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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】車上装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240424BHJP
   G01P 3/50 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
G01P3/50 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023140888
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】關 淳史
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-170810(JP,A)
【文献】特開昭50-024907(JP,A)
【文献】特開平08-146024(JP,A)
【文献】特開平09-272438(JP,A)
【文献】特開2010-235046(JP,A)
【文献】米国特許第6371417(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2023/227083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
G01P 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する車両に搭載される車上装置であって、
前記レールの磁気によって生じる磁界を検出するための複数の磁気検出部を走行方向に離れた位置に有する検出部と、
前記磁気検出部の検出値の時系列データと、前記磁気検出部それぞれの相対位置関係と、に基づいて走行速度を算出する算出部と、
を備える車上装置。
【請求項2】
前記検出部は、N個(N≧3)の前記磁気検出部を走行方向に離れた位置に有し、
前記N個の磁気検出部の中からM個(N≧M≧2)の磁気検出部を選択する選択部、
を更に備え、
前記算出部は、前記選択部により選択された磁気検出部の検出値の時系列データを用いて、走行速度を算出する、
請求項1に記載の車上装置。
【請求項3】
前記選択部は、現在の走行速度に基づいて、前記磁気検出部を選択する、
請求項2に記載の車上装置。
【請求項4】
前記選択部は、現在の走行速度が第1の速度条件を満たす場合よりも、前記第1の速度条件よりも速い条件である第2の速度条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の前記磁気検出部を選択する、
請求項3に記載の車上装置。
【請求項5】
走行中のレール線形を検出するレール線形検出部、
を更に備え、
前記選択部は、前記レール線形検出部により検出されたレール線形に基づいて、前記磁気検出部を選択する、
請求項2に記載の車上装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記レール線形検出部により検出されたレール線形が所定の曲率条件を満たす曲線であることを示す第1の線形条件を満たす場合よりも、前記第1の線形条件よりも直線に近い又は直線であることを示す第2の線形条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の前記磁気検出部を選択する、
請求項5に記載の車上装置。
【請求項7】
前記磁気検出部は、前記車両の左右方向に離れて配置した磁気センサ素子を有し、
前記磁気検出部を構成する前記磁気センサ素子の検出値の時系列データに基づいて当該磁気検出部の検出値の時系列データを決定するデータ決定部、
を更に備える請求項1~6の何れか一項に記載の車上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道における車上での走行速度の計測手法として、車輪の回転数を計測する方法が主流である。この手法は、簡素な装置で実現できるため利便性が高いが、計測される走行速度には車輪の空転や滑走による誤差が含まれる可能性が高い。このため、安全性の観点から、何らかの方法により絶対位置を検知して定期的に誤差をリセットする必要がある。絶対位置の検知手法としては、軌道に設置した地上子等の地上設備を検出する手法が一般的である。
【0003】
そこで、走行速度を計測する他の手法として、例えば、線路に設けられた基準マークを車上のカメラにより撮影した画像から走行速度を計測する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-209026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の撮影画像を用いる方法は、計測される走行速度に車輪の空転や滑走による誤差が含まれないが、天候の変化といった外乱に対する耐性が十分でないという別の問題点が存在する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、精度の高い車上での走行速度の新たな計測手法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、
