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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/327 20200101AFI20240425BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20240425BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20240425BHJP
【FI】
H05B45/327
H05B45/375
H05B45/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020146035
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041033
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】清水 智章
(72)【発明者】
【氏名】石北 徹
(72)【発明者】
【氏名】横田 聖冬
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章裕
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/327
H05B 45/375
H05B 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯させるとともに、前記光源の点灯状態を変更可能な点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を前記直流電流から生成し、前記変調電流を前記光源に供給する変換回路と、
前記パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、前記制御信号に基づいて前記変換回路の動作を制御することにより、前記制御信号に応じたパルス幅の前記変調電流を前記変換回路から前記光源に供給させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記変調電流の周波数を20kHz以上の第1周波数と、前記第1周波数よりも低い第2周波数と、に変更可能であり、前記制御信号の表す前記パルス幅が所定値以上である場合に、前記第1周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ、前記制御信号の表す前記パルス幅が前記所定値未満である場合に、前記第2周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ
前記第2周波数は、20kHz未満であり、
前記第2周波数の前記変調電流の1つのパルスの波形形状において、前記直流電流の電流値の90%未満となる立ち上がり部分の領域及び立ち下がり部分の領域の合計の面積は、前記直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2周波数は、前記第1周波数の10分の1以下であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの光源と、光源に電力を供給することにより、光源を点灯させる点灯装置と、を備えた照明装置が知られている。こうした照明装置において、点灯装置が、直流電力に対してパルス幅変調制御を行い、パルス幅変調した電流を光源に供給することが行われている。点灯装置は、制御信号の入力を受け、制御信号に基づいて上記のパルス幅変調制御を行う。これにより、制御信号に応じて光源の明るさを変化させることができる。いわゆる調光制御を行うことができる。
【0003】
このように、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式では、直流電流の大きさを変化させる制御方式と比べて、明るさの変化にともなう発光光色の変化を抑制することができる。
【0004】
しかしながら、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式においても、電流波形の立ち上がりの部分や立ち下りの部分において、発光光色が変化してしまう可能性がある。こうした発光光色の変化は、パルス幅変調した電流のオン時間の短い低出力時において顕著となる。
【0005】
また、パルス幅変調制御の周波数が高いと、1周期の時間が短くなり、パルス幅変調した電流のオン時間の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまう。一方で、パルス幅変調制御の周波数が人間の可聴周波数よりも低くなると、パルス幅変調の動作が、騒音となって聞こえてしまう可能性が生じる。
【0006】
このため、照明装置では、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、発光光色の変化や騒音の発生をより抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-157784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、発光光色の変化や騒音の発生をより抑制できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、光源と、前記光源を点灯させるとともに、前記光源の点灯状態を変更可能な点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を前記直流電流から生成し、前記変調電流を前記光源に供給する変換回路と、前記パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、前記制御信号に基づいて前記変換回路の動作を制御することにより、前記制御信号に応じたパルス幅の前記変調電流を前記変換回路から前記光源に供給させる制御部と、を有し、前記制御部は、前記変調電流の周波数を20kHz以上の第1周波数と、前記第1周波数よりも低い第2周波数と、に変更可能であり、前記制