(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】車両用テラス収納装置
(51)【国際特許分類】
B60P 3/34 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
(21)【出願番号】P 2023141970
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599053713
【氏名又は名称】株式会社ホワイトハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 文夫
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-056661(JP,U)
【文献】実公昭58-039941(JP,Y2)
【文献】特表2019-506325(JP,A)
【文献】米国特許第07628439(US,B1)
【文献】米国特許第04347638(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室の外でテラスを組み立てるためのパーツを収納する車両用テラス収納装置(5)であって、
車体(6)に対し往復移動可能なスライド式の上プレート(10)と、
前記上プレートの下面側で前記上プレートに脱着自在かつ係止可能な下プレート(20)と、
前記上プレートの下面に設けられ、前記上プレートに対し前記下プレートを車両前後方向に平行移動可能に案内する係止具(51、52、55、56)と、
前記車体に固定され、
車両の床面(40)下の空間に、前記上プレート及び前記下プレートを収容可能な第1収納室(12)を有する収納庫(13)とを備えた車両用テラス収納装置。
【請求項2】
前記上プレートは、前記第1収納室内で前記下プレートの車両前方向の位置を規制する係止具(53、54)を備える請求項1記載の車両用テラス収納装置。
【請求項3】
前記収納庫から前記上プレートを引き出したとき、前記上プレートの上面と上記床面とにより連続する面を形成可能なカバー(61)を備える請求項1又は2記載の車両用テラス収納装置。
【請求項4】
前記収納庫は、前記上プレートを往復移動方向に支持可能な支持レール(15、16)を備える請求項1記載の車両用テラス収納装置。
【請求項5】
前記収納庫の開口(14)に対し前記上プレート及び前記下プレートを係止可能なロック機構(17、18、47、48)を備える請求項1又は
4記載の車両用テラス収納装置。
【請求項6】
前記上プレートと前記下プレートは、相互の縁を連結可能な連結部(103、203)を有する請求項1又は
4記載の車両用テラス収納装置。
【請求項7】
前記上プレートを前記収納庫の開口から引き出したとき前記上プレートの片持支持端側(108)と反対側の自由端側(109)を支持可能な脚(23、24、25、26)を収納可能な第2収納室(64)を備える請求項1又は
4記載の車両用テラス収納装置。
【請求項8】
テラスを構成する前記上プレート又は前記下プレートの上面と地面とを上り下り可能に連絡する折り畳み式階段(36)を収納可能な収納室を有する収納庫を備えた請求項
7記載の車両用テラス収納装置。
【請求項9】
前記上プレートの上面又は前記下プレートの上面に立て付け可能な安全柱(30、31、32、33、34)を収納可能な前記第2収納室を備えた請求項1又は
4記載の車両用テラス収納装置。
【請求項10】
隣り合う前記安全柱を結ぶロープ(35)を収納可能な収納室を有する収納庫を備えた請求項
9記載の車両用テラス収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用テラス収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用自動車の後部座席の後方に荷物室などの車室内空間を備えたキャンピングカーが知られている。このような車両の荷物室からテールゲートを開状態にして後方ステップから外部へ荷下ろしするとき使用する傾斜台や組立式階段器具が知られている。
また、特許文献1は、キャンピングカーにおいて乗用自動車のボディ本体を二分割してスライド機能を付加することによって車内空間の拡張が図れるセパレート型キャンピングカーを開示している。
【0003】
特許文献1に示すセパレートキャンピングカーは、ボディ本体と、後方スライドキャビンと、幌シートと、幌シート補強フレームと、から成り、前記ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには前方のスライド移動手段を備えて成り、前記後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取手と、スライド走行補助輪を備えて成り、前記ボディ本体と、前記後方スライドキャビンと、を前記前方及び後方のスライド移動手段によってスライド可能に連結して成り、前記幌シート補強フレームは、所定の長さを有して両端が鍵状に加工されたアングル鋼を前記ボディ本体側の後方開口部と後方スライドキャビン側の前方開口部に開けられた落とし込み穴に落と込まれる着脱自在の形状に形成されることで、走行時は取り外して車内に束ねて格納することができると共に、キャンプ時は少なくても三か所以上設けることにより前記ボディ本体と前記後方スライドキャビンとの間隔を固定した状態を維持し、さらに両端に幌留め穴を設けた一枚の矩形の幌シートをトンネル状に架設して成る手段を採る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、車内空間を拡張するための幌シートを備え、トンネル状に屋根と両側壁を設けてトンネル状に車室内空間を拡張させている。トンネル状に形成される空間は、外気に直接触れないし、閉鎖空間を形成する構成を採用している。