レール上を走行する車両に搭載される車上装置であって、
前記レールの磁気によって生じる磁界を検出するための複数の磁気検出部(例えば、図2の磁気センサ素子12)を走行方向に離れた位置に有する検出部(例えば、図8の磁気センサ部10)と、
前記磁気検出部の検出値の時系列データと、前記磁気検出部それぞれの相対位置関係と、に基づいて走行速度を算出する算出部(例えば、図8の算出部202)と、
を備える車上装置である。
【0008】
第1の発明によれば、精度の高い車上での走行速度の新たな計測手法を実現することができる。つまり、車両に搭載される複数の磁気検出部それぞれによる磁気の検出値の時系列データは、時間変化の仕方としては略同一となるが、走行方向に離れた位置に搭載されることから磁気検出部毎に検出タイミングに時間ずれが生じる。このことから、磁気検出部の走行方向の相対位置関係、及び、その検出値の時系列データの時間ずれから、走行速度を計測することができる。また、磁界は外乱に強いため、レールの磁気によって発生する磁界における磁気検出値を用いることで、精度の高い走行速度の計測を実現することができる。このように、地上設備を不要とした構成でありながら精度の高い車上での走行速度の計測を実現することができる。
【0009】
第2の発明は、上述の発明において、
前記検出部は、N個(N≧3)の前記磁気検出部を走行方向に離れた位置に有し、
前記N個の磁気検出部の中からM個(N≧M≧2)の磁気検出部を選択する選択部(例えば、図8の選択部204)、
を更に備え、
前記算出部は、前記選択部により選択された磁気検出部の検出値の時系列データを用いて、走行速度を算出する、
車上装置である。
【0010】
第2の発明によれば、検出部が有するN個の磁気検出部の中からM個の磁気検出部を選択し、選択したM個の磁気検出部の検出値の時系列データを用いて走行速度を算出することで、走行速度の計測精度を向上させることが可能となる。
【0011】
第3の発明は、上述の発明において、
前記選択部は、現在の走行速度に基づいて、前記磁気検出部を選択する、
車上装置である。
【0012】
第3の発明によれば、走行速度の算出に用いる検出値に係る磁気検出部を、現在の走行速度に基づいて選択することで、走行速度の計測速度を向上させることが可能となる。
【0013】
第4の発明は、上述の発明において、
前記選択部は、現在の走行速度が第1の速度条件を満たす場合よりも、前記第1の速度条件よりも速い条件である第2の速度条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の前記磁気検出部を選択する、
車上装置である。
【0014】
走行速度が速い場合には、磁気検出部による磁気検出のサンプリング間隔当たりの位置変化が大きくなることから検出値の分解能が低くなり、磁気検出部それぞれの検出値の時系列データの時間ずれの判定誤差が大きくなってしまう。このため、第4の発明のように、走行速度が速いほど、離れた位置の磁気検出部を選択することで、磁気検出部それぞれの時系列データの時間ずれの判定誤差を小さくでき、その結果、走行速度の計測精度を向上させることができる。
【0015】
第5の発明は、上述の発明において、
走行中のレール線形を検出するレール線形検出部(例えば、図8のレール線形検出部206)、
を更に備え、
前記選択部は、前記レール線形検出部により検出されたレール線形に基づいて、前記磁気検出部を選択する、
車上装置である。
【0016】
第5の発明によれば、走行速度の算出に用いる検出値に係る磁気検出部を、走行中のレール線形に基づいて選択することで、走行速度の計測精度を向上させることが可能となる。
【0017】
第6の発明は、上述の発明において、
前記選択部は、前記レール線形検出部により検出されたレール線形が所定の曲率条件を満たす曲線であることを示す第1の線形条件を満たす場合よりも、前記第1の線形条件よりも直線に近い又は直線であることを示す第2の線形条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の前記磁気検出部を選択する、
車上装置である。
【0018】
車両がレールの曲線部分を走行する場合、走行方向に離れた位置のM個の磁気検出部それぞれの通過位置(軌跡)が異なるため、それらの検出値の時系列データの変化の仕方に差異が生じる。このため、第6の発明のように、レール線形の曲率が大きい曲線の場合にはより近い位置の磁気検出部を選択することで、検出値の時系列データの変化の仕方の差異を小さくでき、それらの時間ずれの判定誤差を小さくできる。その結果、走行速度の算出精度を向上させることができる。
【0019】
第7の発明は、上述の発明において、
前記磁気検出部は、前記車両の左右方向に離れて配置した磁気センサ素子を有し、
前記磁気検出部を構成する前記磁気センサ素子の検出値の時系列データに基づいて当該磁気検出部の検出値の時系列データを決定するデータ決定部、
を更に備える車上装置である。
【0020】
