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特許7478333成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/02 20060101AFI20240425BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20240425BHJP
   B01D 61/26 20060101ALI20240425BHJP
   B01J 39/02 20060101ALI20240425BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20240425BHJP
   B01J 41/02 20060101ALI20240425BHJP
   B01J 41/04 20170101ALI20240425BHJP
   B01J 47/014 20170101ALI20240425BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240425BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20240425BHJP
   A23C 9/142 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
B01D61/02 500
B01D61/14 500
B01D61/26
B01J39/02
B01J39/04
B01J41/02
B01J41/04
B01J47/014
A23L33/16
A61M1/02 107
A23C9/142
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022540195
(86)(22)【出願日】2021-07-18
(86)【国際出願番号】 JP2021026898
(87)【国際公開番号】W WO2022024828
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2020128725
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314004495
【氏名又は名称】原 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100092130
【弁理士】
【氏名又は名称】若原 誠一
(72)【発明者】
【氏名】原 和弘
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-209573(JP,A)
【文献】特開昭60-197627(JP,A)
【文献】特開2017-195802(JP,A)
【文献】特開平03-098554(JP,A)
【文献】特開2008-054662(JP,A)
【文献】特開2002-045125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0208619(US,A1)
【文献】特表2000-510701(JP,A)
【文献】国際公開第2011/037155(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/022357(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
B01J 39/02
B01J 39/04
B01J 41/02
B01J 41/04
B01J 47/014
A23L 33/16
A61M 1/02
A23C 9/142
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の飲食物、薬剤または体液に膜を接するようにし、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる透過工程と、
この膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続工程と、
上記膜を透過した液体に接触して、当該膜を透過した所定値以下の粒子を吸収することにより、上記離間を継続させる吸着工程とを備えたことを特徴とする成分調整物生産方法。
【請求項2】
液体の飲食物、薬剤または体液に接し、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる膜と、
この膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続手段と、
上記膜を透過した液体に接触して、当該膜を透過した所定値以下の粒子を吸収することにより、上記離間を継続させる吸着手段とを備えたことを特徴とする成分調整物生産装置。
【請求項3】
上記膜で特定の成分が増加または減少された液体は、再び当該膜を透過した後の液体に戻されて循環され、再び特定の成分がさらに増加または減少されることを特徴とする請求項2記載の成分調整物生産装置。
【請求項4】
上記膜で特定の成分が増加または減少された液体は、再び当該膜を透過する前の液体に戻され再び特定の成分がさらに増加または減少されることを特徴とする請求項2記載の成分調整物生産装置。
【請求項5】
上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、
上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記吸着手段で上記吸着がなされ、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過後の液体に帰還されて循環され、
上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲以上であれば、上記水素イオン濃度の調整を開始させることを特徴とする請求項3記載の成分調整物生産装置。
【請求項6】
上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、
上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記吸着手段で上記吸着がなされ、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、
上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲以上であれば、上記水素イオン濃度の調整を開始させることを特徴とする請求項4記載の成分調整物生産装置。
【請求項7】
上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、
上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記吸着手段で上記吸着がなされ、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過後の液体に帰還されて循環され、
上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲内であれば、上記両循環の両送出量の調整を停止させる、または上記水素イオン濃度の調整を停止させることを特徴とする請求項3記載の成分調整物生産装置。
【請求項8】
上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、
上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記吸着手段で上記吸着がなされ、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、
上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲内であれば、上記両循環の両送出量の調整を停止させる、または上記水素イオン濃度の調整を停止させることを特徴とする請求項4記載の成分調整物生産装置。
【請求項9】
上記液体の単位時間あたりの水素イオン濃度の変化に応じて、上記水素イオン濃度を増加または減少させる単位時間あたりの調整量を変化させることを特徴とする請求項5、6、7または8記載の成分調整物生産装置。
【請求項10】
上記液体の単位時間あたりの流速に応じて、上記水素イオン濃度を増加または減少させる単位時間あたりの調整量を変化させることを特徴とする請求項記載の成分調整物生産装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法に関し、特に飲食物、薬剤などの中のある成分を調整する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば疾病によって飲食物などが制限されることがあった。一例として、腎不全がある。この腎不全では、人工の装置(人工腎臓)に患者の血液を通し、本来腎臓から排泄されるべき有毒物質を除去する治療法であり、人工透析と呼ばれる。このような人工透析を受けている患者の飲食物では、例えばカリウムを取りすぎないように制限される。
【0003】
【文献】特開昭58-077814号公報
【文献】特開2000-103739号公報
【文献】特開平04-197158号公報
【文献】特開平03-291332号公報
【文献】特開昭61-209573号公報
【文献】特表2009-505649号公報
【文献】特表平05-505100号公報
【文献】特表平09-512743号公報
【文献】特表2000-245340号公報
【文献】特表2002-045125号公報
【文献】特開平05-207848号公報
【文献】特開平03-004742号公報
【文献】特開2001-275562号公報
【文献】特開2018-085965号公報
【文献】特開2017-195802号公報
【文献】特開2009-279010号公報
【文献】特表2005-519613号公報
【文献】特表2004-518438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、飲食物、薬剤、体液につき、所定の粒子のみ調整して、他の粒子は調整せず、不必要な成分を調整して、必要な成分まで調整してしまうことがなく、さらに場合によって水素イオン濃度を最適に保つ、成分調整装置、成分調整方法、成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の成分調整物生産装置または成分調整物生産方法は、 液体の飲食物、薬剤または体液に膜を接するようにし、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させ、 この膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させ、
さらに場合によって、上記膜によって、特定の成分を増加または減少させた液体の水素イオン濃度(pH)を、増加または減少させて、当該特定の成分を増加または減少させる前の液体の水素イオン濃度(pH)に近づけるようにした。
【0006】
上記膜を透過する上記所定値以下の粒子は、例えばカリウムの成分の粒子であり、 上記膜を透過しない粒子は、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、脂肪球、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウムの成分の粒子などである。
【発明の効果】
【0007】
これにより、膜によって、飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少させることができ、飲食物、薬剤または体液の中の特定の成分のみ調整でき、他の成分は調整されず、不必要な成分を調整でき、必要な成分まで調整してしまうことがなく、さらに水素イオン濃度(pH)が不用意に変化して、味、その他に違和感が生じないようにする。
【0008】
例えば、液体の飲食物などのカリウムを減少させ、他のリン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、脂肪球、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウムの成分などは減少させず、飲食物の味の変化をほとんど無くさせることができる。さらに、場合によって、水素イオン濃度(pH)が変化して、味等に違和感が生じたり、液体の飲食物が凝固してしまうなど、液体の成分調整で味等に違和感が生じてしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置を示す。
図2】成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法、または/すなわち透析法の原理を示す。
図3】膜5が無い場合の成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法、または/すなわち直接法の原理を示す。
図4】膜5を透過する物質の大きさと膜5を構成する材質との関係を示す(Kumar et al. Asian Australas. J. Anim. Sci. 26:1347-1358)。
図5】元の牛乳の味を原点とした時の味と、膜5を使った透析法のあまり変化しない味と、膜5を使わない直接法のかなり変化した味とを味覚センサーTS-5000Zで解析した結果を示す。
図6】牛乳原液及び直接法で成分調整した低カリウムミルクの各成分、透析法で成分調整した低カリウムミルクの各成分を示す。
図7】成分調整を大量に行う場合の成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置の一例(第二実施形態)を示す。
図8】成分調整を大量に行う場合の成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置の一例(第三実施形態)を示す。
図9】pH調整装置22で実行される処理のフローチャートを示す。
図10】pH調整装置22で実行される処理のフローチャートを示す。
図11】成分調整を大量に行う場合の成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置の一例(第四実施形態)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置
図1図6は、成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法を実現する装置の第一実施形態を示す。
【0011】
