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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】油圧ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240424BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
E02F9/24 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023025716
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2018194647の分割
【原出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2023054217
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-02-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】萩原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】溝口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平澤 茂
(72)【発明者】
【氏名】伊東 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】穴原 圭一郎
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-145626(JP,A)
【文献】特開2014-181509(JP,A)
【文献】特許第3821789(JP,B2)
【文献】実開昭57-118490(JP,U)
【文献】特開2002-229642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24-9/26
B60R 1/00
B60R 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体の上方に設けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体に設けられたフロント作業機と、
前記上部旋回体の前方に設けられた運転室と、
前記上部旋回体の周囲を監視するカメラと、
前記上部旋回体または前記フロント作業機を操作するための操作レバーと、
前記操作レバーによる前記上部旋回体または前記フロント作業機の操作を無効にするロック位置と前記操作レバーによる操作を有効にするロック解除位置とに操作されるゲートロックレバーと、
前記運転室内に設けられたシートベルトと、
前記シートベルトが装着されているか否かを検知するシートベルト検知装置と、
前記運転室内に設けられ、警報を出力する報知装置と、
前記カメラの映像から移動体が存在することを判定したときに前記報知装置を介して移動体検知警報を出力すると共に、前記シートベルト検知装置によりシートベルトの未装着が検知されたときに前記報知装置を介してシートベルト警報を出力するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記カメラの映像から移動体が有と判定し、前記シートベルト検知装置によって前記シートベルトの未装着が検知されている状態で、前記ゲートロックレバーが
(1)ロック解除位置にある場合には、前記移動体検知警報の出力を行わずに、前記シートベルト警報を前記報知装置により出力し、
(2)ロック位置にある場合には、前記シートベルト警報の出力を行わずに、前記移動体検知警報を前記報知装置により出力する
ことを特徴とする油圧ショベル。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧ショベルにおいて、
前記報知装置は、第1の報知装置と、前記第1の報知装置とは独立して設けられた第2の報知装置とで構成され、
前記コントローラは、
前記第1の報知装置を介して前記移動体検知警報を出力し、
前記第2の報知装置を介して前記シートベルト警報を出力する
ことを特徴とする油圧ショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の状態に応じて、オペレータに注意を促すことができる建設機械の安全装置を開示する先行技術文献として特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、建設機械の状態に関する状態情報を取得する状態情報取得部と、シートベルトがオペレータに装着されているか否かを検出するシートベルト検出部と、前記シートベルトが前記オペレータに装着されていない場合に、前記状態情報に基づいて警告を行うように警告部を制御する制御部と、を備えた建設機械の安全装置であって、前記状態情報は、前記建設機械の操作レバーの指令を無効とするロック位置と、前記操作レバーの指令を有効とするロック解除位置とに操作されるゲートロックレバーの操作位置に関する情報を含み、前記制御部は、前記ゲートロックレバーの操作位置が前記ロック解除位置の場合に、警告を行うように前記警告部を制御することを特徴とする建設機械の安全装置が記載されている。
【0004】
また、監視対象である所定の物体の検知に基づく警報の実効性を確保しつつ、オペレータの煩わしさを抑制することが可能な作業機械用周辺監視システムを開示する先行技術文献として特許文献2がある。
【0005】
特許文献2には、作業機械の周辺の所定範囲内に存在する所定の物体を検知する物体検知部と、前記物体検知部により前記物体が検知された場合、音による警報を行う警報部と、を備え、前記警報部は、前記物体検知部により前記物体が検知された状態が継続している場合、所定の条件が成立したときに、前記音による警報を停止すると共に、前記音による警報の停止後、光による警報を行う、作業機械用周辺監視システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-145626号公報
