IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-産業車両 図1
  • 特許-産業車両 図2
  • 特許-産業車両 図3
  • 特許-産業車両 図4
  • 特許-産業車両 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240424BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20240424BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20240424BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B60R16/02 630J
B66F9/075 A
B62D1/04
B60R16/027 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022123831
(22)【出願日】2022-08-03
(65)【公開番号】P2024021177
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木綿 啓介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 広之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 祐造
(72)【発明者】
【氏名】坂本 豪
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-010442(JP,A)
【文献】特開2007-263259(JP,A)
【文献】特開2000-335270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B66F 9/075
B62D 1/04
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵輪が設けられた車両本体と、
前記操舵輪を操舵させるハンドルと、
前記車両本体に設けられた左右一対の方向指示器と、
前記左右一対の方向指示器の一方を選択して点灯させる方向指示器スイッチと、
前記車両本体の進行方向を前進と後進とに切換える前後進切換スイッチと、
を備える産業車両であって、
前記ハンドルは、
前記車両本体に固定されたハンドル中心部と、
前記ハンドル中心部に対して回転可能に設けられたハンドルスポークと、
を備え、
前記方向指示器スイッチおよび前記前後進切換スイッチは、前記ハンドルスポークよりも上方において前記ハンドル中心部の側部に設けられ、かつ一方が前記ハンドル中心部の左側部に、他方が前記ハンドル中心部の右側部に設けられている
ことを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記車両本体には、オペレータが座るための運転席が設けられ、
前記ハンドルは、前記ハンドルスポークの先端の上面側にハンドルノブを有する一方、ハンドルリムを有しないレバー型ハンドルである
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
前記ハンドル中心部の上面側には、
前記前後進切換スイッチの状態を示す第1表示領域と、
前記方向指示器スイッチの状態を示す第2表示領域と、
オペレータが操作可能に構成されたパネル部と、
が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等の産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトには、オペレータが座った状態で操縦するフォークリフト(例えば、カウンターバランスタイプのフォークリフト)と、オペレータが立った状態で操縦するフォークリフト(例えば、リーチタイプのフォークリフトやピッキングリフト)が存在する。
【0003】
図4(A)に、カウンターバランスタイプのフォークリフトのダッシュボード周辺の構成を示す。ダッシュボードには、操舵輪(後輪)を操舵させるためのハンドル23が設けられている。ハンドル23は、フォークリフトの車体フレームに固定されたハンドル中心部23aと、ハンドル中心部23aに回転可能に設けられたハンドルスポーク23bと、ハンドルスポーク23bの一端の上面側に設けられたハンドルノブ23cと、ハンドル中心部23aが回転中心となるようにハンドルスポーク23bの一端および他端に接続されたハンドルリム23dとで構成される。