撹拌機1(継続手段/継続機構)の上面板は非磁性体で、この上面板のすぐ下には磁石または強磁性体が、モーターなどによって上面板に平行に回転可能に支持されている。この撹拌機1の上面板の上にはガラス製などの容器2が設置されている。
【0012】
この容器2内には、液体の飲食物3が充填/収納され、この液体の飲食物3は、後述するように特定の成分のみ調整され、他の成分はほぼ調整されない。この液体の飲食物3は、液体の薬剤または液体の体液に置き換えられたり、これら三者の2つ以上混合されたりされたものでもよい。
【0013】
この容器2内には撹拌羽4(継続手段/継続機構)が置かれ、この撹拌羽4は回転することによって、上記液体の飲食物3を撹拌している。この撹拌羽4の下面には、強磁性体または磁石が内蔵されて固定され、上記撹拌機1内の磁石または強磁性体に吸引されて、当該回転に同期して回転され、これにより上記飲食物3が撹拌される。
【0014】
上記容器2の上には可撓性のある膜5が設置され、この膜5は容器2の上端の周縁で当該容器2に固定され、この膜5の中央は弛んで飲食物3内に没し、液体の飲食物3内に膜5で収納部6(内箱/凹部/隔室)が形成され、この収納部6は飲食物3内に接している。
【0015】
この膜5は、例えばセロハンなどの半透膜からなり、当該液体の飲食物3の中の所定値以下の大きさの粒子のみ、濾過または/及び透析などの原理などによって、透過(濾過/透析/通過を含む。以下同じ)させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物3から上記所定値以下の粒子の成分を減少させる。
【0016】
透過は、細胞膜その他の有機性および無機性皮膜などが水や溶質などを通過させることなどである。濾過は、水その他の溶液をこして混じり物を除いたり、水などをこして清浄にしたりすることなどである。透析は、硫酸紙・セロファン膜・コロジオン膜などの半透膜がコロイド粒子を通さず、通常の分子およびイオンを通過させる性質を利用して、コロイド溶液を精製することなどである。
【0017】
上記所定値は、例えばセロハンの場合10ナノメートル乃至0.1ナノメートルであり、上記所定値以下の粒子の成分は、例えばカリウムの分子、原子、粒子のほか、水そのもの、水に溶けている、その他の溶液に溶けているまたは粒径の小さい塩分、糖分、グルコース、リン酸イオン、その他のイオンである。
【0018】
この膜5を透過する粒子は、例えばこのカリウムの成分の粒子であるが、 当該膜5を透過しない粒子は、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪、脂肪酸、脂肪球、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウム、カゼインミセルの成分の粒子など、水、その他の溶液に溶けていない粒径の大きい粒子などである。この膜5の収納部6の外面には凹状の網が1つまたは複数設けられて、撹拌羽4、膜5、収納部6が保護されてもよい。
【0019】
この膜5の収納部6内の凹面に沿ってイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)が固定されている。イオン交換樹脂7は粒状で、液体が挿通可能となっている。イオン交換樹脂7は、イオン交換ポリマーとも呼ばれ、合成樹脂の一種で分子構造の一部にイオン交換基として電離する構造を持ち、液体の飲食物3、水などの溶媒中のイオンとイオン交換作用を示す。
【0020】
膜5の透過効率を上げるため、またはイオン交換樹脂7の反応効率を上げるため、あらかじめ収納部6に少量の水、イオン交換樹脂との反応性の無いまたは反応性の乏しい脱イオン水、アルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ液体、血液透析で使用するような透析液、飲食物3そのもの、その他の液体などを入れてもよいし、入れなくてもよい。
【0021】
このイオン交換とは、ある種の物質が示す、接触している電解質溶液、液体の飲食物3に含まれるイオンを取り込み、代わりに自らの持つ別種のイオンを放出することで、イオン種の入れ換えを行う現象または能力である。 イオン交換樹脂7としては、他にフッ石類、酸性白土、パームチットなどの無機質のものでもよい。イオン交換樹脂7が放出するものはナトリウムイオン以外に水素イオンやカリウムイオン、カルシウムイオンなどの陽イオンや、水酸化物イオン、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどの陰イオンなどの場合もある。
【0022】
このイオン交換樹脂7は、液体の飲食物3のカリウムを取り込んで吸着し、膜5を透過したカリウムを多く含む液体の飲食物3の成分/飲食物3が膜5から離隔/離間されて、上記膜5によるカリウムの透過、つまり上記膜5による上記所定値、例えばセロハンの場合10ナノメートル乃至0.1ナノメートル以下の粒子の透過が順調に継続され、液体の飲食物3のカリウムの除去/減少が順調に継続される。
【0023】
上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)は、上記膜5の収納部6内の当該膜5の上に設置されるので、イオン交換樹脂7を膜5の下面に固定する必要がなくなる。そして、透過されたカリウム、上記所定値以下の大きさの粒子が上記収納部6内で吸着される。さらに、この収納部6には周囲から液体の飲食物3の浸透圧がかかり、液体の飲食物3がこの浸透圧によって円滑に膜5を透過し、この結果、成分調整が円滑に行われる。
【0024】
上記膜5の収納部6内の中央には防水性の撹拌体8が立設されており、この撹拌体8の下端にはスクリュ9が設けられ、このスクリュ9は収納部6内の液体(例えば飲食物3)内に浸っており、回転して収納部6内側/上側の液体(例えば飲食物3)を撹拌して、イオン交換樹脂7へのカリウムなどの吸着が促進される。撹拌体8とイオン交換樹脂7との間には凹状の網が設けられて、スクリュ9が保護されてもよい。
【0025】
そして、このスクリュ9の撹拌によって、膜5を透過したカリウムを多く含む液体の飲食物3の成分/飲食物3が膜5から離隔/離間されて、上記膜5によるカリウムの透過、つまり上記膜5による上記所定値、例えばセロハンの場合10ナノメートル乃至0.1ナノメートル以下の粒子の透過が順調に継続され、液体の飲食物3のカリウムの除去/減少が順調に継続される。
【0026】
また、上記撹拌羽4の撹拌によっても、膜5の収納部6の外側/下側の膜5付近の膜5を透過する前の液体の飲食物3も撹拌され、膜5でカリウムが減った所定値以下の粒子が透過した後の液体の飲食物3の成分/飲食物3が膜5から離隔/離間されて、上記膜5によるカリウムの透過、つまり上記膜5による上記所定値、例えばセロハンの場合10ナノメートル乃至0.1ナノメートル以下の粒子の透過が順調に継続され、液体の飲食物3のカリウムの除去/減少が順調に継続される。
【0027】
このように上記液体の飲食物3は容器2内に収納され、この収納された液体の飲食物3内に上記膜5で隔室つまり収納部6が形成され、上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)は、上記膜の隔室つまり収納部6につながった箇所に設置され、透過された後の上記所定値以下の大きさの粒子、例えばカリウムを上記隔室つまり収納部6につながった箇所で吸着させることができる。
【0028】
この膜5の収納部6にシワができても、撹拌羽4、スクリュ9によって、液体の飲食物3が撹拌されるので、液体の飲食物3のカリウムの成分の調整が順調に実行される。このほか、膜5/収納部6に凹凸が出来たり形状がどのように変化したりしても、撹拌羽4、スクリュ9によって、液体の飲食物3が撹拌されるので、液体の飲食物3のカリウムの成分の調整が順調に実行される。撹拌羽4、スクリュ9は複数でもよい。
【0029】
図2は、成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法、または/すなわち透析法/濾過法などの原理を示す。図3は、膜5が無い場合の成分調整装置若しくは成分調整物生産装置、または成分調整方法若しくは成分調整物生産方法すなわち/または直接法の原理を示す。
【0030】
図3に示すように、膜5が無いと、イオン交換樹脂7には、カリウムのほか、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪球、脂肪酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子なども吸着され、逆にイオン交換樹脂7からナトリウムが放出される。
【0031】
このため、図5及び図6に示すように、ナトリウムの濃度が大きく上昇し、透析などの治療者には少ない方がよいカリウムの濃度は下がるが、カルシウムの濃度が大きく下がり、マグネシウムの濃度も大きく下がり、この結果、液体の飲食物3の「味」も大きく変化してしまう。図6の中の「n=20」「n=4」は計測したサンプル数であり、各値はこのサンプルの平均値で、プラスマイナスの値は標準偏差である。
【0032】
これに対して、図2に示すように、膜5があると、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪球、脂肪酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウムの成分の粒子などはこの膜5でほぼせき止められる。
【0033】
何とも結合/化合していない、単体のカリウムなどのみが膜5を通過して、イオン交換樹脂7に吸着され、イオン交換樹脂7から放出されたナトリウムは膜5によって阻害され膜5の外/下にあまり達しない。このため、図5及び図6に示すように、ナトリウムの濃度の上昇は抑えられ、透析などの治療者には少ない方がよいカリウムの濃度は大きく下がり、カルシウムの濃度はあまり下がらず、マグネシウムの濃度の低下も抑えられ、グルコースの濃度もほぼ変化せず、液体の飲食物3の「味」はそれほど変化しない。
【0034】
イオン交換樹脂7に吸着されない物質は仮に膜5を透過したとしても、収納部6内の液体が少量であるためすぐに濃度が飽和状態に達し、液体の飲食物3のその物質の濃度はほとんど下がらず、このため液体の飲食物3の味はそれほど変化しない。
【0035】
上記膜5は、半透膜である。このような膜は、溶液その他の混合物中のある成分、例えば水、小さいイオン、小さい原子、小さい分子などは通すが、他の成分、大きいイオン、大きい原子、大きい分子、大きい粒子、例えばコロイド粒子など大きい粒子は通さず、半透性の膜、半透過性の膜ともいう。
【0036】
このような膜5では透過前の液体の飲食物3の圧力と、膜5の透過後の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力は同じである。この膜5を挟んで膜5を通る粒子のみが濾過または/及び透析の原理によって拡散して、膜5の両側の液体に均一に拡散し、膜5を通らない粒子、例えばリン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、脂肪球、アミノ酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、の成分の粒子などは膜5を通らず拡散しない。
【0037】
膜5の透過前の液体の飲食物3の圧力を、膜5の透過後の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力より、大きくして、濾過を実行すると、水分、液分、溶液分の移動も発生し、結果的に膜5が目詰まりしやすくなり、不都合が生じやすくなる。
【0038】
なお、カルシウム、マグネシウムも、膜5を透過するが、カリウムほどは透過しないので、液体の飲食物3の味はそれほど変化しない。本成分調整装置若しくは本成分調整物生産装置、または本成分調整方法若しくは本成分調整物生産方法を使えば、特に、牛乳では、ほとんど味の変化がない。むろん、ジュース、コーヒー、お茶、ココア、豆乳、果実飲料、野菜ジュース、乳清飲料、清涼飲料、ビール、日本酒、ワイン、洋酒、みりん、しょうゆ、ソース、調味料などでも同様の効果が期待できる。
【0039】
このような液体の飲食物3の成分調整装置は、液体の飲食物3の成分調整物生産装置としても成立するし、液体の飲食物3の成分調整方法を実現する装置若しくは成分調整物生産方法を実現する装置としても成立する。
【0040】
この場合、液体の飲食物3が、上述した容器2などに投入され、膜5などで成分調整がなされ、撹拌羽4(継続手段/継続機構)または撹拌体8(継続手段/継続機構)で成分調整にあたり液体の飲食物3が撹拌され、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)で成分調整のために特定成分の吸着が行われる。
【0041】
また、この場合、成分が調整されて生産されるものは、上記成分が調整された牛乳、ジュース、コーヒー、お茶、ココア、豆乳、果実飲料、野菜ジュース、乳清飲料、清涼飲料、ビール、日本酒、ワイン、洋酒、みりん、しょうゆ、ソース、調味料などの液体の飲食物3である。
【0042】
図4は、膜5を透過する物質の大きさと膜5を構成する材質との関係を示す。図4では、逆浸透法RO、ナノ濾過法NF、限外濾過法UF、精密濾過法MFの4つの濾過の方法が示されている。この4つの濾過の方法は使用する膜5の孔の大きさが異なる(Kumar et al. Asian Australas. J. Anim. Sci. 26:1347-1358)。
【0043】
逆浸透法ROでは膜5の孔が小さく、孔の直径は約0.1ナノメートル前後であり、水粒子、水分子などが透過され、塩類、乳糖などの各種糖類、アミノ酸、グルコース、リン、リン酸、クエン酸、脂肪酸、リン蛋白質、ホエイ蛋白質などの各種蛋白質、カゼイン、カゼインミセルなどの各種ミセル、微生物、芽胞、脂肪酸、脂肪球、その他脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などは透過しない。
【0044】
ナノ濾過法NFでは膜5の孔が少し大きく、孔の直径は約0.5ナノメートル乃至約5ナノメートルであり、水粒子、水分子、溶液粒子、溶液分子、塩類、乳糖などの各種糖類、アミノ酸、グルコース、リン、リン酸、クエン酸、脂肪酸などが透過され、リン蛋白質、ホエイ蛋白質などの各種蛋白質、カゼイン、カゼインミセルなどの各種ミセル、微生物、芽胞、脂肪球、その他脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などは透過しない。
【0045】