第7の発明によれば、磁気検出部を構成する左右方向に離れて配置した磁気センサ素子の検出値の時系列データに基づいて、当該磁気検出部としての検出値の時系列データを決定することができる。例えば、走行中の車両の左右方向の揺動等による磁気センサ素子の間の検出値の時系列データの時間変化の仕方の僅かな差異を平均化するなどして抑制し、磁気センサ部としての検出値の時系列データの精度を向上させることができる。その結果、走行速度の算出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車上装置の適用例。
図2】磁気センサ部の構成例。
図3】磁気センサ素子による検出値の時系列データの一例。
図4】磁気センサ素子の検出値の時系列データのずれ量の算出の説明。
図5】磁気センサ素子の検出値の時系列データのずれ量の算出の説明。
図6】2個の磁気センサ素子の組み合わせの選択例。
図7】2個の磁気センサ素子の組み合わせの選択例。
図8】車上制御装置の機能構成図。
図9】速度計測処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0023】
図1は、本実施形態の車上装置の適用例を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の車上装置1は、レール5を走行する鉄道車両3に搭載され、磁気センサ部10と、車上制御装置30とを備える。
【0024】
磁気センサ部10は、レール5の磁気によって生じる磁界を検出するための検出部であり、レール5の磁気によって生じる磁界中の磁気を検出可能なように、レール5に対向して鉄道車両3の底部や台車に設けられている。
【0025】
図2は、磁気センサ部10の構成の一例を示す図である。図2では、磁気センサ部10を上方から見た概略平面図を示している。図2に示すように、磁気センサ部10は、レール5に対向する平面状に配置された複数の磁気センサ素子12を有する。図2の例では、鉄道車両3の左右方向に4列、走行方向(前後方向)に4列(=N(≧3)個)の合計16個の磁気センサ素子12を平面状に配置して有する磁気センサ部10を示している。隣り合う磁気センサ素子12の間隔は、互いの磁気センサ素子12が重ならない位置であって、左右方向及び走行方向ともに磁気センサ素子12の中心の間隔が150mm以内であると好適である。
【0026】
磁気センサ素子12は、レール5の磁気によってレール5の周囲に生じる磁界中の磁気を検出するための磁気検出部であり、磁気を検出して当該磁気の大きさや向きに応じた電流又は電圧を検出値として出力する素子である。磁気センサ素子12は、例えば、ホール素子、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)、フラックス・ゲートセンサなどである。磁気センサ素子12の検出値は、車上制御装置30へ出力される。
【0027】
車上制御装置30は、各磁気センサ素子12の検出値の時系列データと、磁気センサ素子12それぞれの相対位置関係とに基づいて、鉄道車両3の走行速度を算出する。具体的には、車上制御装置30は、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12のうちから、鉄道車両3の走行方向に沿って並んだ2個(=M(N≧M≧2)個)の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択し、この2個の磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データと、走行方向に沿った配置間隔とに基づいて、走行速度を算出する。
【0028】
図3は、磁気センサ素子12の検出値の時系列データの一例を示す図である。図3では、横軸を時間、縦軸を磁気センサ素子12の検出値である磁束密度として、同じ時間範囲における2つの磁気センサ素子12それぞれの検出値である磁束密度の時系列データを連続する波形として示している。横軸の時間は、走行中の時間であるため、走行位置ということができる。レール5は強磁性体であり、製造時や運搬時などに磁化されているが、磁化の形態は一様ではない。そのため、敷設されたレール5の各所における磁気は一定ではない。したがって、レール5を走行する鉄道車両3における磁気センサ素子12の検出値の時系列データは、時間(より正確には走行位置)に応じて磁束密度が変化する波形となる。
【0029】
ここで、2つの磁気センサ素子12は、鉄道車両3の走行方向に沿って配置されていることから、その検出値の時系列データである磁束密度の波形は、略同一の波形となる。そして、その2つの波形の時間方向の差分(時間ずれ)Δtと、鉄道車両3の走行方向に沿った2つの磁気センサ素子12の配置間隔dとから、鉄道車両3の走行速度vを、次式(1)のように算出することができる。
v=d/Δt ・・・(1)
【0030】
磁束密度の波形の時間ずれΔtは、どのように求めてもよいが、本実施形態では、2つの波形の相関係数から求める。すなわち、図4に示すように、2つの波形のうちの一方の波形を時間方向へずらし量を変化させながら、当該一方の波形と他方の波形との相関係数を求め、相関係数が最大(ピーク)となるずらし量を、2つの波形の時間ずれΔtとして求める。
