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特許7478231高高度プラットフォームからカバレッジを提供するアンテナシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】高高度プラットフォームからカバレッジを提供するアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/28 20060101AFI20240424BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20240424BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20240424BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240424BHJP
   H01Q 3/02 20060101ALI20240424BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240424BHJP
   B64C 1/36 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H01Q1/28
H01Q21/24
H01Q3/30
H01Q21/06
H01Q3/02
B64C39/02
B64C1/36
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022524645
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020058888
(87)【国際公開番号】W WO2021092017
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】16/674,662
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナンス シャラス
(72)【発明者】
【氏名】ベフルージ サイラス
(72)【発明者】
【氏名】ビチク セルゲイ
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0324469(US,A1)
【文献】米国特許第06157621(US,A)
【文献】特表2016-524414(JP,A)
【文献】特開2018-127201(JP,A)
【文献】特開昭53-015094(JP,A)
【文献】特表平10-503064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/28
H01Q 21/24
H01Q 3/30
H01Q 21/06
H01Q 3/02
B64C 39/02
B64C 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高高度プラットフォーム(HAP)のためのアンテナシステムを備えるシステムであって、前記アンテナシステムは、
アンテナ素子の第1のセットを含む中央パネルと、
前記中央パネルの周囲に、かつ前記中央パネルからの或る角度オフセットで配置された複数の補助パネルであって、前記複数の補助パネルのうちの各補助パネルは、アンテナ素子の第2のセットを含み、前記アンテナ素子の第1のセットは、第1の半径を有する第1のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されており、前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記第1の半径を超える第2のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されている、複数の補助パネルと
を有し、
前記中央パネルは、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記HAPに対して下向き方向に配向される又は面するように配置され、
前記複数の補助パネルは、前記HAP上での動作時に、前記複数の補助パネルが、下向きの傾斜に対応する、前記HAPに対する前記下向き方向からオフセットされた角度で配向されるように配置され、
前記下向きの傾斜は、調整可能な配向である、システム。
【請求項2】
前記複数の補助パネルは、少なくとも4つの補助パネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の補助パネルは、少なくとも12個の補助パネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記中央パネルは、前記アンテナ素子の第1のセットが配置される平坦面を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アンテナ素子の第1のセットは、前記中央パネルの周囲で規則的な間隔で配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記複数の補助パネルのうちのそれぞれ1つの上に直線アレイにおいて配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の補助パネルの各々は、同じ構成を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記アンテナ素子の第1のセットによって形成されるビームの指向方向を電子的にステアリングするように構成された1つ又は複数のプロセッサを更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記HAPに対する前記中央パネルの配向を調整し、それにより、前記アンテナ素子の第1のセットによって形成されるビームの指向方向をステアリングするように構成されたジンバルを更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の補助パネルは、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記複数の補助パネルよりも下に配置されるように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記HAPを更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記HAPは、気球を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
高高度プラットフォーム(HAP)のためのアンテナシステムを備えるシステムであって、前記アンテナシステムは、