限外濾過法UFでは膜5の孔がさらに大きく、孔の直径は約1ナノメートル乃至約100ナノメートルであり、水粒子、水分子、溶液粒子、溶液分子、塩類、乳糖などの各種糖類、アミノ酸、グルコース、リン、リン酸、クエン酸、脂肪酸、リン蛋白質、ホエイ蛋白質などの各種蛋白質、カゼイン、カゼインミセルなどの各種ミセルなどが透過され、微生物、芽胞、脂肪球、その他脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などは透過しないが、場合によって透過することもある。
【0046】
精密濾過法MFでは膜5の孔がさらにもっと大きく、孔の直径は約100ナノメートル乃至約50マイクロメートルであり、水粒子、水分子、溶液粒子、溶液分子、塩類、乳糖などの各種糖類、アミノ酸、グルコース、リン、リン酸、クエン酸、脂肪酸、リン蛋白質、ホエイ蛋白質などの各種蛋白質、カゼイン、カゼインミセルなどの各種ミセル、微生物、芽胞、脂肪球、その他脂肪、油脂、蛋白質、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などが透過される。
【0047】
上記例えばセロハンなどの膜5は、上記逆浸透法ROとナノ濾過法NFの間ぐらいである。リン酸、クエン酸、カゼイン、塩類、糖類、脂肪、脂肪球、油脂、リン蛋白質、蛋白質、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などは、例えばセロハンなどの膜5を透過しないが、結合していない単体のイオンとして存在するカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどは、例えばセロハンなどの膜5を透過できる。
【0048】
上記カゼインミセルのカゼインは、リン蛋白質の一種であり、牛乳の蛋白質の80パーセントを占め、酸を加えると凝固沈殿し、栄養上重要なアミノ酸をすべて含み、チーズ原料・接着剤・織物仕上げなどに広く用いられる。酪素、乾酪素ともいう。
【0049】
上記カゼインミセルのミセルは、多数の分子またはイオンが集まってできる、溶媒との親和性の大きいコロイド粒子のことで、たとえば、石鹸の水溶液では、ある臨界の濃度以上で長鎖脂肪酸イオンが数十個会合してミセルが形成される。
【0050】
図4の例では、膜5の透過前の液体の飲食物3、透過後の液体の飲食物3の成分/飲食物3、いずれも一気圧で同じ圧力である。しかし、透過前の液体の飲食物3の方の圧力を、透過後の液体の飲食物3の成分/飲食物3の方の圧力より大きくしてもよい。これにより、液体の飲食物3の透過が、より円滑に実行される。また、逆に小さくしてもよい。
【0051】
実験では、牛乳につき、図1の成分調整装置、成分調整物生産装置、成分調整方法、成分調整物生産方法を実現する装置で特定のカリウムの成分のみを減少させた。この実験で、牛乳のカリウムを65%減少/除去できた。このカリウムの65%減少/除去に要する時間は、後述するように約300分である。同じく82%減少/除去に要する時間は、約600分であった。同じく48%減少/除去に要する時間は、約150分であった。
【0052】
上記成分調整の実行時間を300分から徐々に短くすれば、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%と段階的/無段階に連続してカリウムを減少/除去できるし、逆に上記成分調整の実行時間を300分から徐々に長くすれば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%と段階的/無段階に連続してカリウムを減少/除去できる。
【0053】
この場合、ナトリウムの上昇を抑え、カルシウムとマグネシウムの低下はある程度抑えることができた。このように、カルシウム、マグネシウムの濃度はほとんど変化しない。さらに、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、アミノ酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉の濃度もほとんど変化しない。膜5を通過できないからである。
【0054】
図5に示すように本発明の膜5を使う通過法/濾過法/透析法では味の変化はほとんどなかったが、膜5がない直接法では甘味と酸味が減って、塩味が増加し、味が大きく変わった。図5は、元の牛乳の味を原点とした時の味と、膜5を使った通過法/濾過法/透析法のあまり変化しない味と、膜5を使わない直接法のかなり変化した味とを味覚センサーTS-5000Zで解析した結果を示している。
【0055】
ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの含有量が変化すると牛乳の味が変わってしまう。これは、他のジュース、お茶、コーヒー、ココア、豆乳、果実飲料、野菜ジュース、乳清飲料、清涼飲料、ビール、日本酒、ワイン、洋酒、みりん、しょうゆ、ソース、調味料でも同様であった。
【0056】
カリウムに比べて、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの原子、分子の大きさはさほど差はなく、これらは粒径0.07~0.14ナノメートルほどであり、例えばセロハンの膜5の孔の直径0.1~10ナノメートルを透過できる。しかし、カルシウム、マグネシウムは、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、アミノ酸、脂肪、脂肪球、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉などと結合して、粒径が大きくなって、多くが/ほとんど膜5を透過できないと考えられる。
【0057】
図1に示すように、上記膜5の収納部6内/上の水位/液位は、収納部6の外/下の水位/液位より低くなるように、収納部6の外/下、つまり容器2の中に液体の飲食物3、薬剤または体液と収納部6内/上の液体が調整/補充される。つまり、上記膜5を透過した後の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力/浸透圧より、膜5を透過する前の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力/浸透圧が高くなる。
【0058】
これにより、収納部6の内/上の膜5を透過した後の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力/浸透圧より、収納部6の外/下の膜5を透過する前の液体の飲食物3の成分/飲食物3の圧力/浸透圧が高くなり、収納部6の外/下から内/上への流れが維持され、この逆方向の逆流がなくなり、成分調整が円滑に実行される。
【0059】
またこれにより、収納部6にあらかじめ液体を入れている場合、飲食物3が希釈されるのを防ぐこともできる。なお、上記両水位/液位は同じでもよいし、収納部6の内/上の水位/液位が外/下の水位/液位より高くてもよいし低くてもよいし、浸透圧が逆向きに高くても、つまり低くてもよいし、高くてもよいし、同じでもよい。
【0060】
(2)第二実施形態
図7は第二実施形態を示す。この図7の膜装置15(膜5)は、例えば人工透析装置のダイアライザーと同じ構造であり、図7の膜装置15(膜5)は例えば円筒形の内箱16と外箱17よりなり、内箱は外箱の中に内蔵され、内箱は密封され、飲食物3/膜5を透過した後の液体の飲食物3の成分が内箱16(収納部6/凹部/隔室)を循環し上記イオン交換樹脂7を通って図7右側のポンプ11(継続手段/継続機構)で送られて再び内箱16へと循環される。
【0061】
この循環は逆向きでもよい。上記外箱17も密封され、飲食物3が外箱17を循環し、撹拌羽4(継続手段/継続機構)を通って図7左側のポンプ12(継続手段/継続機構)で送られて再び外箱17へと循環される。この循環は逆向きでもよい。
【0062】
上記内箱16の外面には上記膜5が形成され、外箱17を循環する飲食物3の中の所定値以下の大きさの粒子のみ、例えばカリウムの粒子を透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子、例えばカリウム以外の粒子を透過させず、これにより上記外箱17を循環する上記飲食物3から上記所定値以下の例えばカリウムの粒子の成分を減少させることができる。なお、逆に内箱16(収納部6/凹部/隔室)を循環する飲食物3/膜5を透過した液体の飲食物3の成分では、上記所定値以下の例えばカリウムの粒子の成分を増加させることができる。
【0063】
上記図7の2つのポンプ11、12、撹拌羽4(継続手段/継続機構)、撹拌体8(継続手段/継続機構)、スクリュ9(継続手段/継続機構)によって、図7の膜装置15(膜5)を透過した液体を、当該膜5から離隔または離間させて、上記膜装置15(膜5)による上記所定値以下の粒子の透過を継続させることができる。なお、外箱17内の容器2からの飲食物3は内箱16内を循環し、内箱16内のイオン交換樹脂7からの液体/飲食物3は内箱16の外の外箱17内を循環してもよい。
【0064】
このように、上記液体の飲食物3は上記外箱17の容器内に収納され、この収納された液体の飲食物3内に上記膜装置15(膜5)で隔室つまり内箱16が形成され、上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)は、上記膜の隔室つまり内箱16につながった箇所に設置され、透過された上記所定値以下の大きさの粒子、例えばカリウムを上記隔室つまり内箱16につながった箇所で吸着される。
【0065】
図7では、イオン交換樹脂7を収納している箇所を収納部6(内箱/凹部/隔室)としているが、膜装置15(膜5)の箇所が収納部6(内箱/凹部/隔室)であってもよいし、両方とも収納部6(内箱/凹部/隔室)としてもよい。図7において、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)は、収納部6につながった箇所に設けられていたが、膜装置15(膜5)内または収納部6内に設けられてもよい。これでも、収納部6につながった箇所の概念に含まれる。
【0066】
上記膜5を透過する前の液体の飲食物3の量は、収納部6または当該収納部6内の液体の総量/上記膜5を透過した後の液体の飲食物3の量より数倍以上多い、例えば10倍以上多い。これにより、飲食物3の膜装置15(膜5)の透過が順調に行われるし、成分調整された飲食物3の味の変化も人間には感じられないぐらい小さくなる。
【0067】
なお、図7では、膜装置15(膜5)で示す容器の中において、膜装置15(膜5)を透過する前の液体の飲食物3の量は、収納部6または当該収納部6内の液体の飲食物3の総量/上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量より数倍以上多い、例えば10倍以上多い。
【0068】
この図7の場合、膜装置15(膜5)を透過する前の液体の飲食物3の量は、膜装置15(膜5)を透過する前の外箱17/膜装置15(膜5)/膜5の外/容器2を循環する液体の飲食物3の総量を意味し、収納部6または当該収納部6内の液体の飲食物3の総量/上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量は、収納部6を含む内箱16/膜装置15(膜5)の内/膜5内を循環する液体の総量を意味する。
【0069】
上記透過の開始後も、透過の作業中も、透過の作業終了時点でも、膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量は漸次増加し、膜装置15(膜5)を透過する前の液体の飲食物3の量は漸次減少するが、この場合でも膜装置15(膜5)を透過する前の液体の飲食物3の量は、収納部6または当該収納部6内の液体の総量/上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量より数倍以上多い、例えば9倍以上多い。
【0070】
この場合、膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の成分/飲食物3として、上記透過作業の開始前には、脱イオン水を最初に投入してもよい。これにより、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)にこの脱イオン水が吸着されず、膜装置15(膜5)を透過後側の液体が吸着されてしまうのを防止でき、円滑な成分調整の開始を行うことができる。
【0071】
この場合、上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量としては、膜装置15(膜5)を透過した飲食物3のほか、通常は、透過作業前にあらかじめ投入される、実際には膜装置15(膜5)を透過していない、上記脱イオン水なども含まれる。
【0072】
そして、上記透過開始前では、上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量としては、脱イオン水の量のみとなり、脱イオン水の量に一致する。なお、上記膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量には、透過開始前、透過中、透過終了後のそれぞれにおいて、当該脱イオン水は、除外されてもよい。
【0073】
この場合、図1の例では、膜5の内側に上記脱イオン水などが充填され、図7の例では、膜装置15(膜5)または収納部6につながった箇所若しくは当該収納部6内に上記脱イオン水などが充填される。ここで、膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量は、膜装置15(膜5)を透過した後の液体の飲食物3の量のほか、透過の作業開始前に、あらかじめ膜装置15(膜5)の透過後側/収納部6につながった箇所/収納部6に投入されていた液体/脱イオン水の量も通常含む。しかし、除外されてもよい。
【0074】
上記撹拌羽4(継続手段/継続機構)またはスクリュ9(継続手段/継続機構)の攪拌方向は、膜装置15(膜5)またはイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)に向かって液体の飲食物3を吹き付けるように撹拌される。これにより、これから成分調整される直前、成分調整された直後の液体、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)に吸着される直前の液体の飲食物3を、膜装置15(膜5)またはイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)から離隔/離間させて、膜装置15(膜5)による所定値以下の粒子の透過が円滑に継続される。なお、図7で収納部6のほか膜装置15(膜5)の中の成分調整される直前または成分調整された直後の液体に対して、スクリュ9(継続手段/継続機構)または撹拌羽4(継続手段/継続機構)が設けられてもよい。
