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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】周回搬送機
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B65G47/86 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024008429
(22)【出願日】2024-01-24
【審査請求日】2024-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592089205
【氏名又は名称】久米機電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】久米 隆司
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第4481867(JP,B2)
【文献】特許第6552386(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/84
B65G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸着ノズルにより被搬送物を搬送させる周回搬送機において、
吸着手段と、公転手段と、複数の自転手段と、連動制御手段とを含み、
前記連動制御手段が、公転位置設定手段として機能する制御手段を備え、
前記吸着手段が、前記吸着設定手段と、前記吸着ノズルを備え、
前記公転手段が、複数の腕部軸と第1サーボモータとを備え、
前記腕部軸の各々が、公転軸と平行をなすように前記公転軸の周囲に配され、
第1サーボモータが、前記公転軸から各々の前記腕部軸までの距離を公転距離とし、各々の前記腕部軸を前記公転軸の周囲に一方向に公転周回させ、
各々の前記自転手段が、前記腕部軸と交差する腕部と、前記腕部の先端に備えられた前記吸着ノズルと、第2サーボモータとを備え、
第2サーボモータが、前記腕部軸から前記吸着ノズルの吸着面までの距離を自転距離とし、前記吸着ノズルを前記公転周回の方向に対して正逆自在に自転周回させ、
前記公転位置設定手段が、前記腕部と前記吸着ノズルに所定の動作をさせる公転位置を設定させ、
前記連動制御手段が、前記公転位置における、前記公転手段による公転周回と前記自転手段による自転周回と、前記吸着ノズルによる吸着とを連動させ、
前記吸着設定手段が、吸着作動位置における前記吸着面の向きを、前記被搬送物の被吸着面の向きと正対させる状態に設定させ、
前記正対させる状態で、前記吸着ノズルを負圧作動させ、前記被搬送物を吸着させ、
前記吸着ノズルを負圧作動させたままで、前記被搬送物を吸着解除位置まで周回搬送させ、前記吸着解除位置において前記吸着ノズルの吸着を解除させる、
ことを特徴とする周回搬送機。
【請求項2】
前記公転手段が、固定円盤と可動円盤を備えた第1接続手段を備え、
前記自転手段が、回転自在継手の中に空気流路を備えた第2接続手段を備え、
前記固定円盤が、第1サーボモータを固定する基台に固定され、
前記固定円盤又は前記可動円盤のいずれか一方に、複数の環状溝と複数の環状レールを、同心円状に備え、他方に、各々の前記環状溝に連通させる連通管と、各々の前記環状レールに接触して滑動する接触端子とを備え、
前記固定円盤と前記可動円盤とが向い合って接触しながら回転するように配され、
第1接続手段において前記環状レールと前記接触端子の接触により第2サーボモータに動力が供給され、前記環状溝から前記連通管に空気が連通されて、
更に第2接続手段において、前記連通管から前記空気流路に空気が連通されて、前記吸着ノズルに負圧を発生させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の周回搬送機。
【請求項3】
前記吸着作動位置と前記吸着解除位置の夫々において、
前記連動制御手段が、
前記自転手段による周回方向を、前記公転手段による周回方向と逆方向とさせ、
前記吸着作動位置と前記吸着解除位置において、前記吸着ノズルの通過速度を小さく制御させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の周回搬送機。
【請求項4】
更に、外観検査手段を含み、
前記外観検査手段が、前記吸着作動位置と前記吸着解除位置の間に配され、
前記外観検査手段より下流の不良品廃棄位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動制御させて、前記自転周回と前記公転周回とを同一方向とさせると共に前記吸着ノズルによる吸着を解除して、前記外観検査手段により不良品と判定された前記被搬送物を廃棄させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の周回搬送機。
【請求項5】
更に、下流に搬送コンベアを備え、
排出送り出し速度が、前記吸着ノズルの吸着を解除してから、前記被搬送物を前記搬送コンベアに沿って送り出す速度とされ、
前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記排出送り出し速度を前記搬送コンベアの搬送速度に一致させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の周回搬送機。
【請求項6】
更に、下流に搬送コンベアを備え、
排出送り出し速度が、前記吸着ノズルの吸着を解除してから、前記被搬送物を前記搬送コンベアに沿って送り出す速度とされ、
前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記排出送り出し速度を前記搬送コンベアの搬送速度に一致させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の周回搬送機。
【請求項7】
更に、下流に集積搬送機を備え、
前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記吸着面の排出送り出しを停止させ、吸着解除されて排出された前記被搬送物を、前記集積搬送機に先に重ねられた集積体の上に集積させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の周回搬送機。
