(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】部品入庫支援装置、部品入庫支援方法、部品入庫支援プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023523805
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2021019997
(87)【国際公開番号】W WO2022249332
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/016929(WO,A1)
【文献】特開2018-164017(JP,A)
【文献】特開平08-222892(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154636(WO,A1)
【文献】特開2005-159164(JP,A)
【文献】特開平05-294416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援装置であって、
入庫の対象となる対象部品が前記部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を前記複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する在庫数取得部と、
前記複数の部品保管庫のうちから前記対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報
として、前記複数の部品保管庫それぞれに対する前記対象部品の入庫先としての優先順位を、前記複数の部品保管庫のそれぞれにおける前記対象部品の前記在庫数に基づき算出する入庫先候補算出部と
を備え
、
入庫先候補算出部は、前記部品保管庫に保管される前記対象部品の理想的な数である理想数と前記対象部品の前記在庫数との差を、前記複数の部品保管庫のそれぞれについて算出し、前記在庫数から前記理想数を減算した値が小さい前記部品保管庫ほど高い優先順位を設定する部品入庫支援装置。
【請求項2】
前記入庫先候補算出部は、前記複数の部品保管庫それぞれの前記対象部品の前記在庫数の平均値を、前記複数の部品保管庫に共通する前記対象部品の前記理想数として算出する請求項
1に記載の部品入庫支援装置。
【請求項3】
前記入庫先候補算出部は、部品を基板に実装することで所定品種の部品実装基板をそれぞれ生産する複数の生産計画を取得し、前記複数の生産計画のそれぞれに対して互いに異なる前記部品保管庫を対応させ、前記部品保管庫に対応する前記生産計画で基板に実装される前記対象部品の数に基づき前記部品保管庫における前記対象部品の前記理想数を算出する請求項
1に記載の部品入庫支援装置。
【請求項4】
前記入庫先候補算出部は、それぞれに部品を装着可能な複数の部品装着位置を有する部品供給台車の前記部品装着位置に部品を装着する段取り作業の内容を取得し、互いに異なる前記部品保管庫に対応する複数の区分に前記複数の部品装着位置を区分けし、前記部品保管庫に対応する前記区分に属する前記部品装着位置に装着される前記対象部品の数に基づき前記部品保管庫における前記対象部品の前記理想数を算出する請求項
1に記載の部品入庫支援装置。
【請求項5】
前記入庫先候補算出部は、部品を保持する部品保持部材に保持される部品を複数のフィーダのそれぞれによって供給して基板に実装する際に、連続して発生すると予想される2度の部品切れに応じて前記フィーダに対して補給すべき2個の前記部品保持部材を互いに異なる前記部品保管庫に予め保管するとの計画に基づき、前記複数の部品保管庫のそれぞれに保管すべき部品の数を算出した結果に基づき、前記部品保管庫における前記対象部品の前記理想数を算出する請求項
1に記載の部品入庫支援装置。
【請求項6】
前記入庫先候補情報は、前記複数の部品保管庫のうち、前記入庫先の候補として最適な一の部品保管庫を示す請求項1に記載の部品入庫支援装置。
【請求項7】
前記複数の部品保管庫のうち前記入庫先候補情報が示す前記対象部品の入庫先の候補を作業者に対して表示する表示部をさらに備える請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の部品入庫支援装置。
【請求項8】
入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援方法であって、
入庫の対象となる対象部品が前記部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を前記複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する工程と、
前記複数の部品保管庫のうちから前記対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報
として、前記複数の部品保管庫それぞれに対する前記対象部品の入庫先としての優先順位を、前記複数の部品保管庫のそれぞれにおける前記対象部品の前記在庫数に基づき算出する工程と
を備え、
前記部品保管庫に保管される前記対象部品の理想的な数である理想数と前記対象部品の前記在庫数との差を、前記複数の部品保管庫のそれぞれについて算出し、前記在庫数から前記理想数を減算した値が小さい前記部品保管庫ほど高い優先順位が設定される部品入庫支援方法。
【請求項9】
入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援プログラムであって、
入庫の対象となる対象部品が前記部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を前記複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する工程と、
前記複数の部品保管庫のうちから前記対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報
として、前記複数の部品保管庫それぞれに対する前記対象部品の入庫先としての優先順位を、前記複数の部品保管庫のそれぞれにおける前記対象部品の前記在庫数に基づき算出する工程と
をコンピュータに実行させ
、
前記部品保管庫に保管される前記対象部品の理想的な数である理想数と前記対象部品の前記在庫数との差を、前記複数の部品保管庫のそれぞれについて算出し、前記在庫数から前記理想数を減算した値が小さい前記部品保管庫ほど高い優先順位が設定される部品入庫支援プログラム。
【請求項10】
請求項
9に記載の部品入庫支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入庫された部品を保管するとともに外部からの要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィーダによって供給された部品を実装ヘッドによって基板に実装することで、部品実装基板を生産する部品実装機が知られている。かかる部品実装機に対しては、基板生産を開始する際や基板生産の途中で部品切れが生じた際に、部品を装着する必要がある。また、特許文献1では、基板生産のために部品実装機に装着される部品を保管する部品保管庫が提案されている。この部品保管庫は、作業者によって入庫された部品を保管するとともに、作業者の要求に応じて部品を出庫する。したがって、作業者は、基板生産に必要な部品を部品保管庫に予め入庫しておき、部品が必要となるタイミングで当該部品を出庫して部品実装機に装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板生産のために保管しておく部品の確保等を目的として、複数の部品保管庫を用いることが考えられる。ただし、このような場合、入庫対象となる部品を、複数の部品保管庫のうちのいずれに入庫するのが適切であるかを判断することが難しかった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、複数の部品保管庫のうちから部品の入庫先として適切な部品保管庫を簡便に判断することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品入庫支援装置は、入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援装置であって、入庫の対象となる対象部品が部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する在庫数取得部と、複数の部品保管庫のうちから対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報を、複数の部品保管庫のそれぞれにおける対象部品の在庫数に基づき算出する入庫先候補算出部とを備える。
