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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】RFID装置用自己接着性ストラップ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240425BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06K19/077 208
G06K19/077 280
H01Q9/16
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021563157
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020029284
(87)【国際公開番号】W WO2020219525
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】62/836,900
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,イアン
(72)【発明者】
【氏名】マクギニス,エドワード
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-085510(JP,A)
【文献】特開2007-122468(JP,A)
【文献】特開2000-311233(JP,A)
【文献】特開2007-115249(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073381(WO,A1)
【文献】特表2002-517870(JP,A)
【文献】実開平02-108338(JP,U)
【文献】国際公開第2006/112447(WO,A1)
【文献】特表2009-521755(JP,A)
【文献】特開2008-309518(JP,A)
【文献】特開2007-157140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0005050(US,A1)
【文献】登録実用新案第3173180(JP,U)
【文献】特表2021-522572(JP,A)
【文献】特表2021-522571(JP,A)
【文献】特表2016-532901(JP,A)
【文献】国際公開第01/062517(WO,A1)
【文献】特開2007-052787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01Q 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を規定するアンテナと、
前記隙間にわたって前記アンテナに電気的に結合されたRFIDストラップと、を含むRFID装置であって、
前記RFIDストラップは、前記アンテナに固定されるように前記RFIDストラップに適用された自己接着性物質を有し、
前記自己接着性物質は、硬化させる別途の工程を必要せず、厚さ、絶縁定数の実部及び虚部を含む特定の特性によって定義されている、RFID装置。
【請求項2】
前記自己接着性物質は感圧接着剤を含む、請求項1に記載のRFID装置。
【請求項3】
前記自己接着性物質は等方導電性接着剤を含む、請求項1に記載のRFID装置。
【請求項4】
前記等方導電性接着剤はペーストを含む、請求項3に記載のRFID装置。
【請求項5】
前記等方導電性接着剤はフィルムを含む、請求項3に記載のRFID装置。
【請求項6】
前記自己接着性物質は異方導電性接着剤を含む、請求項1に記載のRFID装置。
【請求項7】
前記異方導電性接着剤はペーストを含む、請求項6に記載のRFID装置。
【請求項8】
前記異方導電性接着剤はフィルムを含む、請求項6に記載のRFID装置。
【請求項9】
隙間を規定するアンテナを提供するステップと、
RFIDストラップを提供するステップと、
自己接着性物質を前記RFIDストラップに適用するステップであって、前記自己接着性物質は硬化させる別途の工程を必要としない自己接着性物質であるステップと、
前記隙間にわたって前記RFIDストラップがアンテナに電気的に結合するように前記自己接着性物質を用いて前記RFIDストラップを前記アンテナに固定するステップであって、前記自己接着性物質は、厚さ、絶縁定数の実部及び虚部を含む特定の特性によって定義されているステップと、を含む、RFID装置を組み立てる方法。
【請求項10】