【0031】
時間ずれΔtをより精度良く求めるために、離散値であるずらし量と相関係数との関係に対する回帰演算を行って得られた回帰曲線において相関係数が最大となるずらし量を時間ずれΔtとして求めることとしてもよい。例えば、図5に一例を示すように、相関係数が最大となるずらし量及びその前後の所定数のずらし量を選び、これらのずらし量と相関係数との関係(図5において小さい黒丸で示す位置に相当)に対して、最小二乗法等による二次関数の回帰演算を行い、得られた二次関数において相関係数が最大となるずらし量(図5において大きい黒丸で示す位置に相当)を求めることができる。
【0032】
鉄道車両3の走行速度の算出に用いる2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)は、当該鉄道車両3の走行速度、及び、走行中のレール線形に応じて選択する。
【0033】
車上制御装置30は、鉄道車両3の走行速度の算出を所定時間間隔で繰り返し行う。このため、現在(最新)の走行速度である前回算出した走行速度に応じた配置間隔の2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。具体的には、現在の走行速度が第1の速度条件を満たす場合よりも、第1の速度条件よりも速い条件である第2の速度条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の磁気センサ素子12を選択するようにしてセンサ組を選択する。つまり、走行速度が高速度である場合には、低速度である場合に比較して、より離れた位置の組み合わせとなる磁気センサ素子12を選択する。
【0034】
図6図7は、走行速度に基づく2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)の選択の一例を示す図である。図6は、第2の速度条件を満たす場合であり、図7は、第1の速度条件を満たす場合である。走行速度が閾値速度(例えば、時速20km)以上であることを第2の速度条件とし、閾値速度未満であることを第1の速度条件としている。
【0035】
図6に示すように、走行速度が第2の速度条件を満たす場合、つまり高速度である場合には、走行方向に沿って最も離れた磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。図6の例では、磁気センサ部10は、鉄道車両3の前後方向に4列の磁気センサ素子12を配置して有するので、1列目(最前列)の磁気センサ素子12と4列目(最後列)の磁気センサ素子12との組み合わせの4組((A,M)、(B,N)、(C,O)、(D,P))が選択される。
【0036】
また、図7に示すように、走行速度が第1の速度条件を満たす場合、つまり低速度である場合には、走行方向に沿って隣り合う2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。図7の例では、1列目(最前列)の磁気センサ素子12と2列目の磁気センサ素子12との組み合わせである4組((A,E)、(B,F)、(C,G),(D,H))と、2列目の磁気センサ素子12と3列目の磁気センサ素子12との組み合わせである4組(E,I)、(F,J)、(G,K)、(H.L))と、3列目の磁気センサ素子12と4列目(最後列)の磁気センサ素子12との組み合わせ4組((I,M)、(J,N)、(K,O)、(L,P))との合計12組が選択される。
【0037】
このように、現在の走行速度が速い場合には、遅い場合に比較して、走行方向に沿ってより離れた2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。これは、磁気センサ素子12による検出値は、所定のサンプリング間隔でサンプリングされる離散値であることによる。つまり、走行速度が速い場合には、サンプリング間隔当たりの位置変化(すなわちサンプリング間隔当たりの走行距離)が大きくなることから磁気センサ素子12による検出値の分解能が低くなる。その結果、2個の磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データである磁束密度の波形の時間差である時間ずれΔt(図3参照)の判定誤差が大きくなり、この時間ずれΔtから算出する走行速度v(=d/Δt)の誤差が大きくなってしまうからである。
【0038】
また、車上制御装置30は、走行中のレール線形に応じて2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。具体的には、走行中のレール線形が所定の曲率条件を満たす曲線であることを示す第1の線形条件を満たす場合よりも、第1の線形条件よりも直線に近い又は直線であることを示す第2の線形条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の磁気センサ素子12を選択する。つまり、レール線形の曲率が大きい曲線である場合には、曲率が小さい曲線や直線である場合に比較して、より近い位置の磁気センサ素子12を選択する。