【0007】
【文献】特開2018-111981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の建設機械の安全装置と特許文献2に記載の作業機械用周辺監視システムとを油圧ショベルに搭載した場合、シートベルトの未装着と移動体の検知をオペレータに知らせることが可能になると考えられる。
【0009】
ところで、油圧ショベルの操作には、例えば機体をトレーラに搭載したり、狭い駐機場に駐機する等、機体を誘導する作業者等が機体の周辺にいる状況下で行われるものがある。このような状況下では、他の作業者等が移動体として検知されることにより、オペレータは移動体検知を知らせる警報が鳴り続ける状態で操作を行うこととなる。そのため、作業を開始する際にシートベルトを装着されていなかった場合、上述した油圧ショベルでは、移動体検知を知らせる警報とシートベルトの未装着を知らせる警報とが同時に発せられることにより、オペレータがシートベルトの未装着を知らせる警報を正しく認識できず、シートベルトを未装着のまま作業を継続してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、機体の周辺に移動体が存在する状況下で作業を行う場合でも、オペレータがシートベルトの未装着を知らせる警報を確実に認識することができる油圧ショベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上方に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられたフロント作業機と、前記上部旋回体の前方に設けられた運転室と、前記上部旋回体の周囲を監視するカメラと、前記上部旋回体または前記フロント作業機を操作するための操作レバーと、前記操作レバーによる前記上部旋回体または前記フロント作業機の操作を無効にするロック位置と前記操作レバーによる操作を有効にするロック解除位置とに操作されるゲートロックレバーと、前記運転室内に設けられ、警報を出力する報知装置と、前記運転室内に設けられたシートベルトと、前記シートベルトが装着されているか否かを検知するシートベルト検知装置と、前記カメラの映像から移動体が存在することを判定したときに前記報知装置を介して移動体検知警報を出力すると共に、前記シートベルト検知装置によりシートベルトの未装着が検知されたときに前記報知装置を介してシートベルト警報を出力するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記カメラの映像から移動体が有と判定し、前記シートベルト検知装置によって前記シートベルトの未装着が検知されている状態で、前記ゲートロックレバーが、(1)ロック解除位置にある場合には、前記移動体検知警報の出力を行わずに、前記シートベルト警報を前記報知装置により出力し、(2)ロック位置にある場合には、前記シートベルト警報の出力を行わずに、前記移動体検知警報を前記報知装置により出力するものとする。
【0012】
以上のように構成した本発明によれば、移動体が検知され、かつシートベルトの未装着が検知された場合に、報知装置を介して第2の警報(シートベルトの未装着を知らせる警報)が第1の警報(移動体検知を知らせる警報)よりも優先して出力される。これにより、例えば、油圧ショベルをトレーラに搭載したり、狭い駐機場に駐機する等、油圧ショベルの周囲に他の作業者等の移動体が存在する状況下で作業を行う際に、オペレータはシートベルトの未装着を知らせる警報を確実に認識できるため、オペレータがシートベルト25を未装着のまま作業を継続することを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る油圧ショベルによれば、機体の周辺に移動体が存在する状況下で作業を行う場合でも、オペレータがシートベルトの未装着を知らせる警報を確実に認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの外観を概略的に示す側面図である。
図2図1に示す運転室の内部を示す斜視図である。
図3図1に示す油圧ショベルに搭載された警報システムの構成を示す図である。
図4図3に示すコントローラのシートベルト装着判定部の処理を示すフローチャートである。
図5図3に示すコントローラの移動体判定部の処理を示すフローチャートである。
図6図3に示すコントローラのブザー出力部の処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施例における警報システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの外観を概略的に示す側面図である。
【0017】
図1において、油圧ショベル100は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1に対して旋回可能に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2の前側に俯仰動可能に設けられたフロント作業機3とから概略構成されている。
【0018】
フロント作業機3は、垂直方向にそれぞれ回動する複数の被駆動部材(ブーム3a、アーム3b、及びバケット3c)を連結して構成されている。ブーム3aの基端は上部旋回体2の前部に回動可能に支持されている。また、ブーム3aの先端にはアーム3bの一端が回動可能に連結されており、アーム3bの他端(先端)にはバケット3cが回動可能に連結されている。ブーム3a、アーム3b、及びバケット3cは、油圧アクチュエータであるブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、及び、バケットシリンダ3fによってそれぞれ駆動される。
【0019】