前記自己接着性物質は感圧接着剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記自己接着性物質は等方導電性接着剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記等方導電性接着剤はペーストを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記等方導電性接着剤はフィルムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記自己接着性物質は異方導電性接着剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記異方導電性接着剤はペーストを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記異方導電性接着剤はフィルムを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
隙間を規定するアンテナを形成するように構成されたアンテナ生産ステーションと、
前記隙間にわたって前記アンテナにRFIDストラップを電気的に結合するように構成されたストラップ取り付けステーションであって、前記RFIDストラップは、前記アンテナに固定されるように前記RFIDストラップに適用された自己接着性物質を有し、前記自己接着性物質は、硬化させる別途の工程を必要せず、厚さ、絶縁定数の実部及び虚部を含む特定の特性によって定義されている、ストラップ取り付けステーションと、を含むRFID装置を組み立てるためのシステム。
【請求項18】
前記システムによって組み立てられたRFID装置の性能をテストするように構成されたテストステーションをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムによって組み立てられたRFID装置のRFIDチップをプログラミングするように構成されたプログラミングステーションをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムによって組み立てられたRFID装置に人が読み取り可能な表示を適用するように構成された印刷ステーションをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムによって組み立てられたRFID装置の一部を切断するように構成された切断ステーションをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2019年4月22日に出願された米国仮実用特許出願番号62/836,900号の優先権及び利益を主張し、その全体が本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本発明は、無線周波数識別「RFID」装置に関する。より具体的に、本発明は、自己接着性RFIDストラップ及びこのようなRFIDストラップをアンテナに取り付けるための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
RFIDタグ及びラベル(本明細書では「装置」と呼ぶ)は、物体を識別コードに関連付けるために広く用いられる。RFID装置は、一般に、アンテナと、例えば、通信電子機器、データメモリ、及び制御論理を含み得るアナログ及び/又はデジタル電子機器の組み合わせを有する。例えば、RFIDタグは、自動車の保安ロック装置とともに、建物へのアクセスの制御、及び在庫や小包の追跡のために用いられる。
【0004】
RFID装置の製造に関する1つの問題は、専用のRFID装置製造施設でこれらを組み立てる必要があるというものである。これは、部分的にこのような装置のアンテナが装置の他の構成要素に固定されるやり式のためである。例えば、1つのアプローチにおいて、アンテナ及び別のRFIDストラップ(RFIDチップを含む)が提供される。アンテナのパッドに接着剤を塗布した後、RFIDストラップを接着剤と接触しようと配置する。その後、接着剤を硬化させ、RFIDストラップをアンテナに固定する。接着剤の特性は、RFID装置の機能及びパラメータ(例えば、装置がリーダーシステムに応答できる最小電力、及び装置が最適に作動するように構成された周波数)に非常に重要であり、必要とされる制御を達成するためには高度な製造設備が必要である。このように、このタイプのRFID装置は、専門施設でのみ製造して組み立て得る。
【0005】
便宜上、RFID製造工場または施設は、その製品に統合するために、RFID製造施設からRFID装置を取得する製品製造業者の工場または施設の近くに位置し得る。従って、この2つの工場を位置決めすると、RFID製造業者から製品製造業者にRFID装置を運送するコストが減少する。しかし、製品製造業者が工場または施設を別の位置に(例えば、製造コストを考慮して別の国に)移転する場合、RFID製造業者の工場または施設から新たな位置にRFID装置を運送するコストは、環境影響の増加とともに大幅に増加した。
【0006】
