(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】電子タバコ加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240424BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20240424BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A24F40/46
H05B3/02 A
H05B3/12 A
(21)【出願番号】P 2022536582
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 CN2020130148
(87)【国際公開番号】W WO2021115087
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】201911272474.0
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517304901
【氏名又は名称】深セン博迪恒業科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Buddy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2 & 3F,Block A7,Tianrui Industrial Park, FuYuan 1st Road,FuYong Town,Bao’an Dist,Shenzhen City, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】劉翔
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108552599(CN,A)
【文献】中国実用新案第209090060(CN,U)
【文献】中国実用新案第207544334(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0007971(US,A1)
【文献】国際公開第2019/216521(WO,A1)
【文献】特開平02-049310(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109077361(CN,A)
【文献】特開2018-032628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
H05B 3/02
H05B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に制御ユニットが設けられる喫煙具本体(a)に取り付けられ且つタバコの葉を加熱するために使用される電子タバコ加熱アセンブリであって、当該電子タバコ加熱アセンブリはハウジング(1)及び電熱アセンブリ(2)を備え、
前記ハウジング(1)は鋼材であり、前記ハウジング(1)の一端は喫煙具本体(a)に取り付けられ、且つその内部にキャビティが設けられ、前記電熱アセンブリ(2)はキャビティ内に嵌着され、
前記電熱アセンブリ(2)は加熱ワイヤ(20)、絶縁支持具(21)及びピン電極(22)を含み、前記加熱ワイヤ(20)は純白金線であり、前記加熱ワイヤ(20)は
、前記絶縁支持具(21)の幅方向の周りを横方向に沿ってらせん状に絶縁支持具(21)に巻きつけられて設置され、前記ピン電極(22)は2つ設けられ、いずれも絶縁支持具(21)に固定的に接続され、前記2つのピン電極(22)はそれぞれ加熱ワイヤ(20)の両端に電気的接続され、前記ピン電極(22)の一端はキャビティから伸び出て制御ユニットに電気的接続される、
ことを特徴とする電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記絶縁支持具(21)はマイカスライスである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記ピン電極(22)は銅ニッケル合金である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジング(1)はキャビティの内側に絶縁コーティングが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジング(1)の外側にガラスグレーズコーティングが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジング(1)と電熱アセンブリ(2)との間に耐熱セラミック接着剤が充填される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジング(1)の喫煙具本体(a)から離れる端部はテーパ状になっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコ加熱アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙具分野に関し、具体的に電子タバコ加熱アセンブリである。
【背景技術】
【0002】
電子タバコは、発熱体の高温加熱によりタバコの葉などの霧化媒体を加熱して煙を発生させる装置である。従来の電子タバコでは、一般に、発熱体をセラミック表面に印刷焼結することにより、発熱体をセラミックハウジングに嵌め込み、セラミックハウジングをタバコ内に挿入し、タバコの葉が高温で焼かれて煙が出るまで、タバコ内のタバコの葉を加熱し且つ焼く。セラミックハウジングは材質が脆く、長期間使用すると破断しやすく、電子タバコの耐用年数に影響する。従来の電子タバコは、通常、ニッケル線を発熱体として用いて加熱するが、ニッケル線は、温度が300摂氏度を超えると非常に酸化しやすく、加熱の性能に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明は加熱効果が安定しており、温度を制御しやすく、破断しにくい電子タバコ加熱アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供する。電子タバコ加熱アセンブリであって、喫煙具本体に取り付けられ且つタバコの葉を加熱するために使用され、喫煙具本体内に制御ユニットが設けられ、当該電子タバコ加熱アセンブリはハウジング及び電熱アセンブリを備え、ハウジングは鋼材であり、ハウジングの一端は喫煙具本体に取り付けられ、且つその内部にキャビティが設けられ、電熱アセンブリはキャビティ内に嵌着され、電熱アセンブリは加熱ワイヤ、絶縁支持具及びピン電極を含み、加熱ワイヤは純白金線であり、加熱ワイヤは絶縁支持具に巻きつけられて設置され、ピン電極は2つ設けられ、いずれも絶縁支持具に固定的に接続され、2つのピン電極はそれぞれ加熱ワイヤの両端に電気的接続され、ピン電極の一端はキャビティから伸び出て制御ユニットに電気的接続される。
