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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20240425BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20240425BHJP
   B68G 7/05 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B60R21/207
B60N2/42
B68G7/05 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022181887
(22)【出願日】2022-11-14
(65)【公開番号】P2023076812
(43)【公開日】2023-06-02
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202111393472.4
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】千田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山部 篤史
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10000176(US,B2)
【文献】米国特許第8113539(US,B2)
【文献】特開2000-043669(JP,A)
【文献】特表2001-513728(JP,A)
【文献】特開2001-088649(JP,A)
【文献】米国特許第7669889(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドエアバック装置を備えた車両用シートであって、
シートバックの側部内に設けられる第1力布と、
前記シートバックの側部内に設けられ、前記第1力布に外側から重なるように設けられる第2力布と、を備え、
前記第1力布と前記第2力布とによって、前記サイドエアバック装置が収容される下方に開口した袋部が形成されてなり、
前記袋部は、前記第1力布と前記第2力布との端辺部同士が縫い合わされた力布縫合部を有し、
前記力布縫合部は、前記シートバックの表皮を構成するシートバック表皮の表皮同士を縫い合わせた表皮縫合部において、一方の表皮に前記第1力布が重ね合わされるとともに他方の表皮に前記第2力布が重ね合わされた状態で、表皮同士とともに縫い合わされる、車両用シート。
【請求項2】
前記第1力布と前記第2力布とは、大きさが異なっており、
前記第1力布及び前記第2力布のうち、大きい方において、前記袋部が形成されていない領域には、前記大きい方の前記表皮縫合部側の端辺部側を除いた端辺部側に、前記大きい方をシートバックフレームに固定する固定点を有する、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第1力布と前記第2力布とは、大きさが異なっており、
前記第1力布及び前記第2力布のうち、小さい方において、前記袋部が開口する端辺部が後方に行くに従って上方に傾斜している、請求項1又は2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記シートバックの側部内には、インフレータが設けられ、
前記インフレータは、吹き出し口が前記袋部の開口から前記袋部内に差し込まれている、請求項1又は2に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記第1力布には、前記表皮縫合部側とは逆側に、第1縫い合わせ部が形成され、
前記第2力布には、前記表皮縫合部側とは逆側に、第2縫い合わせ部が形成されており、
前記袋部は、前記力布縫合部と、前記第1縫い合わせ部と前記第2縫い合わせ部とが縫い合わされた縫合部とを有する、請求項1又は2に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記袋部の開口には、補強布部が縫合される、請求項5に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバックを備える車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の発明では、シートバック肩口内に設けられたサイドエアバッグ装置の周囲を囲うように、第1力布と第2力布とからなる力布が設けられている。第1力布は、展開状態において、一対の固定縁から縫合縁に向けて夫々幅広となる先拡がり形状に形成されている。第2力布は、展開状態において、縫合縁よりも幅狭のベルト状に形成されている。
【0003】
