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特許7478348多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/755 20060101AFI20240425BHJP
   C07C 67/28 20060101ALI20240425BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20240425BHJP
   C08G 63/88 20060101ALI20240425BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
B01J23/755 M
C07C67/28
C07C69/82 B
C08G63/88
C07B61/00 300
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022204973
(22)【出願日】2022-12-21
(65)【公開番号】P2024048317
(43)【公開日】2024-04-08
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】111136451
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】廖 徳超
(72)【発明者】
【氏名】鄭 維昇
(72)【発明者】
【氏名】李 祐霖
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104357938(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104327254(CN,A)
【文献】特開2008-174497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 67/28
C07C 69/82
C08G 63/88
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C:Na-Ni/Alで表される化学成分からなる無機複合粉体材料である担体と、
シロキサンカップリング剤で処理されており、且つ前記担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体と、
シロキサンカップリング剤で処理されており、且つ前記担体にグラフトされる第2の機能性イオン液体と、を含み、
ポリエステル織物のリサイクル中において、前記ポリエステル織物に対して同時に脱色及び解重合を行い、前記第1の機能性イオン液体は前記ポリエステル織物を脱色するために用いられ、前記第2の機能性イオン液体は前記ポリエステル織物を解重合するために用いられる、ポリエステル織物のリサイクルに適用される多機能触媒。
【請求項2】
前記無機複合粉体材料は、ナトリウム-ニッケル複合アルミナにカーボンが吸着している材料からなり、前記無機複合粉体材料はそのニッケル原子端にカーボンが吸着し、
前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着しているカーボン成分により前記ポリエステル織物を脱色する、請求項1に記載の多機能触媒。
【請求項3】
前記第1の機能性イオン液体はイミダゾール系イオン液体であり、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の多機能触媒。
【請求項4】
前記第2の機能性イオン液体は、カチオンとアニオンとからなる塩類であり、
前記カチオンは、イミダゾールカチオン、ピリジンカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、及び第四級アンモニウムカチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つであり、
前記アニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである、請求項3に記載の多機能触媒。
【請求項5】
前記イミダゾールカチオンは下式(1)で示される化学構造を有し、
【化1】
前記ピリジンカチオンは下式(2)で示される化学構造を有し、
【化2】
前記第四級ホスホニウムカチオンは下式(3)で示される化学構造を有し、
【化3】
前記第四級アンモニウムカチオンは下式(4)で示される化学構造を有し、
【化4】
そのうち、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立してアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、ヒドロキシ基、アリール基、又はヘテロ環状炭化水素基である、請求項4に記載の多機能触媒。
【請求項6】
前記無機複合粉体材料の総重量を100wt%とすることに基づき、カーボン成分の含有量が10wt%から15wt%の間にある、請求項1に記載の多機能触媒。
【請求項7】
前記第1の機能性イオン液体及び前記第2の機能性イオン液体が担体にグラフトされるイオン液体グラフト比(前記担体の重量に対する、前記第1の機能性イオン液体と前記第2の機能性イオン液体との重量の和の比率)は5%から40%の間にある、請求項1に記載の多機能触媒。
【請求項8】
前記第1の機能性イオン液体及び前記第2の機能性イオン液体が担体にグラフトされる前記イオン液体グラフト比は5%から25%の間にある、請求項7に記載の多機能触媒。
【請求項9】
脱色機能を有する前記第1の機能性イオン液体の重量は、解重合機能を有する前記第2の機能性イオン液体の重量の2倍から10倍の間である、請求項7に記載の多機能触媒。
【請求項10】
Na-Ni/Alで示される化学成分からなる第1の無機複合粉体材料を提供することと、