【0075】
(3)第三実施形態
図8は第三実施形態を示す。本実施形態では、上記ポンプ11と上記膜装置15(膜5)との間の流路に、pH調整前pH測定器21、pH調整装置22、pH調整後pH測定器23の順番で設けられている。また、膜装置15(膜5)の出口の流路には、成分調整後pH測定器27が設けられている。上記ポンプ11には流量測定器24が設けられている。
【0076】
上記pH調整装置22は、上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)を経た特定の成分が減少または増加された液体の水素イオン濃度(水素イオン指数/pHを含む。以下同じ)が、元の容器2の液体の中性またはその他のpHから偏って、味等に違和感が生じた場合、この水素イオン濃度(pH)を調整/中和/補正して、特定の成分を減少または増加させる前の液体の水素イオン濃度(pH)に近づけ、味等の違和感を解消する。
【0077】
このpH調整装置22には、pH調整剤容器25から調整剤(中和剤)が電磁バルブ26を経て供給され、特定の成分が減少または増加されたつまり成分調整後の液体に添加され当該液体の水素イオン濃度(pH)が調整される。このpH調整剤容器25には二種類の調整剤が貯蔵され、電磁バルブ26によって、いずれかが選択される。この二種類の調整剤は、アルカリ性調整剤と酸性調整剤とがある。
【0078】
上記成分調整後の液体が酸性で、元の成分調整前の液体が中性であれば、アルカリ性調整剤が選択され、成分調整後の液体がアルカリ性で、元の成分調整前の液体が中性であれば、酸性調整剤が選択され、成分調整後の液体が中性で、元の成分調整前の液体が酸性であれば、酸性調整剤が選択され、成分調整後の液体が中性で、元の成分調整前の液体がアルカリ性であれば、アルカリ性調整剤が選択される。
【0079】
電磁バルブ26では、上記切り替えのほか、アルカリ性調整剤/酸性調整剤(アルカリ化中和剤/酸化中和剤)の通過量/添加量の増減の調整も行われる。上記pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27では、それぞれ流路を通過する水素イオン濃度(pH)調整前の液体の水素イオン濃度(pH)、水素イオン濃度(pH)調整後の液体の水素イオン濃度(pH)、成分調整後の液体の水素イオン濃度(pH)がそれぞれ計測される。
【0080】
この計測された各水素イオン濃度(pH)の情報は上記pH調整装置22に送られ、上記電磁バルブ26のアルカリ性調整剤/酸性調整剤(アルカリ化中和剤/酸化中和剤)の切り替え/通過量/添加量が制御される。上記流量測定器24では、ポンプ11によって供給される液体の流量が測定され、この流量情報は上記pH調整装置22に送られ、上記電磁バルブ26のアルカリ性調整剤/酸性調整剤の切り替え/通過量/添加量が制御される。
【0081】
なお、pH調整後pH測定器23からの液体は、膜装置15(膜5)の入口に送り込まれるので、pH調整後pH測定器23は、「成分調整前pH測定器」でもある。以上のような成分調整及び水素イオン濃度調整された液体は、再び膜装置15(膜5)に帰還され繰り返し循環される。
【0082】
したがって、上記膜装置15(膜5)で特定の成分が増加または減少され、上記pH調整装置22で水素イオン濃度が調整された液体は、再び当該膜装置15(膜5)に戻され、さらに上記pH調整装置22に戻されて循環される。つまり循環される液体は、膜装置15(膜5)を透過した液体である。
【0083】
また、上記膜装置15(膜5)、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)で特定の成分が増加または減少され、上記pH調整装置22で水素イオン濃度が増加または減少された液体は、再び当該膜装置15(膜5)を透過した液体に戻され再び特定の成分がさらに増加または減少される。
【0084】
上記容器2からポンプ12を経て膜装置15(膜5)に達する経路には、成分調整前pH測定器31が設けられ、上記膜装置15(膜5)から容器2に達する経路には、成分調整後pH測定器32が設けられ、容器2内の液体(飲食物3)に接する位置には容器pH測定器33が設けられている。上記ポンプ12には流量測定器35が設けられている。
【0085】
上記成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33では、それぞれ流路を通過するまたは容器2内の液体の成分調整前の液体の水素イオン濃度(pH)、成分調整後の液体の水素イオン濃度(pH)、容器2内の液体の水素イオン濃度(pH)がそれぞれ計測される。
【0086】
この計測された各水素イオン濃度(pH)の情報は上記pH調整装置22に送られ、上記電磁バルブ26のアルカリ性調整剤/酸性調整剤の切り替え/通過量/添加量が制御される。上記流量測定器35では、ポンプ12によって供給される液体の流量が測定され、この流量情報は上記pH調整装置22に送られ、上記電磁バルブ26のアルカリ性調整剤/酸性調整剤の切り替え/通過量/添加量が制御される。
【0087】
なお、膜装置15(膜5)の出口からの成分調整された液体は、成分調整後pH測定器32、容器2、成分調整前pH測定器31、ポンプ12を経て、膜装置15(膜5)の入口に送り込まれるので、成分調整された液体は、再び膜装置15(膜5)に帰還され繰り返し循環される。したがって、循環される液体は、上記膜装置15(膜5)を透過する前の液体である。
【0088】
上記pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33は、例えばpH計を用いることができ、基準溶液と上記液体とをガラス膜で隔て、上記基準溶液と上記液体との水素イオン濃度/水素イオン指数の差に応じた電位差を計測してpHを計測できる。他にも水素電極、その他の測定器を用いてもよい。
【0089】
上記流量測定器24、流量測定器35は、例えば、電磁式、圧力式、超音波式、カルマン渦式、羽根車式、浮き子式、熱式、差圧式、楕円ギア式、流量センサーなど、種々のものがあり、例えば液体が流れる管の外から計測できるものが選ばれる。
【0090】
図9図10は、上記pH調整装置22で実行される処理のフローチャートを示す。pH調整装置22には、このフローチャートに応じたプログラムを実行したり、その他の処理をしたりするCPUなどのコントローラ、上記フローチャートに応じたプログラムやその他の情報を記憶するROM、RAMなどの記憶部が設けられている。
【0091】
この記憶部には、上記pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、流量測定器24、成分調整後pH測定器27、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33、流量測定器35からの各情報も入力部から入力され記憶される。
【0092】
また、当該記憶部には、上記電磁バルブ26の切り替え/通過量/添加量、上記ポンプ11、12の回転速度/送出量の各情報も記憶され、これら電磁バルブ26、ポンプ11、12へ出力部から出力される。この記憶部の書き込み記憶は次述するインタラプト処理ごとに繰り返され順次記憶されていく。
【0093】
上記フローチャートはインタラプト処理により、所定時間ごと、例えば数秒ごと、数十秒ごと、数百秒ごとに繰返し実行される。このフローチャートでは、まずpH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27からのpH測定値が入力され記憶部に記憶され(ステップ01)、さらに成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33からのpH測定値が入力され記憶部に記憶される(ステップ02)。
【0094】
上記液体が「牛乳」であり、pH調整前pH測定器21からのpH測定値が所定範囲外、所定値以下、例えば「4.6」以下または余裕をみて「5.1」以下または「6.0」以下であれば(ステップ03)、電磁バルブ26の切り替えを「アルカリ性調整剤」側に切り替え(ステップ04)、電磁バルブ26の通過量/添加量を大きくしてpH調整量(中和量)を大きくし、水素イオン濃度の調整を開始させ、場合によってポンプ11、12を起動させる(ステップ05)。
【0095】
これにより、膜装置15(膜5)及びイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)を経た液体の味等の違和感がなくなる。例えば、上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)が、「強酸性陽イオン交換樹脂(H形)」であれば、上記液体のpHが低下して酸性に傾き、上記液体が「牛乳」であれば、液体のpHが「4.6」以下になると、この「牛乳」が、凝固沈殿してしまうが、このようなことがなくなるし、液体の味等の違和感もなくなる。
【0096】
強酸性陽イオン交換樹脂(H形)は、強酸性陽イオン交換樹脂(Na形)に比べて、液体中のナトリウムの上昇を抑えられる利点がある。したがって、上記「アルカリ性調整剤」としては、水酸化カルシウムのようなナトリウムを含まないものが望ましい。これにより、ナトリウムを上昇させないで、膜5、膜装置15でカリウムを除去して成分調整できる。
【0097】
イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)が、強塩基性陰イオン交換樹脂(OH形)であれば、水酸化イオンが液体に放出されて、膜装置15(膜5)、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)で成分調整された液体の水素イオン濃度が下降してアルカリ性が強くなる。この場合も、pH調整装置22で水素イオン濃度が調整される。
【0098】
ここで、pH調整前pH測定器21からのpH測定値が所定範囲外、所定値以上、例えば「9.0」以上または余裕を見て「8.0」以上であれば(ステップ03)、電磁バルブ26の切り替えを「酸性調整剤」側に切り替え(ステップ04)、電磁バルブ26の通過量/添加量を大きくしてpH調整量(中和量)を大きくし、水素イオン濃度の調整を開始させ、水素イオン濃度の調整を開始させ、場合によってポンプ11、12を起動させる(ステップ05)。これにより、同様に膜装置15(膜5)及びイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)を経た液体の味等の違和感がなくなる。
【0099】
上記pH調整前pH測定器21からのpH測定値が上記所定範囲内であれば/所定値内に収まれば、例えば上記pH「5.1」~「9.0」の範囲内であれば(ステップ03)、電磁バルブ26を完全に閉めてpH調整(中和)を停止し、場合によってポンプ11、12を停止させる(ステップ06)。これにより、所望のpHに到達して行き過ぎてしまうことがなくなり、平衡状態に落ち着く。場合によって、ポンプ11、12も停止される。
【0100】
また、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32または容器pH測定器33からのpH測定値と、pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23または成分調整後pH測定器27からのpH測定値との差が増加していればまたは所定範囲外であれば、例えばpH差「0.3」以上であれば(ステップ07)、電磁バルブ26の通過量/添加量を大きくしてpH調整量(中和量)を大きくし、水素イオン濃度の調整を開始させ、場合によってポンプ11、12を起動させる(ステップ08)。これにより、成分調整後の液体のpHが成分調整前の液体のpHに近づけられ、成分調整後の液体の味が成分調整前の液体の味に近づけられる。
【0101】
上記pH測定値の差が大きくなければまたは所定範囲内であれば、例えばpH差「0.3」未満であれば(ステップ07)、電磁バルブ26の通過量/添加量を小さくしてpH調整量(中和量)を小さくし、上記各pH測定値の差が「0」になれば電磁バルブ26を完全に閉めてpH調整(中和)を停止する(ステップ09)。これにより、所望のpH/中和に到達して行き過ぎてしまうことがなくなり、平衡状態に落ち着く。場合によって、ポンプ11、12も停止される。
【0102】
さらに、pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27からの各pH測定値の差が増加していればまたは所定範囲外であれば、例えばpH差「0.3」以上であれば(ステップ11)、電磁バルブ26の通過量/添加量を大きくしてpH調整量(中和量)を大きくし、水素イオン濃度の調整を開始させ、場合によって、ポンプ11、12も起動させる(ステップ12)。これにより、所望のpH/中和に到達する時間が短くなる。
【0103】
上記各pH測定値の差が大きくなければまたは所定範囲内であれば、例えばpH差「0.3」未満であれば(ステップ11)、電磁バルブ26の通過量/添加量を小さくしてpH調整量(中和量)を小さくし、上記各pH測定値の差が「0」になれば電磁バルブ26を完全に閉めてpH調整(中和)を停止する(ステップ13)。これにより、所望のpH/中和に到達して行き過ぎてしまうことがなくなり、平衡状態に落ち着く。場合によって、ポンプ11、12も停止される。
【0104】
またさらに、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33からの各pH測定値の差が増加していればまたは所定範囲外であれば、例えばpH差「0.3」以上であれば(ステップ16)、電磁バルブ26の通過量/添加量を大きくしてpH調整量(中和量)を大きくし、水素イオン濃度の調整を開始させ、場合によって、ポンプ11、12も起動させる(ステップ17)。これにより、所望のpH/中和に到達する時間が短くなる。
【0105】
上記各pH測定値の差が大きくなければまたは所定範囲内であれば、例えばpH差「0.3」未満であれば(ステップ16)、電磁バルブ26の通過量/添加量を小さくしてpH調整量(中和量)を小さくし、上記各pH測定値の差が「0」になれば電磁バルブ26を完全に閉めてpH調整(中和)を停止させ、場合によって、ポンプ11、12も停止させる(ステップ18)。これにより、所望のpH/中和に到達して行き過ぎてしまうことがなくなり、平衡状態に落ち着く。
【0106】