【0007】
本発明に係る部品入庫支援方法は、入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援方法であって、入庫の対象となる対象部品が部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する工程と、複数の部品保管庫のうちから対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報を、複数の部品保管庫のそれぞれにおける対象部品の在庫数に基づき算出する工程とを備える。
【0008】
本発明に係る部品入庫支援プログラムは、入庫された部品を保管するとともに要求に応じて部品を出庫する複数の部品保管庫への部品の入庫を支援する部品入庫支援プログラムであって、入庫の対象となる対象部品が部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数を複数の部品保管庫のそれぞれについて取得する工程と、複数の部品保管庫のうちから対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報を、複数の部品保管庫のそれぞれにおける対象部品の在庫数に基づき算出する工程とをコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明にかかる記録媒体は、上記の部品入庫支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する。
【0010】
このように構成された本発明(部品入庫支援装置、部品入庫支援方法、部品入庫支援プログラムおよび記録媒体)では、入庫の対象となる対象部品が部品保管庫において実際に保管されている数である在庫数が複数の部品保管庫のそれぞれについて取得される。そして、複数の部品保管庫のうちから対象部品の入庫先の候補を示す入庫先候補情報が、複数の部品保管庫のそれぞれにおける対象部品の在庫数に基づき算出される。したがって、各部品保管庫における対象部品の在庫数に応じた入庫先の候補を、入庫先候補情報によって確認できる。その結果、複数の部品保管庫のうちから部品の入庫先として適切な部品保管庫を簡便に判断することが可能となる。
【0011】
なお、部品の入庫先を判断する主体としては、部品保管庫への入庫および出庫を実行する作業者あるいは作業ロボット等が想定される。
【0012】
また、入庫先候補情報は、複数の部品保管庫のそれぞれの対象部品の在庫数に基づき算出した優先順位を付けて、複数の部品保管庫のそれぞれを候補として示すように、入庫支援装置を構成してもよい。これによって、複数の部品保管庫それぞれの優先順位を参照しつつ、複数の部品保管庫のうちから対象部品の入庫先を選択することができる。
【0013】
また、入庫先候補算出部は、部品保管庫に保管される対象部品の理想的な数である理想数と対象部品の在庫数との差を、複数の部品保管庫のそれぞれについて算出した結果に基づき、優先順位を決定するように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、部品保管庫に保管される対象部品の数が理想数に近づくように、対象部品の入庫を支援することができる。
【0014】
また、入庫先候補算出部は、複数の部品保管庫それぞれの対象部品の在庫数の平均値を、複数の部品保管庫に共通する対象部品の理想数として算出するように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、複数の部品保管庫のそれぞれに保管される対象部品の数が均等化されるように、対象部品の入庫を支援することができる。そのため、例えば、対象部品が必要となった場合には、複数の部品保管庫のそれぞれから対象部品を並行して出庫することができる。したがって、必要な数の対象部品の出庫を短時間で完了することができる。
【0015】
また、入庫先候補算出部は、部品を基板に実装することで所定品種の部品実装基板をそれぞれ生産する複数の生産計画を取得し、複数の生産計画のそれぞれに対して互いに異なる部品保管庫を対応させ、部品保管庫に対応する生産計画で基板に実装される対象部品の数に基づき部品保管庫における対象部品の理想数を算出するように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、複数の生産計画に対して異なる部品保管庫を対応させて、対象部品を使用予定の生産計画に対応する部品保管庫に、当該対象部品を入庫することができる。こうして、生産計画毎に部品保管庫を使い分けることができる。そのため、並行して実行される複数の生産計画のそれぞれに必要となる部品の出庫が、同一の部品保管庫に集中して、部品の出庫が滞るといった状況を回避することができる。
【0016】
また、入庫先候補算出部は、それぞれに部品を装着可能な複数の部品装着位置を有する部品供給台車の部品装着位置に部品を装着する段取り作業の内容を取得し、互いに異なる部品保管庫に対応する複数の区分に複数の部品装着位置を区分けし、部品保管庫に対応する区分に属する部品装着位置に装着される対象部品の数に基づき部品保管庫における対象部品の理想数を算出するように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、部品供給台車の複数の部品装着位置が複数の区分に区分けされて、各区分に異なる部品保管庫が対応付けられる。そして、対象部品が装着される予定の部品装着位置が属する区分に対応する部品保管庫に、当該対象部品を入庫することができる。そのため、段取り作業で部品供給台車に装着すべき各部品を複数の部品保管庫から並行して出庫することができる。したがって、段取り作業に必要な各部品の出庫を短時間で完了することができる。
【0017】
また、入庫先候補算出部は、部品を保持する部品保持部材に保持される部品を複数のフィーダのそれぞれによって供給して基板に実装する際に、連続して発生すると予想される2度の部品切れに応じてフィーダに対して補給すべき2個の部品保持部材を互いに異なる部品保管庫に予め保管するとの計画に基づき、複数の部品保管庫のそれぞれに保管すべき部品の数を算出した結果に基づき、部品保管庫における対象部品の理想数を算出するように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、連続して部品切れが生じる各部品の出庫が同一の部品保管庫に要求されて、これらの部品の出庫が滞るといった状況を回避することができる。
【0018】
また、入庫先候補情報は、複数の部品保管庫のうち、入庫先の候補として最適な一の部品保管庫を示すように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、複数の部品保管庫のうちから部品の入庫先として最適な一の部品保管庫を簡便に判断することができる。
【0019】
また、複数の部品保管庫のうち入庫先候補情報が示す対象部品の入庫先の候補を作業者に対して表示する表示部をさらに備えるように、部品入庫支援装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者は、表示部を確認することで、複数の部品保管庫のうちから部品の入庫先として適切な部品保管庫を簡便に判断することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の部品保管庫のうちから部品の入庫先として適切な部品保管庫を簡便に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の部品入庫支援装置の一例に相当するサーバコンピュータを備えた部品実装システムを示すブロック図。
【
図4】部品入庫支援の第1例を示すフローチャート。
【
図5】
図4の部品入庫支援で実行される第1入庫支援を示すフローチャート。
【
図6A】各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図。
【
図6B】部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図。