【0006】
この特許文献1によるものは、車両のボディそのものに加工をして製造される。車両のボディ自体を二分割スライド可能なボディ構成であるから、製造時に車両のボディに煩雑な加工を加える改造が必要となる。
【0007】
また、車両の標準ボディを分割してスライド型キャビンを構成するため、固定手段、後方スライドキャビン引き出し取っ手、スライド走行補助輪、幌シート、幌シート補強フレーム、フラット床パネル等の多数の大型部材が必要となる。大型部材は、車両の標準ボディを改造するか、又は標準ボディから分離する大型パーツであるから、キャンプ時に引出作業や組立作業が煩雑になる。
【0008】
本発明は、車両のボディをそのまま利用するものであること、車両の移動した先において、車室の外でテラスを組立ることができること、車両にテラスを構成するためのパーツを収容可能、車両からパーツを取り出して車両に隣接するテラスを形成できること、軽作業でテラスを組立可能であること、車両に隣接して形成したテラスは開放空間における快適な生活を送れること、を実現する点において、特許文献1の課題と相違する。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動中は車両内に収納し、移動先において車両に隣接する位置に天井不要のテラスを組立て可能な車両用テラス収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用テラス収納装置は、
車両の車室の外でテラスを組み立てるためのパーツを収納する車両用テラス収納装置(
5)であって、
車体(6)に対し往復移動可能なスライド式の上プレート(10)と、
前記上プレートの下面側で前記上プレートに脱着自在かつ係止可能な下プレート(20
)と、
前記上プレートの下面に設けられ、前記上プレートに対し前記下プレートを車両前後方向に平行移動可能に案内する係止具(51、52、55、56)と、
前記車体に固定され、車両の床面下の空間に、前記上プレート及び前記下プレートを収容可能な第1収納室(12)を有する収納庫(13)とを備えた構成を採用する。
【0011】
したがって、本発明の車両用テラス収納装置によると、野外の任意の場所に車両を停止し、車体に隣接する場所に組立式のテラスを形成することができる。ここに、テラスとは、車両を含む建物の外部にあって地面より一段高く、床が人工物でできた構造物、又はその構造物を構成するパーツをいう。
【0012】
本発明の車両用テラス収納装置によると、組立時には、車幅方向に延びる上プレートの後端を引き出し、引き出し後に上プレートの前端を車両の収納庫に片持支持し、この片持支持を利用して比較的軽作業に上プレート及び下プレートを引き出すことができる。
【0013】
本発明の車両用テラス収納装置によると、組立時には、車室内の床面から車両外後方向に延長する車外の床面を拡張でき、この車外の床面を有するテラスを脚の組付けで簡便に組立て構成することができる。また空中に浮かせる床部材の高さ維持を簡便な手作業で実現することができる。
【0014】
本発明の車両用テラス収納装置によると、組立後の収納操作時には簡便な操作でテラス構成のすべてのパーツを車内に収納することができる。テラス使用後に車両にパーツを収納するときには簡便な軽作業で収納することができる。
収納時、テラスを構成するパーツ例えばテラスの床部材に相当する複数のプレートを段状に小空間に収納することができる。
【0015】
本発明の車両用テラス収納装置によると、運搬時には、車両の車室を効果的に利用し、車両の車室をパーツの保管庫にすることができる。収納、保管(運搬)、組立の各モードにおいて、車両内及び車両外で、運転者及び同乗者は快適な生活と時間を過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態による車両の概略側面図。
【
図2】本発明の第一実施形態による車両のテールゲート開状態の概略側面図。
【
図5】
図2の状態から上プレート及び下プレートを引き出した図。
【
図7】
図6の矢視VII方向から見たリビング室及びテラスの概略拡大平面図。
【
図8】
図7の状態から下プレートを組み付けた、
図9のVIII―VIII線断面後方図。
【
図11】
図2に示す収納庫のプレート収納状態を示すIII方向矢視拡大正面図。
【
図12】本発明の第一実施形態による上プレートを示す概略正面図。
【
図15】本発明の第一実施形態の使用状態を示す概略斜視図。
【