上記流量測定器24、流量測定器35からの回転速度/送出量が入力され記憶部に記憶され(ステップ22)、両回転速度/送出量が対比され(ステップ23)、あらかじめ定められた回転速度/送出量の比率からずれていればまたは所定範囲外であれば(ステップ24)、このずれを補正するように流量測定器24または流量測定器35の一方の回転速度/送出量を上げるか、他方の回転速度/送出量を下げる(ステップ25)。
【0107】
上記回転速度/送出量の比率は、あらかじめ決められた比率で運転され、この比率の回転速度/送出量であり、上記膜装置15(膜5)を透過した液体の単位時間あたりの流速は、上記膜装置15(膜5)を透過する前の液体の単位時間あたりの流速に対して、上記比率となり、この比率で運転される。
【0108】
この比率は、例えば1:0.1で、膜5透過後の成分調整後の方が回転速度/送出量がゆっくりしている。血液透析の治療では、1:2.5というように、膜5透過後の成分調整後の方が回転速度/送出量が速くされる。この比率は、1:1/100~1:100の範囲で、液体の種類、目的、用途によって大きく変化する。
【0109】
上記ステップ05、06、08、09、12、13、17、18の水素イオン濃度(pH)調整処理は、インタラプト処理により所定時間ごとに繰返し実行されるので、上記液体の単位時間あたりの水素イオン濃度の変化に応じて、上記水素イオン濃度を増加または減少させる単位時間あたりの調整量が変化されることになるし、または水素イオン濃度の調整が開始/起動または停止/終了される。
【0110】
また、ポンプ11、12の回転速度/送出量が手動またはコンピュータなどによって自動的に大きくされると、上記ステップ03、07、11、16で、測定されるpH測定値が所定範囲外、上記所定値以下に若しくは所定値以上になる、またはpH測定値の差が大きくなるので、上記pH調整剤(中和剤)の通過量/添加量が多くされるし、または水素イオン濃度の調整が開始される。
【0111】
さらに、ポンプ11、12の回転速度/送出量が小さくされると、上記ステップ03、07、11、16で、測定されるpH測定値が所定範囲内、上記所定値以上に戻され若しくは所定値以下に戻され、またはpH測定値の差が小さくなるので、上記pH調整剤(中和剤)の通過量/添加量が少なくされるし、または水素イオン濃度の調整が停止される。このように、上記液体の通過量/添加量、つまり単位時間あたりの流速に応じて、水素イオン濃度が増加または減少させる単位時間あたりの調整量が変化されるし、または水素イオン濃度の調整が開始または停止される。
【0112】
上記ステップ03、07、11、16で判別される所定範囲は、pH「5.1」~「9.0」の範囲外/範囲内のほか、pH「6.0」~「8.0」、pH「4.6」~「10.0」、pH「7.0」~「7.0」、pH「6.0」~「6.0」、pH「8.0」~「8.0」の範囲外/範囲内でもよいし、pH差「0.3」以上/未満のほか、pH差「0.1」以上/未満、pH差「0.5」以上/未満、pH差「0.0」以上/未満などでもよい。
【0113】
これにより、成分調整前の液体の送出量と、成分調整後の液体の送出量とが、あらかじめ決められた比率で平衡するように制御される。ここで、上記ステップ06、09、13、18で、液体のpHが平衡状態に落ち着いていれば(ステップ21)、これらステップ22~25の回転速度/送出量の制御処理は行われず、両循環の両送出量の調整が停止されるし、電磁バルブ26が閉じられ、水素イオン濃度調整も停止される。
【0114】
これにより、成分調整前または成分調整後の液体のpHが所望の値で平衡していれば、液体の送出量の制御は行われず、両循環の両送出量の調整が停止されたままとなり、平衡している液体のpHが不用意に変動してしまうことがなくなる。そして、液体を新たに追加するなど、上記平衡が何等かの理由で変移すると、上記インタラプト処理によって、上記成分調整処理、水素イオン濃度(pH)調整処理が再開される。
【0115】
以上のように、上記膜装置15(膜5)透過前の液体は、当該膜装置15(膜5)に送り込まれ当該膜装置15(膜5)に接触し、この後、当該膜装置15(膜5)から離隔され、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、つまり上記膜装置15(膜5)に送り込まれて再び接触されて循環される。
【0116】
また、上記膜装置15(膜5)透過後の液体は、当該膜装置15(膜5)に送り込まれ当該膜装置15(膜5)に接触し、この後当該膜装置15(膜5)から離隔され、上記pH調整装置22(水素イオン濃度調整手段)に送り込まれ、さらに上記透過後の液体に帰還されて循環される。
【0117】
上記ステップ22~24で、これら両循環の両送出量を調整し、上記pH調整装置22(水素イオン濃度調整手段)による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度にほぼ差がなければ(ステップ21)、場合によってポンプ11、12が停止され、電磁バルブ26が閉じられ、上記両循環の両送出量の調整が停止され、水素イオン濃度調整も停止されるが、これらの停止は行われなくてもよい。
【0118】
このように成分調整/水素イオン濃度調整が循環して繰り返され、収納部6などの水素イオン濃度が調整されたら成分調整/水素イオン濃度調整といった循環の調整/調整の循環が停止される。また、成分調整/水素イオン濃度調整が循環して繰り返され、上記ステップ03、07、11、16で、それぞれ測定される水素イオン濃度の差が所定範囲外、所定値以上になれば成分調整/水素イオン濃度の循環の調整/調整の循環が開始される。
【0119】
上記処理のうち、ステップ21~24、ステップ01~06、07~09、11~13、16~18の一部または全部は省略されてもよい。また、上記ステップ03では、水素イオン濃度が飲食物として味等に違和感のある所定範囲外、所定値以上、所定値以下であることが判別されるが、これでも「水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度に差があれば/差がなければ」の概念に含まれる。
【0120】
なぜなら、上記水素イオン濃度調整処理はインタラプト処理によって繰り返されるので、前回のインタラプト処理のステップ03で計測された水素イオン濃度は「水素イオン濃度調整前」の水素イオン濃度となり、今回のインタラプト処理のステップ03で計測された水素イオン濃度は「水素イオン濃度調整後」の水素イオン濃度となるからである。
【0121】
そして、水素イオン濃度が味等に違和感ある所定範囲外、所定値以下/所定値以上であれば、上記両水素イオン濃度に差があり、そうではなく味等に違和感がなければ、上記両水素イオン濃度にほぼ差がなくなる。したがって、上記ステップ07、11、16で、ステップ03と同様に、水素イオン濃度自体が所定範囲外、所定値以下/所定値以上であるかどうかを判別してもよい。
【0122】
上記「水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後の水素イオン濃度」は、上記pH調整前pH測定器21からの情報とpH調整後pH測定器23からの情報とであるが、場合によって、pH調整後pH測定器23からの情報の代わりに成分調整後pH測定器27、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33からの情報が用いられる。
【0123】
そして、このような水素イオン濃度調整処理は、インタラプト処理は繰り返されるので、水素イオン濃度調整後の水素イオン濃度は、あるインタラプト処理における測定器21、23、27、31、32、33からの情報で、水素イオン濃度調整前の水素イオン濃度は、これより前のインタラプト処理における測定器21、23、27、31、32、33からの情報となる。
【0124】
同様に水素イオン濃度調整前の水素イオン濃度は、あるインタラプト処理における測定器21、23、27、31、32、33からの情報で、水素イオン濃度調整後の水素イオン濃度は、これより後のインタラプト処理における測定器21、23、27、31、32、33からの情報となる。
【0125】
(4)第四実施形態
図11は、第四実施形態を示す。本実施形態では、上記pH調整装置22及びpH調整後pH測定器23を経た液体の流路は、上記容器2に帰還され、成分調整され、水素イオン濃度が調整された液体が容器2に戻され循環される。また、膜装置15(膜5)の入口と出口とは連結され、当該入口はpH調整後pH測定器23、pH調整装置22には連結されない。
【0126】
これにより、膜装置15(膜5)、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)、pH調整装置22をすべての透過後の液体が循環して繰返し通過し、透過後の液体すべてにつき、成分調整、水素イオン濃度調整が完全に実行され、成分調整/水素イオン濃度調整を実行し残した液体が残ることがなくなり、液体を無駄なく活用できる。
【0127】
以上のように、上記膜装置15(膜5)で特定の成分が増加または減少され、上記水素イオン濃度が増加または減少された液体は、再び当該膜装置15(膜5)を透過する前の液体に戻され再び特定の成分がさらに増加または減少される。
【0128】
また、上記膜装置15(膜5)透過前の液体は、当該膜装置15(膜5)に送り込まれ当該膜装置15(膜5)に接触し、この後、当該膜装置15(膜5)から離隔され、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、つまり上記膜装置15(膜5)に送り込まれて再び接触されて循環される。
【0129】
さらに、上記膜装置15(膜5)透過後の液体は、当該膜装置15(膜5)に送り込まれ当該膜装置15(膜5)に接触し、この後、当該膜装置15(膜5)から離隔され、上記pH調整装置22に送り込まれ、さらに上記容器2内の透過前の液体に帰還されて循環される。
【0130】
そして、上記ステップ22~24で、これら両循環の両送出量が調整され、上記pH調整装置22(水素イオン濃度調整手段)による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度にほぼ差がなければ(ステップ21)、上記両循環の両送出量の調整が停止される。
【0131】
このように成分調整/水素イオン濃度調整が循環して繰り返され、容器2及び収納部6などの全液体の成分調整/水素イオン濃度調整が終了したら、成分調整/水素イオン濃度の循環の調整/調整の循環が停止される。また、成分調整/水素イオン濃度調整が循環して繰り返され、上記ステップ03、07、11、16で、それぞれ測定される水素イオン濃度の差が所定値以上になれば成分調整/水素イオン濃度の循環の調整/調整の循環が開始される。
【0132】
上記インタラプト処理は上記装置への電源投入で開始され、電源切断まで、繰り返し実行される。上記ステップ21~25のポンプ11、12の回転速度調整処理は、手動で任意のタイミングで行ってもよい。
【0133】
上記図8または図11のpH調整装置22は省略されてもよい。例えば、成分調整後の液体の水素イオン濃度が成分調整によってそれほど変化しない場合には、pH調整はそれほど必要ではないかもしれないからである。
【0134】
この場合、pH調整前pH測定器21、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32または容器pH測定器33は省略されてもよいし、流量測定器24、流量測定器35も省略されてもよい。
【0135】
また、上記図7図8または図11において、膜装置15(膜5)の透過後の液体量/液体透過量は、容器2の液体/膜装置15(膜5)の透過前の液体量より、少なくてもよく、例えば数分の1、十数分の1、数十分の1でもよい。逆に、膜装置15(膜5)の透過後の液体量/液体透過量は、容器2の液体/膜装置15(膜5)の透過前の液体量より、多くてもよく、例えば数倍、十数倍、数十倍でもよいし、両者同量でもよい。
【0136】
このように上記膜装置15(膜5)透過後の上記液体の量は、上記膜装置15(膜5)透過前の上記液体の量の数分の1、十数分の1または数十分の1であれば、成分調整による味の変化をより少なくできる。これは、図1図7図8図11のいずれの装置でも可能である。図11においては、膜装置15(膜5)透過後の上記液体の量は、膜装置15(膜5)から撹拌体8(継続手段/継続機構)まで、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)まで、ポンプ11(継続手段/継続機構)まで、pH調整装置22まで、容器2まで、いずれでもよい。
【0137】
上記または下記各実施形態の一部を他の実施形態の一部に取り込んだり置き換えたり入れ替えたりしてもよいし、上述または後述の各実施形態の各部分の構成・構造は、上述または後述の他の実施形態の各部分の構成・構造にも、転用可能であるし、上述または後述の各実施形態の構成、作用、効果は、上述または後述の他の実施形態の構成、作用、効果としても、記載されているものとする。さらに、上述または後述の各実施形態で記載されていないことは、上述または後述の他の実施形態が参照される。
【0138】
なお、上記図11のpH調整装置22及びpH調整後pH測定器23を経た液体の流路は、上記容器2に帰還されるとともに、分岐されて図8のように膜装置15(膜5)に帰還入力されてもよい。この場合、膜装置15(膜5)の入口と出口とは連結されないが、連結されてもよい。
【0139】
以上の成分調整装置には、液体の飲食物、薬剤または体液に膜装置15(膜5)を接するようにし、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる透過工程と、 この膜装置15(膜5)を透過した液体を当該膜装置15(膜5)から離隔または離間させて、上記膜装置15(膜5)による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続工程と、 上記膜装置15(膜5)によって、特定の成分を増加または減少させた液体の水素イオン濃度(pH)を、増加または減少させて、当該特定の成分を増加または減少させる前の液体の水素イオン濃度(pH)に近づける水素イオン濃度調整工程とを備えた成分調整生産方法も内在している。
【0140】
(5)他の実施の形態
上記膜5、膜装置(膜)15透過前の液体、透過後の液体、液体の飲食物3としては、液体の薬剤、液体の体液でもよく、アルカリ性・酸性・中性の液体、脱イオン水、アルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ溶液、血液透析で使用される透析液、濾過で使用される濾過前/濾過後の液体、赤チン、ヨードチンキ、傷薬、シロップ、軟膏、風邪薬、漢方薬、滋養強壮薬、胃腸薬、頭痛薬、筋肉痛薬、避妊薬、養毛剤、精神薬、睡眠薬、降圧剤、昇圧剤、利尿剤、ビタミン剤、栄養剤、精力剤、ホルモン剤、抗炎症剤、生薬、呼吸器系薬、循環器系薬、鉄剤、エリスロポエチン製剤、目薬、歯磨き、シャンプー、リンス、液体石鹸、クリーム、血液、リンパ液、母乳、汗、涙、唾液、鼻水、体液、尿、排せつ物、ゾル状の液体、ゲル状の液体、海水、深層水、真水、雨水、みぞれ、雪、脱イオン水、イオン交換樹脂7と反応性の無い、低いまたは高い液体、サプリメント、農薬、水薬、薬液、これらの混合物などなんでもよい。