御信号の表す前記パルス幅が所定値以上である場合に、前記第1周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ、前記制御信号の表す前記パルス幅が前記所定値未満である場合に、前記第2周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ、前記第2周波数は、20kHz未満であり、前記第2周波数の前記変調電流の1つのパルスの波形形状において、前記直流電流の電流値の90%未満となる立ち上がり部分の領域及び立ち下がり部分の領域の合計の面積は、前記直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満であることを特徴とする照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、発光光色の変化や騒音の発生をより抑制できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係るDC/PWM変換回路を模式的に表すブロック図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図4】実施形態に係る照明装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、照明装置10は、光源12と、点灯装置14と、を備える。照明装置10は、例えば、スタジオや舞台などに設置して使用される演出用の照明装置である。
【0014】
光源12は、例えば、発光素子12aを有する。光源12は、例えば、複数の発光素子12aを有する。複数の発光素子12aは、直列に接続される。複数の発光素子12aは、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。発光素子12aの数は、任意でよい。発光素子12aの数は、例えば、1つでもよい。
【0015】
発光素子12aには、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。光源12は、例えば、複数のLEDを有するLEDモジュールである。発光素子12aは、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、または、その他の電界発光型の発光素子などでもよい。但し、光源12は、発光素子12aを有するものに限ることなく、例えば、電球などでもよい。光源12は、直流電流の供給によって点灯する任意の光源でよい。
【0016】
点灯装置14は、光源12を点灯させるとともに、光源12の点灯状態を変更可能である。点灯装置14は、例えば、交流電源2と接続され、交流電源2から供給される交流電力を直流電力に変換して光源12に供給することにより、光源12を点灯させる。
【0017】
点灯装置14は、AC/DC変換回路20と、DC/PWM変換回路22(変換回路)と、制御部24と、信号変換部26と、を有する。
【0018】
AC/DC変換回路20は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換する。なお、点灯装置14に供給される電力は、交流電力に限ることなく、直流電力でもよい。この場合、AC/DC変換回路20は、省略可能である。
【0019】
DC/PWM変換回路22は、AC/DC変換回路20から供給された直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を直流電流から生成し、生成した変調電流を光源12に供給する。パルス幅変調制御は、換言すれば、PWM(Pulse Width Modulation)制御である。変調電流は、換言すれば、PWM電流である。
【0020】
制御部24は、パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、制御信号に基づいてDC/PWM変換回路22の動作を制御することにより、制御信号に応じたパルス幅の変調電流をDC/PWM変換回路22から光源12に供給させる。これにより、制御部24は、制御信号に応じた点灯状態で光源12を点灯させる。
【0021】
制御信号は、例えば、外部機器4から照明装置10の点灯装置14に入力される。外部機器4は、例えば、上位のコントローラである。外部機器4は、例えば、調光卓などと呼ばれる場合もある。
【0022】
信号変換部26は、外部機器4と通信を行う。信号変換部26は、外部機器4から入力された制御信号を受け、入力された制御信号を制御部24に対応した形式の制御信号に変換する。そして、信号変換部26は、変換後の制御信号を制御部24に入力する。なお、信号の変換が必要無い場合などには、外部機器4から入力された制御信号を直接的に制御部24に入力してもよい。信号変換部26は、点灯装置14に必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0023】
図2は、実施形態に係るDC/PWM変換回路を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、DC/PWM変換回路22は、定電流回路30と、調光回路40と、を有する。
【0024】
定電流回路30は、光源12に供給される電流の大きさが一定になるように、出力電流を制御する。定電流回路30は、一対の入力端子30a、30bと、一対の出力端子30c、30dと、を有する。一対の入力端子30a、30bは、AC/DC変換回路20の出力端子と電気的に接続される。これにより、AC/DC変換回路20からの直流電力が定電流回路30に供給される。出力端子30cは、光源12の発光素子12aの一端と電気的に接続される。出力端子30dは、光源12の発光素子12aの他端と電気的に接続される。これにより、定電流回路30から出力された電流が、光源12に供給される。
【0025】
定電流回路30は、例えば、スイッチング素子31と、インダクタ32と、ダイオード33と、を有する。スイッチング素子31は、電極31a~31cを有する。スイッチング素子31は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極31aは、ドレインであり、電極31bは、ソースであり、電極31cは、ゲートである。スイッチング素子31は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタなどでもよい。