アンテナ素子の第1のセットを含む中央パネルと、
前記中央パネルの周囲に、かつ前記中央パネルからの或る角度オフセットで配置された複数の補助パネルであって、前記複数の補助パネルのうちの各補助パネルは、アンテナ素子の第2のセットを含み、前記アンテナ素子の第1のセットは、第1の半径を有する第1のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されており、前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記第1の半径を超える第2のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されている、複数の補助パネルと
を有し、
前記中央パネルは中心点を有する平坦形状を有し、かつ、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記HAPに対して下向き方向に配向される又は面するように配置され、
前記複数の補助パネルが、前記中央パネルの前記周囲から、前記中央パネルに対して垂直かつ前記中心点にあわされた軸を中心に規則的な間隔で設置され、
前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記複数の補助パネルのうちのそれぞれ1つの上に直線アレイにおいて配置される、システム。
【請求項14】
前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、クローバ形状を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記中央パネルは前記複数の補助パネルのうちの少なくとも1つの補助パネルの上方に搭載された平坦リングである、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記HAPに対する前記中央パネルの配向を調整することによって、前記中央パネル上の前記アンテナ素子の第1のセットの指向方向を調整するように構成されているジンバルと、
前記アンテナ素子の第1のセットによって形成されるスポットビームの指向方向をステアリングするように前記ジンバルを制御する1又は複数のプロセッサと
を更に備える、請求項13から15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年11月5日に提出された米国特許出願第16/674,662号の利益を主張し、この米国特許出願の全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
情報は、指向性ポイントツーポイントネットワーク又はポイントツーマルチポイントネットワーク、例えば、航空宇宙及び他のモバイルネットワークを介して送信することができる。そのようなネットワークでは、各ノード対の送受信機を互いに向けて照準することによって、ノードの対間にリンクを形成することができる。幾つかの実装では、ノードは、地球に対して運動している非静止衛星軌道(NGSO)衛星又は他の高高度プラットフォーム(HAP)を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書において説明される技術は、高高度プラットフォームからカバレッジを提供するように構成されたアンテナシステムを提供する。アンテナシステムは、低地球軌道から大規模地理的エリア内の複数のセクタにカバレッジを提供するように構成されてよい。本開示の1つの態様は、高高度プラットフォーム(HAP)のためのアンテナシステムを備えるシステムを提供する。前記アンテナシステムは、アンテナ素子の第1のセットを含む中央パネルと、前記中央パネルの周囲に、かつ前記中央パネルからの或る角度オフセットで配置された複数の補助パネルとを有する。前記複数の補助パネルのうちの各補助パネルは、アンテナ素子の第2のセットを含む。前記アンテナ素子の第1のセットは、第1の半径を有する第1のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されており、前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記第1の半径を超える第2のエリア内にネットワークカバレッジを提供するように構成されている。
【0004】
1つの例では、前記複数の補助パネルは、少なくとも4つの補助パネルを含む。別の例では、前記複数の補助パネルは、少なくとも12個の補助パネルを含む。別の例では、前記中央パネルは、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記HAPに対して下向き方向に配向される又は面するように配置される。この例では、前記複数の補助パネルは、前記HAP上での動作時に、前記複数の補助パネルが、下向きの傾斜に対応する、前記HAPに対する前記下向き方向からオフセットされた角度で配向されるように配置される。加えて、前記下向きの傾斜は、固定された配向である。代替的に、前記下向きの傾斜は、調整可能な配向である。別の例では、前記複数の補助パネルは、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記補助パネルに対して凹設されるように配置される。別の例では、前記中央パネルは、前記アンテナ素子の第1のセットが配置される平坦面を含む。別の例では、前記中央パネルはリングである。別の例では、前記アンテナ素子の第1のセットは、前記中央パネルの周囲で規則的な間隔で配置される。別の例では、複数の補助パネルの各々。別の例では、前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、前記複数の補助パネルのうちのそれぞれ1つの上に直線アレイにおいて配置される。別の例では、前記アンテナ素子の第2のセットの各々は、クローバ形状を有する。別の例では、前記複数の補助パネルの各々は、同じ構成を有する。別の例では、前記システムは、前記アンテナ素子の第1のセットによって形成されるビームの指向方向を電子的にステアリングするように構成された1つ又は複数のプロセッサも備える。別の例では、前記システムは、前記HAPに対する前記中央パネルの配向を調整し、それにより、前記アンテナ素子の第1のセットによって形成されるビームの指向方向をステアリングするように構成されたジンバルも備える。別の例では、前記複数の補助パネルは、前記HAP上での動作時に、前記中央パネルが前記補助パネルよりも下に配置されるように配置される。別の例では、前記システムは、前記HAPも備える。この例では、前記HAPは、気球を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の態様に係る例示のネットワークの一部分の絵図である。
【0006】