【0005】
好ましくは、絶縁支持具はマイカスライスである。
【0006】
好ましくは、ピン電極は銅ニッケル合金である。
【0007】
好ましくは、ハウジングは、キャビティの内側に絶縁コーティングが設けられる。
【0008】
好ましくは、ハウジングの外側にガラスグレーズコーティングが設けられる。
【0009】
好ましくは、ハウジングと電熱アセンブリとの間に耐熱セラミック接着剤が充填される。
【0010】
好ましくは、ハウジングの喫煙具本体から離れる端部はテーパ状になっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。電子タバコ加熱アセンブリであって、ハウジング及び電熱アセンブリを含み、ハウジングは鋼材であり、ハウジングの一端は喫煙具本体に取り付けられ、且つその内部にキャビティが設けられ、電熱アセンブリはキャビティ内に嵌着され、電熱アセンブリは加熱ワイヤ、絶縁支持具及びピン電極を含み、加熱ワイヤは純白金線であり、加熱ワイヤは絶縁支持具に巻きつけられて設置され、ピン電極は2つが設けられ、いずれも絶縁支持具に固定的に接続され、2つのピン電極はそれぞれ加熱ワイヤの両端に電気的接続され、ピン電極の一端はキャビティから伸び出て制御ユニットに電気的接続される。ここで、鋼材のハウジングを採用することにより靭性に優れて破断しにくく、且つ純白金線加熱ワイヤは安定性に優れて酸化しにくく、容易に温度を制御できることにより、当該電子タバコ加熱アセンブリの耐用年数を延ばす。
【0012】
図面は本発明をさらに理解するためのものであり、且つ明細書の一部となり、本発明の実施例とともに本発明の解釈に使用され、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が喫煙具本体に取り付けられる場合を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例の全体構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例における図面に合わせて本発明の実施例における技術案をわかりやすく且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者は創造的な労力なしに得たすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0015】
図1~4を参照する。電子タバコ加熱アセンブリであって、喫煙具本体aに取り付けられ且つタバコの葉を加熱するために使用され、喫煙具本体a内に制御ユニットが設けられ、当該電子タバコ加熱アセンブリはハウジング1及び電熱アセンブリ2を含み、ハウジング1は鋼材であり、ハウジング1の一端は喫煙具本体aに取り付けられ、且つその内部にキャビティが設けられ、電熱アセンブリ2はキャビティ内に嵌着され、電熱アセンブリ2は加熱ワイヤ20、絶縁支持具21及びピン電極22を含み、加熱ワイヤ20は純白金線であり、加熱ワイヤ20は絶縁支持具21に巻きつけられて設置され、ピン電極22は2つが設けられ、いずれも絶縁支持具21に固定的に接続され、2つのピン電極22はそれぞれ加熱ワイヤ20の両端に電気的接続され、ピン電極22の一端はキャビティから伸び出て制御ユニットに電気的接続される。本実施例では、2つのピン電極22は絶縁支持具21に溶接される。
【0016】
ここでは、鋼材の強度が高くてセラミック材料よりも優れた靭性を持つため、鋼材を用いて作ったハウジング1は破断しにくく、良好な熱伝導率を有する。本実施例では、ハウジング1は2枚の同じステンレス鋼を向かい合わせて溶接して構成される。
【0017】
なお、本発明では、喫煙具本体a内にさらに蓄電池が設けられ、制御ユニットは蓄電池に電気的接続され、且つ制御ユニットの出力した電圧は比較的安定している。電圧が変化しない場合、通電抵抗が小さいほど、その発熱量が大きくなることが知られており、以下の式に基づいて計算して知ることができる。
【数1】
【数2】
【0018】
ここで、Qは発熱量、Pは発熱電力、Uは電圧、Rは抵抗値、tは通電時間である。
【0019】
ほとんどの材料の抵抗値は温度の変化につれて変化し、本発明では、加熱ワイヤ20は純白金線、パラジウムのような白金族金属など、抵抗温度係数が線成長に近い導電性材料を用いるが、本実施例では、加熱ワイヤ20は好ましくは純白金線である。抵抗温度係数が線成長に近いというのは、時間の経過とともにその温度が上昇し、さらに抵抗値が直線的に増加することである。したがって、加熱ワイヤ20は温度が上昇すると、抵抗値が大きくなり、その電力もそれとともに低下し、昇温速度が低下しつつあり、制御ユニットを介して温度をより容易に制御することができる。従来のニッケル加熱ワイヤは、温度が300摂氏度を超えると、酸化現象が現れるのに対して、純白金線は温度が600摂氏度を超えてから初めて酸化現象が現れ、そのため、純白金線加熱ワイヤはニッケル加熱ワイヤに対してより安定的である。
【0020】
加熱ワイヤ20は縦方向に沿ってらせん状に絶縁支持具21に巻き付くことができ、或いは横方向に沿ってらせん状に絶縁支持具21に巻き付くことができる。ハウジング1は細長い構造であるため、本実施例では、加熱ワイヤ20は好ましくは横方向に沿ってらせん状に絶縁支持具21に巻き付く。それにより、加熱ワイヤ20の分布はさらに集中しているため、タバコの葉に対する加熱効果はより良い。