【0039】
例えば、レール線形として走行位置の曲率が閾値曲率以上であることを第1の線形条件とし、閾値曲率未満であることを第2の線形条件とする。そして、走行位置の曲率が第1の線形条件を満たす場合、つまり走行中のレール線形が急カーブの曲線である場合には、図7に示したように、走行方向に沿って隣り合う2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。また、走行位置の曲率が第2の線形条件を満たす場合、つまり走行中のレール線形が緩いカーブや直線である場合には、上述の走行速度に係る条件を優先させて、走行速度が第1の速度条件及び第2の速度条件の何れを満たすかに応じて磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。
【0040】
これは、走行中のレール線形が曲線である場合、ある2個の磁気センサ素子12それぞれの実空間中で通過する位置(軌跡)が異なり得るためである。より詳細には、曲線走行時は台車の旋回(ボギー角の発生)を伴って車体が移動してゆくため、磁気センサ素子12の設置位置に応じた空間中の通過軌跡となるためである。そのため、当該2個の磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データである磁束密度の波形の形状が異なり得る結果、その波形の時間ずれΔt(図3参照)の誤差が大きくなり、この時間ずれΔtから算出する走行速度v(=d/Δt)の誤差が大きくなってしまうからである。このため、走行中のレール線形が、曲率が一定程度以上の曲線である場合には、速度密度の波形の形状の異なりを小さくするように、走行方向に沿ってより近い(隣り合った)2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。
【0041】
このように、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12の中から、鉄道車両3の走行速度の算出に用いる2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。そして、選択した組み合わせ(センサ組)それぞれについて、2個の磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データである磁束密度の波形の時間ずれΔtと、鉄道車両3の走行方向に沿った当該2つの磁気センサ素子12の配置間隔dとから、鉄道車両3の走行速度vを、上式(1)に従って算出する(図3参照)。そして、2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)ごとに算出した走行速度に対する所定の統計演算(例えば、平均値の算出)を行って、走行速度を最終決定する。
【0042】
なお、走行速度の算出に際して、本実施形態では、磁気センサ素子12の組み合わせとして複数の組み合わせを選択するが、その選択した組み合わせにおける鉄道車両3の走行方向に沿った2つの磁気センサ素子12の配置間隔dは、何れの組み合わせでも同じである。そこで、選択した2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)それぞれについて磁束密度の波形の時間ずれΔtを求め、これらの時間ずれΔtに対する所定の統計演算(例えば、平均値の算出や中央値の算出)を行って得られた時間ずれΔtを、磁気センサ部10として決定する最終的な時間ずれΔtとし、この時間ずれΔtを用いて走行速度を算出するようにしてもよい。
【0043】
また、磁気センサ部10において左右方向に配置した各列の磁気センサ素子12(図2の例では、4個)を1つのグループとし、これらのグループ(図2の例では、4つ)の中から選択した2つのグループそれぞれの検出値の時系列データに基づいて、走行速度を算出するようにしてもよい。この場合、1つのグループの検出値の時系列データは、当該グループを構成する磁気センサ素子12の時系列データに基づいて(例えば、平均値とする)決定する。例えば、図2において、A,E,I,Mの磁気センサ素子12のグループを第1グループとし、D,H,L,Pの磁気センサ素子12のグループを第2グループととして選択する。そして、A,E,I,Mの磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データから、第1グループとしての時系列データを決定する。同じく、D,H,L,Pの磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データから、第2グループとしての時系列データを決定する。次いで、第1グループの時系列データと第2グループの時系列データとから、時間ずれΔtを決定し、この時間ずれΔtを用いて走行速度を算出する。
【0044】
[機能構成]
図8は、車上制御装置30の機能構成を示すブロック図である。図8によれば、車上制御装置30は、操作部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータとして構成することができる。