【請求項8】
更に、下流に集積搬送機を備え、
前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記吸着面の排出送り出しを停止させ、吸着解除されて排出された前記被搬送物を、前記集積搬送機に先に重ねられた集積体の上に集積させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の周回搬送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルを円弧軌道に沿って周回させて、被搬送物を吸着ノズルに吸着させて取り込んで搬送させ、排出位置において吸着ノズルの吸着を解除して、被搬送物を排出する周回搬送機に関する。
【0002】
詳細には、公転周回の向きにかかわらず、自転周回の向きを任意に設定できるようにし、被搬送物の多様な貯留の態様に容易に対応できる周回搬送機に関する。
【0003】
更に、搬送中に被搬送物を外観検査し、検査結果に応じて、一つの位置で回転方向を使い分けて、一方の方向に不良品は廃棄して、他方の方向に良品のみを搬送できる周回搬送機に関する。また、複数ラインから搬送された被搬送物を、下流の一か所の集積場所に集積させる集積搬送機としても適用することができる周回搬送機に関する。
【背景技術】
【0004】
従来から、食品トレイ、粉末薬剤を収容した分包シート等の被搬送物を、予め所定の位置に貯留させておき、垂直面に沿って周回させる吸着ノズルにより、被搬送物を1つずつ吸着させて搬送し、下流側コンベアに排出させる周回搬送機の技術が知られている(非特許文献1)。
【0005】
この周回搬送機では、放射状に配設させた吸着ノズルを支える腕部を一定の角速度で公転周回させることに加えて、前記腕部を公転周回とは逆方向に一定の角速度で自転周回させ、円滑に被搬送物を取り込むとともに排出させている。
【0006】
具体的には、取込位置においては、吸着ノズルの吸着面を被搬送物の被吸着面に向け、排出位置においては、吸着ノズルの吸着面を下流側コンベアの載置面に向けるように、前記腕部を、公転周回に対して相対的に一定の角速度で自転周回させている。詳細には、搬送用の周回軸による公転の向きとは反対方向の向きに前記腕部を自転させて、腕部の先方の吸着ノズルの向きを制御している。
【0007】
しかし、吸着ノズルの公転周回と自転周回は、機械的な歯車・カムによって連動されているため、公転周回と自転周回との回転方向を変更する場合や、公転周回に対する自転周回のタイミング・角速度を変更する場合には、機械的な歯車・カムを交換しなければならないことになり、周回搬送機自体の交換が必要になる。取込か所数の変更、例えば3か所を4か所にする場合も同様で、周回搬送機自体の交換が必要になるという課題があった。
【0008】
具体的には、商品パッケージの形状・大きさを変更しようとする場合でも、被搬送物の重心近くの平坦で滑らかな位置を吸着する必要があるため、商品パッケージの変更に応じて被吸着面の位置等も変わり、機械的な歯車・カムにより周回搬送させる周回搬送機では対応が困難であった。
【0009】
また、被搬送物の材質・形状等に応じて、被搬送物を貯留させておく向きも適切に設定する必要がある。例えば、樹脂製の食品トレイの場合は、食品トレイを変形させないように、被吸着面がほぼ水平になるように重ねて貯留させている。一方、分包シートの場合は、被吸着面を水平に重ねるだけでなく、垂直又は斜めに重ねて貯留させることが多い。
【0010】
生産ラインの流れに応じて、被搬送物の被吸着面の位置・角度を変える場合でも、機械的な歯車・カムによって公転周回と自転周回とを連動させる従来の周回搬送機では、被搬送物の貯留の態様に適合させることが困難であるという課題があった。
【0011】
特許文献1には、垂直方向に回転する回転体に、被搬送物を吸着させるピッカーを放射状に配設させ、ピッカーを垂直方向に周回させてシート状物品を周回搬送させる物品受渡し装置の技術が開示されている。
【0012】
この文献に記載の技術は、垂直面に沿って、ピッカーを揺動させる揺動手段を備えさせている。この揺動手段により、シート状物品を正規の排出位置を通り過ぎさせてから、正規の排出位置に引き戻すように揺動させ、排出の際のシート状物品にかかる慣性力を小さくさせて、シート状物品を正規の排出位置に排出させるとしている。また、サーボモータを駆動手段として、ピッカーを往復揺動させてもよいことが記載されている。
【0013】
しかし、この技術による場合でも、周回搬送させる周回面の頂点がシート状物品の取込位置とされ、周回面の底点がシート状物品の排出位置とされ、生産ラインの変更に応じて、取込位置や排出位置を変えようとすると、周回搬送機自体を交換しなければならず汎用性がないという課題があった。
【0014】
特許文献2には、コンデンサ等の被搬送物を、周回搬送させながら外観検査をし、良品と不良品とに振り分けて排出させる外観検査装置の技術が開示されている。この文献に記載の搬送機の技術によれば、太陽歯車と遊星歯車とを連動させ、環状に等間隔で配設させた移動体を公転周回させながら、自転周回させている。
【0015】
被搬送物の各々は、予め等間隔で環状に設けられた停止位置の間を公転する毎に、移動体の中心軸周りに所定角度を自転させ、複数の停止位置において、被吸着面とは異なる面を、正対するカメラに順に向けて外観検査している。更に、検査後に、良品排出位置と不良品廃棄位置とが設けられ、不良品は不良品廃棄位置で吸着解除され、搬送機から廃棄されている。
【0016】
しかし、特許文献2に記載の技術も、太陽歯車と遊星歯車との機械的な歯車咬合により公転と自転とが連動されている。廃棄位置等を変更させることができるように、自転周回と公転周回とを任意の態様に連動させるためには、遊星歯車等の機械的部品を交換しなければならず、特許文献1に記載の技術と同様に、一つの位置で、自転方向を使い分けて、不良品を廃棄し、良品のみを搬送することはできないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
特許文献1:特開2017-137178号公報
特許文献2:特開2000-203713号公報
【非特許文献】
【0018】