第1力布は、シートバックフレーム側に取り付けられる固定縁から、サイドエアバッグ装置におけるエアバッグ袋体の展開方向であるドア側サイド部のフロント表皮側及びサイド表皮側に夫々延びて、固定縁よりも幅広の縫合縁においてフロント表皮とサイド表皮との縫合部に夫々共縫いされている。第2力布は、第1力布と共に固定金具に固定された固定縁からドア側サイド部のフロント表皮側及びサイド表皮側に、第1力布の外側に沿って夫々延びて、フロント表皮とサイド表皮との縫合部に夫々共縫いされている。
【0004】
このような構成により、下記特許文献1に記載の車両用シートでは、縫合部の開裂起点から若干ずれた位置にサイドエアバッグ装置のエアバッグ袋体が展開して行き、その部分に膨張圧力が作用した場合においても、縫合部を開裂させることができる。すなわち、下記特許文献1の車両用シートでは、サイドエアバッグ装置の作動時におけるエアバッグ袋体の展開方向にばらつきがあっても、確実にシートバック表皮を開裂させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4544089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の場合、第1力布と第2力布との組み合わせにより、エアバッグ袋体が横側に膨張する際のエネルギーを開裂起点に伝えることができる。しかしながら、従来の場合、サイドエアバッグ装置の上方が力布にて覆われていないため、エアバッグ袋体が上方に膨張した際のエネルギーを開裂起点に十分に伝えることができない。
【0007】
本発明は、サイドエアバック装置のサイドエアバックが横側だけでなく上側に膨張した場合において、シートバック表皮を確実に引き裂くことができる車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、サイドエアバック装置を備えた車両用シートであって、シートバックの側部内に設けられる第1力布と、前記シートバックの側部内に設けられ、前記第1力布に外側から重なるように設けられる第2力布と、を備え、前記第1力布と前記第2力布とによって、前記サイドエアバック装置が収容される下方に開口した袋部が形成されてなり、前記袋部は、前記第1力布と前記第2力布との端辺部同士が縫い合わされた力布縫合部を有し、前記力布縫合部は、前記シートバックの表皮を構成するシートバック表皮の表皮同士を縫い合わせた表皮縫合部において、一方の表皮に前記第1力布が重ね合わされるとともに他方の表皮に前記第2力布が重ね合わされた状態で、表皮同士とともに縫い合わされる。
【0009】
(2)本発明は、上記(1)において、前記第1力布と前記第2力布とは、大きさが異なっており、前記第1力布及び前記第2力布のうち、大きい方において、前記袋部が形成されていない領域には、前記大きい方の前記表皮縫合部側の端辺部側を除いた端辺部側に、前記大きい方をシートバックフレームに固定する固定点を有していてもよい。
【0010】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)において、前記第1力布と前記第2力布とは、大きさが異なっており、前記第1力布及び前記第2力布のうち、小さい方において、前記袋部が開口する端辺部が後方に行くに従って上方に傾斜していてもよい。
【0011】
(4)本発明は、上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記シートバックの側部内には、インフレータが設けられ、前記インフレータは、吹き出し口が前記袋部の開口から前記袋部内に差し込まれていてもよい。
【0012】
(5)本発明は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記第1力布には、前記表皮縫合部側とは逆側に、第1縫い合わせ部が形成され、前記第2力布には、前記表皮縫合部側とは逆側に、第2縫い合わせ部が形成されており、前記袋部は、前記力布縫合部と、前記第1縫い合わせ部と前記第2縫い合わせ部とが縫い合わされた縫合部とを有してもよい。
【0013】
(6)本発明は、上記(5)において、前記袋部の開口には、補強布部が縫合されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サイドエアバック装置のサイドエアバックが横側だけでなく上側に膨張した場合において、シートバック表皮を確実に引き裂くことができる車両用シートを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートバックを示す概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートバックの内部を示す概略側面図である。
図3】力布とシートバック表皮との縫合部を示す概略横断面図である。
図4】力布の展開状態を示す説明図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る車両用シートに用いられる力布を示す説明図である。