【0045】
操作部102は、例えばボタンスイッチやタッチパネル、キーボード等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に応じた各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等の音出力装置で実現され、処理部200からの音信号に応じた各種音出力を行う。通信部108は、例えば有線或いは無線による通信装置で実現され、所与の通信ネットワークを介して外部装置との通信を行う。
【0046】
処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、車上制御装置30を構成する各部への指示やデータ転送を行い、車上制御装置30の全体制御を行う。また、処理部200は、記憶部300に記憶された速度計測プログラム302を実行することで、算出部202、選択部204、レール線形検出部206の各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。
【0047】
算出部202は、磁気検出部である磁気センサ素子12の検出値の時系列データと、磁気センサ素子12それぞれの相対位置関係とに基づいて走行速度を算出する。また、選択部204により選択された磁気センサ素子12の検出値の時系列データを用いて、走行速度を算出する。
【0048】
具体的には、走行速度の算出を、所定の時間間隔で繰り返し行う。1回の走行速度の算出では、選択部204により選択された2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)それぞれについて、2個の磁気センサ素子12それぞれの検出値の時系列データである磁束密度の波形の時間方向の差分である時間ずれΔtと、鉄道車両3の走行方向に沿った当該2つの磁気センサ素子12の配置間隔dとから、鉄道車両3の走行速度vを、上式(1)に従って算出する。そして、2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)ごとに算出した走行速度に対する所定の統計演算(例えば、平均値の算出)を行って、走行速度を最終決定する。
【0049】
磁気センサ素子12の検出値の時系列データは、検出データ320から抽出することができる。検出データ320は、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12それぞれについて、検出値である磁束密度の値を検出時刻と対応付けて蓄積記憶したデータである。また、磁気センサ素子12の配置間隔dは、磁気センサ部配置データ310から取得することができる。磁気センサ部配置データ310は、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12の配置(前後左右の相対位置関係や配置間隔など)を定めたデータである。また、算出部202が算出した走行速度は、算出時刻と対応付けて、速度データ322として蓄積記憶される。
【0050】
選択部204は、検出部である磁気センサ部10が走行方向に離れた位置に有するN個(N≧2)の磁気センサ素子12の中からM個(N≧M≧2)の磁気センサ素子12を選択する。また、選択部204は、現在の走行速度に基づいて、磁気センサ素子12を選択する。例えば、現在の走行速度が第1の速度条件を満たす場合よりも、第1の速度条件よりも速い条件である第2の速度条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の磁気センサ素子12を選択する。また、選択部204は、レール線形検出部206により検出されたレール線形に基づいて、磁気センサ素子12を選択する。例えば、レール線形検出部206により検出されたレール線形が所定の曲率条件を満たす曲線であることを示す第1の線形条件を満たす場合よりも、第1の線形条件よりも直線に近い又は直線であることを示す第2の線形条件を満たす場合のほうが、より離れた位置の磁気センサ素子12を選択する。
【0051】
具体的には、走行速度が閾値速度以上であることを第2の速度条件とし、閾値速度未満であることを第1の速度条件とする。そして、走行速度が第2の速度条件を満たす場合、つまり高速度である場合には、走行方向に沿って最も離れた磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。また、走行速度が第1の速度条件を満たす場合、つまり低速度である場合には、走行方向に沿って隣り合う2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。算出部202は走行速度の算出を所定時間間隔で繰り返し行い、算出部202が最後に算出した最新の走行速度(より具体的には前回算出した走行速度となる)を現在の走行速度とする。また、第1の速度条件及び第2の速度条件となる閾値速度は、速度条件データ312として定められている。
【0052】