【0026】
電極31aは、入力端子30aと電気的に接続されている。電極31bは、インダクタ32の一端に接続されている。インダクタ32の他端は、高電位側の出力端子30cと電気的に接続されている。ダイオード33のカソードは、スイッチング素子31の電極31bと電気的に接続されている。ダイオード33のアノードは、低電位側の入力端子30b及び出力端子30dと電気的に接続されている。
【0027】
電極31cは、制御部24と電気的に接続されている。スイッチング素子31は、制御部24からの信号に応じてスイッチングする。定電流回路30は、例えば、スイッチング素子31をスイッチングすることにより、実質的に一定の直流電流を出力する。
【0028】
また、この例において、定電流回路30は、いわゆる降圧チョッパ回路である。定電流回路30は、AC/DC変換回路20から供給された直流電力の電圧値を、光源12に対応した電圧値に降圧する。なお、定電流回路30の構成は、上記に限ることなく、実質的に一定な電流を出力可能な任意の構成でよい。
【0029】
調光回路40は、光源12に対して並列に接続されるスイッチング素子42を有する。スイッチング素子42は、電極42a~42cを有する。スイッチング素子42には、スイッチング素子31に関して説明したものと同様のものを用いることができる。
【0030】
電極42aは、定電流回路30の出力端子30cと電気的に接続されている。電極42bは、定電流回路30の出力端子30dと電気的に接続されている。これにより、スイッチング素子42が、光源12と並列に接続される。電極42cは、制御部24と電気的に接続されている。スイッチング素子42は、制御部24からの信号に応じてスイッチングする。
【0031】
調光回路40(DC/PWM変換回路22)及び制御部24は、外部機器4から入力された制御信号に応じてスイッチング素子42のオン・オフを切り替え、直流電流の出力及び出力の停止を周期的に切り替えることにより、直流電流に対してパルス幅変調制御を行う。このように、調光回路40(DC/PWM変換回路22)は、スイッチング素子42のオン・オフを切り替えることにより、直流電流から変調電流(PWM電流)を生成し、変調電流を光源12に供給する。
【0032】
制御部24は、制御信号に応じて変調電流のパルス幅を変化させる。換言すれば、制御部24は、制御信号に応じてスイッチング素子42のオン時間を変化させる。これにより、スイッチング素子42のオン・オフの切り替えによって、光源12から照射される光の明るさを変化させることができる。換言すれば、光源12から照射される光の調光制御を行うことができる。制御信号は、換言すれば、調光信号である。変調電流のパルス幅は、換言すれば、光源12から照射される光の調光度である。
【0033】
点灯装置14では、調光回路40よりも光源12側(出力側)には、電圧を平滑するような比較的大きな容量の電荷蓄積素子(例えばコンデンサなど)が設けられていない。これにより、例えば、パルス状に変化する変調電流の立ち上りや立ち下りが遅れ、不本意な調光度となってしまうことを抑制することができる。
【0034】
調光回路40では、光源12と並列に接続されるスイッチング素子42をオフにすることにより、光源12に直流電流を供給することができる。一方、スイッチング素子42をオンにすると、スイッチング素子42に電流が流れることにより、光源12側への直流電流の供給が停止される。
【0035】
定電流回路30は、例えば、検出部34をさらに有する。検出部34は、光源12及びスイッチング素子42の下流側に設けられ、スイッチング素子42がオフになり、光源12に直流電流が流れた時に、光源12に流れる直流電流の電流値を検出し、スイッチング素子42がオンになり、光源12への直流電流の供給が停止された時に、スイッチング素子42に流れる直流電流の電流値を検出する。検出部34は、制御部24と電気的に接続され、制御部24に検出結果を入力する。
【0036】
検出部34は、例えば、光源12の低圧側の端子及びスイッチング素子42の電極42bの接続点と低電位側の入力端子30bとの間に設けられる。検出部34は、例えば、直流電流の電流値を検出するための検出抵抗である。検出部34は、例えば、磁束の変化などを計測するクランプ型の電流計などでもよい。
【0037】
制御部24及び定電流回路30は、検出部34の検出結果に基づいて、スイッチング素子31をスイッチングすることにより、光源12及びスイッチング素子42に流れる直流電流の電流値が一定になるように制御する。また、制御部24及び調光回路40は、前述のように、制御信号に基づいてスイッチング素子42をスイッチングさせることにより、調光回路40の調光制御を行う。これにより、制御信号に応じた所望の明るさで、光源12を点灯させることができる。
【0038】
スタジオや舞台などに設置して使用される演出用の照明装置10では、例えば、消灯状態から点灯状態とする際に、素早く所望の明るさにすることが望まれる。照明装置10では、定電流回路30を動作させつつ、調光回路40のスイッチング素子42をオン状態とし、実質的に一定の直流電流をスイッチング素子42に流すことにより、直流電流をスイッチング素子42側に流した状態のまま光源12を消灯状態とすることができる。
【0039】
これにより、照明装置10では、スイッチング素子42をオフ状態とすることで、光源12を消灯した状態から素早く所望の明るさで点灯させることができる。例えば、定電流回路30の動作を停止させ、直流電流の供給を完全に停止させた状態から光源12を点灯させる場合などと比べて、光源12を素早く所望の明るさで点灯させることができる。このように、照明装置10では、光源12を消灯状態から点灯状態に切り替える場合などに、高い応答性を得ることができる。
【0040】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図3(a)及び図3(b)は、DC/PWM変換回路22から光源12に供給される変調電流の一例を模式的に表す。