さらに、RFIDの製造業者は、規模の経済のため、RFID装置を大量に生産することを好む場合がある。その結果、RFID製造業者が製造することを好むRFID装置の数は、顧客が要求する数よりも多くなり得る。
【0007】
したがって、RFID装置専用の製造工場または施設ではなく、他の工場または施設で組み立て得るRFID装置への必要性が存在する。また、従来のアプローチを用いて、一般に製造されるよりも少ない数のRFID装置を 製造できる(好ましくは、携帯型)「ビルド・オン・デマンド」システムを可能にして、より簡単に組み立て得るRFID装置への要求が存在する。
【0008】
したがって、本開示の目的は、RFID装置専用の製造工場または施設以外の工場または施設で組み立て得るRFID装置を提供することである。 また、本開示の目的は、従来のアプローチを用いて、一般に製造されるよりも少ない数のRFID装置を製造できる(好ましくは、携帯型)「ビルド・オン・デマンド」システムを可能にして、より簡単に組み立て得るRFID装置を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
以下に記載及び請求される装置及びシステムにおいて、個別にまたは共に具現化され得るいくつかの本発明の態様がある。これらの態様は、単独で用いられるか、またはここに記載される主題の他の態様と組み合わせて使用され得、これらの態様を共に記載することは、これらの態様を個別に用いるか、またはこのような態様を本明細書に添付されている請求範囲に明示しているように、個別にまたは異なる組み合わせで請求することを排除するように意図するものではない。
【0010】
隙間を規定するアンテナと隙間にわたってアンテナに電気的に結合されたRFIDストラップとを含むRFID装置、並びにその製造及び使用方法が本明細書に記載されている。
【0011】
一部の実施形態において、RFIDストラップは、自己接着性物質または材料によってアンテナに固定される。 一部の実施形態において、自己接着性物質または材料は、感圧粘着剤、ペースト、若しくはフィルムのような等方導電性接着剤、またはペースト若しくはフィルムのような異方導電性接着剤であるか、またはこれらを含む。
【0012】
また、RFID装置を組み立てる方法が記載されている。一部の実施形態において、前記方法は、アンテナ及びRFIDストラップを提供するステップを含む。また、前記方法は、アンテナにより規定された隙間にわたってRFIDストラップをアンテナに電気的に結合するために、上述のように自己接着物質を使用してアンテナにRFIDストラップを固定するステップをさらに含む。
【0013】
RFID装置を組み立てるためのシステムが本明細書に記載されている。一部の実施形態において、RFID装置を組み立てるためのシステムは、隙間を規定するアンテナを形成するように構成されたアンテナ生産ステーションを含む。一部の実施形態において、前記システムは、上述のようなアンテナ生産ステーションと、RFIDストラップが隙間にわたってアンテナに電気的に結合するように構成されたストラップ取り付けステーションとを含み、RFIDストラップは、上述の自己接着性物質または材料によってアンテナに固定される。 一部の実施形態において、上記システムは、上述の生産取り付けステーションを含み、且つ、上記システムによって組み立てられたRFID装置の性能をテストするように構成されたテストステーションを含む。また、他の実施形態において、上記システムは、上述の生産、取付け、及びテストステーションを含み、且つ、上記システムによって組み立てられたRFID装置のRFIDチップをプログラミングするように構成されたプログラミングステーションをさらに含む。上述のシステムは、人が読み取り可能な表示をシステムによって組み立てられたRFID装置に適用するように構成された印刷ステーション及び/またはシステムによって組み立てられたRFID装置の一部を切断するように構成された切断ステーションをさらに含むことができる。上述の様々なステーションは、1つの位置に、例えば、1つの施設内に、多数の位置に、または同じ位置の多数の施設内に位置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に係るRFID装置のアンテナの概略側面図である。
図1A図1のアンテナの概略平面図である。
図2図1のアンテナと、自己接着性物質を用いてアンテナに固定されるRFIDストラップの概略側面図である。
図3】RFID装置を規定するため、共に固定された図2のアンテナ及びRFIDストラップの概略側面図である。
図3A図3のRFID装置の平面図である。
図4】第1の例示的な自己接着性物質が提供された図2のRFIDストラップの概略側面図である。
図5】第2の例示的な自己接着性物質が提供された図2のRFIDストラップの概略側面図である。
図6】第3の例示的な自己接着性物質が提供された図2のRFIDストラップの概略側面図である。