また、レール線形として走行位置の曲率が閾値曲率以上であることを第1の線形条件とし、閾値曲率未満であることを第2の線形条件とする。そして、走行位置の曲率が第1の線形条件を満たす場合、つまり走行中のレール線形が比較的急カーブの曲線である場合には、走行方向に沿って隣り合う2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。また、走行位置の曲率が第2の線形条件を満たす場合、つまり走行中のレール線形が比較的緩いカーブの曲線又は直線である場合には、上述の走行速度に係る条件を優先させて、走行速度が第1の速度条件及び第2の速度条件の何れを満たすかに応じて磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。第1の線形条件及び第2の線形条件となる閾値曲率は、線形条件データ314として定められている。
【0053】
レール線形検出部206は、走行中のレール線形を検出する。具体的には、レール線形としてレールの曲率を検出する。レールの曲率は、例えば、位置(キロ程で表現されるレール上の位置)と曲率とを対応付けたデータベースを用意・記憶しておき、現在の走行位置に対応する曲率を取得することとしてもよい。または、曲率を計測するための地磁気センサを別途搭載し、この地磁気センサの検出値から求められる走行方向に沿った単位時間当たりの方位の変化量から、レールの曲率を推測的に算出することとしてもよい。或いは、磁気センサ素子12を用いて、地磁気の方位の変化量から、レールの曲率を推測的に算出することとしてもよい。
【0054】
図8に戻り、記憶部300は、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置で実現され、処理部200が車上制御装置30を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作部102や通信部108を介した入力データ等が一時的に格納される。
【0055】
本実施形態では、記憶部300には、速度計測プログラム302と、磁気センサ部配置データ310と、速度条件データ312と、線形条件データ314と、検出データ320と、速度データ322とが記憶される。
【0056】
[処理の流れ]
図9は、車上制御装置30が行う走行速度算出処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が速度計測プログラム302を実行することで実現される処理であり、例えば、始発駅からの出発に先立って開始される。
【0057】
先ず、選択部204が、走行速度の算出用いる2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する。すなわち、現在の走行速度が高速度であるか否か、つまり第2の速度条件を満たすか否かを判定する。現在の走行速度が高速度である(第2の速度条件を満たす)ならば(ステップS1:YES)、続いて、レール線形検出部206が、走行中のレール線形を検出する(ステップS3)。次いで、選択部204は、検出されたレール線形が直線或いは比較的緩いカーブであるか否か、つまり第2の曲率条件を満たすか否かを判定する。
【0058】
レール線形が直線或いは比較的緩いカーブである(第2の曲率条件を満たす)ならば(ステップS5:YES)、選択部204は、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12の中から、走行方向に沿って離れた位置の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する(ステップS7)。一方、レール線形が直線でも比較的緩いカーブでもない(第2の曲率条件を満たさない。比較的急カーブの曲線である)(ステップS5:NO)、或いは、現在の走行速度が高速度でない(第2の速度条件を満たさない。低速度である)ならば(ステップS1:NO)、選択部204は、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12の中から、走行方向に沿って隣接する磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する(ステップS9)。
【0059】
続いて、算出部202が、選択された磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を用いて、走行速度を算出する(ステップS11)。そして、算出した走行速度を算出時刻と対応付けて、速度データ322に追加することで更新する(ステップS13)。
【0060】
その後、終着駅への到着といった終了条件を満たしたことにより本処理を終了するかを判断し、終了しないならば(ステップS15:NO)、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。終了するならば(ステップS15:YES)、本処理は終了となる。
【0061】
[作用効果]
