(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20240424BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20240424BHJP
B01D 69/08 20060101ALI20240424BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20240424BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240424BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D63/02
B01D69/08
B01D69/00
H01M8/04 N
(21)【出願番号】P 2022560521
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2021007852
(87)【国際公開番号】W WO2022005089
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0081638
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンセク
(72)【発明者】
【氏名】イ アレウム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジユン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-209418(JP,A)
【文献】特開昭55-116813(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235683(WO,A1)
【文献】特開2007-255808(JP,A)
【文献】特開2016-041409(JP,A)
【文献】特開昭55-49108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加
湿するための加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの一端に結合された第1キャップと、
前記加湿モジュールの他端に結合された第2キャップと
、を含み、
前記加湿モジュールは、
両端が開放している中間ケースと、
前記中間ケースの一側に形成された第1気体流入口及び第1気体流出口と、
前記中間ケース内に長手方向に収納されている中空糸膜束と
、を含み、
前記中空糸膜束は多数の第1中空糸膜
及び多数の第2中空糸膜を含み、
前記第1中空糸膜はそれぞれ独立的に第1中空を含み、
前記第2中空糸膜はそれぞれ独立的に第2中空を含み、
前記第1中空の中心は前記第1中空糸膜の中心を基準に前記中間ケースの他側に向かって偏心
しており、
前記第2中空の中心は前記第2中空糸膜の中心と同じ位置に存在し、
前記第2中空糸膜は前記第1中空糸膜より前記第1気体流入口に近接して配置されていることを特徴とする、燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記第1中空糸膜の最大膜厚と最小膜厚との差は10μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記第1中空糸膜の最小膜厚は60μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの一端に結合された第1キャップと、
前記加湿モジュールの他端に結合された第2キャップとを含み、
前記加湿モジュールは、
両端が開放している中間ケースと、
前記中間ケースの一側に形成された第1気体流入口及び第1気体流出口と、
前記中間ケース内に配置されている少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)とを含み、
前記カートリッジは、末端に開口(Opening)を有し、中空糸膜束が入っているインナーケース(Inner Case)を含み、
前記インナーケースの一側には第2気体流入口及び第2気体流出口が形成されており、
前記中空糸膜束は多数の第1中空糸膜
及び多数の第2中空糸膜を含み、
前記第1中空糸膜はそれぞれ独立的に第1中空を含み、
前記第2中空糸膜はそれぞれ独立的に第2中空を含み、
前記第1中空の中心は前記第1中空糸膜の中心を基準に前記インナーケースの他側に向かって偏心
しており、
前記第2中空の中心は前記第2中空糸膜の中心と同じ位置に存在し、
前記第2中空糸膜は前記第1中空糸膜より前記第2気体流入口に近接して配置されていることを特徴とする、燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記第1中空糸膜の最大膜厚と最小膜厚との差は10μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項
4に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記第1中空糸膜の最小膜厚は60μm以上であることを特徴とする、請求項
4に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記インナーケースの他側には第3気体流入口及び第3気体流出口が形成されており、
前記第2中空糸膜は前記第1中空糸膜より
、前記第2気体流入口及び前記第3気体流入口に近接して配置されており、
前記第1中空糸膜は、前記第2気体流入口に近接して配置された前記第2中空糸膜と、前記第3気体流入口に近接して配置された前記第2中空糸膜との間に配置されている、
ことを特徴とする、請求項
4に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記中間ケース内には2個以上のカートリッジが配置されていることを特徴とする、請
求項
4に記載の燃料電池用加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池に加湿された気体を供給するための燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池と違い、水素及び酸素が供給される限り、ずっと電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関より効率が2倍ほど高いという利点がある。
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境に優しいだけでなく、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという利点がある。
【0003】
このような燃料電池は、使用電解質の種類によって大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
【0004】
これらの燃料電池のそれぞれは根本的に同じ原理で作動するが、使用燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて、低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能であるので、小規模据置型発電装備だけでなく輸送システムにおいても一番有望なものと知られている。