図6図5の力布とシートバック表皮との縫合途中を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートバックを示す図であり、図1は概略斜視図、図2はシートバックの内部を示す概略右側面図である。本実施形態の車両用シート1は、自動車の座席であって、座面部である図示しないシートクッションと、シートクッションの後端部に前後方向にリクライニング可能に設けられるシートバック2とを備える。
【0018】
シートクッションは、従来公知の構成であって、フレームに表皮材で覆われたクッションパッドが載置されて構成される。シートクッションは、車体に対して着脱可能とされている。
【0019】
シートバック2は、背もたれ部であって、シートバックフレーム3と、シートバックフレーム3に被せられる図示しないシートバックパッドと、シートバックパッドを覆うシートバック表皮4とを有する。シートバックフレーム3は、シートバック2の骨組みであって、例えば金属材料から形成されている。シートバックパッドは、クッションであって、例えばウレタンフォームなどの発泡体から形成されている。シートバック表皮4は、シートバック2の表皮を構成する部材であって、例えば革などから形成されている。
【0020】
シートバック2は、車両の幅方向である左右方向の中央部よりも左右の側部5,5が前方に膨出して形成されている。シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5内には、図示しないサイドエアバック装置が設けられる。
【0021】
そのため、本実施形態のサイドエアバック装置を備えた車両用シート1は、シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5内に設けられる第1力布6及び第2力布7を備える。図3は、力布とシートバック表皮との縫合部を示す概略横断面図である。図4は、力布の展開状態を示す説明図である。
【0022】
本実施形態の車両用シート1では、第1力布6と第2力布7とは、大きさが異なっている。図示例では、第1力布6が第2力布7よりも大きく形成されている。
【0023】
第1力布6は、上下方向に細長い側面視略矩形のシート状であって、全体として上下方向略中央部が後方に屈曲した形状である。第1力布6は、前側に位置する端辺部8(以下、前側端辺部という)と、後側に位置する端辺部9(以下、後側端辺部という)と、前側端辺部8の上端部と後側端辺部9の上端部とを接続する端辺部10(以下、上側端辺部という)と、前側端辺部8の下端部と後側端辺部9の下端部とを接続する端辺部11(以下、下側端辺部という)とを有する。シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5内において、第1力布6は、長手方向が上下方向に沿うようにして配置される。
【0024】
第2力布7は、側面視略矩形のシート状で、上下方向の長さが第1力布6の上下方向の長さよりも短く形成されている。図2に示すように、第2力布7は、第1力布6に外側から重なるように設けられる。この重ねられた状態において、第2力布7の前後方向を規定すると、第2力布7は、図4に示すように、前側に位置する端辺部12(以下、前側端辺部という)と、後側に位置する端辺部13(以下、後側端辺部という)と、前側端辺部12の上端部と後側端辺部13の上端部とを接続する端辺部14(以下、上側端辺部という)と、前側端辺部12の下端部と後側端辺部13の下端部とを接続する端辺部15(以下、下側端辺部という)とを有する。なお、本実施形態では、第1力布6の後側端辺部9の上部と第2力布7の後側端辺部13とが連接されている。すなわち、第1力布6と第2力布7とは、一枚の布から形成されている。
【0025】
第1力布6と第2力布7とによって、下方に開口した袋部16が形成される。具体的には、第1力布6と第2力布7とが重ね合わされた状態で、第1力布6の前側端辺部8の上部と第2力布7の前側端辺部12、及び第1力布6の上側端辺部10と第2力布7の上側端辺部14が縫い合わされ、第1力布6と第2力布7の下側端辺部15が縫い合わされないことで、下方に開口した側面視略矩形状の袋部16が第1力布6の上部に形成される。このようにして形成された袋部16は、第1力布6と第2力布7との端辺部同士が縫い合わされた力布縫合部17を有する。袋部16内には、下方への開口18から、サイドエアバック装置が収容される。本実施形態では、第1力布6と第2力布7とが一枚の布から形成されていたが、第1力布と第2力布とが別の布から形成されていてもよい。この場合、下方への開口部を有する袋部を形成するように、第1力布及び第2力布の端辺部同士が縫い合わされる。
【0026】
なお、本実施形態の車両用シート1では、第2力布7の下側端辺部15は、第1力布6と第2力布7とが重ね合わされた状態において、後方に行くに従って上方に傾斜している。従って、第2力布7において、袋部16が開口する端辺部19が後方に行くに従って上方に傾斜している。
【0027】