非特許文献1:PACK-SMART INC.のYoutube公開動画,[令和5年10月10日検索],ウェブサイトURL<https://www.youtube.com/watch?v=IBWO2Ugsuvg>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、公転周回の向きにかかわらず、自転周回の向きを任意に設定できるようにし、被搬送物の多様な貯留の態様に容易に対応できる汎用性が高い周回搬送機を提供することである。
【0020】
また、被搬送物を周回搬送中に外観検査し、検査結果に応じて、一つの位置で回転方向を使い分けて、一方の方向に不良品は廃棄して、他方の方向に良品のみを搬送できる周回搬送機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の発明の周回搬送機は、複数の吸着ノズルにより被搬送物を搬送させる周回搬送機において、吸着手段と、公転手段と、複数の自転手段と、連動制御手段とを含み、前記連動制御手段が、公転位置設定手段として機能する制御手段を備え、前記吸着手段が、前記吸着設定手段と、前記吸着ノズルを備え、前記公転手段が、複数の腕部軸と第1サーボモータとを備え、前記腕部軸の各々が、公転軸と平行をなすように前記公転軸の周囲に配され、第1サーボモータが、前記公転軸から各々の前記腕部軸までの距離を公転距離とし、各々の前記腕部軸を前記公転軸の周囲に一方向に公転周回させ、各々の前記自転手段が、前記腕部軸と交差する腕部と、前記腕部の先端に備えられた前記吸着ノズルと、第2サーボモータとを備え、第2サーボモータが、前記腕部軸から前記吸着ノズルの吸着面までの距離を自転距離とし、前記吸着ノズルを前記公転周回の方向に対して正逆自在に自転周回させ、前記公転位置設定手段が、前記腕部と前記吸着ノズルに所定の動作をさせる公転位置を設定させ、前記連動制御手段が、前記公転位置における、前記公転手段による公転周回と前記自転手段による自転周回と、前記吸着ノズルによる吸着とを連動させ、前記吸着設定手段が、吸着作動位置における前記吸着面の向きを、前記被搬送物の被吸着面の向きと正対させる状態に設定させ、前記正対させる状態で、前記吸着ノズルを負圧作動させ、前記被搬送物を吸着させ、前記吸着ノズルを負圧作動させたままで、前記被搬送物を吸着解除位置まで周回搬送させ、前記吸着解除位置において前記吸着ノズルの吸着を解除させることを特徴としている。
【0022】
第1の発明によれば、第1サーボモータが公転手段として、腕部軸を公転軸の周囲に一方向に周回させ、第2サーボモータが自転手段として、腕部に装着された吸着ノズルを、各々の腕部軸の周りに正逆自在に周回させている。公転と自転とを、夫々のサーボモータにより個別に制御させているため、吸着ノズルの吸着面の停止位置・停止角度・タイミング等を任意に設定させることができる。
【0023】
周回の方向は、垂直面方向が好適であるが限定されず、水平方向であってもよく、任意の方向であってもよい。腕部軸の数は限定されず、必ずしも均等間隔に設定されていなくてもよい。各々の自転距離は同一であることが好適であるが、限定されない。
【0024】
吸着設定手段は、吸着作動位置における吸着ノズルの吸着面の向きを、被搬送物の被吸着面の向きと正対するように設定させる。被吸着面の角度が公転周回の外周面から傾いている場合には、吸着ノズルの吸着面が被吸着面と正対するように、腕部軸の基部から吸着ノズルまでの中間位置で腕部を屈曲させて、予め吸着ノズルの先方のみを傾けておいてもよい。
【0025】
また、吸着ノズルを支える腕部を第2サーボモータにより自転周回させて、吸着面を傾斜させてもよいことは勿論のことである。公転距離及び自転距離を変更可能とさせると共に、吸着ノズルの吸着面のみを傾斜可能とさせておくと、被搬送物の取込み位置、取込み角度が異なっても対応が容易であり、汎用性が高い周回搬送機となる。
【0026】
連動制御手段は、第1サーボモータの回転駆動と、第2サーボモータの回転駆動と、吸着ノズルによる吸着を連動させている。具体的には、連動制御手段は、第1サーボモータと第2サーボモータを連動させて、吸着作動位置にある被搬送物の被吸着面に吸着ノズルの吸着面を正対させて、吸着ノズルにより被搬送物を吸着させる。また、第1サーボモータと第2サーボモータを連動させて、吸着解除位置にある排出面、例えば搬送コンベア面等に吸着ノズルの吸着面を向けて、吸着ノズルによる吸着を解除させ、被搬送物を排出させる。
【0027】
また、吸着作動位置から吸着解除位置への経路においては、被搬送物を吸着させたままで傾斜させる等により、被搬送物と周回搬送機の部品等との衝突を回避させればよい。更には、複数の取込位置で被搬送物を取り込むこともでき、複数の位置に被搬送物を分配させることもできる。また、搬送途中で検査をして、不良品は一方の方向に自転周回させて廃棄し、同一場所で良品は逆方向に自転周回させて排出させることもできる。
【0028】
第1の発明によれば、2つのサーボモータの電子カムの設定と吸着の設定を、連動制御手段により変えるだけで、多様な生産ラインに周回搬送機を適用することができ、汎用性が高い周回搬送機とすることができるという従来技術にはない有利な効果を奏する。
【0029】
本発明の第2の発明は、第1の発明の周回搬送機であって、前記公転手段が、固定円盤と可動円盤を備えた第1接続手段を備え、前記自転手段が、回転自在継手の中に空気流路を備えた第2接続手段を備え、前記固定円盤が、第1サーボモータを固定する基台に固定され、前記固定円盤又は前記可動円盤のいずれか一方に、複数の環状溝と複数の環状レールを、同心円状に備え、他方に、各々の前記環状溝に連通させる連通管と、各々の前記環状レールに接触して滑動する接触端子とを備え、前記固定円盤と前記可動円盤とが向い合って接触しながら回転するように配され、第1接続手段において前記環状レールと前記接触端子の接触により第2サーボモータに動力が供給され、前記環状溝から前記連通管に空気が連通されて、更に第2接続手段において、前記連通管から前記空気流路に空気が連通されて、前記吸着ノズルに負圧を発生させることを特徴としている。
【0030】
第2の発明の周回搬送機は、向い合って滑動する一対の円盤をなす第1接続手段と、2つの空気流路を回転自在に連結させる第2接続手段とを備えている。第2の発明では、第1接続手段を介して第2サーボモータの電源が供給され、第1接続手段と第2接続手段を通して、負圧発生装置で生じさせた負圧が吸着ノズルに伝達される。
【0031】