図7】本開示に係るRFID装置を製造するための「ビルド・オン・デマンド」システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示された実施形態は本発明の単なる例示に過ぎず、様々な形態で実現され得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される具体的な詳細は、限定であると解釈されるべきではなく、単に請求範囲の根拠として、また事実上任意の適切な方法で本発明を多様に採用するように当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0016】
図1は、本明細書に記載のRFID装置に統合され得る類型のアンテナ10を示す。アンテナ10は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々に製造及び構成され得る。しかし、一実施形態において、アンテナは、隙間16によって分離された一対のパッド12、14を備えた従来の方式で構成される(図1A)。
【0017】
(従来のアプローチのように)パッド12、14に接着剤が塗布されるよりも、定義された特性(例えば、厚さと絶縁定数の実部及び虚部)を有する自己接着性物質または材料18が、RFID装置22(図3及び3A)を規定するためにアンテナ10に固定されるようにRFIDストラップ20(図2)に適用される。自己接着性物質または材料18は、(従来のアプローチで要求されるような)硬化手順を別途必要とせず、RFIDストラップ20(例えば、RFIDストラップ20のパッド)をアンテナ10に固定するために、(図3Aに示すように、隙間16にわたってRFIDストラップ20がアンテナに電気的に結合されて)アンテナ10に取り付けられるように構成される。図2は、RFIDストラップ20に適用された自己接着性物質または材料18を示すが、自己接着性物質はその代わりにアンテナ10またはアンテナ10及びRFIDストラップ20の両方に適用され得ることを理解するべきである。また、他の実施形態において、第1の物質はアンテナ10に適用され得、第2の物質はRFIDストラップ20に適用され得、自己接着性物質または材料を生成するために、(互いに接触するように配置される場合、)2つの物質が結合する。自己接着性物質または材料18(あるいは、その構成要素)がアンテナ10に適用されることは本開示の範囲内であるが、アンテナ10への物質または材料の適用は、制御された印刷を必要とすることがあるので、自己接着性物質または材料18は、RFIDストラップ20のみに適用することが有利であり得る。しかし、他の実施形態において、自己接着性物質または材料(あるいは、その構成要素)は、アンテナ上にパターンコーティング、または印刷され得る。
【0018】
自己接着性物質18の性質は、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得る。例えば、一実施形態において、自己接着性物質18は、図4のように感圧接着剤18aであるか、または、それを含む。また、他の実施形態において、前記自己接着性物質18は、例えば、(図5のように)ペーストまたはフィルムとして構成され得る等方導電性接着剤18bであるか、またはそれを含む。また、他の実施形態において、自己接着性物質18は、例えば、(図6のように)ペーストまたはフィルムとして構成され得る異方導電性接着剤18cであるか、またはそれを含む。図4~6に示された自己接着性物質又は材料は例示に過ぎず、本開示に係る自己接着性構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる構成を有し得ることを理解すべきである。
【0019】
RFIDストラップ20は、自己接着性物質または材料18の性質に応じて、リアクタンス、例えばEフィールドカップリング、誘導Hフィールドカップリング、またはこの両方の組み合わせによってアンテナ10に結合され得る。結合は、自己接着性物質または材料18の厚さに影響を受ける静電容量のような接着性物質または材料18の特性の関数である(つまり、2倍の厚さは静電容量が2倍に減少する)。また、結合は絶縁定数の実部と虚部とも関連し、絶縁定数の実部が2倍に増加すると、静電容量が2倍に増加する。しかし、増加は、アンテナパッド12、14とRFIDストラップ20のパッドとの間の材料(自己接着性物質または材料18)を通って流れるRFエネルギーのより大きな損失と関連するため、虚部の影響はさらに複雑である。したがって、自己接着性物質または材料18を選択して適用する際には、結果として得られたRFID装置22の所望の、典型的に最適な性能が可能であることを保証するように、注意を払うべきである。
【0020】