【0004】
図4(B)に示すように、ハンドルスポーク23bおよびハンドルリム23dの下方には、前後進切換スイッチ24と方向指示器スイッチ25が設けられている。前後進切換スイッチ24は、フォークリフトの車両本体の進行方向を前進と後進とに切換えるためのスイッチである。方向指示器スイッチ25は、車両本体に設けられた左右一対の方向指示器(例えば、左右一対のウインカーランプ)の一方を選択して点灯させるためのスイッチである。
【0005】
運転席に座ったオペレータから見ると、前後進切換スイッチ24および方向指示器スイッチ25が、ハンドルスポーク23bおよびハンドルリム23dの下に隠れた状態となる。オペレータは、左右のスイッチのどちらが前後進切換スイッチ24でどちらが方向指示器スイッチ25なのか一目で分からないため、例えば、方向指示器スイッチ25を操作するつもりが、誤って前後進切換スイッチ24を操作してしまうおそれがある。
【0006】
また、オペレータは、前後進切換スイッチ24の状態(例えば、前進、ニュートラル、後進の状態)および方向指示器スイッチ25の状態(例えば、左点灯、消灯、右点灯の状態)が一目で分からないため、不要な操作を行ってしまうおそれがある。さらに、オペレータが前後進切換スイッチ24または方向指示器スイッチ25を操作する際に、ハンドルスポーク23bおよびハンドルリム23dの存在が邪魔になる。
【0007】
その結果、従来のフォークリフトでは、オペレータが荷役作業時にストレスを感じたり、作業効率が低下したりするおそれがある。このため、従来のフォークリフトでは、前後進切換スイッチ24や方向指示器スイッチ25の視認性および操作性の向上が求められている。
【0008】
なお、従来のフォークリフトでは、荷役作業時に重要な爪先視界の確保も求められている。例えば、図5(A)に示すように、運転席に座ったオペレータから見るとハンドルリム23dによってフォーク6の一部(図5(A)では、左側のフォーク6の先端部)が隠れるため、爪先視界Aが損なわれてしまう。ピッキングリフトでは、ハンドルリムを有しないレバー型ハンドルを採用したものも存在するが(例えば、特許文献1参照)、オペレータが座った状態で操縦するカウンターバランスタイプのフォークリフトでは、ハンドルリムを有するリング型ハンドルが一般的である。
【0009】
図5(A)に示すカウンターバランスタイプのフォークリフトでは、ハンドル23の下方かつ前方にメータパネル26が設けられているため、メータパネル26の表示部が見えにくく、メータパネル26の操作部が操作しにくいという問題が生じる。また、メータパネル26により、爪先視界Aが損なわれてしまう。
【0010】
図5(B)に示すカウンターバランスタイプのフォークリフトでは、ダッシュボードの右端部にメータパネル27が設けられているため、爪先視界Aの一部が改善されているものの、ハンドルリム23dによって損なわれた爪先視界Aは改善されていない。また、メータパネル27の位置が変更したことにより、図5(A)と比べると、オペレータの視線の移動距離(例えば、フォーク6の先端部からメータパネル27の表示部までの視線の移動距離)は大きくなり、オペレータの指の移動距離も大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第3714521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、前後進切換スイッチや方向指示器スイッチの視認性および操作性を向上させることが可能なフォークリフト等の産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る産業車両は、
操舵輪が設けられた車両本体と、
前記操舵輪を操舵させるハンドルと、
前記車両本体に設けられた左右一対の方向指示器と、
前記左右一対の方向指示器の一方を選択して点灯させる方向指示器スイッチと、
前記車両本体の進行方向を前進と後進とに切換える前後進切換スイッチと、
を備える産業車両であって、
前記ハンドルは、
前記車両本体に固定されたハンドル中心部と、
前記ハンドル中心部に対して回転可能に設けられたハンドルスポークと、
を備え、
