇降するスプレッダ装置と、
を備えるコンテナ用のフォークリフトであって、
前記マスト装置を前後方向に傾動させるティルト部と、
オン状態の時にレーザ光を照射して路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインを表示させるレーザラインマーカー部と、
前記レーザラインマーカー部の前記オン状態を制御するレーザ制御部と、を備え、
前記レーザ制御部は、
前記スプレッダ装置が前記コンテナを保持した状態である第1条件と、前記マスト装置が傾動していない中立位置の状態である第2条件とを満たした場合に、前記レーザラインマーカー部を前記オン状態にすることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、レーザ光を照射して路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインを表示させるので、作業者は、コンテナ正面ラインを見てコンテナを指定場所に配置することができ、作業スピードの効率化を図ることができる。また、この構成によれば、所定の第1条件および第2条件を満たした場合に、レーザラインマーカー部をオン状態にするので、常時レーザ光が照射されるのを回避することができる。
【0008】
前記フォークリフトにおいて、
前記スプレッダ装置は、ロックオン状態の時に前記コンテナに固定された状態になる一方、ロックオフ状態の時に前記コンテナから離脱可能な状態になるツイストロック部を備え、
前記レーザ制御部は、前記ツイストロック部が前記ロックオン状態の時に前記第1条件を満たすと判断するよう構成できる。
【0009】
前記フォークリフトは、
前記マスト装置の前記中立位置を検知するセンサ部を備え、
前記センサ部は、
前記車両本体から前記マスト装置側に突出するように前記車両本体に設けられた第1部材と、
前記マスト装置から前記車両本体側に突出するように前記マスト装置に設けられ、前記マスト装置とともに移動する第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材の一方に設けられた近接スイッチと、
前記第1部材および前記第2部材の他方に設けられた、前記近接スイッチの被検出体と、を備え、
前記近接スイッチは、前記マスト装置が前記中立位置の時に前記被検出体を検出し、
前記レーザ制御部は、前記近接スイッチが前記被検出体を検出している間、前記第2条件を満たすと判断するよう構成できる。
【0010】
前記フォークリフトにおいて、
前記レーザラインマーカー部は、
前記レーザ光を照射するレーザ装置と、
前記レーザ装置が配置された、前記路面に対する角度を調整できる角度調整部と、を備え、
前記車両本体は、左右一対のフロントフェンダを備え、
前記角度調整部は、前記左右一対のフロントフェンダの少なくとも一方のフェンダの前面の一部に設けられているよう構成できる。
【0011】
前記フォークリフトにおいて、
前記フェンダは、前面プレートと、上面プレートと、側面プレートと、を備え、
前記角度調整部は、
前記レーザ装置が配置される角度調整プレートと、
前記側面プレートに重なるように前記角度調整プレートに連結された連結プレートと、
前記角度調整プレートと前記前面プレートとを接続するヒンジと、
前記連結プレートと前記側面プレートとを固定する固定ボルトと、を備え、
前記連結プレートおよび前記側面プレートの一方のプレートには、前記固定ボルトが差し込まれるボルト穴が設けられ、
前記連結プレートおよび前記側面プレートの他方のプレートには、前記固定ボルトが差し込まれる長穴が設けられているよう構成できる。
【0012】
前記フォークリフトは、
オン状態の時にレーザ光を照射して前記路面に前後方向に延びるコンテナ側面ラインを表示させる第2のレーザラインマーカー部を備え、
前記レーザ制御部は、
前記第1条件と前記第2条件とを満たした場合に、前記第2のレーザラインマーカー部を前記オン状態にし、前記路面に前記コンテナ正面ラインと前記コンテナ側面ラインとの交点を表示させるよう構成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンテナを配置する際の作業スピードの効率化を図ることが可能なフォークリフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの斜視図である。
【
図3】(A)は本発明の一実施形態に係るセンサ部の斜視図であり、(B)は当該センサ部の平面図である。
【