下部走行体1は、左右一対のクローラフレーム1c(1d)にそれぞれ掛け回された一対のクローラ1e(1f)と、クローラ1e(1f)を図示しない減速機構等を介してそれぞれ駆動する油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ1a(1b)とから構成されている。なお、図1において、下部走行体1の各構成については、左右一対の構成のうちの一方のみを図示して符号を付し、他方の構成については図中に括弧書きの符号のみを示して図示を省略する。
【0020】
上部旋回体2は、基部となる旋回フレーム2a上に各部材を配置して構成されており、旋回フレーム2aが油圧アクチュエータである旋回油圧モータ(図示せず)により下部走行体1に対して旋回駆動されることにより、上部旋回体2が下部走行体1に対して旋回可能となっている。
【0021】
上部旋回体2の旋回フレーム2a上には、オペレータが搭乗して油圧ショベル100の操作を行うための運転室4が配置されているほか、原動機であるエンジン、エンジンにより駆動される油圧ポンプ及びパイロットポンプ、各油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1a,1b、旋回油圧モータ(図示せず)、ブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3f)を駆動するための油圧回路システム、後述するコントローラ60(図6に示す)などが搭載されている。上部旋回体2の上部の左右および後方には、車体の周囲を監視するカメラ14~16が搭載されている。
【0022】
図2は、運転室4の内部を示す斜視図である。
【0023】
図2において、運転室4内には、オペレータが着座する運転席17と、フロント作業機3の操作および上部旋回体2の旋回操作を行うための操作レバー18,19と、下部走行体1の左右の走行油圧モータ1a,1bを操作するための走行レバー20,21と、走行レバー20,21のそれぞれと互いに連動した操作が可能な左右の走行ペダル20a,21aとが設けられている。運転室4内のオペレータから見やすい位置、かつ、外部視野確保の妨げにならない位置には、油圧ショベル100に関する種々の情報や設定画面等を表示するための表示装置であるモニタ23が配置されている。運転室4内には、音や音声を出力することで種々の警報をオペレータに報知することができるブザー24(報知装置)が配置されている。運転席17の運転室4における乗降口側(本実施の形態では、運転席17からみて左側)には、ロック解除位置(詳細には、オペレータの乗降を妨げる下降位置)とロック位置(詳細には、オペレータの乗降を許容する上昇位置)に操作されるゲートロックレバー22が設けられている。ゲートロックレバー22には、ゲートロックレバー22がロック解除位置(下降位置)にある場合に閉じ状態、ロック位置(上昇位置)にある場合に開き状態となるゲートロックスイッチ22aが設けられている。ゲートロックレバー22がロック位置にあるときは、操作レバー18,19および走行レバー20,21の操作が無効となる。運転席17には、シートベルト25と、シートベルト25を固定するためのバックル26が設けられている。バックル26には、シートベルト25の装着を検知するシートベルトスイッチ26aが設けられている。
【0024】
図3は、油圧ショベル100に搭載された警報システムの構成図である。
【0025】
図3において、警報システム200は、シートベルトスイッチ26aと、ゲートロックスイッチ22aと、カメラ14~16と、コントローラ60と、ブザー24とを備えている。
【0026】
コントローラ60は、シートベルト装着判定部61と、移動体判定部62と、ブザー出力部63とを有する。シートベルト装着判定部61は、シートベルトスイッチ26aからの入力に基づいて、シートベルトが装着されているか否かを判定し、ゲートロックスイッチ22aからの入力に基づいて、ゲートロックレバー22がロック解除位置にあるか否かを判定する。移動体判定部62は、カメラ14~16で撮影した画像に基づいて、移動体の有無を判定する。ブザー出力部63は、シートベルト装着判定部61および移動体判定部62の判定結果に基づいて、ブザー24に指令信号を出力する。
【0027】
図4は、シートベルト装着判定部61の処理を示すフローチャートである。
【0028】
シートベルト装着判定部61は、まず、ステップS101でシートベルト25が装着されている(シートベルトスイッチ26aがON)か否かを判定する。
【0029】
ステップS101でYES(シートベルト25が装着されている)と判定された場合は、ステップS104でシートベルト警報フラグをOFFにし、処理を終了する。
【0030】
ステップS101でNO(シートベルト25が装着されていない)と判定された場合は、ステップS102でゲートロックレバー22がロック解除位置にある(ゲートロックスイッチ22aがOFF)か否かを判定する。
【0031】
ステップS102でYES(ゲートロックレバー22がロック解除位置にある)と判定された場合は、ステップS103でシートベルト警報フラグをONにし、処理を終了する。
【0032】
ステップS102でNO(ゲートロックレバー22がロック位置にある)と判定された場合は、ステップS104でシートベルト警報フラグをOFFにし、処理を終了する。
【0033】
図5は、移動体判定部62の処理を示すフローチャートである。
【0034】
移動体判定部62は、まず、ステップS201で、カメラ14~16から入力された周辺画像における移動体の有無を判定する。
【0035】
ステップS201でYES(移動体有り)と判定された場合は、ステップS202で移動体検知警報フラグをONにし、処理を終了する。
【0036】
ステップS201でNO(移動体無し)と判定された場合は、ステップS203で移動体検知警報フラグをOFFにし、処理を終了する。
【0037】
図6は、ブザー出力部63の処理を示すフローチャートである。
【0038】
ブザー出力部63は、まず、ステップS301で、シートベルト装着判定部61から入力されたシートベルト警報フラグがONか否かを判定する。
【0039】
ステップS301でYES(シートベルト警報フラグがON)と判定された場合は、シートベルト警報(第1の警報)をブザー24を介して出力し、処理を終了する。
【0040】