図2】本開示の態様に係る、図1に示されたネットワークのノードの機能図である。
【0007】
図3A】本開示の態様に係るアンテナシステムの例示の構成である。
図3B】本開示の態様に係るアンテナシステムの例示の構成である。
【0008】
図4】本開示の態様に係るアンテナシステムの例示の構成である。
【0009】
図5】本開示の態様に係るアンテナシステムの例示の構成である。
【0010】
図6】本開示の態様に係るカバレッジエリアの例示の表現である。
【0011】
図7】本開示の態様に係る例示のカバレッジエリア構成である。
【0012】
図8】本開示の態様に係る例示のカバレッジエリア構成である。
【0013】
図9】本開示の態様に係る例示のスイッチングシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、大規模地理的エリアにわたってカバレッジを提供する高高度プラットフォーム(HAP)上の通信システムに関する。大規模地理的エリアは、数十キロメートルのオーダの第1の半径を有してよい。大規模地理的エリアにわたってカバレッジを提供するために、通信システムは、HAPに対して下向きの角度をなしてHAPを中心に放射状に複数のスポットビームを指向するように設計されたアンテナシステムを備えてよい。アンテナシステムは、少なくとも1つのスポットビームを、HAPに対して真下に指向するように構成されてもよい。スポットビームは、独立して又はまとめてステアリング可能であってよい。スポットビームのステアリングは、機械的及び/又は電子的に実行されてよい。このアンテナシステムを使用すると、通信システムは、効率的な方式で、大規模地理的エリアの全体にカバレッジを提供することが可能であり得る。
【0015】
HAPの通信システムのためのアンテナシステムは、分割配置において複数のアンテナ素子を含んでよい。分割配置は、中央パネルと、少なくとも1つの補助パネルとを含んでよい。中央パネルは、アンテナ素子のセット又はアレイを含み、HAPに対して下向きに面して設置される。アンテナ素子のセットは、中央パネル上に平坦アレイにおいて配置されてよく、中央パネルは、HAPに対する下向き方向に垂直であってよい。各補助パネルは、アンテナ素子の別のセットを含み、中央パネルの周囲に、HAPに対する下向きの傾斜を有して設置される。下向きの傾斜は、機械的な傾斜又は電子的な傾斜であってよい。
【0016】
この分割配置において、アンテナシステムは、中央パネル上のアンテナ素子のセットを使用して、HAPの直下の第1のセクタ内にカバレッジを提供してよい。第1のセクタは、大規模地理的エリアの第1の半径よりも小さい第2の半径を有してよい。複数の補助素子について、各補助素子上のアンテナ素子のセットは、アンテナシステムにおいて、第1の半径と第2の半径との間のエリアの一部分をカバーするセクタにカバレッジを提供するのに使用されてよい。
【0017】
幾つかの実装では、少なくとも1つの補助パネル上のアンテナ素子のセットは、当該少なくとも1つの補助パネルによって提供されるカバレッジのエリアを狭めるか又は広げるようにステアリングされてもよい。カバレッジのエリアの幅は、人口密度、需要の履歴、エリア内若しくはエリア付近にカバレッジを提供する他の端末(地上タワー、他のHAP等)の存在、又は他のネットワーク因子に基づいて決定されてもよい。加えて又は代替的に、中央パネルは、ステアリング可能であってよい。別の代替形態では、中央パネルに加えて又はその代わりに、HAP上に別個のステアリング可能アンテナが搭載されてよい。別個のステアリング可能アンテナは、大規模地理的エリア内のより小さい地理的エリアに、狭い、高容量のカバレッジを提供するように構成されてよい。
【0018】
本明細書において説明される特徴は、HAP上に搭載されると、ネットワークのカバレッジ及び容量を高める通信システムを提供し得る。アンテナシステムは、より一貫性のある、低容量のカバレッジで、半径数十キロメートルのエリアに到達し得るとともに、より広い帯域幅に対する需要がある特定のエリアのためのより狭い、高容量のカバレッジのためにも使用され得る。説明されるように、通信システムは、地理的エリアに対する異なるネットワーク需要に柔軟に適応し得るとともに、結果としてリソースを節約し得る。
[例示のネットワーク]
【0019】
図1は、ネットワーク内のネットワークノードの例示のシステム100の絵図である。ネットワークは、様々な地上ベース及び空中ベースのデバイス上に搭載されたノードを備え、それらのうちの一部は、時間の経過とともにネットワーク内の他のノードに対する位置を変化させ得る。例えば、図1に示されているように、ネットワークは、ノードとして、第1の地上タワー110及び第2の地上タワー112を備える。ネットワークは、ノードとして、高高度プラットフォーム114も備える。図示のように、HAP114は気球である。他の実施形態では、HAPは、軟式飛行船(blimp)、飛行機、無人航空機(UAV)、例えば、ドローン、衛星、又は低地球軌道の別のプラットフォームであってよい。図1に示されているようなネットワークノードは、単なる例示であり、ネットワークは、追加の又は異なるノードを備えてよい。例えば、幾つかの実装では、ネットワークは、追加のHAP及び/又は追加の地上タワーを備えてよい。ネットワークが少なくとも1つの低地球軌道又は高地球軌道衛星と、1つの他のタイプのHAPとを備える場合、ネットワークは、ハイブリッドHAP/衛星ネットワークと定義されてよい。
【0020】
ネットワーク内のノードは、ミリ波(mmWave)信号又は他の超高周波数信号を送信及び受信する機能が備えられてよい。加えて又は代替的に、ネットワーク内のノードは、他の無線周波数信号、光信号、又は自由空間を伝搬することが可能な他の通信信号を送信及び受信する機能が備えられてよい。これに関して、システムは、ネットワークを通過するための送信された通信信号のための任意の数の可能なパスを含んでよい。
【0021】
ノードから投影されて示されている図1の破線矢印は、送信された通信信号のための可能なパス120、122a、122b、124、126、128、130を表している。図1に示されているように、幾つかの可能なパスは、建築物140、142等の建築物によって遮蔽され得る。例えば、ノード110からのパス120を辿る信号は、水平線よりも下に角度を付けられ、建築物140によって遮蔽され得る。ノード110からのパス122aを辿る信号は、パス120よりも上に角度を付けられて建築物140を回避し得るが、その後、建築物142に当たり得る。パス122aを辿る信号は、建築物142から反射して、クライアントデバイス152を携行しているユーザ150の地上ロケーションに向かうパス122bを辿り得る。ノード110からのパス124を辿る信号は、水平線に向かって又は水平線よりも上に、地面とほぼ平行に、角度を付けられ、建築物140の上方を通り得るが、その後、建築物142によって遮蔽され得る。ノード110からのパス126を辿る信号は、水平線よりも上に角度を付けられ、ノード114に到達し得る。ノード114からのパス128を辿る信号は、ユーザ150の地上ロケーションに向けられる。ノード114からのパス130を辿る信号は、水平線よりも下に角度を付けられ、建築物142の上方を通り、ノード112に到達し得る。