図4】(A)は本発明の一実施形態に係るレーザラインマーカー部の斜視図であり、(B)は当該レーザラインマーカー部がフロントフェンダに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るレーザ制御部の制御フロー図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの荷役動作を説明するための図である。
【
図7】本発明の変形例に係るフォークリフトの荷役動作を説明するための図である。
【
図8】(A)は本発明の変形例に係るレーザラインマーカー部の斜視図であり、(B)は当該レーザラインマーカー部がフロントフェンダに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図9】従来のフォークリフトの荷役動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るフォークリフトの実施形態について説明する。なお、前後左右上下の方向は、フォークリフトの運転席にいる作業者から見た方向である。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係るコンテナ用のフォークリフト1Aを示す。本実施形態では、フォークリフト1Aは、空のコンテナCを運ぶよう構成されているが、空のコンテナCだけでなく、中身の入ったコンテナを運ぶよう構成されていてもよい。
【0017】
フォークリフト1Aは、複数のフレームで構成された車両本体2と、車両本体2の前部に設けられたマスト装置3と、マスト装置3に沿って昇降するスプレッダ装置20と、を備える。
【0018】
車両本体2は、マスト装置3に接続されたティルト部4を備える。ティルト部4は、左右一対のティルトシリンダを含み、ティルトシリンダを伸縮させることにより、マスト装置3を前後方向に傾動させる。
【0019】
車両本体2は、上部に配置された運転席5と、下部に配置された前輪6および後輪7と、運転席5に設けられた図示しない操作部および制御部を備える。なお、制御部は、少なくとも一部の構成を運転席5とは別の場所に設けることができる。
【0020】
操作部は、運転席5にいる作業者が操作可能に構成された、荷役レバー、前後進レバー、ステアリング等を含む。制御部は、マイコン等を含むデジタル回路および/またはアナログ回路で構成され、操作部の操作に応じて、マスト装置3、ティルト部4およびスプレッダ装置20等を制御する。例えば、作業者は、操作部の荷役レバーを操作することで、マスト装置3を上下方向に伸縮させたり、コンテナCを保持した状態のスプレッダ装置20をマスト装置3に沿って昇降させたりすることができる。
【0021】
図2に示すように、スプレッダ装置20は、取付部21と、伸縮部22と、支柱部23と、ツイストロック部24とを備える。取付部21は、後部がマスト装置3に昇降可能に取り付けられ、前部に伸縮部22が設けられている。伸縮部22は、操作部の操作に応じて、左右方向に伸縮するよう構成されている。支柱部23は、伸縮部22の左右両端に設けられ、上方向に延びている。伸縮部22が伸縮することで、支柱部23間の距離が変化する。
【0022】
ツイストロック部24は、支柱部23の上部に設けられている。ツイストロック部24は、下方向に突出したツイストロックピンを備える。ツイストロックピンは、操作部の操作に応じて動作し(例えば、90°回動し)、コンテナCの上面の吊下げ穴に固定されたロックオン状態と、コンテナCの吊下げ穴から離脱可能なロックオフ状態とに切り替わる。なお、ロックオフ状態からロックオン状態への切換えは、ツイストロックピンがコンテナCの吊下げ穴に差し込まれた時に自動的に行われてもよい。
【0023】
フォークリフト1Aは、ツイストロック部24がロックオン状態の場合に、スプレッダ装置20でコンテナCを保持して運ぶことができる。一方、ツイストロック部24がロックオフ状態の場合、フォークリフト1Aは、スプレッダ装置20でコンテナCを保持することはできない。
【0024】
車両本体2は、マスト装置3の中立位置を検知するセンサ部30を備える。中立位置とは、
図1に示すようにマスト装置3が路面に対して垂直になる位置であり、マスト装置3が前後方向に傾動していない時の位置である。センサ部30は、ティルト部4の右側のティルトシリンダ近傍に設けられている。
【0025】
図3(A)にセンサ部30の斜視図を示し、
図3(B)にセンサ部30の平面図を示す。なお、
図3(A)および(B)は、マスト装置3が中立位置の時の図である。センサ部30は、第1部材31と、近接スイッチ32と、第2部材33と、被検出体34とを備える。