アンテナ10とRFIDストラップ20を繋ぐために、自己接着性物質または材料18を使用することにより、多数の利点を有し得る。例えば、従来のアプローチに比べ、図1~3に示される組立工程は、アンテナ10をRFIDストラップ20に固定するために、(例えば、熱又は紫外線の照射により)自己接着性物質又は材料18を硬化させるステップが不要であるから簡略化される。組立手順を簡略化することにより、(RFID装置製造業者がRFIDストラップ20を製造した後、)RFID装置22を従来のアプローチによってRFID装置を組み立てる際に通常実行される(そして、要求される)精密工程に適さない工場または施設を含む、RFID装置専用の製造工場または施設の外で組み立てることができる。例えば、図1~3に示される組立工程は、梱包供給工場のような、RFID装置22が組み込まれる製品の製造を主に目的とする工場または施設で実施され得る。
【0021】
RFID装置22の構成要素(主に、RFIDストラップ20)を製造業者から組み立て位置へ移送する以外にも、アンテナの設計や取り付ける方法のような知的財産も、簡略化されたRFID装置22の現地組み立てを可能にするように移送することができる。例えば、(形成または完成したアンテナを製造業者から組み立て業者に提供することも本開示の範囲内であるが)組み立て位置に完成したアンテナを提供するよりは、組み立て位置に導電性インクを印刷するか、または(例えば、ホイルをパンチまたは切断することによって)ホイルをアンテナにするのに必要な工具及びノウハウを提供することが有利であり得る。他の例においては、組み立てられたRFID装置をテストするのに必要な工具及びノウハウを組み立て業者に提供し得る。
【0022】
また、本明細書に記載のRFID装置によって機械の複雑性が減少することにより、本明細書に記載のRFID装置(例えば、22)を組み立てることができる、小型(例えば、小型のフットプリント)の、モバイルの「ビルド・オン・デマンド」システムの使用を可能にすることができる。このようなシステムのうちの1つ以上は、組み立て業者の施設または工場に設置されるか、またはこのような施設の地域に設置され得る。このようなシステムが設置された位置に応じて、その位置でこのような機能へのアクセスが不可能か、または信頼できない場合、衛星トランシーバなどの電力通信及びデータ通信を含み得る支援システムが提供され得る。RFID装置を現地で組み立てることにより、RFID装置製造業者の工場または施設から離れた組み立て業者の施設または工場の移転に伴う不利益(運送料の増加及び環境的外部影響を含む)が少なくなる。
【0023】
例示的な「ビルド・オン・デマンド」システム24が図7に示されている。システム24には、異なる段階のRFID装置の生産及び組み立てが実行される多数のステーションが提供され得、システム24は、RFID装置22またはその構成要素を一方のステーションから次のステーションに運送するための機構(例えば、コンベヤ)を含む。例えば、アンテナ生産ステーション26は、アンテナ10を形成するのに必要な構成要素を含み得る。システム24にアンテナ生産ステーション26が提供される場合、アンテナ10がデジタル方式(すなわち、システム24に対して物理的な調整をすることなく変更され得るパターン)で規定されることが有利であり得る。デジタル方式で規定されたアンテナの例としては、導電性インクのインクジェット蒸着またはホイル材料を切断するように構成されたレーザーシステムが挙げられるが、他のアプローチ(例えば、選択的摩耗)も用いられ得る。また、本開示の範囲内では、システム24からアンテナ生産ステーション26を省略している代わりに、システム24に形成されたアンテナ10が提供される。しかしながら、組み立て業者にさらに大きな柔軟性を提供し、またRFID装置製造業者への依存度を減らすために、アンテナ生産ステーション26が好まれる場合がある。
【0024】
システム24の追加ステーションは、上述のように、自己接着性物質18によってRFIDストラップ20をアンテナ10に電気的に結合するように構成されたストラップ取り付けステーション28を含むことができる。ストラップ取り付けステーション28の下流に配置したテストステーション30は、提供される場合、システム24によって組み立てられたRFID装置22の性能をテストするように構成され得る。プログラミングステーション32は、提供される場合、システム24によって組み立てられたRFID装置22のRFIDチップ34をプログラミングするように構成され得る。印刷ステーション36は、提供される場合、システム24によって組み立てられたRFID装置22に人が読み取り可能な表示を適用するように構成され得る。(38で特定される)切断ステーションは、提供される場合、例えばX-Yカッターまたはレーザーを用いて、システム24によって組み立てられたRFID装置22の一部を切断するように構成され得る。システム24によって組み立てられたRFID装置22は、40で特定されるように、システム24から出た後、製品の部品等(例えば、製品タグ)に組み入れられ得る。本開示に係る「ビルド・オン・デマンド」システムは、図7に示される全てのステーションよりも少ない数のステーション、または示されていない追加ステーションが提供され得ることを理解すべきである。さらに、本開示に係る「ビルド・オン・デマンド」システムの様々なステーションは、任意の適切な順序(例えば、 印刷ステーション36はプログラミングステーション32の上流に配置される)で提供され得ることを理解するべきである。