【0022】
加えて、ユーザ150のクライアントデバイス152から送信される信号は、ネットワークの1つ又は複数のノードに向かって戻る。例えば、クライアントデバイス152からの信号は、パス122b及び122aに沿ってノード110に向けて返送され得る。クライアントデバイス152からの別の信号は、パス128に沿ってノード114に向けて返送され得る。さらに、図1に示されているユーザ150及びクライアントデバイス152に加えて、複数のユーザ又は複数のクライアントデバイスが、所与の時点においてネットワークの所与のノードとの双方向アクセスリンクを形成してよい。
【0023】
幾つかの実装では、ネットワークは、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、又はタブレットコンピュータ等のクライアントデバイスのためのアクセスネットワークとして機能してよい。例えば、ノード110、112、114は、ワイヤレス、ファイバ、若しくはケーブルバックボーンネットワークリンク、又はサードパーティによって運用されているトランジットネットワークを介してデータセンタに接続してよい。ノード110、112、114は、ユーザ150等のユーザにワイヤレスアクセスを提供してよく、ユーザリクエストをデータセンタに転送し、バックボーンネットワークリンクを介してユーザに応答を返してよい。
【0024】
一例として、第1の地上タワー110、第2の地上タワー112、及びHAP114は、5G NR(new radio:新無線)ネットワーク又はLTEネットワーク等の、セルラ又は他のモバイルネットワークにおいて動作するように構成されたワイヤレス送受信機を備えてよい。ノード110、112、114は、gNodeB局、eNodeB局、又は、WiMAX(登録商標)若しくはUMTSアクセスポイント等の他のワイヤレスアクセスポイントとして動作してよい。ネットワーク内の1つ又は複数の地上タワーは、当該1つ又は複数の地上タワーを別の地上タワー又はデータセンタに接続する光ファイバ又は他のリンクを含んでよい。例えば、第2の地上タワー112は、破線矢印によって示されている、別の地上タワー(図示せず)に接続するファイバ113を含んでよい。加えて、ユーザ150は、ネットワーク内のノードのうちの1つ又は複数と通信するように構成され得るクライアントデバイス152を携行していてよい。ネットワークは、インターネット又は他のパブリック若しくはプライベートネットワーク等の、より大きなネットワークに接続されてもよく、クライアントデバイスに、当該より大きなネットワーク上に記憶されているか又はこれを通して提供されるリソースへのアクセスを提供するように構成されてよい。
【0025】
幾つかの実装では、ネットワークは、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)ネットワークコントローラによって制御されるSDNとすることができる。SDNネットワークコントローラは、ネットワークノードのうちの1つに、又は例えばデータセンタ内等の、別個のプラットフォームに位置してよい。ノード110、112、114を含む、ネットワークのノードは、ステアリング可能送受信機を使用して互いに通信するように構成されてよい。HAP114等の、ネットワーク内のHAPが、地上タワー110、112等の、ネットワーク内の他のノードに対して移動するにつれて、幾つかのネットワークリンクは、送受信機の範囲又はノード同士の間の障害物に起因して実現不可能になり得る。それゆえ、ネットワークの構成は、接続を維持するとともに決定されたネットワークフローを満足するために、ネットワークコントローラを使用した規則的(すなわち、周期的)な又は不規則的な再構成を必要とし得る。
[例示のシステム]
【0026】
図2に示されているように、第1の地上タワー110、第2の地上タワー112、及びHAP114等の各ノードは、通信信号を送信及び受信するとともに、ネットワーク内の別のノードとの1つ又は複数の通信リンクを作成するように構成された1つ又は複数の送受信機を備えてよい。一例としてHAP114を参照すると、ノードの各々は、1つ又は複数のプロセッサ210と、メモリ212と、アンテナシステム218と、1つ又は複数の送受信機220とを備えてよい。これに関して、第1の地上タワー110及び第2の地上タワー112のプロセッサ、メモリ、アンテナシステム、及び送受信機は、HAP114のものと同じように又はこれに類似して構成されてよい。地上タワー110、112及びHAP114のみが示されているが、ネットワーク内の他の地上タワー及びHAPは、同じ又は類似の構成を有してよい。
【0027】
1つ又は複数のプロセッサ210は、市販のCPU等の任意の従来的なプロセッサであってよい。代替的に、1つ又は複数のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)等の専用デバイス、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の他のハードウェアベースプロセッサであってよい。1つ又は複数のプロセッサ210は、5G NRアーキテクチャ又はLTE無線プロトコルアーキテクチャ等の、モバイルネットワーク向けの所与のプロトコルアーキテクチャに従って動作するように構成されてよい。図2は、1つ又は複数のプロセッサ210及びメモリ212を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、1つ又は複数のプロセッサ210及びメモリ212は、同じ物理的筐体内に格納される場合もされない場合もある複数のプロセッサ及びメモリを実際に含み得ることが理解されるであろう。したがって、プロセッサ又はコンピュータに対する言及は、並列に動作する場合もしない場合もあるプロセッサ又はコンピュータ又はメモリの集合体に対する言及を含むものと理解されることになる。
【0028】