【0005】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるのにあたって一番重要な要因の一つは、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することで含水率を維持するようにすることである。高分子電解質膜が乾燥すれば発電効率が急激に低下するからである。
【0006】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池の反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらのうちでも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を、高分子電解質膜に供給される空気に提供することで、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式は加湿器を軽量化及び小型化することができるという点で有利である。
膜加湿方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であるので、小容量でも燃料電池を十分に加湿させることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分及び熱を回収して加湿器を介して再使用することができるという利点を有する。
【0007】
図1は通常の燃料電池用加湿器の概略分解斜視図であり、
図2は通常の中空糸膜の概略断面図である。
図1に示すように、通常の膜加湿方式の加湿器100は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間で水分が交換される加湿モジュール110と、前記加湿モジュール110の両端に結合されたキャップ120とを含む。
前記キャップ120のうちの一方は外部から供給される空気を前記加湿モジュール110に伝達し、他方は前記加湿モジュール110によって加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0008】
前記加湿モジュール110は、排ガス湿潤気体流入口(off-gas inlet)111a及び排ガス湿潤気体流出口(off-gas outlet)111bを有する中間ケース(mid-case)111と、前記中間ケース111内の複数の中空糸膜112とを含む。前記中空糸膜112の束の両端は固定層113にポッティングされている。前記固定層113は、一般的にキャスティング(casting)方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。前記中空糸膜112の末端がポッティングされている固定層113及び前記固定層113と前記中間ケース111との間の樹脂層114が前記キャップ120の内部空間を前記中間ケース111の内部空間から遮断する。前記固定層113と同様に、前記樹脂層114は、一般的にキャスティング方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
外部から供給される空気は前記中空糸膜112の中空に沿って流れる。前記排ガス湿潤気体流入口111aを通して前記中間ケース111内に流入した排ガスは前記中空糸膜112の外表面と接触した後、前記排ガス湿潤気体流出口111bを通して前記中間ケース111から流出する。前記排ガスが前記中空糸膜112の外表面と接触するとき、前記排ガス内に含有されていた水分が前記中空糸膜112を透過することにより、前記中空糸膜112の中空に沿って流れている空気を加湿する。
【0009】
ここで、
図2に示すように、中空糸膜112はそれぞれ中空112aが真中に形成されることによって全体的に膜厚112bが均一に形成される。膜厚112bは中空糸膜112の内面112cと中空糸膜112の外面112dとの間の長さを意味する。前記中空糸膜112の膜厚112bがあまりにも大きければ、前記中空糸膜112を用いた加湿性能が低下する問題がある。反対に、前記中空糸膜112の膜厚112bがあまりにも小さければ、前記中間ケース111内に流入する排ガスの圧力などによって前記中空糸膜112が部分的に損傷乃至破損される問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述したような問題を解決しようと案出されたものであり、中空糸膜を用いた加湿性能及び中空糸膜の耐久性を共に確保することができる燃料電池用加湿器を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような課題を解決するために、本発明は次のような構成を含むことができる。
本発明による燃料電池用加湿器は、燃料電池スタックから排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するための加湿モジュールと、前記加湿モジュールの一端に結合された第1キャップと、前記加湿モジュールの他端に結合された第2キャップとを含むことができる。
【0012】
本発明による燃料電池用加湿器において、前記加湿モジュールは、両端が開放している中間ケースと、前記中間ケースの一側に形成された第1気体流入口及び第1気体流出口と、前記中間ケース内に長手方向に収納されている中空糸膜束とを含むことができる。前記中空糸膜束は多数の第1中空糸膜を含むことができる。前記第1中空糸膜はそれぞれ独立的に第1中空を含むことができる。前記第1中空の中心は前記第1中空糸膜の中心を基準に前記中間ケースの他側に向かって偏心することができる。
【0013】
本発明による燃料電池用加湿器において、前記加湿モジュールは、両端が開放している中間ケースと、前記中間ケースの一側に形成された第1気体流入口及び第1気体流出口と、前記中間ケース内に配置されている少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)とを含むことができる。前記カートリッジは、末端に開口(Opening)を有し、前記中空糸膜束が入っているインナーケース(InnerCase)を含むことができる。前記インナーケースの一側には第2気体流入口及び第2気体流出口が形成されることができる。前記中空糸膜束は多数の第1中空糸膜を含むことができる。前記第1中空糸膜はそれぞれ独立的に第1中空を含むことができる。前記第1中空の中心は前記第1中空糸膜の中心を基準に前記インナーケースの他側に向かって偏心することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果を図ることができる。
本発明は中空が偏心している中空糸膜を用いて加湿性能及び耐久性の両者を確保することができるように具現される。したがって、本発明は、気体の圧力などによる中空糸膜の損傷乃至破損を減らすことができるだけでなく、向上した加湿性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】通常の燃料電池用加湿器の概略分解斜視図である。
【
図3】本発明による燃料電池用加湿器の概略分解斜視図である。
【
図4】本発明による燃料電池用加湿器を
図3のI-I線について示す概略分解断面図である。
【
図5】本発明による燃料電池用加湿器を
図3のI-I線について示す概略結合断面図である。