前記方向指示器スイッチおよび前記前後進切換スイッチは、前記ハンドルスポークよりも上方において前記ハンドル中心部の側部に設けられ、かつ一方が前記ハンドル中心部の左側部に、他方が前記ハンドル中心部の右側部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成では、産業車両のオペレータは、左右のスイッチのどちらが前後進切換スイッチでどちらが方向指示器スイッチなのかを容易に把握することができ、前後進切換スイッチの状態および方向指示器スイッチの状態も容易に把握することができる。さらに、オペレータが前後進切換スイッチまたは方向指示器スイッチを操作する際に、ハンドルの存在が邪魔になることはない。したがって、この構成によれば、前後進切換スイッチや方向指示器スイッチの視認性および操作性を向上させることが可能となる。
【0015】
前記産業車両において、
前記車両本体には、オペレータが座るための運転席が設けられ、
前記ハンドルは、前記ハンドルスポークの先端の上面側にハンドルノブを有する一方、ハンドルリムを有しないレバー型ハンドルであることが好ましい。
【0016】
前記産業車両において、
前記ハンドル中心部の上面側には、
前記前後進切換スイッチの状態を示す第1表示領域と、
前記方向指示器スイッチの状態を示す第2表示領域と、
オペレータが操作可能に構成されたパネル部と、
が設けられているよう構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前後進切換スイッチや方向指示器スイッチの視認性および操作性を向上させることが可能な産業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの斜視図である。
図2】(A)本発明の一実施形態に係るフォークリフトのダッシュボード周辺の構成を示す図である。(B)本発明の一実施形態に係るフォークリフトの前後進切換スイッチおよび方向指示器スイッチを示す図である。
図3】本発明の変形例に係るフォークリフトのダッシュボード周辺の構成を示す図である。
図4】(A)従来のフォークリフトのダッシュボード周辺の構成を示す図である。(B)従来のフォークリフトの前後進切換スイッチおよび方向指示器スイッチを示す図である。
図5】(A)従来のフォークリフトの爪先視界を示す図である。(B)メータパネルの位置が異なる従来のフォークリフトの爪先視界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る産業車両の実施形態について説明する。
【0020】
図1に、本発明の一実施形態に係るフォークリフト1(本発明の「産業車両」に相当)の斜視図を示す。フォークリフト1は、カウンターバランスタイプのフォークリフトであって、車体フレームを含む車両本体2と、車両本体2の下部に設けられた操舵輪3(後輪)および駆動輪4(前輪)とを備える。駆動輪4は、車両本体2に搭載された駆動装置(不図示)によって駆動される。
【0021】
フォークリフト1は、車両本体2の前部に設けられたマスト装置5と、マスト装置5に沿って昇降するフォーク6と、車両本体2の上部に設けられた運転席7と、運転席7の上方を覆うように車両本体2に設けられたヘッドガード8とを備える。
【0022】
ヘッドガード8は、左右一対のフロントピラーと、左右一対のリアピラーと、ルーフとで構成される。左側のフロントピラーには、前照灯(例えば、LEDランプ)9および方向指示器9Lが取り付けられている。同様に、右側のフロントピラーには、前照灯(例えば、LEDランプ)9および方向指示器9Rが取り付けられている。
【0023】
ルーフの後部には、左右一対のコンビネーションランプ10が取り付けられている。左側のコンビネーションランプ10は、バックランプ、テールランプ、ブレーキランプおよび方向指示器10L(ウインカーランプ)で構成される。同様に、右側のコンビネーションランプ10は、バックランプ、テールランプ、ブレーキランプおよび方向指示器10R(ウインカーランプ)で構成される。
【0024】
図2(A)に、フォークリフト1のダッシュボード周辺の構成を示す。ダッシュボードは、車両本体2の運転席7の前方に設けられている。ダッシュボードには、リフトレバー11およびティルトレバー12が設けられている。
【0025】