【0026】
第1部材31は、一端部および他端部を有する金属プレートであり、車両本体2からマスト装置3側に突出するように、一端部が車両本体2に取り付けられている。第1部材31の他端部には、近接スイッチ32が取り付けられている。
【0027】
第2部材33は、一端部および他端部を有する金属プレートであり、一端部に当該金属プレートを上方向に屈曲させることにより形成した被検出体34が設けられている。第2部材33の他端部は、第2部材33がマスト装置3から車両本体2側に突出するように、マスト装置3に取り付けられている。第2部材33は、マスト装置3とともに移動する。
【0028】
マスト装置3が中立位置の場合、近接スイッチ32と被検出体34とが対向した状態となり、近接スイッチ32は、被検出体34を検知して検知信号を制御部に出力する。マスト装置3が前方向に傾動した場合、第2部材33は前方向に移動し、被検出体34が近接スイッチ32から遠ざかるので、近接スイッチ32は被検出体34を検知しない。マスト装置3が後方向に傾動した場合、第2部材33は後方向に移動し、被検出体34が近接スイッチ32から遠ざかるので、近接スイッチ32は被検出体34を検知しない。なお、本実施形態では、第1部材31に近接スイッチ32を設け、第2部材33に被検出体34を設けているが、第1部材31に被検出体34を設け、第2部材33に近接スイッチ32を設けてもよい。
【0029】
車両本体2は、左右一対のフロントフェンダ8を備える。フロントフェンダ8は、走行時の前輪6による泥、雨、石跳ねよけの機能を有する。右側のフロントフェンダ8には、レーザラインマーカー部40が配置されている。
【0030】
図4(A)にレーザラインマーカー部40の斜視図を示し、
図4(B)にレーザラインマーカー部40がフロントフェンダ8に取り付けられた状態の斜視図を示す。
【0031】
レーザラインマーカー部40は、レーザ装置41と、本発明の「角度調整部」を構成する角度調整プレート42、連結プレート43、ヒンジ44および固定ボルト45と、を備える。
図4(B)では、固定ボルト45を省略している。右側のフロントフェンダ8は、切り欠き部9Aが設けられた前面プレート9と、上面プレート10と、側面プレート11とを備える。
【0032】
レーザ装置41は、制御部の制御下でレーザ光を照射するレーザ素子と、レーザ光を扇状に広げるためのレンズとを備える。制御部のうち、上記のようにレーザ素子を制御する構成が本発明の「レーザ制御部」である。レーザ装置41のレーザ光Lは、車両本体2の前方斜め下向きに照射され、運転席5の作業者が目視できるように、路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインFLを表示させる(
図6参照)。
【0033】
角度調整プレート42は、前面プレート9の切り欠き部9Aに配置され、前面プレート9とともにフロントフェンダ8としての機能を発揮する。角度調整プレート42の前面側には、レーザ装置41が配置されている。レーザ装置41は、角度調整プレート42の前端42Aよりも後方に配置されているため、角度調整プレート42が備えるフロントフェンダ8としての機能により、走行時の前輪6による泥、雨、石跳ねの影響を回避できる。
【0034】
連結プレート43は、側面プレート11と重なるように角度調整プレート42に連結されている。本実施形態では、連結プレート43と角度調整プレート42は、一枚の金属プレートを折り曲げ加工したものである。連結プレート43には、固定ボルト45が差し込まれるためのボルト穴43Aおよび固定ナットが設けられている。本実施形態では、ボルト穴43Aは丸穴であり、固定ナットは連結プレート43に溶接されている。
【0035】
ヒンジ44は、角度調整プレート42と前面プレート9とを接続するよう構成されている。ヒンジ44は、一片が角度調整プレート42の後面の後端42B側に取り付けられ、他片が前面プレート9の後面に取り付けられている。
【0036】
固定ボルト45は、側面プレート11に設けられた長穴11A、連結プレート43に設けられたボルト穴43Aおよび固定ナットに差し込まれることで、側面プレート11と連結プレート43とを固定する。
【0037】
本実施形態では、長穴11Aの範囲内において、角度調整プレート42の角度を調整することができる。すなわち、ボルト穴43Aと長穴11Aとの位置関係を調整して角度調整プレート42の角度を調整することで、コンテナ正面ラインFLの位置を調整することができる。角度調整プレート42の角度を調整した後、固定ボルト45で側面プレート11と連結プレート43とを固定する。