【
図6C】第1入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図。
【
図7】
図4の部品入庫支援で実行される第2入庫支援を示すフローチャート。
【
図8A】複数の実装ラインそれぞれの生産計画の内容を模式的に示す図。
【
図8B】品種と当該品種の部品実装基板の生産で使用される実装プログラムとの対応関係を模式的に示す図。
【
図8C】部品と当該部品の使用数との対応関係を模式的に示す図。
【
図9A】各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図。
【
図9B】部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図。
【
図9C】第2入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図。
【
図10】部品入庫支援の第2例を示すフローチャート。
【
図11】
図10の部品入庫支援で実行される第3入庫支援を示すフローチャート。
【
図12A】部品供給台車の複数のリール装着位置の区分け態様の一例を模式的に示す図。
【
図12B】各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図。
【
図12C】部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図。
【
図12D】第3入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図。
【
図13】
図10の部品入庫支援で実行される第4入庫支援を示すフローチャート。
【
図14A】部品切れの発生順序に応じた保管計画に基づき部品の保管先を設定する例を模式的に示す図。
【
図14B】複数の部品保管庫から補給予定の部品数の例を模式的に示す図。
【
図14C】複数の部品保管庫における部品の余剰在庫数の例を模式的に示す図。
【
図14D】各部品保管庫における対象部品の余剰在庫数を模式的に示す図。
【
図14E】部品保管庫における対象部品の余剰在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図。
【
図14F】第4入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の部品入庫支援装置の一例に相当するサーバコンピュータを備えた部品実装システムを示すブロック図である。部品実装システムMSは、サーバコンピュータ1と、複数の部品保管庫2と、複数の部品実装機3とを備え、サーバコンピュータ1が部品保管庫2および部品実装機3のそれぞれを制御する。ここの例では、4台の部品保管庫2が設けられているが、部品保管庫2の台数は4台に限られない。また、それぞれ3台の部品実装機3によって構成される3本の生産ラインL1、L2、L3が設けられ、生産ラインL1、L2、L3のそれぞれでは、直列に配列された3台の部品実装機3に順に基板B(
図3)が搬送されて、各部品実装機3が基板Bに部品C(
図3)を実装する。こうして、生産ラインL1、L2、L3のそれぞれでは、担当する品種の部品実装基板を生産する。なお、生産ラインL1~L3の本数や、生産ラインL1~L3のそれぞれを構成する部品実装機3の台数はここの例に限られない。
【0023】
サーバコンピュータ1は、演算部11、記憶部12、UI(User
Interface)13および通信部14を備える。演算部11は、CPU(Central Processing Unit)やメモリにより構成されたプロセッサであり、記憶部12、UI13および通信部14を制御する。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等で構成され、部品入庫支援の内容を規定する部品入庫支援プログラムPxや、各種情報Ia~Icを保存する。なお、サーバコンピュータ1は、USB(Universal Serial Bus)メモリや光ディスク等の記録媒体19に記録された部品入庫支援プログラムPxを読み出して、記憶部12に保存する。ただし、部品入庫支援プログラムPxの取得態様はこれに限られず、サーバコンピュータ1は、外部コンピュータの記憶装置に記録された部品入庫支援プログラムPxをダウンロードして、記憶部12に保存してもよい。
【0024】
UI13は、作業者に情報を表示するディスプレイ等の出力機器や、作業者による入力操作を受け付けるキーボートおよびマウス等の入力機器を有する。なお、UI13の出力機器と入力機器とを別体で構成する必要はなく、タッチパネルディスプレイによりUI13を構成することで、出力機器と入力機器とを一体的に構成してもよい。また、通信部14は、部品保管庫2および部品実装機3といった外部装置との通信を行う。
【0025】
かかるサーバコンピュータ1の具体的な形態としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータあるいはタブレットコンピュータ等が考えられる。サーバコンピュータ1がタブレットコンピュータで構成される場合には、作業者は、サーバコンピュータ1を携帯しつつ作業を実行することができる。
【0026】
図2は部品保管庫の構成を模式的に示す斜視図である。部品保管庫2は、ハウジング21と、ハウジング21内に設けられた複数の棚22とを有し、各棚22には、部品Cを保持する部品供給リールR(
図3)が保管される。部品供給リールRには、直列に配列された複数のポケットを有するキャリアテープが巻き付けられており、このポケットに部品Cが収納されている。部品Cの具体例としては、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品が挙げられる。また、部品供給リールRには、当該部品供給リールRに保持される部品Cの種類や個数を示す部品IDが付されている。
【0027】
また、部品保管庫2は、ハウジング21の前面に設けられた開口23と、部品供給リールRを搬送するハンドラ24とを備える。ハンドラ24は、部品供給リールRを保持しつつハウジング21内を移動することで、開口23とハンドラ24との間で部品供給リールRを搬送する。さらに、部品保管庫2は、作業者による入力操作を受け付ける操作パネル25と、部品供給リールRに付された部品IDを読み取るスキャナ26と、操作パネル25およびスキャナ26を制御する制御部29とを備える。
【0028】
操作パネル25は、部品供給リールRの入庫を指示する入庫指示や、部品供給リールRの出庫を指示する出庫指示を受け付ける。入庫の際には、作業者は、操作パネル25に入庫指示を入力しつつ入庫対象の部品供給リールRを開口23に挿入し、ハンドラ24は、開口23に挿入された部品供給リールRを棚22に収納する(入庫)。また、作業者は、開口23に部品供給リールRを挿入する前に、部品供給リールRに付された部品IDをスキャナ26に読み取らせ、スキャナ26は読み取った部品IDを制御部29に送信する。これによって、制御部29は、部品保管庫2に入庫された部品供給リールRの部品IDを取得できる。出庫の際には、作業者は、出庫対象となる部品供給リールRの出庫指示を操作パネル25に入力し、ハンドラ24は、出庫指示が示す部品供給リールRを棚22から取り出して開口23に排出する(出庫)。
【0029】
部品保管庫2に対する入庫・出庫の度に、入庫・出庫の対象となった部品供給リールRの部品IDを示す入出庫情報が部品保管庫2の制御部29からサーバコンピュータ1の通信部14に送信される。そして、サーバコンピュータ1の演算部11は、通信部14が受信した入出庫情報に基づき、部品保管庫2における部品Cの在庫を示す在庫情報Ibを更新する。
【0030】
図3は部品実装機の構成を模式的に示す平面図である。同図では、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向と、鉛直方向に平行なZ方向とで構成されるXYZ直交座標を示す。
【0031】