【0041】
図3(a)及び図3(b)に表したように、制御部24は、変調電流の周波数を20kHz以上の第1周波数と、第1周波数よりも低い第2周波数と、に変更可能である。換言すれば、DC/PWM変換回路22及び制御部24は、第1周波数の第1変調電流MC1と、第2周波数の第2変調電流MC2と、を生成可能である。
【0042】
制御部24は、例えば、スイッチング素子42のスイッチング周波数を変化させることにより、変調電流の第1周波数と第2周波数とを変更する。但し、第1周波数と第2周波数との変更方法は、これに限ることなく、変調電流の周波数を第1周波数と第2周波数とに変更可能な任意の方法でよい。また、DC/PWM変換回路22の構成は、上記に限ることなく、変調電流を生成可能であるとともに、変調電流の周波数を第1周波数と第2周波数とに変更可能な任意の構成でよい。
【0043】
第2周波数は、例えば、20kHz未満に設定されることが好ましい。第2周波数は、例えば、第1周波数の10分の1以下である。例えば、第1周波数を20kHzに設定した場合には、第2周波数を2kHz未満に設定することが好ましい。但し、第2周波数は、第1周波数のよりも低い任意の周波数でよい。なお、図3(a)及び図3(b)では、図示を簡単にするため、便宜的に第2周波数を第1周波数の2分の1として図示している。
【0044】
制御部24は、例えば、制御信号の表すパルス幅が所定値以上である場合に、第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、制御信号の表すパルス幅が所定値未満である場合に、第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。換言すれば、制御部24は、調光度が所定値以上である場合に、第1変調電流MC1を生成させ、調光度が所定値未満である場合に、第2変調電流MC2を生成させる。
【0045】
第1周波数と第2周波数とを切り替える制御信号のパルス幅の所定値は、例えば、10%である。制御部24は、制御信号の表すパルス幅が10%以上である場合に、第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、制御信号の表すパルス幅が10%未満である場合に、第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。換言すれば、制御部24は、調光度が10%以上である場合に、第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、調光度が10%未満である場合に、第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。但し、第1周波数と第2周波数とを切り替える制御信号のパルス幅の所定値は、上記に限ることなく、任意の値でよい。
【0046】
図3(a)及び図3(b)に表したように、変調電流の1つのパルスの波形形状は、スイッチング素子42のオンにともなって増加し、定電流回路30から出力される直流電流に応じて実質的に一定になった後、スイッチング素子42のオフにともなって減少する。この際、パルスの立ち上がり部分及び立ち下がり部分には、経路の時定数などに応じて所定の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が発生する。従って、変調電流の1つのパルスの波形形状は、図3(a)及び図3(b)に表したように、略台形状の形状となる。
【0047】
光源12においては、供給される電流の大きさによって発光光色が変化してしまう場合がある。定電流回路30から出力される直流電流の電流値を光源12に供給した時の発光光色を所望の発光光色とした場合、発光光色の変化を許容できる電流値の範囲は、例えば、定電流回路30から出力される直流電流の電流値の±10%の範囲である。
【0048】
従って、変調電流を光源12に供給する場合には、パルスの立ち上がりの部分及び立ち下がりの部分において、所望の発光光色とならない領域が発生してしまう。定電流回路30から出力される直流電流の電流値の90%以上となる領域R1(図3においてドットのハッチングを施した領域)では、光源12から所望の発光光色の光を照射させることができる。一方、定電流回路30から出力される直流電流の電流値の90%未満となる立ち上がり部分の領域R2及び立ち下がり部分の領域R3(図3において斜線のハッチングを施した領域)では、光源12から所望の発光光色の光を照射させることができない可能性がある。
【0049】
領域R2及び領域R3の影響は、パルス幅を短くし、領域R1の面積を狭くした低出力時(調光度の低い時)に顕著となる。また、変調電流の周波数が高いと、1周期の時間が短くなり、変調電流のパルス幅の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまう。一方で、変調電流の周波数が人間の可聴周波数よりも低くなると、パルス幅変調の動作(例えば、スイッチング素子42のスイッチングの動作)が、騒音となって聞こえてしまう可能性が生じる。
【0050】
これに対し、本実施形態に係る照明装置10では、制御部24が、制御信号の表すパルス幅が所定値以上である場合に、第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、制御信号の表すパルス幅が所定値未満である場合に、第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。
【0051】
このように、パルス幅が所定値以上の比較的高い出力の時には、20kHz以上の第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させる。これにより、パルス幅変調の動作が、騒音となって聞こえてしまうことを抑制することができる。また、パルス幅が所定値以上の比較的高い出力の時には、領域R1の面積が広くなるため、第1周波数を設定したとしても、光源12から照射される光の発光光色の変化を抑制することができる。
【0052】