メモリ212は、データ214と、1つ又は複数のプロセッサ210によって実行され得る命令216とを含む、1つ又は複数のプロセッサ210がアクセス可能な情報を記憶してよい。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD又は他の光ディスク、並びに他の書き込み可能メモリ及びリードオンリメモリ等の、コンピュータ可読命令を含む非一時的かつ有形のコンピュータ可読媒体を含む、プロセッサがアクセス可能な情報を記憶することが可能な任意のタイプのものであってよい。システム及び方法は、前述したものの異なる組み合わせを含んでよく、それにより、データ214及び命令216の異なる部分が異なるタイプの媒体上に記憶される。HAP110aのメモリ212等の、各ノードのメモリには、各ノードにおいて受信される信号がどのように転送又は送信されるべきであるかを示す転送情報ベース又は転送テーブルが記憶されてよい。例えば、メモリ212に記憶された転送テーブルは、地上局107aから受信された信号はHAP110dに転送されるべきであることを示してよい。
【0029】
データ214は、命令216に従って1つ又は複数のプロセッサ210によって検索、記憶又は修正されてよい。例えば、システム及び方法はいずれの特定のデータ構造にも限定されるものではないが、データ214は、コンピュータレジスタに、複数の異なるフィールド及びレコードを有するテーブルとしてリレーショナルデータベースに、XMLドキュメント又はフラットファイルに記憶されてよい。データ214は、限定されるものではないが、バイナリ値又はユニコード等の任意のコンピュータ可読フォーマットにフォーマット化されてもよい。さらに単なる例示として、圧縮若しくは非圧縮、可逆(lossless)(例えば、BMP)若しくは非可逆(lossy)(例えば、JPEG)であるフォーマットに従って記憶されるピクセルのグリッドから構成されるビットマップ、及びビットマップ又はベクトルベース(例えば、SVG)、並びにグラフィックスを描画するコンピュータ命令として画像データが記憶されてよい。データ214は、数字、記述テキスト、独自コード、同じメモリの他のエリア若しくは異なるメモリ(他のネットワークロケーションを含む)に記憶されたデータへの参照等の関連情報を識別するのに十分な任意の情報、又は関連データを計算するために関数によって使用される情報を含んでよい。
【0030】
命令216は、1つ又は複数のプロセッサ210によって直接的に(機械コード等)又は間接的に(スクリプト等)実行される任意の命令セットであってよい。例えば、命令216は、ノードがその一部であるモバイルネットワーク向けの所与のプロトコルアーキテクチャを含んでよい。所与のプロトコルアーキテクチャは、中央ユニットと分散ユニットとの間の分割アーキテクチャを含んでよい。加えて、所与のプロトコルアーキテクチャは、制御プレーン、ユーザプレーン、又は他のプロトコルレイヤを定義してよい。所与のプロトコルアーキテクチャは、プロトコルレイヤ同士の間の通信に使用される複数のメッセージを定義するインターフェースを含んでもよい。命令216は、コンピュータコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されてよい。これに関して、「命令」及び「プログラム」という用語は、本明細書において区別なく使用されてよい。命令216は、1つ又は複数のプロセッサ210による直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットにおいて、又は、スクリプト、若しくは要求に応じて解釈されるか若しくは事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールの集合体を含む他の任意のコンピュータ言語において記憶されてよい。命令216の機能、方法及びルーチンが、以下でより詳細に説明される。
【0031】
1つ又は複数の送受信機220は、所望の方向に指向するように制御又はステアリングすることができるアクチュエータに搭載された少なくとも1つのワイヤレス送受信機を含んでよい。HAP114に関連付けられているノード及び第1の地上タワー110に関連付けられているノード等の2つのノード間でワイヤレスリンクを形成するために、それぞれのノードのワイヤレス送受信機は、当該ノード間でデータを送信及び受信することができるように、互いの方向に指向するように制御することができる。第2の地上タワー112等のファイバ又はケーブル接続を有するノードの場合、1つ又は複数の送受信機220は、ファイバ又はケーブル接続を介して通信するように構成された少なくとも1つの送受信機を含んでもよい。
【0032】
図2において更に示されているように、ユーザ150に関連付けられたクライアントデバイス152は、1つ又は複数のプロセッサ210、メモリ212、データ214、及び命令216に関して上で説明されたものと類似の1つ又は複数のプロセッサ250、メモリ252、データ254、及び命令256を有するパーソナルコンピューティングデバイス又はサーバであってよい。一例として、パーソナルコンピューティングデバイスは、中央処理装置(CPU)、データ及び命令を記憶するメモリ(例えば、RAM及び内蔵ハードドライブ)、電子ディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、小型LCDタッチスクリーン、プロジェクタ、テレビジョン、又は情報を表示するように動作可能である他の任意の電気的デバイス)、ユーザ入力(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン又はマイクロフォン)、カメラ、スピーカ、ネットワークインターフェースデバイス、並びにこれらの素子を互いに接続するのに使用されるコンポーネントの全て等、パーソナルコンピュータに関連して通常使用されるコンポーネントの全てを有するパーソナルコンピュータを含んでよい。パーソナルコンピューティングデバイスは、PDA、携帯電話等のようなモバイルデバイスを含んでもよい。実際には、クライアントデバイス152は、命令を処理するとともに、人間、並びに汎用コンピュータ、ローカル記憶能力を有しないネットワークコンピュータ、及びテレビジョン用のセットトップボックスを含む他のコンピュータにデータを送信し、かつそれらからデータを送信することが可能な任意のデバイスであってよい。幾つかの実施形態では、クライアントデバイスは、1つ又は複数のSDNアプリケーションに関連付けられてよく、1つ又は複数のノースバウンドインターフェース(NBI)ドライバを有してよい。
【0033】
HAP114のアンテナシステム218は、分割配置において複数のアンテナ素子を含んでよい。例えば、アンテナシステム218は、中央パネルと、当該中央パネルからオフセットされた角度で配置された少なくとも1つ又は複数の補助パネルとを含んでよい。アンテナシステム218の例示の構成の部分図を提供する図3Aを参照すると、アンテナシステム218は、中央パネル310と、当該中央パネル310からオフセットされた角度で、かつHAP114に対して(地面に向けた)下向き方向である4つの補助パネル320、322、324、326(3つのみが図3Aの視界において可視である)とを含む。例えば、アンテナシステム218の底面図を提供する図3Bを参照すると、4つの補助パネル320、322、324、326が中央パネル310の周囲に配置されている。この例は4つの補助パネルを示しているが、(図4及び図5に示されているような)8つ又は12個等のより多くの補助パネル、又は2つ又は1つ等のより少ない補助パネルが使用されてよい。