部品実装機3は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する基板搬送部31を備える。この基板搬送部31は、X方向に並列に配置された一対のコンベア311を有し、コンベア311によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア311の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、基板搬送部31は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア311の間隔を調整する。この基板搬送部31は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の実装作業位置312に基板Bを搬入するとともに、実装作業位置312で部品Cが実装された基板Bを実装作業位置312からX方向の下流側に搬出する。
【0032】
基板搬送部31のY方向の両側それぞれでは2つの台車取付部32がX方向に並んでおり、各台車取付部32に対しては、部品供給台車4を着脱可能に取り付けることができる。部品供給台車4が取り付けられた台車取付部32では、部品供給台車4に保持された複数のテープフィーダ5がX方向に並ぶ。また、部品供給台車4は、複数のテープフィーダ5に対応して、複数のリール装着位置Sが設けられており、各リール装着位置Sに対して部品供給リールRが配置される。こうして、部品供給台車4は、複数のリール装着位置Sにそれぞれ装着された複数の部品供給リールRを保持する。各テープフィーダ5は、対応する部品供給リールRから引き出されたキャリアテープを基板搬送部31側へ送る。これに対して、各テープフィーダ5の基板搬送部31側の先端には、部品供給位置51が設けられており、キャリアテープに収納される複数の部品Cは、部品供給位置51に順番に供給される。
【0033】
また、部品実装機3では、Y方向に延設された一対のY軸レール331と、Y方向に延設されたY軸ボールネジ332と、Y軸ボールネジ332を回転駆動するY軸モーター333とが設けられている。そして、X方向に延設されたX軸ビーム334が一対のY軸レール331にY方向に移動可能に支持された状態で、Y軸ボールネジ332のナットに固定されている。X軸ビーム334には、X方向に延設されたX軸ボールネジ335と、X軸ボールネジ335を回転駆動するX軸モーター336とが取り付けられており、ヘッドユニット34がX軸ビーム334にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ335のナットに固定されている。したがってY軸モーター333によりY軸ボールネジ332を回転させてヘッドユニット34をY方向に移動させたり、X軸モーター336によりX軸ボールネジ335を回転させてヘッドユニット34をX方向に移動させたりすることができる。
【0034】
ヘッドユニット34は、X方向に直線状に並ぶ複数の実装ヘッド341を有する。各実装ヘッド341は、その下端に着脱可能に装着されたノズルにより、基板Bへの部品Cの実装を行う。つまり、実装ヘッド341は、その下端のノズルを部品供給位置51の上方に位置させつつノズルを下降させることで、テープフィーダ5が部品供給位置51に供給する部品Cにノズルを当接させる。そして、実装ヘッド341は、ノズル内に負圧を与えてノズルにより部品Cを吸着すると、ノズルを上昇させる。実装ヘッド341は、こうして部品供給位置51からピックアップした部品Cをノズルによって吸着・保持しつつ、部品供給位置51の基板Bの上方へ移動する。そして、実装ヘッド341は、ノズルを下降させて部品Cを基板Bに接触させると、ノズルの負圧を解除して、部品Cを基板Bに載置する。
【0035】
続いては、部品入庫支援の詳細について説明する。なお、以下に説明する部品入庫支援は、作業者がこれから入庫する部品C(すなわち、入庫対象の部品C)の入庫先を判断するための情報を作業者に与える。また、部品Cの入庫は、当該部品Cを保持する部品供給リールRを部品保管庫2に入庫することで実行される。
【0036】
図4は部品入庫支援の第1例を示すフローチャートである。同フローチャートは、演算部11の制御によって実行される。
図4に示すように、演算部11は、部品入庫支援の開始に伴って、記憶部12に生産計画情報Iaが保存されているか否かを確認する(ステップS001)。この生産計画情報Iaは、生産ラインL1~L3のそれぞれで実行される生産計画の内容を示し、生産ラインL1~L3のそれぞれは、対応する生産計画に規定される動作を部品実装機3によって実行することで、所定の品種の部品実装基板を生産する。
【0037】
生産計画情報Iaが記憶部12に保存されていない場合(ステップS001で「NO」の場合)には、ステップS002で第1入庫支援が実行される(
図5)。ここで、
図5は
図4の部品入庫支援で実行される第1入庫支援を示すフローチャートである。部品Cの入庫にあたっては、作業者は、部品Cを保持する部品供給リールRに付された部品IDをスキャナ26に読み取らせる。これに対して、第1入庫支援のステップS101では、演算部11は、スキャナ26により読み取られた部品IDを取得し、当該部品IDに基づき入庫対象となる対象部品Ctを特定する。これによって、演算部11は、対象部品Ctの種類を認識することができる。ステップS102では、演算部11は、記憶部12に保存されている在庫情報Ibに基づき、複数の部品保管庫2のそれぞれにおける対象部品Ctの在庫数を取得する(
図6A)。
【0038】
図6Aは各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図である。
図6Aでは複数の部品保管庫2を区別するために異なる符号2A~2Dが用いられ、対象部品Ctの在庫数は、当該対象部品Ctを保持する部品供給リールRの本数で示されている。
図6Aに示す例では、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにおける対象部品Ctの部品供給リールRの在庫数は、8本、5本、3本および4本である。なお、特に断らない限りは、以下においても、部品Cの数を示す単位として、当該部品Cを保持する部品供給リールRの本数を用いることとする。
【0039】
ステップS103では、演算部11は、複数の部品保管庫2A~2Dそれぞれにおける部品Ctの理想数を設定する。ここで、理想数とは、部品保管庫2A~2Dのそれぞれに保管される対象部品Ctの理想的な数である。第1入庫支援では、複数の部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Ctの在庫数の平均値が理想数に設定される。つまり、
図6Aに示す例によれば、対象部品Ctの平均値(5=(8+5+3+4)/4)が理想数に設定される。ステップS104では、演算部11は、部品保管庫2A~2Dそれぞれにおける対象部品Ctの在庫数と理想数との差(=在庫数-理想数)に基づき、部品保管庫2A~2Dに対して優先順位を設定する。具体的には、在庫数から理想数を減算した値が小さいほど、換言すれば、理想数に対する在庫数の不足が多い部品保管庫2ほど高い優先順位が設定される(
図6B)。
【0040】
図6Bは部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図である。
図6Bでは、部品保管庫2A~2Dそれぞれに対する在庫数、理想数、差および優先順位が示されており、部品保管庫2A、2B、2C、2Dの優先順位は4、3、1、2である。この優先順位は、対象部品Ctを入庫するにあたって、部品保管庫2A~2Dのいずれへの入庫が優先すべきかを示す。つまり、
図6Bに示す情報は、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ctの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Icに相当し、この入庫先候補情報Icは、上記の要領で演算部11によって算出されて、記憶部12に保存される。
【0041】
ステップS105では、演算部11は、作業者の入庫を支援するための支援画面を、入庫先候補情報Icに基づき生成して、UI13のディスプレイに表示する(
図6C)。
図6Cは第1入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図である。この支援画面は、ステップS103、S104での演算結果を表示しており、具体的には、部品保管庫2A~2Dそれぞれの対象部品Ctの理想数および在庫数と、対象部品Ctの入庫先としての部品保管庫2A~2Dの優先順位とを表示する。
【0042】
以上が第1入庫支援の内容である。一方、
図4のステップS001で、記憶部12に保存された生産計画情報Iaが確認された場合(「YES」の場合)には、ステップS003で第2入庫支援が実行される(