【
図6】本発明による燃料電池用加湿器において第1中空糸膜の断面を拡大して示す概略側断面図である。
【
図7】本発明による燃料電池用加湿器において第2中空糸膜の断面を拡大して示す概略側断面図である。
【
図8】本発明による燃料電池用加湿器においてカートリッジの概略平面図である。
【
図9】本発明による燃料電池用加湿器においてカートリッジを
図8のII-II線について示す概略側断面図である。
【
図10】本発明による燃料電池用加湿器においてカートリッジの概略底面図である。
【
図11】本発明による燃料電池用加湿器においてカートリッジを
図10のIII-III線について示す概略側断面図である。
【
図12】本発明による燃料電池用加湿器において中間ケースに2個のカートリッジが結合される実施例の概略分解斜視図である。
【
図13】本発明による燃料電池用加湿器において中間ケースに3個のカートリッジが結合される実施例の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明による燃料電池用加湿器の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図6及び
図7はそれぞれ第1中空糸膜及び第2中空糸膜を
図8のII-II線について示す側断面図である。
図9及び
図11には中空糸膜が省略されているが、ドット(Dot)でハッチングされた部分に中空糸膜が配置されることができる。
図3~
図5を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1は燃料電池スタック(図示せず)から排出された湿潤気体を用いて、外部から供給された乾燥気体を加湿するためのものである。乾燥気体は燃料ガスまたは空気であり得る。乾燥気体は湿潤気体によって加湿された後、前記燃料電池スタックに供給されることができる。本発明による燃料電池用加湿器1は、乾燥気体の加湿のための加湿モジュール2、前記加湿モジュール2の一端に結合された第1キャップ3、及び前記加湿モジュール2の他端に結合された第2キャップ4を含む。
図3~
図5を参照すると、前記加湿モジュール2は外部から供給された乾燥気体を加湿するものである。前記加湿モジュール2の一端には前記第1キャップ3が結合されることができる。前記加湿モジュール2の他端には前記第2キャップ4が結合されることができる。前記第1キャップ3は乾燥気体を前記加湿モジュール2に伝達することができる。この場合、前記第2キャップ4は前記加湿モジュール2で湿潤気体によって加湿された乾燥気体を前記燃料電池スタックに伝達することができる。前記第1キャップ3は湿潤気体を前記加湿モジュール2に伝達することもできる。この場合、前記第2キャップ4は前記加湿モジュール2で乾燥気体を加湿した後の湿潤気体を外部に排出することができる。
【0017】
前記加湿モジュール2は、中間ケース21及び中空糸膜束22を含む。
前記中間ケース21は前記中空糸膜束22を収納するためのものである。前記中空糸膜束22は前記中間ケース21の内部に配置されることができる。前記中間ケース21は両端が開放している。この場合、前記中間ケース21には収容孔211が形成されることができる。前記収容孔211は前記中間ケース21を第1軸方向(X軸方向)に貫くように形成されることができる。前記第1軸方向(X軸方向)は前記中間ケース21の長手方向に平行な軸方向である。
【0018】
前記中間ケース21の一側21aには第1気体流入口212及び第1気体流出口213が形成されることができる。
前記第1気体流入口212は、前記中間ケース21の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させることができる。前記第1気体流出口213は、前記中間ケース21の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させることができる。前記第1気体流入口212と前記第1気体流出口213とは前記第1軸方向(X軸方向)に互いに離隔した位置に配置されることができる。前記第1気体流入口212、前記第1気体流出口213、及び前記中間ケース21は一体に形成されることもできる。
【0019】
前記第1気体流入口212及び前記第1気体流出口213を通して湿潤気体が流動するとき、湿潤気体は前記第1気体流入口212を通して前記中間ケース21の内部に流入した後、前記中空糸膜束22の外表面と接触することができる。この過程で、湿潤気体に含有されている水分が前記中空糸膜束22を透過することにより、前記中空糸膜束22の中空に沿って流れている乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は前記中空糸膜束22から流出した後、前記燃料電池スタックに供給されることができる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は、前記第1気体流出口213を通して前記中間ケース21の外部に流出することができる。前記第1気体流入口212は前記燃料電池スタックに連結されることで、湿潤気体を受けることができる。この場合、湿潤気体は前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であってもよい。
【0020】
前記第1気体流入口212及び前記第1気体流出口213を通して乾燥気体が流動するとき、乾燥気体は前記第1気体流入口212を通して前記中間ケース21の内部に流入した後、前記中空糸膜束22の外表面と接触することができる。この過程で前記中空糸膜束22の中空に沿って流れる湿潤気体の水分が前記中空糸膜束22を透過することにより、前記中間ケース21の内部に流入した乾燥気体を加湿することができる。加湿された乾燥気体は前記第1気体流出口213を通して前記中間ケース21の外部に流出した後、前記燃料電池スタックに供給されることができる。乾燥気体を加湿した後の湿潤気体は前記中空糸膜束22から流出した後、前記第2キャップ4を通して外部に排出されることができる。前記第1キャップ3は前記燃料電池スタックに連結されることで、湿潤気体を受けることができる。この場合、湿潤気体は前記燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であり得る。
【0021】
前記中空糸膜束22は前記中間ケース21の内部に収納されている。前記中空糸膜束22は多数の中空糸膜を含むことができる。前記中空糸膜束22は前記中間ケース21内に長手方向に収納されることができる。
図3~
図5を参照すると、前記第1キャップ3は前記加湿モジュール2の一端に結合されたものである。前記第1キャップ3と前記加湿モジュール2との間は樹脂層によって密閉することができる。
図3~
図5を参照すると、前記第2キャップ4は前記加湿モジュール2の他端に結合されたものである。前記第2キャップ4は前記第1キャップ3から前記第1軸方向(X軸方向)に離隔した位置で前記加湿モジュール2の他端に結合されることができる。前記第2キャップ4と前記加湿モジュール2との間は樹脂層によって密閉することができる。
ここで、本発明による燃料電池用加湿器1は前記中空糸膜束22によって加湿性能を向上させるように次のように具現されることができる。
【0022】
図3~
図6を参照すると、前記中空糸膜束22は第1中空糸膜22aを含むことができる。