固定床反応器により、反応条件で二酸化炭素ガスを前記第1の無機複合粉体材料に導入し、前記二酸化炭素ガスをカーボン成分に還元させと共に、前記第1の無機複合粉体材料のニッケル原子端に吸着させることを含む還元作業を実施することと、
前記ニッケル原子端に前記カーボン成分が吸着された前記第1の無機複合粉体材料に対して、焼結条件下で格子転位を行い、C:Na-Ni/Alで示される化学成分からなる第2の無機複合粉体材料を得ることを含む焼結作業を実施することと、
第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体をそれぞれシロキサンカップリング剤と反応させ、前記シロキサンカップリング剤により前記第2の無機複合粉体材料にグラフトさせ、多機能触媒を得ることを含むグラフト作業を実施することと、
を含む、多機能触媒の製造方法。
【請求項11】
前記第1の機能性イオン液体はイミダゾール系イオン液体であり、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである、請求項10に記載の多機能触媒の製造方法。
【請求項12】
前記第2の機能性イオン液体は、カチオンとアニオンとからなる塩類であり、
前記カチオンは、イミダゾールカチオン、ピリジンカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、及び第四級アンモニウムカチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つであり、
前記アニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の多機能触媒の製造方法。
【請求項13】
染色されたポリエステル織物を提供することと、
担体と、前記担体にグラフトされ且つシロキサンカップリング剤で処理された第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体と、を含む多機能触媒を提供することと、
前記ポリエステル織物、前記多機能触媒、及び化学的解重合液を混合し、前記第1の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を脱色し、かつ前記第2の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を解重合し、脱色及び解重合されて、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む解重合生成物を得ることと、
前記多機能触媒を前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから分離することと、
を含み、
前記担体がC:Na-Ni/Alで示される化学成分からなる無機複合粉体材料である、多機能触媒の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒に関し、特にポリエステル織物のリサイクルに用いられる多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、全世界ではポリエステルの閉ループ化学リサイクル技術(PET closed-loop chemical recycling technology)が迅速に発展している。上述した化学リサイクル技術では、溶剤による化学的分解の補助、バイオテクノロジーによる化学的分解の補助、又はマイクロ波による化学的分解の補助はいずれも、試量産という開発段階に達している。上述した化学リサイクル技術は、例えば、廃棄ポリエステルフレーク、又は廃棄ポリエステル紡績布といった、異なる種類の廃棄ポリエステル材料の処理に用いられる。
【0003】
廃棄ポリエステル紡績布のリサイクルについては、従来の化学リサイクル技術の多数は、廃棄ポリエステル紡績布の解重合と脱色とをそれぞれ異なる作業フローで行い、また触媒をリサイクルしにくいという問題があり、リサイクル作業のコストが高くなりすぎる。
【0004】
従って、本発明者は、上記の欠陥を改善できると感じ、研究に専念し、科学的原理の適用と組み合わせ、最終的にデザインが合理的で上記の欠陥を改善した本発明を完成することに至った。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術の不足に対して、ポリエステル織物をリサイクルするための環境対応多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法を提供することである。
【0006】
上述した技術的問題を解決するためには、本発明で採用されるその一つの技術的方案としては、C:Na-Ni/Alで表される化学成分を含んで構成され、且つ無機複合粉体材料である担体と、前記担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体と、前記担体にグラフトされる第2の機能性イオン液体とを含み、ポリエステル織物のリサイクル中において、前記ポリエステル織物に対して同時に脱色及び解重合を行い、前記第1の機能性イオン液体は前記ポリエステル織物を脱色するために用いられ、前記第2の機能性イオン液体は前記ポリエステル織物を解重合するために用いられる、ポリエステル織物のリサイクルに適用される多機能触媒を提供する。
【0007】
好ましくは、前記無機複合粉体材料は、ナトリウム-ニッケル複合アルミナにカーボンが吸着している材料から構成されており、前記無機複合粉体材料はそのニッケル原子端にカーボンが吸着し、前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着しているカーボン成分により前記ポリエステル織物を脱色する。
【0008】
好ましくは、前記第1の機能性イオン液体はイミダゾール系イオン液体であり、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0009】