基台に固定された第1サーボモータの回転駆動軸が、可動円盤を回転させ腕部を公転させても、連通管が環状溝のいずれかの位置と連通しているため、連通管と環状溝との気圧が同一とされ、公転される腕部まで負圧が伝達される。また、回転自在に連結させる第2接続手段により空気流路が連通管に連通されているため、第2サーボモータが吸着ノズルを自転させても、空気流路が捻じれることがなく、負圧発生装置による負圧が吸着ノズルまで伝達される。
【0032】
第2の発明によれば、公転と自転との回転角速度及び回転方向にかかわらず、吸着手段で発生させた負圧が吸着ノズルまで、円滑に伝達されるという効果を奏する。
【0033】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の周回搬送機であって、前記吸着作動位置と前記吸着解除位置の夫々において、前記連動制御手段が、前記自転手段による周回方向を、前記公転手段による周回方向と逆方向とさせ、前記吸着作動位置と前記吸着解除位置において、前記吸着ノズルの通過速度を小さく制御させることを特徴としている。
【0034】
第3の発明によれば、公転手段による腕部の公転周回と、腕部軸を中心軸とする吸着ノズルの自転周回が逆方向とされているため、腕部による吸着ノズルの公転周回速度を、吸着ノズルの自転周回速度により緩和させ、吸着作動位置と吸着解除位置において、吸着ノズルの通過速度を小さくすることができる。
【0035】
吸着作動位置においては、通過速度は被搬送物の材質・形状等に応じて、吸着ミスを発生させない通過速度に設定すればよく、吸着解除位置においては、下流の搬送機の搬送態様に応じた通過速度、具体的には、間欠コンベアや集積搬送機においては停止させ、連続コンベアにおいては連続コンベアの移動速度に通過速度を合わせればよい。
【0036】
第3の発明によれば、吸着作動位置において吸着ミスが発生しにくく、吸着解除位置において排出位置がずれにくいという有利な効果を奏する。食品トレイのように変形しやすい被搬送物にも適用することができ、排出位置において集積させるPTPシート等の集積搬送機にも適用することができ、周回搬送機の汎用性を高くすることができる。
【0037】
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明の周回搬送機であって、更に、外観検査手段を含み、前記外観検査手段が、前記吸着作動位置と前記吸着解除位置の間に配され、前記外観検査手段より下流の不良品廃棄位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動制御させて、前記自転周回と前記公転周回とを同一方向とさせると共に前記吸着ノズルによる吸着を解除して、前記外観検査手段により不良品と判定された前記被搬送物を廃棄させることを特徴としている。
【0038】
被搬送物が良品の場合に、吸着ノズルを自転させる方向を公転周回の周回方向と逆方向としておくと、排出の速度が緩和でき好適である。しかし、不良品と良品とを仕分けて、同一の周回位置で不良品を廃棄させるためには、良品の排出の場合と自転周回の回転方向を切り替えると好適である。
【0039】
連動制御手段が、外観検査結果に応じて、自転手段をなす第2サーボモータの回転方向を切り替えるように制御すればよい。第4の発明によれば、外観検査結果に応じて、第2サーボモータの回転方向の制御により、良品・不良品を仕分けられるという効果を奏する。
【0040】
本発明の第5の発明は、第3の発明の周回搬送機であって、更に、下流に搬送コンベアを備え、排出送り出し速度が、前記吸着ノズルの吸着を解除してから、前記被搬送物を前記搬送コンベアに沿って送り出す速度とされ、前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記排出送り出し速度を前記搬送コンベアの搬送速度に一致させることを特徴としている。
【0041】
ここで、「搬送コンベアに沿って」とは、搬送コンベアが水平に搬送させるときには水平方向とされ、搬送コンベアが斜めに搬送させるときには、搬送コンベアの傾斜方向とされればよい。搬送コンベアの搬送面が下流に向けて水平に連続搬送している場合には、被搬送物の排出位置において、第2サーボモータによる自転周回による速度と、第1サーボモータによる公転周回の速度とを変え、自転周回による速度と公転周回による速度の差を、搬送コンベアの搬送面の移動速度とさせればよい。
【0042】
第5の発明によれば、下流側の搬送コンベアが、連続搬送コンベアであっても、被搬送物の排出間隔を乱すことなく排出させることができる。これにより、より均等な間隔で被搬送物を送り出すことができるという効果を奏する。
【0043】
本発明の第6の発明は、第4の発明の周回搬送機であって、更に、下流に搬送コンベアを備え、排出送り出し速度が、前記吸着ノズルの吸着を解除してから、前記被搬送物を前記搬送コンベアに沿って送り出す速度とされ、前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記排出送り出し速度を前記搬送コンベアの搬送速度に一致させることを特徴としている。
【0044】
本発明の第7の発明は、第3の発明の周回搬送機であって、更に、下流に集積搬送機を備え、前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記吸着面の排出送り出しを停止させ、吸着解除されて排出された前記被搬送物を、前記集積搬送機に先に重ねられた集積体の上に集積させることを特徴としている。
【0045】
集積搬送機の集積面の位置は、予め固定されており、集積面に所定の数の被搬送物が集積されてから、集積体を搬送させる。ここで、「吸着面の排出送り出しを停止させ」とは、自転周回による速度を公転周回による速度と一致させ、吸着面が停止された状態で被搬送物が排出されればよい。吸着された被搬送物が先に積まれた集積体の上に重ねられ、所定の枚数の集積体とされてから、集積体が送り出されればよい。
【0046】
第7の発明によれば、複数の吸着ノズルの各々が搬送した被搬送物を、所定の集積位置において集積させてから、下流に搬送させることができる。これにより、被搬送物が、複数の生産ラインで製造されて周回搬送機に取り込まれた物であっても、一つの集積体として下流に排出することができ、下流側に別の集積搬送機が不要となるという効果を奏する。
【0047】