【0141】
透過作業前に投入される液体としては、上記脱イオン水のほか、すでに別の透過作業で成分調整された液体の飲食物3でもよいし、上述したアルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ溶液、血液透析で使用される透析液、濾過で使用される濾過前/濾過後の液体など何でもよいし、透過作業前に投入される液体は全く無くてもよい。
【0142】
上記膜5、膜装置(膜)15は、セロハンのほか、逆浸透膜、半透膜、透過用の膜、濾過用の膜、透析用の膜、RO膜、上記逆浸透法RO用の膜、上記ナノ濾過法NF用の膜、上記限外濾過法UF用の膜、上記精密濾過法MF用の膜、コロジオン膜、酢酸セルロース膜、再生セルロース膜(RC膜)、表面改質セルロース膜、その他のセルロース膜、セルロースアセテート膜(CA膜)、その他のアセテート膜、ポリスルホン膜(PS膜)、ポリエーテルスルホン膜(PES膜)、その他のスルホン膜、ポリエステル系ポリマーアロイ膜(PEPA膜)、その他のポリマーアロイ膜、エチレンビニルアルコール共重合体膜(EVAL膜)、アクリルニトリル・メタリルスルホン酸ナトリウム共重合体膜(AN69膜)、その他の共重合体膜、ポリメチルメアクリレート膜(PMMA膜)、その他のメアクリレート膜、ポリアクリルニトリル膜(PAN膜)、その他のアクリル膜、その他のニトリル膜、ポリアミド膜(PA膜)、その他のアミド膜、濾過膜/透析膜と同様の半透膜性能を持つ膜、その他の高分子素材、その他の重合体素材、動物の膀胱膜、フェロシアン化銅の膜、多数のストロー状/管状/パイプ状の膜でもよいし、多数の厚みのある膜でもよいし、特定の粒子のみ透過させ、他の粒子を透過させない半透膜、その他の隔膜、その他の膜などの材質/素材なら何でもよい。
【0143】
これらのうち異なる膜または同じ膜を複数枚積層させてもよい。異なる膜を積層させれば、異なる粒子の成分を異なる膜5、膜装置(膜)15でそれぞれ異なる粒子の成分を減少または増加させることができる。この場合異なる性質の膜5、膜装置(膜)15を備えた図7図8図11の膜5、膜装置(膜)15を同じ循環経路に複数段設け、それぞれの膜5、膜装置(膜)15に異なる循環経路でイオン交換樹脂7、スクリュ9、撹拌体8、ポンプを設けてもよいし、共通の1つの循環経路でイオン交換樹脂7、スクリュ9、撹拌体8、ポンプを設けてもよい。
【0144】
上記膜5、膜装置(膜)15は多重(複数)にしてもよいし、どちらか片面もしくは両面に電荷を持たせてもよい。また、膜5、膜装置(膜)15と収納部6(内箱/凹部/隔室)、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)、攪拌体8、スクリュ9の組み合わせを複数備えて、膜やイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)の種類を複数用いてもよい。
【0145】
上記膜5、膜装置(膜)15は細孔(孔形、孔径、分布、空孔率)、厚さ、均一性(孔形、孔の配向)、厚さ方向の組成および孔構造(対称膜、非対称膜、荷電、複合膜)、内部の孔形状などを変化させてもよい。上記膜5、膜装置(膜)15の形態として、シート、中空糸チューブ、マイクロカプセルなど何でもよい。上記膜5、膜装置(膜)15を透析器/濾過器として用いてもよく、その場合の形態は回転ドラム型、コイル型、キール型、積層型、中空糸型など何でもよい。
【0146】
上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)は、他に活性炭、沸石、活性アルミナ、シリカゲル、ジルコニウムナトリウム環状ケイ酸化合物、リン吸着薬(例えば炭酸セベラマー、塩酸セベラマー、ビキサロマー、パチロマー、炭酸ランタン、アルミニウム製剤、炭酸カルシウム、クエン酸第二鉄水和物、スクロオキシ水酸化鉄など)、粘土、白土、ナトリウム吸着材、カルシウム吸着材、マグネシウム吸着材、グルコース吸着材、これらの複合材など、膜5を透過した特定の成分を吸着できれば何でもよい。これにより、カリウムのほか、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、グルコース、リン酸、クエン酸、カゼイン、塩類、糖類、脂肪、脂肪球、油脂、リン蛋白質、蛋白質、炭水化物、澱粉などの特定成分を離隔または離間させて、特定の物質/成分を減少/増加させて特定の物質/成分を調整できる。
【0147】
上記イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)、本成分調整装置、成分調整方法、成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法は、他にさらに電気透析、濾過、濾過透析、その他の透析、その他の濾過など、特定の物質/成分の除去/付加/その他特定の物質/成分を調整する技術なら何でもよい。
【0148】
膜5、膜装置(膜)15による特定の粒子のみ透過させ、他の粒子を透過させない方法/装置は、電気透析、透析、濾過、濾過透析、その他の透析、精密濾過法(MF法)、限定濾過法(UF法)、ナノ濾過法(NF法)、その他の濾過法、逆浸透法(RO法)、その他の浸透法、これらに薬剤を組み合わせる方法なども含む。
【0149】
上述のように成分調整後の水素イオン濃度が繰り返し調整された液体の水素イオン濃度は、中性のpH7.0のほか、酸性pH6.0、pH5.0、…でもよいし、アルカリ性のpH8.0、pH9.0、…でもよく、成分調整前の液体は、中性のpH7.0のほか、酸性pH6.0、pH5.0、…でもよいし、アルカリ性のpH8.0、pH9.0、…でもよい。
【0150】
上記図11において、pH調整装置22、pH調整後pH測定器23の出力は、膜装置15(膜5)の入口/出口、ポンプ12入口/出口、成分調整前pH測定器31/成分調整後pH測定器32/容器pH測定器33の入口/出口など、どこに連結されてもよい。容器pH測定器33にはフロートが取り付けられ、容器2内の液体(飲食物3)の増減に応じて上下動してもよい。
【0151】
ポンプ11は、pH調整前pH測定器21、pH調整装置22、pH調整後pH測定器23、膜装置15(膜5)、成分調整後pH測定器27、収納部6の各入口/各出口などに単数/複数設けられてもよい。ポンプ12は、膜装置15(膜5)、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33、容器2の各入口/各出口などに単数/複数設けられてもよいし、上記ステップ25のほかポンプ11またはポンプ12は手動でもよい。
【0152】
上記コントローラ、記憶部、入力部、出力部は、pH調整装置22以外に、膜装置15(膜5)、収納部6、ポンプ11、12、成分調整装置、成分調整物生産装置などのどこに設けられてもよいし、成分調整装置、成分調整物生産装置から離れた場所に設けられ、通信によって上記情報/データが送受されて図9図10に示すような制御/処理が実行されてもよい。
【0153】
上記増加/減少される成分は、主にカリウムなので、人工透析/血液透析/腎臓透析を受けている患者、その他の治療中の者、健康増進中の者の液体の飲食物、薬剤または体液に有益である。増加/減少される成分は、カリウムのほか、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、カドミウム、軽金属、重金属、水素、ホウ素、炭素、酸素、窒素、フッ素、ケイ素、ネオン、シリコン、リン、イオウ、塩素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ベリリウム、ルビジウム、放射性物質などでもよく、これらの結合物、これらの化合物でもよいし、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、脂肪球、脂肪、油脂、アミノ酸、コラーゲン、リン蛋白質、蛋白質、各種糖類、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などでもよい。
【0154】
成分調整の前に、あらかじめ収納部6に少量の水もしくはイオン交換樹脂との反応性の無いもしくは反応性の乏しい液体、例えば脱イオン水、アルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ液体、血液透析/血液濾過で使用するような透析液、飲食物3そのもの、その他の液体などを入れてもよいし、入れなくてもよい。
【0155】
上記カリウムが減少された液体の飲食物3は、容器2の下/中、つまり膜5、膜装置(膜)15の収納部6の下側/外側に存在するが、膜5、膜装置(膜)15の収納部6の上側/内側に存在してもよい。この場合、イオン交換樹脂7が膜5、膜装置(膜)15の収納部6の下側/外側に移される。
【0156】
特定の成分のみ透過させ、他の成分を透過させないようにして、特定の成分を調整して利用する飲食物、薬剤または体液は、図1の膜5の下の特定の成分、例えばカリウムが減少された液体のほか、膜5、膜装置(膜)15の上の特定の成分、例えばカリウムが増加された液体でもよい。この場合でも、膜5、膜装置(膜)15の上の液体でも、膜5、膜装置(膜)15を透過できない所定値を越える大きさの粒子の成分は除去または減少される。
【0157】
上記膜5の下の液体の飲食物、薬剤または体液は、図7図8図11に示すように、ポンプ11、12または傾斜(継続手段)などによって、順次流動され、特定の成分が減少/調整された液体の飲食物、薬剤または体液は、膜5、膜装置(膜)15から離れて収納されてもよい。この場合、図7図8図11に示すように飲食物3以外に撹拌機1、容器2、撹拌羽4も膜5、膜装置(膜)15から離れて設置される。
【0158】
また、上記膜5、膜装置(膜)15の上の液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分は、図7図8図11のポンプ11、12または傾斜(継続手段)などによって、上記と異なる/逆方向/同方向に順次流動され、特定の成分が増加/調整された液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分は、膜5、膜装置(膜)15から離れて収納されてもよい。この場合、撹拌羽4またはスクリュ9は省略されてもよい。この場合、図7に示すように収納部6(内箱/凹部/隔室)にあたる容器やイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)、攪拌体8やスクリュ9も膜5から離れて設置される。
【0159】
上記撹拌羽4とスクリュ9との回転方向は逆向きでもよいし、同方向でもよいし、回転速度は同じでも、異なっていてもよい。逆向きであると、撹拌機1自体に一方向のみのスピンがかからず、バランスが取れて、撹拌機1自体が安定し、成分の調整が安定して実行される。
【0160】
上記透過作業開始前、透過中、透過作業終了時点の、上記膜5、膜装置(膜)15を透過する前の液体の飲食物3の量は、収納部6内の液体の総量/上記膜5、膜装置(膜)15を透過した後の液体の飲食物3の量より数倍以上多い、例えば10倍多かったが、9倍、8倍、7倍、6倍、…、11倍、12倍、13倍、14倍、…多くてもよいし、場合によって両者等倍つまり同量でもよいし、膜5、膜装置(膜)15を透過する前の液体の飲食物3の量は、収納部6内の液体の総量/上記膜5、膜装置(膜)15を透過した後の液体の飲食物3の量より数倍以下少ない、例えば1/2倍、1/3倍、2/3倍、1/4倍、2/4倍、3/4倍、…少なくてもよい。
【0161】
透過作業の開始時には、膜5、膜装置(膜)15の透過後側/収納部6内には脱イオン水のほか、脱イオンされていない水、膜5、膜装置(膜)15の透過前側と同じ液体の飲食物3、上述の脱イオン水、アルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ溶液、…、赤チン、ヨードチンキ、傷薬、シロップ、軟膏、風邪薬、漢方薬、滋養強壮薬、…、避妊薬、養毛剤、精神薬、睡眠薬、降圧剤、昇圧剤、などを入れてもよい。
【0162】
透過作業開始前には、膜5、膜装置(膜)15を透過した液体を当該膜5、膜装置(膜)15から離隔/離間させず、上記膜5、膜装置(膜)15による上記所定値以下の粒子の透過には関知しなくてもよい。もちろん透過作業開始後は、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)によって、膜5、膜装置(膜)15を透過した液体を当該膜5から離隔/離間させて、上記膜5、膜装置(膜)15による上記所定値以下の粒子の透過を継続させることになる。
【0163】