好ましくは、前記第2の機能性イオン液体は、カチオンとアニオンとからなる塩類であり、前記カチオンは、イミダゾールカチオン、ピリジンカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、及び第四級アンモニウムカチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つであり、前記アニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0010】
好ましくは、前記イミダゾールカチオンは下式(1)で示される化学構造を有する。
【化1】
【0011】
前記ピリジンカチオンは下式(2)で示される化学構造を有する。
【化2】
【0012】
前記第四級ホスホニウムカチオンは下式(3)で示される化学構造を有する。
【化3】
【0013】
前記第四級アンモニウムカチオンは下式(4)で示される化学構造を有する。
【化4】
【0014】
そのうち、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立してアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、ヒドロキシ基、アリール基、又はヘテロ環状炭化水素基である。
【0015】
好ましくは、前記無機複合粉体材料の総重量を100wt%とすることに基づき、カーボン成分の含有量が10wt%から15wt%の間にある。
【0016】
好ましくは、前記第1の機能性イオン液体と前記第2の機能性イオン液体とが担体にグラフトされるイオン液体グラフト比は5%から40%の間にある。
【0017】
好ましくは、前記第1の機能性イオン液体と前記第2の機能性イオン液体とが担体にグラフトされる前記イオン液体グラフト比は5%から25%の間にある。
【0018】
好ましくは、脱色機能を有する前記第1の機能性イオン液体の重量は、解重合機能を有する前記第2の機能性イオン液体の重量の2倍から10倍の間である。
【0019】
上述した技術的問題を解決するためには、本発明で採用されるその他の技術的方案としては、Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される第1の無機複合粉体材料を提供することと、固定床反応器により、反応条件下で二酸化炭素ガスを前記第1の無機複合粉体材料に流し、前記二酸化炭素ガスをカーボン成分に還元させ、前記第1の無機複合粉体材料のニッケル原子端に吸着させることを含む還元作業を実施することと、前記ニッケル原子端に前記カーボン成分が吸着された前記第1の無機複合粉体材料に対して、焼結条件下で格子転位を行い、C:Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される第2の無機複合粉体材料を得ることを含む焼結作業を実施することと、第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体をそれぞれシロキサンカップリング剤と反応させ、前記シロキサンカップリング剤により前記第2の無機複合粉体材料にグラフトさせ、多機能触媒を得ることを含むグラフト作業を実施することと、を含む多機能触媒の製造方法を提供する。
【0020】
好ましくは、前記第1の機能性イオン液体はイミダゾール系イオン液体であり、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0021】
好ましくは、前記第2の機能性イオン液体は、カチオンとアニオンとからなる塩類であり、前記カチオンは、イミダゾールカチオン、ピリジンカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、及び第四級アンモニウムカチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つであり、前記アニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0022】
上述した技術的問題を解決するためには、本発明で採用されるその他の技術的方案としては、染色されたポリエステル織物を提供することと、担体及び前記担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体と第2の機能性イオン液体を含み、前記担体がC:Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される無機複合粉体材料である多機能触媒を提供することと、前記ポリエステル織物、前記多機能触媒、及び化学的解重合液を混合し、前記第1の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を脱色し、かつ前記第2の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を解重合し、脱色及び解重合されたビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含む解重合生成物を得ることと、前記多機能触媒を前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから分離することと、を含む多機能触媒の使用方法を提供する。
【0023】
本発明の一つの有益な効果としては、本発明で提供される多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法は、担体の特殊な材料選択並びに担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体により解重合及び脱色という機能を兼ね備え、かつリサイクルが容易であるという利点を有する。本発明に係る多機能触媒の特殊な材料設計により、同一の作業フローでポリエステル織物に対して脱色及び解重合を行うことができ、かつ従来の化学リサイクル技術におけるリサイクルのコストが高すぎるという問題を解決できる。
【0024】