本実施形態では、オペレータがリフトレバー11を前傾させるとフォーク6が下降し、オペレータがリフトレバー11を後傾させるとフォーク6が上昇する。リフトレバー11が中立位置の時は、フォーク6は停止する(昇降しない)。オペレータがティルトレバー12を前傾させるとマスト装置5が前方向に傾動(前傾)し、オペレータがティルトレバー12を後傾させるとマスト装置5が後方向に傾動(後傾)する。ティルトレバー12が中立位置の時は、マスト装置5は停止する(傾動しない)。
【0026】
ダッシュボードには、操舵輪3を操舵させるためのハンドル13が設けられている。ハンドル13は、ハンドル中心部13aと、ハンドルスポーク13bと、ハンドルノブ13cと、を備えるレバー型ハンドルである。レバー型ハンドルは、ハンドルリムを有しない構成である。
【0027】
ハンドル中心部13aは、車両本体2に固定されている。例えば、ハンドル中心部13aは、ハンドル中心部13aを下側から支持する円筒形状の支持部と、支持部の下端に取り付けられた固定部材等を介して、車両本体2に固定されている。ハンドル中心部13aは、ハンドルスポーク13bが回転しても回転しない。ハンドル中心部13aの上面側には、メータパネル16(本発明の「パネル部」に相当)が設けられている。メータパネル16については後述する。
【0028】
ハンドルスポーク13bは、ハンドル中心部13aに対して回転可能に設けられている。例えば、ハンドルスポーク13bは、ハンドル中心部13aよりも下方において、上記支持部の外側に嵌合された円筒形状の連結部に連結される。連結部は、支持部に対して回転可能に構成されており、ハンドルスポーク13bとともに回転して、ハンドルスポーク13bの回転運動を操舵装置(操舵輪3を操舵させるための装置)に伝達する。
【0029】
ハンドルスポーク13bは、ハンドル中心部13aを回転中心として、ハンドル中心部13aに対して360度回転する。ハンドルスポーク13bは、リング型ハンドルのハンドルスポークの片側のみで構成される。
【0030】
ハンドルノブ13cは、ハンドルスポーク13bの先端の上面側に設けられている。ハンドルノブ13cは、運転席7に座ったオペレータが握りやすい形状に構成されている。
【0031】
運転席7に座ったオペレータが、ハンドルノブ13cを握った状態でハンドルノブ13cとともにハンドルスポーク13bを回転させると、上記操舵装置により、ハンドルスポーク13bの回転角度に応じて操舵輪3が操舵される。
【0032】
ハンドル中心部13aの側部には、前後進切換スイッチ14および方向指示器スイッチ15が設けられている。前後進切換スイッチ14は、車両本体2の進行方向を前進と後進とに切換えるスイッチである。方向指示器スイッチ15は、左側の方向指示器9L、10Lおよび右側の方向指示器9R、10Rの一方を選択して点灯(本実施形態では、点滅)させるスイッチである。なお、本発明における「点灯」は、「点滅」を含むものとする。
【0033】
前後進切換スイッチ14は、ハンドルスポーク13bよりも上方において、ハンドル中心部13aの左側部に設けられている。前後進切換スイッチ14は、ハンドルスポーク13bが回転しても回転せず、図2(A)に示す位置(ハンドル中心部13aの左側)に維持される。前後進切換スイッチ14は、ハンドルスポーク13bよりも短い長さに構成され、かつ、ハンドルスポーク13bを360度回転させてもハンドルノブ13cに接触しないような長さに構成されている。また、オペレータがハンドルノブ13cを握った状態で前後進切換スイッチ14を操作できるように、前後進切換スイッチ14は、ハンドルノブ13cとほぼ同じ高さで、かつハンドルスポーク13bと並行に延びるようにハンドル中心部13aの左側部に設けられている。
【0034】
前後進切換スイッチ14の状態には、前進、ニュートラル、後進の状態が存在する。本実施形態では、前後進切換スイッチ14を前側に傾けると前進の状態になり、前後進切換スイッチ14を後側に傾けると後進の状態になり、前後進切換スイッチ14を前後に傾けていない状態(中立位置)にするとニュートラルの状態になる。前後進切換スイッチ14が前進の状態で、オペレータがアクセルペダルを踏むとフォークリフト1は前進する。前後進切換スイッチ14が後進の状態で、オペレータがアクセルペダルを踏むとフォークリフト1は後進する。
【0035】
図2(B)に示すように、ハンドル中心部13aの上面の左端部には、前後進切換スイッチ14の状態を示す第1表示領域D1が設けられている。本実施形態では、第1表示領域D1に刻印されたFが前進の状態を示し、Rが後進の状態を示し、Nがニュートラルの状態を示す。オペレータは、前後進切換スイッチ14の基端部に刻印された直線と第1表示領域D1とを確認することで、前後進切換スイッチ14の状態を一目で把握することができる。