【0021】
具体的に、喫煙具本体aのスイッチを入れることで、加熱ワイヤ20に電力を提供し、加熱ワイヤ20は自身に抵抗があるため、通電後に熱を発生させる。時間の経過とともに、加熱ワイヤ20の温度は上昇し、その結果、その抵抗はそれとともに増加し、電力はそれとともに低下し、昇温速度は低下し続け、制御ユニットはその抵抗値を監視し続け、制御ユニットの予め設定された温度値になると、制御ユニットは出力電力を制御することで、自動温度制御と温度維持を行う。加熱ワイヤ20の温度は鋼質のハウジング1に伝達され、さらに、タバコの葉と直接接触するハウジング1でタバコの葉を焼く。
【0022】
さらに、絶縁支持具21はマイカスライスであり、マイカは耐高温絶縁材料であり、加熱ワイヤ20昇温後に絶縁支持具21を溶融することを回避することができる。
【0023】
さらに、ピン電極22は低抵抗温度係数の材料を用い、即ち、温度の変化につれて、その抵抗の変化の度合いが小さく、加熱ワイヤ20の抵抗の変化に影響することないものである。本実施例では、ピン電極22は銅ニッケル合金である。
【0024】
さらに、ハウジング1は、キャビティの内側に絶縁コーティングが設けられ、それにより、キャビティ内に位置する加熱ワイヤ20が鋼質のハウジング1に接触することで、ハウジング1及び加熱ワイヤ20を接触させて、短絡の現象を引き起こすことを回避する。
【0025】
さらに、電熱アセンブリ2は通電後に高温が生じるため、ハウジング1は高温によって酸化しやすく、そして、ハウジング1は繰り返して使用した後、炭化したタバコの葉はハウジング1に残しやすい。そのため、ハウジング1の外層に耐酸化性に優れたコーティングを増設し、酸化の度合いを遅らせる。本実施例では、ハウジング1は外側にガラスグレーズコーティングが設けられ、且つその表面はスムーズで、洗浄しやすい。
【0026】
さらに、ハウジング1と電熱アセンブリ2との間に耐熱セラミック接着剤が充填されることにより、加熱ワイヤ20及びハウジング1が固定される。
【0027】
さらに、ハウジング1の喫煙具本体aから離れる端部はテーパ状になっており、ハウジング1をタバコの葉内に挿入することを容易にする。
【0028】
なお、ここで使用される用語は具体的な実施形態を実施するためのものに過ぎず、本出願の例示的な実施形態を限定するものではない。例えば、コンテキストでは明確に示されていない限り、ここで使用される単数形は複数形を含むことを意図しており、また、本明細書において「含む」及び/又は「含まれる」という用語を使用する場合、特徴、ステップ、操作、部品、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせが存在することを示す。
【0029】
特に指定されていない限り、これらの実施例において説明された部品及びステップの相対的な配置、数式、及び数値は本出願の範囲を限定するものではない。同時に、説明の便宜上、図面に示す各部分の寸法は実際の比例関係に従って描かれたものではないことを理解されたい。当業者が知っている技術、方法及び装置を詳しく説明しない場合があるが、特定の場合では、前記技術、方法及び装置は、登録された明細書の一部として見なされるべきである。ここで示され且つ説明されるすべての例では、いかなる具体的な値は、限定的なものではなく、例示的なものとして見なされるべきである。そのため、例示的な実施例の他の例は異なる値を有することができる。なお、類似する符号及びアルファベットは以下の図面では類似する項目を表し、そのため、ある項目が1つの図面において定義された以上、その後の図面ではそれ以上説明する必要はないことに留意されたい。
【0030】
本出願の説明では、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、鉛直、水平」及び「頂、底」などの方位詞によって示される方位又は位置関係は通常、図面に示す方位又は位置関係に基づいており、本出願を説明し且つその説明を簡素化するためのものに過ぎず、反対の説明をしない限り、これらの方位詞は、示された装置又は部品が必ず特定の方位を有し又は特定の方位で構成もしくは操作されることを示唆したり暗示したりしていないため、本出願の保護範囲に対する限定として理解すべきではない。「内、外」という方位詞は、各部品自身の輪郭に対する内外を指す。
【0031】
説明を容易にするために、ここで、「……の上に」、「……の上方に」、「……の上表面に」、「上面の」などの空間上の相対的な用語を用いて、図面に示す1つの部品又は特徴と他の部品又は特徴との空間的な位置関係を説明することができる。なお、空間上の相対的な用語は、部品の図面で説明された方位以外の、使用又は操作中の異なる方位を含むことを意図していること理解されたい。例えば、図面における部品が倒置された場合、「他の部品又は構造の上方に」又は「他の部品又は構造の上に」として説明された部品が「他の部品又は構造の下方に」又は「他の部品又は構造の下に」として定義されることになる。したがって、「……の上方に」という例示的な用語は、「……の上方に」及び「……の下方に」という2種類の方位を含むことができる。当該部品は他の異なる方式(90度回転する又は他の方位に位置する)で位置決めすることができ、且つここで使用された空間上の相対的な説明を対応して解釈する。
【0032】
また、「第1」、「第2」などの用語を使用して部品を限定するのは、対応する部品を容易に区別するために過ぎず、特に明記されていない限り、上記用語は特殊な意味を持っていないため、本出願の保護範囲への限定として理解すべきではない。
【0033】
本発明の実施例を示し且つ説明したが、当業者であれば、本発明の原理及び精神を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変化、修正、入れ替え及び変形を行うことができ、本発明の範囲は添付の請求の範囲及びその同等物によって限定される。
【符号の説明】
【0034】
1 ハウジング
2 電熱アセンブリ
20 加熱ワイヤ
21 絶縁支持具
22 ピン電極
a 喫煙具本体