撹拌機1(継続手段/継続機構)、容器2、飲食物3、撹拌羽4(継続手段/継続機構)、膜5、収納部6(内箱/凹部/隔室)、イオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)、撹拌体8(継続手段/継続機構)、スクリュ9(継続手段/継続機構)、ポンプ11(継続手段/継続機構)、ポンプ12(継続手段/継続機構)、膜装置(膜)15、内箱16(収納部/凹部/隔室)、外箱17、pH調整前pH測定器21、pH調整装置22、pH調整後pH測定器23、成分調整後pH測定器27、pH調整剤容器25(水素イオン濃度調整手段)、電磁バルブ26、成分調整前pH測定器31、成分調整後pH測定器32、容器pH測定器33、流量測定器35、膜5の透過前または透過後の液体の飲食物3、薬剤、体液、隔室などは、単数でも複数でも3つ以上でもよいし、これらそれぞれの構成、動作、作用、工程または機能の一部または全体は省略されてもよいし、分割分離されてその数が増えても減ってもよいし、その形状は任意に変更可能であり、均等の他の物に置き換えられてもよいし、これらの2つまたは3つ以上が合体または一体化されて兼用されてもよいし、向きは図示のもののほか、90度、0度乃至180度、上下、左右、前後、表裏、手前、奥に傾斜/向きを変えて/反転されて使用されてもよく、それぞれの寸法の相対的大小は切り換えられてもよいし同じでもよく、一部または全部省略されてもよいし、形状は、平坦、カーブしていてもよいし、穴が開いていてもよいし、凹凸があってもよいし、方形、長方形、正方形、三角形、円、楕円、多角形、台形、半楕円形、平行四辺形、菱形、多角形、三角形、台形、環形、半環形、星形、扇形、曲線形状、十字形、L字形、H字形、I字形、U字形、T字形、C字形、O字形、N字形、M字形、X字形、J字形、Y字形、E字形、F字形、S字形、V字形、曲面、角張った形状、直方体状、多面体状、円柱、楕円柱、角柱、半円柱、半楕円柱、半角柱、円錐台、角錐台、球、卵形、半球、半卵形、多面体、ひょうたん形、鋸歯状、その他の立体形状、これらの組み合わせ立体形状でもよく、角張った段差のある形状、丸みを帯びた段差のある形状、丸みを帯びた凹凸のある形状、これらの組み合わせ形状、段差状、網状、枠状、シート状、メッシュ状、ブラインド状、スリット状、多数の穴があいたもの、これらの中央等に穴があいたもの、これらの組み合わせ複合形などでもよいし、一部または全部省略されてもよいし、材質は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカービネード、ポリクロロトリフルオロエチレン、ウレタン、ウレタフォーム、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニール、アクリル樹脂、ペット樹脂、アクアジョブなどの高分子樹脂・共重合体樹脂・硬質樹脂・軟質樹脂でも熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂でも不織布でもよいし、可撓性があっても無くてもよいし、合成樹脂のほか天然樹脂でもよいし、木、竹、樹脂、金属、ガラス、綿、布、糸、繊維、ゴム、紙、セラミック、カーボン、コンクリート、透明素材、半透明素材、これらの合成物製/混合物製/多層積層物製でもよいし、液体、固体、気体、ゾル状、ゲル状いずれでもよいし、可撓性、弾力性、クッション性、吸湿性、吸水性、通気性、抗菌性、遠赤外線効果、保温効果、乾燥効果、吸湿効果があってもなくてもよい。
【0164】
(6)透析の原理を用いた低カリウムミルクの作成
緒言と目的
イオン交換樹脂を直接牛乳に反応させるとカリウムは低下するもののナトリウムが大きく上昇してしまい、このナトリウム上昇はイオン交換樹脂がカルシウム、マグネシウム、蛋白質と反応するためとされている(T E Bunchman et al. Pediatr Nephrol.5(1):29~32)。
【0165】
また、牛乳を大量の水で透析した文献では、カルシウム、マグネシウム、蛋白質の濃度は低下しなかったものの、カリウムや糖類などの外の物質の濃度は大きく低下していた(G M Berlyne et аl. Lancet. 2(7714):24・5.)。そこで、イオン交換樹脂のカリウム吸着性能と、カルシウム、マグネシウム、蛋白質を遮断しカリウムを透過させる膜の選択性に着目した。
【0166】
今回図1に示す装置によって、セロハン膜(膜5)による透析の原理を用いて牛乳から特定の成分カリウムを減らす方法を開発し、可能な限り味を変化させず、ナトリウムの上昇やカルシウム、マグネシウムの低下を抑えた低カリウムミルクの開発を試みた。
【0167】
方法
市販されている牛乳を使用し、反応は冷蔵庫内で行った。飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則に従い、加工を行っていない牛乳を牛乳原液、牛乳に何らかの加工を行って成分を変化させたものをミルクと表現する。
【0168】
<カリウム低下手段>
カリウム低下手段は牛乳原液と陽イオン交換樹脂であるゲル型・ナトリウム形のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(アンバーライトIR120B製品)を直接反応させる直接法(図3)、透析膜を介して反応させる透析法(図1および図2)に分けた。
【0169】
直接法
直接法は従来行われてきたバッチ法と同義であり、牛乳150g当たりポリスチレンスルホン酸ナトリウム 7.5gを30分スターラーで攪拌し、さらに30分沈殿後に上澄みを採取し解析した。
【0170】
透析法
容器2内の牛乳原液150g(飲食物3)を図1の通りセロハン膜(膜5)を介して収納部6内の脱イオン水15gとポリスチレンスルホン酸ナトリウム 7.5gと反応させた。容器2内はスターラーによって攪拌し、収納部6内は電池を逆接続した水中モーター(タミヤ製品)によって攪拌した。反応は300分行った。セロハン膜(膜5)は巻セロハンロールタイプ(HEIKO製品)を適度な大きさに切って使用した。浸透圧差によって収納部6内から容器2内へ水分が移動し飲食物3が希釈されるのを防ぐため、液面は収納部6内の液面の方が容器2内の液面よりも低くなるようにした(図1)。300分の反応後、容器2内の飲食物3を解析した。
【0171】
<評価項目>
牛乳原液及び直接法で作成した低カリウムミルク、透析法で作成した低カリウムミルク(反応終了後の容器2内の飲食物3)のナトリウム、カリウム、カルシウム、クロール、無機リン、マグネシウム、グルコース濃度を評価した。さらに味覚センサー「味認識装置TS-5000Z(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製品)」で解析を行った。
【0172】
結果
牛乳原液及び直接法で作成した低カリウムミルク、透析法で作成した低カリウムミルクのデータを図6に示す。直接法、透析法ともにカリウムの低下を認め、透析法のほうがより大きくカリウムが低下した。ナトリウムは直接法と透析法の両方で上昇が認められたが、直接法と比べ透析法のナトリウム上昇は軽度に抑えられていた。
【0173】
また、直接法のカルシウム、マグネシウムが大きく低下したのに対し、透析法では軽度の低下にとどまった。牛乳原液を「0」とした味覚センサー上の比較値を図5に示す。酸味、塩味、甘味が大きく変化した直接法と比べ、透析法は酸味と甘みが軽度変化したのみであった。なお、透析法の収納部6内の液体は反応終了後も透明な状態を維持していた。
【0174】
考察
セロハンの膜5を使った透析法を用いて低カリウムミルクを作成すると味覚センサー上で味をほとんど変化させることなく(図5)カリウムを300分/5時間で65%程度削減することができた。さらに透析法ではナトリウム上昇やカルシウム、マグネシウムの低下は直接法と比べ軽度に抑えられた。
【0175】
セロハン膜は大きな物質は透過できない反面、カリウムなどの小さな物質をよく通し、その結果イオン交換樹脂と反応した物質が限定された。実際に、収納部6内の液体は反応終了後も透明な状態を維持していたことから、牛乳の白さの原因であるカゼインや脂肪はセロハン膜(膜5)を透過せずに容器2内にとどまったものと考えらえた。
【0176】
一方でナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムは0.7~1.4×10-10m程度であり、セロハン膜の孔の大きさは1×10-10~10-8 mとされていることからこれらの単原子イオンであれば容易に透過可能となる孔の大きさであった。ただし、カルシウム、マグネシウムはカゼインやリン酸、クエン酸とも結合しており、このためセロハン膜(膜5)を透過しにくかったと推測された。このようにイオン交換樹脂と反応する物質が限定されたため、味の変化が抑えられたものと考えられた。
【0177】
収納部6内の少量の水で透析をしても透析膜を透過できるカリウムなどの小さな物質は拡散しすぐに収納部6内の液体も飽和状態に達してしまう。しかしながらポリスチレンスルホン酸ナトリウムによって次々とイオン交換が行われるため、収納部6内の液体のカリウム濃度が低く維持され、結果として直接法と同等以上のカリウム濃度まで透析法でもカリウムを下げることができた。なお、イオン交換によってナトリウムが放出されナトリウム濃度が上昇したが、直接法と比べ透析法のナトリウム上昇は軽度であった。カルシウム、マグネシウム、蛋白質の多くが膜に阻まれてイオン交換樹脂と反応しなかったことをはじめとして、イオン交換樹脂と反応する物質が限定されたことに加え、セロハン膜によってナトリウムの飲食物3側への移行がある程度阻まれたためと推測される。
【0178】
凹部6内の液体(脱イオン水)の量は飲食物3(牛乳)の量の1/10としたため、牛乳内のある物質が仮に膜を完全に透過して凹部6内の液体側に移行したとしても、イオン交換樹脂と反応しなければその物質の濃度低下は10%以下となる。人は20%の濃度差がないと味の違いを認識できないとされており(池崎秀和、映像情報メディア学会誌、65(11):1575~9)、10%以下の濃度変化であれば味への影響は避けられると推測される。このことも味の変化を抑えるのに寄与したと考えられた。
【0179】
今回の実験ではセロハン膜(膜5)の膜面積が小さくカリウムが十分に低下するまで300分と長い時間を要したが、血液透析で使用するダイアライザーのように膜面積の大きなものを透析膜として使用すれば効率良くカリウムを低下させ反応時間を短縮させることが可能と思われる。
【0180】
結語
透析法を用いて低カリウムミルクを作成すると味覚センサー上で味をほとんど変化させることなくカリウムを65%程度削減することができ、ナトリウム上昇やカルシウム、マグネシウムの低下は比較的軽度に抑えられた。
【0181】
(7)他の発明の効果
[1]液体の飲食物、薬剤または体液に膜を接するようにし、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる透過工程と、
この膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続工程とを備えたことを特徴とする成分調整物生産方法/成分調整生産方法。
【0182】
[2]液体の飲食物、薬剤または体液に接し、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる膜と、 この膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続手段とをさらに備えたことを特徴とする成分調整物生産装置/成分調整生産装置。
【0183】
[3]上記膜透過後の上記液体の量は、上記膜透過前の上記液体の量の数分の1、十数分の1または数十分の1であることを特徴とする請求項2記載の成分調整物生産装置。 これにより、成分調整による味の変化をより少なくできるし、飲食物の膜の透過が順調に行われるし、成分調整された飲食物の味の変化も人間には感じられないぐらい小さくなる。
【0184】
[4]上記膜を透過した液体に吸着手段を接触させて、上記膜を透過した所定値以下の粒子を吸収することにより、上記膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させることを特徴とする請求項3記載の成分調整装置。 これにより、膜を透過して成分が調整された液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分が膜から離隔/離間されて、その所定値以下の粒子が吸着され、この所定値以下の粒子の濃度が上昇しないため、上記膜による成分調整が順調に継続され、液体の飲食物、薬剤または体液の成分調整が順調に継続される。
【0185】
[5]上記膜によって、特定の成分を増加または減少させた液体の水素イオン濃度(pH)を、増加または減少させて、当該特定の成分を増加または減少させる前の液体の水素イオン濃度(pH)に近づける水素イオン濃度調整手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整後の水素イオン濃度(pH)を成分調整前の水素イオン濃度(pH)に近づける/同じにでき、成分調整による味の変化をより少なくできる。
【0186】
[6]上記膜で特定の成分が増加または減少され、上記水素イオン濃度が増加または減少された液体は、再び当該膜を透過した後の液体に戻され再び特定の成分がさらに増加または減少されることを特徴とする請求項5記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整された液体を繰り返し水素イオン濃度調整できて液体を完全に水素イオン濃度調整できる。
【0187】
[7]上記膜で特定の成分が増加または減少され、上記水素イオン濃度が増加または減少された液体は、再び当該膜を透過する前の液体に戻され再び特定の成分がさらに増加または減少されることを特徴とする請求項5記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整/水素イオン濃度調整された液体を繰り返し成分調整/水素イオン濃度調整できて液体すべてを無駄なく完全に成分調整/水素イオン濃度調整できる。
【0188】
[8]上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、 上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過後の液体に帰還されて循環され、 上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲以上であれば、上記水素イオン濃度の調整を開始させることを特徴とする請求項6記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、水素イオン濃度が特定のときのみ水素イオン濃度調整/成分調整できて、無駄がなくなる。
【0189】
[9]上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、 上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、 上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲以上であれば、上記水素イオン濃度の調整を開始させることを特徴とする請求項7記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、水素イオン濃度が特定のときのみ水素イオン濃度調整/成分調整できて、無駄がなくなるし、透過後の液体すべてを無駄なく完全に成分調整/水素イオン濃度調整できる。
【0190】
[10]上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、 上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過後の液体に帰還されて循環され、 上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲内であれば、上記両循環の両送出量の調整を停止させる、または上記水素イオン濃度の調整を停止させることを特徴とする請求項6記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、水素イオン濃度が目的を達したとき水素イオン濃度調整/成分調整を停止できて、無駄がなくなる。