【0036】
方向指示器スイッチ15は、ハンドルスポーク13bよりも上方において、ハンドル中心部13aの右側部に設けられている。方向指示器スイッチ15は、ハンドルスポーク13bが回転しても回転せず、図2に示す位置(ハンドル中心部13aの右側)に維持される。方向指示器スイッチ15は、ハンドルスポーク13bよりも短い長さに構成され、かつ、ハンドルスポーク13bを360度回転させてもハンドルノブ13cに接触しないような長さに構成されている。また、方向指示器スイッチ15は、ハンドルノブ13cとほぼ同じ高さで、かつハンドルスポーク13bと並行に延びるようにハンドル中心部13aの右側部に設けられている。
【0037】
方向指示器スイッチ15の状態には、左側の方向指示器9L、10Lを点灯させる第1状態、右側の方向指示器9R、10Rを点灯させる第2状態、方向指示器9L、10Lおよび方向指示器9R、10Rを消灯させる第3状態が存在する。本実施形態では、方向指示器スイッチ15を前側に傾けると第1状態になり、方向指示器スイッチ15を後側に傾けると第2状態になり、方向指示器スイッチ15を前後に傾けていない状態(中立位置)にすると第3状態になる。
【0038】
図2(B)に示すように、ハンドル中心部13aの上面の右端部には、方向指示器スイッチ15の状態を示す第2表示領域D2が設けられている。本実施形態では、第2表示領域D2に刻印された左向きの矢印が第1状態を示し、右向きの矢印が第2状態を示し、矢印なし(・のみ)が第3状態を示す。オペレータは、方向指示器スイッチ15の基端部に刻印された直線と第2表示領域D2とを確認することで、方向指示器スイッチ15の状態を一目で把握することができる。
【0039】
方向指示器スイッチ15は、方向指示器9L、10Lおよび方向指示器9R、10Rを点灯/消灯させる操作とは異なる操作によって、前照灯9を点灯/消灯させるよう構成されている。すなわち、方向指示器スイッチ15の状態には、前照灯9を点灯(本実施形態では、連続点灯)させる第4状態と、前照灯9を消灯させる第5状態とが存在する。
【0040】
メータパネル16は、ハンドル中心部13aの上面側の第1表示領域D1と第2表示領域D2との間に設けられている。ハンドル中心部13aの側部の外装ケースは、メータパネル16の外装ケースを兼ねている。メータパネル16は、オペレータが視認可能に構成された表示部と、オペレータが操作可能に構成された操作部とを含む。表示部は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、バッテリの残量(フォークリフト1がバッテリを備える場合)や、走行速度等を示す画面を表示させたり、フォークリフト1の各種設定を行う設定画面を表示させたりする。操作部は、複数の操作ボタンを含む。オペレータは、複数の操作ボタンを操作することで、設定画面に表示された各種設定を行うことができる。
【0041】
本実施形態に係るフォークリフト1では、運転席7に座ったオペレータは、ハンドル中心部13aの側部に設けられた左右のスイッチのどちらが前後進切換スイッチ14でどちらが方向指示器スイッチ15なのかを一目で把握することができ、前後進切換スイッチ14の状態および方向指示器スイッチ15の状態も一目で把握することができる。さらに、本実施形態に係るフォークリフト1では、オペレータが前後進切換スイッチ14または方向指示器スイッチ15を操作する際にハンドル13の存在が邪魔になることはないため、オペレータは、最短ルートで前後進切換スイッチ14または方向指示器スイッチ15に接触することができる。
【0042】
したがって、本実施形態に係るフォークリフト1によれば、前後進切換スイッチ14や方向指示器スイッチ15の視認性および操作性を向上させることが可能となる。その結果、オペレータが荷役作業時にストレスを感じにくくなり、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態に係るフォークリフト1では、ハンドル13がハンドルリムを有しないレバー型ハンドルであるため、図2(A)に示すように、ハンドルリムによって爪先視界Aが損なわれてしまうことはない。
【0044】