前記第1中空糸膜22aは第1中空221aを含むことができる。前記第1中空221aは前記第1中空糸膜22aの長手方向に前記第1中空糸膜22aを貫いて形成されることができる。前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸膜22aの中心C12を基準に偏心している。よって、前記第1中空糸膜22aの膜厚は前記第1中空糸膜22aの厚さ方向に不均一に形成されることができる。前記第1中空糸膜22aの膜厚は前記第1中空221aに向かう前記第1中空糸膜22aの内面と前記第1中空糸膜22aの外面との間の長さを意味することができる。前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸膜22aの内面全体から同じ距離だけ離隔した地点を意味することができる。前記第1中空糸膜22aの中心C12は前記第1中空糸膜22aの外面全体から同じ距離だけ離隔した地点を意味することができる。
【0023】
前記第1中空221aの中心C11が偏心して前記第1中空糸膜22aの膜厚が不均一に形成されることで、前記第1中空糸膜22aは膜厚が相対的に厚い部分によって耐久性を強化することができ、膜厚が相対的に薄い部分によって加湿性能を向上させるように具現される。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1中空糸膜22aを用いて加湿性能及び耐久性の両者を確保することができるように具現される。前記中空糸膜束22は多数の第1中空糸膜22aを含むこともできる。この場合、前記第1中空糸膜22aはそれぞれ独立的に前記第1中空221aを含むことができる。本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束22が有する中空糸膜の全部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現されることができる。本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束22が有する中空糸膜の一部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現されることもできる。
【0024】
前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸膜22aの中心C12を基準に前記中間ケース21の他側21b(
図3に図示)に向かって偏心することができる。前記中間ケース21の他側21bは前記中間ケース21の一側21aの反対側である。前記第1中空221aの中心C11が前記第1中空糸膜22aの中心C12を基準に前記中間ケース21の他側21bに向かって偏心しているので、膜厚が相対的に厚い前記第1中空糸膜22aの一側22a’は前記中間ケース21の一側21aに向かうように配置されることができる。この場合、膜厚が相対的に薄い前記第1中空糸膜22aの他側22a”は前記中間ケース21の他側21bに向かうように配置されることができる。これにより、前記第1中空糸膜22aは前記第1気体流入口212側にもっと厚い部分が配置されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1気体流入口212を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などによって前記第1中空糸膜22aが損傷乃至破損される危険を減らすことができる。また、前記第1中空糸膜22aの他側22a”が前記第1中空糸膜22aの一側22a’より薄く形成されるので、前記第1中空糸膜22aは前記中間ケース21の内側にもっと薄い部分が配置されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中間ケース21の内側で湿潤気体を用いて加湿性能を向上させることができる。この場合、前記第1気体流入口212を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などが前記第1中空糸膜22aの他側22a”に直接的に作用しない。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1中空糸膜22aを用いて加湿性能及び耐久性の両者を確保するように具現されることができる。前記第1中空糸膜22aの一側22a’は前記第1中空糸膜22aの他側22a”に対して第1方向(FD矢印方向)に配置されることができる。この場合、前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸膜22aの中心C12から第2方向(SD矢印方向)に離隔して配置されることができる。前記第2方向(SD矢印方向)と前記第1方向(FD矢印方向)とは互いに反対の方向である。
【0025】
前記第1中空糸膜22aの最大膜厚と最小膜厚との差は10μm以上100μm以下になるように具現されることができる。前記第1中空糸膜22aの一側22a’は前記第1中空糸膜22aにおいて最大厚さを有するように形成された部分とすることができる。前記第1中空糸膜22aの他側22a”は前記第1中空糸膜22aにおいて最小厚さを有するように形成された部分とすることができる。以下では、前記第1中空糸膜22aにおいて最大膜厚を有する部分を前記第1中空糸膜22aの第1膜厚T11と、前記第1中空糸膜22aにおいて最小膜厚を有する部分を前記第1中空糸膜22aの第2膜厚T12と定義して説明する。
【0026】
前記第1中空糸膜22aの第2膜厚T12と前記第1中空糸膜22aの第1膜厚T11との差が10μm未満であれば、膜厚が相対的に厚い部分による耐久性強化及び膜厚が相対的に薄い部分による加湿性能向上を具現しにくい。前記第1中空糸膜22aの第2膜厚T12と前記第1中空糸膜22aの第1膜厚T11との差が100μmを超えれば、膜厚が相対的に薄い部分の耐久性があまり弱化することによって損傷乃至破損される危険が高い。これを考慮して、前記第1中空糸膜22aは、前記第2膜厚T12と前記第1膜厚T11との差が10μm以上100μm以下になるように具現されることにより、膜厚が相対的に厚い部分による耐久性強化及び膜厚が相対的に薄い部分による加湿性能向上を具現することができる。
【0027】
前記第1中空糸膜の最小膜厚は60μm以上になるように具現されることができる。この場合、前記第1中空糸膜22aの第2膜厚T12が60μm以上になるように具現されることができる。前記第1中空糸膜22aの第2膜厚T12が60μm未満であれば、前記第1中空糸膜22aは、前記第2膜厚T12を有するように形成された部分によって加湿性能をもっと向上させることができるが、前記第2膜厚T12を有するように形成された部分の耐久性があまり弱化して損傷乃至破損される危険が高い。これを考慮して、前記第1中空糸膜22aは、前記第2膜厚T12が60μm以上になるように具現されることにより、前記第2膜厚T12を有するように形成された部分によって加湿性能を向上させることができるだけでなく、前記第2膜厚T12を有するように形成された部分がめったに損傷乃至破損されない十分な耐久性を有するように具現されることができる。
前記第1中空糸膜22aは第1中空糸本体222aを含むことができる。