図7)。ここで、
図7は
図4の部品入庫支援で実行される第2入庫支援を示すフローチャートである。ステップS201では、演算部11は、各生産計画における各部品Cの使用数を算出する。
【0043】
具体的には、演算部11は、生産計画情報Iaに含まれる各生産計画PL1~PL3を特定する(
図8A)。ここで、
図8Aは複数の実装ラインそれぞれの生産計画の内容を模式的に示す図である。
図8Aに示す複数の生産計画PL1、PL2およびPL3は、複数の生産ラインL1、L2およびL3でそれぞれ実行される。例えば生産計画PL1によれば、ロット番号が「001」の基板Bが有する2面Bsa、Bsbのうち面Bsaに対して、生産ラインL1の各部品実装機3が部品Cを実装することで、品種Bk1の部品実装基板が2000枚生産される。
【0044】
さらに、演算部11は、各品種の部品実装基板の生産に用いられる実装プログラムPa~Piを特定する(
図8B)。ここで、
図8Bは品種と当該品種の部品実装基板の生産で使用される実装プログラムとの対応関係を模式的に示す図である。
図8Bでは、1本の生産ラインLを構成する3台の部品実装機3を区別するために異なる符号3A~3Cが用いられている。ちなみに、実装プログラムとは、部品実装機3が基板Bへ部品Cを実装する手順を規定するプログラムであり、部品実装機3は実装プログラムに従って動作することで、基板Bの所定箇所に部品Cを実装する。
図8Bによれば、例えば品種Bk1の部品実装基板の生産のために、生産ラインL1の3台の部品実装機3A、3Bおよび3Cは、それぞれ生産プログラムPa、PbおよびPcに従って部品Cを基板Bに実装する。
【0045】
実装プログラムPa、Pb、Pcのそれぞれは、生産ラインL1での生産対象となる品種Bk1の部品実装基板を1枚生産するために、基板Bに実装する部品Cの個数を各部品Cについて示す。そこで、演算部11は、当該品種Bk1の部品実装基板の生産枚数を1枚当たりの部品Cの実装個数に乗じることで、生産ラインL1で実行される生産計画PL1で実装される個数を各部品Cについて算出する。さらに、演算部11は、部品Cの実装個数を、部品供給リールRにより保持される部品Cの個数で除算することで、生産計画PL1の実行に必要となる、部品Cを保持する部品供給リールRの本数(使用数)を算出する(
図8C)。
図8Cは部品と当該部品の使用数との対応関係を模式的に示す図である。
図8Cの例では、生産ラインL1において生産計画PL1に基づき品種Bk1の部品実装基板を生産するのに使用される部品Ca、CbおよびCcの数(部品供給リールRの本数)は、それぞれ8本、6本および10本である。なお、部品Cの使用数(部品供給リールRの本数)は、生産計画PL2、PL3についても同様に求められる。
【0046】
ステップS202では、演算部11は、スキャナ26により読み取られた部品IDに基づき、入庫対象となる対象部品Ctを特定する。これによって、演算部11は、対象部品Ctの種類を認識することができる。ステップS203では、演算部11は、記憶部12に保存されている在庫情報Ibに基づき、複数の部品保管庫2のそれぞれにおける対象部品Ctの在庫数を取得する(
図9A)。
【0047】
図9Aは各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図である。
図9Aでは複数の部品保管庫2を区別するために異なる符号2A~2Dが用いられ、対象部品Ctの在庫数は、当該対象部品Ctを保持する部品供給リールRの本数で示されている。
図9Aに示す例では、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにおける対象部品Ctの部品供給リールRの在庫数は、8本、5本、3本および4本である。
【0048】
ステップS204では、演算部11は、複数の生産計画PL1~PL3に対して互いに異なる部品保管庫2A~2Dを対応付ける。ここの例では、生産計画PL1に対して2個の部品保管庫2A、2Bが対応付けられ、生産計画PL2に対して1個の部品保管庫2Cが対応付けられ、生産計画PL3に対して1個の部品保管庫2Dが対応付けられる。そして、演算部11は、生産計画PL1~PL3での対象部品Ctの使用数に基づき理想数を設定し(ステップ205)、在庫数と理想数との差(=在庫数-理想数)に基づき、部品保管庫2A~2Dに対して優先順位を設定する。具体的には、在庫数から理想数を減算した値が小さいほど、換言すれば、理想数に対する在庫数の不足が多い部品保管庫2ほど高い優先順位が設定される(
図9B)。
【0049】
図9Bは部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図である。第2入庫支援では、生産計画における部品Ctの使用数を当該生産計画に対応する部品保管庫2の台数で除算した値が理想数に設定される。つまり、
図9Bの例では、生産計画PL1で使用される対象部品Ctの数(使用数)は10であるため、生産計画PL1に対応する部品保管庫2A、2Bの台数(=2)で使用数(=10)を除算した数(=5)が、当該部品保管庫2A、2Bそれぞれの対象部品Ctの理想数に設定される。また、生産計画PL2で使用される対象部品Ctの数(使用数)は8であるため、生産計画PL2に対応する部品保管庫2Cの台数(=1)で使用数(=8)を除算した数(=8)が、当該部品保管庫2Cの対象部品Ctの理想数に設定される。生産計画PL3に対応する部品保管庫2Dにおける対象部品Ctの理想数も、同様に設定される。そして、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dの在庫数と理想数との差が3本、0本、-5本および1本と求められ、在庫数から理想数を減算した値が小さいほど、換言すれば、理想数に対する在庫数の不足が多い部品保管庫2ほど高い優先順位が設定される。その結果、部品保管庫2A、2B、2C、2Dの優先順位は2、4、1、3となる。つまり、
図9Bに示す情報は、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ctの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Icに相当し、この入庫先候補情報Icは、上記の要領で演算部11によって算出されて、記憶部12に保存される。
【0050】
ステップS207では、演算部11は、作業者の入庫を支援するための支援画面を、入庫先候補情報Icに基づき生成して、UI13のディスプレイに表示する(
図9C)。
図9Cは第2入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図である。この支援画面は、ステップS203~S205での演算結果を表示しており、具体的には、部品保管庫2A~2Dそれぞれの対象部品Ctの理想数および在庫数と、対象部品Ctの入庫先としての部品保管庫2A~2Dの優先順位とを表示する。
【0051】
以上に説明する実施形態では、入庫の対象となる対象部品Ctが部品保管庫2A~2Dにおいて実際に保管されている数である在庫数が複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれについて取得される(ステップS102、S203)。そして、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ctの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Ic(
図6B、
図9B)が、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれにおける対象部品Ctの在庫数に基づき算出される(ステップS103~S104、S204~S206)。したがって、各部品保管庫2における対象部品Ctの在庫数に応じた入庫先の候補を、入庫先候補情報Icによって確認できる。その結果、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから部品Cの入庫先として適切な部品保管庫2を簡便に判断することが可能となる。
【0052】
また、入庫先候補情報Icは、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれの対象部品Ctの在庫数に基づき算出した優先順位を付けて、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれを候補として示す(