【0034】
中央パネルは、アンテナ素子のセット又はアレイを含んでよい。中央パネルは、動作時に、中央パネルがHAP114に対して下向き方向に配向される又は面するように、HAP114上に設置されてよい。アンテナ素子のセットは、中央パネル上に平坦アレイにおいて配置されてよく、動作時に、中央パネルは、HAP114に対する下向き方向に垂直である平面に配向されてよい。これに関して、アンテナ素子のセットは、少なくとも1つのスポットビームを、HAP114に対する下向き方向に指向するように構成されてよい。スポットビームは、以下で更に論述されるように、独立して又はまとめてステアリング可能であってよい。例えば、HAPが特定の都市に近接している状況では、ビームは、当該都市にカバレッジを提供するために当該都市に向けて指向されてもよいし、当該都市内の地上タワーに対する干渉を防止するために当該都市を避けるように指向されてもよい。この判断は、HAP周辺の都市のロケーションに依存して、HAPの異なる方向について独立して行うことができる。
【0035】
各補助パネルは、アンテナ素子の別のセットを含み、中央パネルの周囲に、HAP114に対する下向きの傾斜を有して設置される。下向きの傾斜は、以下で更に論述されるように、構造的(例えば、固定された配向)な傾斜、又は代替的に電子的な傾斜(例えば、調整可能な配向)であってよい。これに関して、補助パネルのアンテナ素子のセットは各々、中央パネルのアンテナ素子のセットの少なくとも1つのスポットビームからオフセットされている角度で、又はHAP114に対して真下ではない角度で、少なくとも1つのスポットビームを指向するように構成されてよい。
【0036】
各補助パネル及び/又は中央パネルのアンテナ素子のセットは、様々な構成を有してよい。例えば、各パネルは、アンテナ素子の3つ、4つ、5つ又はそれ以上のセットを有してよい。
【0037】
中央パネルは、任意の数の異なる構成を有してよい。中央パネルは、図3A及び図3Bに示されているように少なくとも1つの補助パネルよりも下に搭載されてもよいし、補助パネルに対して凹設されてもよい。中央パネル310は、アンテナ素子のセットを保持する平坦面を含んでよい。例えば、中央パネルは、矩形、円形、又は中心点を有する別の平坦形状を有してよい。図4に示されているアンテナシステム218の別の例示の構成では、上で説明された中央パネル310の特徴のうちの様々なものを含み得る中央パネル410は、少なくとも1つの補助パネルの上方に搭載された平坦リングであってよい。この例では、12個の補助パネル420~431が存在し、各々がアンテナ素子440、442、444、446、448のセットを含む(簡潔さのために補助パネル423のアンテナ素子のみに符号が付されている(called out))。加えて、中央パネル410のアンテナ素子450、452、454、456、458(簡潔さのために幾つかのみに符号が付されている)は、平坦リングの周囲で規則的な間隔で、HAP114に対して真下を指向して、配置されてよい。
【0038】
少なくとも1つの補助パネルは、当該パネルの周囲にアンテナ素子が配置された、単一の円筒形、円錐形、放物線状、平坦、矩形のパネルを含んでもよいし、アンテナ素子の別個のセットを各々保持する複数の補助パネルを含んでもよい。加えて、図3A図3B及び図4の例等、複数の補助パネルが使用される場合、補助パネルは全て、例えば、同じ寸法の構成を有してよく、同じ配置のアンテナ素子を保持してよい。幾つかの事例では、アンテナ素子は、補助パネルの長さに沿った直線アレイにおいて矩形の補助パネル上に配置されてよい。例えば、図4の例において示されているように、各補助パネルに沿って配置された5つのアンテナ素子が存在してよい。代替的に、各補助パネルは、3つ又は4つ又はそれ以上のアンテナ素子を有してよい。
【0039】
幾つかの例では、補助パネル上の各アンテナ素子は、クローバ形状であってよい。図5に示されているアンテナシステム218の別の例示の構成では、上で説明された中央パネル310及び/又は410の特徴のうちの様々なものを含み得る中央パネル510は、平坦リングであってよく、アンテナ素子の矩形アレイ又はアンテナ素子の円形アレイが少なくとも1つの補助パネルよりも上に搭載されている。この例では、12個の補助パネル520、522、523、524、525が存在し得るが、5つのみが図5の視界において可視である。この例では、各補助パネルは、4つのアンテナ素子540、542、544、546を含む(簡潔さのために補助パネル523のアンテナ素子のみに符号が付されている)。ここでもやはり、中央パネル510のアンテナ素子550、552、554、556、558(幾つかのみが図5の視界において可視である)は、平坦リングの周囲で規則的な間隔で、HAP114に対して真下を指向して、配置されてよい。
【0040】
図3A図3B図4及び図5の例に対する代替構成として、異なる数の補助パネルが使用されてよい。例えば、各々5つの素子を有する4つ又は12個の補助パネルの代わりに、6つの補助パネルが使用されてよい。図4及び図5の例と比較して、これは、デジタルビームフォーミング係数を変更することになるとともに、アンテナ利得も変更することになるが、依然として、本明細書において説明される使用のために機能するであろう。ここでもやはり、上で記載されたように、任意の数の補助パネルが使用されてよい。
【0041】
補助パネルは、中央パネルに垂直でかつその中心に合わされた軸を中心に規則的な間隔で設置されてよい。例えば、(図3A及び図3Bの例等の)4つの補助パネルが存在する場合、第1の補助パネルは、第1の方向に指向してよく、第2の補助パネルは、軸に関して第1の方向から90度回転した第2の方向に指向してよく、第3の補助パネルは、軸に関して第2の方向から90度回転した第3の方向に指向してよく、第4の補助パネルは、軸に関して第3の方向から90度回転した第4の方向に指向してよい。(図4及び図5の例等の)12個の補助パネルが存在する場合、各パネルは、軸に関して、近傍のパネルに対して30度だけ回転していてよい。
【0042】