図16】本発明の第二実施形態を示す、
図8に対応する図。
【
図17】本発明の第三実施形態を示す、
図8に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態による車両用テラス収納装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0018】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について
図1から
図15に基づいて説明する。
【0019】
車両1の後部の内部に形成される車室3は、後部座席の後方に位置しており、天井を有するリビングルームを形成する。車室3に相当するリビングルームには、車両の両側で床面40の上にカウンタテーブル41がコ字状に形成されている。
車両のボディを構成する後部の後ドア44、45は、車両に備わる後ドアを改造することなしに、そのまま使用している。
【0020】
車体6の車室内の床面40の下側に収納庫13が固定されている。収納庫13は、車体6の後方基台に上に、上面8と下面9とで挟まれる第1収納室12を有し、第1収納室12は車両前後方向と車両幅方向に延びている。第1収納室12は所定の高さhを有する。 収納庫13は、車両の後部車室の床面下の空間に大型部材を収納可能な第1収納室を有する。
【0021】
収納庫13は、第1収納室12を仕切るように、両側に右案内壁28、左案内壁29が形成され、後端は開口14が形成され、開口14から前方向(奥行方向)に第1収納室12が延び前端に前案内壁19が形成される。
【0022】
収納庫13の内部に車両前後方向に支持レール15、16が延びて固定されている。支持レール15、16の上面151、161に上プレート10の両縁が車両の前後方向に摺動可能に収納される。
【0023】
上プレート10は、
図8に示すように、平板状のプレート本体101と縁を固定する枠体102とを有する。上プレート10の枠体102は、後述する下プレート20の枠体202の連結部203と結合可能な連結部103を有する。
【0024】
プレート本体101の下面には、
図12及び
図13に示すように、断面形状がL字状の係止具51、52、53、54、55、56が取り付けられている。収納時、上プレート10の係止具51、52、55、56上に車両前後方向に下プレートを摺動可能に載置可能になっており、上プレート10の下段側の第1収納室12内で前案内壁19側の係止具53、54が下プレート20の車両前方向の位置を規制するストッパの役割を果たす。
上プレート10は、開口14から引き出したとき上プレートの前端108が車体6に片持支持される片持支持端側となり、反対側の後端109が自由端側となる。
【0025】
下プレート20は、平板状のプレート本体201と縁を固定する枠体202とを有する。枠体202は、上プレート10の車幅左縁の枠体102の連結部103と連結可能な連結部203を有する。これにより、車両の後端に片持支持される上プレート10が後方向に延び、上プレート10から車幅左方向に下プレート20が延び、結果として、一端面が空中に浮く車体6に片持支持され、他端面が、後述する脚25、26によって支持され、車両の後端からL状に拡張するテラス床面を形成する。したがって、車両に隣接するテラスは、リビングから車両後方向に延びる位置に上プレート10の床面が形成され、さらに上プレート10の床面から車幅左方向に延びる位置に下プレート20の床面が形成される。このテラスを構成するパーツは、車両内に収納することができる。
【0026】
収納庫13の開口14には、
図11に示すように、上プレート10を係止するロック機構17、18と、下プレート20を係止するロック機構47、48とが設けられる。これにより、収納時の上プレート及び下プレート20を第1収納室12内に係止する。ロック機構17、18、47、48は、第1収納室12から上プレート10及び下プレート20を取り出すとき解除される。
【0027】
カウンタテーブル41の後端には、
図7、
図8、
図9に示すように、テラスを構成する一部のパーツ、例えば脚23、24、25、26、
図15に示す安全柱30、31、33、34、ロープ35を収容する扉65を矢印66方向へ開くことで、テラスを組立てるためのパーツ(脚23、24、25、26、
図15に示す安全柱30、31、33、34、ロープ35など)をリビングルーム内の第2収納室64から取り出し可能になっており、組立が便利になっている。
【0028】
次に、作用について説明する。
車両の車室内のリビングルーム(車室3に相当)に併設したテラスは、上プレート10と下プレート20の他、第2収納室64から脚23、24、24、25などのパーツを取り出し、組立てることができる。また、組立後に分解し、パーツを、例えば上プレート10と下プレート20を第1収納室12に収納し、脚23、24、25、26などのパーツを第2収納室64に収納することができる。
【0029】
車両を停止し、テラスを組立てるとき手順は次のとおりである。
車両の後ドア44、45を開ける。次いでカバー61を開き、ロック機構17、18、47、48を解除する。収納庫13の第1収納室12の開口14から上プレート10と下プレート20を車両後方向へ引き出す。