本実施形態に係るフォークリフト1では、メータパネル16がハンドル中心部13aの上面側に設けられているため、メータパネル16によって爪先視界Aが損なわれてしまうこともない。さらに、運転席7に座ったオペレータからメータパネル16までの距離が短くなるため、メータパネル16の視認性および操作性を向上させることが可能となる。
【0045】
[変形例]
以上、本発明に係る産業車両の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0046】
図3に、本発明の変形例に係るフォークリフトのダッシュボード周辺の構成を示す。本変形例に係るフォークリフトは、ハンドル23およびメータパネル27を除いて、上記実施形態に係るフォークリフト1と共通する。
【0047】
ハンドル23は、ハンドルリム23dを有する従来のリング型ハンドルである。メータパネル27は、ダッシュボードの右端部に設けられていることを除いて、上記実施形態のメータパネル16と共通の構成である。すなわち、本発明の変形例に係るフォークリフトは、図5(B)に示す従来のフォークリフトにおいて、上記実施形態の前後進切換スイッチ14および方向指示器スイッチ15を採用したものである。
【0048】
本変形例に係るフォークリフトでは、上記実施形態に係るフォークリフト1と同様に、前後進切換スイッチ14および方向指示器スイッチ15が、ハンドルスポーク23bよりも上方においてハンドル中心部23aの左右の側部に設けられている。前後進切換スイッチ14および方向指示器スイッチ15は、ハンドルリム23dの半径よりも短い長さで、かつハンドルノブ23cおよびハンドルリム23dに接触しないような長さに構成されている。
【0049】
本変形例に係るフォークリフトによれば、前後進切換スイッチ14や方向指示器スイッチ15の視認性および操作性を向上させることが可能となる。その結果、オペレータが荷役作業時にストレスを感じにくくなり、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0050】
[その他の変形例]
本発明に係る産業車両は、操舵輪が設けられた車両本体と、操舵輪を操舵させるハンドルと、車両本体に設けられた左右一対の方向指示器と、左右一対の方向指示器の一方を選択して点灯させる方向指示器スイッチと、車両本体の進行方向を前進と後進とに切換える前後進切換スイッチと、を備える産業車両であって、ハンドルは、車両本体に固定されたハンドル中心部と、ハンドル中心部に対して回転可能に設けられたハンドルスポークと、を備え、方向指示器スイッチおよび前後進切換スイッチは、ハンドルスポークよりも上方においてハンドル中心部の側部に設けられ、かつ一方がハンドル中心部の左側部に、他方がハンドル中心部の右側部に設けられているのであれば、適宜構成を変更できる。
【0051】
例えば、上記実施形態とは逆に、前後進切換スイッチ14がハンドル中心部13aの右側部に設けられ、方向指示器スイッチ15がハンドル中心部13aの左側部に設けられていてもよい。前後進切換スイッチ14および/または方向指示器スイッチ15の形状は、ハンドル13の操作の妨げにならないのであれば、任意に変更することができる。
【0052】
上記実施形態では、左右一対の方向指示器として、ヘッドガード8の前側に設けられた方向指示器9L、9Rと、ヘッドガード8の後側に設けられた方向指示器10L、10Rとを用いているが、前後どちらか一方だけでもよいし、さらに別の方向指示器を用いてもよい。
【0053】
本発明の産業車両について、上記実施形態ではカウンターバランスタイプのフォークリフトで説明したが、リーチタイプのバッテリフォークリフトでもよいし、その他のタイプのフォークリフトでもよい。また、本発明の産業車両は、フォークリフト以外のものでもよく、例えば、搬送車、建設機械、または農業機械でもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 フォークリフト
2 車両本体
3 操舵輪
4 駆動輪
5 マスト装置
6 フォーク
7 運転席
8 ヘッドガード
9 前照灯
9L、9R 方向指示器
10 コンビネーションランプ
10L、10R 方向指示器
11 リフトレバー
12 ティルトレバー
13、23 ハンドル
13a、23a ハンドル中心部
13b、23b ハンドルスポーク
13c、23c ハンドルノブ
23d ハンドルリム
14、24 前後進切換スイッチ
15、25 方向指示器スイッチ
16、26、27 メータパネル
図1
図2
図3
図4
図5