前記第1中空糸本体222aは前記中間ケース21の内部に収納されたものである。前記第1中空糸本体222aは前記第1中空糸膜22aの全体外観を成す部分に相当することができる。前記第1中空糸本体222aは長手方向に長い円筒形態に形成されることができる。前記第1中空糸本体222aの長手方向は、前記第1中空糸膜22aが前記中間ケース21の内部に収納されたとき、前記第1軸方向(X軸方向)に平行な方向とすることができる。
【0028】
前記第1中空221aは前記第1中空糸本体222aの長手方向に前記第1中空糸本体222aを貫いて形成されることができる。乾燥気体は前記第1中空221aに沿って流れながら、前記第1中空糸本体222aの外部の湿潤気体によって加湿されることができる。湿潤気体が前記第1中空221aに沿って流れながら前記第1中空糸本体222aの外部の乾燥気体を加湿することもできる。前記第1中空221aは長手方向に長い円筒形態に形成されることができる。前記第1中空221aの長手方向は、前記第1中空糸膜22aが前記中間ケース21の内部に収納されたとき、前記第1軸方向(X軸方向)に平行な方向とすることができる。
【0029】
前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸本体222aの中心から離隔して偏心した位置に配置されることができる。前記第1中空糸本体222aの中心は前記第1中空糸膜22aの中心C12と同じ位置に存在することができる。このように、前記第1中空糸膜22aは前記第1中空221aが偏心した位置に形成されることにより、膜厚が不均一に具現されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1中空221aを偏心した位置に形成する作業のみで膜厚を不均一に具現することができるので、膜厚が不均一な第1中空糸膜22aの製造の容易性を向上させることができる。
前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸本体222aの中心から前記第2方向(SD矢印方向)に離隔して配置されることができる。よって、前記第1中空221aは前記第2方向(SD矢印方向)に偏心した位置に形成されることができる。この場合、前記第1中空221aは前記中間ケース21の他側21bに向かって偏心した位置に形成されることができる。よって、前記第1中空糸膜22aは、最大膜厚を有するように形成された一側22a’が前記中間ケース21の一側21aに向かうように配置されることができる。前記第1中空糸膜22aは、最小膜厚を有するように形成された他側22a”が前記中間ケース21の他側21bに向かうように配置されることができる。
【0030】
図3~
図7を参照すると、前記中空糸膜束22は第2中空糸膜22bを含むことができる。
前記第2中空糸膜22bは第2中空221bを含むことができる。前記第2中空221bは前記第2中空糸膜22bの長手方向に前記第2中空糸膜22bを貫いて形成されることができる。前記第2中空221bの中心C21は前記第2中空糸膜22bの中心C22と同じ位置に存在することができる。よって、前記第2中空糸膜22bの膜厚は前記第2中空糸膜22bの厚さ方向に均一に形成されることができる。前記第2中空糸膜22bの膜厚は前記第2中空221bに向かう前記第2中空糸膜22bの内面と前記第2中空糸膜22bの外面との間の長さを意味することができる。前記第2中空糸膜22bの膜厚が均一になるように形成されるので、前記第2中空糸膜22bは全体的に均一な耐久性及び均一な加湿性能を有するように具現される。前記第2中空221bの中心C21は前記第2中空糸膜22bの内面全体から同じ距離だけ離隔した地点を意味することができる。前記第2中空糸膜22bの中心C22は前記第2中空糸膜22bの外面全体から同じ距離だけ離隔した地点を意味することができる。前記中空糸膜束22は多数の第2中空糸膜22bを含むこともできる。この場合、前記第2中空糸膜22bはそれぞれ独立的に前記第2中空221bを含むことができる。
【0031】
前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記中間ケース21の一側21aに隣接して配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記第1気体流入口212側にもっと近くに配置されることができる。この場合、前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aと前記第1気体流入口212との間に配置されることができる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は次のような作用効果を図ることができる。
【0032】
まず、前記中空糸膜束22の全部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現された場合、前記第1気体流入口212に隣接した領域で前記第1中空糸膜22aは膜厚が相対的に厚い部分が前記第1気体流入口212側に向かうように配置されなければならない。膜厚が相対的に薄い部分が前記第1気体流入口212側に向かうように配置されれば、前記第1気体流入口212を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などによって前記第1中空糸膜22aが損傷乃至破損される危険が高いからである。よって、前記第1気体流入口212に隣接した領域では前記第1中空糸膜22aの配置方向を正確に整列しなければならないので、前記中間ケース21の内部に前記中空糸膜束22を収納させる作業にかかる時間が増加することがある。
【0033】
次に、前記中空糸膜束22の一部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現されるとともに一部が前記第2中空糸膜22bのように膜厚の均一な構造を有するように具現された場合、前記第1気体流入口212に隣接した領域には前記第2中空糸膜22bが配置されるとともに前記第1気体流入口212から離れた領域には前記第1中空糸膜22aが配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22bは全体的に均一な耐久性を有するように具現されるので、配置方向に関係なく前記中間ケース21の内部に収納されることができる。また、前記第1中空糸膜22aは前記第1気体流入口212から離れた領域に配置されるので、前記第1気体流入口212を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などに直接的に影響されない。よって、前記第1中空糸膜22aも配置方向に関係なく前記中間ケース21の内部に収納されることができる。よって、前記第2中空糸膜22b及び前記第1中空糸膜22aの全部の配置方向を正確に整列しなくてもよいので、前記中間ケース21の内部に前記中空糸膜束22を収納させる作業にかかる時間を減らすことができるだけでなく、前記中間ケース21の内部に前記中空糸膜束22を収納させる作業の容易性を向上させることができる。
【0034】
前記第2中空糸膜22bは、一側22b’が前記第1気体流入口212に向かうように配置されることができる。前記第2中空糸膜22bの一側22b’は第1膜厚T21(
図7に図示)を有するように形成されることができる。前記第2中空糸膜22bの第1膜厚T21は前記第2中空糸膜22bの一側22b’において内面と外面との間の長さを意味することができる。前記第2中空糸膜22bの他側22b”は第2膜厚T22(