【0191】
[11]上記膜透過前の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、再び上記膜に送り込まれて再び接触されて循環され、 上記膜透過後の液体は、当該膜に送り込まれ当該膜に接触し、この後当該膜から離隔され、上記水素イオン濃度調整手段に送り込まれ、さらに上記透過前の液体に帰還されて循環され、 上記水素イオン濃度調整手段による水素イオン濃度調整前と水素イオン濃度調整後とで水素イオン濃度の差が所定範囲内であれば、上記両循環の両送出量の調整を停止させる、または上記水素イオン濃度の調整を停止させることを特徴とする請求項7記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、水素イオン濃度が目的を達したとき水素イオン濃度調整/成分調整を停止できて、無駄がなくなるし、透過後の液体すべてを無駄なく完全に成分調整/水素イオン濃度調整できる。
【0192】
[12]上記液体の単位時間あたりの水素イオン濃度の変化に応じて、上記水素イオン濃度を増加または減少させる単位時間あたりの調整量を変化させることを特徴とする請求項8、9、10または11記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、水素イオン濃度調整/成分調整を完了する時間が短くなり、水素イオン濃度に応じて水素イオン濃度の調整量を変化させることができ、効率的に水素イオン濃度調整/成分調整できる。
【0193】
[13]上記液体の単位時間あたりの流速に応じて、上記水素イオン濃度を増加または減少させる単位時間あたりの調整量を変化させることを特徴とする請求項12記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、液体の通過量/供給量/送出量に応じて、水素イオン濃度の調整量を変化させることができ、効率的に水素イオン濃度調整/成分調整できる。
【0194】
[14]上記循環される液体は、上記膜を透過した液体であることを特徴とする請求項13記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整した液体を繰り返し完全に水素イオン濃度調整できる。
【0195】
[15]上記循環される液体は、上記膜を透過する前の液体であることを特徴とする請求項13記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、液体すべてを無駄なく完全に成分調整/水素イオン濃度調整できる。
【0196】
[16]上記膜を透過した液体の単位時間あたりの流速は、上記膜を透過する前の液体の単位時間あたりの流速に対して一定の比率であることを特徴とする請求項14または15記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整前の液体、成分調整後の液体、水素イオン濃度調整する液体の循環のバランスをとることができる。
【0197】
[17]上記膜で特定の成分が増加または減少され、上記水素イオン濃度調整手段で水素イオン濃度が調整された液体を、再び当該膜に戻し、さらに上記水素イオン濃度調整手段に戻して循環させることを特徴とする請求項5記載の成分調整物生産装置/成分調整生産装置。 これにより、成分調整された液体を繰り返し水素イオン濃度調整できて液体を完全に水素イオン濃度調整できる。
【0198】
[21]液体の飲食物、薬剤または体液に接し、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ、濾過または/及び透析などの原理/その他の原理で透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる膜と、 この膜を透過した液体を当該膜から離隔/離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続手段/継続機構とを備えたことを特徴とする成分調整物装置/成分調整装置。
【0199】
[22]上記請求項1の膜と継続手段とを備えたことを特徴とする成分調整物装置/成分調整装置。
【0200】
[23]液体の飲食物、薬剤または体液に膜を接するようにし、当該飲食物、薬剤または体液の中の所定値以下の大きさの粒子のみ、濾過または/及び透析などの原理/その他の原理で透過させ、上記所定値を越える大きさの粒子を透過させず、上記飲食物、薬剤または体液から上記所定値以下の粒子の成分を減少または増加させる透過工程と、 この膜を透過した液体を当該膜から離隔/離間させて、上記膜による上記所定値以下の粒子の透過を継続させる継続工程とを備えたことを特徴とする成分調整物方法/成分調整方法。
【0201】
[24]上記請求項3の透過工程と継続工程とを備えたことを特徴とする成分調整物生産方法/成分調整生産方法。
【0202】
[25]上記透過の開始前、透過中または透過終了後、上記膜を透過する前の液体の飲食物、薬剤または体液の量は、上記膜を透過した後の液体の飲食物、薬剤または体液の量より数倍以上多いことを特徴とする請求項24記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、飲食物の膜の透過が順調に行われるし、成分調整された飲食物の味の変化も人間には感じられないぐらい小さくなる。
【0203】
[26]上記膜を透過した液体に吸着手段/吸着素材/吸着体を接触させて、上記膜を透過した所定値以下の粒子を吸収することにより、上記膜を透過した液体を当該膜から離隔または離間させることを特徴とする請求項25記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、膜を透過して成分が調整された液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分が膜から離隔/離間されて、その所定値以下の粒子が吸着され、この所定値以下の粒子の濃度が上昇しないため、上記膜による成分調整が順調に継続され、液体の飲食物、薬剤または体液の成分調整が順調に継続される。
【0204】
[27]上記膜付近の膜を透過する前の液体につき、上記膜で所定値以下の粒子を透過させた液体を当該膜から離隔または離間させることを特徴とする請求項26記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、膜の前で成分が調整された液体の飲食物、薬剤または体液が膜から離隔/離間されて、上記膜による成分調整が順調に継続され、液体の飲食物、薬剤または体液の成分調整が順調に継続される。
【0205】
[28]上記所定値は、セロハンの半透膜の10ナノメートル乃至0.1ナノメートルであることを特徴とする請求項27記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、特定の粒径の成分のみ選んで成分を調整できる。
【0206】
[29]上記液体の飲食物、薬剤または体液は容器内に収納され、 この収納された液体の飲食物、薬剤または体液内に上記膜で収納部が形成され、 上記吸着手段は、上記膜の収納部または当該収納部につながった箇所に設置され、透過された上記所定値以下の大きさの粒子を上記収納部または当該収納部につながった箇所で吸着させることを特徴とする請求項28記載の成分調整物装置/成分調整装置。
【0207】
あらかじめ収納部に少量の水もしくはイオン交換樹脂との反応性の無いもしくは反応性の乏しい脱イオン水、アルカリ性水、酸性水、中性水、浸透圧物質を含んだ液体、血液透析で使用するような透析液/濾過液、飲食物3そのもの、その他の液体などを入れてもよいし、入れなくてもよい。 これにより、膜の収納部には周囲から液体の飲食物、薬剤または体液の浸透圧がかかり、液体の飲食物、薬剤または体液がこの浸透圧によって円滑に膜を透過し、この結果、成分調整が収納部の周りから円滑に行われる。
【0208】
[30]上記膜は半透膜であり、膜の透過前の液体の飲食物、薬剤または体液の圧力と、膜の透過後の液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分の圧力は同じである請求項29記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、膜が目詰まりしにくくなる。
【0209】
[31]上記膜を透過した液体の飲食物、薬剤または体液の圧力より、膜を透過する前の液体の飲食物、薬剤または体液/これらの成分の圧力が高いことを特徴とする請求項29記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、収納部の周囲から収納部内に向かって圧力がかかり、膜での成分調整が円滑に継続される。
【0210】
[32]上記膜を透過する上記所定値以下の粒子は、例えばカリウムの成分の粒子であり、 上記膜を透過しない粒子は、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、脂肪球、アミノ酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉、これらの1つまたは複数と結合したカルシウム、これらの1つまたは複数と結合したマグネシウム、これらの1つまたは複数と結合したナトリウムの成分の粒子などであることを特徴とする請求項10または31記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、液体の飲食物、薬剤または体液の味が変わったり、変えたい成分以外の成分まで割合が変わってしまったりすることがなく、変化させたい成分例えばカリウムのみに絞って成分を調整できる。
【0211】
[33]上記成分調整装置、成分調整方法、成分調整物生産装置及び成分調整物生産方法によって、上記液体の飲食物からカリウムを95%乃至5%除去し、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、アミノ酸、脂肪球、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉の濃度はほとんど変化しないことを特徴とする請求項32記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、液体の飲食物、薬剤または体液の味が変わったり、変えたい成分以外の成分まで割合が変わってしまったりすることがなく、変化させたい成分例えばカリウムのみに絞って成分を調整できる。
【0212】
[34]容器2内の飲食物3および収納部(凹部)6内の液体はどちらも攪拌されることにより膜5の透過および膜5内外両方からの隔離/離間が促進されることを特徴とする請求項33記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより、膜5による成分調整が支障なく継続される。
【0213】
[35]収納部(凹部)6内の液体は飲食物3が膜5を透過することによって増加した、もしくはあらかじめ収納部(凹部)6内に加えられていたものであるが、その総量は容器2内の飲食物3の量と比べ少量であることを特徴とする請求項34記載の成分調整物装置/成分調整装置。 これにより飲食物3の希釈は味の変化を抑えることができる。上記実験の場合、収納部(凹部)6内には透過開始時に牛乳の1/10の量の脱イオン水を入れていた。
【符号の説明】
【0214】
1…撹拌機(継続手段/継続機構)
2…容器 3…飲食物
4…撹拌羽(継続手段/継続機構)
5…膜 6…収納部(内箱/凹部/隔室)
7…イオン交換樹脂(吸着手段/吸着素材/吸着体)
8…撹拌体(継続手段/継続機構)
9…スクリュ(継続手段/継続機構)
11…ポンプ(継続手段/継続機構)
12…ポンプ(継続手段/継続機構)
15…膜装置(膜) 17…外箱
16…内箱(収納部/凹部/隔室)
21…pH調整前pH測定器
22…pH調整装置(水素イオン濃度調整手段)
23…pH調整後pH測定器
24…流量測定器
25…pH調整剤容器(水素イオン濃度調整手段)
26…電磁バルブ(水素イオン濃度調整手段)
27…成分調整後pH測定器
31…成分調整前pH測定器
32…成分調整後pH測定器
33…容器pH測定器
35…流量測定器
【産業上の利用可能性】
【0215】
液体の成分調整をして水素イオン濃度を調整する。膜装置15(膜5)で特定の大きさ以下の粒子例えばカリウムのみを濾過または/及び透析の原理で透過させて、透過された特定の成分カリウムはイオン交換樹脂7(吸着手段/吸着素材/吸着体)に吸着されて成分調整され、pH調整装置22で水素イオン濃度が調整され、再び膜装置15(膜5)に帰還されて循環される。
【0216】
成分調整後のpHが所定範囲外であればpH調整が行われ(ステップ03、05)、膜装置15の透過前と透過後でpHの差が所定範囲外であればpH調整が行われ(ステップ07、08)、膜装置15の透過後の各所のpHの差が所定範囲外であればpH調整が行われ(ステップ11、12)、膜装置15の透過前の各所でpHの差が所定範囲外であればpH調整が行われ(ステップ16、17)、pHの差が所定範囲内であればpH調整は終了する(ステップ06、09、13、18)。
【0217】
液体の飲食物、薬剤または体液の中の特定の成分のみを選んで減少/増加させる。膜5で特定の大きさ以下の粒子例えばカリウムのみを濾過または/及び透析の原理で透過させて、液体の飲食物、薬剤または体液の特定の成分カリウムを減少させる。この特定の成分カリウムが減少されて成分が調整された液体の飲食物、薬剤または体液が容器2の膜5の下に残る。膜5の上の収納部6(内箱/凹部/隔室)内では特定の成分カリウムが増加され、この特定の成分カリウムはイオン交換樹脂7(吸着手段)に吸着され、膜5から離隔/離間されてスクリュ9(継続手段)で撹拌されて、特定の成分カリウムの膜5の透過が継続される。
【0218】
また、膜5の下の液体の飲食物、薬剤または体液は、特定の成分カリウムのみ膜5で透過された後、撹拌羽4(継続手段)で膜5から離隔/離間され、膜5の下でも特定の成分カリウムの膜5の透過/濾過/透析が継続される。膜5によって、カルシウム、マグネシウムの低下を抑え、リン酸、クエン酸、カゼイン、カゼインミセル、塩類、糖類、脂肪酸、アミノ酸、脂肪、油脂、リン蛋白質、蛋白質、グルコース、炭水化物、澱粉の濃度はほとんど変化せず、飲食物3の「味」は変化しない。膜5を透過する前の液体の飲食物3等の量は、膜5を透過した後の液体の飲食物3等の量より数倍以上多く、成分調整された飲食物3の味の変化は人間には感じられないぐらい小さくなる。
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