そして、パルス幅が所定値未満の比較的低い出力の時には、第1周波数よりも低い第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。図3に表したように、変調電流の周波数を低くすることにより、同じパルス幅(調光度)が設定されている場合にも、高い周波数と比べて、直流電流の電流値の90%以上となる領域R1の面積を広くすることができる。これにより、低出力時においても、直流電流の電流値の90%未満となる領域R2、R3の影響による発光光色の変化を抑制することができる。また、パルス幅が所定値未満の時に第2周波数を設定することにより、変調電流のパルス幅の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまうことも抑制することができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る照明装置10では、パルス幅変調した電流を光源12に供給する制御方式において、発光光色の変化や騒音の発生をより抑制することができる。
【0054】
なお、第1周波数と第2周波数との変更は、必ずしもパルス幅の大小で決定しなくてもよい。例えば、制御部24に対して変更信号を入力できるようにし、入力された変更信号に基づいて制御部24に第1周波数と第2周波数とを変更させてもよい。これにより、例えば、騒音が気になる場合には、第1周波数を選択し、発光光色の変化が気になる場合には、第2周波数を選択することなどが可能となる。例えば、発光光色の変化や騒音の発生をより抑制するとともに、照明装置10の利便性をより向上させることができる。変更信号は、照明装置10に設けられた操作部などから入力してもよいし、ネットワークなどを介して外部から入力してもよい。
【0055】
第2周波数の第2変調電流MC2の1つのパルスの波形形状において、定電流回路30から出力される直流電流の電流値の90%未満となる領域R2及び領域R3の合計の面積は、例えば、定電流回路30から出力される直流電流の電流値の90%以上となる領域R1の面積の30%未満である。換言すれば、領域R1の面積の比率を10とする時、領域R2及び領域R3の合計の面積の比率は、3未満である。領域R1の面積の領域R2及び領域R3の合計の面積に対する比率は、10:3以上である。
【0056】
このように、第2変調電流MC2の1つのパルスの波形形状において、直流電流の電流値の90%未満となる領域の面積は、直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満である。これにより、第2変調電流MC2を生成した際の光源12から照射される光の発光光色の変化をより確実に抑制することができる。
【0057】
例えば、第2周波数を20kHz未満に設定する。これにより、例えば、1%から100%までのパルス幅(調光度)の範囲において、直流電流の電流値の90%未満となる領域の面積を、直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満にすることができる。例えば、第2周波数を20kHz未満かつ第1周波数の10分の1以下に設定する。これにより、パルス幅(調光度)のいかなる範囲においても、直流電流の電流値の90%未満となる領域の面積を、直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満にすることができる。光源12から照射される光の発光光色の変化をより確実に抑制することができる。
【0058】
また、前述のように、点灯装置14では、調光回路40よりも光源12側(出力側)には、電圧を平滑するような比較的大きな容量の電荷蓄積素子(例えばコンデンサなど)が設けられていない。これにより、領域R2及び領域R3の面積を狭くし、直流電流の電流値の90%未満となる領域の面積を、直流電流の電流値の90%以上となる領域の面積の30%未満にし易くすることができる。
【0059】
図4は、実施形態に係る照明装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図4に表したように、照明装置10aでは、光源12が、複数の発光素子12a~12cを有するとともに、点灯装置14aが、複数のDC/PWM変換回路22を有する。複数のDC/PWM変換回路22は、それぞれ変調電流を生成し、複数の変調電流のそれぞれを複数の発光素子12a~12cのそれぞれに供給する。複数のDC/PWM変換回路22は、例えば、図2に表した回路を複数設けることによって実現することができる。
【0060】
発光素子12aは、例えば、電圧の印加により、赤色光を照射する。発光素子12bは、例えば、電圧の印加により、緑色光を照射する。発光素子12cは、例えば、電圧の印加により、青色光を照射する。複数のDC/PWM変換回路22は、制御信号に基づいて各発光素子12a~12cのそれぞれに供給する変調電流のパルス幅を変化させることにより、各色の光の強度を変化させる。これにより、光源12から任意の色の光を照射することができる。いわゆる調色制御を行うことができる。複数の発光素子12a~12cは、赤色光、緑色光、青色光に限ることなく、色温度の異なる光を照射する発光素子などでもよい。
【0061】
このように、点灯装置14aは、複数の第2直流電圧Vdc2を生成する複数のDC/PWM変換回路22を有する構成としてもよい。なお、光源12の発光素子の数は、3つに限ることなく、4つ以上でもよい。DC/PWM変換回路22の数は、発光素子の数に応じた任意の数でよい。また、例えば、照明装置10aに複数の光源12を設け、複数のDC/PWM変換回路22は、パルス幅の異なる複数の変調電流を複数の光源12のそれぞれに供給してもよい。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
2 交流電源、 4 外部機器、 10、10a 照明装置、 12 光源、 12a~12c 発光素子、 14、14a 点灯装置、 20 AC/DC変換回路、 22 DC/PWM変換回路、 24 制御部、 26 信号変換部、 30 定電流回路、 31 スイッチング素子、 32 インダクタ、 33 ダイオード、 34 検出部、 40 調光回路、 42 スイッチング素子
図1
図2
図3
図4