本発明の第8の発明は、第4の発明の周回搬送機であって、更に、下流に集積搬送機を備え、前記吸着解除位置において、前記連動制御手段が、前記公転手段と前記自転手段とを連動させて、前記吸着面の排出送り出しを停止させ、吸着解除されて排出された前記被搬送物を、前記集積搬送機に先に重ねられた集積体の上に集積させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0048】
・本発明の第1の発明によれば、2つのサーボモータの電子カムの設定と吸着の設定を、連動制御手段により変えるだけで、多様な生産ラインに周回搬送機を適用することができ、汎用性が高い周回搬送機とすることができるという従来技術にはない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、公転と自転との回転角速度及び回転方向にかかわらず、吸着手段で発生させた負圧が吸着ノズルまで、円滑に伝達されるという効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、吸着作動位置において吸着ミスが発生しにくく、吸着解除位置において排出位置がずれにくくいという有利な効果を奏する。
【0049】
・本発明の第4の発明によれば、外観検査結果に応じて、第2サーボモータの回転方向の制御により、良品・不良品を仕分けられるという効果を奏する。
・本発明の第5又は第6の発明によれば、より均等な間隔で被搬送物を送り出すことができるという効果を奏する。
・本発明の第7又は第8の発明によれば、被搬送物が、複数の生産ラインで製造されて周回搬送機に取り込まれた物であっても、一つの集積体として下流に排出することができ、下流側に別の集積搬送機が不要となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】周回搬送機の説明図(実施例1)。
図2】周回搬送機の主要な構成図(実施例1)。
図3】連動制御手段のブロック図(実施例1)。
図4】各位置の連動制御の説明図(実施例1)。
図5】連動制御設定の説明図(実施例1)。
図6】連動制御設定の説明図(実施例1)。
図7】連動制御設定の説明図(実施例1)。
図8】集積搬送機の説明図(実施例2)
図9】2物品搬送の説明図(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の周回搬送機は、第1サーボモータと第2サーボモータとを、夫々電子カムにより制御させ、公転軸の周囲に複数の腕部軸を第1サーボモータにより一方向に公転させ、各々の腕部軸の周囲に吸着ノズルを第2サーボモータにより回転方向自在に自転させる周回搬送機としている。これにより、所定の姿勢で搬送された被搬送物を取込み、周回搬送の途中で外観検査をして、良品・不良品を仕分けるだけでなく、間欠搬送、集積搬送等の下流の搬送機の必要性に応じた排出ができる周回搬送機とした。
【実施例1】
【0052】
実施例1の周回搬送機1を、図1から図7を参照して説明する。図1は周回搬送機1の構造を示している。図1(A)図は正面図を示し、図1(B)図は図1(A)図のA-A位置断面図、図1(C)図は図1(A)図のB-B位置断面図を示している。なお、理解を容易にするため、断面を示す斜線は一部のみを示している。また、外観検査手段をなす撮像手段の位置は任意であるが、横位置に設ける例を実線で示し、上位置に設ける例を太破線で示している(図1(A)図参照)。図2は周回搬送機1の主要な構成を示し、図3は連動制御手段のブロック図を示し、図4は各位置の連動状態を示し、図5から図7は電子カムの設定を示している。
【0053】
周回搬送機1は、4つの腕部10の先方の各々に装着された吸着ノズル11を周回させている。周回搬送機1は、第1位置(図1(A)図、図5から図7では(1)と示している、以下同じ)を、被搬送物20を吸着させる吸着作動位置とし、第2位置(2)で被搬送物20の外観検査をし、第3位置(3)を吸着解除位置とし不良品21を廃棄し、第4位置(4)を吸着解除位置としコンベアに良品22を排出させる。周回搬送機1には、公転手段をなす第1サーボモータ30(図1(C)図参照)と自転手段をなす4つの第2サーボモータ40が装着されている。
【0054】
第1サーボモータ30は、断面形状がL字形状をなす基台31の底板に固定され(図1(C)図参照)、その回転駆動軸を壁板32に貫通させ、回転駆動軸33が公転軸34とされている。また、壁板の腕部10を周回させる側には、第1接続手段35をなす固定円盤36が固設されている。回転駆動軸33の先方は、壁板32と固定円盤36を貫通して、公転軸34を軸心として回転する可動円盤37に連結されている。可動円盤37は、公転軸34の周りに、固定円盤36に滑るように接しながら回転される。
【0055】
固定円盤36には公転軸34の周囲に同心円状に、可動円盤37との接面側に環状溝38と環状レール39が形成されている。可動円盤37には、環状溝38に接触して空気を連通させる連通管41が設けられると共に、前記環状レール39に接触して、第2サーボモータ40の動力を供給する接触端子42が設けられている。環状溝38と連通管41、環状レール39と接触端子42は、夫々、自転手段の数に対応して設けられている。
【0056】
第1サーボモータの回転駆動軸33の先方には、十字形状をなす腕部軸支持板43が固定される。腕部軸支持板43が腕部10の支持部とされ、第1サーボモータ30の回転駆動により十字形状の交点中心に対して回転される。十字形状の各々の外方には、第2サーボモータ40が腕部軸支持板43に固定されている。各々の第2サーボモータの回転軸44は、腕部軸支持板43に設けられた貫通孔に貫通される。先端に吸着ノズルを装着させた腕部10が軸支される位置が、腕部軸13とされる。
【0057】
腕部10の軸支基部と第2サーボモータ40の回転軸44の先方との夫々には、咬合する歯車が装着され、第2サーボモータの回転軸44の回転駆動により、各々の吸着ノズル11を装着させた腕部10を腕部軸13の周りに回転させながら、第1サーボモータ30の回転駆動軸33の回転駆動により腕部10を公転軸34の周りに周回させる。
【0058】
換言すれば、各々の腕部10が腕部軸13の周りに自転されながら、公転軸34の周囲に公転される。公転軸34から腕部軸13までの距離が公転半径(α:図1(C)図参照)とされ、腕部軸13から吸着ノズル11までの距離が自転半径(β:図1(C)図参照)とされる。