【0038】
図5に、制御部(レーザ制御部)の制御フローを示す。制御部は、電源投入されると、
図5に示す制御フローをスタートさせる。制御フローのスタート時は、レーザラインマーカー部40はオフ状態である。レーザラインマーカー部40がオフ状態のときは、レーザ装置41に電源電圧が供給されないため、レーザ光Lは照射されない。
【0039】
制御フローをスタートさせた制御部は、スプレッダ装置20がコンテナCを保持した状態である第1条件を満たすか否かを判断する(S1)。操作部においてツイストロック部24をロックオン状態にするための操作が行われると、制御部はツイストロック部24のツイストロックピンを回動させてロックオン状態にする。ツイストロック部24がロックオン状態になると、制御部は、第1条件を満たすと判断する(S1でYes)。
【0040】
第1条件を満たすと判断した制御部は、マスト装置3が中立位置の状態である第2条件を満たすか否かを判断する(S2)。マスト装置3が中立位置の場合、近接スイッチ32が被検出体34を検知して検知信号を制御部に出力する。制御部は、検知信号を取得することで第2条件を満たすと判断する(S2でYes)。
【0041】
第2条件を満たすと判断した制御部は、レーザラインマーカー部40をオン状態にする(S3)。これにより、レーザ装置41からレーザ光Lが照射され、路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインFLが表示される。なお、ステップS1の処理とステップS2の処理は、同時に行ってもよいし、ステップS2の処理を先に行ってもよい。
【0042】
一方、ステップS1でスプレッダ装置20がコンテナCを保持していない場合、すなわち、ツイストロック部24がロックオフ状態の場合、制御部は、第1条件を満たさないと判断する(S1でNo)。また、ステップS2でマスト装置3が前傾位置または後傾位置の場合、すなわち、近接スイッチ32から検知信号から出力されていない場合、制御部は、第2条件を満たさないと判断する(S2でNo)。
【0043】
第1条件または第2条件を満たさないと判断した制御部は、レーザラインマーカー部40をオフ状態のままにする(S4)。これにより、レーザ装置41から常時レーザ光Lが照射されるのを回避することができる。
【0044】
上記のとおり、本実施形態に係るフォークリフト1Aによれば、スプレッダ装置20がコンテナCを保持した状態である第1条件およびマスト装置3が中立位置の状態である第2条件を満たす場合に、レーザ光Lを照射して路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインFLを表示させる。
【0045】
したがって、
図6に示すように、フォークリフト1Aの作業者は、運転席5からコンテナ正面ラインFLを見てコンテナC2を指定場所(
図6では、コンテナC1の左隣)に配置することができるので、作業スピードの効率化を図ることができる。
【0046】
[変形例]
以上、本発明に係るフォークリフトの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0047】
図7に、変形例に係るフォークリフト1Bを示す。フォークリフト1Bは、第1のレーザラインマーカー部40に加えて第2のレーザラインマーカー部50を備える点を除き、上記実施形態のフォークリフト1Aと共通する。レーザラインマーカー部50は、路面に前後方向に延びるコンテナ側面ラインSLを表示させる。
【0048】
図8(A)にレーザラインマーカー部50の斜視図を示し、
図8(B)にレーザラインマーカー部50がフロントフェンダ8に取り付けられた状態の斜視図を示す。
【0049】
フロントフェンダ8における上面プレート10および側面プレート11の連結部分には、切り欠き部10A,11Aが形成されており、当該切り欠き部10A,11Aによって、レーザラインマーカー部50を収容するための収容部(収容空間)が形成される。
【0050】
収容部は、前側に前側プレートが設けられ、後側に後側プレートが設けられている。前側プレートおよび後側プレートは、互いに対向するように、上面プレート10および側面プレート11に接合(例えば、溶接)されている。前側プレートには、固定ボルトが差し込まれるためのボルト穴および固定ナットが設けられている。収容部の下側(前側プレートと後側プレートとの間)は、開放されている。
【0051】
レーザラインマーカー部50は、レーザ装置51と、角度調整プレート52、連結プレート53、ヒンジ54および図示しない固定ボルトと、を備える。