【0025】
「ビルド・オン・デマンド」システムの大きさ及び携帯性は、その構成及び機能に応じて変わり得る。例えば、このようなシステムは、陸路及び/または海路で移送するのための表示準輸送コンテナの内部に入るように構成され得ることが考えられる。他の実施形態において、このようなシステムは、ある位置から他の位置への迅速な移送を支援するために、容易な航空貨物用として構成され得る。また、他の実施形態において、「ビルド・オン・デマンド」システムは、人間が読み取り可能な可変的な情報を印刷するために、製品製造業者へのRFID提供の一部として、すでに使用されているプリンタと同様の大きさを持つ「デスクトップ」ユニットとして提供され得る。
【0026】
本発明は、RFID製造業者が規模の経済のために、RFID装置を大量に生産することを好む場合があることを考慮する。RFID製造業者が製造することを好むRFID装置の数は、顧客が要求する数よりも、さらに多い可能性がある。本発明で現在考慮する一実施形態において、インレイ用のウェットストラップ構造が創案され得る。本発明は、ストラップに関して使用される接着剤が感圧接着剤であることを考慮しているが、それに限定されない。ウェットストラップを構成し得る方法としては、いくつか有る。例えば、一実施形態において、従来のウェットストラップの構成プロセスいおいて、ストラップはリードフレームと、チップ接着剤と、チップ取り付け機の少なくとも1つのチップとを用いて作られる。次に、ストラップは、1)ラミネート転写テープ、及び/または、2)リール上に、感圧ストラップのような個別ストラップに切断する前にライナーと共に少なくとも1つの接着剤を塗布すること、を用いることによって、ウェットストラップに変えられ得る。
【0027】
ウェットストラップを構成するために現在考えられる他の実施形態において、リードフレームは、まず、ウェットリードフレームを作るために最初に変えられる。ウェットリードフレームは、少なくとも1つのチップ接着剤を塗布し、少なくとも1つのチップを取り付けて完成したインレイを作るため、チップ取り付け機を通すことができる。このウェットファーストストラップ方式は、残りのインレイに比べてコストが高いチップを製造工程の最後に取り付けることができるようにして、チップが損傷するリスクを減らし、且つストラップの全体のコストを節減することができる。本明細書で簡単に説明したウェットインレイの2つの構成方法において、リードフレームは、1)従来のエッチング工程、2)少なくとも2つの切断ステップを含み、そのうちの1つはレーザーによるものであるハイブリッド工程、及び/または、3)レーザーによるもの、のいずれかによって作製できる。リードフレームは、本明細書に記載のこれらの方法のうちの1つのみで、またはその組み合わせで作製できることが考えられる。
【0028】
ウェットストラップ構造について、現在考えられる他の実施形態において、ウェットハイブリッドリードフレーム工程が利用される。このプロセスは、ウェットファーストストラップ方式と似ているが、リードフレームがフラッドコーティングされるか、または接着剤がライナーに印刷され得る。次に、導体ラミネート、PET上のアルミニウムまたは紙がラミネートされ得、接合領域(チップ隙間)が切断される。切断は、レーザー、機械的ダイカット、または当業界で周知の任意の他の切断方法によって行うことができる。次に、クロスウェブが切断され、このウェブはリールに個別リードフレームが設けられるように切り込みが入れられる。次に、一実施形態において、これらのリードフレームは、チップ取り付け工程を経ることができる。このウェットハイブリッドリードフレーム工程は、製造工程をさらに迅速かつ単純にし、また工具及び材料のコストをさらに低くすることができる。
【0029】
上述の実施形態は、本主題の原理の一部適用を例示することで理解されるであろう。本明細書で個別に開示または請求された特徴の組み合わせを含んで請求された主題の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多数の修正が行われ得る。このような理由で、本明細書の範囲は、上記の記載に限定されるのではなく、下記の請求の範囲に記載されているとおりであり、請求の範囲は、本明細書に個別に開示または請求された特徴の組み合わせを含み、本明細書の特徴に関し得ることは理解される。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7