さらには、前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着されているカーボンにより、ポリエステル織物における染料を脱色することもでき、多機能触媒の脱色効率を向上させることができる。
【0025】
また、前記無機複合粉体材料はナトリウム-ニッケル複合アルミナから構成されるので、前記多機能触媒は、磁気物質(例えば、磁石)によりリサイクルしてもよいし、或いは、ろ過によりリサイクルしてもよい。
【0026】
本発明の特徴と技術的内容をさらに理解するために、以下の本発明の詳細な説明と図面を参照するが、提供される図面は参考と説明のみを目的としており、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例における多機能触媒の化学構造の模式図である。
【0028】
図2】本発明の実施例における多機能触媒の製造方法のフローチャートである。
【0029】
図3】本発明の実施例における多機能触媒の使用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明に記載される実施形態を説明し、当業者であれば本明細書に記載の内容により本発明の利点及び効果を理解できる。本発明は、異なる他の具体的な実施例により実施又は応用されてもよく、本明細書の様々な詳細は、異なる観点及び用途に基づき、本発明の思想を逸脱することなく修正及び変更することもできる。また、本発明の図面は模式的なもので、実際の大きさで描かれていないことが予め記載される。以下の実施形態により、本発明の関連する技術的内容をさらに詳細に説明するが、その記載される内容は本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0031】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書では様々な要素又は信号を説明するために使用される場合があるが、これらの要素又は信号はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は主に、ある要素を別の要素から、又はある信号を別の信号から区別するために使用される。また、本明細書で使用される「又は」という用語は、場合に応じて関連する列挙項目のいずれか一つ又は複数項目の組合せを含むべきである。
【0032】
[多機能触媒]
【0033】
本発明の実施例は、ポリエステル織物のリサイクルに適用される多機能触媒を提供する。ポリエステル織物のリサイクル中において、前記多機能触媒は、同一の作業フローにおいてポリエステル織物に対して脱色及び解重合を行うことができ、前記多機能触媒を容易にリサイクルすることができ、リサイクル作業のコストを低下させる。上述したポリエステルとは特にポリビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(PET)のことを言う。
【0034】
図1に示すように、前記多機能触媒100は、担体S及び前記担体Sにグラフトされる第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2とを含む。
【0035】
前記担体Sは、C:Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される無機複合粉体材料である。言い換えれば、前記無機複合粉体材料は、ナトリウム-ニッケル複合アルミナ(Na-Ni/Al)にカーボンが吸着している材料から構成されている。前記無機複合粉体材料はそのニッケル原子端にカーボン(C:)が吸着している。
【0036】
前記第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2とは、化学的に共有結合により前記担体Sにグラフトされている。その中、前記第1の機能性イオン液体IL-1は、ポリエステル織物のリサイクル中において前記ポリエステル織物を脱色するために用いられ、前記第2の機能性イオン液体IL-2は、ポリエステル織物のリサイクル中において前記ポリエステル織物を解重合するために用いられる。つまり、前記第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2とは、同一の作業フローでポリエステル織物を脱色及び解重合することができる。
【0037】
言及する価値があるのは、前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着されているカーボンにより、ポリエステル織物における染料を脱色することもでき、多機能触媒の脱色効率を向上させることができる。
【0038】
なお、前記無機複合粉体材料は、ナトリウム-ニッケル複合アルミナ(Na-Ni/Al)から構成されるので、前記多機能触媒100は、磁気物質(例えば、磁石)によりリサイクルしてもよいし、或いは、ろ過によりリサイクルしてもよい。
【0039】
さらには、脱色機能を有する前記第1の機能性イオン液体IL-1は、例えばイミダゾール系イオン液体(imidazole ionic liquid)であってもよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、前記第1の機能性イオン液体は、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。前記第1の機能性イオン液体は、例えば、メチルオレンジ(methyl orange)、エオシン黄味(EOSIN yellowish)、又はオレンジG水溶液(orange G solution)といったアニオン染料を除去するために用いられ、これらのアニオン染料に対しては適切な酸アルカリ値の水性環境で良好な脱色効率を有する。その中、上述イオン液体における[PF6]又は[BF4]は、染料を除去する機能を有する。
【0041】