ステップS301でNO(シートベルト警報フラグがOFF)と判定された場合は、ステップS303で、移動体判定部62から入力された移動体検知警報フラグがONか否かを判定する。
【0041】
ステップS303でYES(移動体検知警報フラグがON)と判定された場合は、移動体検知警報(第2の警報)をブザー24を介して出力し、処理を終了する。
【0042】
ステップS303でNO(移動体検知警報フラグがOFF)と判定された場合は、ブザー24の出力をOFFにし、処理を終了する。
【0043】
本実施例では、下部走行体1と、下部走行体1の上方に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2の前方に設けられた運転室4と、上部旋回体2の周囲を監視するカメラ14~16と、運転室4内に設けられた報知装置24と、カメラ14~16の画像から移動体の有無を検知し、前記移動体が検知された場合に報知装置24を介して警報を出力するコントローラ60と、運転室4内に設けられたシートベルト25と、シートベルト25が装着されているか否かを検知するシートベルト検知装置26aとを備えた油圧ショベル100において、コントローラ60は、前記移動体が検知され、かつシートベルト検知装置26aによってシートベルト25の装着が検知された場合に、報知装置24を介して第1の警報を出力し、前記移動体が検知されず、かつシートベルト検知装置26aによってシートベルト25の未装着が検知された場合に、報知装置24を介して第2の警報を出力し、前記移動体が検知され、かつシートベルト検知装置26aによってシートベルト25の未装着が検知された場合に、報知装置24を介して前記第2の警報を前記第1の警報よりも優先して出力する。
【0044】
以上のように構成した本発明によれば、移動体が検知され、かつシートベルト25の未装着が検知された場合に、報知装置24を介して第2の警報(シートベルト25の未装着を知らせる警報)が第1の警報(移動体検知を知らせる警報)よりも優先して出力される。これにより、例えば、油圧ショベルをトレーラに搭載したり、狭い駐機場に駐機する等、油圧ショベルの周囲に他の作業者等の移動体が存在する状況下で作業を行う際に、オペレータはシートベルト25の未装着を知らせる警報を確実に認識できるため、オペレータがシートベルト25を未装着のまま作業を継続することを防止することが可能となる。
【0045】
また、本実施例では、コントローラ60は、報知装置24を介して第2の警報を出力している間は、報知装置24を介して第1の警報を出力しない。これにより、シートベルト25が未装着の間は、移動体の存在を知らせる警報(第1の警報)が出力されず、シートベルト25の未装着を知らせる警報(第2の警報)しか出力されないため、オペレータがシートベルト25の未装着を知らせる警報を確実に認識することが可能となる。
【0046】
なお、本実施例では、シートベルト25の未装着を知らせる警報(第2の警報)が出力されている間は移動体の存在を知らせる警報(第1の警報)を出力しないこととしたが、第2の警報を第1の警報よりも優先する方法はこれに限られず、第2の警報が出力されている間に第1の警報の音量を下げる等の方法を採用しても良い。
【実施例2】
【0047】
本発明の第2の実施例に係る油圧ショベル100について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
【0048】
図7は、本実施例における警報システムの構成を示す図である。
【0049】
図7において、第1の実施例(図3に示す)との相違点は、単一のブザー24に代えて、シートベルト25の未装着を報知するシートベルト用ブザー27と移動体検知を報知する移動体検知用ブザー28とを備えている点である。
【0050】
本実施例におけるブザー出力部63は、図6に示すステップS302でシートベルト用ブザー27を介してシートベルト警報を出力し、ステップS304で移動体検知用ブザー28を介して移動体検知警報を出力する。
【0051】
本実施例では、第1の報知装置28と、第1の報知装置28とは独立して設けられた第2の報知装置27とを備え、コントローラ60は、第1の報知装置28を介して第1の警報を出力し、第2の報知装置27を介して第2の警報を出力する。
【0052】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル100においても、第1の実施例と同様の効果を達成することができる。
【0053】
また、シートベルト25の未装着を報知するシートベルト用ブザー27と移動体検知を報知する移動体検知用ブザー28とを独立して設けたことにより、移動体検知を報知する第1の警報、およびシートベルト25の未装着を報知する第2の警報の種類(音色、音量、パターン)を柔軟に変更することができるため、各警報の識別性を向上することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例では報知装置をブザーで構成したが、本発明はこれに限られず、モニタやランプ等で構成しても良い。また、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…下部走行体、1a,1b…走行油圧モータ、1c,1d…クローラフレーム、1e,1f…クローラ、2…上部旋回体、2a…旋回フレーム、3…フロント作業機、3a…ブーム、3b…アーム、3c…バケット、3d…ブームシリンダ、3e…アームシリンダ、3f…バケットシリンダ、4…運転室、14~16…カメラ、17…運転席、18,19…操作レバー、20,21…走行レバー、20a,21a…走行ペダル、22…ゲートロックレバー、22a…ゲートロックスイッチ、23…モニタ、24…ブザー(報知装置)、25…シートベルト、26…バックル、26a…シートベルトスイッチ(シートベルト検知装置)、27…シートベルト用ブザー(第2の報知装置)、28…移動体検知用ブザー(第1の報知装置)、60…コントローラ、61…シートベルト装着判定部、62…移動体判定部、63…ブザー出力部、100…油圧ショベル、200…警報システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7