図6B、
図9B)。これによって、複数の部品保管庫2A~2Dそれぞれの優先順位を参照しつつ、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ctの入庫先を選択することができる。
【0053】
また、演算部11(入庫先候補算出部)は、部品保管庫2A~2Dに保管される対象部品Ctの理想的な数である理想数と対象部品Ctの在庫数との差を、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれについて算出した結果に基づき、優先順位を決定する。かかる構成では、部品保管庫2A~2Dに保管される対象部品Ctの数が理想数に近づくように、対象部品Ctの入庫を支援することができる。
【0054】
また、第1入庫支援(
図5)では、演算部11は、複数の部品保管庫2A~2Dそれぞれの対象部品Ctの在庫数の平均値を、複数の部品保管庫2A~2Dに共通する対象部品Ctの理想数として算出する。かかる構成では、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれに保管される対象部品Ctの数が均等化されるように、対象部品Ctの入庫を支援することができる。そのため、例えば、対象部品Ctが必要となった場合には、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれから対象Ctを並行して出庫することができる。具体的に説明すると、対象部品Ctを保持する4本の部品供給リールRが必要となった場合に、1台の部品保管庫2から4本の部品供給リールRを1本ずつ出庫する代わりに、4台の部品保管庫2から並行して1本の部品供給リールRを出庫することができる。したがって、必要な数の対象部品Ctの出庫を短時間で完了することができる。
【0055】
また、演算部11は、部品Cを基板Bに実装することで品種Bk1~Bk3の部品実装基板をそれぞれ生産する複数の生産計画PL1~PL3を記憶部12から取得する(ステップS001)。そして、第2入庫支援(
図7)では、演算部11は、複数の生産計画PL1~PL3のそれぞれに対して互いに異なる部品保管庫2A~2Dを対応させ(ステップS204)、部品保管庫2A~2Dに対応する生産計画PL1~PL3で基板Bに実装される対象部品Ctの数(使用数)に基づき部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Ctの理想数を算出する。かかる構成では、複数の生産計画PL1~PL3に対して異なる部品保管庫2A~2Dを対応させ、対象部品Ctを使用予定の生産計画PL1~PL3に対応する部品保管庫2A~2Dに、当該対象部品Ctを入庫することができる。こうして、生産計画PL1~PL3毎に部品保管庫2を使い分けることができる。そのため、並行して実行される複数の生産計画PL1~PL3のそれぞれに必要となる部品Cの出庫が、同一の部品保管庫2に集中して、部品Cの出庫が滞るといった状況を回避することができる。
【0056】
また、複数の部品保管庫2A~2Dのうち入庫先候補情報Icが示す対象部品Ctの入庫先の候補を示す支援画面を、作業者に対して表示するUI13(表示部)が設けられている。かかる構成では、作業者は、UI13(のディスプレイ)を確認することで、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから部品Cの入庫先として適切な部品保管庫2を簡便に判断することができる。
【0057】
特に
図6Cおよび
図9Cの支援画面では、対象部品Ctの入庫先としての優先順位が複数の部品保管庫2A~2Dに対して付されている。したがって、作業者は、この優先順位を確認しつつ、部品Ctの入庫先を決定することができる。
【0058】
図10は部品入庫支援の第2例を示すフローチャートである。同フローチャートは、演算部11の制御によって実行される。
図10に示すように、演算部11は、部品入庫支援の開始に伴って、記憶部12に生産計画情報Iaが保存されているか否かを確認する(ステップS001)。そして、生産計画情報Iaが記憶部12に保存されていない場合(ステップS001で「NO」の場合)には、上述と同じ要領で
図5の第1入庫支援が実行される(ステップS002)。
【0059】
一方、
図10のステップS001で、記憶部12に保存された生産計画情報Iaが確認された場合(「YES」の場合)には、ステップS004で第3入庫支援が実行され、ステップS005で第4入庫支援が実行される。
【0060】
図11は
図10の部品入庫支援で実行される第3入庫支援を示すフローチャートである。ステップS301では、演算部11は、部品供給台車4の複数のリール装着位置Sを、N個の区分に区分けする。ここでは、Nは、部品保管庫2の台数である「4」である。具体的には、部品供給台車4の32個のリール装着位置Sを、4個の区分に均等に区分けする(
図12A)。
図12Aは部品供給台車の複数のリール装着位置の区分け態様の一例を模式的に示す図である。これによって、32個のリール装着位置Sは、区分D(1)に属するリール装着位置S(1)~S(8)と、区分D(2)に属するリール装着位置S(9)~S(16)と、区分D(3)第3区分に属するリール装着位置S(17)~S(24)と、区分D(4)に属するリール装着位置S(25)~S(32)とに区分けされる。ちなみに、区分けする個数Nは、部品実装システムMSに具備される部品保管庫2の台数(=4)である必要はなく、各区分に区分けするリール装着位置Sの個数が均等である必要もない。
【0061】
ステップS302では、演算部11は、各区分D(1)~D(4)に装着予定の部品Cを確認する。具体的には、生産計画情報Iaには、部品供給台車4の各リール装着位置Sに装着すべき部品Cを示す段取り情報が含まれており、演算部11は、この段取り情報に基づき、各区分D(1)~D(4)に装着予定の部品Cを確認する。そして、ステップS303では、演算部11は、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにそれぞれ異なる区分D(1)、D(2)、D(3)およびD(4)を対応させる。
【0062】
ステップS304では、演算部11は、スキャナ26により読み取られた部品IDに基づき、入庫対象となる対象部品Ctを特定する。これによって、演算部11は、対象部品Ctの種類を認識することができる。ステップS305では、演算部11は、記憶部12に保存されている在庫情報Ibに基づき、複数の部品保管庫2のそれぞれにおける対象部品Ctの在庫数を取得する(
図12B)。
【0063】
図12Bは各部品保管庫における対象部品の在庫数を模式的に示す図である。
図12Bでは複数の部品保管庫2を区別するために異なる符号2A~2Dが用いられ、対象部品Ctの在庫数は、当該対象部品Ctを保持する部品供給リールRの本数で示されている。
図12Bに示す例では、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにおける対象部品Ctの部品供給リールRの在庫数は、いずれも2本である。
【0064】
ステップS306では、演算部11は、複数の区分D(1)~D(4)のうちから対象部品Ctの装着予定の区分D(3)を段取り情報に基づき特定し、この装着予定区分D(3)に基づき、部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Ctの理想数を算出する。そして、ステップS307では、在庫数と理想数との差(=在庫数-理想数)に基づき、部品保管庫2A~2Dに対して優先順位を設定する(
図12C)。
【0065】
図12Cは部品保管庫の在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図である。第3入庫支援では、対象部品Ctを保持する部品供給リールRを区分D(1)~D(4)のそれぞれに装着する予定の本数が、区分D(1)~D(4)のそれぞれに対応する部品保管庫2A~2Dの理想数に設定される。つまり、