さらには、解重合機能を有する前記第2の機能性イオン液体IL-2は、例えば、カチオンとアニオンとからなる塩類であってもよい。その中、前記第2の機能性イオン液体IL-2のカチオンは、イミダゾール(imidazolium)カチオン、ピリジン(pyridium)カチオン、第四級ホスホニウム(quaternary phosphonium)カチオン、及び第四級アンモニウム(quaternary ammonium)カチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。上述したカチオンは、ポリエステルを解重合する機能を有する。
【0042】
表1には、前記第2の機能性イオン液体のカチオンの化学構造を示す。その中、前記イミダゾールカチオンは下式(1)で示される化学構造を有し、前記ピリジンカチオンは下式(2)で示される化学構造を有し、前記第四級ホスホニウムカチオンは下式(3)で示される化学構造を有し、かつ前記第四級アンモニウムカチオンは下式(4)で示される化学構造を有する。
【0043】
【表1】
【0044】
そのうち、上述した化学構造の置換基R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して(それぞれ同じ又は異なる)アルキル基(alkane group)、ハロゲン化炭化水素基(halogenated hydroxyl group)、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、アリール基(aromatic group)、又はヘテロ環状炭化水素基(heterocyclic hydroxyl group)である。その中、上述した置換基R1、R2、R3、R4、R5の脂肪鎖の有機置換基の炭素数は1から14の間にある。
【0045】
そのうち、前記第2の機能性イオン液体IL-2のアニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、前記無機複合粉体材料(C:Na-Ni/Al)の総重量を100wt%とすることに基づき、カーボン成分の含有量は、総重量の10wt%から15wt%を占め、これにより、ニッケル原子端に吸着しているカーボンにより、前記無機複合粉体材料に脱色効果を与える。
【0047】
カーボン成分の含有量が高すぎると、カーボン成分は濃度が飽和しているのでニッケル原子端に吸着し続けることができない。逆に、カーボン成分の含有量が低すぎると、カーボン成分は濃度が低すぎるので十分な脱色効果を提供することができない。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、前記多機能触媒100の担体S(C:Na-Ni/Al)の重量を第1の重量と定義している。また、前記多機能触媒100の第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2との重量の和を第2の重量と定義している。さらには、前記第1の重量と第2の重量との重量比は、1:0.05から1:0.40の間にあり、好ましくは1:0.05から1:0.25の間にある。つまり、前記第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2との重量の和は、担体Sの重量の5%から40%(好ましくは5%から25%)である。言い換えれば、前記第1の機能性イオン液体IL-1と第2の機能性イオン液体IL-2とが担体Sにグラフトされるイオン液体グラフト比が5%から40%(好ましくは5%から25%)である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、脱色機能を有する前記第1の機能性イオン液体IL-1の解重合機能を有する前記第2の機能性イオン液体IL-2に対する重量比は、2:1から10:1の間にあり、好ましくは4:1である。つまり、脱色機能を有する前記第1の機能性イオン液体IL-1の重量は、解重合機能を有する前記第2の機能性イオン液体IL-2の重量の2倍から10倍、好ましくは4倍であるが、本発明はこれに限らない。
【0050】
上述した配置によれば、本発明の実施例における多機能触媒100は、担体Sの特殊な材料選択並びに担体Sにグラフトされる第1の機能性イオン液体IL-1及び第2の機能性イオン液体IL-2により、解重合及び脱色という機能を兼ね備え、かつリサイクルが容易であるという利点を有する。本発明の実施例における多機能触媒100の特殊な材料設計は、同一の作業フローにおいてポリエステル織物に対して脱色及び解重合を行うことができ、従来の化学リサイクル技術におけるリサイクルのコストが高すぎるという問題を解決できる。
【0051】
[多機能触媒の製造方法]
【0052】
以上、本発明の実施例における多機能触媒の材料特徴について説明するが、以下、本発明の実施例における多機能触媒の製造方法を説明する。
【0053】
図2に示すように、前記多機能触媒の製造方法は、工程S110、工程S120、工程S130、及び工程S140を含む。説明する必要があるのは、本実施例に記載の各工程の順番及び実際の操作方法は必要に応じて調整することができ、本発明は本実施例の記載に限らない。
【0054】
前記工程S110は、Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される第1の無機複合粉体材料を提供することを含む。
【0055】
前記工程S120は、固定床反応器により、反応温度及び反応時間の反応条件下で、二酸化炭素ガスを第1の無機複合粉体材料に流し、前記二酸化炭素ガスをカーボン成分に還元させ、前記カーボン成分を第1の無機複合粉体材料(Na-Ni/Al)のニッケル原子端に吸着させることを含む、還元作業を実施することを含む。その中、前記反応温度は、400℃から800℃の間(好ましくは400から600℃の間)にあり、前記反応時間は、2時間から72時間の間(好ましくは12から36時間の間)にある。
【0056】