図7に図示)を有するように形成されることができる。前記第2中空糸膜22bの第2膜厚T22は前記第2中空糸膜22bの他側22b”において内面と外面との間の長さを意味することができる。前記第2中空糸膜22bの他側22b”と前記第2中空糸膜22bの一側22b’とは互いに反対側に配置されることができる。前記第2中空糸膜22bの第1膜厚T21と前記第2中空糸膜22bの第2膜厚T22とは同じに形成されることができる。
前記第2中空糸膜22bは第2中空糸本体222bを含むことができる。
前記第2中空糸本体222bは前記中間ケース21の内部に収納されたものである。前記第2中空糸本体222bは前記第2中空糸膜22bの全体外観を成す部分に相当することができる。前記第2中空糸本体222bは長手方向に長い円筒形態に形成されることができる。前記第2中空糸本体222bの長手方向は、前記第2中空糸膜22bが前記中間ケース21の内部に収納されたとき、前記第1軸方向(X軸方向)に平行な方向とすることができる。
【0035】
前記第2中空221bは前記第2中空糸本体222bの長手方向に前記第2中空糸本体222bを貫いて形成されることができる。乾燥気体は前記第2中空221bに沿って流れながら前記第2中空糸本体222bの外部の湿潤気体によって加湿されることができる。湿潤気体が前記第2中空221bに沿って流れながら前記第2中空糸本体222bの外部の乾燥気体を加湿させることもできる。前記第2中空221bは長手方向に長い円筒形態に形成されることができる。前記第2中空221bの長手方向は、前記第2中空糸膜22bが前記中間ケース21の内部に収納されたとき、前記第1軸方向(X軸方向)に平行な方向とすることができる。
前記第2中空221bの中心C21及び前記第2中空糸本体222bの中心は互いに同じ位置に存在することができる。前記第2中空糸本体222bの中心は前記第2中空糸膜22bの外面全体から同じ距離だけ離隔した地点を意味することができる。このように、前記第2中空221bの中心C21及び前記第2中空糸本体222bの中心が互いに同じ位置に存在することにより、前記第2中空糸膜22bは膜厚が均一に具現されることができる。
【0036】
ここで、前記中空糸膜束22は前記中間ケース21の内部に直接収納されることもでき、前記加湿モジュール2が有する少なくとも一つのカートリッジ(Cartridge)23を通して前記中間ケース21の内部に収納されることもできる。
図3~
図9を参照すると、前記カートリッジ23は前記中間ケース21内に配置されることができる。前記中空糸膜束22は前記カートリッジ23に結合されてモジュール化することができる。よって、前記カートリッジ23を前記中間ケース21に結合する工程により、前記中空糸膜束22は前記中間ケース21の内部に収納されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記中空糸膜束22に対する設置作業、分離作業、及び交替作業の容易性を向上させることができる。
前記カートリッジ23はインナーケース231を含むことができる。
前記インナーケース231は末端に開口(Opening)を有し、前記中空糸膜束22が収納されているものである。前記中空糸膜束22は前記インナーケース231の内部に配置されてモジュール化することができる。前記中空糸膜束22は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうちで2種以上の混合物から形成された高分子膜を含むことができる。
前記カートリッジ23は固定層232、233を含むことができる。
【0037】
前記固定層232、233には前記中空糸膜束22の末端部がポッティングされており、前記インナーケース231の開口を閉鎖させるものである。前記中空糸膜束22の一端が前記固定層232によって固定され、前記中空糸膜束22の他端が前記固定層233によって固定されることができる。前記中空糸膜束22の一端及び他端は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準に互いに反対側に配置される端部を意味する。前記固定層232、233は、キャスティング工程によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成されることができる。前記固定層232、233は前記中空糸膜束22の末端部と前記インナーケース231とを固定させることもできる。
前記固定層232、233は前記中空糸膜束22の中空を塞げないように形成されることができる。よって、外部から供給された乾燥気体または湿潤気体は前記固定層232、233によって妨げられずに前記中空糸膜束22の中空に供給されることができ、前記固定層232、233によって妨げられずに前記中空糸膜束22の中空から流出することができる。
【0038】
前記カートリッジ23は、第2気体流入口234及び第2気体流出口235を含むことができる。
前記第2気体流入口234は前記インナーケース231に形成されたものである。前記第2気体流入口234は前記インナーケース231の一側に形成されることができる。前記インナーケース231の一側と前記中間ケース21の一側21aは互いに異なる方向に向かうように配置されることができる。前記インナーケース231の一側と前記中間ケース21の一側21aとは同じ方向に向かうように配置されることもできる。前記第2気体流入口234は前記インナーケース231の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させることができる。前記第2気体流入口234は前記インナーケース231を貫いて形成されることができる。
図8に示すように、前記第2気体流入口234は前記インナーケース231を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記第2気体流入口234は前記インナーケース231の相異なる部分を貫くように形成された複数のウィンドウ234aを含むことができる。前記ウィンドウ234aは前記第1軸方向(X軸方向)及び第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状を成すように配置されることができる。前記第2軸方向(Y軸方向)は前記第1軸方向(X軸方向)に対して垂直な軸方向である。図示されていないが、前記第2気体流入口234は前記インナーケース231を貫く単一の貫通孔によって具現されることもできる。
【0039】
前記第2気体流出口235は前記インナーケース231に形成されたものである。前記第2気体流出口235は前記インナーケース231の一側に形成されることができる。前記第2気体流出口235は前記インナーケース231の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させることができる。前記第2気体流出口235は前記インナーケース231を貫いて形成されることができる。
図8に示すように、前記第2気体流出口235は前記インナーケース231を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記第2気体流出口235は前記インナーケース231の相異なる部分を貫くように形成された複数のウィンドウ235aを含むことができる。前記ウィンドウ235aは前記第1軸方向(X軸方向)及び前記第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状を成すように配置されることができる。図示されていないが、前記第2気体流出口235は前記インナーケース231を貫く単一の貫通孔によって具現されることもできる。