図12Cの例では、対象部品Ctを保持する4本の部品供給リールRを区分D(3)に装着する予定であり、当該区分D(3)に対応する部品保管庫2Cにおける対象部品Ctの理想数が4に設定される。また、他の区分D(1)、D(2)、D(4)には対象部品Ctを装着しない予定であるため、区分D(1)、D(2)、D(4)に対応する部品保管庫2A、2B、2Dにおける対象部品Ctの理想数は0に設定されている。そして、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dの在庫数と理想数との差が2本、2本、-2本および2本と求められ、在庫数から理想数を減算した値が小さいほど、換言すれば、理想数に対する在庫数の不足が多い部品保管庫2ほど高い優先順位が設定される。その結果、部品保管庫2A、2B、2C、2Dの優先順位は2、2、1、2となる。つまり、
図12Cに示す情報は、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ctの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Icに相当し、この入庫先候補情報Icは、上記の要領で演算部11によって算出されて、記憶部12に保存される。
【0066】
ステップS308では、演算部11は、作業者の入庫を支援するための支援画面を、入庫先候補情報Icに基づき生成して、UI13のディスプレイに表示する(
図12D)。
図12Dは第3入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図である。この支援画面は、ステップS305~S307での演算結果を表示しており、具体的には、部品保管庫2A~2Dそれぞれの対象部品Ctの理想数および在庫数と、対象部品Ctの入庫先としての部品保管庫2A~2Dの優先順位とを表示する。
【0067】
図13は
図10の部品入庫支援で実行される第4入庫支援を示すフローチャートである。第4入庫支援は、第3入庫支援の完了後に実行される。ステップS401では、部品実装システムMSにおいて生産計画情報Iaに従って部品実装基板を生産した場合に、リール装着位置Sに装着された部品供給リールRに保持される部品Cが使い切られるタイミング(すなわち、部品切れが発生するタイミング)が、演算部11によってシミュレーションされる。このシミュレーションは、生産計画情報Iaに含まれる段取り情報に基づき各部品供給台車4の各リール装着位置Sに部品供給リールRが装着された初期状態から、基板生産を開始するといった条件で実行される。さらに、このシミュレーションは、部品供給リールRに部品切れが生じる度に、当該部品供給リールRのリール装着位置Sに新たな部品供給リールRが補給されるといった条件で実行される。
【0068】
ステップS402では、演算部11は、部品切れの発生に応じて補給すべき部品C(すなわち、部品切れが発生した部品Cと同種の部品C)を出庫する予定の部品保管庫2を、部品切れの発生順序に基づき設定する。具体的には、連続して発生すると予想される2度の部品切れに応じてリール装着位置Sに補給すべき2個の部品供給リールRを互いに異なる部品保管庫2に予め保管しておくとの保管計画に基づき、複数の部品保管庫2のそれぞれに保管すべき部品Cを、演算部11が設定する。
【0069】
図14Aは部品切れの発生順序に応じた保管計画に基づき部品の保管先を設定する例を模式的に示す図である。
図14Aの例では、部品切れの発生順序に対応して部品保管庫2A、2B、2C、2Dの順に部品切れに応じて補給すべき部品Cの保管先が設定される。具体的には、発生順序が1番目の部品切れで補給すべき部品Cdの保管先は部品保管庫2Aに設定され、発生順序が2番目の部品切れで補給すべき部品Cdの保管先は部品保管庫2Bに設定され、発生順序が3番目の部品切れで補給すべき部品Cbの保管先は部品保管庫2Cに設定され、発生順序が4番目の部品切れで補給すべき部品Cdの保管先は部品保管庫2Dに設定される。さらに、発生順序が5番目の部品切れで補給すべき部品Ccの保管先は部品保管庫2Aに設定されるというように、部品保管庫2A、2B、2C、2Dの間で循環的に保管先が設定される。
【0070】
こうしてステップS402において、部品切れの発生順序に応じて補給すべき部品Cを保管する部品保管庫2が設定されると(
図14A)、ステップS403では、部品切れの発生に応じて各部品保管庫2A~2Dから補給すべき部品Cの数(補給予定数)が演算部11によって算出される(
図14B)。
【0071】
図14Bは複数の部品保管庫から補給予定の部品数の例を模式的に示す図である。
図14Aの例に従って、部品保管庫2A~2Dに保管すべき部品Ca~Cdの数(部品供給リールRの本数)が、
図14Bにおいて示される。例えば、発生順序が5、13、17番目の部品切れに応じて補給すべき部品Ccと、発生順序が1、9番目の部品切れに応じて補給すべき部品Cdとが、部品保管庫2Aに予め保管すべき部品となる。換言すれば、
図14Bの「補給予定数」に示すように、部品保管庫2Aからは、部品Ccを保持する3本の部品供給リールRと、部品Cdを保持する2本の部品供給リールRとが補給予定である。他の部品保管庫2B~2Dについても同様に部品Ca~Cdの補給予定数が算出される。
【0072】
ステップS404では、演算部11は、部品保管庫2A~2Dのそれぞれにおける各部品Ca~Cdの余剰在庫数を取得する(
図14C)。
図14Cは複数の部品保管庫における部品の余剰在庫数の例を模式的に示す図である。
図14Cに示すように、演算部11は、部品保管庫2A~2Dのそれぞれにおける各部品Ca~Cdの余剰在庫数を取得する。かかる余剰在庫数は、部品保管庫2における実際の在庫数から、段取り作業での使用予定数を減算することで求められる。演算部11は、例えば、実際の在庫数を在庫情報Ibに基づき確認でき、段取り作業での使用予定数を生産計画情報Iaに含まれる段取り情報に基づき確認できる。
図14Cの例では、部品保管庫2Aにおける部品Ca、Cb、CcおよびCdそれぞれの余剰在庫数は、1本、2本、1本および1本となる。他の部品保管庫2B~2Dについても同様に部品Ca~Cdの余剰在庫数が取得される。
【0073】
ステップS405では、演算部11は、スキャナ26により読み取られた部品IDに基づき、入庫対象となる対象部品Caを特定する。これによって、演算部11は、対象部品Caの種類を認識することができる。ステップ406では、演算部11は、ステップS404で取得した結果(
図14C)に基づき、対象部品Caの余剰在庫数を取得する(
図14D)。
【0074】
図14Dは各部品保管庫における対象部品の余剰在庫数を模式的に示す図である。
図14Dでは、対象部品Caの余剰在庫数は、当該対象部品Caを保持する部品供給リールRの本数で示されている。
図14Dに示す例では、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにおける対象部品Caの部品供給リールRの余剰在庫数は、1本、1本、2本および1本である。
【0075】
ステップS407では、演算部11は、部品保管庫2A~2Dからの対象部品Caの補給予定数を、部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Caの理想数に設定する。具体的には、ステップS403で算出した結果(
図14B)から求められる対象部品Caの補給予定数が理想数に設定される。そして、ステップS408では、余剰在庫数と理想数との差(=余剰在庫数-理想数)に基づき、部品保管庫2A~2Dに対して優先順位を設定する(
図14E)。
【0076】
図14Eは部品保管庫における対象部品の余剰在庫数と理想数との差に基づいた優先順位の設定例を模式的に示す図である。
図14Eの例では、部品保管庫2A、2B、2Cおよび2Dにおける対象部品Caの余剰在庫数と理想数との差は、1本、1本、-1本および-1本と求められ、余剰在庫数から理想数を減算した値が小さいほど、換言すれば、理想数に対する余剰在庫数の不足が多い部品保管庫2ほど高い優先順位が設定される。その結果、部品保管庫2A、2B、2C、2Dの優先順位は3、4、1、2となる。なお、差が等しい複数の部品保管庫2の優先順位については、余剰在庫が無くなる順序が早いほど高い優先順位を設定している。つまり、差が「-1」となる部品保管庫2C、2Dについては、部品保管庫2Cにおいて対象部品Caが無くなるタイミングは、19番目の部品切れタイミングであるのに対して、部品保管庫2Dにおいて対象部品Caが無くなるタイミングは、20番目の部品切れタイミングである(
図14B)。そこで、部品保管庫2Cの優先順位が部品保管庫2Dの優先順位より高く設定される。このように