前記工程S130は、ニッケル原子端にカーボン成分が吸着している第1の無機複合粉体材料に対して、焼結温度及び焼結時間の焼結条件下で、格子転位を行い、C:Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される第2の無機複合粉体材料を得ることを含む、焼結作業を実施することを含む。その中、前記焼結温度は、500℃から800℃の間(好ましくは500から700℃の間)にあり、前記焼結時間は、1時間から2時間の間(好ましくは12から48時間の間)にある。
【0057】
前記工程S140は、第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体をそれぞれシロキサンカップリング剤と反応させ、前記第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体を前記シロキサンカップリング剤により前記第2の無機複合粉体材料にグラフトさせ、前記多機能触媒を得ることを含む、グラフト作業を実施することを含む。
【0058】
[多機能触媒の使用方法]
【0059】
以上、本発明の実施例における多機能触媒の製造方法について説明するが、以下、本発明の実施例における多機能触媒の使用方法を説明する。
【0060】
図3に示すように、前記多機能触媒の使用方法は、工程S210、工程S220、工程S230、及び工程S240を含む。説明する必要があるのは、本実施例に記載の各工程の順番及び実際の操作方法は必要に応じて調整することができ、本発明は本実施例の記載に限らない。
【0061】
前記工程S210は、染色されたポリエステル織物を提供することを含む。
【0062】
前記工程S220は、担体及び前記担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体と第2の機能性イオン液体を含む多機能触媒を提供することを含む。
【0063】
前記担体は、C:Na-Ni/Alで示される化学成分から構成される無機複合粉体材料である。言い換えれば、前記無機複合粉体材料は、ナトリウム-ニッケル複合アルミナ(Na-Ni/Al)にカーボンが吸着している材料から構成されている。そのうち、前記無機複合粉体材料はそのニッケル原子端にカーボン(C:)が吸着している。
【0064】
前記第1の機能性イオン液体は、例えばイミダゾール系イオン液体(imidazole ionic liquid)であってもよい。前記第1の機能性イオン液体は、[C4mim][PF6]、[C6mim][PF6]、[C6mim][BF4]、及び[C8mim][PF6]、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0065】
前記第2の機能性イオン液体のカチオンは、イミダゾール(imidazolium)カチオン、ピリジン(pyridium)カチオン、第四級ホスホニウム(quaternary phosphonium)カチオン、及び第四級アンモニウム(quaternary ammonium)カチオン、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。前記第2の機能性イオン液体のアニオンは、CI、Br、I、AlC1 、AlBr 、AlI 、CFCOO、CHCOO、CFSO 、SCN、(CFSO、(CFSO 、C(OH)(COO)、からなる材料群から選択される少なくとも一つである。
【0066】
前記工程S230は、染色された前記ポリエステル織物、多機能触媒、及び化学的解重合液を、予定される重量比で混合し、加熱及び攪拌を行い、前記第1の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を脱色し、かつ前記第2の機能性イオン液体により前記ポリエステル織物を解重合し、脱色及び解重合された解重合生成物を得ることを含む。つまり、前記第1の機能性イオン液体と第2の機能性イオン液体とは、同一の作業フローでポリエステル織物を脱色及び解重合することができる。
【0067】
そのうち、前記染色されたポリエステル織物、前記多機能触媒、及び前記化学的解重合液は、10~30:0.05~1:60~90の間の予定重量比で混合するが、本発明はこれに限らない。
【0068】
そのうち、前記解重合生成物は、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)、前記多機能触媒、及び前記化学的解重合液を含む。その中、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、ポリエステル織物を分解することで形成される。なお、前記化学的解重合液は、例えば、エチレングリコール(ethylene glycol、EG)であってもよいが、本発明はこれに限らない。
【0069】
言及する価値があるのは、前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着されているカーボンにより、ポリエステル織物における染料を脱色することもでき、多機能触媒の脱色効率を向上させることができる。
【0070】
前記工程S240は、触媒のリサイクル作業を実施し、前記多機能触媒をビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)及び化学的解重合液から分離することを含む。その中、前記触媒のリサイクル作業は、例えば、磁気物質(例えば、磁石)により前記多機能触媒を磁気吸引することにより実現してもよいが、本発明はこれに限らない。前記触媒のリサイクル作業は、例えばろ過又は遠心により前記多機能触媒をリサイクルしてもよい。
【0071】
上述した配置によれば、前記解重合生成物は、GPC測定により90%以上の分解効率(ポリエステル織物が分解してBHETを形成する効率)を有する。前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)は、90以上のL値、-1から1の間にあるa値、及び-5から5の間にあるb値を有する。
【0072】
[実験データ及び測定結果]
【0073】