【0052】
レーザ装置51は、制御部の制御下でレーザ光を照射するレーザ素子と、レーザ光を扇状に広げるためのレンズとを備える。レーザ装置51のレーザ光L’は、車両本体2の側方斜め下向きに照射され、運転席5の作業者が目視できるように、路面に前後方向に延びるコンテナ側面ラインSLを表示させる(
図7参照)。
【0053】
角度調整プレート52には、上面にレーザ装置51が配置されている。レーザ装置51は、角度調整プレート52の下端52Aよりも上方に配置されているため、側面プレート11が備えるフロントフェンダ8の機能により、走行時の前輪6による泥、雨、石跳ねの影響を回避できる。
【0054】
連結プレート53は、前側プレートと重なるように角度調整プレート52に連結されている。連結プレート53と角度調整プレート52は、一枚の金属プレートを折り曲げ加工したものである。連結プレート53には、固定ボルトが差し込まれる長穴53Aが設けられている。
【0055】
ヒンジ54は、角度調整プレート52と上面プレート10とを接続するよう構成されている。ヒンジ54は、一片が角度調整プレート52の下面の上端52B側に取り付けられ、他片が上面プレート10の下面に取り付けられる。
【0056】
固定ボルトは、連結プレート53に設けられた長穴53A、前側プレートに設けられたボルト穴および固定ナットに差し込まれることで、連結プレート53と前側プレートとを固定する。
【0057】
本変形例では、長穴53Aの範囲内において、角度調整プレート52の角度を調整することができる。すなわち、前側プレートのボルト穴と連結プレート53の長穴53Aとの位置関係を調整して角度調整プレート52の角度を調整することで、コンテナ側面ラインSLの位置を調整することができる。角度調整プレート52の角度を調整した後、固定ボルトで連結プレート53と前側プレートとを固定する。
【0058】
制御部は、第1のレーザラインマーカー部40と同様に、第2のレーザラインマーカー部50を制御する。すなわち、制御部は、スプレッダ装置20がコンテナCを保持した状態である第1条件およびマスト装置3が中立位置の状態である第2条件を満たす場合に、レーザ装置51からレーザ光L’を照射させて路面に前後方向に延びるコンテナ側面ラインSLを表示させる。
【0059】
本変形例によれば、
図7に示すように、コンテナ正面ラインFLとコンテナ側面ラインSLとを表示させることで、コンテナ正面ラインFLとコンテナ側面ラインSLとの交点Xを表示させることができる。このため、フォークリフト1Bの作業者は、運転席5からコンテナ正面ラインFL、コンテナ側面ラインSLおよび交点Xを見てコンテナC2を指定場所(
図7では、コンテナC1の左隣)に配置することができるので、より一層作業スピードの効率化を図ることができる。
【0060】
[その他の変形例]
本発明に係るフォークリフトは、マスト装置が設けられた車両本体と、コンテナを保持した状態でマスト装置に沿って昇降するスプレッダ装置と、を備えるコンテナ用のフォークリフトであって、マスト装置を前後方向に傾動させるティルト部と、オン状態の時にレーザ光を照射して路面に左右方向に延びるコンテナ正面ラインを表示させるレーザラインマーカー部と、レーザラインマーカー部のオン状態を制御するレーザ制御部と、を備え、レーザ制御部は、スプレッダ装置がコンテナを保持した状態である第1条件と、マスト装置が傾動していない中立位置の状態である第2条件を満たした場合に、レーザラインマーカー部をオン状態にするのであれば、適宜構成を変更できる。
【0061】
例えば、上記実施形態では、右側のフロントフェンダ8にレーザラインマーカー部40が取り付けられているが、左側のフロントフェンダ8に取り付けられていてもよいし、左右両側に取り付けられていてもよい。レーザラインマーカー部50についても、同様である。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B フォークリフト
2 車両本体
3 マスト装置
4 ティルト部
5 運転席
6 前輪
7 後輪
8 フロントフェンダ
9 前面プレート
10 上面プレート
11 側面プレート
20 スプレッダ装置
21 取付部
22 伸縮部
23 支柱部
24 ツイストロック部
30 センサ部
31 第1部材
32 近接スイッチ
33 第2部材
34 被検出体
40,50 レーザラインマーカー部
41,51 レーザ装置
42,52 角度調整プレート
43,53 連結プレート
44,54 ヒンジ
45 固定ボルト