【0059】
腕部10は中空軸とされ、中空軸の先方には吸着ノズル11が装着され、中空軸の基方が回転自在継手の中に空気流路を備えた第2接続手段45に接続されている。第2接続手段45から可動円盤37までの空気流路は、可動円盤の連通管41に接続され、連通管41は対応した固定円盤の環状溝38に開放され、負圧の空気が流通可能とされている。
【0060】
なお、実施例1の周回搬送機1では、固定円盤に環状溝38、可動円盤に連通管41を設けているが、逆に、固定円盤に連通管41、可動円盤に環状溝38を設け、負圧の空気を流通させてもよいことは勿論のことである。環状レール39と接触端子42も同様に、いずれかが固定円盤35の一方に、他方が可動円盤37に設けられればよい。
【0061】
吸着手段をなす負圧発生装置50では、各々の吸着ノズル11に、必要なタイミングで負圧を発生させるように、連動制御手段500(図3参照)により空気圧を制御させている。負圧発生装置50で発生された負圧が、固定円盤の環状溝38、可動円盤の連通管41、更に第2接続手段45の中の空気流路、腕部10の中空軸、吸着ノズル11へと順に伝達され、吸着ノズル11に被搬送物20が吸着される。また、負圧発生装置50において、適時のタイミングで負圧が解除され、吸着ノズル11から被搬送物20が廃棄又は排出される。
【0062】
固定円盤の環状溝38と可動円盤の連通管41との接触により空気流通を可能にしているため、第1サーボモータ30により回転駆動軸33が回転され、腕部10が公転されても、連通管41から第2接続手段45の空気流路を経て吸着ノズル11へ負圧の空気の流通が可能にされる。
【0063】
また、第2接続手段45がなす回転自在継手を経て吸着ノズル11に負圧の空気を流通させているため、腕部10が正逆可能に自転されても空気流路が捻じれず、負圧発生装置50で発生させた負圧が吸着ノズル11まで伝達される。また、第2サーボモータ40への電源は、固定円盤の環状レール39と可動円盤の接触端子42の接触により、腕部軸支持板43の回転にかかわらず維持される。
【0064】
腕部10の公転方向は限定されないが一方向でよく、周回搬送機1においては、腕部軸支持板43を右回転に公転周回させている(図1の一点鎖線参照)。腕部10の自転方向は限定されず、公転方向に対して正逆自在に自転周回が制御される。
【0065】
周回搬送機1は、公転手段100と、自転手段200と、吸着手段300と、外観検査手段400と、それらの動作を連動させる連動制御手段500とからなっている(図2参照)。公転手段100は、基台31に固定された第1サーボモータ30と腕部軸支持板43と、固定円盤36と可動円盤37からなる第1接続手段35とからなっている。自転手段200は腕部軸支持板43に固定された第2サーボモータ40と腕部10と吸着ノズル11と、空気流通可能な回転自在継手を備えた第2接続手段45とからなっている。
【0066】
吸着手段300は、吸着ノズル11と、吸着設定手段60と、負圧発生装置50とからなっている。吸着設定手段60は、吸着ノズル11の吸着面を被搬送物20の被吸着面に正対させるようにする。第1サーボモータ30と第2サーボモータ40の回転駆動を制御させる連動制御手段500を吸着設定手段60として機能させ、腕部10の自転の経路で前記吸着面と前記被吸着面とを正対させる吸着設定手段60としてもよい。また、腕部10の先端位置を傾倒可能な腕部構造とし、その腕部構造を吸着設定手段60に含めてもよい。
【0067】
外観検査手段400は、撮像手段401と外観判定手段402とからなっている。撮像手段401をなすカメラに、被搬送物20の被吸着面とは異なる面を撮影させ、外観判定手段402により被搬送物の良否を判定させればよい。被吸着面と異なる面とは、被吸着面の裏面に限定されず、例えばPTPシートが被搬送物である場合には、PTPシートの平坦面を被吸着面とし、錠剤凸部の色・形状等を側面から撮影して良否判定させてもよい。
【0068】
連動制御手段500は、周回搬送機の動作を制御する生産用PC、プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCという)等であればよい。生産用PC又はPLC等は、中央演算処理手段がなす制御手段510と、メモリ・HDD等がなす記憶手段520とからなっている(図3参照)。
【0069】
制御手段は(1)から(4)への経路において、第1サーボモータ30と第2サーボモータ40と負圧発生装置50との動作を制御し、吸着ノズル11の回転方向、回転速度、負圧状態を制御する。記憶手段520には、(1)から(4)への経路における、第1サーボモータ30と第2サーボモータ40と吸着ノズル11との動作処理規則が予め記憶される。
【0070】
連動制御手段をなす制御手段510は、公転位置設定手段511と、第1電子カム角速度設定手段512と、第2電子カム角速度設定手段513と、吸着状態設定手段514と、外観判定手段402とからなっている。公転位置設定手段511では、腕部10と吸着ノズル11に所定の動作をさせる公転位置を設定させる。実施例1では腕部10を十文字形状の先方にしているため、公転経路の中で4つの公転位置を基準として、(1)から(4)の位置が設定されるが、公転一周を三等分させた場合には、3つの公転位置が設定されればよい。なお、(1)から(4)の中間位置が公転位置として設定されてもよいことは勿論のことである。
【0071】
第1電子カム角速度設定手段512は、第1サーボモータ30の角速度を設定し、第2電子カム角速度設定手段513は第2サーボモータ40の角速度を設定する。吸着状態設定手段514は、公転位置設定手段により設定された公転位置(1)から(4)等において、吸着ノズル11の負圧を有効にし、被搬送物20を吸着させる状態とするか否かを設定する。外観判定手段402は、撮影した被吸着物20の外観から良品か否かを判定する。
【0072】
連動制御手段をなす記憶手段520は、公転位置記憶手段521として機能し、公転位置設定手段により設定された(1)から(4)等を記憶する。第1電子カム角速度記憶手段は522、前記設定された公転位置における第1電子カム角速度設定手段512により設定された第1サーボモータ30の角速度を記憶する。第2電子カム角速度記憶手段523は、前記設定された公転位置における第2電子カム角速度設定手段513に設定された第2サーボモータ40の回転方向と角速度を記憶する。吸着状態記憶手段524は、前記設定された公転位置における吸着ノズルの負圧状態を記憶する。判定条件記憶手段525は、撮像手段401で撮像した被搬送物20の外観により、被搬送物20の良否を判定する基準を記憶する。