補助パネルは、中央パネルに垂直に配向されてよく、電子ステアリングを使用してHAPに対して下向きに指向するように構成されてよい。例えば、ビームステアリングを達成するために標準的なデジタル又はアナログビームフォーミング技法を使用することができる。デジタルビームフォーミングは、各素子についてRFパスを要求し得るが、その一方でアナログビームフォーミングは、アナログ位相シフタを使用することによって行うことができる。他のアナログビームフォーミング方法は、バトラーマトリックスを使用するものであろう。異なる結合回路を有する更に別のアナログビームフォーミング手法が使用されてよい。代替的に、複数のフィードを有するリフレクタアンテナが使用されてよい。この例では、アンテナ素子自体をステアリングすることができるように、異なるフィードアーキテクチャが使用されてよい。例えば、1つ又は複数のプロセッサは、水平線に向かっておよそ60度で指向するビームを形成するために、所与の補助パネル上の5つのアンテナ素子のセットについてビームフォーミングを実行するように構成されてよい。代替的に、補助パネルは、補助パネル上のアンテナ素子がHAPに対して下向きに傾斜するように、(例えば図3A及び図3Bの例等の)中央パネルから離れるように角度を付けて搭載されてよい。
【0043】
図6に示されているように、この分割配置において、アンテナシステム218(図3A図3B図4又は図5の例のうちのいずれかを使用する)は、中央パネル上のアンテナ素子のセットを使用して、HAP114の直下の第1のセクタ610内にカバレッジを提供してよい。第1のセクタ610は、大規模地理的エリア620の第1の半径よりも小さい第2の半径を有してよい。中央パネル310上のアンテナ素子のセットは、図3Aの例における矢印312、314及び角度01によって示されているように、中央パネルの中心又重力の方向に対応する軸に関しておよそ+50度又は-50度(すなわち、計100度)のビーム幅を有するビームを形成するように構成されてよい。50度よりも大きい角度も可能であり得るが、しかしながら、これにより、大きいサイドローブ及び大きい指向性損失がもたらされ得る。図6に戻ると、大規模地理的エリアの第1の半径は、およそ80キロメートルであってよい。一例として、HAP114が大規模地理的エリア620の上方のおよそ20キロメートルにおいて飛行している場合、第1のセクタの第2の半径は、およそ20キロメートルであってよい。加えて又は代替的に、第1のセクタは、以下で図7及び図8に関して論述されるように、中央パネルによって形成された複数のセクタに細分化されてよい。これらのセクタは各々、中央パネルの中心又は重力の方向に対応する軸に対して+50度又は-50度の仰角以内であってよい。
【0044】
少なくとも1つの補助パネル上のアンテナ素子のセットは、アンテナシステムにおいて、図6における陰影によって表されている、第1の半径と第2の半径との間のエリア内の1つ又は複数のセクタにカバレッジを提供するのに使用されてよい。各補助パネル320、322は、第1の半径と第2の半径との間のエリアに向けて指向するように機械的又は電子的に傾斜していてよい。加えて、少なくとも1つの補助パネル上のアンテナ素子のセットは、中央パネル上のセットよりも小さい仰角カバレッジを有するビームを形成するように構成されてよい。例えば、仰角カバレッジは、図3Aの例における矢印330、332、334、336及び角度02によって示されているように、第1のセクタが終端する所からおよそ32度であってよい。換言すれば、0度~50度に対応するセクタは、中央パネルによってカバーされてよく、その一方、45度~77度に対応するセクタは、各補助パネルのアンテナ素子によってカバーされてよい。これに関して、セクタ同士において、45度~50度の、幾分かの重複が存在してよい。したがって、この例示のアンテナシステムによって提供される総カバレッジは、中央パネルの中心又は重力の方向に対応する軸に対して水平線に向かって0度~77度であってよい。したがって、HAP114がおよそ20キロメートルにおいて飛行している場合、77度の仰角カバレッジは、およそ86.6キロメートルに到達してよい。仰角カバレッジの減少は、1つ又は複数の補助パネルの仰角カバレッジが中央パネルの仰角カバレッジと同じである場合よりもより高い仰角においてより大きい利得を提供してよい。場合によっては、中央パネルのカバレッジと少なくとも1つの補助パネルのカバレッジとの間に重複が存在してよく、この重複により、アンテナシステムの総仰角カバレッジが減少し得る。
【0045】
複数の補助パネルについて、各補助パネル上のアンテナ素子のセットは、アンテナシステムにおいて、第1の半径と第2の半径との間のエリアの一部分をカバーするセクタにカバレッジを提供するのに使用されてよい。エリアの当該一部分は、エリアの弧長を含んでよい。各補助パネルによってカバーされるエリアの弧長は、等しいサイズであってよい。図7及び図8は、アンテナシステム218についての代表例のカバレッジエリア構成である。図3A及び図3Bの例に対応し得る図7を参照すると、中央パネルの周囲に4つの補助パネルが配置される場合、中央パネルの(セクタ7Aによって表される)アンテナ素子は、第1の半径のエリアをカバーし得る。加えて、各補助パネル上のアンテナ素子のセットは、第1の半径と第2の半径との間のエリアの(セクタ7B~7Dによって表される)少なくともおよそ90度の弧長をカバーし得る。図4又は図5の例に対応し得る図8を参照すると、中央パネルの周囲に12個の補助パネルが配置される場合、中央パネルの(セクタ8Aによって表される)アンテナ素子は、第1の半径のエリアをカバーし得る。加えて、各補助パネル上のアンテナ素子のセットは、第1の半径と第2の半径との間のエリアの(セクタ8B~8Mによって表される)少なくともおよそ30度の弧長をカバーし得る。所与の補助パネルによって提供されるカバレッジは、近傍の補助パネルによって提供されるカバレッジと隣接するか又は僅かに重複していてよい。
【0046】
所与の補助パネルのカバレッジエリアは、中央パネル及び他の任意の補助パネルとは独立して調整可能であってよい。したがって、個々のセクタのカバレッジは、他のセクタとは独立して調整されてよい。例えば、上で記載されたように、中央パネルに対する少なくとも1つの補助パネルの傾斜は、電子的な傾斜であってよい。例えば、所与の補助パネルの傾斜の角度は、図9に示されているスイッチングシステム等のスイッチングシステムを使用して、HAP114の1つ又は複数のプロセッサ210等の、HAPの1つ又は複数のプロセッサによって機械的に調整されてよい。この例では、4つのアンテナ素子ANT1~ANT4を含む補助パネルのアンテナアレイのセットのために2つの調整可能な傾斜間で切り替えるために様々なスイッチが使用されてよい。傾斜の角度は、水平線よりも下の15度~35度、中央パネルに対して105度~125度、又は他の任意の範囲で調整可能であってよい。加えて又は代替的に、1つ又は複数のプロセッサ210は、或る角度をなして指向するために所与の補助パネル上のアンテナ素子を使用してビームを形成することによってカバレッジエリアを調整してよい。ビームの傾斜の角度は、水平線よりも下の15度~35度、中央パネルに対して105度~125度、又は他の任意の範囲であってよい。1つ又は複数のプロセッサ210は、所与のセクタについて所与の補助パネル又はビームを指向する際の角度を、人口密度、需要の履歴、エリア内若しくはエリア付近にカバレッジを提供する他の端末(地上タワー、他のHAP等)の存在、又は他のネットワーク因子に基づいて決定してよい。