以下、実施例1から実施例4を参照して本発明の内容を詳細に説明する。しかし、以下の実施例はただ、本発明を理解するためのものであり、本発明の範囲は、これらの実施例に限らない。
【0074】
実施例1の調製工程は、染色された淡色ポリエステル織物を提供して化学的解重合液(エチレングリコール)に入れた。その後、多機能触媒を前記化学的解重合液に入れ、染色された淡色ポリエステル織物を脱色及び解重合した。その中、多機能触媒には、担体及び担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体と第2の機能性イオン液体が含まれた。
【0075】
そのうち、上述した担体はC:Na-Ni/Alから構成された。実施例1では、第1の機能性イオン液体の材料種類が[C4mim][PF6]であり、第2の機能性イオン液体におけるカチオンがイミダゾールカチオンであり、アニオンがCIであった。第1の機能性イオン液体と第2の機能性イオン液体とが当該担体にグラフトされるイオン液体グラフト比が20.1%(重量部として)であった。なお、第1の機能性イオン液体(脱色)と第2の機能性イオン液体(解重合)との重量比が4:1であった。多機能触媒の添加重量がポリエステル織物の重量の2%であった。また、解重合及び脱色の反応時間が2時間であった。説明する必要があるのは、実施例1~4では、第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体に対して一つの材料配合のみを例として説明したが、本発明はこれに限らない。当業者にとっては、明細書では第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体について例示される残りの性質が近い材料種類に対して実験が行わなかったが、近い技術的効果を有する、すなわち、第1のイオン液体が脱色機能を有し、第2のイオン液体が解重合機能を有することを推測できるはずであることが理解される。
【0076】
測定したところ、実施例1の解重合効率が93%であり、つまり、93%のポリエステル織物がビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)に分解され、実施例1の調製条件では良好な解重合効率を有することを示した。脱色効果について、実施例1のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)が80のL値、0.16のa値、及び4.46のb値を有し、実施例1の調製条件ではビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)に良好な色相を与えたことを示した。
【0077】
そのうち、上述した解重合効率はGPC分析測定により得られた。ポリエステルの解重合効率は、(ポリエステルの初期質量-解重合されていないポリエステル質量)/ポリエステルの初期質量*100%であった。Lab色空間は、補色空間であり、Lab値は、分光計により測定された。
【0078】
実施例2の調製条件は、イオン液体グラフト比が14.2%であったこと以外、実施例1とほぼ同じであった。実施例2の解重合効率が92%であり、BHETが83のL値、-0.65のa値、及び3.9のb値を有した。実施例3の調製条件は、イオン液体グラフト比が9.0%であったこと以外、実施例1とほぼ同じであった。実施例3の解重合効率が91%であり、BHETが85のL値、-0.73のa値、及び3.1のb値を有した。実施例4の調製条件は、イオン液体グラフト比が5.0%であったこと以外、実施例1とほぼ同じであった。実施例4の解重合効率が91%であり、BHETが86のL値、0.07のa値、及び1.8のb値を有した。全体として、表2に示すように、実施例1から実施例4の調製条件ではいずれも、良好な解重合効率(90%以上)を有し、良好な色相(L>80、a=-1~1、b=-5~5)を有した。
【0079】
【表2】
【0080】
次に、表3に示すように、イオン液体グラフト比が14.2%(実施例2)である多機能触媒を用いて触媒の解重合リサイクルの循環測定を二十回行った。解重合及び脱色の反応時間はいずれも2時間とした。上述した条件で、リサイクルされた毎回の触媒はいずれも90%以上の解重合効率を与え、かつBHETの脱色効果はいずれもL>80、a=-1~1、b=-5~5というレベルに合致することができた。
【0081】
【表3】
【0082】
[実施例の有益な効果]
【0083】
本発明の一つの有益な効果としては、本発明で提供される多機能触媒、その製造方法、及びその使用方法は、担体の特殊な材料選択並びに担体にグラフトされる第1の機能性イオン液体及び第2の機能性イオン液体により解重合及び脱色という機能を兼ね備え、かつリサイクルが容易であるという利点を有する。本発明に係る多機能触媒の特殊な材料設計により、同一の作業フローでポリエステル織物に対して脱色及び解重合を行うことができ、かつ従来の化学リサイクル技術におけるリサイクルのコストが高すぎるという問題を解決できる。
【0084】
さらには、前記無機複合粉体材料は、そのニッケル原子端に吸着されているカーボンにより、ポリエステル織物における染料を脱色することもでき、多機能触媒の脱色効率を向上させることができる。
【0085】
また、前記無機複合粉体材料はナトリウム-ニッケル複合アルミナから構成されるので、前記多機能触媒は、磁気物質(例えば、磁石)によりリサイクルしてもよいし、或いは、ろ過によりリサイクルしてもよい。
【0086】
以上に開示された内容は、本発明の実施可能な好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の説明及び図面の内容を用いてなされた均等な技術的変更はすべて本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100 多機能触媒
S 担体
IL-1 第1の機能性イオン液体
IL-2 第2の機能性イオン液体

図1
図2
図3