【0073】
(1)から(4)における、周回搬送機1の動作処理と、公転方向と、自転方向と、負圧状態を、図4を参照して具体的に説明する。周回搬送機1は、(1)において、被搬送物20を吸着ノズル11で吸着させ、(2)で撮像手段401により被搬送物20の外観を撮像させて、(2)と(3)の間で、被搬送物20の外観を判定条件記憶手段に記憶された判定条件と対比して、外観判定手段402により被搬送物20を良品・不良品に判定させる。(3)で不良品21を廃棄させ、(4)で良品22を連続搬送コンベア70の上に排出させる(図1(A)図参照)。
【0074】
第1サーボモータ30は(1)から(4)のすべての位置で、同一の角速度で一方向に回転され、腕部軸支持板43に軸支された腕部軸13は右回転に公転される(図1(A)図一点鎖線矢印参照)。第2サーボモータは(1)から(4)の夫々の位置で、吸着、撮影、廃棄、排出に適するように腕部軸13を自転させる(図1(A)図鎖線矢印参照)。吸着ノズル11は、(1)で負圧とされ、(2)でも負圧が継続され、(3)では不良品の場合には負圧が解除され、良品の場合には負圧が継続され、(4)では良品・不良品のいずれも負圧が解除される。
【0075】
ここで図5から図7を参照して、第1サーボモータ30と第2サーボモータ40と負圧発生装置50の連動制御状態を詳細に説明する。図5から図7においては、(A)行が第1サーボモータ30の角速度を示し、(B)行が第2サーボモータ40の角速度を示し、(C)行が負圧発生装置50による吸着ノズル11の負圧状態を示している。図5では被搬送物を吸着ノズルに吸着してから撮像するまでの連動状態を示し、図6では撮像してから不良品を廃棄するまでの連動状態を示し、図7では撮像してから良品の排出までの連動状態を示している。
【0076】
まず、腕部10は一定速度で右回転に公転しているため、(1)から(4)を経て(1)に戻るまで、第1サーボモータ30の角速度は一定値K(rad/min:以下、単位を省略する)とされる。(1)においては、被搬送物20の被吸着面に吸着ノズル11の吸着面が正対して吸着できるように、公転による腕部10の右回転の移動速度を緩和させるようにする。腕部10は、(1)に至る前に予め僅かに右回転させておき、(1)を通過する際に、左回転に自転させるように第2サーボモータ40の回転駆動を制御させる。(1)における、腕部10の自転による角速度は、-a=K×(α/β)とさせると、公転による角速度を自転による角速度が打ち消し、正対させた状態で吸着ノズル11に被搬送物20を吸着することができる。
【0077】
(1)から(2)までの第2サーボモータ40による自転周回の角速度は、被搬送物20が他の物に干渉しないように且つ回転動作が過大にならないように、角速度、周回方向ともに、滑らかに変動するように任意に設定されればよい(aからbの破線参照)。(2)では腕部10が(2)に到来したときの状態により、撮像手段401のレンズに被搬送物20が正対するように、腕部10を角速度で左回転に回転させればよい(図5(B)図参照)。
【0078】
予め、(2)で腕部10が腕部軸支持板43に対して側方に交差した状態になっている場合((2)実線腕部参照)には、-bs0は0に近い角速度であればよい。一方、予め(2)で腕部が(1)で被搬送物を吸着させたままの状態である場合((2)破線腕部参照)には、レンズの前を通過する際に、レンズに正対させる角速度-bs1で回転すればよい(図5(B)図参照)。
【0079】
なお、撮像は瞬間的にされるため、被搬送物20がカメラに正対されて通過されればよく、自転方向は右回転又は左回転のいずれでもよい。例えば、カメラが公転中心軸の上位置(図1(A)図)にある場合には、公転方向と同じ方向に回転させてもよい(図7(B)図:bu参照)。しかし、自転速度を過大にさせず撮像時の通過速度を遅くするためには、予め被搬送物20がカメラを通り過ぎてから、左回転に自転させるようにすると好適である(図5(B)行の一点鎖線参照)。
【0080】
(2)から(3)の間に、良品・不良品の判定がされる。被搬送物20が不良品21と判定された場合には、腕部10を公転方向と同じ、右回転に自転させるように、第2サーボモータ40が回転駆動され、(3)で不良品が任意の角速度dで自転され(図6(B)行参照)、吸着が解除されて(図6(C)行参照)、不良品21が廃棄される(図1(A)図参照)。被搬送物20が良品と判定された場合には、腕部10は公転方向とは反対方向の左回転に回転され、被搬送物20を吸着させたままで、(3)を通過する(図4参照)。
【0081】
(4)で負圧が解除され、良品22が排出される(図1(A)図参照)。良品は連続搬送コンベア70の移動速度に一致させるように、自転周回による左回転の角速度pによる移動速度が公転による右回転の角速度Kによる移動速度よりも大きくされる(図7(B)行参照)。換言すれば、「(左回転の角速度:p)-(右回転の角速度:K)」による移動速度が「連続搬送コンベアの移動速度」に一致されればよい。そうすることにより、(4)で連続搬送コンベア70に所定の間隔で被搬送物20を排出させることができる。
【0082】
被搬送物20が不良品21であった場合には、予め(3)で不良品が廃棄されているため、腕部10は、(1)に戻る前に良品22の被搬送物を周回させていた腕部10と同じ態様とされればよい。(4)で良品を排出させた腕部10は、(1)に戻る前に僅かに右回転させておき、(1)を通過する際に、左回転に自転させるように第2サーボモータ40の回転を制御させるようにすればよい(図7(B)図破線参照)。
【実施例2】
【0083】
実施例2では、集積搬送機80として使用される周回搬送機2を、図8を参照して説明する。周回搬送機2の構造、連動制御手段500の連動の機構等は実施例1の周回搬送機1と同様であるため、周回搬送機2の構造・機構等については実施例1と同様であり、詳細な説明を省略し、集積搬送機80として分包シート23を集積させる態様だけを、簡単に説明する。
【0084】