上プレート10は、引き出し時、図示しない脱落防止用ストッパで開口14から離脱しないで車体6に前端が片持支持される。
【0030】
次いで、上プレート10の係止具51、52、53、54、55、56に係止される下プレート20を分離する。
次に、第2収納室64から取り出した脚23、24、25、26を上プレート10及び下プレート20の下面に取り付け、地面から脚で23、24、25、26を上プレート10及び下プレート20を支持する。上プレート10と下プレート20は連結部103と連結部203とで連結する。
【0031】
さらに、
図15に示すように、折畳み式階段36を設置し、上プレート10及び下プレート20の上面に安全柱30、31、32、33、34をねじ結合し、ロープ35を張設する。
【0032】
さらに組立式椅子37、38、組立式テーブル39を設置することで、野外の寛ぎの空間を車両のリビングルームに隣接して作ることができる。これにより、車室3内の床面40からカバー61を経由して連続する車室外の上プレート10のプレート本体101の上面(床面)、さらにプレート本体101の上面(床面)から車幅左方向に延びる下プレート20のプレート本体201の上面(床面)が連続し、車後方向だけでなく車幅左方向へもL状に拡張した、地面から空中に浮いたテラス床面が形成される。
【0033】
使用時(テラスモード時)、リビングルームの床面40からカバー61の傾斜面を経由して連続する床面を上プレート10及び20が形成するから、リビングルームと野外のテラスとを連続した生活空間として過ごすことができる。
【0034】
収納時、第1収納室12に上プレート10及び下プレート20を収納するとき、連結部103と203の連結を解除し、第1収納室12の開口14からに上プレート10を収納した後、開口14から上プレート10の下段に下プレート20を収納する。その後、開口14から上プレート10及び下プレート20の抜けを防止し仮固定するロック機構17、18、47、48をロックする。
【0035】
本実施形態によれば、車両のボディを構成する後部の後ドア44、45は、車両に備わる後ドア44、45を改造することなしに、後ドア44、45の開放状態で、上述のとおり、テラスを組立てることができる。
【0036】
本実施形態によって、テラスを組立、収納、運搬を容易に行うことができ、車両に備え付ける便利な車両用テラス収納装置を提供する。
脚23、24、25、26を地面に立てるから、脚の上の空中床面(上プレート10の床面と下プレート20の床面)を形成するから、地面がぬかるんだ場所でもテラスを形成することができる。
【0037】
本実施形態によれば、カウンタテーブル41の一部に水洗いの流し台を備える構成にすれば、リビング機能をテラスにまで拡張することができる。
本発明の車両用テラス収納装置によれば、車室の外でテラスを組立てるためのパーツを車両内に収納できるし、床部材相当の大型プレートの車室内と車室外への設置の両状態への切替えを簡便に軽作業で実行することができる。
【0038】
テラス収納時からテラス使用時への切り替えのとき、手作業で他のパーツを引き出し、組み付けることができ、組み付け作業が簡便に行える。
【0039】
車両の行先で停止中に野外で広い床面をもつ快適な生活空間を作ることができる効果がある。多少の足場の悪い場所でも脚を立てて、脚の上に車両から引き出した上プレート及び連結部を経由して上プレートから車幅方向に延びる下プレートを連結することで、車室内の床面だけでなく車外の上プレート上面及び上プレートから車幅方向に拡張する下プレート上面で形成される床面上に開放的な寛ぎの生活空間を作ることができる。
【0040】
キャンピングカーのもつ屋根付きの寝室、食卓、手洗いなどの機能をもつ車内設備と隣接して、車体の土台を利用し、車外にテラスを組立てることができるから、車両の車室内のリビングに併設した車外テラスは、車両の体格に対応する積載空間を活用して、生活の快適度を機能面から最大限に高めることができる。
【0041】
キャンピングカーのボディを加工することなしに、車体に収納庫を備え付け、テラスを構成するパーツを収納するという簡易な操作でテラス収納装置を構成することができる。
【0042】
また、テラス構成について、車両外後方への拡張にとどまらず、上プレートの車幅方向端面に下プレートの車幅端面を連結することで、テラスの床面を上プレートの上面(床面)だけでなく下プレートの上面(床面)を車両外幅方向に拡張し、上プレート及び下プレートの各下面に複数本の脚を組付るという簡易な作業をすることにより、車室内床面と連続する車外床面をもつテラス床面を車外後方向及び車外車幅方向へ大幅に拡張することができ、車室内床面に隣接するテラスを拡大することができる。
【0043】
(第二実施形態)
第二実施形態を
図16に示す。この第二実施形態は、下プレートを2枚の分割型下プレート206、207で構成している。2枚の分割下プレート206、207にすることにより、一枚当たりの重量を軽量化し、手作業による収納庫からの搬出搬入作業及び組付作業を容易にできるようにした。
例えば収納庫13の第1収納室12の上プレート10の下段に車両幅方向に2枚の分割下プレートを収納する。