本実施形態によれば、精度の高い車上での走行速度の新たな計測手法を実現することができる。つまり、鉄道車両3に搭載される磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12それぞれによる磁気の検出値の時系列データは、時間変化の仕方としては略同一となるが、走行方向に離れた位置に搭載されることから、磁気センサ素子12毎に検出タイミングに時間ずれが生じる。このことから、磁気センサ素子12の走行方向の相対位置関係、及び、その検出値の時系列データの時間ずれから、走行速度を計測することができる。また、磁界は外乱に強いため、レール5の磁気によって発生する磁界における磁気検出値を用いることで、精度の高い走行速度の計測を実現することができる。このように、地上設備を不要とした構成でありながら精度の高い車上での走行速度の計測を実現することができる。
【0062】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0063】
(A)磁気センサ部の構成
上述の実施形態では、検出部である磁気センサ部10は、鉄道車両3の左右方向に4列、走行方向(前後方向)に4列(=N(≧3)個)の合計16個の磁気センサ素子12を平面状に配置して有するとしたが(図2参照)、磁気センサ部10が有する磁気センサ素子12の配置や数はこれに限られない。鉄道車両3の左右方向に2列、走行方向(前後方向)に2列の合計4個の磁気センサ素子12を平面状に配置して構成してもよい。設置スペースの制約やコスト的な制約等から、配置する磁気センサ素子12の数を少なくし、最低2つの磁気センサ素子12から磁気センサ部10を構成してもよい。この場合、少なくとも走行方向(前後方向)に離して磁気センサ素子12を配置する構成とする。
【0064】
(B)2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)の選択
上述の実施形態では、鉄道車両3の走行速度の算出に用いる2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)は、当該鉄道車両3の走行速度、及び、走行中のレール線形の両方に応じて選択するとしたが、一方のみに応じて選択するとしてもよい。
【0065】
例えば、走行中のレール線形のみに応じて選択する場合には次のように選択することができる。すなわち、走行位置の曲率が第1の線形条件を満たす、つまり走行中のレール線形が比較的急カーブの曲線であるならば、走行方向に沿って隣り合う2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する(図7参照)。一方、走行位置の曲率が第2の線形条件を満たす、つまり走行中のレール線形が直線或いは比較的緩いカーブの曲線であるならば、走行方向により遠く離れた2個の磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)を選択する(図6参照)。
【0066】
(C)速度条件及び線形条件
また、上述の実施形態では、速度条件として閾値速度を境界とする第1の速度条件及び第2の速度条件とし、線形条件として閾値曲率を境界とする第1の曲率条件及び第2の曲率条件とするといったように2段階の条件としたが、3段階以上の条件としてもよい。
【0067】
例えば、速度条件として、低速度に相当する第1の速度条件、高速度に相当する第2の速度条件に加えて、中速度に相当する第3の速度条件を含む3段階の条件とする。そして、第3の速度条件を満たす場合には、中程度に離れた磁気センサ素子12の組み合わせ(センサ組)である、1列目(最前列)の磁気センサ素子12と3列目の磁気センサ素子12との組み合わせ(センサ組)と、2列目の磁気センサ素子12と4列目(最後列)の磁気センサ素子12との組み合わせ(センサ組)とを選択する(図6図7参照)。また、曲率条件についても同様に、直線に相当する第1の曲率条件、急カーブの曲線に相当する第2の曲率条件に加えて、直線と急カーブとの間の緩いカーブの曲線に相当する第3の曲率条件を含む3段階の条件とすることができる。
【0068】
(D)磁気の検出
レール5が磁化されていない或いは磁化されているが磁化の程度が弱い箇所では、左右のレール5の間などの軌道上に磁気マーカ(永久磁石)を設置するようにしてもよい。さらに、磁気マーカの設置位置が既知である場合、磁気マーカの検出によって車上での位置補正にも利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…車上装置
10…磁気センサ部
12…磁気センサ素子
30…車上制御装置
200…処理部
202…算出部
204…選択部
206…レール線形検出部
300…記憶部
302…速度計測プログラム
310…磁気センサ部配置データ
312…速度条件データ
314…線形条件データ
320…検出データ
322…速度データ
3…鉄道車両
5…レール
【要約】
【課題】精度の高い車上での走行速度の新たな計測手法の提案。
【解決手段】車上装置1は。レール5の磁気によって生じる磁界を検出するための複数の磁気センサ素子12を走行方向に離れた位置に有する磁気センサ部10と、磁気センサ素子12の検出値の時系列データと、磁気センサ素子12それぞれの相対位置関係とに基づいて走行速度を算出する算出部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9