【0040】
前記第2気体流出口235と前記第2気体流入口234とは前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔した位置に配置されることができる。よって、湿潤気体は前記第1気体流入口212を通して前記中間ケース21の内面と前記カートリッジ23の外面との間に供給され、前記第2気体流入口234を通して前記インナーケース231の内部に供給されて前記中空糸膜束22の外表面と接触し、前記中空糸膜束22の中空に沿って流れた乾燥気体を加湿させた後、前記第2気体流出口235を通して前記中間ケース21の内面と前記カートリッジ23の外面との間に流出し、前記第1気体流出口213を通して前記中間ケース21の外部に流出することができる。一方、乾燥気体が前記第1気体流入口212を通して前記中間ケース21の内面と前記カートリッジ23の外面との間に供給され、前記第2気体流入口234を通して前記インナーケース231の内部に供給されて前記中空糸膜束22の外表面と接触し、前記中空糸膜束22の中空に沿って流れた湿潤気体によって加湿された後、前記第2気体流出口235を通して前記中間ケース21の内面と前記カートリッジ23の外面との間に流出し、前記第1気体流出口213を通して前記中間ケース21の外部に流出することもできる。
【0041】
前記加湿モジュール2は複数のパッキング部材24、24’を含むことができる。
前記パッキング部材24、24’は、乾燥気体と湿潤気体とが直接的に混合されることを防止するように、前記カートリッジ23と前記中間ケース21との間を密閉させるものである。前記パッキング部材24、24’は前記カートリッジ23と前記中間ケース21との間に挿入されることができる。この場合、前記カートリッジ23は前記パッキング部材24、24’に形成された通孔24a、24a’に挿入されることができる。前記パッキング部材24、24’のそれぞれは前記第1軸方向(X軸方向)を基準に前記カートリッジ23の両端に配置されることができる。図示されていないが、前記パッキング部材24、24’の代わりに、前記カートリッジ23の両側には樹脂層が形成されることもできる。前記樹脂層は、キャスティング方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成されることができる。前記第1キャップ3と前記カートリッジ23との間の空間は、前記パッキング部材24または樹脂層によって前記カートリッジ23と前記中間ケース21との間の空間に対して密閉されることができる。前記第2キャップ4と前記カートリッジ23との間の空間は前記パッキング部材24’または樹脂層によって前記カートリッジ23と前記中間ケース21との間の空間に対して密閉されることができる。
【0042】
ここで、前記インナーケース231の内部には前記第1中空糸膜22aが配置されることができる。前記第1中空221aの中心C11は前記第1中空糸膜22aの中心C12を基準に前記インナーケース231の他側に偏心することができる。この場合、前記第1中空糸膜22aの一側22a’は前記インナーケース231の一側に向かうように配置されることができる。よって、前記第1中空糸膜22aは、膜厚が相対的に厚い部分が前記インナーケース231の一側に向かい、膜厚が相対的に薄い部分が前記インナーケース231の他側に向かうように配置されることができる。前記インナーケース231の内部には多数の第1中空糸膜22aが配置されることもできる。
【0043】
ここで、前記インナーケース231の内部には前記第2中空糸膜22bが配置されることができる。前記第2中空221bの中心C21は前記第2中空糸膜22bの中心C22と同じ位置に存在することができる。前記インナーケース231の内部には多数の第2中空糸膜22bが配置されることもできる。
前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記インナーケース231の一側に隣接して配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記第2気体流入口234側にもっと近くに配置されることができる。この場合、前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aに対して前記第1方向(FD矢印方向)に配置され、前記第1中空糸膜22aは前記第2中空糸膜22bに対して前記第2方向(SD矢印方向)に配置されることができる。よって、本発明による燃料電池用加湿器1は次のような作用効果を図ることができる。
【0044】
まず、前記中空糸膜束22の全部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現された場合、前記第2気体流入口234に隣接した第1領域231a(
図9に図示)で前記第1中空糸膜22aは膜厚が相対的に厚い部分が前記第2気体流入口234側に向かうように配置されなければならない。膜厚が相対的に薄い部分が前記第2気体流入口234側に向かうように配置されれば、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などによって前記第1中空糸膜22aが損傷乃至破損される危険が高いからである。よって、前記第2気体流入口234に隣接した第1領域231aでは前記第1中空糸膜22aの配置方向を正確に整列しなければならないので、前記インナーケース231の内部に前記中空糸膜束22を配置する作業にかかる時間が増加することがある。
【0045】
次に、前記中空糸膜束22の一部が前記第1中空糸膜22aのように膜厚の不均一な構造を有するように具現されるとともに一部が前記第2中空糸膜22bのように膜厚の均一な構造を有するように具現された場合、前記第2気体流入口234に隣接した第1領域231aには前記第2中空糸膜22bが配置されるとともに前記第2気体流入口234から離れた第2領域231b(
図9に図示)には前記第1中空糸膜22aが配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22bは全体的に均一な耐久性を有するように具現されるので、配置方向に関係なく前記インナーケース231の内部に結合されることができる。また、前記第1中空糸膜22aは前記第2気体流入口234から離れた第2領域231bに配置されるので、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などに直接的に影響されない。よって、前記第1中空糸膜22aも配置方向に関係なく前記インナーケース231の内部に配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22b及び前記第1中空糸膜22aのいずれも配置方向を正確に整列しなくてもよいので、前記インナーケース231の内部に前記中空糸膜束22を配置する作業にかかる時間を減らすことができることだけでなく、前記インナーケース231の内部に前記中空糸膜束22を配置する作業の容易性を向上させることができる。
【0046】