図1及び図3に示すように、シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5において、シートバック表皮4は、シートバック2の前側を覆う第1表皮20と、シートバック2の横側から後側にかけてを覆う第2表皮21とを有し、第1表皮20と第2表皮21とが縫い合わされた表皮縫合部22が形成されている。このようにして、シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5の前側には、シートバック表皮4の表皮同士が縫い合わされた表皮縫合部22が形成されている。
【0028】
前述したように袋部16内にサイドエアバック装置が収容されるので、シートバック2の側部5内から、サイドエアバック装置のサイドエアバックが展開膨張して外部に膨出できるように、力布縫合部17と表皮縫合部22とが重なっている。具体的には、第1力布6と第2力布7との端辺部同士が縫い合わされた力布縫合部17の一部である前側部分は、シートバック表皮4の表皮同士を縫い合わせた表皮縫合部22において、一方の表皮である第1表皮20の端部に第1力布6の前側端辺部8が重ね合わされるとともに、他方の表皮である第2表皮21の端部に第2力布7の前側端辺部12が重ね合わされた状態で、表皮同士とともに縫い合わされる。
【0029】
図2に示すように、第1力布6における袋部16が形成されていない領域23において、第1力布6の表皮縫合部22側の端辺部側を除いた端辺部側に、第1力布6をシートバックフレーム3に固定する固定点24を有する。本実施形態では、前記領域23において、第1力布6の前側端辺部8側を除いた下側端辺部11側又は後側端辺部9側に固定点24を有する。例えば、図2に示すように、第1力布6の下端部の後側に、固定点24を有する。第1力布6は、固定点24において、シートバックフレーム3に固定される。この際、第1力布6は、ボルトナットによってシートバックフレーム3に固定してもよいし、クリップ締結によってシートバックフレーム3に固定してもよい。なお、図示例では、固定点24は、1つとされたが、これに限定されるものではなく、複数であってもよい。
【0030】
図2に示すように、シートバック2のセンターコンソール側に位置する側部5内には、インフレータ25が設けられる。インフレータ25は、シートバックフレーム3に固定される。この固定状態において、インフレータ25は、吹き出し口26が袋部16の開口18から袋部16内に差し込まれている。
【0031】
本実施形態の車両用シート1の場合、サイドエアバック装置は、第1力布6と第2力布7とによって形成される袋部16内に収容される。そして、第1力布6と第2力布7とを縫い合わせた力布縫合部17とシートバック表皮4の表皮同士を縫い合わせた表皮縫合部22とが重なっている。従って、本実施形態の車両用シート1では、サイドエアバックが展開する際に横方向にかかる力だけでなく上方向にかかる力も余すことなく吸収でき、その吸収した力を力布縫合部17と表皮縫合部22とが重なっている部分に集中させて、サイドエアバックの展開時においてスムーズにシートバック表皮4を引き裂くことができる。
【0032】
また、本実施形態の車両用シート1の場合、第1力布6の袋部16が形成されていない領域23において、第1力布6の下側端辺部11側又は後側端辺部9側に、第1力布6をシートバックフレーム3に固定する固定点24を有している。従って、本実施形態の車両用シート1では、力布縫合部17と表皮縫合部22とが重なっている部分に、袋部16で吸収したサイドエアバックの膨張する力を逃がさずに伝えることができる。
【0033】
また、本実施形態の車両用シート1の場合、第2力布7において、袋部16が開口する端辺部19が後方に行くに従って上方に傾斜している。すなわち、第2力布7における表皮縫合部22側の端辺部(前側端辺部12)は、第2力布7の後側端辺部13よりも上下に長く形成されている。従って、本実施形態の車両用シート1では、シートバック2膨張時の力の伝達効率を上げつつ、使用する第2力布7の大きさを最小限にできる。
【0034】
さらに、本実施形態の車両用シート1の場合、インフレータ25の気体の吹き出し口26が袋部16内に差し込まれている。従って、本実施形態の車両用シート1では、袋部16にインフレータ25の吹き出し口26から出る空気が当たるようになるので、より確実にシートバック表皮4を引き裂くことができる。
【0035】