【0044】
(第三実施形態)
第三実施形態を
図17に示す。この第三実施形態は、テラスのウイングを車両幅方向の一方側(左側)だけなく他方向側(右側)にも拡張する構成例である。上プレート10の下プレート20と反対方向に第3のプレート300を設けている。第3のプレートは車室内の第3収納庫の中に収容可能である。
本発明としては、さらに他の実施形態として、収納庫13の第1収納室12を三段収納可能構造にし、第三段目に前記の第3のプレートを収納することができる。
【0045】
本発明の第2収納室及び第3収納室は、車両のどの位置にあってもよいし、複数の収納室は連通する統合された空間であってもよい。
【0046】
上記実施形態では、脚と安全柱とを収納可能な第2収納室(64)を備えたが、他の実施形態では、脚と安全柱とを車両内の個別の収納室の収納庫を備えた車両にしてもよい。
本発明では、脚、安全柱、ロープ、組立て式階段を同じ収納室に収納してもよいし異なる収納室に収納することもできることはもちろんである。
本発明の車両の後ドアは、観音開き式でなくともよい。例えば昇降型後ドアでもよい。
【0047】
また、第2収納室又は第3収納室に収納するパーツは、脚、安全柱、ロープ、折り畳み式階段等のパーツを示したが、示したパーツは一例であり、他のパーツであってもよいし、パーツの一部であってもよい。
本発明は、上プレートと下プレートの2段構成のものを示したが、3段以上の収納庫を有するようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【0049】
本発明の車両用テラス収納装置は、車両の後部に、車室の外でテラスを組立てるためのパーツを収納する車両用テラス収納装置(5)であって、車体(6)に対し車両前後方向に往復移動(摺動)可能なスライド式の上プレート(10)と、前記上プレートの下面側に前記上プレートに脱着自在、車両前後方向に摺動可能かつ係止可能な下プレート(20)と、前記車体の後部(2)に固定され、前記上プレート及び前記下プレートを収容可能な第1収納室(12)を有する収納庫(13)とを備えた構成にしてもよい。
【0050】
本発明の車両用テラス収納装置は、前記収納庫は、前記上プレートを往復移動方向に支持可能な支持レール(15、16)を備える構成にしてもよい。
【0051】
本発明の車両用テラス収納装置は、前記収納庫の開口(14)に対し前記上プレート及び前記下プレートを係止可能なロック機構(17、18、47、48)を備える構成にしてもよい。
【0052】
本発明の車両用テラス収納装置は、前記上プレートと前記下プレートは、相互の縁を連結可能な連結部(103、203)を有する構成にしてもよい。
【0053】
本発明の車両用テラス収納装置は、前記上プレートを前記収納庫の開口から引き出したとき前記上プレートの片持支持端側(108)と反対側の自由端側(109)を支持可能な脚(23、24、25、26)を収納可能な第2収納室(64)を備える構成にしてもよい。
【0054】
本発明の車両用テラス収納装置は、テラスを構成する前記上プレート又は前記下プレートの上面と地面とを上り下り可能に連絡する折り畳み式階段(36)を収納可能な収納室を有する収納庫を備えた構成にしてもよい。
【0055】
本発明の車両用テラス収納装置は、前記上プレートの上面又は前記下プレートの上面に立て付け可能な安全柱(30、31、32、33、34)を収納可能な前記第2収納室を備えた構成にしてもよい。
【0056】
本発明の車両用テラス収納装置は、隣り合う前記安全柱を結ぶロープ(35)を収納可能な収納室を有する収納庫を備えた構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 車両、
3 車室(リビングルーム)、
4 テラス、
5 車両用テラス収納装置、
6 車体、
7、8 支持レール、
10 上プレート、
12 第1収納室、
13 収納庫、
14 開口、
17、18 ロック機構、
20 下プレート、
23、24、25、26 脚、
47、48 ロック機構、
51、52、53、54、55、56 係止具、
61 カバー、
62 ヒンジ、
64 第2収納室、
108 前端(片持支持側)、
109 後端(自由端側)。
【要約】
【課題】 移動中は車両内に収納し、移動先において車両に隣接する位置に天井不要のテラスを組立て可能な車両用テラス収納装置を提供する。
【解決手段】 車両の車室の床下で車体6に固定される収納庫13は、内部に車両前後方向に支持レール15、16が延びて固定され、支持レール15、16の上面151、161に上プレート10の両縁が車両の前後方向に摺動可能に収納され、上プレート10の係止具51、52、55、56上に車両前後方向に下プレート20を摺動可能に載置可能になっている。車両の前案内壁側の係止具が下プレート20の車両前方向の位置を規制するストッパの役割を果たす。収納庫13の開口14には、上プレート10を係止するロック機構17、18と、下プレート20を係止するロック機構47、48とが設けられる。これにより、収納時の上プレート10及び下プレート20を第1収納室12内に係止する。
【選択図】
図11