図9には前記第1領域231aと前記第2領域231bとがほぼ一致する大きさを有するように具現されるものとして示されているが、これに限定されず、前記第1領域231aと前記第2領域231bとは互いに異なる大きさを有するように具現されることもできる。例えば、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力が高い場合、前記第1領域231aは前記第2領域231bより大きく具現されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1領域231aに配置された第2中空糸膜22bの個数が増えるので、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力による前記中空糸膜束22の損傷乃至破損が減少するように具現される。例えば、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力が低い場合、前記第1領域231aは前記第2領域231bより小さく具現されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第1領域231aに配置された第2中空糸膜22bの個数が減少するとともに前記第2領域231bに配置された第1中空糸膜22aの個数が増加することができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第2気体流入口234を通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力による前記中空糸膜束22の損傷乃至破損を減らすことができるだけでなく向上した加湿性能を有するように具現されることができる。
【0047】
図3~
図12を参照すると、前記カートリッジ23は、第3気体流入口236及び第3気体流出口237を含むことができる。
前記第3気体流入口236は前記インナーケース231に形成されたものである。前記第3気体流入口236は前記インナーケース231の他側に形成されることができる。前記第3気体流入口236と前記第2気体流出口235とは互いに対向するように配置されることができる。前記第3気体流入口236は前記インナーケース231の内部に湿潤気体または乾燥気体を流入させることができる。前記第3気体流入口236は前記インナーケース231を貫いて形成されることができる。
図10に示すように、前記第3気体流入口236は前記インナーケース231を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記第3気体流入口236は前記インナーケース231の互いに異なる部分を貫くように形成された複数のウィンドウ236aを含むことができる。前記ウィンドウ236aは前記第1軸方向(X軸方向)及び第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状を成すように配置されることができる。前記第2軸方向(Y軸方向)は前記第1軸方向(X軸方向)に垂直な軸方向である。図示されていないが、前記第3気体流入口236は前記インナーケース231を貫く単一の貫通孔によって具現されることもできる。
【0048】
前記第3気体流出口237は前記インナーケース231に形成されたものである。前記第3気体流出口237は前記インナーケース231の他側に形成されることができる。前記第3気体流出口237と前記第2気体流入口234とは互いに対向するように配置されることができる。前記第3気体流出口237は前記インナーケース231の内部から湿潤気体または乾燥気体を流出させることができる。前記第3気体流出口237は前記インナーケース231を貫いて形成されることができる。
図10に示すように、前記第3気体流出口237は前記インナーケース231を貫く複数の貫通孔によって具現されることもできる。この場合、前記第3気体流出口237は前記インナーケース231の互いに異なる部分を貫くように形成された複数のウィンドウ237aを含むことができる。前記ウィンドウ237aは前記第1軸方向(X軸方向)及び前記第2軸方向(Y軸方向)のそれぞれに沿って互いに離隔して行列状を成すように配置されることができる。図示されていないが、前記第3気体流出口237は前記インナーケース231を貫く単一の貫通孔によって具現されることもできる。前記第3気体流出口237と前記第3気体流入口236とは前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔した位置に配置されることができる。
【0049】
前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記インナーケース231の一側及び他側に燐接して配置されることができる。よって、前記第2中空糸膜22bは前記第1中空糸膜22aよりは前記第2気体流入口234側及び前記第3気体流入口236側にもっと近くに配置されることができる。この場合、前記第1中空糸膜22aは、前記インナーケース231の一側に燐接して配置された第2中空糸膜22bと前記インナーケース231の他側に燐接して配置された第2中空糸膜22bとの間に配置されることができる。よって、前記第2気体流入口234に隣接した第1領域231a及び前記第3気体流入口236に隣接した第3領域231c(
図11に図示)のそれぞれには前記第2中空糸膜22bが配置されるとともに前記第2気体流入口234及び前記第3気体流入口236のそれぞれから離れた第2領域231bには前記第1中空糸膜22aが配置されることができる。よって、前記第1中空糸膜22aは、前記第2気体流入口234及び前記第3気体流入口236のそれぞれを通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力などに直接的に影響されない位置に配置されることができる。したがって、本発明による燃料電池用加湿器1は、前記第2気体流入口234及び前記第3気体流入口236のそれぞれを通して流入する湿潤気体または乾燥気体の圧力による前記中空糸膜束22の損傷乃至破損を減らすことができるだけでなく向上した加湿性能を有するように具現されることができる。
図11には前記第1領域231a、前記第2領域231b、及び前記第3領域231cがほぼ一致する大きさを有するように具現されるものとして示されているが、これに限定されず、前記第2領域231bは前記第1領域231aの大きさ及び前記第3領域231cの大きさのそれぞれと異なる大きさを有するように具現されることもできる。
【0050】
図12及び
図13を参照すると、本発明による燃料電池用加湿器1において、前記中間ケース21内には2個以上のカートリッジ23が配置されることもできる。
図12に示すように、前記中間ケース21内には2個のカートリッジ23、23’が配置されることができる。
図13に示すように、前記中間ケース21内には3個のカートリッジ23、23’、23”が配置されることもできる。図示されていないが、前記中間ケース21内には4個以上のカートリッジ23が配置されることもできる。
以上で説明した本発明は前述した実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内でさまざまな置換、変形及び変更が可能であるというのは本発明が属する当該技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。