次に、本発明の車両用シートの他の実施形態について説明する。図5は、本発明の他の実施形態に係る車両用シートに用いられる力布を示す説明図である。図6は、図5の力布とシートバック表皮との縫合途中を示す概略斜視図であり、後方から見た状態を示している。すなわち、図6は、袋部を形成する途中を示している。なお、本実施形態では、その特徴部分を説明するものとし、上記実施形態で説明した事項については、説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、力布の構成が前記実施形態と異なる。図5及び図6に示すように、第1力布6には、表皮縫合部22側とは逆側に、第1縫い合わせ部27が形成されている。第1縫い合わせ部27は、側面視略矩形状の布で、第1力布6の後側端辺部9の上部に後方に延出して形成されている。本実施形態では、第1力布6と第1縫い合わせ部27とは、一枚の布から形成されているが、別の布から形成されていてもよい。第2力布7には、表皮縫合部22側とは逆側に、第2縫い合わせ部28が形成されている。第2縫い合わせ部28は、側面視略矩形状の布で、第2力布7の後側端辺部13に後方に延出して形成されている。本実施形態では、第2力布7と第2縫い合わせ部28とは、一枚の布から形成されているが、別の布から形成されていてもよい。
【0037】
第1縫い合わせ部27が形成された第1力布6と第2縫い合わせ部28が形成された第2力布7とによって、前記実施形態と同様に下方に開口した袋部16が形成される。この袋部16を形成する際には、第1力布6と第2力布7、及び第1縫い合わせ部27と第2縫い合わせ部28とが重ね合わされた状態で、第1力布6の前側端辺部8の上部と第2力布7の前側端辺部12、及び第1力布6の上側端辺部10と第2力布7の上側端辺部14が縫い合わされるとともに、第1縫い合わせ部27と第2縫い合わせ部28とが後側において縫い目が上下方向に沿うように縫い合わされる。従って、袋部16は、第1力布6と第2力布7との端辺部同士が縫い合わされた力布縫合部17と、縫い目が上下方向に沿う縫合部29とを有する。
【0038】
なお、袋部16を形成する際には、前記実施形態の場合と同様に、第1力布6の前側端辺部8の上部と第2力布7の前側端辺部12との縫合部分と表皮縫合部22とが重なっている。すなわち、第1力布6の前側端辺部8の上部と第2力布7の前側端辺部12とは、一方の表皮である第1表皮20の端部に第1力布6の前側端辺部8が重ね合わされるとともに、他方の表皮である第2表皮21の端部に第2力布7の前側端辺部12が重ね合わされた状態で、表皮同士とともに縫い合わされる。
【0039】
また、本実施形態では、袋部16の構成が前記実施形態と異なる。図6に示すように、袋部16の下方への開口18には、布からなる補強布部30が縫合される。具体的には、袋部16の開口18のうち、第2力布7と第2縫い合わせ部28とからなる部分の外側に、補強布部30が縫合される。すなわち、第2力布7の下端部及び第2縫い合わせ部28の下端部において、第2力布7から第2縫い合わせ部28にかけて、帯状の補強布部30が縫合される。また、袋部16の開口18のうち、第1力布6と第1縫い合わせ部27とからなる部分の外側に、図示しない補強布部が縫合される。
【0040】
本実施形態では、第1力布6と第1縫い合わせ部27とからなる部分に補強布部が設けられるとともに、第2力布7と第2縫い合わせ部28とからなる部分に補強布部30が設けられたが、第1力布6と第1縫い合わせ部27とからなる部分に設けられる補強布部と、第2力布7と第2縫い合わせ部28とからなる部分に設けられる補強布部30とが一体であってもよい。また、本実施形態では、第1力布6と第1縫い合わせ部27とからなる部分の外側に補強布部が設けられるとともに、第2力布7と第2縫い合わせ部28とからなる部分の外側に補強布部30が設けられたが、第1力布6と第1縫い合わせ部27とからなる部分の内側に補強布部が設けられるとともに、第2力布7と第2縫い合わせ部28とからなる部分の内側に補強布部が設けられてもよい。
【0041】
本実施形態の場合、袋部16を形成する際に、袋部16の後側において、第1縫い合わせ部27と第2縫い合わせ部28とが縫合される。従って、力布同士が縫合し易くなり、袋部16を容易に形成することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の場合、袋部16の開口18を囲むように補強布部が設けられる。従って、袋部16内のサイドエアバック装置が展開する際に袋部16の下部に負荷が集中して力布が破れるのを防止できる。
【0043】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0044】
例えば上記各実施形態では、第1力布6が第2力布7よりも大きく形成されたが、これとは逆に、第2力布が第1力布よりも大きく形成されてもよい。この場合、第2力布が固定点を有することになる。また、第1力布において、袋部が開口する端辺部が後方に行くに従って上方に傾斜することになる。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートバックフレーム
4 シートバック表皮
5 側部
6 第1力布
7 第2力布
16 袋部
17 力布縫合部
18 開口
19 端辺部
22 表皮縫合部
23 領域
24 固定点
25 インフレータ
26 吹き出し口
27 第1縫い合わせ部
28 第2縫い合わせ部
29 縫合部
30 補強布部
図1
図2
図3
図4
図5
図6