図14Eに示す情報は、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Caの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Icに相当し、この入庫先候補情報Icは、上記の要領で演算部11によって算出されて、記憶部12に保存される。
【0077】
ステップS409では、演算部11は、作業者の入庫を支援するための支援画面を、入庫先候補情報Icに基づき生成して、UI13のディスプレイに表示する(
図14F)。
図14Fは第4入庫支援による支援画面の例を模式的に示す図である。この支援画面は、ステップS406~S408での演算結果を表示しており、具体的には、部品保管庫2A~2Dそれぞれの対象部品Caの理想数および余剰在庫数と、対象部品Caの入庫先としての部品保管庫2A~2Dの優先順位とを表示する。
【0078】
以上に説明する実施形態では、入庫の対象となる対象部品Ct、Caが部品保管庫2A~2Dにおいて実際に保管されている数である在庫数(余剰在庫数)が複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれについて取得される(ステップS305、S406)。そして、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ct、Caの入庫先の候補を示す入庫先候補情報Icが、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれにおける対象部品Ct、Caの在庫数(余剰在庫数)に基づき算出される(ステップS306~S407、S407~S408)。したがって、各部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Ca、Ctの在庫数(余剰在庫数)に応じた入庫先の候補を、入庫先候補情報Icによって確認できる。その結果、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから部品の入庫先として適切な部品保管庫2を簡便に判断することが可能となる。
【0079】
また、入庫先候補情報Icは、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれの対象部品Ct、Caの在庫数(余剰在庫数)に基づき算出した優先順位を付けて、複数の部品保管庫2A~2Dのそれぞれを候補として示す(
図12C、
図14E)。これによって、複数の部品保管庫2A~2Dそれぞれの優先順位を参照しつつ、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから対象部品Ct、Caの入庫先を選択することができる。
【0080】
また、演算部11(入庫先候補算出部)は、部品Cを保持する部品供給リールRを装着可能な複数のリール装着位置Sを有する部品供給台車4のリール装着位置Sに部品供給リールRを装着する段取り作業の内容(生産計画情報Iaの段取り情報)を取得する。さらに、演算部11は、互いに異なる部品保管庫2A~2Dに対応する複数の区分D(1)~D(4)に複数のリール装着位置Sを区分けし(ステップS301~S303)、部品保管庫2A~2Dに対応する区分D(1)~D(4)に属するリール装着位置Sに装着される対象部品Ctの数(部品供給リールRの本数)に基づき、部品保管庫2A~2Dにおける対象部品Ctの理想数を算出する(ステップS306)。かかる構成では、部品供給台車4の複数のリール装着位置Sが複数の区分D(1)~D(4)に区分けされて、各区分D(1)~D(4)に異なる部品保管庫2A~2Dが対応付けられる。そして、対象部品Ctが装着される予定のリール装着位置Sが属する区分D(1)~D(4)に対応する部品保管庫2A~2Dに、当該対象部品Ctを入庫することができる。そのため、段取り作業で部品供給台車4に装着すべき各部品Cを複数の部品保管庫2A~2Dから並行して出庫することができる。したがって、段取り作業に必要な各部品Cの出庫を短時間で完了することができる。
【0081】
また、演算部11(入庫先候補算出部)は、部品供給リールR(部品保持部材)に保持される部品Cを複数のテープフィーダ5(フィーダ)のそれぞれによって供給して基板Bに実装する際に、部品切れが発生するタイミングをシミュレーションする(ステップS401)。さらに、演算部11は、連続して発生すると予想される2度の部品切れに応じてテープフィーダ5に対して補給すべき2個の部品供給リールRを互いに異なる部品保管庫2に予め保管するとの計画に基づき、複数の部品保管庫2のそれぞれに保管すべき部品Cの数を算出した結果に基づき、部品保管庫2における対象部品Caの理想数を算出する(ステップS402~S404、S407)。かかる構成では、連続して部品切れが生じる各部品Cの出庫が同一の部品保管庫2に要求されて、これらの部品Cの出庫が滞るといった状況を回避することができる。
【0082】
このように上記の実施形態では、サーバコンピュータ1が本発明の「部品入庫支援装置」の一例に相当し、部品保管庫2、2A~2Dが本発明の部品保管庫の一例に相当し、演算部11が本発明の「在庫数取得部」および「入庫先候補算出部」の一例に相当し、UI13が本発明の「表示部」の一例に相当し、記録媒体19が本発明の「記録媒体」の一例に相当し、テープフィーダ5が本発明の「フィーダ」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Cが本発明の「部品」の一例に相当し、区分D(1)~D(4)が本発明の「区分」の一例に相当し、入庫先候補情報Icが本発明の「入庫先候補情報」の一例に相当し、生産計画PL1~PL3が本発明の「生産計画」の一例に相当し、部品入庫支援プログラムPxが本発明の「部品入庫支援プログラム」の一例に相当し、部品供給リールRが本発明の「部品保持部材」の一例に相当し、リール装着位置Sが本発明の「部品装着位置」の一例に相当する。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施例では、入庫先候補情報Icは、優先順位を付けつつ複数の部品保管庫2A~2Dを入庫先の候補として示す。しかしながら、複数の部品保管庫2A~2Dのうち、入庫先の候補として最適な一の部品保管庫2(すなわち、優先順位が最も高い部品保管庫2)を示すように、入庫先候補情報Icを構成してもよい。かかる構成では、複数の部品保管庫2A~2Dのうちから部品の入庫先として最適な一の部品保管庫2を簡便に判断することができる。なお。この変形例においてUI13のディスプレイに示される支援画面は、当該最適な一の部品保管庫2のみが、部品Cの入庫先として表示される。
【0084】
また、第1入庫支援において、部品保管庫2A~2Dに均等に部品Cを入庫するように支援するにあたっては、部品保管庫2A~2Dのそれぞれにおける対象部品Ctの理想数と在庫数の差分を用いることは必須ではない。例えば、部品保管庫2における対象部品Ctの在庫数が少ないほど、部品保管庫2に高い優先順位を付してもよい。
【0085】
また、入庫先候補情報Icは、複数の部品保管庫2のうちから対象部品Ctの入庫先の候補を示す情報であればよく、
図6B、
図9Bに示すように在庫数、理想数および差を含む必要は必ずしもない。
【0086】
また、上記実施形態では、部品実装システムMSに設けられた4台の部品保管庫2が本発明の「複数の部品保管庫」に相当する。ただし、4台の部品保管庫2のうち、一部(例えば3台)の部品保管庫2を本発明の「複数の部品保管庫」として取り扱って、上記の実施形態を適用してもよい。
【0087】
また、部品の入庫先を判断する主体としては、作業者である必要はなく、部品保管庫2への入庫および出庫を実行する作業ロボットでもよい。この場合、入庫先候補情報Icがサーバコンピュータ1から作業ロボットに送信され、作業ロボットは受信した入庫先候補情報Icに基づき部品Cの入庫先を決定する。
【0088】
また、部品保管庫2に入庫される部品Cは、部品供給リールRに保持される部品Cに限られず、トレイに保持される部品C(トレイ部品)でも構わない。
【符号の説明】
【0089】
1…サーバコンピュータ(部品入庫支援装置)
2、2A~2D…部品保管庫
11…演算部(在庫数取得部、入庫先候補算出部)
13…UI(表示部)
19…記録媒体
5…テープフィーダ(フィーダ)
B…基板
C…部品
D(1)~D(4)…区分
Ic…入庫先候補情報
PL1~PL3…生産計画
Px…部品入庫支援プログラム
R…部品供給リール(部品保持部材)
S…リール装着位置(部品装着位置)