【0047】
幾つかの実装では、補助パネル上のアンテナ素子のセットは、その補助パネルによって提供されるカバレッジのエリアを狭めるか又は広げるようにステアリングされてもよい。例えば、ステアリングは、デジタルビームフォーミング係数を変更することによって達成されてよい。例えば、12個の補助パネルがデジタルビームフォーミング方法において組み合わされる場合、12が、デジタルドメインにおいて使用される係数であってよい。12個の代わりに6つの補助パネルが使用される場合、係数は、単に変更することができる。これにより、ビームが方位角方向に広がり得る。ビームを広げるための別の方法は、各パネルにおいて使用されるアンテナ素子の数を変更することである。例えば、補助パネルが5つのアンテナ素子を有する場合、5つのアンテナ素子の全てを使用する代わりに、4つ又は3つを使用することができる。これを動的に行うために、異なるフィードタイプ(例えば、異なるアンテナ素子)をオン及び/又はオフに切り替えることを可能にすべく、スイッチを有するフィードボードが使用されてよい。カバレッジのエリアの幅は、人口密度、需要の履歴、エリア内若しくはエリア付近にカバレッジを提供する他の端末(地上タワー、他のHAP等)の存在、又は他のネットワーク因子に基づいて決定されてもよい。
【0048】
加えて又は代替的に、アンテナシステム218の中央パネルは、ステアリング可能であってよい。例えば、中央パネルは、HAPに対する中央パネルの配向を調整し、それにより、中央パネル上のアンテナ素子のセットの指向方向を調整するように構成されているジンバル上に搭載されてよい。これに関して、1つ又は複数のプロセッサ210は、アンテナ素子の第1のセットによって形成されるスポットビームの指向方向をステアリングしてよい。別の例では、1つ又は複数のプロセッサ210は、中央パネル上のアンテナ素子によって形成されるスポットビームの指向方向を電子的にステアリングしてよい。
【0049】
加えて又は代替的に、スポットビームの指向方向は、HAPの外部で計算されてよい。例えば、指向方向は、地上の何らかのリモートコンピューティングデバイスによって計算されてよい。ジンバルベースステアリングシステムでは、ジンバルベースアンテナ素子の最適な指向方向を決定するために、HAPの現在のロケーション、地上の人口(例えば、ネットワークの潜在的なクライアントデバイス及び/又はユーザ)、他のHAPの現在のロケーション(例えば、ネットワーク内の他のHAP)、HAP内で残存している電力の量、及び時間帯(夜間、日中等)等の情報を使用することができる。最適な指向方向が決定されると、この最適な指向方向を識別する信号がHAPに送信されてよく、1つ又は複数のプロセッサ210は、アンテナ素子の最適な指向方向を達成するようにジンバルを制御してよい。代替的に、(ジンバルベースシステムの代わりに)デジタルビームフォーミングシステムを使用する場合、適切な方向においてビームを指向するのに必要とされる最適な係数を、上述された情報を使用して決定することができる。ここでもやはり、この情報を識別する信号がHAPに送信されてよく、1つ又は複数のプロセッサ210は、最適な係数を利用して、アンテナ素子を制御してよい。
【0050】
1つ又は複数のプロセッサ210は、中央パネルによって提供されるカバレッジのエリアを狭めるか又は広げてもよい。中央パネルによって提供される指向方向及びカバレッジのエリアの幅は、1つ若しくは複数のプロセッサ210又は地上の何らかのリモートコンピューティングデバイスによって、人口密度、需要の履歴、エリア内若しくはエリア付近にカバレッジを提供する他の端末(地上タワー、他のHAP等)の存在、又は他のネットワーク因子に基づいて決定されてよい。
【0051】
幾つかのアンテナシステムでは、通信システムは、中央パネルを伴わずに複数の補助パネルを備えてよい。例えば、中央パネルの代わりに、HAP上に別個のステアリング可能アンテナが搭載されてよい。別個のステアリング可能アンテナは、大規模地理的エリア内のより小さい地理的エリアに、狭い、高容量のカバレッジを提供するように構成されてよい。当該より小さい地理的エリアは、1つ又は複数のプロセッサ210によって、人口密度、需要の履歴、エリア内若しくはエリア付近にカバレッジを提供する他の端末(地上タワー、他のHAP等)の存在、又は他のネットワーク因子に基づいて、動的に選択されてよい。代替的に、同様に構成された、別個のステアリング可能アンテナが、同じ又は類似のカバレッジを達成するために中央パネルに取り付けられてよい。
【0052】
別個のステアリング可能アンテナに利用される周波数は、中央及び/又は補助パネルに利用される周波数帯域よりも高い周波数帯域からのものであってよい。例えば、中央及び/又は補助パネルに利用される周波数範囲は、700MHzを含んでよく、別個のステアリング可能アンテナに利用される周波数範囲は、2.6GHz又は3.5GHzを含んでよい。
【0053】
本明細書において説明される特徴は、HAP上に搭載されると、ネットワークのカバレッジ及び容量を高める通信システムを提供し得る。アンテナシステムは、より一貫性のある、低容量のカバレッジで、半径数十キロメートルのエリアに到達し得るとともに、より広い帯域幅に対する需要がある特定のエリアのためのより狭い、高容量のカバレッジのためにも使用され得る。説明されるように、通信システムは、地理的エリアに対する異なるネットワーク需要に柔軟に適応し得るとともに、結果としてリソースを節約し得る。
【0054】
別段の指定がない限り、前述の代替例は、相互排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組み合わせにおいて実装されてよい。特許請求の範囲によって定義された主題から逸脱することなく、上で論述された特徴のこれらの及び他の変形及び組み合わせを利用することができるため、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義された主題の限定としてではなく例示として解釈されるべきである。加えて、本明細書において説明される例の提供、及び「等/例えば(such as)」、「備える/有する/含む(including)」等で表現された句は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、例は、多くの考えられ得る実施形態のうちの1つのみを例示するものとして意図されている。さらに、異なる図面における同じ参照符号は、同じ又は類似の要素を識別することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9