図8(A)図は、異なる上流で製造された分包シート23,23を、図8において左方(1)と上方(2)とから吸着ノズル11,11で取込み、(2)と(3)の間で外観検査し、不良品を(3)で廃棄し、良品を(4)で集積させて、搬送させる集積搬送機80を説明する説明図である。図8(B)図は不良品を廃棄してから良品を集積させる説明図であり、図8(C)図は集積させた集積体24を側方に押し出す状態を説明する説明図である。
【0085】
(1)と(2)では、腕部軸支持板43に軸支された腕部が第1サーボモータにより右回転に公転される。(1)と(2)では、吸着ノズル11を分包シート23に正対させて吸着して取り込むために、腕部が第2サーボモータにより左回転に自転周回される。(3)では不良品を吸着させた腕部は右回転に自転周回され、良品を吸着させた腕部は左回転に自転周回され、(4)で公転周回による移動速度を自転周回の移動速度が打ち消して、腕部10の水平方向の移動を停止させた状態で、前に排出させた分包シートを重ねた集積体24の上に重ねて、新しく周回搬送させた分包シート23を集積させる(図8(B)図参照)。
【0086】
(2)の後に、外観検査により不良品を選別させてから不良品を廃棄するには、第2サーボモータ40により第1サーボモータ30による公転方向と同じ方向に、腕部10を自転周回させて、不良品とされた分包シート23を(3)で廃棄場所に廃棄させる。不良品を廃棄させた後、第2サーボモータ40による自転方向を反転させ、廃棄場所との干渉を回避すればよい(図8(B)図参照)。
【0087】
集積位置に、所定数の良品の分包シート23が集積された集積体24とされてから、集積体載置台25が下方にスライドされ、集積体搬送レール26に押出ロッド27により押し出され、集積体24は下流に搬送される(図8(C)図参照)。
【実施例3】
【0088】
実施例3では、容器に内容物を載せて間欠搬送させる周回搬送機3を、図9を参照して、簡単に説明する。周回搬送機3は、(1)で内容物を吸着ノズルに吸着させ、隣接した(2)で容器を吸着させ、(4)で、一つの周回で内容物と容器をセットで周回させて、容器に内容物を載せる周回搬送機である。
【0089】
周回搬送機3は、異なる2つの種類の物品を被搬送物として周回搬送して、先に搬送された容器27の上に、後から周回搬送された内容物28を重ねて搬送する周回搬送機として機能する。内容物28は上流の(1)から取り込まれ、容器27は下流の(2)から取り込まれ、交互に周回搬送される。内容物28と容器27が交互に周回搬送されるため、容器27が間欠搬送コンベア71に載置される際には、上流の腕部10に内容物28が吸着されたままとされる。
【0090】
間欠搬送コンベア71が停止した状態で、容器27の公転周回による移動速度を打ち消すように、自転周回による移動速度が制御され、間欠搬送コンベア71に容器27が載置される。容器27が載置されてから、腕部軸支持板43が1/4周公転周回され、容器27の載置の際と同様に、自転周回と公転周回が制御され、容器27の中に内容物28が載置される。そして間欠搬送コンベア71が水平移動される。
【0091】
更に、腕部軸支持板43が1/4周公転周回した状態で、吸着ノズル11に容器27も内容物28も吸着させていない連続した2つの腕部10の先方の吸着ノズル11の下流側には容器27が吸着され、上流側には内容物28が吸着されて周回搬送される。以下同様に、容器27と内容物28が周回されればよい。
【0092】
(その他)
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
・実施例1では、第1サーボモータと第2サーボモータの連動制御は、理解を容易にするために、角速度を使って説明しているが、角加速度を使って連動制御してもよいことは勿論のことである。
・実施例1では、公転軸に一つ自転周回面が設けられた搬送機の例を示しているが、公転軸に複数の自転周回面を設け、複数の被搬送体を同時に吸着して搬送する周回搬送機としてもよいことは勿論のことである。
・実施例1では連続搬送コンベアの搬送の向きを、左方向とした場合には公転周回による速度が自転周回の速度より大きく、右方向とした場合には公転周回による速度が自転周回の速度より小さくされればよい。
【符号の説明】
【0093】
1,2,3…周回搬送機、
10…腕部、11…吸着ノズル、13…腕部軸、
20…被搬送物、21…不良品、22…良品、23…分包シート、
24…集積体、25…集積体載置台、26…集積体搬送レール、27…押出ロッド、
27…容器、28…内容物、
30…第1サーボモータ、31…基台、32…壁板、33…回転駆動軸、
34…公転軸、35…第1接続手段、36…固定円盤、37…可動円盤、
38…環状溝、39…環状レール、
40…第2サーボモータ、41…連通管、42…接触端子、
43…腕部軸支持板、44…回転軸、45…第2接続手段、
50…負圧発生装置、60…吸着設定手段、70…連続搬送コンベア、
71…間欠搬送コンベア、80…集積搬送機、
100…公転手段、200…自転手段、300…吸着手段、
400…外観検査手段、401…撮像手段、402…外観判定手段、
500…連動制御手段、510…制御手段、520…記憶手段、
511…公転位置設定手段、512…第1電子カム角速度設定手段、
513…第2電子カム角速度設定手段、514…吸着状態設定手段、
521…公転位置記憶手段、522…第1電子カム角速度記憶手段、
523…第2電子カム角速度記憶手段、524…吸着状態記憶手段、
525…判定条件記憶手段
【要約】
【課題】公転周回の向きにかかわらず、自転周回の向きを任意に設定できるようにし、被搬送物の多様な貯留の態様に容易に対応できる周回搬送機を提供する。
【解決手段】
周回搬送機において、複数の腕部軸13と第1サーボモータ30とを備え、第1サーボモータが、公転軸34から各々の腕部軸までの距離を公転距離とし、各々の腕部軸を公転軸の周囲に一方向に公転周回させ、第2サーボモータ30が、各々の腕部10に装着された吸着ノズル11を正逆自在に自転周回させ、吸着設定手段60が、吸着作動位置における吸着面の向きを、被搬送物20と正対する状態に設定させ、連動制御手段500が、公転周回と、自転周回と、吸着ノズルによる吸着とを連動させ、吸着ノズルに被搬送物を吸着させ、吸着ノズルを負圧とさせたままで、被搬送物を吸着解除位置まで周回搬送させ、吸着解除位置において吸着ノズルの吸着を解除させるようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9